トップ :: B 処理操作 運輸 :: B67 びん,広口びんまたは類似の容器の開封または密封;液体の取扱い

【発明の名称】 ベルト式オープナー
【発明者】 【氏名】奥野 有富

【要約】 【課題】比較的直径の大きいネジ蓋を容易に且つ確実に開けることが出来る簡単なオープナーの開発を課題とした。

【構成】本オープナーの基本構造は取っ手にベルトを取り付けただけの簡単なものであるが、取っ手の先端部にネジ蓋と接触する与張接触点と支え接触点という二つの接触点を形成するようになっているのが特徴である。与張接触点は梃子の支点としてネジ蓋に巻き付けたベルトを強く引っ張りネジ蓋と取っ手を緊結して一体化するためのものである。支え接触点は取っ手が傾くのを防止する支えの役割を果たすと共に、梃子の原理による変換力を摩擦力によってネジ蓋に伝える役割を果たしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手と少なくとも一端を取っ手に取り付けたベルトとを備えベルトをネジ蓋に巻きつけて取っ手を回すことによってネジ蓋のネジを開けるベルト式オープナーであって、取っ手或いはこれと剛体的につながる部材の先端部近辺に、梃子の支点となってベルトに張力を与えるための、取っ手につながった接触部材とネジ蓋とが接触する与張接触点と、取っ手が傾かないように支え、且つ間にベルトを挟んでベルトをネジ蓋に押し付けてベルトが緩まないようにするための、取っ手につながった接触部材とネジ蓋とが接触する支え接触点の二つの接触点を構成することが出来る構造を持ち、これら二つの接触点において対象とする大きさのネジ蓋とそれぞれの接触点に対応する接触部材とを同時に接触させたとき、これら二つの接触点の間の部分がネジ蓋に当たることがないようにこれら二つの接触点の間の部分に窪みを持たせ、与張接触点と支え接触点において、それぞれの接触点に対応する接触部材を同時にネジ蓋に接触させたときはベルトと取っ手との接続部がネジ蓋から離れており、このときの支え接触点の接触位置からネジ蓋の周囲を経てベルト接続点に至る経路長に対して、与張接触点において接触部材をネジ蓋に接触させた状態で支え接触点においては接触部材を浮かせたときに、支え接触点の接触位置からネジ蓋の周囲を経てベルト接続点に至る経路長が短くなるようにベルトを取り付けたベルト式オープナー
【請求項2】
ネジ蓋に巻き付けた後の余ったベルトを処理するための通帯孔を備えた請求項1記載のベルト式オープナー
【請求項3】
ネジ蓋に巻き付けた後の余ったベルトを処理するためのベルト巻き込み装置を備えた請求項1記載のベルト式オープナー
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はビンなどに緊締されたネジ蓋を開けるためのオープナーの一種であるベルト式オープナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジュースやお茶の入ったペットボトル等比較的小さなネジ蓋を開ける場合にはそれほど苦労することもないが、ジャムのビンのネジ蓋のように直径の大きなネジ蓋を開けるにはかなりの力が必要になり力が弱い高齢者や子供では開けることが出来ない場合が多々発生する。このために用いる器具に関する特許もいくつか出願されているが、構造が複雑で使いづらいものや遊びが大きく力をかけ難いもの等実用化する上で問題がある。
【特許文献1】特開昭53‐87878 容器のねじ蓋をあけるための装置
【特許文献2】特開2000‐281185 オープナー
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は比較的直径の大きいネジ蓋を容易に且つ確実に開けることが出来る簡単なオープナーを開発することをその課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者はネジ蓋を開ける場合に必要な力について詳細に研究し、与張接触点において梃子の原理を利用して、取っ手を軽く回すだけでベルトに大きな張力を発生させてネジ蓋と取っ手を緊結して一体化させ、続いて支え接触点においても同様に梃子の原理を利用してネジ蓋を開けるために必要な大きな力を発生させてネジ蓋を簡単に開けることが出来る装置を開発した。尚、ネジ蓋とベルト式オープナーとの接触は、厳密に言えば線接触、より厳密に言えば面接触となり、接触線或いは接触面とするべきかもしれないが、本発明においては梃子の支点に対応する用語であるという観点から接触点と記すこととした。また接触という語句に対しても、ネジ蓋と突起或いは接触面とが直接接触する場合とベルトを介して接触する場合があるが、本発明に関しては特に断る必要がある場合を除き、間にベルトを介していても単に接触と記すこととした。
