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【発明の名称】 車両用ドア開閉装置およびその組み付け方法
【発明者】 【氏名】鳥居 昭彦

【氏名】伊藤 一

【氏名】藤井 忠

【氏名】牧平 郁夫

【氏名】上田 晋司

【要約】 【課題】天井による制約を受け難い構造の車両用ドア開閉装置を提供する。

【解決手段】ドアレール26と、このドアレール26を乗降口20の上側に位置する車体12の内側に取り付けるための取付基部28とを備える。取付基部28は、車体12の支持部24に締結するためのボルト38を挿通するための基部貫通孔30aを有し、この基部貫通孔30aは、当該取付基部28が車体12に締結された状態でドアレール26と同じ高さ位置になる位置に形成されている。ドアレール26は、レール本体40とベアリング保持部材44とを備える。レール本体40には固定側貫通孔が、またベアリング保持部材44には可動側貫通孔が形成される。前記ボルト38は両貫通孔を通過した後、取付基部28の基部貫通孔30aに挿通されて車体12に螺合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられて、この車両の乗降口のドアを開閉するのに用いられる車両用ドア開閉装置であって、
前記ドアの開閉時にドアを案内するドアレールと、
前記ドアレールを前記車両の乗降口の上側に位置する車体の内側に取り付けるための取付基部とを備え、
前記取付基部は、前記車体に締結するための締結具を挿通させる基部貫通孔を有し、
前記基部貫通孔は、当該取付基部が前記車体に締結された状態で前記ドアレールの取り付け高さと同じ高さになる位置に形成されていることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項2】
前記基部貫通孔は、前記取付基部が前記車体に締結された状態で車幅方向を向くように形成されており、
前記取付基部は、前記基部貫通孔の車幅方向内側に被さる位置で前記ドアレールを保持していることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項3】
前記ドアレールは、前記取付基部に車幅方向内側から取り付けられるレール本体と、このレール本体にドア開閉方向に摺動可能に支持されるとともに前記ドアが結合される可動部材とを備え、
前記レール本体には、前記基部貫通孔に被さる位置で車幅方向に貫通し、かつ前記締結具が通過可能な大きさに形成された固定側貫通孔が設けられ、
前記可動部材には、前記固定側貫通孔に対応する高さ位置で車幅方向に貫通し、かつ前記締結具が通過可能な大きさに形成された可動側貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項4】
前記基部貫通孔は、前記締結具の頭部を収容するための当該頭部よりも大径の収容部と、前記締結具の頭部を挿通させずに前記締結具の締結部のみを挿通させる前記頭部よりも小径の挿通部とからなり、
前記固定側貫通孔と前記可動側貫通孔は、前記締結具の頭部が通過可能となる大きさを有していることを特徴とする請求項3に記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項5】
前記ドアを開閉移動するためのドア駆動手段を備え、
前記取付基部には、前記ドアレールを跨ぐように延出された延設部が設けられ、
前記延設部は、前記取付基部が前記車体に締結された状態で前記ドアレールよりも車幅方向内側で且つ前記ドアレールと略同じ高さ位置で前記ドア駆動手段を支持する構成とされていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項6】
前記ドア駆動手段は、伸縮することで前記ドアを開閉移動させる空気圧シリンダを備えており、
前記取付基部内には、前記空気圧シリンダへ空気を供給するための空気供給回路の一部を構成する空気通路が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項7】
前記取付基部は、前記ドアレールに作用する荷重を前記締結具による締結力とともに分担可能な程度の結合力で前記車体にインロー結合されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項8】
請求項3に記載の車両用ドア開閉装置を前記車両の車体に組み付ける方法であって、
前記取付基部に前記ドアレールを取り付けた後、
前記可動側貫通孔が前記固定側貫通孔に対向するように前記可動部材を前記レール本体に対して移動させ、
その状態で前記締結具を車幅方向外側に向かって前記可動側貫通孔及び前記固定側貫通孔を通過させるとともにこの締結具を前記基部貫通孔に挿入し、
