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【発明の名称】 懸垂式天井クレーン
【発明者】 【氏名】細羽 利幸

【氏名】野田 浩幸

【要約】 【課題】揚程を犠牲にすることなく、安定した走行が確保される懸垂式天井クレーンを提供する。

【構成】クレーンガーダ4が揺動支持機構及び摺動支持機構を介してクレーンサドル6に支持される。したがって、クレーンガーダ4をクレーンサドル6に対して揺動及び摺動させることで、走行レール2,3に生じた不整を吸収することができ、懸垂式天井クレーンの安定した走行が確保される。また、揺動支持機構の揺動する回転軸を走行レール3の両側方に配置すると共に摺動支持機構の摺動部をクレーンガーダ4の両側方に配置したので、従来の懸垂式天井クレーンと比較して、クレーンの全高寸法を小さく形成することが可能になり、揚程をより高く設定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の天井近傍に平行に架設した一対の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールを走行する一対のクレーンサドルと、一対の前記走行レール間に掛け渡されて、一側が固定支持手段によって一方の前記クレーンサドルに支持されると共に他側が揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して他方の前記クレーンサドルに揺動及び摺動可能に支持されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、他方の前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする懸垂式天井クレーン。
【請求項2】
建物の天井近傍に平行に架設した一対の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールを走行する一対のクレーンサドルと、一対の前記走行レール間に掛け渡されて、一側が揺動支持機構を備える揺動支持手段を介して一方の前記クレーンサドルに揺動可能に支持されると共に他側が揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して他方の前記クレーンサドルに揺動及び摺動可能に支持されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、相対する前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする懸垂式天井クレーン。
【請求項3】
建物の天井近傍に平行に架設した少なくとも3本の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールに相対して設けられて各々が相対する前記走行レールを走行する複数個のクレーンサドルと、少なくとも一つの前記クレーンサドルに固定支持手段によって支持されると共に残りの前記クレーンサドルに揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して揺動及び摺動可能に支持され各走行レール間に掛け渡されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、相対する前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする懸垂式天井クレーン。
【請求項4】
建物の天井近傍に平行に架設した少なくとも3本の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールに相対して設けられて各々が相対する前記走行レールを走行する複数個のクレーンサドルと、少なくとも一つの前記クレーンサドルに揺動支持機構を備える揺動支持手段を介して揺動可能に支持されると共に残りの前記クレーンサドルに揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して揺動及び摺動可能に支持され各走行レール間に掛け渡されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、相対する前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする懸垂式天井クレーン。
【請求項5】
前記可動支持手段は、前記揺動支持機構が、可動台の上面に立設されて相対する前記クレーンサドルを挟んで対向配置された一対の揺動側支持部材を備え、各揺動側支持部材と各揺動側支持部材に対向する前記クレーンサドルの各側面とが、揺動する回転軸を介して支持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の懸垂式天井クレーン。