【0005】
本発明は基本的には取っ手とこれに取り付けられたベルトからなっており公知のオープナーと類似した構成である。
本発明になるベルト式オープナーの特徴は、梃子の原理によってベルトにベルトとネジ蓋とを緊結するための張力を与える支点となる与張接触点と、取っ手が過度に傾くのを防ぎネジ蓋を開けるために取っ手に加えたモーメントを梃子の原理でネジ蓋を開ける大きな力に変換するための支え接触点という、ネジ蓋とベルト式オープナーとが接触する2種類の接触点を取っ手の先端に存在させたことである。これらの接触点のうち少なくとも支え接触点は上記の役割の他にネジ蓋に巻きつけられたベルトを間に挟んでネジ蓋に押し付けてベルトが緩まないようにするという役割も担っている。
【0006】
上記の接触点は取っ手につながっている接触部材とネジ蓋とを接触させることによって形成する。接触部材とは、実施例1ないし実施例3に示すベルト式オープナーでは与張突起と支え突起という二種類の突起を備えているが、これらが接触部材である。これらの突起とネジ蓋とが接触する点がそれぞれ与張接触点、支え接触点である。また、実施例4に示すベルト式オープナーでは上部にV字型の窪みを設けその内面にネジ蓋と接触することが出来る平面ないし曲面を作っており、これらの面が接触部材である。これらの面とネジ蓋とが接触する点がそれぞれ与張接触点、支え接触点である。当然のことながら、これらの接触部材と取っ手とのつながりは少々の力では変形することがない剛体的なものでなければならない。これらの具体的な内容の詳細については実施例のところで説明する。
何れの方法によるものであっても、与張接触点を梃子の支点としてネジ蓋に巻き付けたベルトを強く引っ張ることによってネジ蓋と取っ手を緊結して一体化させ、このベルトの張力と支え接触点で与えられる梃子による変換力でもって軽い力でネジ蓋を開けるものである。
【0007】
次にネジ蓋がうまく開かないときの様子とその原因を図10によって説明する。
ベルト式オープナーに対して大きすぎるネジ蓋501を開けようとするとき、取っ手11が図10のように傾き与張突起13が浮き上がってしまうことがある。こうなると取っ手11に加えた力はネジ蓋501を開ける力としては働かず、支え接触点104を梃子の支点として梃子の力でネジ蓋501に巻き付けたベルト12を引き伸ばす力として働くこととなる。これでは梃子による力の増大効果が、ネジ蓋501を開ける力としては役立たずベルト12を引きちぎろうとするのを助けるだけになる。梃子による力の増大効果が有効に働かないため、ネジ蓋501に巻き付けたベルト12を単に引っ張ってネジ蓋501を開けようとするのと同じことになり、ネジ蓋501を直接手で開けるのと変わらないかそれより悪くなる。
【0008】
このようなことが起こるのはネジ蓋501が大きすぎることが原因であるが、ネジ蓋501が大きすぎるとなぜ取っ手11が傾くのか簡単に説明する。
取っ手11の傾きはこの取っ手11の右側(通常の右ネジの場合、逆ネジでは左側になる)にある支え突起14によって形成される支え接触点104の存在と、この支え接触点104とベルト接続点(図10の場合はピン18のところ)との間隔とに大きく影響される。この間隔がネジ蓋の直径に比べて小さい場合には、支え接触点を中心として取っ手が右に傾いたときと、与張突起、支え突起が共に正しく接触している場合とでベルトの経路長が殆んど変わらないため、取っ手の傾きをベルトで防ぐことが難しくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって従来開けることが困難であった直径の大きなネジ蓋を簡単且つ確実に開けることが出来るようになった。これは力の弱い高齢者や子供にとって大きな福音である。直径の大きなネジ蓋が簡単に開けられるようになると広口ビンを使用したジャム類等、これまで開けるのが難しく購入を躊躇していた人達も購入するようになり広口ビンを使用したジャム類等の需要が拡大するものと期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明になるベルト式オープナーには、取っ手の先端の形状を突起のあるものにするかV字型の窪みを持ったものにするかの二通りがある。
