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【発明の名称】 往復ガイド構造体
【発明者】 【氏名】益岡 慶文

【要約】 【課題】耐久性に優れると共に、全体がシンプルな構造となって、エア吸込部材がスムーズに動き、さらに、水平方向に限らず鉛直方向等にも往復動させることができるエア吸込用の往復ガイド構造体を提供することを目的とする。

【構成】真空引き用のエア排出口12を有しかつ一面10にスリット11が形成された中空エアケース1と、エアケース1に沿って移動自在に配設される走行部材9と、を備える。走行部材9は、側方開口状のエア吸込口20を有しかつエア吸込口20と内部で連通したエア排出部を外周部22に有すると共に回転しつつ外周部22の一部の侵入円弧部24がエアケース1のスリット11に侵入した状態で移動して吸込口20から吸い込んだエアがエアケース1の内部へと送られる回転体2を具備する。さらに、回転体2の外周部22の侵入円弧部24を除く非侵入円弧部25に対応したエア排出部の開口範囲と、エアケース1のスリット11における走行部材9を除いた開口範囲11aとにわたって閉鎖する密封ベルト3を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引き用のエア排出口(12)を有しかつ一面(10)にスリット(11)が形成された中空エアケース(1)と、該エアケース(1)に沿って移動自在に配設される走行部材(9)と、を備え、
該走行部材(9)は、側方開口状のエア吸込口(20)を有しかつ該エア吸込口(20)と内部で連通したエア排出部(21)を外周部(22)に有すると共に回転しつつ該外周部(22)の一部の侵入円弧部(24)が上記エアケース(1)のスリット(11)に侵入した状態で移動して上記吸込口(20)から吸い込んだエアが上記エアケース(1)の内部(13)へと送られる回転体(2)を具備し、
さらに、上記回転体(2)の外周部(22)の上記侵入円弧部(24)を除く非侵入円弧部(25)に対応した上記エア排出部(21)の開口範囲(21a)と、上記エアケース(1)の一面(10)の上記スリット(11)における上記走行部材(9)を除いた開口範囲(11a)とにわたって閉鎖する密封ベルト(3)を備えたことを特徴とする往復ガイド構造体。
【請求項2】
上記走行部材(9)は、上記回転体(2)の前後に配設され上記密封ベルト(3)を上記エアケース(1)の上記スリット(11)の上記開口範囲(11a)を閉鎖する状態から、上記回転体(2)の上記開口範囲(21a)を閉鎖する状態へ方向転換する一対のローラ(5)(5)と、該ローラ(5)(5)と上記回転体(2)を平行な軸心(L5)( L2 )廻りに回転自在に保持する保持部材(4)と、を具備する請求項1記載の往復ガイド構造体。
【請求項3】
上記走行部材(9)は、上記保持部材(4)に取付けられ上記エアケース(1)の一面(10)と上記回転体(2)に連続状に近接してエアが上記スリット(11)を通って上記エアケース(1)の内部(13)に流入する流量を減少させるエア流入防止部材(42)を具備した請求項2記載の往復ガイド構造体。
【請求項4】
上記エアケース(1)は、長手方向のガイド溝(14)が形成され、かつ、上記走行部材(9)は、上記保持部材(4)に取付けられ該エアケース(1)の該ガイド溝(14)に沿って走行する支持車輪(7)を備え、さらに、上記エアケース(1)のガイド溝(14)には、長手方向にわたって複数の粉状物吸込用の小孔(16)が貫孔されている請求項2又は3記載の往復ガイド構造体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エア吸込口を有する往復ガイド構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の往復ガイド構造体は、支柱の上部に旋回自在に設けた旋回アームから、移動自在なトロリを介して、ワーク吸着部材を有するホースを吊り下げ、かつ、支柱の下方に設置した空気吸引装置(真空装置)に接続したフレキシブルな吸込ホースを旋回アームに沿わせて、トロリ近傍にてワーク吸着用吸込ホースの上端に連結したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−16378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のこのような往復ガイド構造体は、トロリを旋回アームに沿って往復動させる度に、フレキシブル吸込ホースが伸びた状態と撓んだ状態とを繰り返すので、ホースの老朽化が早くなり、耐久性が悪い。