【請求項6】
前記揺動支持手段は、前記揺動支持機構が、固定台の上面に立設されて相対する前記クレーンサドルを挟んで対向配置された一対の揺動側支持部材を備え、各揺動側支持部材と各揺動側支持部材に対向する前記クレーンサドルの各側面とが、揺動する回転軸を介して支持されることを特徴とする請求項2又は4に記載の懸垂式天井クレーン。
【請求項7】
前記揺動支持機構の揺動する回転軸は、前記クレーンサドルの両側面に、各々が各揺動側支持部材に対向配置される一対の受け部材が設けられ、相対する前記受け部材か前記揺動側支持部材かの一方に揺動軸が突設されると共に他方に該揺動軸が摺動可能に嵌合される軸孔が設けられて形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の懸垂式天井クレーン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井近傍に架設した走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の天井近傍に平行に架設した一対の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンが知られている。図17及び図18に、この種の懸垂式天井クレーン41の一例を示す。この懸垂式天井クレーン41は、I形鋼によって構成される一対の走行レール42の相互間にクレーンガーダ43が掛け渡される。該クレーンガーダ43は、各走行レール42を走行可能な一対のクレーンサドル44を介して各走行レール42に支持される。クレーンサドル44は、相対する走行レール42を挟んで対向配置された一対の板材46,47によってサドルフレーム45が構成され、該サドルフレーム45の一側(図17及び図18における右側)に一対の駆動車輪48が設けられると共に他側(図17及び図18における左側)に一対の従動車輪49が設けられる。そして、懸垂式天井クレーン41は、一対の駆動車輪48が減速装置を介して電動モータ50によって駆動され、クレーンサドル44が走行レール42に沿って走行することでクレーンガーダ43が建物の長手方向へ移動する。
【0003】
ところで、上記懸垂式天井クレーン41では、クレーンガーダ43とクレーンサドル44とが、クレーンガーダ43の両端部に接合されたプレート43aと各サドルフレーム45に接合されたプレート45aとをボルト・ナット51によって固定することで結合される。そして、小容量(3t未満)の懸垂式天井クレーン41の場合、クレーンガーダ43としてI形鋼等の形鋼が用いられることが多く、形鋼は断面が開放した形状であることから、走行レール42に勾配等の不整があっても、形鋼(クレーンガーダ43)が変形することで一対の走行レール42を含む全体の取付誤差が吸収されるため、クレーンガーダ43の円滑な走行が確保される。一方、中容量(3〜10t)の懸垂式天井クレーン41の場合、クレーンガーダ43にI形鋼のみを用いただけでは強度不足になるため、断面を略コ字状にプレス成形した鋼板の開放側端面にトロリを案内するフランジ材を接合して形成された、所謂ボックス型のクレーンガーダ4(図3参照)が用いられる。
【0004】
そして、閉断面を有するボックス型のクレーンガーダ4を用いた場合、クレーンガーダ4のねじり剛性が大幅に高められる反面、クレーンサドル44とクレーンガーダ4とを結合させる際に、クレーンガーダ4に高い寸法精度が要求される。しかしながら、クレーンガーダ4は大型の溶接構造物であることから、クレーンガーダ4を高い寸法精度で製作するためには、高い技術と高価な設備とを必要とする。また、クレーンガーダ4の寸法精度を高めたとしても、走行レール42の設置精度が確保されていない場合、或いは、地盤沈下等によって走行レール42に勾配が生じた場合、クレーンガーダ4のねじり剛性を高めた影響で、クレーンガーダ4を変形させて走行レール42の不整を吸収することができない。特に、走行レール42が水平方向(図17における視線方向)の曲がりを生じた場合、走行レール42の側面とクレーンサドル44に設けられた車輪48及び49のフランジとが接触し、円滑な荷役走行ができない。
【0005】
そこで、特許文献1には、走行装置(クレーンサドル44に相当)に対してクレーンガーダをクレーンサドルの走行方向へ揺動させると共に当該クレーンガーダの長手方向へ摺動させることにより、走行レールの不整を吸収するクレーンが開示されている。この特許文献1のクレーンでは、走行レールの下面とクレーンガーダの上面との間に走行レールの不整を吸収する機構(揺動機構及び摺動機構)を介在させているため、該機構の高さ寸法分だけクレーンの全高寸法(巻上機が横行する横行車輪踏面とクレーンが走行する走行車輪踏面までの垂直距離で、図17に示すH寸法)が大きくなる問題がある。クレーンの全高寸法が大きくなれば、必然的にクレーンの揚程が低くなり、クレーンの荷役範囲が狭くなる問題も生じていた。
