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【発明の名称】 ジブクレーンの連動運転装置
【発明者】 【氏名】宮澤 勲

【氏名】大森 大助

【氏名】田中 正吉

【要約】 【課題】吊下開始位置と目標位置との間で吊荷を上方から見て直線的に移動させることができ、吊荷の振れの制御を容易化しつつ、目標位置で吊荷が吊下開始位置と同じ方向を向くようにすることができ、荷役作業を大幅に高効率化し得るジブクレーンの連動運転装置を提供する。

【構成】吊荷13の直線移動速度V1と、ジブ旋回角度θとに基づいて、ジブ旋回速度V2と、ジブ起立速度V3又はジブ倒伏速度V3とを演算し、ジブ旋回速度V2でジブ5を旋回させ、ジブ起立速度V3又はジブ倒伏速度V3でジブ5を起立又は倒伏させると共に、ジブ旋回角度θと吊荷旋回角度αとが等しくなるよう吊荷13を旋回させ、これにより、直線移動速度V1で吊荷13を上方から見て吊下開始位置から目標位置まで直線的に移動させると共に、吊荷13の向きを吊下開始位置から目標位置まで一定に保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジブ先端から吊り下げられた吊荷を、ジブを旋回させつつ起立又は倒伏させることにより、吊下開始位置から目標位置まで上方から見て直線的に移動させて荷役作業を行うジブクレーンの連動運転装置であって、
ジブを旋回させるジブ旋回装置と、
ジブを起伏させるジブ起伏装置と、
ジブ先端から吊り下げられた吊荷を旋回させる吊荷旋回装置と、
ジブ旋回角度を検出するジブ旋回角度検出器と、
吊荷旋回角度を検出する吊荷旋回角度検出器と、
荷役作業時に、予め設定された吊荷の直線移動速度と、前記ジブ旋回角度検出器で検出されたジブ旋回角度とに基づいて、吊荷を上方から見て直線的に移動させるのに必要となるジブ旋回速度と、ジブ起立速度又はジブ倒伏速度とを演算し、該演算されたジブ旋回速度でジブが旋回するよう前記ジブ旋回装置にジブ旋回制御信号を出力し、前記演算されたジブ起立速度又はジブ倒伏速度でジブが起立又は倒伏するよう前記ジブ起伏装置にジブ起伏制御信号を出力すると共に、前記ジブ旋回角度検出器で検出されたジブ旋回角度と前記吊荷旋回角度検出器で検出された吊荷旋回角度とが等しくなるよう前記吊荷旋回装置に吊荷旋回制御信号を出力する制御装置と
を備えたことを特徴とするジブクレーンの連動運転装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブクレーンの連動運転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、港湾等で用いられるジブクレーンにおいては、ジブ先端から吊り下げられたコンテナ等の吊荷を、船舶側と岸壁側との間で吊下開始位置から目標位置まで移動させて荷役作業を行うようになっている。
【0003】
しかしながら、船舶からの荷揚げや船舶への荷積みは、主にジブの旋回操作で行われているため、吊荷の軌跡が上方から見て円弧を描く形となり、吊荷に対して円弧の接線方向への力と遠心力とが作用することから、目標位置での吊荷の振れが二次元的に複雑なものとなって、位置決めに手間取り、荷役効率が低下するという欠点を有していた。
【0004】
このため、従来においては、ジブ先端を上方から見て直線運動させ、吊荷の振れを最小限に抑えることにより、荷役効率の向上を図ろうとするものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2003−155192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているジブクレーンの場合、コンテナ等の吊荷の向きについては全く考慮されていないため、これをそのまま港湾等の荷役作業用のジブクレーンとして適用しようとすると、吊荷の向きが吊下開始位置からジブの旋回に伴って変化し、目標位置で吊荷が吊下開始位置とは別の方向を向いてしまい、結果的に荷役効率の向上は期待できないという不具合を有していた。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、吊下開始位置と目標位置との間で吊荷を上方から見て直線的に移動させることができ、吊荷の振れの制御を容易化しつつ、目標位置で吊荷が吊下開始位置と同じ方向を向くようにすることができ、荷役作業を大幅に高効率化し得るジブクレーンの連動運転装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ジブ先端から吊り下げられた吊荷を、ジブを旋回させつつ起立又は倒伏させることにより、吊下開始位置から目標位置まで上方から見て直線的に移動させて荷役作業を行うジブクレーンの連動運転装置であって、
