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【発明の名称】 人工衛星搭載用太陽電池パネル、及び人工衛星
【発明者】 【氏名】正井 卓馬

【要約】 【課題】人工衛星に搭載される太陽電池パネルと、展開大型アンテナの質量を軽減することを目的とする。

【解決手段】表面に太陽電池セル10が配列され、裏面に導電面が形成された複数の太陽電池パネル1と、太陽電池パネル間を展開可能に連結するヒンジ2を備え、太陽電池パネル1が展開した状態で、各太陽電池パネル1の導電面が近似的にアンテナ反射鏡面を形成するように、ヒンジ2が太陽電池パネル間に角度差を有して保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面に太陽電池セルが配列され、他方面に導電面が形成された複数の太陽電池パネルと、
上記太陽電池パネル間を展開可能に連結する複数の回転ヒンジと、
を備え、
上記回転ヒンジは、隣接する回転ヒンジとの間で上記太陽電池パネル間に異なる角度差を有して保持する人工衛星搭載用太陽電池パネル。
【請求項2】
上記回転ヒンジは、上記太陽電池パネルが展開した状態で、各太陽電池パネルの導電面が近似的にアンテナ反射鏡面を形成する角度に、上記太陽電池パネルを保持することを特徴とした請求項1記載の人工衛星搭載用太陽電池パネル。
【請求項3】
一方面に太陽電池セルが配列され他方面に導電面が形成された太陽電池パネルと、
上記太陽電池パネルを、上記一方面が太陽を向く方向と上記他方面が地球を向く方向に回転させる制御装置と、
上記太陽電池パネルの導電面が地球を向いたときに、上記太陽電池パネルの他方面に電波を給電する給電ホーンと、
を備えた人工衛星。
【請求項4】
上記太陽電池パネルの太陽電池セルが地球を向いたときに、太陽電池セルの供給電力を充電する蓄電装置を備えたことを特徴とする請求項3記載の人工衛星。
【請求項5】
上記太陽電池パネルが衛星構体の両側に配置され、上記給電ホーンが上記太陽電池パネルの他方面を指向して、オフセットパラボラアンテナが形成されることを特徴とする請求項3または請求項5記載の人工衛星。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、人工衛星に電力を供給する太陽電池パネル、及び太陽電池パネルを備えた人工衛星に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星は、ロケットやスペースシャトルにより地球の軌道に打ち上げられ、この軌道を周回しながら地球上の陸域、海域、あるいは大気の観測、または他天体の観測を行い、地上局に対して各種の観測データの送信や、地上長距離間或いは辺境地への通信や放送に用いる電波の受け渡しを行っている。特に、地球軌道を周回する人工衛星と地上の基地局間には、一般に障害物がなく又は少ないので、地上における無線通信等に比較して良好な通信が可能である。
【0003】
斯かる人工衛星は、その使用目的に応じて地球観測センサ及び他天体観測センサ等の各種センサおよび地上の基地局との間の無線通信等のための各種のエレクトロニクス回路が内蔵されている。これらエレクトロニクス回路が所定の機能を果たすには、これらエレクトロニクス回路を構成する能動デバイス等に動作電力を供給する必要がある。
【0004】
人工衛星が内蔵するエレクトロニクス回路を正常動作させるための動作電力は、人工衛星の運用期間が短期間の場合には電池等から供給可能である。しかし、運用期間が長い場合には、内蔵電池を充電する必要がある。そのために、人工衛星には太陽電池パネルを搭載し、斯かる太陽電池パネルに入射する太陽光エネルギーによる起電力により内蔵電池を充電するのが一般的である。
【0005】
また、人工衛星には、地上の基地局との通信、他衛星間との通信、あるいは地上に向けての衛星放送のため、衛星−地上間、衛星−衛星間、地上−衛星−地上間の長距離を電波による送受信を行うため、指向性アンテナを具備しているのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如く、従来の人工衛星は、電力を供給するための太陽電池パネルと、通信、放送のためのアンテナを具備している。最近の人工衛星は、使用者の要求と技術の進歩により、搭載されるエレクトロニクス回路が高性能化し、それに伴ってより大電力を必要とするようになってきている。また、エレクトロニクス回路の高性能化により、各種センサでは取得できる情報量が増加し、様々な波長の電波を使用するようになってきている。
【0007】