【特許文献1】特開昭61−7187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、揚程を犠牲にすることなく、安定した走行が確保される懸垂式天井クレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、建物の天井近傍に平行に架設した一対の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールを走行する一対のクレーンサドルと、一対の前記走行レール間に掛け渡されて、一側が固定支持手段によって一方の前記クレーンサドルに支持されると共に他側が揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して他方の前記クレーンサドルに揺動及び摺動可能に支持されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、他方の前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、建物の天井近傍に平行に架設した一対の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールを走行する一対のクレーンサドルと、一対の前記走行レール間に掛け渡されて、一側が揺動支持機構を備える揺動支持手段を介して一方の前記クレーンサドルに揺動可能に支持されると共に他側が揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して他方の前記クレーンサドルに揺動及び摺動可能に支持されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、相対する前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項3に記載の発明は、建物の天井近傍に平行に架設した少なくとも3本の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールに相対して設けられて各々が相対する前記走行レールを走行する複数個のクレーンサドルと、少なくとも一つの前記クレーンサドルに固定支持手段によって支持されると共に残りの前記クレーンサドルに揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して揺動及び摺動可能に支持され各走行レール間に掛け渡されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、相対する前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の発明は、建物の天井近傍に平行に架設した少なくとも3本の走行レールに懸垂される懸垂式天井クレーンにおいて、各走行レールに相対して設けられて各々が相対する前記走行レールを走行する複数個のクレーンサドルと、少なくとも一つの前記クレーンサドルに揺動支持機構を備える揺動支持手段を介して揺動可能に支持されると共に残りの前記クレーンサドルに揺動支持機構と摺動支持機構とを備える可動支持手段を介して揺動及び摺動可能に支持され各走行レール間に掛け渡されるクレーンガーダと、を具備し、前記揺動支持機構の揺動する回転軸が、相対する前記クレーンサドルが走行する前記走行レールの両側方に配置され、前記摺動支持機構の摺動部が、前記クレーンガーダの両側方に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の懸垂式天井クレーンにおいて、前記可動支持手段は、前記揺動支持機構が、可動台の上面に立設されて相対する前記クレーンサドルを挟んで対向配置された一対の揺動側支持部材を備え、各揺動側支持部材と各揺動側支持部材に対向する前記クレーンサドルの各側面とが、揺動する回転軸を介して支持されることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2又は4に記載の懸垂式天井クレーンにおいて、前記揺動支持手段は、前記揺動支持機構が、固定台の上面に立設されて相対する前記クレーンサドルを挟んで対向配置された一対の揺動側支持部材を備え、各揺動側支持部材と各揺動側支持部材に対向する前記クレーンサドルの各側面とが、揺動する回転軸を介して支持されることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の懸垂式天井クレーンにおいて、前記揺動支持機構の揺動する回転軸は、前記クレーンサドルの両側面に、各々が各揺動側支持部材に対向配置される一対の受け部材が設けられ、相対する前記受け部材か前記揺動側支持部材かの一方に揺動軸が突設されると共に他方に該揺動軸が摺動可能に嵌合される軸孔が設けられて形成されることを特徴とする。
