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【発明の名称】 自在輪のブレーキ
【発明者】 【氏名】岡本 耕一

【氏名】岡本 暢子

【氏名】岡本 耕太郎

【氏名】岡本 真理子

【要約】 【課題】手押し車の自在輪にとりつけられる取手から手を離すと効くブレーキを提供する。

【解決手段】ブレーキシューを車輪に押し付けるのではなく、車輪の回転がブレーキシューの回転に伝わり制動力を大きく成長させる手法で、ブレーキを押さえる力が要らないだけでなくブレーキシューの磨耗が少ないことを特長とする。ブレーキシューが環状のベアリングケースの内側の円錐状の空間を車輪外周に沿って移動し、台座下面と車輪との間で車輪の正転にはレバーとなって逆転にはクサビとなって車輪の回転を止める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座を中心に車輪枠が回転する自在輪の旋回をつかさどる部分に環状のベアリングケースを使用し、その内側には円錐状の空間があって、取り付け座から車輪にいたる貫通穴があり、台座にヒンジによって取り付けられるプレートの中央にあいた円形の穴の上にとどまる鋼球から下面に球面の一部を持つブレーキシューを吊り下げて、鋼球とブレーキシューとそれらを連結する円棒からなるブレーキが鋼球の中心を回転中心にして全方向に振り子運動できる空間を円錐状の貫通穴内部に確保し、鋼球を上に載せたプレートを上下に回転することで、ブレーキシューを車輪外周の弾性体のタイヤ部に接触させたり引き離したりして自在輪の回転を止めるブレーキで、ブレーキシューが車輪の外周に接触した後、車輪の回転によりブレーキシューが下側球面を常に車輪外周に接触させながら円錐状の空間の内部を自由に振り子運動に近い運動をして移動し、移動の終点においてブレーキシューが車輪より外方向に遠ざかる運動をするとき、ブレーキシューの上側平面の円周が台座下面に当たり、台座下面に当たった場所を中心にブレーキシューが回転し、ブレーキシューの反対側がテコの原理で車輪を押さえて車輪の回転を止めるようにし、ブレーキシューが車輪より内方向に入り込む運動をするとき、ブレーキシューの片側が台座下面と車輪との間に入り込みクサビとなって働き、車輪の回転がブレーキシューを巻き込み、ブレーキシューが車輪を押さえて車輪の回転を止めるようになる自在輪のブレーキ
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
自在輪のブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシューを車輪に押し付けるのではなく、車輪の回転がブレーキシューの回転に伝わり、ブレーキシューの回転によって制動力を大きく成長させる手法で、ブレーキを押さえる力が要らない手法は、すでに特許文献1請求項10と図19において、吊り下げられたブレーキが車輪に接触し車輪の回転と共に当たり、更には回転をロックする突起が車輪に食い込み、車輪の回転をロックする手法が公開されている。
【0003】
また上記の回転するブレーキシューを取手によって上下に動かし、車輪から引き離したり接触させたりする機構は、特許文献2請求項8と図12において公開され、取手から手を離すとカートを動かない状態にするブレーキに利用されている。ブレーキシューの回転と共に制動力が増すためには、車輪とブレーキシューの回転軸が固定される必要があり、特許文献3請求項6と図18において、これについての解決方法が発明された。回転するブレーキシューが折れ曲がるアームに取り付きアームが折れ曲がり、ブレーキシューを車輪から離しアームが一直線のとき、車輪に接触させる手法である。
【0004】
