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【発明の名称】 キャップ締装置
【発明者】 【氏名】秦野 耕一

【氏名】白井 秀典

【要約】 【課題】キャップを容器の口部に安定的に供給し、かつキャップを一定の姿勢にして回転すること。

【解決手段】キャップ締装置80であって、キャップ1を保持する回転可能な方向自在吸着部90を有し、方向自在吸着部90を方向自在性を有する状態と方向固定にされる状態に切替え可能にするもの。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを保持する回転可能な方向自在吸着部を有し、方向自在吸着部を方向自在性を有する状態と方向固定される状態に切替え可能にするキャップ締装置。
【請求項2】
前記方向自在吸着部の方向自在性を有した状態で、方向自在吸着部に加圧力を加えることができる請求項1記載のキャップ締装置。
【請求項3】
前記方向自在吸着部のキャップ保持手段が吸引手段からなる請求項1又は2記載のキャップ締装置。
【請求項4】
前記方向自在吸着部のキャップ保持手段が粘着物質からなる請求項1、2又は3記載のキャップ締装置。
【請求項5】
前記方向自在吸着部のキャップ保持手段がエジェクタ式吸着装置からなる請求項1、2、3又は4記載のキャップ締装置。
【請求項6】
前記方向自在吸着部が、キャップ保持手段に保持されたキャップに回転力を付与する回転力付与手段を備える請求項1、2、3、4又は5記載のキャップ締装置。
【請求項7】
前記方向自在吸着部を回転部の先端に揺動自在に支持し、回転部に内蔵されて方向自在吸着部の側に突出可能とされる固定突出部を有し、回転部から突出した固定突出部により方向自在吸着部の端面を押圧し、該方向自在吸着部を方向固定する請求項1、2、3、4、5又は6記載のキャップ締装置。
【請求項8】
前記回転部に内蔵されて方向自在吸着部の側に突出可能とされる加圧突出部を有し、回転部から突出した加圧突出部により方向自在吸着部の端面の中心部を加圧し、該方向自在吸着部の方向自在性を有した状態で、方向自在吸着部に加圧力を加える請求項7記載のキャップ締装置。
【請求項9】
キャップの仮締めに使用する請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のキャップ締装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッピング装置等に用いて好適なキャップ締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッピング装置では、キャップと容器の形状寸法が同一品種であっても成形時や保管時の事情により変化し、キャップと容器のネジ噛合不良を招く等によってキャップ噛合部にキズを生じ、液漏れ等のトラブルを発生するおそれがあり、生産性を阻害する。多品種多形態のキャップを扱うキャッピング装置では、そのトラブルを一層多発するおそれがある。
【0003】
そこで従来、キャップと容器のネジ噛合不良を低減するため、特許文献1、2に記載のキャッピング装置が提案されている。
【0004】
特許文献1のキャピング装置は、容器の口部に載せられたポンプキャップをネジ噛合方向と逆方向に回転させてキャップの姿勢を矯正させた後、該キャップを仮締めし、更に本締めする。
【0005】
特許文献2のキャッピング装置は、容器の口部に載せられた円筒キャップをネジ噛合方向と逆方向に回転させてキャップの姿勢を矯正させた後、該キャップを仮締めし、更に本締めする。
【特許文献1】特開平11-255292
【特許文献2】特開平9-118392
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャップは容器の口部に押付けた状態で回転することにてネジの噛合いを開始する。キャップの回転角度範囲において、キャップと容器がスムーズに螺着開始できる領域はネジ条数やネジ山の形状により異なり、その螺着開始がスムーズになる角度範囲を可能な限り広めるように考えられている。一般的には概ね180度の範囲が容易に螺着開始できる範囲であり、残る概ね180度の範囲がキャップと容器が擦れる状態、或いは、キャップの姿勢不良に伴う不良噛合いを生じ易い範囲になる。特許文献1、2のキャッピング装置は、キャップにネジ噛合方向と逆方向の回転を与えてキャップの姿勢を矯正させ、キャップが螺着困難な概ね180度の回転角度範囲にあっても、キャップの不良噛合いを回避しようとするものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1、2のキャッピング装置は、キャップの姿勢を矯正するために、キャップを逆回転するための操作と時間を必要とし、生産性の向上に困難がある。