【0014】
したがって、請求項1に記載の懸垂式天井クレーンでは、クレーンガーダは、一方のクレーンサドルに固定支持され、他方のクレーンサドルによって、走行レールの両側方に配置した揺動する回転軸の回りに揺動可能に支持されると共にクレーンガーダの両側方に配置した摺動部によって摺動可能に支持される。
請求項2に記載の懸垂式天井クレーンでは、クレーンガーダは、一方のクレーンサドルによって、走行レールの両側方に配置した揺動する回転軸の回りに揺動可能に支持され、他方のクレーンサドルによって、走行レールの両側方に配置した揺動する回転軸の回りに揺動可能に支持されると共にクレーンガーダの両側方に配置した摺動部によって摺動可能に支持される。
請求項3に記載の懸垂式天井クレーンでは、クレーンガーダは、少なくとも一つのクレーンサドルに固定支持され、残りのクレーンサドルによって、走行レールの両側方に配置した揺動する回転軸の回りに揺動可能に支持されると共にクレーンガーダの両側方に配置した摺動部によって摺動可能に支持される。
請求項4に記載の懸垂式天井クレーンでは、クレーンガーダは、少なくとも一つのクレーンサドルによって、走行レールの両側方に配置した揺動する回転軸の回りに揺動可能に支持され、残りのクレーンサドルによって、走行レールの両側方に配置した揺動する回転軸の回りに揺動可能に支持されると共にクレーンガーダの両側方に配置した摺動部によって摺動可能に支持される。
請求項5に記載の懸垂式天井クレーンでは、可動台の上面に立設された一対の揺動側支持部材と各揺動側支持部材に対向する前記クレーンサドルの各側面とが、揺動する回転軸を介して接続されることにより、クレーンガーダがクレーンサドルに支持される。
請求項6に記載の懸垂式天井クレーンでは、固定台の上面に立設された一対の揺動側支持部材と各揺動側支持部材に対向する前記クレーンサドルの各側面とが、揺動する回転軸を介して接続されることにより、クレーンガーダがクレーンサドルに支持される。
請求項7に記載の懸垂式天井クレーンでは、揺動する回転軸が、受け部材か揺動側支持部材かの一方に設けられた揺動軸が軸孔に摺動可能に嵌合されることにより、相対する(相互に対向する)揺動側支持部材と受け部材とで接続される。
【発明の効果】
【0015】
揚程を犠牲にすることなく、安定した走行が確保される懸垂式天井クレーンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、図1における上方向及び上側を上方及び上側、図1における下方向及び下側を下方及び下側、図2における下方向及び下側を前方及び前側、図2における上方向及び上側を後方及び後側、図2における左方向及び左側を左方及び左側、図2における右方向及び右側を右方及び右側、と称する。図1に示されるように、本懸垂式天井クレーン1は、建物の天井近傍に平行に架設された前後方向に延びる一対の走行レール2,3に懸垂される。また、本懸垂式天井クレーン1は、一対の走行レール2,3に、左右方向に延びるクレーンガーダ4が掛け渡され、該クレーンガーダ4の両側部分が、各走行レール2,3を走行可能な各クレーンサドル5,6によって支持される。さらに、本懸垂式天井クレーン1は、クレーンガーダ4の右側が固定支持機構(固定支持手段)を介して一方のクレーンサドル5に支持され、該クレーンガーダ4の左側が揺動支持機構及び摺動支持機構(可動支持手段)を介して他方のクレーンサドル6に揺動及び摺動可能に支持される。
【0017】
そして、本懸垂式天井クレーン1は、揺動支持機構によってクレーンサドル6をクレーンガーダ4に対して前後方向へ揺動させると共に、摺動支持機構によってクレーンサドル6をクレーンガーダ4に対して左右方向へ摺動させることで、一対の走行レール2,3の不整が吸収され、これにより、安定した走行が確保される構造になっている。図1に示されるように、一対の走行レール2,3は、I形鋼によって形成され、上側のフランジ2a,3aが建物の梁に固定されると共に、下側のフランジ2b,3bを、相対する各クレーンサドル5,6が走行する構造になっている。図1及び図2に示されるように、クレーンサドル5は、対向する一対の板材7,8の両端部がエンドプレート9に接合されることでサドルフレーム10が形成される。なお、各板材7,8は、上端部に、サドルフレーム10の外方へ延びる外フランジが形成されると共に、下端部に、サドルフレーム10の内方へ延びる内フランジが形成される。
【0018】