ネジ蓋に巻きつけたベルトを押さえて滑らなくする方法に与張接触点と支え接触点の二個所で押さえて止めるのか、支え接触点一個所だけで押さえて止めるのかの二つのタイプが存在する。
またネジ蓋に巻きつけた後の余ったベルトの処理方式についても、何もしないで成り行きに任す方式、取っ手に設けられた通帯孔に通す方式、取っ手の内部に埋め込まれた巻き取り装置によって取っ手内に巻き込む方式の三種類がある。さらに通帯孔に通す方式の場合には、その出口を与張接触点側とするもの、取っ手の中央を貫通させるもの、支え接触点側とするものの三通りがある。これらの組み合わせによって様々なタイプが存在する。
【0011】
通帯孔又はベルト巻き込み装置を設ける位置は、巻き付けたベルトを支え接触点で押さえ更に与張接触点で押さえた後に持って来るのが基本であるが、このようにすると与張接触点でベルトを押さえるときベルト押さえの操作が少しやり難くなる。摩擦係数が大きいベルトを円筒状物体に巻き付けて引っ張るときには、プーリに巻き付けたベルトの例でもわかるようにベルトの張力によってベルトが円筒状物体に押し付けられるため、初めに軽く押さえるだけで非常に大きな摩擦力が発生し滑ることは少ない。本オープナーの場合も、ベルトの摩擦係数がある程度大きい場合には前述のように支え接触点単独で押さえるだけでも十分であり、通帯孔やベルト巻き込み装置を支え接触点と与張接触点との間に設けることも可能である。このようにした場合には支え接触点は取っ手の傾き防止とベルトを押さえる役割を担うことになる。
何れのタイプであっても与張接触点と支え接触点によって梃子の原理を用いてネジ蓋を開けるものであり基本的な作動原理は同じである。この作動原理については実施例のところで具体的に説明する。
【0012】
取っ手の形状は与張接触点及び支え接触点で確実にネジ蓋と接触するように突起型、V字型のいずれの場合でも、これら二つの接触点を対象とする大きさのネジ蓋に同時に直接或いはベルトを介して接触させたとき、これら二つの接触点の間の部分がネジ蓋に当たることがないように窪みを持たせた形になっている。
ベルトを取っ手に取り付ける位置は、与張接触点と支え接触点においてそれぞれの接触点に対応する接触部材を同時にネジ蓋に接触させたとき、ベルトと取っ手との接続部がネジ蓋から離れており、このときの支え接触点の接触位置からネジ蓋の周囲を経てベルト接続点に至る経路長に対して、与張接触点をネジ蓋に接触させた状態で支え接触点を浮かせたときの、支え接触点の接触位置からネジ蓋の周囲を経てベルト接続点に至る経路長が短くなるようになっていなければならない。
こうすることによって、与張接触点をネジ蓋に接触させた状態で支え接触点が少し浮き上がるようにベルトを巻き付ける、ネジ蓋を開けるために取っ手に力を加えると、この浮き上がった支え接触点がネジ蓋に接触するまでベルトが引っ張られ張力が加わり取っ手がネジ蓋に緊結されるわけである。
【0013】
後に述べる実施例1のタイプでは、ベルト取り付け位置が悪いと、支え接触点を浮かせようとしてもベルト取り付け部がネジ蓋に当り支え接触点を浮かせることが出来なくなることがある。これを避けるためにはベルト取り付け位置を与張接触点と支え接触点を結ぶ直線より手前(握る部分に近い方)に来るようにすればよい。実施例2、実施例3、実施例4のタイプのものでは、図3、図4、図5に示すように支え突起又は支え面の外側に設ければよい。
【0014】
取っ手の握り部分は握りやすい3〜5センチメートル程度にしておけばよい。場合によっては円形断面としても良い。
取っ手の長さは対象とするネジ蓋の大きさにより変わってくるが、直径10センチメートル程度のネジ蓋を開けるベルト式オープナーとして使用する場合には15〜25センチメートル程度が適当である。この長さが長いほど梃子の作用による力の増大効果は大きいが、使い勝手のよさ、デザイン的な観点、収納場所の観点等から対象とするネジ蓋の大きさに応じた適当な長さにすればよい。
【0015】
ベルトには強靭で、且、ネジ蓋にまつわりつくことが出来るしなやかさがあり、ネジ蓋との摩擦係数が大きいものが適している。天然皮革・合成皮革等の皮革類、木綿や麻等の天然素材を使用した布類や編み紐類、レーヨンやポリノジック等の化学繊維を使用した布類や編み紐類、天然ゴム・合成ゴム等のゴム類、塩化ビニール・ナイロン・ポリエチレン・ポリエステル・ポリプロピレン・アラミド等の合成繊維を使用した布類や編み紐類等が使用出来る。ベルトをプラスチック製とする場合には取っ手とベルトを一体化してモールド加工することも出来るが、モールド加工によるベルトはしなやかさや摩擦係数に問題があるものが多く、場合によっては表面加工、表面処理等が必要である。