前記基部貫通孔から車幅方向外側へ突出された前記締結具を車幅方向内側から前記車体に締結することを特徴とする車両用ドア開閉装置の組み付け方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両等の車両に適用される車両用ドア開閉装置およびその組み付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗降口を開閉するための車両用ドア開閉装置として、下記特許文献1に開示されているように、乗降口の上方のスペースにドア開閉装置の主要部品を配設するようにしたものが知られている。具体的に、図6に示すように、同文献の車両用ドア開閉装置では、天井100の側部から車体内側に延びるようにブラケット102が固定されており、このブラケット102の下側にはドアレール104が配設されている。このドアレール104は、ドア開閉方向に延びる形状のものであるが、同図に示すように縦長の断面形状を有してその上端部において前記ブラケット102に締結されている。このドアレール104の中間高さ位置には、空気圧シリンダ106が取り付けられており、ドアレール104の下端部はドアハンガー108の走行輪110が走行可能に構成されている。そして、空気圧シリンダ106のロッドがドアハンガー108に接続されており、空気圧シリンダ106が伸縮することにより、ドアハンガー108の走行輪110がドアレール104上を転動してドア112を移動させ、これによって乗降口114を開閉するようになっている。なお、図中、符号116はドア押えシリンダを示しており、このドア押えシリンダ116を伸長させることで、ドア112を乗降口114の周縁部に密着させることができ、これにより室内の気密状態が得られるようになっている。
【特許文献1】特公平7−47387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、新幹線等の最近の高速鉄道車両では、空気抵抗をより小さくするために先頭車両の先端部を流線形にしてロングノーズ化するとともに、車体の天井を低くする傾向にある。一方で乗降口の高さは所定の高さを維持する必要があることから、乗降口の上方のスペースに余裕がなくなりつつある。このため、前記特許文献1に開示されているように、天井100の側部に固定されたブラケット102からドアレール104が垂下するように配設される構成では、天井が低いとドアレール104の設置高さが維持できないこととなり、ドアレール104を所定の高さに設置するためにはドアレール104等の形状が天井による制約を受けてしまうという問題が生ずる。
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、天井による制約を受け難い構造の車両用ドア開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明は、車両に取り付けられて、この車両の乗降口のドアを開閉するのに用いられる車両用ドア開閉装置を前提として、前記ドアの開閉時にドアを案内するドアレールと、前記ドアレールを前記車両の乗降口の上側に位置する車体の内側に取り付けるための取付基部とを備え、前記取付基部は、前記車体に締結するための締結具を挿通させる基部貫通孔を有し、前記基部貫通孔は、当該取付基部が前記車体に締結された状態で前記ドアレールの取り付け高さと同じ高さになる位置に形成されている。
【0006】
この構成では、取付基部を車両へ取り付けたときに基部貫通孔と同じ高さになる位置でドアレールを保持するようにしたので、従来のようにブラケットからドアレールが垂下するような構造と異なり、天井の高さや形状によらずドアレールの設置高さを維持することが可能となる。この結果、ドア開閉装置を車両に取り付ける際に天井による制約を受け難くできるため、本発明の車両用ドア開閉装置を天井の低い車両にも適用することが可能となる。
【0007】
前記基部貫通孔は、前記取付基部が前記車体に締結された状態で車幅方向を向くように形成されており、前記取付基部は、前記基部貫通孔の車幅方向内側に被さる位置で前記ドアレールを保持している構成としてもよい。
【0008】
前記ドアレールは、前記取付基部に車幅方向内側から取り付けられるレール本体と、このレール本体にドア開閉方向に摺動可能に支持されるとともに前記ドアが結合される可動部材とを備え、前記レール本体には、前記基部貫通孔に被さる位置で車幅方向に貫通し、かつ前記締結具が通過可能な大きさに形成された固定側貫通孔が設けられ、前記可動部材には、前記固定側貫通孔に対応する高さ位置で車幅方向に貫通し、かつ前記締結具が通過可能な大きさに形成された可動側貫通孔が設けられている構成としてもよい。
【0009】
この構成では、レール本体に、基部貫通孔に被さる位置に固定側貫通孔が設けられており、しかもこの固定側貫通孔を締結具が通過可能な大きさに構成したので、固定側貫通孔を通して締結具を基部貫通孔へ挿通させることが可能となる。このため、取付基部を車体に取り付ける前にレール本体を取付基部に予め締結しておくことも可能となる。しかも、固定側貫通孔に対応して可動部材にも可動側貫通孔を設けるようにしているので、この可動側貫通孔と固定側貫通孔とに同時に締結具を挿通させることが可能であり、可動部材が邪魔になることもない。したがって、取付基部にレール本体を予め締結しておいて、その状態で車体に取り付けることが可能となるために、ドア開閉装置を車体に取り付け易い構造にできるとともに車体への取り付け工数を低減することができる。