更に特許文献4請求項2と図10において発明されたように、回転体を取り付けるアームが動かないようにするのではなく、ブレーキシューの回転によってアームを動かない位置に移動させるようにして、ブレーキシューの回転軸の位置を固定する装置を省略した。
【0005】
以上に回転しながら制動力を増すブレーキシューを、固定輪だけではなく自在輪にも取り付けた例として、特許文献3図19に紹介された。これは車輪枠にこのブレーキを取り付けるもので、ブレーキ自体が大きな円を描いて動くため、ブレーキを入り切りする装置はこの円外の円周全体としている。ブレーキ装置を車輪枠に取り付けた場合、装置は車輪と共に回転するが、ブレーキ装置が車体に取り付きブレーキシューが単に上下するだけの構造が、特許文献5に考案されている。
【特許文献1】特開2004−182217
【特許文献2】特開2006−193135
【特許文献3】特願2006−172733
【特許文献4】特願2006−277108
【特許文献5】実案第3068735号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
旋回する車輪に、ブレーキシューが車輪の向く方向に関係なく車輪に接触する機会を得るには、特許文献5のブレーキシューのように、車輪の旋回軸に対して直角な円盤であり、車輪との接触面を線から面にするためには、円盤外周を球面の一部にする必要がある。
【0007】
特許文献5は、旋回軸が軸芯である取り付けボルトの貫通穴内を上下する円棒の先に、ブレーキシューが取り付き、ブレーキシューを車輪が押さえることで回転を止めるもので、円棒が上下するだけで円棒が旋回軸から外れて動き回るものではない。円棒と貫通穴の間に間隔があり、両者にガタツキがあると、車輪の回転じにブレーキをかけるとき、円棒に軸に直角な方向の力が加わり、円棒が貫通穴の中で変形し、円棒と貫通穴との間に摩擦が生じ、円棒の上下の動きが悪くなり、ブレーキシューの上下の動きも悪くなる。
【0008】
特許文献1〜4のブレーキシューが動き回る手法を自在輪に応用するには、特許文献5の円盤が車輪枠内を自由に動き回り、その動きの終点が車輪の回転を止めるに至るようにする必要がある。ブレーキシューの上下の動きを車輪枠の外から操作するとき、特許文献5のように、円棒の上下の動きを貫通穴の中に限定し軸に直角な方向の動きを拘束するのではなく、また特許文献4のように吊り下げたブレーキシューの振り子運動を車輪を含む平面内に限るのではなく、ブレーキシューを吊り下げる円棒の上端の水平面内の動きだけを拘束し、中心を回転中心にして全方向に振り子運動できる空間を確保する円錐状の貫通穴が必要となる。
【0009】
自在輪においては旋回軸が車輪の中心を通らないので、旋回軸に沿ってあけられた空間からブレーキシューを吊り下げた場合、ブレーキシューの回転中心と車輪の回転中心を結ぶ直線が、鉛直線ではないので車輪の回転方向によって異なる課題が生じる。旋回軸のあとに車輪が続く場合の車輪の回転を正転とし、車輪のあとに旋回軸が続く場合の車輪の回転を逆転とするとき、車輪の回転の接線方向の動きがなく単に車輪を上から押さえつける特許文献5のような手法では、車輪を上から押さえつける力の方向が車輪の回転軸に向かわないので、車輪の正転時にはブレーキシューが車輪の外に排斥されるようになって、ブレーキの効きが悪く、車輪の逆転時にはブレーキシューが車輪のなかに引き込まれるようになって、ブレーキの効きがよいと言うような違いがあった。車輪の正転時と逆転時のブレーキは別々に解決手段が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ブレーキシューの上下の動きを車輪枠の外から操作するため、車輪枠内のブレーキシューと枠外の鋼球とそれらをつなぐ円棒が一体となったブレーキを通すための、取り付け座から車輪にいたる貫通穴が必要である。