【0008】
また、請求項1、2のキャッピング装置では、キャップを容器の口部に供給することに困難があり、特にポンプキャップのディップチューブを容器の口部に挿入することに困難がある。
【0009】
本発明の課題は、キャップを容器の口部に安定的に供給し、かつキャップを一定の姿勢にして回転することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、キャップを保持する回転可能な方向自在吸着部を有し、方向自在吸着部を方向自在性を有する状態と方向固定される状態に切替え可能にするキャップ締装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施例1)(図1〜図15)
キャッピング装置10は、キャップ1を容器2の口部にネジ噛合いさせることにてキャッピングするものである。容器2は、容器供給コンベア20により供給される。
【0012】
キャッピング装置10は、架台31の昇降ガイド32に昇降可能に昇降台33を設け、昇降台33に本締装置35を設け、本締装置35に仮締装置70を付帯させている。本締装置35と仮締装置70は単一のキャッピング位置にて回転するよう、即ち、その回転中心が同軸となるように配置される。仮締装置70はキャップ1を容器2に対して小トルクで仮締めし(仮締装置70の最大トルクはネジ山を壊さない)、本締装置35はキャップ1を容器2に対して大トルク(最終締め力)で本締めする。
【0013】
本締装置35は、図3〜図6に示す如く、キャップ挟持チャック50を構成する複数個の締付ローラ51、52、53、54でキャップ1の外周面を挟持し、この締付ローラ51〜54の回転によりキャップ1をボトル2に螺着させる。このとき、本締装置35は、前述の架台31の昇降ガイド32に昇降駆動されるように設けた昇降台33に、第1昇降台41を固定し、第1昇降台41にて第2昇降台42を支持している。そして、本締装置35は、締付ローラ51〜54のためのローラ開閉装置43とローラ回転装置44とを有している。
【0014】
ローラ開閉装置43は、第1昇降台41に相対する2個の両ローラヘッド45、46をそれぞれ横行ガイド(リニアガイドとリニアレール)41Aを介して横移動可能に支持し、該第1昇降台41の裏面に設けた開閉駆動モータ47によって固定されて駆動されるピニオン48と、両ローラヘッド45、46のそれぞれに設けたラック45A、46Aとを、ピニオン48の上面と下面とに噛合いさせている。そして、一方のローラヘッド45には 2個の締付ローラ51、52が、他方のローラヘッド46には2個の締付ローラ53、54が互いに相対して支持されている。締付ローラ51、52、53、54はそれらの回転軸51A、52A、53A、54Aによりローラヘッド45、46に強制駆動可能に支持される。ローラ開閉装置43は、開閉駆動モータ47により両ローラヘッド45、46を互いに接触或いは離間する方向に平行移動させ、相対する締付ローラ51、52と締付ローラ53、54をそれらに挟まれたキャップ締付領域に対して互いに開閉可能とする。これにより、締付ローラ51、52と締付ローラ53、54は、キャップ1を挟持するキャップ挟持チャック50を形成する。
【0015】
ローラ回転装置44は、第2昇降台42に設けた回転駆動モータ61と、第2昇降台42側の両ローラヘッド45、46に設けた締付ローラ51、52と締付ローラ53、54との間の回転力伝達経路に、該回転力伝達経路を伸縮可能とする伸縮回転軸62、63を設け、両ローラヘッド45、46の平行移動を許容しながら、締付ローラ51、52と締付ローラ53、54を前述した如く強制駆動可能としている。このとき、第2昇降台42側では、伸縮回転軸62、63の上端軸62A、63Aが第2昇降台42の軸受台に支持され、上端軸62A、63Aにはプーリ64、65が固定されるとともに、アイドルプーリ66A〜66Cが支持され、回転駆動モータ61の出力軸に固定のプーリ67に巻き回されたタイミングベルト67Aがそれらのプーリ64、65、66A〜66Cに巻き回されていることで、モータ61により伸縮回転軸62、63を駆動可能としている。また、第1昇降台41側には、第1昇降台41に横移動可能に支持されている両ローラヘッド45、46のそれぞれに伸縮回転軸62、63の下端軸62B、63Bを支持し、下端軸62Bに伝達された回転力をギア68A、68B、68C、68Dを介して前述した締付ローラ51、52の回転軸51A、52Aに伝達して締付ローラ51、52を強制回転するとともに、下端軸63Bに伝達された回転力をギア69A、69B、69C、69Dを介して前述した締付ローラ53、54の回転軸53A、54Aに伝達して締付ローラ53、54を強制回転させる。これにより、ローラ回転装置44は、ローラヘッド45の締付ローラ51、52と、ローラヘッド46の締付ローラ53、54を強制回転させることを可能とする。