【0010】
具体的には、前記基部貫通孔は、前記締結具の頭部を収容するための当該頭部よりも大径の収容部と、前記締結具の頭部を挿通させずに前記締結具の締結部のみを挿通させる前記頭部よりも小径の挿通部とからなり、前記固定側貫通孔と前記可動側貫通孔は、前記締結具の頭部が通過可能となる大きさを有している構成が好適である。
【0011】
この構成によれば、両貫通孔に締結具の頭部を通過させて締結部を基部貫通孔に挿通させることにより取付基部を車体に締結することができる。この状況で締結具の頭部が収容部に収容されているので、可動部材の移動の邪魔にならない。
【0012】
前記ドアを開閉移動するためのドア駆動手段を備え、前記取付基部には、前記ドアレールを跨ぐように延出された延設部が設けられ、前記延設部は、前記取付基部が前記車体に締結された状態で前記ドアレールよりも車幅方向内側で且つ前記ドアレールと略同じ高さ位置で前記ドア駆動手段を支持する構成とされている構成としてもよい。
【0013】
この構成では、ドア駆動手段をドアレールの車幅方向内側に配置させることができるので、一般に車幅方向内側ほど高くなる傾向にある天井による制約を受け難くすることができる。
【0014】
前記ドア駆動手段が、伸縮することで前記ドアを開閉移動させる空気圧シリンダを備える場合には、前記取付基部内に、前記空気圧シリンダへ空気を供給するための空気供給回路の一部を構成する空気通路が形成されている構成としてもよい。こうすれば、配管スペースを低減できるので、天井による制約をより受け難くすることができる。
【0015】
前記取付基部は、前記ドアレールに作用する荷重を前記締結具による締結力とともに分担可能な程度の結合力で前記車体にインロー結合されている構成としてもよい。
【0016】
この構成では、取付基部が車体に締結されるとともにインロー結合されるので、締結具によって負担する締結力を低減することができる。この結果、締結具としてより小さなものを使用することが可能となるので、ドアレールにこの締結具を通過させる貫通孔を設ける構成の場合には、この貫通孔をドアレールの幅に収まる大きさに容易にすることができる。また、締結箇所を低減することもできる。さらに、取付基部を車体に締結する際に、取付基部が車体にインロー結合されて固定されるので、取付基部を締結具によって車体に締結する作業を楽に行うことができる。
【0017】
前記ドアレールがレール本体と可動部材とを備える前記車両用ドア開閉装置を前記車両の車体に組み付ける方法として、前記取付基部に前記ドアレールを取り付けた後、前記可動側貫通孔が前記固定側貫通孔に対向するように前記可動部材を前記レール本体に対して移動させ、その状態で前記締結具を車幅方向外側に向かって前記可動側貫通孔及び前記固定側貫通孔を通過させるとともにこの締結具を前記基部貫通孔に挿入し、前記基部貫通孔から車幅方向外側へ突出された前記締結具を車幅方向内側から前記車体に締結する組み付け方法としてもよい。
【0018】
この組み付け方法では、取付基部に予めドアレールを取り付けておいて、可動側貫通孔及び固定側貫通孔を通して取付基部の基部貫通孔に締結具を挿通しておくようにしたので、この締結具を車体に締結するだけで取付基部を車体に固定することができる。したがって、乗降口の上側という作業者にとって負担のかかる高い位置での組み付け作業の作業工数を低減できるために、組み付け作業の負担を軽減することができる。さらに、各貫通孔が車幅方向に貫通する構成としているので、取付基部の組み付け作業は、締結具を車幅方向内側から挿通して行う作業となる。このため、取付基部が天井のすぐ下方に取り付けられる場合等のように取付基部の上方のスペースに余裕がないような場合であっても、取付基部を組み付ける作業が煩雑になるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、取付基部を車体へ取り付けるための基部貫通孔と同じ高さ位置でドアレールを支持するようにしたので、天井の高さや形状によらずドアレールの設置高さを維持することが可能となり、これによりドア開閉装置を車両に取り付ける際に天井による制約を受け難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る車両用ドア開閉装置10の一実施形態を示している。同図は、車体12に取り付けられた状態の本ドア開閉装置10を車体12前方から見た(図3の矢印C方向に見た)ものである。このドア開閉装置10が適用されている車両は、例えば新幹線の車両のように空気抵抗をより小さくするために先頭車両の先端部を流線形にしてロングノーズ化された車両であって、天井14が従来よりも低く構成されているものである。