台座を中心に車輪枠が回転する自在輪の旋回をつかさどる部分の環状のベアリングケースは、その内側には円錐状の空間があって、台座にヒンジによって取り付けられるプレートを上下に回転させることにより、車輪枠内部のブレーキシューを車輪に接触させたり離したりして自在輪の回転を止めることができる。またプレートの中央には大きな円形の穴があり、その穴の上に乗せた鋼球から下面に球面の一部を持つブレーキシューを吊り下げて、鋼球とブレーキシューとそれらを連結する円棒からなるブレーキが、鋼球の中心を回転中心にして自由に振り子運動できる空間を円錐状の貫通穴内部に確保することができる。
【0011】
ブレーキシューが車輪の外周に接触した後、車輪の回転によりブレーキシューが下側球面を常に車輪外周に接触させながら、円錐状の空間の内部を自由に振り子運動に近い運動をして移動する。車輪の正転時にブレーキシューが車輪より外方向に遠ざかる運動をするとき、移動の終点においてブレーキシューの上側平面の円周が台座下面に当たり、台座下面に当たった場所を中心にブレーキシューが回転し、ブレーキシューの台座下面に当たった端部の反対側が、テコの原理で車輪を押さえて車輪の回転を止めるようにする。車輪の逆転時にブレーキシューが車輪より内方向に入り込む運動をするとき、ブレーキシューの片側が台座下面と車輪との間に入り込みクサビとなって働き、車輪の回転がブレーキシューを巻き込み、ブレーキシューが車輪を押さえて車輪の回転を止めるようになる。このようにして車輪の正転時と逆転時のブレーキの効きの違いを、別々に解決する自在輪のブレーキを提供する。
【発明の効果】
【0012】
一般に使用されている手押し車には駐車時に車輪にブレーキをかける必要があり、不特定多数の人が使う手押し車には取手から手を離すと効くブレーキがとりつけられる。この手押し車は一箇所に集める際1台ずつ運ぶのではなく、1まとまりにして1度に運ぼうとするため、手押し車は背後から別の手押し車が差し込めるような構造になっている。
【0013】
手押し車の全車輪が自在輪である場合、1まとまりにしたとき手を離すと効くブレーキを解除すれば自由に方向を変えることができるが、前後輪のどちらかが固定輪であるとき、固定輪を接地させたままでは自由に方向を変えることができない。前輪が固定輪であるとき後から差し込む前輪が前の手押し車に乗り上げるようにし、後輪が固定輪であるとき後から差し込む手押し車で前の手押し車の後輪を持ち上げるようにしなければない。前の手押し車に後の手押し車を押し込む場合も抜き取る場合も、前輪が固定輪で後から差し込む前輪が前の手押し車に乗り上げるほうが、力が要らない。
【0014】
手を離すと効くブレーキは取手から遠い固定輪に取り付けやすく、取手に近い自在輪に取り付けにくい。本発明によって手を離すと効くブレーキが自在輪に簡単に取り付けられるようになると、後輪が手を離すと効くブレーキを取り付けやすい固定輪にする必要はなく、前の手押し車から後の手押し車を出し入れしやすくなる。またエスカレータに乗り入れることの出来る手押し車では、前輪が固定輪のほうがエスカレータから脱出時に終点のエンドプレートにつまずきにくく、前輪を固定輪に後輪を自在輪にすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は特許文献4図10に示したブレーキを自在輪に取り付けたもので、1は半円回転体で、2の車輪と同一平面内にある円盤である。その回転の中心P1は円盤外周の円弧の中心より外れた位置にあり、回転中心P1から円弧までの距離は弦に近づく程長くなる。車輪2の外周のタイヤ部はゴムなどの弾性体であり、半円回転体が鋼鉄製でタイヤ部が弾性体でないとき、半円回転体は弾性体になる。
【0016】