このような状況の中で、より大電力を供給するために太陽電池パネルはより大型化し、より大型のアンテナが人工衛星に搭載されるようになってきた。一方、人工衛星は打上げロケットやスペースシャトルの搭載スペースの制約から、ある体積以上の製品は搭載することができず、打上げ時にはコンパクトに収納し、軌道上で大型太陽電池パネルや大型アンテナを展開している(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−302100号公報(第4−5頁、第1図、第3図)
【0009】
しかし、従来の太陽電池パネルや大型アンテナは質量が大きい。宇宙空間に物体を打ち上げるという観点からすると、人工衛星の質量は小さい方が望ましく、これらの質量は無視し得ないという問題があった。
【0010】
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、人工衛星に搭載される太陽電池パネルと展開大型アンテナの質量を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明による人工衛星搭載用太陽電池パネルは、一方面に太陽電池セルが配列され、他方面に導電面が形成された複数の太陽電池パネルと、上記太陽電池パネル間を展開可能に連結する複数の回転ヒンジとを備え、上記回転ヒンジは、隣接する回転ヒンジとの間で上記太陽電池パネル間に異なる角度差を有して保持するものである。
【0012】
また、上記回転ヒンジは、上記太陽電池パネルが展開した状態で、各太陽電池パネルの導電面が近似的にアンテナ反射鏡面を形成する角度に、上記太陽電池パネルを保持するものであっても良い。
【0013】
また、この発明による人工衛星は、一方面に太陽電池セルが配列され他方面に導電面が形成された太陽電池パネルと、上記太陽電池パネルを、上記一方面が太陽を向く方向と上記他方面が地球を向く方向に回転させる制御装置と、上記太陽電池パネルの導電面が地球を向いたときに、上記太陽電池パネルの他方面に電波を給電する給電ホーンと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、太陽電池パネルの裏面をアンテナとして利用することで、人工衛星に搭載される太陽電池と大型アンテナを共用することができ、人工衛星搭載機器の質量を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
本発明に係る実施の形態1は、人工衛星における電力供給に用い、衛星本体から外方へ伸びる太陽電池パネルを、通信或いは放送に使用する大型アンテナとして用いることを特徴とする。
以下、実施の形態1による人工衛星の太陽電池パネルについて、図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、実施の形態1による人工衛星の太陽電池パネルの展開状態を示す図である。この太陽電池パネルは、衛星構体4における側面外方に延在した複数の太陽電池パネル1から構成される。太陽電池パネル1の表面(一方面)には複数の太陽電池セル10が取り付けられている。太陽電池パネル1の裏面(他方面)には導電面が形成されている。
【0017】
太陽電池パネル1は、夫々のパネル間がヒンジ2を介在して連結されている。ヒンジ2は、太陽電池パネル1の展開時に、その展開動作の回転軸を構成するとともに、太陽電池パネルの展開角度を調整し、パネル面の法線方向を決定している。ヒンジ2は、巻きばね(図示せず)によって駆動され、回転軸を中心に回転する展開動作を行う回転ヒンジである。また、ヒンジ2は、展開途中でラッチアップピン(図示せず)がラッチアップガイド(図示せず)の摺動面上を摺動し、所定角度まで回転した段階で、ラッチアップピンがラッチアップガイドの溝に落ち込み係合する。これによって、ヒンジ2は所定角度で回転動作が停止し、その状態が保持される。このような展開ラッチ機構の構成については、例えば特公平7−55679号公報に詳述されているが、その構成はこれに限られたものではない。
【0018】
衛星構体4側の根元の太陽電池パネル1は、太陽電池パネル駆動機構27を介して、衛星構体4に対して回転可能に軸支されている。太陽電池パネル駆動機構27は、衛星構体4に取り付けられた回転アクチュエータや2軸の回転軸や駆動制御装置で構成され、太陽電池パネル1とともに太陽電池パドルを構成する。太陽電池パネル1は、太陽電池パネル駆動機構27によって根元の太陽電池パネル1のパネル面内で直交する2軸の周りを回転する。太陽電池パネル駆動機構27は、例えば特開2002−145200号公報に記載されるように、回転軸がキャントしたものであっても良い。衛星構体4は、人工衛星搭載機器を収納する、もしくは外方に取り付けるための、六面体形状や円筒形状の構造体である。衛星構体4における上面の地球指向面13には、支持部20を介して給電ホーン(アンテナ一次放射器)5が取り付けられている。
【0019】