【0022】
車体12は、前方から見て湾曲状に形成されるとともにトラス構造のフレームによって構成された天井14と、この天井14の車幅方向外端部から下側に繋がる側壁16とを備えている。この側壁16には、所定高さを有する乗降口20が形成されている。この車両は前述の如く天井14の低い車両であるので、図1に示すように乗降口20の上側の側壁16の高さが低くなっている。このため、乗降口20のすぐ上側のスペースは狭小スペースになっている。
【0023】
乗降口20の上側の側壁16には、車幅方向内側に張り出した断面略三角形状の支持部24が設けられている。この支持部24は、車体前後方向に連続して延びる構成とされている。
【0024】
支持部24の車幅方向内側(以下、単に内側という)の端面には、締結穴24aが設けられている。この締結穴24aは前記端面から車幅方向外側(以下、単に外側という)に向かって形成された有底穴によって構成されている。
【0025】
支持部24の内側に本ドア開閉装置10が配設されている。ドア開閉装置10は、開閉時にドア22を案内するドアレール26と、このドアレール26を車体12に取り付けるための取付基部28とを備えている。この取付基部28は、本体部30と、この本体部30の外側に設けられたインロー結合部32と、本体部30から内側へ延出された延設部34とを備えている。
【0026】
インロー結合部32は、取付基部28を支持部24にインロー結合するための部位であり、このインロー結合部32は、本体部30から外側へ突出する上下一対の凸条体によって構成されている。このインロー結合部32は、取付基部28の長さ方向の全体に亘って設けられている。そして、このインロー結合部32によって支持部24の内端部を上下から挟み込むように、インロー結合部32を支持部24へインロー結合している。このインロー結合部32による結合力は、ドアレール26に付加される荷重を、後述するボルト締結による締結力ととともに分担可能な程度の結合力となっている。
【0027】
本体部30には、取付基部28を車幅方向に貫通する基部貫通孔30aが設けられている。この基部貫通孔30aは、車体前後方向の所定箇所に複数設けられていて、これら各基部貫通孔30aは、それぞれ内側が拡径された段付き孔からなる。この拡径された基部貫通孔30aの内側部は、締結具の一例としてのボルト38の頭部よりも大径に構成されており、ボルト38の頭部を収容可能な収容部を構成している。また基部貫通孔30aの外側部は、このボルト38の頭部よりも小径に構成されており、ボルト38の締結部(ねじ部)のみが挿通可能で頭部を挿通できないような大きさの挿通部を構成している。そして、各基部貫通孔30aにその内側から前記ボルト38を挿通するとともにこのボルト38を前記締結穴24aに螺合することにより、取付基部28は支持部24(車体12)に締結されている。
【0028】
本体部30の内側面には、前記ドアレール26が取り付けられている。このドアレール26の取り付けについての詳細は後述する。ドアレール26は、ドア開閉時にドア22を案内するためのものであり、車体前後方向に延びる姿勢に配置されている。
【0029】
ドアレール26は、レール本体40と、ベアリング42と、可動部材の一例としてのベアリング保持部材44とを備えている。レール本体40は断面略コ字状に形成されており、このレール本体40は、開口が内側を向くような姿勢で取付基部28の本体部30の内側に配設されている。レール本体40には、前記ボルト38が通過可能な大きさの固定側貫通孔40a(図3参照)と、皿ネジ48を挿通させるための挿通孔40b(図3参照)とが形成されている。そして、図2に示すように、挿通孔40bに挿通された皿ネジ48を取付基部28の本体部30に設けられたネジ穴30bに螺合することにより、ドアレール26が取付基部28に締結されている。
【0030】
図1の矢印A方向に見た図3に示すように、固定側貫通孔40aと挿通孔40bとは、同じ高さ位置でかつ長さ方向に互いに位置ずれした部位に設けられている。そして、固定側貫通孔40aは、ドアレール26を所定位置に配置させたときに支持部24の締結穴24aに対向する位置でレール本体40を車幅方向に貫通するように形成されている。これにより、この固定側貫通孔40aを通して取付基部28の基部貫通孔30aへ前記ボルト38を挿入することが可能となっている。そして、図1に示すように、レール本体40の外側に位置するボルト38によって取付基部28が車体12に締結されている。この状態で、ドアレール26は、前記基部貫通孔30aの内側に被さるように配設されている。
【0031】
ベアリング保持部材44は、レール本体40に収納される細長形状のものであり、レール本体40よりも僅かに小さな略コ字状の断面形状を有している。そして、ベアリング保持部材44は、レール本体40との間に僅かな隙間を有した状態で開口が内側を向くようにレール本体40に収納されている。
【0032】