3は車輪枠で、接続軸P3にアーム7が取り付き、アーム7に半円回転体が取り付く。Aは環状のベアリングケース部分で、太く塗りつぶして表した部分は台座部4で、中央に大きな筒状の貫通穴Bがあく。ベアリングケースの内側は台座4の延長部分で、動かない円筒である。この台座の円筒部分4の回りは車輪枠3の延長部分で、車輪枠3の延長部はベアリングを介して台座4に取り付き、台座の円筒部分4の中心軸を中心にして車輪枠3が回転する。
【0017】
プレート5は中央に円形穴Cがあき、台座4と接続軸P5にヒンジで取り付けられる。ヒンジにはねじりバネが仕込まれ、プレート5を下に回転させる方向に力が働く。円形穴Cは鋼球6が通り抜けない程度の大きさで、鋼球6とアーム7をつなぐ円棒8の外径より十分に大きい。鋼球6は半球でもよく円棒8に取り付けられるが、円棒8とアーム7の接続軸P6は回転可能でもなくてもよい。接続軸P6が回転可能ならば、常に円形穴Cの全面が鋼球6と接触するが、固定ならば接触は一部だけになる。レバー9は台座4に取り付く回転軸P4を中心にして回転し、取手9aの反対側の端部9bはプレート6の下面を滑走し、プレート6を上方向に引き上げたり降したりする。プレート6の下面には半円形の突起があって端部9bが勝手に戻らないようにする。
【0018】
図1(a)は走行状態でプレート6を上方向に引き上げた状態で、端部9bと接続軸P9を結ぶ直線はプレート6に直行し、プレート6は静止状態を保つ。プレート6は接続軸P5を中心にr1方向に回転し、プレート6上に乗っている鋼球6は持ち上げられ、アーム7は接続軸P3を中心にr2方向に回転する。半円回転体1は上昇して、半円回転体1の上側の平面部は、ベアリングケースAの下面P4Lと車輪枠3に取り付けた当たりQ3に当たって静止する。
【0019】
走行時には車輪2、車輪枠3、アーム7、半円回転体1、円棒8、及び鋼球6が一体となって旋回軸YYを中心に旋回するが、ベアリングケースを介して連続する台座4及びプレート5は静止している。旋回する鋼球6と円棒8が旋回軸YYを中心に回転し、旋回軸YYが円形穴の中心を通るように設計すると、旋回時に鋼球6が円形穴Cの円内で回転し、静止する部分が旋回する部分の運動を妨げることはない。
【0020】
図1(b)は駐車時にレバー9を起こすと、プレート5はP5を中心にr1b方向に回転し、鋼球6と半円回転体1が落下する。駐車時に車体が動くと車輪が回転するが、半円回転体1は車輪2の外周上に乗って接触しているだけで車輪2の回転r2が伝わり、回転軸P1を中心にr3方向に回転する。半円回転体1の上面の平面部分が、車輪枠3に取り付けた当たりQ3に当たると、その接触点Q3を中心に半円回転体はr4方向に回転し、円棒8を引っ張り、鋼球6がプレート6に当たって回転r4を止める。それと同時に半円回転体1の接触点Q3に当たった側と反対側が、テコの原理でタイヤ部分を押さえて車輪の回転を止める。
【0021】
図1(c)は車輪が図1(b)と反対方向r2bに回転すると、半円回転体1はr3b方向に回転し、ベアリングケースAの下面P4Lに当たる。図2(b)と同様に、その接触点を中心に半円回転体が回転し、接触点に当たった側と反対側が、タイヤ部分を押さえて車輪の回転を止める。
【0022】
特許文献4図10に示したブレーキにおいて回転軸P1に吊り下げられた半円回転体1は、その回転中心を円の中心からずらした位置にすることによって、半円回転体の回転中心を通る鉛直線上YYにおいて回転中心から車輪外周までの距離が最小となり、その点から左右のどちらの方向においても、回転中心と車輪外周間の距離の増加率が同じようにしているが、車輪に半円回転体が初めて接触したとき、接触しているだけで車輪の回転が伝わりやすくするには回転中心を円の中心にするほうがよく、最終的に半円回転体の回転中心が円弧の終点の接触点に移って半円回転体が回転し、接触点に当たった側と反対側がテコの原理でタイヤ部分を押さえて車輪の回転を止めるのであるから、その際半円回転体の回転中心の位置は関係がなくなる。