【0016】
ベルトの長さはネジ蓋の直径が一定しているわけではないので、ある程度余裕があることが望ましい。ベルトはネジ蓋に巻きつけて摩擦力によって固定するため摩擦係数は大きい方が良く、摩擦力が弱いときには表面に微細な凹凸を設ける等の滑り止め処理を行い摩擦力が大きくなるようにして使用すればよい。但し通帯孔に引っ掛かることがないようにする必要がある。
【0017】
ベルト巻き込み装置としては大型の巻尺のように中心に小さなハンドルを付けて手動で巻き込む方法でも良いが、小型の巻尺に使われているワンタッチでゼンマイの力で引っ込む方式のものを応用したものが簡単で使いやすい。
【0018】
モールド加工により一体化して製造されたものは別として、一般的にベルトは金属やプラスチックで出来たベルト取り付け具によって取っ手に取り付けられるわけであるが、太い針金で口の字を長く伸ばした形のベルト取り付け具を作製し、これの一辺にベルトを取り付け、対辺を取っ手に取り付けることによって、口字型の開口部を通帯孔として使用することも出来る。
【0019】
取っ手の材質としては特別なものは必要なく、金属、木材、プラスチック等ある程度の強度があるものであれば何でも使用出来る。長穴をあけて通帯孔とする方法に代わる方法として、取っ手の上部の表と裏に金属プレートを設けこの間にピンを渡しこのピンにベルトの一端を止めるようにする方法がある。この場合にはピンと取っ手との間の空隙が通帯孔としての働きをすることになる。後述する実施例1はこのような構造を持ったベルト式オープナーである。
【0020】
取っ手をプラスチックモールド法で作る場合、通帯孔は木を削る場合に比べると比較的簡単に形成出来る。但し通帯孔があるとその分強度が低下するのでそれを補うためにその近辺の部材の肉厚を厚くする等の対策を講ずることが望まれる。
【0021】
更に簡単な方法として金属棒の先端にU字型金具を角(つの)状に取り付け、その片側の角の先端近くにベルトを取り付け、それぞれの突起に滑り止めとしてゴム材を取り付けたものでも目的を達成することが出来る。後述する実施例3はこのような構造を持ったベルト式オープナーである。
【0022】
通帯孔の内面は平滑に仕上げてベルトを通したときベルトが引っかからないようにすることが大切である。この部分でベルトが引っかかるとベルトをネジ蓋に巻き付けるときにたるみが発生してベルトに力が掛からずネジ蓋を開けることが出来なくなる。ただ内面が平滑に仕上げられておればそれ程問題になるものではない。
さらにこのベルト式オープナーの底にはアルミ缶やスチール缶などのプルタブを引き起こすためのタブオープナーを取り付けることも可能である。
【0023】
以下、実施例に基づいて、このベルト式オープナーの構造及び使用方法について具体的に説明する。但し、ネジ蓋のネジは特に断らない限り右ネジであるものとして説明する。実施例1から実施例3までの3例は、それぞれの実施例の説明中では特に断ることはしていないが何れも与張接触点、支え接触点を突起によって形成するタイプであり、実施例4は与張接触点、支え接触点をV字型の接触面によって形成するタイプのものである。
【実施例1】
【0024】
実施例1はネジ蓋101に巻き付けたベルト12を、支え接触点104と与張接触点103の二箇所で押さえた後通帯孔に通すタイプのベルト式オープナーである。図1はこのベルト式オープナーの斜視図、図2はこのベルト式オープナーの上面図、図6はこのベルト式オープナーによってネジ蓋101を開ける場合のベルト掛け方法を示した模式図である。以下、その構造の詳細、使用方法及び作動原理について図1、図2及び図6を用いて説明する。
【0025】
初めにその構造について説明する。取っ手11は図1に示すようにスパナに似た形状である。先端の突起のベルト接続部分に近い方が与張突起13、遠い方が支え突起14である。与張突起13と支え突起14との間の部分はネジ蓋101と接触しないように窪みを持たせてある。取っ手11の厚さは約15ミリメートルである。取っ手11の前面と背面には金属プレート19が取り付けられベルト12の一端はこれらの2枚の金属プレート19間に渡されたピン18を巻き込んで接着されリベットで補強した状態で止められている。このベルト式オープナーでは通帯孔15は、取っ手11と、ベルト12を取り付けるピン18との間に出来る空隙部分が担っている。
