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【発明の名称】 車両用ドア装置
【発明者】 【氏名】鳥居 昭彦

【氏名】伊藤 一

【氏名】藤井 忠

【氏名】牧平 郁夫

【氏名】上田 晋司

【要約】 【課題】扉部を開く場合にすばやく気密を解除することができる車両用ドア装置を提供する。

【解決手段】車体側壁に設けられ乗降口を開閉するドア3と、乗降口2から内側に離れた位置で車体側壁に沿って設けられ、ドア3を乗降口2と対向する閉位置から車体側壁1に格納される開位置にまたはその逆に案内するドアレール11と、ドア3を閉位置と開位置との間で前後方向に移動させるドア駆動部13と、ドア3を車幅方向に移動可能に支持する支持部12と、この支持部12に支持されたドア3をドア全閉時に乗降口の周縁部に押圧して気密状態にするドア押圧部5〜8とを備えた車両用ドア装置において、押圧部5〜8による押圧が解除されドア駆動部13によってドア3が開位置に向けて移動を開始する場合に、そのドア開開始動作と連動して、ドア3を乗降口2の周縁部から強制的に離脱させる気密解除部33,34が備えられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側壁に設けられた乗降口を開閉するドアと、上記車体側壁の内側面に沿って設けられ上記ドアを上記乗降口と対向する閉位置から車体側壁に格納される開位置にまたはその逆に案内するドアレールと、上記ドアを閉位置と開位置との間で前後方向に移動させるドア駆動手段と、上記ドアを平面から見て上記ドアレールと交差する方向に移動可能に支持する支持手段と、この支持手段に支持された上記ドアを閉位置からさらに上記乗降口に向けて移動させその周縁部に押圧して気密状態にするドア押圧手段とを備えた車両用ドア装置において、
上記ドアの気密を解除する気密解除手段を有し、この気密解除手段が、上記車体側壁から車体内側に向けて一定の距離を離して設けられるガイド体と、上記ドアの内面に固定される被ガイド体と、この被ガイド体を上記ガイド体に導く導入部とを有し、上記導入部は、上記ドア押圧手段による押圧が解除され上記ドア駆動手段が上記ドアの開動作を開始した場合にそのドア駆動手段の駆動力を利用して上記被ガイド体を上記ガイド体に導き、上記被ガイド体を固定している上記ドアを上記乗降口の周縁部から強制的に引き離すように構成されていることを特徴とする車両用ドア装置。
【請求項2】
上記ドアレール、上記ドア駆動手段および上記支持手段が上記ドアの上方側または下方側のいずれか一方に配置され、上記気密解除手段が上記ドアの上方側または下方側のいずれか他方に配置されている請求項1記載の車両用ドア装置。
【請求項3】
上記支持手段は、上記ドアレールに設けられ車体内側に向けて先下がりに配置された押圧用レールと、この押圧用レールに対して相対移動するスライド体とを有し、このスライド体に上記ドアが支持され、上記ドアをその自重で上記閉位置まで移動させるように構成されている請求項1または2記載の車両用ドア装置。
【請求項4】
上記ガイド体として上記車体側壁に沿って設けられるガイドレールを有し、上記導入部はドア全閉時に上記ガイドレールと上記被ガイド体とを平面から見て斜めに連絡するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ドア装置。
【請求項5】
上記被ガイド体に、上記ガイドレール上を転動するローラが備えられている請求項4記載の車両用ドア装置。
【請求項6】
上記押圧手段が、複数のシリンダと、各シリンダによって横軸まわりに回動するカムレバーとを有し、このカムレバーの側面に、上記ドア内面に直交する法線を基準として上記カムレバー取付角度の許容誤差を示す指標が設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ドア装置。
【請求項7】
上記ドア駆動手段および上記押圧手段が、空気シリンダと、この空気シリンダから吐出される空気圧を制御する切換弁とを有し、上記空気シリンダおよび上記切換弁を固定する台座内に、圧源から上記空気シリンダおよび上記切換弁の少なくともいずれか一方に通じる空気路が形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ドア装置。
【請求項8】
上記ドアレール、上記ドア駆動手段および上記支持手段が上記ドアの下方側として車体の床下に配置され、上記ドアレールを取り付ける底フレームと上記床との間に補強支持部材が縦方向に介設されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用ドア装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドア装置に関し、より詳しくは、全閉時に乗降口を閉塞して車両を気密状態とする車両用ドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、新幹線等の高速鉄道車両ではトンネル突入時に車内の気圧が急激に上昇しないように、気密扉が採用されている。
【0003】
一般的な気密扉は、図8に示すように、車体側壁90に沿って移動する扉部91を有し、この扉部91は戸袋に完全に収納されている扉全開位置と、乗降口90aを閉じている扉全閉位置との間で移動するようになっている。
【0004】
詳しくは、扉部91は、乗降口90a上部の天井内91aに設けられたガイドレール92に対しブラケット93を介して吊持されており、そのブラケット93に設けられた走行輪94がガイドレール92上を転動することにより、前後方向にスライド移動することができるようになっている。なお、ガイドレール92は支軸95を中心として矢印a−b方向に揺動可能である。