また、撓んだホースは絡み易く作動の妨げとなると共に、撓んだホースは垂れ下がった状態となって邪魔になる。また、旋回アームは支柱に取付けられて水平状態に保たれており、トロリは水平方向にしか移動できないので、ワーク吸着部材の移動は水平方向に限られている。また、1本の旋回アームには、1つのワーク吸着部材しか設けられず、2つ以上のワーク吸着部材を設けて使用することができない。
【0004】
そこで、本発明は、耐久性に優れると共に、全体がシンプルな構造となって、エア吸込部材の動きがスムーズで作業し易く、さらに、水平方向に限らず鉛直方向等にも往復動させることができるエア吸込用の往復ガイド構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る往復ガイド構造体は、真空引き用のエア排出口を有しかつ一面にスリットが形成された中空エアケースと、該エアケースに沿って移動自在に配設される走行部材と、を備え、該走行部材は、側方開口状のエア吸込口を有しかつ該エア吸込口と内部で連通したエア排出部を外周部に有すると共に回転しつつ該外周部の一部の侵入円弧部が上記エアケースのスリットに侵入した状態で移動して上記吸込口から吸い込んだエアが上記エアケースの内部へと送られる回転体を具備し、さらに、上記回転体の外周部の上記侵入円弧部を除く非侵入円弧部に対応した上記エア排出部の開口範囲と、上記エアケースの一面の上記スリットにおける上記走行部材を除いた開口範囲とにわたって閉鎖する密封ベルトを備えたものである。
【0006】
また、上記走行部材は、上記回転体の前後に配設され上記密封ベルトを上記エアケースの上記スリットの上記開口範囲を閉鎖する状態から、上記回転体の上記開口範囲を閉鎖する状態へ方向転換する一対のローラと、該ローラと上記回転体を平行な軸心廻りに回転自在に保持する保持部材と、を具備する。
【0007】
また、上記走行部材は、上記保持部材に取付けられ上記エアケースの一面と上記回転体に連続状に近接してエアが上記スリットを通って上記エアケースの内部に流入する流量を減少させるエア流入防止部材を具備した。
【0008】
また、上記エアケースは、長手方向のガイド溝が形成され、かつ、上記走行部材は、上記保持部材に取付けられ該エアケースの該ガイド溝に沿って走行する支持車輪を備え、さらに、上記エアケースのガイド溝には、長手方向にわたって複数の粉状物吸込用の小孔が貫孔されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係る往復ガイド構造体は、一面にスリットが形成された中空エアケースに沿って、エア吸込口を有する走行部材が移動自在に配設され、中空ケース内を真空引きしてエア吸込口からエアの吸込みを行うので、真空ポンプと連結するためのフレキシブルホースが備わっていなくても、走行部材は、移動しながらエアを吸い込むことができ、ホースが絡んで移動が妨げられる虞れが無くスムーズに動くと共に、ホースの老朽化も無いので耐久性に優れる。しかも、ホースが無いので、ホースが撓む等の障害となることがなく、装置全体の構造がシンプルになる。また、回転体がエアケースの一面に沿って回転するので、走行部材の移動が非常にスムーズになり、作業性が良い。
しかも、回転体のエア排出部の開口範囲と、エアケースのスリットにおける走行部材を除いた開口範囲とにわたって閉鎖する密封ベルトを備えるので、回転体の内部とエアケースの内部を、確実に、常時密封状態に保つことができ、確実に効率よく吸い込むことができる。よって、ワークを強く吸着して落下させずに搬送させることができ、あるいは、掃除用に用いる場合、効率よくゴミを吸い込むことができる。また、エアケースを、水平方向だけでなく、鉛直方向に設けたり、あるいは、旋回可能となるように設けることもでき、様々な作業場所や作業用途に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1〜図7は本発明に係る往復ガイド構造体の実施の一形態を示し、真空引き用のエア排出口12を有しかつ一面10にスリット11が形成された中空エアケース1と、エアケース1に沿って移動自在に配設される走行部材9と、を備え、例えば、ワークWを吸着力により吊り下げて搬送する装置として使用される。