ベアリング保持部材44には、図3に示すように可動側貫通孔44aが複数設けられている。この可動側貫通孔44aは、固定側貫通孔40aと同じ大きさのものであり、ベアリング保持部材44がレール本体40内に収納された状態で固定側貫通孔40aと同じ高さ位置になる位置に形成されている。
【0033】
ベアリング保持部材44には、レール本体40との間でベアリング42を回転自在に保持するための保持部が設けられている。この保持部は、ベアリング保持部材44の上側部と下側部のそれぞれにおいて、長さ方向に所定間隔を置いて多数設けられており、この各保持部は、ベアリング42の形状に応じた形状に形成されている。この各保持部とレール本体40との間にそれぞれベアリング42が保持されることにより、ベアリング保持部材44は、レール本体40に対してその長さ方向に摺動可能となっている。また、ベアリング42はベアリング保持部材44内にも露出している。
【0034】
前記延設部34は、図1に示すように、ドアレール26を跨ぐように本体部30から延出されている。具体的に、延設部34は、本体部30からドアレール26の上側を通ってドアレール26よりもさらに内側に延出された断面形状を有しており、延設部34はこの横断面形状を有した状態で車体前後方向に延びている。
【0035】
延設部34は、ドア駆動手段71を支持している。このドア駆動手段71は、図3及び図4(図1の矢印B方向に見た図)にも示すように、空気圧シリンダ50と電磁切換弁52と電磁切換弁56とを備えている。空気圧シリンダ50は、延設部34に締結固定されたシリンダ本体50aと、このシリンダ本体50aに対して進退移動可能に構成されたロッド50bとを備え、車体前後方向に伸縮する姿勢で配置されている。電磁切換弁52は、空気圧シリンダ50を伸長又は収縮させるべく、空気の流れ方向を切り換えるためのものである。
【0036】
延設部34には、図1に示すように、空気を通すための空気通路54が車体前後方向に延びるように形成されている。この空気通路54は、図外の空気供給源から供給された空気を前記空気圧シリンダ50等の空気アクチュエータへ供給するための空気供給回路(図示省略)の一部を構成するものであり、空気通路54の一端は、例えば乗降口20の一端側に位置する電磁切換弁52に接続され、空気通路54の他端は、例えば乗降口20の他端側に位置する前記電磁切換弁56(図3及び図4参照)に接続されている。
【0037】
ドア開閉装置10には、ドア22を吊持するための吊持部材59が設けられている。吊持部材59は、図3に示すように2つ設けられていて、それぞれ戸先側と戸尻側に配置されている。そして、戸尻側の吊持部材59に連結部材60を介して前記空気圧シリンダ50のロッド50bが結合されている。
【0038】
吊持部材59は、その上端部がベアリング保持部材44のベアリング42間に挿入されており、この状態で吊持部材59はベアリング保持部材44に対してその長さ方向に摺動可能となっている。
【0039】
吊持部材59には、摺動機構62を介してドア22が結合されている。この摺動機構62は、ドア22が車幅方向に移動するのを許容するために設けられるものであり、この摺動機構62は、車幅方向に延びるように吊持部材59に固定された摺動レール62aと、この摺動レール62aを両側から挟み込む形状を有する凹溝が形成された摺動ブロック62bとを備えている。
【0040】
ドア22は、乗降口20に対応した形状のドア本体58と、このドア本体58を摺動ブロック62bに結合するための連結金具64とを備えている。図示省略するが、ドア本体58を、車体側壁16の内面に押え付けるためのドア押えシリンダが設けられており、ドア本体58がこのドア押えシリンダによって内側から押し付けられると、摺動ブロック62bが摺動レール62aに沿って車幅方向に移動し、これに伴ってドア本体58が外側へ移動するようになっている。これにより、ドア本体58が側壁16と密着し、ドア押えシリンダによる押圧力によって車両内の気密性が保持されるようになっている。
【0041】
なお、延設部34には、図3及び図4に示すように、戸開検知スイッチ66を取り付けるためのブラケット67と、戸閉検知スイッチ68を取り付けるためのブラケット69とが設けられている。一方、図3左側の吊持部材59には、戸閉検知用のストライカ70が取り付けられている。
【0042】
次に、本車両用ドア開閉装置10の動作について説明する。
【0043】
まず、ドア22が閉じられた状態では、ロッド50bは図3に実線で示すようにシリンダ本体50a内に引き込まれている。このとき、ドア本体58はドア押えシリンダによって押え付けられて外側に位置付けられており、ドア本体58は側壁16に密着されている。そして、ドア22を開くときには、ドア押えシリンダによるドア本体58への押圧が解除されてドア本体58が内側に移動するとともに、空気供給源から圧縮空気の供給を受け、ロッド50bは、シリンダ本体50aから引き出される方向(図3右方向)に図3に仮想線で示す位置まで移動する。この空気圧シリンダ50の伸長動作に伴って吊持部材59がドアレール26に沿って同方向に移動し、これにより、ドア本体58が側壁16の内面に沿って車体前後方向に移動し、乗降口20が開放される。このとき、ベアリング保持部材44がレール本体40に対して摺動しつつ吊持部材59が移動している。