【0023】
特許文献4図10に示したブレーキのようにすると、半円回転体1が車輪外周に初めて接触した時点で、その接点は半円回転体の回転軸と車輪の回転軸とを結ぶ直線上にあり、旋回軸YYの鉛直線上にはないので、半円回転体の回転中心と車輪との接点との間の距離Lは最小ではない。半円回転体がr3、r3bのどちらの方向に回転しても、回転中心と接点間の距離Lの増加率が同じになるようにするには、さらに半円回転体の回転中心を車輪の回転軸側に寄せる必要がある。このようなことから回転中心は円の中心にするほうがよい。
【0024】
図1(b)において半円回転体の回転r3を止める当たりが台座の下面P4Rではなく車輪枠に取り付けた当たりQ3にする意味は、半円回転体の車輪との接触から当たりに当たるまでの回転量を同じにするためで、当たりQ3にではなく台座の下面P4Rに当てるようにしても、半円回転体の接触点に当たった側と反対側がタイヤ部分を押さえて、車輪の回転を止めるならば問題はない。
【0025】
半円回転体の当たりに当たる接触点Q3と車輪の回転軸P2とを結ぶ直線Y2と、接触点Q3と車輪との接触点とを結ぶ直線Y3とがなす角度Zが大きいほど、半円回転体とタイヤとの間にすべりが生じてタイヤ部分を押さえずに車輪の回転を止めなくなり、角度Zが小さいほど車輪との接触点が接触点Q3と車輪の回転軸P2とを結ぶ直線Y2を通り抜けやすくなる。接触点Q3を回転中心にする半円回転体の回転r4において、回転中心Q3と車輪との接触点との間の距離は増加し、車輪との接触点が接触点Q3と車輪の回転軸P2とを結ぶ直線Y2を通り抜けることなく、タイヤ部分をより強く押さえて車輪の回転を止める。
【0026】
図2は本発明を説明するもので、図1のようにブレーキシュー1が車輪枠3に取りつき、車輪枠と一緒に旋回するのではない。図2においてブレーキシュー1は貫通穴Bを貫通する円棒8によって吊り下げられ、プレート5を介して台座4に取り付く。円棒8は両端に鋼球6と半球のブレーキシュー1が取り付き、鋼球6、円棒8、半球1は一体でブレーキ6、8、1を構成する。鋼球6はプレート5の上に載る。ブレーキ6、8、1は車輪枠3と分離され、その中心軸は旋回軸YY付近にある。
【0027】
プレート5は台座4と接続軸P5にヒンジで取り付けられ、取手の動きと連動して接続軸P5を中心に上下に回転する。取手を押して手押し車を走行させるとき、プレート5は上に引き上げられ、駐車時に取手から手を離すとプレート5は下に下がる。プレート5は中央に円形穴Cがあき、円形穴Cの上に鋼球6がのる。円形穴Cは鋼球6が通り抜けない程度の大きさで、円棒8の外径より十分に大きい。ブレーキシュー1を吊り下げる鋼球6は半球でもよく、下半分が円形穴Cに接して自由に回転する。
【0028】
自在輪の構造は図1と同じで、2,3,4,5,6、A,B,Cの各部も図1と同じである。Aは環状のベアリングケース部分で、太く塗りつぶして表した部分は台座4で、中央に大きな貫通穴Bがあいている。この貫通穴は上部の入り口より下部の出口が大きく、貫通穴周囲の台座4は円錐の一部である。貫通穴Bの空間を円錐形にするのは、ブレーキ6、8、1が鋼球6の中心を回転中心にして振り子運動をするためである。また貫通穴の下部の出口より半球1の上側平面部分のほうが大きい。環状のベアリングケースAは内側が台座4の延長部分で車体に固定され動かない部分で、外側は車輪枠3の延長部分である。内側と外側の間にはベアリングが介在し、内側の台座4の延長部分の周りを、外側の車輪枠3の延長部分が回転する。
【0029】
図1の場合、ブレーキシューは円盤の半分で、図2の場合、車輪とブレーキシューとの接触が車輪の旋回に関係なく一定になるように、ブレーキシューは球体の一部である。ブレーキシューはその中心軸を旋回軸YYの付近にして、宙吊り状態で静止している。