【0016】
仮締装置70は、図3に示す如く、昇降台42の前面にリニア昇降機71を設け、リニア昇降機71の昇降台72にキャップ締装置80を備える。
【0017】
キャップ締装置80は、図7〜図10に示す如く、昇降台72に支持されるハウジング81に軸受82A、82B、シール部材83A、83Bを備えた洩れ防止部83を介して、中空軸状の回転部84を回転自在に支持する。ハウジング81の側傍にはサーボモータ85が支持され、サーボモータ85の出力軸に固定したプーリ86と、回転部84の外周に固定したプーリ87にはタイミングベルト88が巻き回され、回転部84をモータ85により回転可能にする。回転部84の先端の直径上には左右の長孔状スライド孔84A、84Aが設けられ、方向自在吸着部90の両側の支軸90A、90Aをそれらのスライド孔84A、84Aに揺動かつ上下動可能に支持し、吸着部90の方向自在性を具備する。方向自在吸着部はバキュームパッド91を備え、バキュームパッド91にキャップ1を保持し、回転部84の回転力により回転できる。
【0018】
方向自在吸着部90に備えたバキュームパッド91としては、市販のNBRやシリコーンなどの合成ゴムなどの材質で、形状としては平型や蛇腹型のものが用いられる。
【0019】
また、方向自在吸着部90のバキュームパッド91の別形態として、図18(B)の方向自在吸着部90の断面図に示す通気路91Cを有する、図18(A)に示すウレタンや硬質ゴムによる円柱状のバキュームパッド301が挙げられる。このバキュームパッド301によれば、キャップ1との接触部302の面積を広くかつ肉厚を厚くすることが可能であるため、耐久性が向上できる。
【0020】
また、バキュームパッドに代わるキャップ保持手段として粘着物質を用いても良い。一例として、ゴム系樹脂やゴム系混合物を使用できる。例えば、エーテル系ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン−エチレン系樹脂、ブチレン−スチレン系樹脂、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体や上記共重合とナフテン系の混合物などを採用でき、常温粘着性を有する溶液タイプ、エマルジョンタイプ、ホットメルトタイプの粘着材や、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコーン系の粘着材も採用できる。この粘着物質を用いたキャップ保持手段によれば、バキュームが不要であるため、真空配管91B、方向自在吸着部90に設けた通気路91Cやハウジング81に設けた通気路94Bなどが不要となり、装置構造の単純化が可能である。
【0021】
更に、バキュームパッドに代わるキャップ保持手段としてエジェクタ式吸着装置を用いても良い。即ち、図19(A)に示す如く、方向自在吸着部90に備えた物品保持部401をエジェクタ吸引装置(ベルヌーイ式チャック)とするものである。図19(B)に示す如く、物品保持部401に丸孔状の中央ノズル401Aから外向き放射方向(例えば4方向)に延びる空気通路401B、及び空気通路401Bを閉鎖しないように間欠的に配置されたキャップと接触する接触部材401C(例えば4箇所)を設け、真空配管91Bに、ここでは加圧空気を供給し、通気路91Cを介し中央ノズル401A経由で、キャップ1との間の空気通路401Bから外方に噴出させ、キャップ1との間に発生する負圧402によりキャップ1を吸着する。接触部材401Cの素材を適宜選択することでキャップ1への回転トルクの伝達量調整が容易となる。尚、接触部材401Cを物品保持部401の下方キャップ側全域に取り付け、接触部材401C表面を空気通路401Bとして非接触でキャップ1を保持することも可能である。この構成の際には、キャップ1を容器に螺着するときは真空配管91Bへの加圧空気を停止し、接触部材401Cをキャップ1に押付けつつ回転トルクを伝達する。
【0022】
キャップ締装置80は、方向自在吸着部90を、方向自在性を有する状態と、方向固定される状態に切替え可能にするため、ハウジング81と回転部84の中空部に摺動可能に内蔵されて方向自在吸着部90の側に突出可能とされる中空軸状の固定突出部92を有し、回転部84内の待機位置から方向自在吸着部90の側に突出した固定突出部92の先端面により方向自在吸着部90の基端面を押圧し、方向自在吸着部90を揺動不能にして方向固定する。固定突出部92はプランジャ92Aの外周に備えたシール部材92Bをハウジング81の内周に摺動自在に挿入し、ハウジング81の内部に、プランジャ92Aの回転部84に対する反対側端面により加圧室93Aを区画するとともに、プランジャ92Aの回転部84に対する側の端面により背圧室93Bを区画し、加圧室93Aにはハウジング81に設けた通気路94Aを連通し、背圧室93Bにはハウジング81に設けた通気路94Bを連通する。背圧室93Bの内部で、回転部84と固定突出部92のプランジャ92Aとの間には、固定突出部92を待機位置の側に付勢するバネ95が介装される。