ジブを旋回させるジブ旋回装置と、
ジブを起伏させるジブ起伏装置と、
ジブ先端から吊り下げられた吊荷を旋回させる吊荷旋回装置と、
ジブ旋回角度を検出するジブ旋回角度検出器と、
吊荷旋回角度を検出する吊荷旋回角度検出器と、
荷役作業時に、予め設定された吊荷の直線移動速度と、前記ジブ旋回角度検出器で検出されたジブ旋回角度とに基づいて、吊荷を上方から見て直線的に移動させるのに必要となるジブ旋回速度と、ジブ起立速度又はジブ倒伏速度とを演算し、該演算されたジブ旋回速度でジブが旋回するよう前記ジブ旋回装置にジブ旋回制御信号を出力し、前記演算されたジブ起立速度又はジブ倒伏速度でジブが起立又は倒伏するよう前記ジブ起伏装置にジブ起伏制御信号を出力すると共に、前記ジブ旋回角度検出器で検出されたジブ旋回角度と前記吊荷旋回角度検出器で検出された吊荷旋回角度とが等しくなるよう前記吊荷旋回装置に吊荷旋回制御信号を出力する制御装置と
を備えたことを特徴とするジブクレーンの連動運転装置にかかるものである。
【0008】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0009】
荷役作業時には、制御装置において、予め設定された吊荷の直線移動速度と、前記ジブ旋回角度検出器で検出されたジブ旋回角度とに基づいて、吊荷を上方から見て直線的に移動させるのに必要となるジブ旋回速度と、ジブ起立速度又はジブ倒伏速度とが演算され、該演算されたジブ旋回速度でジブが旋回するよう前記ジブ旋回装置にジブ旋回制御信号が出力され、前記演算されたジブ起立速度又はジブ倒伏速度でジブが起立又は倒伏するよう前記ジブ起伏装置にジブ起伏制御信号が出力されると共に、前記ジブ旋回角度検出器で検出されたジブ旋回角度と前記吊荷旋回角度検出器で検出された吊荷旋回角度とが等しくなるよう前記吊荷旋回装置に吊荷旋回制御信号が出力され、これにより、予め設定された吊荷の直線移動速度で、吊荷が上方から見て吊下開始位置から目標位置まで直線的に移動すると共に、吊荷の向きが吊下開始位置から目標位置まで一定に保持される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のジブクレーンの連動運転装置によれば、吊下開始位置と目標位置との間で吊荷を上方から見て直線的に移動させることができ、吊荷の振れの制御を容易化しつつ、目標位置で吊荷が吊下開始位置と同じ方向を向くようにすることができ、荷役作業を大幅に高効率化し得るという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1〜図5は本発明を実施する形態の一例であって、1はタイヤマウント型ロープバランス式のジブクレーンであり、該ジブクレーン1は、タイヤ2による走行が可能で且つ荷役作業時にはアウトリガ3を張り出して固定配置される下部走行体4上に、ジブ5が起伏自在に設けられた上部旋回体6を旋回自在に搭載してなる構成を有している。
【0013】
前記ジブ5は、ジブ旋回装置7の作動により上部旋回体6と一体に旋回すると共に、ジブ起伏装置8のウインチによる起伏ロープ9の巻上げ下げ作動により起伏するようになっている。
【0014】
又、前記ジブ5の先端からは、巻上装置10のウインチにて巻上げ下げされる吊荷ロープ11により、吊荷旋回装置12を介して吊荷13が吊り下げられるようになっている。
【0015】
前記吊荷旋回装置12は、図2に示す如く、吊荷ロープ11が掛け回される複数個のシーブ14を有するベースブロック15に対し、吊荷13を吊り下げるためのフック16を、モータ17による減速機18を介しての駆動により旋回可能となるよう取り付けてなる構成を有している。