なお、図1は、太陽電池パネル1及び給電ホーン5が衛星構体4の片側のみに設けられた図を示しているが、太陽電池パネル1及び給電ホーン5は衛星構体4の両側に設けても良い。寧ろ、人工衛星50の重心バランスを考えると、衛星構体4における地球指向面13に垂直な中心線に対し、太陽電池パネル1及び給電ホーン5が衛星構体4の両側に設けられた方が望ましい。
【0020】
太陽電池パネル1は、図1に示すように各パネル間に角度差を有して結合されている。この角度差は、或るヒンジ2で結合される太陽電池パネル間と、そのヒンジ2に隣接する他のヒンジ2で結合される太陽電池パネル間とで、角度差が異なるように成されている。このヒンジ2の固定角度により、複数の太陽電池パネル1の裏面により構成される面は、大型アンテナにおける所望のアンテナ反射鏡面を形成する曲面3の、近似面となっている。この際、給電ホーン5は太陽電池パネル1の裏面を指向する。また、太陽電池パネル1と、給電ホーン5および支持部20を取り付ける地球指向面が13、地球を指向するように、人工衛星50の姿勢が制御される。このことにより、人工衛星50の地球指向面13上に設けられた給電ホーン5と、太陽電池パネル1によって、擬似的に大型アンテナが構成される。この擬似的な大型アンテナでは、給電ホーン5から送信される電波が、夫々の太陽電池パネル1裏面の導電面で反射され、集光されて、アンテナ焦点6に向けて電波7が送信される。また、地球から送信された電波は、太陽電池パネル1裏面の導電面で反射され、集光されて、給電ホーン5に受信される。
なお、図の例において、太陽電池パネル1における電波の反射面は、先端側に配置された太陽電池パネル1から、根元側に配置された太陽電池パネル1上のP点に至るまでの領域で構成されている。
【0021】
次に、太陽電池パネル1の詳細を図2に示す。
図において、太陽電池パネル1は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を表皮材8、80とし、アルミハニカムコアを芯材9として、芯材9を表皮材8と表皮材80で挟み込んだサンドイッチ板で構成される。また、太陽電池パネル1の表面には、炭素繊維強化プラスチック製の表皮材80の表面に、太陽電池セル10を貼り付けた構造となっている。太陽電池パネル1の裏面は、表皮材8によって導電面が構成される。この際、表皮材8、80は、炭素繊維強化プラスチックの素地に、誘電体ガラスや樹脂がコーティングされていてもよい。
【0022】
図3は、太陽電池パネル1の取り付けられた人工衛星の構成を示す図であり、(a)は人工衛星の機能構成図、(b)は統合制御装置のスイッチ切り換え処理を説明するための図である。
【0023】
図3(a)において、人工衛星50は、太陽センサ21と、地球センサ22と、通信装置23と、ミッション機器24と、ミッション機器動作/非動作検出装置25と、統合制御装置26と、姿勢制御装置30と、太陽電池パネル駆動機構27と、太陽電池パネル1と、電源装置28を備える。太陽センサ21は光センサを用いて太陽に対する人工衛星50の姿勢角を計測する。地球センサ22は磁気センサや赤外線検出器等を用いて、地球に対する人工衛星50の姿勢角を計測する。通信装置23は人工衛星の各搭載機器を統合制御する。
【0024】
通信装置23は、給電ホーン5や、太陽電池パネル1により形成される擬似的な大型アンテナや、送受信機(図示せず)、及び通信制御装置(図示せず)によって構成される。給電ホーン5は、送受信機から送出される電波を太陽電池パネル1により形成される擬似的な大型アンテナに向けて放射し、逆に擬似的な大型アンテナで受けた電波を送受信機に送出する。送受信機は通信制御装置によって通信制御が行われる。ミッション機器24で生成される地上に伝送するための伝送信号は、送受信機にて周波数変換され、周波数変換された送電波が給電ホーン5に給電される。また、地上から送信されたコマンド信号は、給電ホーン5で受けた後、送受信機にて復調され、統合制御装置26に送られる。統合制御装置26は、このコマンド信号に基づいて人工衛星の各種制御を行うとともに、ミッション機器24に対してコマンド指令を生成する。姿勢制御装置30は、人工衛星50の姿勢を所望の状態に維持するように制御する。
【0025】
ミッション機器24は、合成開口レーダ、赤外線センサ、画像センサ、マイクロ波放射計等のセンサ機器や、測位信号送信機や、トランスポンダを用いて衛星放送、衛星通信を行う通信機器等で構成される。ミッション機器24は、地球観測ミッションを行う観測センサとして用いられる場合、統合制御装置26で生成されるコマンド指令に基づいて、地上の観測画像や地上の観測温度等を自動計測し、計測したデータから伝送信号としてテレメトリ信号を生成する。或いは、衛星放送や衛星通信のミッションに用いられる場合、伝送信号として、地上局から送信される電波を中継して別の地上局や地上通信端末に放送したり、地上局や地上通信端末との間で衛星通信を行うための通信信号を生成する。または、衛星航法測位衛星としてのミッションに用いられる場合、伝送信号として、GPS衛星のようにS帯やL帯の航法測位用の測位信号を生成する。ミッション機器24は、所定のミッションを実行中に、動作状態であることを示すテレメトリ情報を発信する。