【0023】
キャップ締装置80は、回転部84の中空部に摺動可能に内蔵されている、固定突出部92の中空部に摺動可能に内蔵されて方向自在吸着部90の側に突出可能にされる加圧突出部96を有し、回転部84及び固定突出部92の内部の待機位置から方向自在吸着部90の側に突出した加圧突出部96の先端突部96Aにより、方向自在吸着部90の基端面の中心部を加圧し(先端突部96Aの中心軸に沿う加圧方向は方向自在吸着部90の支軸90Aを通る揺動軸に交差する)、方向自在吸着部90の方向自在性を有した状態で、方向自在吸着部90の加圧力(回転部84のスライド孔84Aに沿う下向き加圧力)を加える。ここで、方向自在吸着部90と接する先端突部96Aの最先端は丸みを帯びた形状とすることが、方向自在性を有しつつ加圧力を加えるために好ましい。先端突部96Aの最先端の丸みを形成する半径が大きすぎると微小接触面積が大きくなり、方向自在性が失われる。先端突部96Aの最先端の丸みを形成する半径が小さすぎると方向自在吸着部90を傷つけたり、先端突部96Aの最先端自身が磨耗してしまう。先端突部96Aの最先端の丸みを形成する半径の適切な大きさは、2〜15mm、好ましくは3〜10mmである。加圧突出部96は外周に備えたシール部材96Bを固定突出部92の内周に摺動自在に挿入し、固定突出部92の内部に、加圧突出部96の基端側端面により加圧室97を区画し、加圧室97には固定突出部92に設けた通気路97Aを介して前述の固定突出部92の加圧室93Aが連通する。
【0024】
従って、キャッピング装置10は以下の如くにキャッピング動作する。
(A)仮締め行程(図7〜図14)
(1)仮締装置70が有するキャップ締装置80の方向自在吸着部90によりキャップ1を受取る。
【0025】
ランダムな姿勢で供給されてきたキャップ1に対しては、図7に示す如く、固定突出部92の加圧室93A、背圧室93Bに対する加圧空気P1、P2を切り、固定突出部92にバネ95の付勢力を及ぼし、固定突出部92と加圧突出部96を待機位置に格納し、結果として方向自在吸着部90を方向自在にする(図11(A)、図12(A))。方向自在吸着部90は自重のみでキャップ1の天面に接して倣い、ハウジング81、洩れ防止部83、及び回転部84に設けた通気路91A、真空配管91B、方向自在吸着部90に設けた通気路91Cを介して真空接続されたバキュームパッド91により、キャップ1の天面を吸着して保持する。尚、通気路91Aは、回転によっても真空接続が途切れないように、洩れ防止部83、回転部84に周状の溝部としても形成されている。
【0026】
定姿勢で供給されているキャップ1に対しては、図8に示す如く、固定突出部92の加圧室93Aに加圧空気P1を供給するとともに、固定突出部92の背圧室93Bに対する加圧空気P2を切り、加圧空気P1によりバネ95を圧縮するとともに、固定突出部92と加圧突出部96を方向自在吸着部90の側に突出し、固定突出部92の先端面により方向自在吸着部90の基端面を押圧し、方向自在吸着部90を揺動不能として方向固定する。(図11(B)、図12(B))。方向自在吸着部90は方向固定されてキャップ1の天面に安定的に接し、ハウジング81及び回転部84に設けた通気路91A、真空配管91B、方向自在吸着部90に設けた通気路91Cを介して真空接続されたバキュームパッド91により、キャップ1の天面を吸着して保持する。
【0027】
(2)方向自在吸着部90のバキュームパッド91に保持した上述(1)のキャップ1を容器2の口部へ供給するときには、方向自在吸着部90を上述した図8の如くに固定突出部92により方向固定し、この方向自在吸着部90のバキュームパッド91に吸着しているキャップ1を容器2の口部に対し安定的に位置付ける。図16(A)の如く、特にキャップ1がディップチューブ付きポンプキャップである場合、ポンプキャップ1のディップチューブも、固定突出部92により一定方向に固定され、キャップ1の口部にディップチューブは安定的に挿入される。
【0028】
(3)容器2の口部へのキャップ1の締込み時には、キャップ1を吸着し、これを容器2の口部に位置付けている方向自在吸着部90を上述した図7の如くに方向自在にし、かつモータ85により回転部84を介して方向自在吸着部90を正回転させつつ、昇降台33、72を下降させ、方向自在吸着部90のバキュームパッド91が保持しているキャップ1を容器2の口部に押付けて接触回転する。回転開始のタイミングは接触前からでも接触してからでも良い。樹脂キャップと樹脂ボトルにて実施時の一例として、回転時の最高回転数は、80〜600RPMが好ましく、特に好ましくは、200〜400RPMである。