【0016】
尚、図1及び図2に示す例においては、吊荷13として船舶19に積載されたコンテナを扱う例を示しているため、前記吊荷旋回装置12のフック16には、吊荷13としてのコンテナを上方から把持・開放可能なスプレッダ20を吊り下げるようにしてある。
【0017】
そして、船舶19からの荷揚げや船舶19への荷積みといった荷役作業を行う際には、図3に示す如く、ジブ5先端から吊り下げられた吊荷13を、ジブ5を旋回させつつ起立又は倒伏させることにより、吊下開始位置から目標位置まで上方から見て直線的に移動させると共に、吊荷13の向きを吊下開始位置から目標位置まで一定に保持できるようにしてある。
【0018】
ここで、船舶19からの荷揚げのように吊下開始位置をジブクレーン1から離れた位置に設定し且つ目標位置をジブクレーン1に近い位置に設定して吊荷13を引き込む形で荷役作業を行う場合には、図4(a)に示す如く、ジブ旋回角度をθ、直線移動速度をV1、ジブ旋回速度をV2、ジブ起立速度をV3、吊荷旋回角度をαとすると、前記直線移動速度V1を予め設定された一定の値とし且つ吊荷13の向きを吊下開始位置から目標位置まで一定に保持するように運転を行うためには、
[数1]
V2=V1×cosθ
V3=V1×sinθ
α=θ
という関係を満たすよう、直線移動速度V1とジブ旋回角度θとを基準として、ジブ旋回速度V2とジブ起立速度V3と吊荷旋回角度αとを制御すれば良い。
【0019】
同様に、船舶19への荷積みのように吊下開始位置をジブクレーン1に近い位置に設定し且つ目標位置をジブクレーン1から離れた位置に設定して吊荷13を送り出す形で荷役作業を行う場合には、図4(b)に示す如く、ジブ旋回角度をθ、直線移動速度をV1、ジブ旋回速度をV2、ジブ起立速度の代わりにジブ倒伏速度をV3、吊荷旋回角度をαとすると、前記直線移動速度V1を予め設定された一定の値とし且つ吊荷13の向きを吊下開始位置から目標位置まで一定に保持するように運転を行うためには、やはり前述の[数1]に示す数式と同じ関係を満たすよう、直線移動速度V1とジブ旋回角度θとを基準として、ジブ旋回速度V2とジブ倒伏速度V3と吊荷旋回角度αとを制御すれば良い。
【0020】
即ち、本図示例の場合、図5に示す如く、ジブ旋回角度θを検出するジブ旋回角度検出器21と、吊荷旋回角度αを検出する吊荷旋回角度検出器22とを設け、前記ジブ旋回角度検出器21で検出されたジブ旋回角度θと、前記吊荷旋回角度検出器22で検出された吊荷旋回角度αとを制御装置23へ入力し、該制御装置23において、予め設定された吊荷13の直線移動速度V1と、前記ジブ旋回角度検出器21で検出されたジブ旋回角度θとに基づいて、前記[数1]に示す数式を用い、吊荷13を上方から見て直線的に移動させるのに必要となるジブ旋回速度V2と、ジブ起立速度V3又はジブ倒伏速度V3とを演算し、該演算されたジブ旋回速度V2でジブ5が旋回するよう前記ジブ旋回装置7にジブ旋回制御信号7aを出力し、前記演算されたジブ起立速度V3又はジブ倒伏速度V3でジブ5が起立又は倒伏するよう前記ジブ起伏装置8にジブ起伏制御信号8aを出力すると共に、前記ジブ旋回角度検出器21で検出されたジブ旋回角度θと前記吊荷旋回角度検出器22で検出された吊荷旋回角度αとが等しくなるよう前記吊荷旋回装置12に吊荷旋回制御信号12aを出力するようにしてある。
【0021】
次に、上記図示例の作用を説明する。
【0022】
船舶19からの荷揚げのように吊下開始位置をジブクレーン1から離れた位置に設定し且つ目標位置をジブクレーン1に近い位置に設定して吊荷13を引き込む形で荷役作業を行う場合(図4(a)参照)には、図5に示す制御装置23において、予め設定された吊荷13の直線移動速度V1と、ジブ旋回角度検出器21で検出されたジブ旋回角度θとに基づいて、吊荷13を上方から見て直線的に移動させるのに必要となるジブ旋回速度V2と、ジブ起立速度V3とが演算され、該演算されたジブ旋回速度V2でジブ5が旋回するようジブ旋回装置7にジブ旋回制御信号7aが出力され、前記演算されたジブ起立速度V3でジブ5が起立するようジブ起伏装置8にジブ起伏制御信号8aが出力されると共に、前記ジブ旋回角度検出器21で検出されたジブ旋回角度θと吊荷旋回角度検出器22で検出された吊荷旋回角度αとが等しくなるよう吊荷旋回装置12に吊荷旋回制御信号12aが出力され、これにより、予め設定された吊荷13の直線移動速度V1で、吊荷13が上方から見て吊下開始位置から目標位置まで直線的に移動すると共に、吊荷13の向きが吊下開始位置から目標位置まで一定に保持される。