図1〜図4に於て、エアケース1は、横断面矩形状の角パイプ材の中空ケースの一面10の中央にスリット11を形成しかつ一面10に直交する一対の側壁面19,19にコの字状のガイド溝14,14を凹設して成るガイドケース17と、(真空引き用のパイプ38(又はフレキシブルホース)が接続される)エア排出口12を有しガイドケース17の一端を封鎖するように取付けられた端部ケース18と、ガイドケース17の他端を封鎖する閉じ部材15と、を有する。ガイドケース17は、言い換えると、スリット11を有するC型鋼材の側壁面19,19にコの字状のガイド溝14,14を凹設したものである。エアケース1は、ステンレス鋼板や鋼板やアルミ板材を折曲加工して成形したり、あるいは、アルミ材の押出成形により、形成される。
また、47は、パイプ38を介してエアケース1のエア排出口12から真空引きを行うためのブロワである。また、37は、走行部材9の後述のエア吸込口20に接続されるエアホースであり、エアホース37は、ワークWを吸着する吸盤部材39を下端に有する。
【0011】
また、図2,図3に示したように、走行部材9は、側方開口状のエア吸込口20を有しかつエア吸込口20と内部で連通したエア排出部21を外周部22に有すると共に回転しつつ外周部22の一部の侵入円弧部24がエアケース1のスリット11に侵入した状態で移動して吸込口20から吸い込んだエアがエアケース1の内部13へと送られる回転体2を具備する。具体的には、回転体2は、複数(図例では4つ)の間隔保持棒23…により所定間隔をもって平行に保持されて間にエア排出部21を成す2枚の円板部26,26と、2枚の円板部26,26の夫々の側方に同一軸心L2 方向に一体に突設された円筒部27,28とから成る。そして、一方の円筒部27の内部が、2枚の円板部26,26間に形成されるエア排出部21と連通しており、円筒部27の先端のエア吸込口20から吸い込んだエアは、(回転体2の外周部22の)エア排出部21から排出される。また、他方の円筒部28と一体形成された円板部26は、非開口であり、この円筒部28の内部とエア排出部21とは非連通である。また、両円筒部27,28の外周端部27a,28aは後述の(ラジアル)ベアリング33,33の内輪が外嵌固着されるように段差部をもって縮径して形成されている。なお、エア吸込口20を有さない方の円筒部28は、中実の軸部としてもよい。ここで、回転体2がエアケース1のスリット11に侵入する深さ寸法Hは、侵入円弧部24の水平長さとエアー排出部21の横幅との積(排出開口面積)がエアー吸込口20の断面積の2倍以上になるように、設定される(図3,図6参照)。
【0012】
また、図2,図3,図5,図6に示したように、走行部材9は、回転体2の前後に配設され(後述の)密封ベルト3をエアケース1のスリット11の開口範囲11aを閉鎖する状態から、回転体2の(後述の)開口範囲21aを閉鎖する状態へ方向転換する一対のローラ5,5と、ローラ5,5と回転体2を軸心L5 ,L2 廻りに回転自在に保持する保持部材4と、を具備する。ローラ5は、円柱形状を有すると共に、同一軸心L5 方向に突設された軸部50,50を両端に有する。
保持部材4は、回転体2の円筒部27,28に外嵌されたベアリング33,33の外輪が内嵌固着される一対の軸受部40,40を有しかつ一対のローラ5,5の軸部50…が差し込まれる孔部43…を有する側板部41,41を具備する。一対のローラ5,5の回転軸心L5 ,L5 は、回転体2の回転軸心L2 と平行となるよう形成されると共に、側方(軸心方向)から見て、L2 ,L5 ,L5 は、L2 を頂点とする二等辺三角形を成す位置関係に設定される。また、側方(軸心方向)から見て、各ローラ5の外周面と回転体2の外周部22とが、後述の密封ベルト3の厚さ寸法よりも僅かに大きな間隔を有するように配設される。かつ、各ローラ5の外周面とエアケース1の一面10の間隔は、後述の密封ベルト3の厚さ寸法と同一乃至僅かに大きな寸法だけ離間した状態となる。