【0030】
図2(a)に示すように円棒の周りには円筒形の螺旋状の押しバネ9があり、その端部の片側は台座4に取り付け、他方は半球1の上側平面に取り付ける。押しバネ9はプレート5が下に回転してブレーキシュー1が車輪のタイヤ部の上に乗るとき、ブレーキシュー1が車輪のタイヤ部を僅かに押さえて、車輪の回転を滑ることなくブレーキシュー1に伝える。押しバネ9で軽く押さえるのは、車輪の回転がブレーキ6,8,1に伝わり易くするためであって、車輪を押さえつけて制動しようとするものではない。
【0031】
図2(a)に点線で示す状態は、取手を押してプレート6が接続軸P5を中心に上方向に回転し、半球1の上側平面が台座4の下面に当たって静止した状態である。図2(a)に実線で示す状態は、プレート5が接続軸P5を中心に下方向に回転し、ブレーキシュー1の下側球面が車輪外周のタイヤ部に乗った状態である。図2(b)(c)においては押しバネ9の記入は省略する。
【0032】
図2(b)(c)はブレーキシュー1の下側球面が車輪外周のタイヤ部に乗った後、車輪2が回転した状態である。旋回軸YYを中心に車輪2と車輪枠1は回転するが、台座4とプレート5とブレーキ6,8,1は回転しない。図2(a)(b)(c)は車輪を含む平面の断面図であるが、図2(a)(b)(c)において車輪の向く方向に関係なく、同じ断面図を得るには台座4とプレート5とブレーキ6,8,1は回転体でなければならない。ブレーキ6,8,1は回転体で車輪の向く方向に関係なく同じ断面を示し、常にブレーキと車輪とは同じ状態で接触することを物語っている。台座4とプレート5とは車輪の向く方向によって異なる姿図になるが、便宜上車輪と平行な状態にして図示する。
【0033】
ブレーキ6,8,1は車輪の回転が伝わって鋼球6の中心を回転中心にして自由に振り子運動をするが、図2(b)では半球1が外方向に遠ざかり、図2(c)では内方向に入り込む。ブレーキ6,8,1は旋回軸YYを中心にする回転体であり、はじめに半球1が車輪の外周に接触するときの状態は常に同じであっても、両者の接触点は常に鋼球6の中心と車輪の回転軸とを結ぶ線Y1上にあって鉛直線YY上にないため、車輪の回転方向により半球1の動きが変わり制動の内容も異なってくる。
【0034】
図2(b)においては半球1が車輪の外周に接触したとき、鋼球6がプレート5の上にあって振り子運動の回転中心が動かない位置にある場合、ブレーキ6,8,1は鋼球6の中心を回転中心に回転するが、鋼球6がプレート5から上に突き上げられた状態で鋼球6が動く位置にあって、プレート5に乗るに至らない位置にあるとき、半球1は車輪の外周を降りる方向に移動する。
【0035】
はじめて半球1が車輪の外周に接触するときの鋼球6の中心から車輪までの距離Lを半径とする球体の球面が半球1の球面であるとき、ブレーキ6,8,1は鋼球6の中心を回転中心に回転するが、半球1の球面がより大きな球体の球面である場合、鋼球6はプレート5から上に突き上げられながら、半球1は車輪の外周を降りる方向に移動する。振り子運動の回転中心の鋼球6が動かない位置に固定されるならば、振り子運動が進行するに従い鋼球6の中心から接触点までの距離が増加するので、半球1はより強く車輪外周を押さえつけることになるが、実際は鋼球6がプレート5から上に突き上げられるので、車輪外周を押さえる力は発生しない。半球1が回転したり車輪の外周を移動したりする際、鋼球6は回転の中心になる必要はなく、半球1の運動を制御する必要もない。鋼球6は半球1を車輪に接触させたり引き離したりする役目はあっても、半球1の車輪に接触してからの移動に関してなんの役割も果たさない。
【0036】