【0023】
同様に、船舶19への荷積みのように吊下開始位置をジブクレーン1に近い位置に設定し且つ目標位置をジブクレーン1から離れた位置に設定して吊荷13を送り出す形で荷役作業を行う場合(図4(b)参照)には、前記制御装置23において、予め設定された吊荷13の直線移動速度V1と、前記ジブ旋回角度検出器21で検出されたジブ旋回角度θとに基づいて、吊荷13を上方から見て直線的に移動させるのに必要となるジブ旋回速度V2と、ジブ倒伏速度V3とが演算され、該演算されたジブ旋回速度V2でジブ5が旋回するよう前記ジブ旋回装置7にジブ旋回制御信号7aが出力され、前記演算されたジブ倒伏速度V3でジブ5が倒伏するよう前記ジブ起伏装置8にジブ起伏制御信号8aが出力されると共に、前記ジブ旋回角度検出器21で検出されたジブ旋回角度θと前記吊荷旋回角度検出器22で検出された吊荷旋回角度αとが等しくなるよう前記吊荷旋回装置12に吊荷旋回制御信号12aが出力され、これにより、予め設定された吊荷13の直線移動速度V1で、吊荷13が上方から見て吊下開始位置から目標位置まで直線的に移動すると共に、吊荷13の向きが吊下開始位置から目標位置まで一定に保持される。
【0024】
こうして、吊下開始位置と目標位置との間で吊荷13を上方から見て直線的に移動させることができ、吊荷13の振れの制御を容易化しつつ、目標位置で吊荷13が吊下開始位置と同じ方向を向くようにすることができ、荷役作業を大幅に高効率化し得る。
【0025】
尚、本発明のジブクレーンの連動運転装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施する形態の一例におけるジブクレーンの全体概要構成図である。
【図2】本発明を実施する形態の一例における吊荷旋回装置を示す側面図である。
【図3】本発明を実施する形態の一例におけるジブクレーンによる荷役作業の状態を示す平面図である。
【図4】(a)は本発明を実施する形態の一例におけるジブクレーンによる荷役作業時のジブ旋回角度θ、直線移動速度V1、ジブ旋回速度V2、ジブ起立速度V3、及び吊荷旋回角度αの関係を示す平面図、(b)は本発明を実施する形態の一例におけるジブクレーンによる荷役作業時のジブ旋回角度θ、直線移動速度V1、ジブ旋回速度V2、ジブ倒伏速度V3、及び吊荷旋回角度αの関係を示す平面図である。
【図5】本発明を実施する形態の一例における制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ジブクレーン
4 下部走行体
5 ジブ
6 上部旋回体
7 ジブ旋回装置
7a ジブ旋回制御信号
8 ジブ起伏装置
8a ジブ起伏制御信号
9 起伏ロープ
10 巻上装置
11 吊荷ロープ
12 吊荷旋回装置
12a 吊荷旋回制御信号
13 吊荷
15 ベースブロック
16 フック
17 モータ
18 減速機
21 ジブ旋回角度検出器
22 吊荷旋回角度検出器
23 制御装置
V1 直線移動速度
V2 ジブ旋回速度
V3 ジブ起立速度(ジブ倒伏速度)
α 吊荷旋回角度
θ ジブ旋回角度
【出願人】 【識別番号】000198363
【氏名又は名称】石川島運搬機械株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光

【識別番号】100083057
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 誠一


【公開番号】 特開2008−30925(P2008−30925A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208133(P2006−208133)