また、吸込み側の円筒部27に対応する軸受部40の側部には、エアホース37を接続する継手部材36をネジ等で取り付けるための接続用環部材29が取付けられる。この環部材29は、内周面に周状凹溝が形成されてOリング等のシールが嵌込まれ、円筒部27の外周端部27aを外嵌して密封する。このように、継手部材36は、非回転の環部材29に接続され回転体2の回転は伝わらないので、非回転の状態である。また、非連通側の円筒部28に対応する軸受部40には、この円筒部28を塞ぐ蓋部材46が取付けられる。
【0013】
そして、図1〜図6に示したように、本発明に係る往復ガイド構造体は、エアケース1の内部13を密封すると共に、走行部材9の回転体2の非侵入円弧部25を塞ぐ密封ベルト3を備える。密封ベルト3は、例えば、樹脂系平ベルト・合成ゴム系平ベルト・歯付ベルト・スチールベルト等を使用する。そして、その両端部30,30が、エアケース1の閉じ部材15と端部ケース18の外部に固定されている。そして、密封ベルト3は、回転体2の外周部22の侵入円弧部24を除く非侵入円弧部25に対応したエア排出部21の開口範囲21aを塞ぐと共に(図2,図3,図6参照)、走行部材9を除いた開口範囲11aに対応するエアケース1の一面10に密着している(図4参照)。そして、図2,図5,図6に於て、走行部材9廻りにおける密封ベルト3の状態について説明すると、密封ベルト3は、ガイドケース17のスリット11の開口範囲11aを閉鎖する状態から、一方のローラ5とガイドケース17の一面10との間を通りローラ5に部分的に巻かれて回転体2の開口範囲21aを閉鎖する状態へ方向転換して開口範囲21aを閉鎖状に巻かれ、次いで、他方のローラ5に部分的に巻かれつつこのローラ5とガイドケース17の一面10との間を通って方向転換し、スリット11の開口範囲11aを閉鎖する。
【0014】
さらに、走行部材9について説明する。図2,図3,図5,図6に示したように、走行部材9は、保持部材4に取付けられエアケース1のガイド溝14に沿って走行する支持車輪7…を具備する。支持車輪7…がガイド溝14の一面上に支持することで、走行部材9は、回転体2がエアケース1のスリット11に所定の深さ寸法H侵入した状態で保持されたまま、走行可能である。具体的には、保持部材4は、側板部41,41に夫々固着され支持車輪7…を軸心L7 …廻りに回転自在に保持する走行支持用側板部材44,44を有する。そして、側板部材44の内面(エアケース1側の面)の前部・後部に、夫々、支持車輪7を回転自在に保持する車輪軸受具8がネジ等で取付けられて、車輪軸受具8に、支持車輪7が回転軸心L7 廻りに回転自在に保持される。回転軸心L7 は、回転体2・ローラ5の回転軸心L2 ,L5 と平行である。実施例では、走行部材9は、前後一対の車輪7,7を左右に有しており、計4つの支持車輪7…を具備する。
【0015】
さらに、図2,図7に示したように、走行部材9は、エアケース1に対して側方へ揺動することなく走行自在とする振れ止めローラ6…を具備する。具体的には、各側板部材44の前後中間部位に、前後細長状切欠部45がガイド溝14に対応して形成され、この切欠部45に、前後一対の振れ止めローラ6,6を回転軸心L6 ,L6 廻りに回転自在に保持するローラ軸受具34がネジ等で取付けられている。この回転軸心L6 は、ガイド溝14に直交するように保持される。このように、左右両側から、計4つの振れ止めローラ6…が、エアケース1の両ガイド溝14,14の奥壁部を側方から挟みつつ回転することで、走行部材9はエアケース1に対し揺動せず走行する。また、エアケース1のガイド溝14には、長手方向にわたって複数の粉状物吸込用の小孔16…(例えば、直径略1mm程度の小孔16…を略 500mm間隔)が貫孔されている(図2,図3,図7参照)。エアケース1の内部13が真空引きされることで、小孔16…を通して、エアケース1のガイド溝14の周囲のエアが吸い込まれるので(図3(b)の矢印参照)、走行部材9の走行中にガイド溝14に接して回転する支持車輪7…(図2,図3参照)と振れ止めローラ6…(図7参照)の摩耗により発生する粉状物65が吸い込まれ、クリーンな状態に保つことができ、例えば、本発明をクリーンルーム内で使用する際に有効である。
【0016】