【0044】
次に、本車両用ドア開閉装置10を車体12に組み付ける手順について説明する。
【0045】
まず、図5に示すように、取付基部28にドアレール26とドア駆動手段71とを締結したユニット72を作成する。このユニット作成工程では、ドアレール26のレール本体40にその一端部からベアリング保持部材44を挿入することによってこの保持部材44を組み付ける。次に、レール本体40の各挿通孔40bに順次皿ネジ48を挿入してこの皿ネジ48を取付基部28のネジ穴30bに螺合していく。このとき、ベアリング保持部材44をその長さ方に摺動させることでベアリング保持部材44を挿通孔40bから退避させれば、ベアリング保持部材44が皿ネジ48の締結作業の邪魔になることはない。このようにして前記ユニット72が作成される。
【0046】
次に、前記ユニット72を車体12の支持部24に締結する。この締結工程では、ドアレール26が所定の位置にくるようにユニット72を配置し、その位置でユニット72の取付基部28を車体12の支持部24にインロー結合する。この所定位置において、支持部24の締結穴24aと取付基部28の基部貫通孔30aとレール本体40の固定側貫通孔40aとが同軸上に配置される。そして、レール本体40に対してベアリング保持部材44を軸方向に移動させてレール本体40の固定側貫通孔40aとベアリング保持部材44の可動側貫通孔44aとを重なり合わせる。そして、この状態で可動側貫通孔44a内及び固定側貫通孔40a内を内側から外側へ向かってボルト38を通過させるとともに取付基部28の基部貫通孔30aへ挿入し、このボルト38を基部貫通孔30aの外側に位置する締結穴24aに螺合する。ここで、基部貫通孔30aは、内側部がボルト38の頭部を挿通可能な大きさとなる一方、外側部がボルト38の締結部のみが挿通可能で頭部が挿通できないような大きさに形成されていることから、ボルト38は、頭部が基部貫通孔30aの内側部に収容された状態で締結部(ねじ部)のみが基部貫通孔30aの外側部に挿通されて、この締結部は取付基部28から突出して締結穴24aに螺合される。これにより、取付基部28が車体12の支持部24に締結される。この締結作業を各締結穴24aについて行う。このとき、ベアリング保持部材44が固定側貫通孔40aから退避可能な場合には、ボルト38は必ずしも可動側貫通孔44aに挿通する必要はない。このようにして前記ユニット72を車体12へ組み付けることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用ドア開閉装置10によれば、取付基部28を車体12へ取り付ける際に基部貫通孔30aと同じ高さになる位置でドアレール26を保持するようにしたので、従来のようにブラケットからドアレールが垂下するような構造と異なり、天井14の高さや形状によらずドアレール26の設置高さを維持することが可能となる。この結果、ドア開閉装置10を車体12に取り付ける際に天井14による制約を受け難くできるため、本ドア開閉装置10を天井14が低く乗降口20上方のスペースが狭小になっている車両にも適用することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、レール本体40において取付基部28の基部貫通孔30aに被さる位置に固定側貫通孔40aが設けられており、しかもこの固定側貫通孔40aをボルト38が通過可能な大きさに構成したので、固定側貫通孔40aを通してボルト38を基部貫通孔30aへ挿通させることが可能となる。このため、取付基部28を車体12に取り付ける前にレール本体40を取付基部28に予め締結しておくことも可能となる。しかも、固定側貫通孔40aに対応してベアリング保持部材44にも可動側貫通孔44aを設けるようにしているので、この可動側貫通孔44aと固定側貫通孔40aとに同時にボルト38を挿通させることが可能であり、ベアリング保持部材44が邪魔になることもない。したがって、取付基部28にレール本体40を予めて締結しておいて、その状態で車体12に取り付けることができるために、ドア開閉装置10を車体12に取り付け易い構造にできるとともに車体12への取り付け工数を低減することができる。
【0049】
また、本実施形態では、基部貫通孔30aを、ボルト38の頭部が収容可能な収容部と、頭部が通過できない挿通部とからなる段付き孔に形成したので、可動側貫通孔44a及び固定側貫通孔40aにボルト38の頭部を通過させてボルト38の締結部を基部貫通孔30aに挿通させることにより取付基部28を車体12に締結することができる。この状況でボルト38の頭部が収容部に収容されているので、ベアリング保持部材44の移動の邪魔にならない。
【0050】