【0029】
このとき、キャップ1はめねじ1Aを、容器2はおねじ2Aを備えており(図13)、それらのめねじ1Aとおねじ2Aが図14(A)に示す如き概ね180度の範囲の螺着容易領域Aにある状態から上述の如く接触回転するときには、そのままスムーズにキャッピングが開始される。他方、キャップ1のめねじ1Aと容器2Aのおねじ2Aが図14(B)に示す如き概ね180度の範囲の螺着困難領域にある状態から上述の如く接触回転するときには、キャッピングが開始されずキャップ1は容器2に対する姿勢を矯正される方向に揺動しつつ容器2に対して約180度(又は、最初の約180度回転位置で噛合いミスを生じたら更に1回転して約540度)空転し、螺着容易な相対位置に到達してからキャッピングが開始される。これにより、キャップ1は螺着容易なネジ噛合い位置からのみ仮締めされるものとなり、キャッピング不良を生じない。
【0030】
容器2の口部へのキャップ1の上述した締込み時に、図9、図10に示す如く、固定突出部92の加圧室93A、背圧室93Bに加圧空気P1、P2を供給し、加圧空気P2とバネ95の付勢力により固定突出部92を待機位置に格納し、加圧空気P1により加圧突出部96だけを方向自在吸着部90の側に突出し、加圧突出部96の先端突部96Aにより方向自在吸着部90の基端面の中心部を加圧することにより、方向自在吸着部90のバキュームパッド91が保持しているキャップ1を容器2に対して安定的に揺動自在にし(図12(C))、キャップ1を容器2の口部に安定的に噛合い開始して仮締めできる。樹脂キャップと樹脂ボトルにて実施時の一例として、この加圧力の大きさとしては、2.0N(0.2kgf)〜9.8N(1.0kgf)が好ましく、特に好ましくは3.9N(0.4kgf)〜5.9N(0.6kgf)となるように調整すると良好な仮締めとなる。
【0031】
その後、方向自在吸着部90によるキャップ1の吸着を解除する。キャップ1は続いて、本締装置35により本締めされる。
【0032】
(B)本締め行程
(1)キャップ挟持チャック50の締め付けローラ51〜54によりキャップ1の外周面を挟持する。尚、本締装置70の締め付けローラ51〜54がキャップ1の外周面を挟持完了後に、前述した仮締装置70の吸着部90によるキャップ1の天面保持を解除するものとする。
【0033】
(2)ローラ回転装置44によりキャップ挟持チャック50を一定の大トルクで回転させつつ、昇降台33を下降し、チャック50が挟持しているキャップ1を容器2に本締めする。
【0034】
キャップ1の容器2に対するキャッピングは、概ね(i)空回り(ii)(噛合って)単純回転(iii)容器とキャップの接触(iv)キャップヘッドの回転トルク供給(この部分を仮締め・予備締めということもある)(v)(本締め)設計トルク(又は回転で決まった位置)を与える(vi)安定時間/良否確認時間(本締めトルクを与えた後はキャップヘッドに与え続ける回転をクラッチのスリップ等で逃げて過剰トルクは与えない)という手順で行なう。本発明は、キャップ設計毎に適正な設計トルクを二段階保証するものであり、その仮締めでは(iv)〜(v)の範囲内のキャッピングトルクを与える。(iv)の回転トルクが強い場合には、極僅かな噛合いを提供することになり、回転トルクが弱い場合には、本締め完了にかなり近いところまで噛合いを提供することとなる。ただ、このような傾向についても、吸着部90のバキュームパッド91等の吸引力や粘着力の程度(弱又は微)及びキャップとの接触面積等の簡単な条件変更で調整可能である。各キャッッピング時の(本締め)供給設計トルクをN1,N2,N3・・・とすると、本発明で供給される仮締めトルクは、(0.1〜0.99)×(N1,N2,N3・・・)の如くになり、更に好ましくは(0.1〜0.6)×(N1,N2,N3・・・)の如くとなる。
【0035】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)キャップ1の受取り時、ランダムな姿勢で供給されてきたキャップ1に対しては、方向自在吸着部90を方向自在にし、この方向自在吸着部90をキャップ1の天面に倣わせて該キャップ1を安定的に吸着して捕捉する。
【0036】
定姿勢で供給されているキャップ1に対しては、方向自在吸着部90を方向固定し、この方向自在吸着部90をキャップ1の天面に当て該キャップ1を安定的に吸着して捕捉する。
【0037】