また、図2,図3,図6に示したように、走行部材9は、保持部材4に取付けられエアケース1の一面10と回転体2に連続状に近接してエアがスリット11を通ってエアケース1の内部13に流入する流量を減少させる左右一対のエア流入防止部材42,42を具備する。具体的には、エア流入防止部材42は薄板材を横断面コの字状に折曲形成して、上方開口状に取付けられる。そして、この防止部材42は、軸受部40の内面に連結部材35をもって取付けられて、各防止部材42のうちの内側の鉛直方向板部42a及び底を成す板部42bが、回転体2の円板部26の側面と、エアケース1の一面10とに近接するように、保持される。これにより、2面の板部42a,42bの折曲辺部42c近傍が、円板部26とスリット11との間に形成される隙間を減少させて、エアの流入量を減少させる。かつ、円板部26に当接する板部42aの前端・後端は、前後のローラ5,5に沿うように弯曲状に形成されており、密封ベルト3は、ローラ5,5と防止部材42の弯曲辺部の間に挟まれる。これにより、側面視において、回転体2の非侵入円弧部25と、エアケース1の一面10と、ベルト3のうちローラ5に沿う部分との間に形成される隙間32(図6で点々で示された範囲)も、エア流入防止部材42により減少させて、エアケース1の内部13へのエアの流入量を減少させる。
【0017】
また、図1に於て、図示省略の別の移動用レールをエアケース1に平行状に設けると共に、このレールに、駆動用モータを有するアクチュエータ等の装置を走行自在に設けて、走行部材9に連結することで、アクチュエータのモータの作動により、走行部材9をエアケース1に沿って移動させることができる。あるいは、走行部材9自体に、図示省略の駆動用モータを取付けて走行自在としたり、又は、エアケース1に沿って、チェーンやエアシリンダ等のアクチュエータを配置して、走行部材9をこれらに連結して移動可能とするもよい。
また、図示省略の移動用レールをエアケース1に平行状に設けると共に、この移動用レールに、ウインチ等を有する巻上装置を、走行部材9と並走自在に設ける。そして、走行部材9に接続したエアホース37を、巻上装置の作動により昇降させることでワークWを搬送することができる。あるいは、走行部材9自体に、図示省略の巻上装置を設けてもよい。
【0018】
次に、図8は本発明の往復ガイド構造体の他の実施の形態を示し、図2,図3の実施の形態との相違点は、薄板状の(支持用)レール55,55を、ガイドケース17の左右側方に所定間隔をもって離間して設け、かつ、走行部材9が、支持車輪7に替えて、レール55を上下から挟んで回転するV型ローラ56,56を具備する点である。具体的には、ガイドケース17の両ガイド溝14,14に、レール55,55を保持する取付部材57,57が対向状に固着されている。両取付部材57,57は、ガイドケース17の両ガイド溝14,14を貫通する連結杆58の両端に固着されている。また、一対のV型ローラ56,56が、走行部材9の各側板部材44の内面に、上下に所定間隔離間して回転体2の回転軸心L2 に平行な軸心L56,L56廻りに回転自在に取付けられている。そして、ガイドケース17の左右両側において、一対のV型ローラ56,56がレール55の上下辺部を挟んで配設される。そして、回転体2がガイドケース17のスリット11に所定深さ寸法Hだけ侵入した状態に保たれて、走行部材9がエアケース1に沿って走行自在となる。
【0019】
次に、図9は本発明の往復ガイド構造体の別の実施の形態を示し、図2,3の実施の形態との相違点は、支持車輪7に替えて、走行部材9をガイドケース17に対し走行自在に保持するためのリニアガイド機構51を具備している点である。リニアガイド機構51は、ガイドケース17の両ガイド溝14,14に沿って取付けられ精度の高い走行が可能である。具体的には、リニアガイド機構51は、ガイドケース17の両ガイド溝14,14に沿って固着されたレール53,53と、走行部材9の各側板部材44の内面に取付けられレール53,53に外嵌するガイド凹溝54,54を有するスライド部材52,52と、を具備する。