【0026】
次に使用方法及び作動原理について説明する。
ベルト式オープナーのベルト12が左側に来るように取っ手11を持ち、ベルト12をネジ蓋101に時計の針の回る方向に巻きつけベルト12の端部を通帯孔15に通す。
左側の与張突起13でネジ蓋101に巻き付けられたベルト12の上を軽く押さえながらベルト12の端部を引張り緩みを取り除く。このとき取っ手11がベルト12に引っ張られて少し左に傾き右側の支え突起14が少し浮き上がる程度の引っ張り加減とする。
【0027】
一方の手でビンを押さえ、もう一方の手で通帯孔15に通したベルト12の端部を取っ手11と共に握ってベルト12がずれないようにし、左側の与張突起13をベルト12の上からネジ蓋101に押し付けてベルト12が滑らないようにしながら取っ手11を反時計回りの方向に回すと少し浮き上がっていた右側の支え接触点104がネジ蓋101に当るまで下がって巻き付けられたベルト12を押さえ、同時に左側の与張接触点103が梃子の支点、ベルトの取り付け部分が梃子の作用点となりベルト12には強い張力が発生しこの張力でネジ蓋101を締め付けネジ蓋101と取っ手11は緊結されて一体化される。
【0028】
この状態で更に取っ手11をネジ蓋101に押し付けながら反時計回りの方向に回すとこの力がネジ蓋101を開けるためのモーメントとなりネジ蓋101を開けることが出来る。取っ手11を回すモーメントとネジ蓋101を回すモーメントは等しいため、取っ手が傾かず力が取っ手の向きと直角に掛かっている場合には、取っ手に加えた力とこの力の力点からネジ蓋101の中心点までの距離との積はネジ蓋101を回す力とネジ蓋101の半径との積と等しくなる。当然、ネジ蓋101の中心点から取っ手11の力点までの距離はネジ蓋101の半径より大きいためネジ蓋101を回す力は取っ手11に加えた力より大きくなる。この梃子の原理による変換力が支え接触点104において摩擦力によってネジ蓋101に伝えられ、ベルト12の張力と梃子の原理による変換力でもって、強く緊締しているネジ蓋101を軽い力で簡単に開けることが出来る。
支え接触点104の存在によって取っ手11が傾くのを防止することができるため、取っ手11に加える力を大きくしていってもこの力の力点からネジ蓋101の中心点までの距離は同一に保たれてネジ蓋101を開ける大きな力が得られるが、もし支え接触点104が存在しないと、取っ手11に加える力を大きくしてゆくにつれ取っ手11が傾き、この力の力点からネジ蓋101の中心点までの距離が小さくなってゆくため梃子の原理による変換力が小さくなり、ネジ蓋101を開けることは困難になる。ベルト12の巻きつけが緩いと与張接触点103におけるネジ蓋101と与張突起13との接触が離れて取っ手11が傾き同様の事態が発生する。但し、この接触は電気接点の接触のように厳密なものではなく与張接触点103での僅かな浮き上がりは許容できる。
【0029】
上記のようにネジ蓋を開ける場合通常ビンを片手で押さえてベルト式オープナーを操作するが、ビンが大きいと手が滑ってビンを押さえることが難しくなる。ビンを押さえにくいときにはこのベルト式オープナーをもう一個用意し、ビンにはベルト式オープナーのベルトをネジ蓋とは逆の反時計回りの方向に巻きつけ、ビンの方の取っ手を時計回りにネジ蓋の方の取っ手を反時計回りに回すと容易に開けることが出来る。
【実施例2】
【0030】
次に図3および図7に示す別の実施例について説明する。図3はこのベルト式オープナーの斜視図、図7はこのベルト式オープナーによってネジ蓋201を開ける場合のベルト掛け方法を示した模式図である。
このベルト式オープナーは金属プレートがなくベルト22は止め金28によって取っ手21に直接ネジ止めされている。通帯孔25が与張突起23と支え突起24との間に設けられているため、ネジ蓋201に巻き付けられたベルト22は与張突起23で押さえられただけで通帯孔25に入ることになる。通帯孔25を通ったベルト22は与張突起23側に出るようになっている。ベルト巻き込み装置はなくベルトの端の余った部分を手で握る簡単なものである。通帯孔25を通ったベルト22は左にある与張突起23側に出るようになっているため右利きの人に適している。ベルト22を支え突起24の側に出るようにして左利きの人に適したものとすることも出来る。但し、この場合ベルト22は折り返される形となり引っ張りにくくなるので、通帯孔25の角に丸みを持たせると共に角の部分を滑りやすくしたほうが良い。この点は後述する実施例4も同様である。通帯孔25を取っ手の下に向かって貫通させると、通帯孔25から引き出されたベルトは右にも左にも折り返して握ることが出来るので、右利き、左利きに関係なく使用出来る。