(b)容器2の口部へのキャップ1の供給時には、キャップ1を吸着している方向自在吸着部90を方向固定し、この方向自在吸着部90に吸着しているキャップ1を容器2の口部に対し安定的に位置付ける。特に、キャップ1がディップチューブ付きポンプキャップである場合、方向自在吸着部90はポンプキャップ1のディップチューブの方向も一定方向に固定し、容器2の口部にディップチューブは安定的に挿入できる。
【0038】
(c)容器2の口部へのキャップ1の締込み時には、キャップ1を吸着し、これを容器2の口部に位置付けている方向自在吸着部90を方向自在にし、キャップ1を回転する。方向自在吸着部90に保持されたキャップ1が螺着容易な概ね180度の回転角度範囲から回転を開始したときには、そのままスムースに噛合いを開始して仮締めされる。他方、キャップ1が螺着困難な概ね180度の回転角度範囲から回転開始したときには、キャップ1は容器2に対する姿勢を矯正される方向に揺動しつつ容器2に対してスリップし、その後の螺着容易な回転角度位置にて噛合いを開始して仮締めされる。キャップ1は姿勢矯正のために逆回転されることなく、正回転下で容器2に対して揺動しつつ自動調芯的にネジ合せされるから、短時間に噛合いを開始でき、生産効率が良い。
【0039】
(d)上述(c)の容器2の口部へのキャップ1の締込み時に、方向自在吸着部90の方向自在性を有した状態で、方向自在吸着部90に加圧力を加えることにより、方向自在吸着部90はキャップ1を容器2に対して安定的に揺動可能にし、安定的に噛合い開始して仮締めできる。但し、方向自在吸着部90はその自重に基づく加圧力だけをキャップ1と容器2に付与しながら噛合い開始して仮締めするものでも良い。
【0040】
(e)方向自在吸着部90のキャップ保持手段がバキュームパッド91(吸引手段)からなるものとすることにより、キャップ1を簡易に吸着できる。
【0041】
(f)方向自在吸着部90を回転部84の先端に揺動自在に支持し、回転部84に内蔵されて方向自在吸着部90の側に突出可能とされる固定突出部92を有し、回転部84から突出した固定突出部92により方向自在吸着部90の端面を押圧し、該方向自在吸着部90を方向固定することにより、方向自在吸着部90を確実に方向固定できる。
【0042】
(g)回転部84に内蔵されて方向自在吸着部90の側に突出可能とされる加圧突出部96を有し、回転部84から突出した加圧突出部96により方向自在吸着部90の端面の中心部を加圧し、該方向自在吸着部90の方向自在性を有した状態で、方向自在吸着部90に加圧力を加えることにより、キャップ1を容器2に対して安定的に揺動できる。
【0043】
(h)仮締装置70と本締装置35とを単一のキャッピング位置にてキャップを回転させることが可能なように同軸配置することにより、キャッピング装置10のコンパクトを図ることができる。
【0044】
キャップ締装置80において、方向自在吸着部90のキャップ保持手段は、バキュームパッド91に限らず、厚肉粘着製シート等の粘着物質からなるものでも良い。
【0045】
キャップ締装置80において、方向自在吸着部90のキャップ保持手段は、エジェクタ式吸着装置(ベルヌーイ式チャック)からなるものでも良い。
【0046】
キャップ締装置80において、方向自在吸着部90は一方向に揺動自在となるものに限らず、ジンバル機構やボールジョイント機構を用いて全方向へ揺動自在とすることもできる。
【0047】
図15は、キャップ締装置80の変形例としてのキャップ締装置100である。キャップ締装置100は、前述の方向自在吸着部90の本体部の先端に蛇腹状バキュームパッド91を設け、バキュームパッド91の周囲に回転力付与部101を設ける。回転力付与部101は方向自在吸着部90の本体部に一体化されたカップ状体からなり、カップ開口端面(全周連続平面又は周方向断続的に切欠凹部を備える断続平面)をキャップ1との接触部101Aとする。キャップ締装置100は、キャップ1の未保持段階ではバキュームパッド91を回転力付与部101の接触部101Aから突出し、バキュームパッド91に吸着したキャップ1は接触部101Aに接触させて回転部84の回転力を付与する。ここで、回転力付与部101の材質をウレタンなどの滑り難い材とし、キャップ1との摩擦力を向上させて回転トルクの伝達を高めたり、接触部101Aに合成ゴム板などの滑り難い材を貼り付けることで回転トルクの伝達を高めることが可能となる。ここで回転トルクの大部分は、バキュームパッド91よりも接触部101Aを介して伝達されるため、バキュームパッド91の寿命を著しく伸ばすことが可能となる。
【0048】
(実施例2)(図16、図17)
実施例2のキャッピング装置200は、図16、図17に示す如く、容器供給コンベア201に沿って相互に隣り合うキャッピング位置(仮締め位置と本締め位置)のそれぞれに、仮締装置210と本締装置220を並べて配置したものである。
【0049】