また、図9の構造体は、回転体2が2つのエア吸込口20,20を有する点で、図3の実施の形態と相違する。即ち、図9に於て、両円筒部27,28の内部が、2枚の円板部26,26間のエア排出部21と連通しており、両円筒部27,28の外周端部に、エアホース37取付継手部材36が固定される環部材29,29が、設けられる。そして、両円筒部27,28の先端のエア吸込口20,20から吸い込んだエアが、(回転体2の外周部22の)エア排出部21から排出される。
なお、図示省略するが、図3,図8の夫々の実施の形態に於ても、図9のように回転体2が2つのエア吸込口20,20を有するように構成してもよい。
【0020】
次に、本発明の往復ガイド構造体の使用方法及び作用について説明する。
図1に示したように、走行部材9の回転体2のエア吸込口20に、先端に吸盤部材39を有するエアホース37が接続され、エアケース1内は、エア排出口12に接続したパイプ38を介して、ブロワ47により真空引きされる。このとき、密封ベルト3が、回転体2の外周部22のエア排出部21の開口範囲21aと、エアケース1のスリット11における走行部材9を除いた開口範囲11aとにわたって閉鎖しており(図3(a),図4参照)、しかも、真空引きによって密封ベルト3は上記の回転体2のエア排出部21とエアケース1の一面10に強く吸引されて、シール機能が増した状態で閉鎖している。また、密封ベルト3が走行部材9(の回転体2)をエアケース1に押さえ付けた状態であるが、走行部材9の支持車輪7,7がエアケース1のガイド溝14,14に支持されており、回転体2がエアケース1のスリット11から所定深さ寸法H侵入した状態に保たれる。
【0021】
そして、真空引きによるエア吸込力により、吸盤部材39でワークWを吸着した後、走行部材9をエアケース1に沿って移動させる場合の作用について説明する。
先ず、エアホース37を上述した図示省略の巻上装置で、ワークWを持ち上げる。そして、図2,図3 ,図4,図6に於て、走行部材9を、アクチュエータ等で駆動させて、例えば側面視の右側(矢印60の方向)に移動させる場合、回転体2は、その非侵入円弧部25が密封ベルト3の裏面(エアケース1側の面)に密着しつつ、矢印61のように回転軸心L2 廻りに反時計回りに回転し、かつ、一対のローラ5,5は、矢印62,62のように回転軸心L5 廻りに時計回りに回転する。また、回転体2の回転に関わらず、エア流入防止部材42,42は、回転体2とエアケース1のスリット11との間の隙間と、図6で示した上記隙間32を常時閉鎖した状態で、エアケース1に沿って移動する。
よって、密封ベルト3によってエアケース1の内部13と回転体2の内部が密封状態に保たれたまま、走行部材9がエアケース1に沿って移動可能となる。また、図7に示したように、振れ止めローラ6,6がエアケース1のガイド溝14,14に左右から当接して回転するので、走行部材9は左右に振れずに走行する。走行部材9の移動可能ストロークはガイドケース17の両端間(閉じ部材15手前から端部ケース18手前)の範囲にわたる。
そして、吸盤部材39でワークWを吸着したまま、走行部材9を所望の位置まで移動させたら、ブロワ47の真空引きを止めて、吸盤部材39からワークWを離脱させる。
なお、走行部材9を反対側に移動させる場合には、回転体2と一対のローラ5,5は夫々反対方向に回転する。
【0022】
また、図2,図3に於て、エアケース1のガイド溝14には長手方向にわたって複数の小孔16…が所定ピッチで貫孔されており、上記の真空引きによって、エアが小孔16…から内部13へ吸い込まれる。従って、支持車輪7,7がガイド溝14を回転しながら走行して摩耗によりゴム屑等の粉状物65…が発生しても、小孔16…を通って、内部13に吸い込まれるため、クリーンルーム等のように粉状物65を空気中に混入させたくない場所での使用が有効である。
【0023】
また、図8に示した往復ガイド構造体の場合も、図1〜図7で説明したと同様の使用方法で用いられ、V型ローラ56,56がレール55を挟んで走行するので、走行部材9はスムーズに走行自在である。
次に、図9に示した往復ガイド構造体については、リニアガイド機構51により、走行部材9をエアケース1に沿って高精度に走行させることが可能となる。また、図9の走行部材9については、回転体2が軸心L2 方向に2つのエア吸込口20,20を有しており、左右にエアホース37,37を取付けて、2つの吸盤部材39,39(図1参照)によりワークWの搬送が可能となる。
【0024】