また、クレーンサドル5は、サドルフレーム10の板材7,8相互間の前側に一対の駆動車輪11が収容されると共に後側に一対の従動車輪12が収容される。そして、クレーンサドル5は、一対の駆動車輪11が、減速装置を介してサドルフレーム10の左側面(板材7)に設けられる電動モータ13によって回転駆動されることにより、走行レール2の下側のフランジ2b上を前後方向へ走行する構造になっている。なお、クレーンサドル6は、クレーンサドル5に対して左右対称の構造であるから、その詳細な説明を省く。図3及び図4に示されるように、クレーンガーダ4は、上下一対の板材の相互間を一対の壁板を介して接合することで閉断面を有するボックス形状に形成され、上下板材の前後方向両側に、左右方向に延びる一対の上フランジ15a及び下フランジ15bが形成される。そして、本懸垂式天井クレーン1は、トロリ14がクレーンガーダ4の一対の下フランジ15bを走行することにより、該トロリ14に懸垂された巻上機16が横行する構造になっている。
【0019】
図1及び図2の右側に示されるように、固定支持機構は、固定台35の上面に溶着して立設された一対の固定側支持部材17,18を備える。図4に示されるように、各固定側支持部材17,18は、鋼板を断面略コ字状にプレス成形して形成され、クレーンサドル5を間に挟んで各対向部17a,18aが対向配置される。そして、本懸垂式天井クレーン1では、固定側支持部材17とサドルフレーム10の板材7とが4対のボルト・ナット19によって固定されると共に、固定側支持部材18とサドルフレーム10の板材8とが4対のボルト・ナット19によって固定されることにより、クレーンガーダ4の右側が固定支持機構を介してクレーンサドル5に支持(固定支持)される構造になっている。図5及び図6に示されるように、揺動支持機構は、可動台36の上面に溶着して立設された一対の揺動側支持部材20,21と、クレーンサドル6のサドルフレーム22の各板材23,24に取付けられて相対する各揺動側支持部材20,21に係合される二つの受け部材25,26と、を備える。
【0020】
図7に示されるように、各揺動側支持部材20,21は、鋼板を断面略コ字状にプレス成形して形成され、クレーンサドル6を間に挟んで各対向部20a,21aが対向配置される。また、各対向部20a,21aには、対向面中央にボス形状の揺動軸27が立設されると共に、4個のナット収容孔28が配設される。図8に示されるように、各受け部材25,26は、四隅にボルト挿通孔29が配設された基板25a(26a)の一側面中央に受け板25b(26b)が接合されて形成され、該受け板25b(26b)の中央に、前記揺動軸27が摺動可能に嵌合される軸孔30が形成される。そして、揺動側支持部材20(21)に設けられた揺動軸27を受け部材25,26の軸孔30に嵌合させることによって、揺動軸27の中心と軸孔30の中心とで、揺動可能な回転軸が形成される。なお、本実施形態では、揺動側支持部材20(21)に揺動軸27を設け、受け部材25,26の受け板25b(26b)に軸孔30を設けたものを開示したが、反対に揺動側支持部材20(21)に軸孔30を設け、受け部材25,26に揺動軸27を設けても良いことはもちろんである。そして、図9に示されるように、揺動支持機構は、各揺動側支持部材20,21の各揺動軸27に、相対する各受け部材25,26の各軸孔30が嵌合され、4対のボルト・ナット31によってクレーンサドル6の各板材23,24に各受け部材25,26が固定される。なお、4対のボルト・ナット31の各ナット31bは、各揺動側支持部材の相対する各ナット収容孔28内に収容される。また、サドルフレーム22の各板材23,24には、ボルト・ナット31の各ボルト31aが挿通されるボルト挿通孔32が配設される。
【0021】
次に、揺動支持機構(揺動支持手段)を構成する際の手順を説明する。まず、サドルフレーム22の各板材23,24の外方から各受け部材25,26を各ボルト・ナット31によって仮固定する。この時、各ボルト31aを、サドルフレーム22の内側から、各板材23,24の各ボルト挿通孔32及び各受け部材25,26の各ボルト挿通孔29に挿通する。次に、各受け部材25,26の各軸孔30に、各揺動側支持部材20,21の各揺動軸27を嵌合させる。この状態で、クレーン等の吊上げ手段によってクレーンサドル6の全体を吊り、各揺動側支持部材20,21を可動台36に仮置きし、可動台36に対するクレーンサドル6の直角度等を確認して、クレーンサドル6を位置決めする。位置決め完了後、各揺動側支持部材20,21を可動台36の上面に仮止め(溶接)する。仮止め完了後、全てのボルト・ナット31を一旦取り外し、可動台36とクレーンサドル6とを分離させる。そして、各受け部材25,26を各揺動側支持部材20,21から分離させた後、各揺動側支持部材20,21を可動台36に全周溶接する。
【0022】