【0026】
ミッション機器動作/非動作検出装置25は、ミッション機器24から出力されるテレメトリ情報に基づいて、ミッション機器24が動作状態にあるか、非動作状態にあるかを検出し、その状態を統合制御装置26に送出する。太陽電池パネル駆動機構27は、統合制御装置26からの回転指令に従い、太陽電池パネル1を回転指令に基づいた所望の角度に回転させるように、回転駆動制御を行う。電源装置28は、リチウムイオンバッテリやバッテリ制御装置を備えて構成され、太陽電池パネル1が太陽光を捉えて発生する電力を蓄電する。また、電源装置28は蓄電した電力を放電し、太陽電池パネル駆動機構27や統合制御装置26や通信装置23やミッション機器24等の各人工衛星搭載機器に供給する。
【0027】
図3(b)において、ミッション機器動作/非動作検出装置25は、ミッション機器24が動作状態にあるか否かを検出し、検出結果に基づいて、次に説明するミッション動作時と非動作時の切り換え処理を行う。
【0028】
ここで、ミッション機器24が動作状態にある場合、統合制御装置26は地球指向制御プログラムを起動し、地球指向制御処理を実行する。この地球指向制御プログラムでは、地球センサ22で計測される地球に対する人工衛星の指向角度(姿勢角)に基づいて、人工衛星50の地球指向面13を地球方向に向けるように、姿勢制御装置30が人工衛星の姿勢を制御する。この状態で、太陽電池パネル1の裏面(導電面側の面)が地球を向くように、太陽電池パネル駆動機構27に回転指令を与える。この状態で、統合制御装置26により電源装置28が制御され、電力が通信装置23に給電される。また、統合制御装置26により通信装置23が制御され、給電ホーン5は太陽電池パネル1の裏面との間で電波を給電する。
なお、太陽電池パネル1は、人工衛星50における衛星構体4の両側に設けられており、何れの太陽電池パネル1も、給電ホーン5とともにオフセットパラボラアンテナを構成する。
【0029】
次に、ミッション機器24が非動作状態にある場合、統合制御装置26は太陽指向制御プログラムを起動し、太陽指向制御処理を実行する。この太陽指向制御プログラムでは、太陽センサ21で計測される太陽に対する人工衛星の指向角度(姿勢角)に基づいて、太陽電池パネル1の表面(太陽電池セル10側の面)が太陽光を受光できるように、太陽電池パネル駆動機構27に回転指令を与える。この際、姿勢制御装置30は、太陽センサ21で計測される姿勢角に基づいて人工衛星50の地球指向面13を地球方向に向けるように、人工衛星50の姿勢を制御しても良い。この状態で、統合制御装置26により電源装置28が制御され、太陽電池パネル1の太陽電池セル10で発電された電力が電源装置28に蓄電される。
【0030】
次に、この実施の形態1の動作形態について、更に説明する。
太陽電池により発電をする場合は、太陽電池パネル1の表面を使用して、太陽電池セル10を貼り付けた面を太陽11に向ける。この場合のコンフィギュレーションを図4に示す。
【0031】
また、大型アンテナを用いて通信或いは放送を行う場合は、太陽電池パネル1の裏面(表皮材8の導電面)を使用して、この面で形成されるアンテナ反射鏡面の焦点が通信方向12を向くように、太陽電池パネル駆動機構27を駆動して太陽電池パネルの表裏の反転を行う。太陽電池パネル1を大型アンテナとして使用する場合のコンフィギュレーションを図5に示す。通信方向12には、地上局や、通信または放送サービスや、センサ機器が地球観測を行うためのサービスエリアが設けられている。
【0032】
図6は、人工衛星50の軌道上における、太陽電池パネル1の姿勢状態を示す図である。ここでは、人工衛星50のミッション機器24が、放送、通信、地球観測、測位信号配信などの所定の衛星ミッションを実行する場合を例にして説明する。この際、衛星軌道40上で、人工衛星50が、このミッションを行うべきサービスエリア100の上空を通過し、衛星ミッション動作期間Kにある場合にのみ、太陽電池パネル1の裏面を、サービスエリア100内の通信方向に向けることを想定し、説明を行う。但し、サービスエリア100は日陰にあるものとする。
【0033】
図において、人工衛星50が、衛星軌道40上における位置A、B、E、Fに存在するとき、人工衛星50はサービスエリア100から離れた位置を航行しており、所定の衛星ミッションを実行できない状態にある。この場合、統合制御装置26が太陽電池パネル駆動機構27を制御して、太陽電池パネル1の表面(太陽電池セル側の面)が太陽11の方を向くように、太陽電池パネル1の方向を回転させ、パネル面を太陽の方向Gに傾斜させる。これによって、太陽電池パネル1の発電した電力が電源装置28のバッテリに蓄電される。