なお、端部ケース18を支柱に旋回自在に取付けて、エアケース1を鉛直軸心廻りに水平方向に揺動するように構成してもよい。また、エアケース1を、スリット11が横方向に開口状となるよう鉛直方向に配設してもよく、従来のフレキシブルホースを用いたものと違い、走行部材9の鉛直方向の移動も容易である。
【0025】
また、1つのエアケース1に複数台の走行部材9…を移動自在に設けても、共通のブロワ47の真空引きによって、各走行部材9がエアケース1の内部13へ吸込力を受けるので、各吸盤部材39からエアを吸引させることができる。このように、1つのエアケース1と1台のブロワ47だけしか設けていないにも関わらず、複数台の走行部材9…でエア吸込作業を行い得て、広い作業場で用いる場合等に有効であると共に、コスト削減にもなる。これに対し、従来のようなフレキシブルホースをレールに沿わせて伸縮させる装置に於て、1つのレールに複数の往復部材を設けるとすれば、ホース同士が絡みつく虞れがあり、また、1本のホースに対し1台の真空装置を要するので装置自体の構造が複雑かつコスト高となる。
【0026】
そして、本発明に於ては、エアケース1を設置した後で、走行部材9を取付けることができるものなので、大型化を図るのが容易である。
なお、内部が中空の角パイプ材が既設され、真空装置(ブロワ)が取付けられていれば、このパイプ材に上述のようなスリット11を形成し、本発明の走行部材9を取り付けることにより、本発明の往復ガイド構造体を容易に形成できる。
また、図1に於て、エアホース37の先端に、吸盤部材39に替えて、掃除機や集塵機の吸込口や各種吸込ホースと部品を取り付けることで、移動自在な掃除装置にすることができる(図示省略)。また、図1〜図3,図9に於て、67は、走行部材9に取付けられて回転体2及びローラ5,5を覆うカバー部材であり、回転体2・ローラ5,5・ベルト3に埃等が積もるのを防ぐものである。
なお、図示省略するが、回転体2は上述のものに限定されず設計変更自由である。即ち、回転体2が、2枚の平行な側円板部と外周壁部とから成る中空円盤部材と、円盤部材の両側円板部から側方へ同一軸心L2 方向へ一体に突設された円筒部27,28とを具備する。かつ、外周壁部に多数の孔部を開口して、エア排出部21を形成すると共に、一方の円筒部27の内部と円盤部材の中空内部とを連通状とすることで、円筒部27の先端のエア吸込口20から吸い込んだエアが、エア排出部21から排出されるように構成する。
【0027】
以上のように、本発明に係る往復ガイド構造体は、真空引き用のエア排出口12を有しかつ一面10にスリット11が形成された中空エアケース1と、エアケース1に沿って移動自在に配設される走行部材9と、を備え、走行部材9は、側方開口状のエア吸込口20を有しかつエア吸込口20と内部で連通したエア排出部21を外周部22に有すると共に回転しつつ外周部22の一部の侵入円弧部24がエアケース1のスリット11に侵入した状態で移動して吸込口20から吸い込んだエアがエアケース1の内部13へと送られる回転体2を具備し、さらに、回転体2の外周部22の侵入円弧部24を除く非侵入円弧部25に対応したエア排出部21の開口範囲21aと、エアケース1の一面10のスリット11における走行部材9を除いた開口範囲11aとにわたって閉鎖する密封ベルト3を備えたものなので、エア吸込用フレキシブルホース等が備わっていなくても、エア吸込口20を有する走行部材9を移動自在に走行させることができ、ホースが絡んで移動が妨げられるような虞れが無く、耐久性にも優れる。しかも、ホースが撓んで邪魔となるような状況も無いので、装置全体の構造をシンプルにすることができる。また、回転体2がエアケース1の一面10上を回転しつつ移動するので、走行部材9の移動が非常にスムーズになり、作業性が良い。
また、走行部材9のエア吸込口20に、吸盤部材39を有するエアホース37を接続することで、ワークWを吸着して搬送することが可能であり、あるいは、掃除機用吸込口を設けることで、移動式の掃除装置にすることができる等、多用途に用いることができる。
また、回転体2の外周部22がエアケース1のスリット11に入り込んだ状態で移動するので、回転体2の内部空間と、エアケース1の内部13とを常時通じた状態に保つことができ、回転体2のエア吸込口20からエアを確実に吸い込むことができる。