次に、各揺動側支持部材20,21の各揺動軸27に、各受け部材25,26の各軸孔30を再度嵌合させる。この時、各揺動軸27の外周部には、グリス等の潤滑油を塗布することが望ましい。そして、各受け部材25,26の相互間に、クレーン等の吊上げ手段で吊ったクレーンサドル6を上方から挿入する。そして、サドルフレーム22の各板材23,24の各ボルト挿通孔32と各受け部材25,26の相対する各ボルト挿通孔29とを整合させ、サドルフレーム22と各受け部材25,26とを各ボルト・ナット31によって本固定する。ここでも、各ボルト31aは、サドルフレーム22の内側から、各板材23,24の各ボルト挿通孔32及び各受け部材25,26の各ボルト挿通孔29に挿通させ、また、各ナット31bは、各揺動側支持部材20,21の相対する各ナット収容孔28内に収容される。
【0023】
このように構成された揺動支持機構は、揺動軸27と軸孔30とで揺動可能な回転軸が形成され、クレーンサドル6はクレーンガーダ4に対して、走行レール3の左右両側方に配置された回転軸の回りを揺動させることが可能である。これにより、本懸垂式天井クレーン1は、クレーンガーダ4の左側が、揺動支持機構を介して他方のクレーンサドル6に、走行レール3の左右両側方に配置された回転軸の回りに揺動可能に支持(揺動支持)される。そして、クレーンサドル6の、クレーンガーダ4に対する回転軸回りの揺動動作は、揺動可能な範囲が、図10に示されるように、各ナット収容孔28の内周面が各ナット31bに当接されることで規制され、クレーンガーダ4とクレーンサドル6との接触が防止される構造になっている。なお、揺動支持機構は、クレーンサドル6が、クレーンガーダ4に対して回転軸回りに図10における時計回り方向の揺動端位置及び反時計回り方向の揺動端位置に位置する状態で、片側4個の全てのナット収容孔28が各ナット31bに略同時に当接するように、各ナット収容孔28の配置が設定されている。
【0024】
図1及び図5に示されるように、摺動支持機構は、可動台36の前後両側の端面に設けられる一対の側板37,38が、クレーンガーダ4の上部を間に挟んで対向配置される。また、摺動支持機構は、側板37の内側面の左右両側に、クレーンガーダ4の前側の上フランジ15aを支持する一対の車輪37a(摺動部)が設けられ、側板38の内側面の左右両側に、クレーンガーダ4の後側の上フランジ15aを支持する一対の車輪38a(摺動部)が設けられる。このように構成された摺動支持機構は、各車輪37a,38aを転動させることにより、クレーンサドル6をクレーンガーダ4に対して、各車輪37a,38aを介して左右方向(走行レール2,3のスパン方向)へ摺動させることが可能である。これにより、本懸垂式天井クレーン1は、他方のクレーンサドル6が、摺動支持機構を介してクレーンガーダ4の左側に、左右方向へ摺動可能に支持(摺動支持)される構造になっている。
【0025】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本懸垂式天井クレーン1は、クレーンガーダ4の一側(右側)が固定支持機構(固定支持手段)を介して一方のクレーンサドル5に支持され、該クレーンガーダ4の他側(左側)が揺動支持機構及び摺動支持機構(可動支持手段)を介して他方のクレーンサドル6に揺動及び摺動可能に支持される。
したがって、本懸垂式天井クレーン1は、クレーンサドル6がクレーンガーダ4に対して揺動及び摺動可能に支持されているので、地盤沈下等の外的要因によって一対の走行レール2,3に生じた不整を吸収することができ、当該クレーン1の安定した走行が確保される。さらに、従来のクレーン41(図17及び図18参照)と比較して、クレーンガーダ4の寸法精度、クレーンガーダ4と各クレーンサドル5,6との取付精度、及び各クレーンサドル5,6における車輪11,12の取付精度を厳密に管理する必要がないため、製造コストを削減することができる。
また、本懸垂式天井クレーン1は、揺動支持機構の揺動軸27と軸孔30とで形成される回転軸が走行レール3の左右両側方に配置されると共に、摺動支持機構の各車輪37a,38a(摺動部)がクレーンガーダ4の前後両側方に配置され、クレーンサドル6の下面とクレーンガーダ4の上面との間に配置されるのは厚みが小さい可動台36のみであるため、これらの機構をクレーンサドルの下面とクレーンガーダの上面との間に配置した従来の懸垂式天井クレーン(特許文献1参照)と比較して、クレーンの全高寸法を小さく形成することができる。これにより、本懸垂式天井クレーン1は、揚程をより高く設定することが可能になり、荷役範囲を拡大することができる。
【0026】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
(他の実施形態1)
本実施形態では、クレーンガーダ4の一側(右側)を、固定支持機構(固定支持手段)を介して一方のクレーンサドル5で支持したが、図11に示されるように、クレーンガーダ4の一側を、揺動支持機構(揺動支持手段)を介して一方のクレーンサドル5で揺動可能に支持するように、懸垂式天井クレーン1を構成してもよい。