半球1は車輪の外周を降りる方向に移動した後、半球1の上側平面の円周が台座下面P4Rに当たり、台座下面P4Rを中心にブレーキ6,8,1がr3方向に回転し、半球の反対側がテコの原理で車輪を押さえる。この際円棒8が引き込まれても半球1がプレート5に乗るに至らないほうが半球1はより強く車輪外周を押さえつけることになる。
【0037】
図2(c)において半球1は車輪の外周を上る方向に移動し、鋼球6がプレート5から上に突き上げられた状態になって、鋼球6が動かない位置に固定されることにならない。したがって鋼球6を回転の中心とする振り子運動は起こらない。ブレーキ6,8,1は鋼球6を中心とする回転ではなく、半球1の片側がベアリングケースAの下面P4Lと車輪の間の間隙に入り込む平行移動をする。
【0038】
半球1の片側が台座P4Lと車輪間に入り込むとクサビとなって働く。車輪の回転が半球1を巻き込み、半球1は車輪を押さえて車輪の回転を止める。車輪がどちらの方向に回転するとしても半球1が車輪の外周に接触した後、ブレーキシューが下側球面を常に車輪外周に接触させながら円錐の空間Bの内部を自由に移動し、移動の終点においてテコやクサビの効果で車輪の回転を止めることになる。本発明において、車輪の回転にともない発生する圧縮力は制動力となると同時に、巻き込んだ半球を外に吐き出そうとする復元力でもあるので、ブレーキを解除しやすい。
【0039】
また回転する車輪にブレーキをかけるとき、通常のブレーキシューのように回転体に動かない摩擦部をつける手法では、接触してから回転を止めるまでにすべりが生じて摩擦部の磨耗の原因となるが、車輪の回転に摩擦部が巻き込まれる手法では一緒に回転するので、両者の間にすべりがなく従って摩擦部の磨耗は少ない。
【0040】
図3は図2と同様の構造のブレーキで、ブレーキシューの形と機能の関係を説明するものである。図3(a)に点線の円弧で示すブレーキは図2のブレーキシューで、半球の下部の球面を示す。ブレーキシューと車輪との接触点P1を通る水平面よりブレーキシューの下の部分は、車軸に接触することがないので、実線で示すブレーキシューはこの部分を削除した。このブレーキシューは円盤1aに2つの長さの異なる短い円筒1b1,1b2を取り付けたもので帽子の形をしている。
【0041】
内側の円筒1b1は外形が小さく高さが高く、外側の円筒1b2は内側の円筒に比べて外形が大きく高さが低い。内側の円筒は図3(c)において、ブレーキシューがクサビとなって働くとき車輪に食い込み、外側の円筒が図3(b)においてブレーキシューがテコの作用で働くとき、車輪を押さえて車輪の回転を止める。
【0042】
円棒8の両端にブレーキシュー1と鋼球6が取り付き、鋼球6はブレーキシュー1を車輪から引き離す際に、プレート5によって持ち上げられるが、ブレーキシューが車輪の上に乗ったとき、プレート5から上に突き上げられた状態になる。図3(b)においてブレーキシューが車輪の外周に沿って移動した後、ブレーキ6,8,1が台座4の下面P4Rを中心に回転するが、鋼球6を中心にする振り子運動において、円盤1aが車輪に接触したとき、内側の円筒の切り口が車輪から離れるので、また外径の大きな円盤1aの外周が車輪外周に接するより内部の円筒の切り口が接する方が、両者の接点P1がブレーキシューの回転中心と車輪の回転軸を結ぶ直線Y2に近くなり、正動力が発生しやすいので、鋼球6を中心にする振り子運動を避けて、台座4の下面P4Rを中心とする回転を優先させる。
【0043】
図3(b)においてブレーキシューが接触点P4Rを中心に回転するとき、内側の円筒1b2と車輪2との接触点は、接触点P4Rと車輪の回転軸P2とを結ぶ直線Y2を越えていて車輪を押さえる力が減少傾向にあるが、外側の円筒1b1の車輪2との接触点は直線Y2を越えていないので、車輪を押さえる力が増加傾向にある。直線Y2を越えないように円盤1aが車輪に当たってブレーキシューの回転を止める。
【0044】