【0034】
次に、人工衛星50が、衛星軌道40上における位置C、Dに存在し衛星ミッション動作期間Kにあるとき、地上局からのコマンド送信により、人工衛星50が所定の衛星ミッションの実行を開始する。この際、ミッション機器動作/非動作検出装置25によって、ミッション機器24が動作状態にあることが検出されると、統合制御装置26が太陽電池パネル駆動機構27を制御して、太陽電池パネル1の裏面(導電面)が地球を向いて、その通信方向Hがサービスエリア100を捉えるように、太陽電池パネル1の方向を回転させる。この際、電源装置28のバッテリに蓄電された電力が、統合制御装置26や太陽電池パネル駆動機構27や通信装置23やミッション機器24などに供給される。
【0035】
なお、人工衛星50の軌道によっては、通信や放送を実施する期間がその運用期間の一部分であるものもある。例えば、8の字軌道を描く準天頂衛星は、1日1回8時間だけ、日本上空に滞在しており、この期間だけ、通信或いは放送を行う。それ以外の時間は通信、放送を実施しないので、太陽電池パネル1を反転し、太陽方向に向けて発電を行い、電源装置28におけるリチウムイオンバッテリを用いた高効率の充電池に、電力を充電しておくことで、太陽電池パネル1を大型アンテナとして使用する際に、効率の良い発電が行えない期間の電力を賄うことができる。
勿論、サービスエリアが日陰ではなく、日向(図6の位置A、B、E、F)にある場合であっても、太陽電池パネル1裏面による大型アンテナを用いて、同様にして衛星ミッション動作を行うことができることは、言うまでもない。
【0036】
以上説明した通り、この実施の形態による太陽電池パネルは、太陽電池パネル駆動機構27により太陽電池パネル1を回転するだけで、太陽電池パネルと大型アンテナとを切り換えて使用することができるので、宇宙展開構造物の利用効率が良く、なおかつ人工衛星搭載機器の質量を軽減することができる。延いては、宇宙空間に人工衛星を打ち上げる際の打ち上げ重量を軽減することができる。
【0037】
また、宇宙空間では、真空であるため、地上における液体潤滑等は蒸発してしまうので、使用できなく、固体潤滑に頼らざるを得ない。特に、日昇と日陰で急激な温度差があり、液体の凝結等も起こる過酷な環境である。さらに宇宙線に暴露され物質の変性も発生する。これらの理由により、軌道上における太陽電池パネルや大型アンテナ等の展開構造物の展開動作は、展開動作中の部品間の固着等を起す可能性もあり、リスクを伴う動作である。
【0038】
しかしながら、この実施の形態では、太陽電池パネルと大型アンテナを共用化しているので、展開時のリスクを半分に低減できる。また、太陽電池パネル1を、人工衛星50における衛星構体4の両側に設けることにより、冗長系を構成することも可能となるので、大型アンテナの展開信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1による人工衛星の太陽電池パネルの展開状態を示す図である。
【図2】実施の形態1による人工衛星の太陽電池パネルの詳細図である。
【図3】実施の形態1による人工衛星の機能構成を示す図である。
【図4】実施の形態1による人工衛星の太陽電池パネルの使用状態を示す図である。
【図5】実施の形態1による人工衛星の太陽電池パネルを大型アンテナとして使用する状態を示す図である。
【図6】実施の形態1による人工衛星の軌道上における太陽電池パネルの姿勢角を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 太陽電池パネル、2 ヒンジ、4 人工衛星構体、5 給電ホーン(一次放射器)、8 表皮材(導電面)、9 芯材、10 太陽電池セル、11 太陽、13 地球指向面、15 地球、27 太陽電池パネル駆動機構、50 人工衛星。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成19年3月8日(2007.3.8)
【代理人】 【識別番号】100113077
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 省吾

【識別番号】100112210
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 忠彦

【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子

【識別番号】100128060
【弁理士】
【氏名又は名称】中鶴 一隆


【公開番号】 特開2008−221876(P2008−221876A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−58657(P2007−58657)