【0031】
次に使用方法について図3および図7によって説明する。実施例1とは通帯孔25の形状及び位置が異なっている点とベルト22をネジ蓋201に押し付けてベルト22が緩まないようにするのが支え突起24だけである点が異なっているが、そのほかは殆んど変わらず作動原理も基本的に同じである。
先ず左側にベルト22が来るようにベルト式オープナーをもち、ベルト22をネジ蓋201に時計の針の回る方向に軽く巻きつける。ベルト22の端部を通帯孔25に通した後引張りベルト22の緩みを取り除く。このとき取っ手21がベルト22に引っ張られて少し左に傾き右端の支え突起24が少し浮き上がる程度にベルト22の引っ張り加減を調節する。あまりベルト22を引っ張りすぎると取っ手21を回しても右側の支え突起24が浮いたままになり、長くしすぎるとベルト22に張力が掛からなくなるので、長さを加減して張力が掛かったときにちょうど支え突起24がネジ蓋201に接触するようにする。
【0032】
与張突起23と支え突起24との間に設けられた通帯孔25に通って出てきたベルト22の余りは取っ手21と共に握って邪魔にならないようにする。
ベルト22がずれないようにし、左側の与張突起23をネジ蓋201に押し付けながら取っ手21を反時計回りの方向に回すと、少し浮き上がっていた右端の支え突起24がベルト22が巻かれたネジ蓋201に当りベルト22を介してネジ蓋201に接触しベルト22をネジ蓋201に押し付ける。支え突起24とネジ蓋201との接触点が支え接触点204となり取っ手21が傾くのを防止する。支え突起24がネジ蓋201に接触するとき左側の与張接触点203が梃子の支点、ベルト取り付け部が梃子の作用点となり、梃子の原理によって強い張力がベルト22に発生し、取っ手21は強い力でネジ蓋201に引き寄せられてネジ蓋201と取っ手21は緊結されて一体化される。
この状態で更に取っ手21をネジ蓋201に押し付けながら反時計回りの方向に回すとこの力がネジ蓋201を開けるためのモーメントとなりネジ蓋201を開けることが出来る。この点は実施例1と同じである。
【0033】
以上はネジ蓋を緩める場合であるが、締め付ける場合にはベルト22が右に来るように持ち、ベルト22の巻き込み方向及び力をかける方向を逆にして同様の操作を行えばよい。但し、一般家庭で道具を使ってネジ蓋を締めなければならないケースは先ずないものと思われる。
【実施例3】
【0034】
図4に示す実施例は通帯孔がなくベルト32を指で押さえながら支え接触点で止め、止めた後の余った分は垂らしておくという簡単なものである。取っ手31は金属棒39に木製の柄36を付けたもので金属棒39の先端にU字型金具37を角(つの)状に取り付けてあり、その片方の角の先端近くにベルト32が止め金38によって止められている。それぞれの角の先端には摩擦力を大きくすると共にネジ蓋を傷つけないようにするためのゴムキャップ30が付けられている。この形式のものは与張突起33、支え突起34が取っ手31の一部ではなく取っ手31につながる部材によって構成されることとなる。
【0035】
使用方法は基本的には他の実施例と殆んど同じであり省略する。ただ、この形式のものは指で押さえやすくするために窪みを深くしてあり、与張突起33と支え突起34との間隔に対して僅かに大きいネジ蓋を開けようとする場合にはネジ蓋が与張突起33と支え突起34との間にはまり込み、与張突起33と支え突起34との間隔を広げようとする過大な力が発生することがある。ネジ蓋がはまり込まないように中央に防御突起35を設けてこれを防止している。この防御突起35の端は雌ネジが切られており金属棒39にU字型金具37を固定するナットの役割も兼ねている。ネジ蓋が防御突起35に当るとベルト式オープナー本来の能力を発揮することはできなくなるが、ベルト式オープナーの破損を防ぐためのやむをえない措置である。
【実施例4】
【0036】