仮締装置210は、架台211に昇降可能に設けた昇降台212の前面にリニア昇降機213を設け、リニア昇降機213の昇降台214に実施例1のキャップ締装置80を備える。
【0050】
本締装置220は、架台221に昇降可能に設けた昇降台222に回転モータ223を設け、モータ223の回転軸224の下端部にキャップ挟持チャック225を設けた。キャップ挟持チャック225はカップ内に不図示のチャック爪を備え、空気圧の供給により開閉させるチャック爪によりキャップ1を挟持する。本締装置220は、容器2に仮締めされているキャップ1をチャック225により挟持し、モータ223によりチャック225を回転し、キャップ1を容器2に本締め可能にする。
【0051】
尚、チューブ付きキャップ1を容器2の口部に接触させる際には、チューブ位置決めチャック280にてチューブ下部先端が容器2に挿入されるよう位置合わせを行なってから、仮締め装置210が下降する。
【0052】
本実施例によれば、実施例1の(a)〜(g)と同様な作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0053】
仮締装置210と本締装置220を相互に隣り合ったキャッピング位置に並べて配置することにより、キャップ1の品種に応ずる仮締装置210と本締装置220の取り替えの容易を図ることができる。本締装置220が異形状のキャップ1のために専用のキャップヘッド(キャップ挟持チャック225)を用いるとき、交換作業対象となる本締装置220は仮締装置210から離隔して配置されていることが好ましい。本締装置220は、キャップ1を増し締めするだけであり、動作時間は著しく短くて良いから、キャップヘッド数を仮締装置210に比して少なくできる。
【0054】
(実施例3)(図20)
実施例2のキャッピング装置500は、図20(A)に示す如く、キャップ供給コンベア503、容器供給コンベア201、及びキャップ締装置80を取付部503によってロボットアーム先端部502に備えた多軸ロボット501からなる。また、容器2は容器供給コンベア201に設置された袴504に挿入されている。
【0055】
キャップ1は、キャップ供給コンベア503によって間欠的又は連続的に多軸ロボットの動作範囲内へと供給される。多軸ロボット501は、キャップ供給コンベア503のキャップ受取位置付近に設置されたセンサ(不図示)や画像処理装置(不図示)の情報に基づき、キャップ1をキャップ締装置80の方向自在吸着部90にて受取る。この際、方向自在吸着部90は図7に示すような方向自在の状態とすることが、キャップ1の天面に接して倣えることから望ましい。
【0056】
次いで、図20(B)に示す如く、多軸ロボット501は容器供給コンベア201の容器停止位置付近に設置されたセンサ(不図示)や画像処理装置(不図示)の情報に基づき、容器供給コンベア201の容器2へとキャップ1を移送する。容器2は容器供給コンベア201にて間欠的に供給される。方向自在吸着部90のバキュームパッド91に保持したキャップ1を容器2の口部へ供給するときには、方向自在吸着部90を図8の如くに固定突出部92により方向固定し、この方向自在吸着部90のバキュームパッド91に吸着しているキャップ1を容器2の口部に対し安定的に位置付ける。特にキャップがディップチューブ付きポンプキャップ1である場合、ポンプキャップ1のディップチューブも、固定突出部92により一定方向に固定され、キャップ1の口部にディップチューブは安定的に挿入される。
【0057】
容器2の口部へのキャップ1の締込み時には、キャップ1を吸着し、これを容器2の口部に位置付けている方向自在吸着部90を図7の如くに方向自在にし、方向自在吸着部90を正回転させつつ、多軸ロボット501の動作にてキャップ締装置80を下降させ、方向自在吸着部90のバキュームパッド91が保持しているキャップ1を容器2の口部に押付けて接触回転する。実施例1と同様に、キャップ1は螺着容易なネジ噛合い位置からのみ仮締めされるものとなり、キャッピング不良を生じない。その後、方向自在吸着部90によるキャップ1の吸着を解除する。
【0058】
容器2を次工程に搬送する時間を短縮して、生産性を向上させるには、キャッピング操作を容器2の搬送に追従して行なえば良い。特に、本実施例では多軸ロボット501を用いているため、容器2の搬送に追従してキャッピングを行なうことは容易である。
【0059】
キャップ1は続いて本締めされる。例えば、図16(B)、図17に示すような容器供給コンベア201にて仮締めされた位置から本締装置220へと送られ、本締め装置200にて本締めされる。
【0060】
また、取付部503を多ヘッドチャック(不図示)として、キャップ締装置80と本締めのためのキャップ回転装置を装備し、これらを切替え使用して、仮締めと本締めを同じロボットアーム先端部502にて行なうことも可能である。