また、本実施形態では、取付基部28に、ドアレール26よりも内側でドアレール26と略同じ高さに空気圧シリンダ50を配置できるように延設部34を設けたので、ドアレール26の上方又は下方に空気圧シリンダ50を設置するための部位を設ける必要がなくなる。しかも、空気圧シリンダ50をドアレール26の内側に配置させることができるので、内側ほど高くなる傾向にある天井14による制約を受け難くすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、取付基部28内に空気通路54を形成するようにしたので、空気圧シリンダ50等へ空気を供給するための配管スペースおよび配管取り付け作業用のスペースを低減することができ、天井14による制約をより受け難くすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、取付基部28を車体12の支持部24にインロー結合するようにしているので、ボルト38によって負担する締結力を低減することができる。この結果、使用されるボルト38をより小さくできるので、ドアレール26の貫通孔40a,44aをドアレール26の幅に収まる大きさに容易にすることができる。また、締結箇所を低減することもできる。さらに、取付基部28を車体12にボルト締結する際に、取付基部28が車体12にインロー結合されて固定されるので、締結作業を楽に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態に係るドア開閉装置10の組み付け方法では、取付基部28に予めドアレール26を取り付けておいて、可動側貫通孔44a及び固定側貫通孔40aを通して取付基部28の基部貫通孔30aにボルト38を挿通しておくようにしたので、ボルト38を車体12に締結するだけで取付基部28を車体12に固定することができる。したがって、乗降口20の上側という作業者にとって負担のかかる高い位置での組み付け作業の作業工数を低減できるために、組み付け作業の負担を軽減することができる。さらに、各貫通孔30a,40a,44aが車幅方向に貫通する構成としているので、取付基部28の組み付け作業は、ボルト38を内側から挿通して行う作業となる。このため、取付基部28が天井14のすぐ下方に取り付けられる場合等のように取付基部28の上方のスペースに余裕がないような場合であっても、取付基部28を組み付ける作業が煩雑になるのを回避することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、従来よりも天井14の低い車両に本ドア開閉装置10を適用した例について説明したが、本発明は天井14の低い車両のみに適用されるものではない。
【0055】
また、本実施形態では、取付基部28に延設部34を設けて空気圧シリンダ50を固定するようにしたが、これに限られるものではなく、空気圧シリンダ50を取付基部28には固定せず、例えば車体12に直接固定する構成としてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、取付基部28を車体12の支持部24にインロー結合するようにしたが、この構成に限られるものではない。ただし、取付基部28を車体12に組み付ける作業を楽に行うためにはインロー結合する構成の方が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ドア開閉装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】レール本体と取付基部との締結部位を示す断面図である。
【図3】図1の矢印A方向に見た図である。
【図4】図1の矢印B方向に見た図である。
【図5】ユニットを示す図である。
【図6】従来のドア開閉装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
12 車体
16 側壁
20 乗降口
22 ドア
26 ドアレール
28 取付基部
30a 基部貫通孔
34 延設部
38 ボルト(締結具の一例)
40 レール本体
40a 固定側貫通孔
44 ベアリング保持部材(可動部材の一例)
44a 可動側貫通孔
50 空気圧シリンダ
54 空気通路
71 ドア駆動手段
【出願人】 【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
【出願日】 平成19年1月19日(2007.1.19)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎

【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久


【公開番号】 特開2008−174151(P2008−174151A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−10632(P2007−10632)