図5に示す実施例はこれまでのものとは異なりネジ蓋401との接触が突起でなく面でなされるタイプのものである。この構造は図5に示すように取っ手41の先端がV字型になっており左側面にベルト42が止め金48によって止められている。V字の谷の部分から図5の点線に示すように通帯孔45が開けられている。
図8はこのベルト式オープナーを使ってネジ蓋401を開ける場合のベルト掛け方法を示した模式図である。
ネジ蓋401はV字型の窪みにはまり込み、窪みの左内側の与張面43と右内側の支え面44に接する形で接触する。左側の接触点が与張接触点403、右側の接触点が支え接触点404となる。与張接触点403、支え接触点404は突起型の場合と同様に機能し、使用上特に意識して区別する必要はない。
このベルト式オープナーの特徴は、直径の大きいネジ蓋に対しても突起型として使用出来ることである。直径の小さいネジ蓋に対してはV字型として、直径の大きいネジ蓋に対しては突起型として機能することになる。図5に示すベルト式オープナーで直径の大きいネジ蓋451を開ける様子を図9にしめす。
【0037】
次にネジ蓋の直径が小さい場合の使用方法について説明する。取っ手41の左側にベルト接続部が来るように持ちベルト42をネジ蓋401に時計の針の回る方向に巻きつける。ベルト42の端部を通帯孔45に通して支え面44がネジ蓋401から少し離れて浮き上がる程度まで引っ張る。続いてベルト42が動かないように手で押さえながら取っ手41を右に回し、浮き上がっていた支え面44をネジ蓋401に接触させてベルト42に張力を与え、ネジ蓋401と取っ手41を緊結させる。更に取っ手41を右に回すとネジ蓋401を開けることが出来る。
これらの過程は、ネジ蓋に突起が接触するのか、ネジ蓋に面が接触するのかという点を除くと実施例2と殆んど同じである。ただ、与張接触点403は一点に固定されたものではなく、ネジ蓋401に巻き付けたベルト42を与張接触点403で押さえた状態で支え面44とネジ蓋401との接触部分を浮かせると与張接触点403は取っ手41の動きに伴って転がるように移動することとなる。しかし、突起型であっても突起が丸みを持っているため、V字型ほどではないが同様のことが起こっており、このことがベルト式オープナーとしての機能に影響を及ぼすものではない。
直径の大きいネジ蓋451の場合に対する使用方法は既に示した突起型と殆んど同じであるので省略する。
【0038】
図5では通帯孔45を与張接触点403側に設けているが、突起型と同様、下に向けて設けることや支え接触点404側に設けることも可能である。支え接触点404側に設ける場合には通帯孔45の角に丸みを持たせ滑りやすくしたほうが良いことは既に述べたとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1に記したベルト式オープナーの斜視図である。
【図2】実施例1に記したベルト式オープナーの上面図である。
【図3】実施例2に記したベルト式オープナーの斜視図である。
【図4】実施例3に記したベルト式オープナーの斜視図である。
【図5】実施例4に記したベルト式オープナーの斜視図である。
【図6】実施例1のベルト式オープナーのベルト掛け方法を示した模式図である。
【図7】実施例2のベルト式オープナーのベルト掛け方法を示した模式図である。
【図8】実施例4のベルト式オープナーのベルト掛け方法を示した模式図である。
【図9】実施例4のベルト式オープナーの直径が大きいネジ蓋に対するベルト掛け方法を示した模式図である。
【図10】ベルト式オープナーに対してネジ蓋が大きすぎるときの状態を示した模式図である。
【符号の説明】
【0040】
11,21,31,41 取っ手 12,22,32,42 ベルト
15,25,45 通帯孔 18 ピン 19 金属プレート
13,23,33 与張突起 14,24,34 支え突起
28,38,48 止め金 30 ゴムキャップ 35 防御突起
36 柄 37 U字型金具 39 金属棒
43 与張面 44 支え面
103,203,403 与張接触点 104,204,404 支え接触点
101,201,401,451,501 ネジ蓋
【出願人】 【識別番号】503301794
【氏名又は名称】奥野 有富
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−56285(P2008−56285A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−235050(P2006−235050)