【0061】
ロボットアームによるキャップ1の受取りでは、キャップ1の中心と方向自在吸着部90の中心位置合わせ精度が、専用のキャッピング装置と比較して低下することがある。これは、センサや画像処理装置に基づきロボットの動作が制御されたり、また、ロボットの駆動軸数が多い場合、ロボットのアームが長かったりその剛性が低い場合、ロボットを高速で動作させる際など、様々な外乱因子を多数有していることで位置ズレが発生するためである。同様の理由で、容器2の口部へのキャップ1の締込み時にも、キャップ1の中心と容器2の口部中心位置合わせ精度も専用のキャッピング装置と比較して低下することがある。
【0062】
しかしながら、本発明においてはこれら上述の位置合わせ精度の低下が生じても、良好にキャッピングが可能である。つまり、キャップ1はめねじ1Aを、容器2はおねじ2Aを備えており(図13)、それらのめねじ1Aとおねじ2Aが図14(A)に示す如き概ね180度の範囲の螺着容易領域Aにある状態から上述の如く接触回転するときには、上述の位置合わせ精度の低下が生じていてもキャップ1は容器2に対する姿勢を矯正される方向に揺動しつつ、そのままスムーズにキャッピングが開始されるためである。他方、キャップ1のめねじ1Aと容器2Aのおねじ2Aが図14(B)に示す如き概ね180度の範囲の螺着困難領域にある状態から上述の如く接触回転するとき、上述の位置合わせ精度の低下が生じていても、キャッピングが開始されずキャップ1は容器2に対する姿勢を矯正される方向に揺動しつつ容器2に対して約180度(又は、最初の約180度回転位置で噛合いミスを生じたら更に1回転して約540度)空転し、螺着容易な相対位置に到達してからキャッピングが開始されるためである。これにより、キャップ1は螺着容易なネジ噛合い位置からのみ仮締めされるものとなり、キャッピング不良を生じない。尚、上述の位置合わせ精度低下がキャッピングに与える影響を低減する効果はこの実施例3だけではなく、本文記載のキャップ締め装置全てで発揮される。
【0063】
以上の実施例にあっては、間欠的に容器を直線搬送する方式について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の例として、本発明は、キャッピング操作が容器の搬送に追従して行なわれる直線搬送方式や、ロータリー方式などについても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は実施例1のキャッピング装置を示す側面図である。
【図2】図2は図1のキャッピング装置の平面図である。
【図3】図3は仮締装置と本締装置を示す側面図である。
【図4】図4は図3の正面図である。
【図5】図5は図3の平面図である。
【図6】図6は本締装置を示す平面図である。
【図7】図7はキャップ締装置の方向自在状態を示す断面図である。
【図8】図8はキャップ締装置の方向固定状態を示す断面図である。
【図9】図9はキャップ締装置の仮締め中間状態を示す断面図である。
【図10】図10はキャップ締装置の仮締め完了状態を示す断面図である。
【図11】図11はキャップ締装置の方向自在吸着部を示す模式図である。
【図12】図12は方向自在吸着部の作動状態を示す模式図である。
【図13】図13はキャップと容器を示す模式図である。
【図14】図14はキャップと容器の相対位置を示す模式図である。
【図15】図15はキャップ締装置の変形例を示す模式図である。
【図16】図16は実施例2のキャッピング装置を示す側面図である。
【図17】図17は図16のキャッピング装置を示す平面図である。
【図18】図18はキャップ保持手段の他の例を示す模式図である。
【図19】図19はキャップ保持手段の更に他の例を示す模式図である。
【図20】図20は実施例3のキャッピング装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 キャップ
80 キャップ締装置
84 回転部
90 方向自在吸着部
91 バキュームパッド(吸引手段)
92 固定突出部
96 加圧突出部
100 キャップ締装置
101 回転力付与部(回転力付与手段)
401 物品保持部(吸引手段)
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【代理人】 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治


【公開番号】 特開2008−81192(P2008−81192A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−265797(P2006−265797)