そして、密封ベルト3が、回転体2の開口範囲21aと、エアケース1の開口範囲11aとにわたって閉鎖するので、回転体2の内部とエアケース1の内部13が、確実に、常時密封状態に保たれて、エアケース1内のエア吸込力を全て、回転体2のエア吸込口20に集中させることができ、漏れなく吸い込むことができる。よって、ワークW搬送用に用いる場合、ワークWを強く吸着することができ、搬送中に落下するようなことがない。
また、密封ベルト3は吸込力で強く閉鎖するので、シール機能が増し、密封状態が一層確実に保たれる。
また、エアケース1を、水平方向だけでなく、鉛直方向に設けたり、あるいは、旋回可能となるように設けても、エア吸込口20からエアを吸込ませながら、走行部材9を移動自在に走行させることができるので、様々な作業場所や作業用途に用いることができる。
【0028】
また、走行部材9は、回転体2の前後に配設され密封ベルト3をエアケース1のスリット11の開口範囲11aを閉鎖する状態から、回転体2の開口範囲21aを閉鎖する状態へ方向転換する一対のローラ5,5と、ローラ5,5と回転体2を平行な軸心L5 ,L2 廻りに回転自在に保持する保持部材4と、を具備するので、密封ベルト3がスリット11の開口範囲11aと、回転体2の外周部22とを確実に閉鎖した状態に保ちながら、走行部材9をスムーズに移動させることができる。よって、簡素な構成でありながら、搬送作業をスムーズに行うことができる。
【0029】
また、走行部材9は、保持部材4に取付けられエアケース1の一面10と回転体2に連続状に近接してエアがスリット11を通ってエアケース1の内部13に流入する流量を減少させるエア流入防止部材42を具備したものなので、回転体2とエアケース1のスリット11との隙間を減少させることができ、エアケース1内及び回転体2の内部へのエアー流入量を規制できる。また、エア流入防止部材42は保持部材4に取り付けられており、走行部材9に伴って移動するので、エアー流入規制を確実に保つことができる。
【0030】
また、エアケース1は、長手方向のガイド溝14が形成され、かつ、走行部材9は、保持部材4に取付けられエアケース1のガイド溝14に沿って走行する支持車輪7を備え、さらに、エアケース1のガイド溝14には、長手方向にわたって複数の粉状物吸込用の小孔16が貫孔されているので、エアが小孔16…を通してエアケース1の内部13へ吸い込まれる。よって、支持車輪7,7がガイド溝14を走行中、摩耗してゴムの屑等の粉状物65…が発生しても、粉状物65…が小孔16…を通って、内部13に吸い込まれるため、外部の空気をクリーンに保つことができる。よって、クリーンルーム等で使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る往復ガイド構造体の実施の一形態を示す側面図である。
【図2】要部側面図である。
【図3】断面図であって、(a)は図2のA−A断面図であり、(b)は要部拡大断面図である。
【図4】図1のZ−Z拡大断面図である。
【図5】図2のB−B断面図である。
【図6】図3のD−D断面図である。
【図7】図2のC−C断面図である。
【図8】本発明に係る往復ガイド構造体の他の実施の形態を示す要部正面断面図である。
【図9】本発明に係る往復ガイド構造体の別の実施の形態を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 エアケース
2 回転体
3 密封ベルト
4 保持部材
5 ローラ
7 支持車輪
9 走行部材
10 一面
11 スリット
11a 開口範囲
12 エア排出口
13 内部
14 ガイド溝
16 小孔
20 エア吸込口
21 エア排出部
21a 開口範囲
22 外周部
24 侵入円弧部
25 非侵入円弧部
42 エア流入防止部材
2 軸心
5 軸心
【出願人】 【識別番号】502076213
【氏名又は名称】益岡 慶文
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣


【公開番号】 特開2008−7241(P2008−7241A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177756(P2006−177756)