この場合、本実施形態の懸垂式天井クレーン1が奏する効果に加え、図12に示されるように、クレーンガーダ4全体を各走行レール2,3の左右両側方に配置した回転軸の回りに揺動させることにより、クレーンガーダ4の直下に対して前後方向(クレーン走行方向)に偏倚して載置された荷を巻き上げることができる。また、クレーンガーダ4及びクレーンガーダ4とクレーンサドル5,6との結合部位に作用するねじり応力の発生を防止できる。さらに、巻上機16の横引きによる巻上げ用ワイヤの乱巻きを防止することができる。
【0027】
(他の実施形態2)
図13に示されるように、懸垂式天井クレーン1を相互に平行に架設した3本の走行レール2,33,3によって懸垂し、各走行レール2,33,3を走行する各クレーンサドル5,34,6のうち少なくとも一つのクレーンサドル5は固定支持機構(固定支持手段)を介してクレーンガーダ4を固定支持すると共に、残りのクレーンサドル(6及び34)は揺動支持機構及び摺動支持機構(可動支持手段)を介してクレーンガーダ4を揺動及び摺動可能に支持するように、懸垂式天井クレーン1を構成してもよい。
この場合、本実施形態の懸垂式天井クレーン1が奏する効果に加え、懸垂式天井クレーン1をロングスパンに容易に対応させることができるという効果を奏する。なお、本実施形態2では3点支持の懸垂式天井クレーンを開示したが、少なくとも一つの支持手段は固定支持手段とし、他の支持手段は可動支持手段とする構成とすれば、3点支持以上の懸垂式天井クレーンにも適用することができる。
【0028】
(他の実施形態3)
他の実施形態2において、図14に示されるように、クレーンガーダ4の一側(右側)を、揺動支持機構(揺動支持手段)を介してクレーンサドル5で揺動可能に支持するように、懸垂式天井クレーン1を構成してもよい。
この場合、本実施形態の懸垂式天井クレーン1が奏する効果に加え、他の実施形態1及び2の懸垂式天井クレーン1が奏する効果を併せ持つ懸垂式天井クレーン1を提供することができる。
【0029】
本実施形態では、クレーンガーダ4は閉断面を有するボックス形状に形成されるが、例えば、I形鋼(図15参照)或いはH形鋼等の形鋼を用いてもよいし、図16に示されるように、並列に配置したI形鋼を接合してクレーンガーダ4を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本懸垂式天井クレーンの正面図(図2におけるF−F矢視図)である。
【図2】本懸垂式天井クレーンの平面図である。
【図3】図1におけるA−A矢視図である。
【図4】図2におけるC部拡大図である。
【図5】図1におけるB−B矢視図である。
【図6】図2におけるD部拡大図である。
【図7】本実施形態の揺動側支持部材の単体の図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図8】本実施形態の受け部材の単体の図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図9】図2におけるE−E矢視図である。
【図10】本実施形態の説明図であって、ナット収容孔の内周面がナットに当接した状態(クレーンガーダの揺動動作が規制された状態)を示す図である。
【図11】他の実施形態1の正面図である。
【図12】他の実施形態1の説明図であって、クレーンガーダの直下に対して前後方向(クレーン走行方向)に偏倚して載置された荷を巻き上げる場合を示す図である。
【図13】他の実施形態2の正面図である。
【図14】他の実施形態3の正面図である。
【図15】クレーンガーダの他の実施形態を示す図である。
【図16】クレーンガーダの他の実施形態を示す図である。
【図17】従来の一懸垂式天井クレーンのクレーンガーダとクレーンサドルの結合部分を示す正面図である。
【図18】従来の一懸垂式天井クレーンのクレーンガーダとクレーンサドルの結合部分を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 懸垂式天井クレーン、2,3 走行レール、4 クレーンガーダ、5,6 クレーンサドル、20,21 揺動側支持部材、25,26 受け部材、27 揺動軸、28 ナット収容孔、31b ナット、36 可動台、37a,38a 車輪
【出願人】 【識別番号】000230098
【氏名又は名称】日本ホイスト株式会社
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100080908
【弁理士】
【氏名又は名称】舘石 光雄

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏


【公開番号】 特開2008−24471(P2008−24471A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200657(P2006−200657)