また図3(b)において鋼球6はプレート5の円形穴Cに乗って円棒8に引張力が働くようになるが、ブレーキシュー1が通り抜けて車輪枠3の外部に飛び出さないようにしている。図3(c)において鋼球6はプレート5から上に突き上げられた状態で、円棒8の側面がプレート5の円形穴Cに当たってブレーキ6,8,1に回転を加える。
【0045】
図4は前輪に固定輪が後輪に自在輪が取り付く手押し車で、図4(a)は側面図で前の手押し車を実線で、後からさしこむ手押し車を点線で示す。図4(b)は背面図で図4(c)は平面図である。荷台10は外側のフレーム10aと内側にフレームの10bからなり、横架材10cは外側のフレーム10aとつながり、内側のフレーム10bを下側から受ける。
【0046】
外側のフレーム10aは、後部は車輪枠3の内側に取り付き、前部の立ち上がりも含めて一本のパイプを加工したものである。内側のフレームも外側のフレームと同様に、後部は車輪枠3の内側に取り付き、前方の先端に車軸10dが取り付けられる。車軸10dの両端に前輪の固定輪が取り付く。
【0047】
内側のフレーム10bは横架材10cに向かって上昇する部分10b1と、横架材10cから下降する部分10b2からなり、図4(a)に示すように前の手押し車の後から後の手押し車を差し込むとき、後ろの手押し車の下降する部分10b2の外側は前の手押し車の上昇する部分10b1の内側を通過し、前の手押し車の外側のフレーム10aの下に後の手押し車の前輪がもぐりこむ。
【0048】
荷台の幅は、取手支柱10e及び後輪車輪枠3の内内寸法より狭く、前後に前上りの勾配があるので、前の手押し車の取手支柱10eの間をくぐり抜け、前の手押し車の荷台の上に重なり、後から差し込む手押し車の前輪の固定輪が浮き上がり地面から離れる。荷台先頭の立ち上がりは、取手支柱10eの間に取り付けた小物入れの籠10gの底より低く、前の手押し車の籠10gの下を通り抜け、前の手押し車の立ち上がりの後に重なる。
【0049】
前の手押し車の取手10fは、後の手押し車の小物入れの籠10gの下になって押し下げられ、手を離すと効くブレーキが解除され後輪の自在輪が自由になる。
【0050】
後輪が自在輪で、これに取手から手を離すと効くブレーキが取り付く場合、後輪が固定輪でこれに取手から手を離すと効くブレーキが取り付く場合と同様に、前の手押し車の上に後の手押し車を載せるようにして重ねていき、後輪が浮くようにする。最後尾の車だけ前の手押し車の下から差し込むようにすると、複数の手押し車をひとまとめにして運ぶことが出来る。収納場所で最後尾の手押し車を前の手押し車の上に置きなおすと、使用者が一台ずつ抜き取りやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】車輪枠内部に取り付けた自在輪のブレーキの説明図
【図2】台座に取り付けた自在輪のブレーキの説明図
【図3】ブレーキシューの形と機能の関係を説明する説明図
【図4】前輪が固定輪で後輪が自在輪の手押し車の説明図
【符号の説明】
【0052】
1ブレーキシュー
2自在輪
3車輪枠
4台座
5プレート
6鋼球
7アーム
8円棒
9押しバネ
10手押し車の部品
【出願人】 【識別番号】592106948
【氏名又は名称】岡本 耕一
【識別番号】504027912
【氏名又は名称】岡本 暢子
【識別番号】504027934
【氏名又は名称】岡本 耕太郎
【識別番号】504027956
【氏名又は名称】岡本 真理子
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−100607(P2008−100607A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−284723(P2006−284723)