【0005】
96は扉開閉用アクチュエータとしての空気圧シリンダであり、そのロッドは上記ブラケット93に接続されている。したがって、空気圧シリンダ96のロッドが伸長すると扉部91が開動作し、この逆にロッドが縮小すると扉部91が閉動作する。
【0006】
また、この種の気密扉は、扉部91が閉じられた時点で4個の扉押えシリンダ97a,97b及び98a,98bの各ロッドが矢印c方向に一斉に伸長し、乗降口90aの周縁部に設けられている気密シール部99に扉部91を押し付け、その押圧力によってトンネル突入時の衝撃的な外圧に対抗するようになっている。(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、100は圧縮コイルバネであり、扉押えシリンダ97a〜98bが伸長する時に付勢力が蓄えられ、扉押えシリンダ97a〜98bが縮小する時にその付勢力によって扉部91を矢印c方向と反対方向に移動させ、気密を解除するようになっている。
【特許文献1】特開平3−57764号公報(第(2)−(3)頁、第8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この種の気密扉は、全閉時には所定の気密性を確保することができ、開く場合にはすばやく気密を解除できることが要求される。図8に示した気密扉では気密を解除するために圧縮コイルバネ100の復元力を利用しているが、車内の圧力が外気圧に比べて高い場合にはその圧力差が気密解除を妨げる向きに作用し、その分、復元力が弱くなり、気密の解除が遅れることによって扉開動作が緩慢になるという問題がある。
【0009】
本発明は以上のような従来の車両用気密扉における課題を考慮してなされたものであり、扉部を開く場合にすばやく気密を解除することができる車両用ドア装置を提供し、また、簡単な調整で確実に扉部の気密性を高めることができる車両用ドア装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車体側壁に設けられた乗降口を開閉するドアと、上記車体側壁の内側面に沿って設けられドアを乗降口と対向する閉位置から車体側壁に格納される開位置にまたはその逆に案内するドアレールと、ドアを閉位置と開位置との間で前後方向に移動させるドア駆動手段と、ドアを平面から見てドアレールと交差する方向に移動可能に支持する支持手段と、この支持手段に支持されたドアを閉位置からさらに乗降口に向けて移動させその周縁部に押圧して気密状態にするドア押圧手段とを備えた車両用ドア装置において、ドアの気密を解除する気密解除手段を有し、この気密解除手段が、車体側壁から車体内側に向けて一定の距離を離して設けられるガイド体と、ドアの内面に固定される被ガイド体と、この被ガイド体をガイド体に導く導入部とを有し、導入部は、ドア押圧手段による押圧が解除されドア駆動手段がドアの開動作を開始した場合にそのドア駆動手段の駆動力を利用して被ガイド体をガイド体に導き、被ガイド体を固定しているドアを乗降口の周縁部から強制的に引き離すように構成されている車両用ドア装置である。
【0011】
本発明において、ドアレール、ドア駆動手段および支持手段をドアの上方側または下方側のいずれか一方に配置し、上記気密解除手段を上記ドアの上方側または下方側のいずれか他方に配置することができる。
【0012】
本発明において、支持手段としてドアレールに設けられ車体内側に向けて先下がりに配置された押圧用レールと、この押圧用レールに対して相対移動するスライド体とを有する場合、このスライド体にドアを支持させ、ドアをその自重で閉位置まで移動させるように構成することができる。
【0013】
本発明において、ガイド体として車体側壁に沿って設けられるガイドレールを有する場合、導入部はドア全閉時にガイドレールと被ガイド体とを平面から見て斜めに連絡するように構成することができる。
【0014】
本発明において、被ガイド体にガイドレール上を転動するローラを備えれば、手動でドアを開く場合に、そのドアが外向きに押圧されていても円滑に開くことができる。
【0015】
本発明において、押圧手段として複数のシリンダと、各シリンダによって横軸まわりに回動するカムレバーとを有する場合、このカムレバーの側面に、ドア内面に直交する法線を基準としてカムレバー取付角度の許容誤差を示す指標を設けることができる。
【0016】
本発明において、ドア駆動手段および押圧手段が、空気シリンダと、この空気シリンダから吐出される空気圧を制御する切換弁とを有する場合、空気シリンダおよび切換弁を固定する台座内に、圧源から空気シリンダおよび切換弁の少なくともいずれか一方に通じる空気路を形成することができる。それにより、空気圧を給排する配管がなくなり装置の小型化が図れる。
【0017】
本発明において、ドアレール、ドア駆動手段および支持手段がドアの下方側として車体の床下に配置される場合、ドアレールを取り付ける底フレームと床との間に支持部材を縦方向に介設することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ドア駆動手段がドアを開動作させると、そのドア開動作と連動して気密解除手段がドアを乗降口の周縁部から強制的に引き離すように構成したため、車両内の圧力が外気圧よりも高い場合であっても気密状態をすばやく解除してドアを開くことができるという長所を有する。
【0019】
また、押圧手段として複数のシリンダによって回動するカムレバーを有し、このカムレバーの側面に、ドア内面に直交する法線を基準としてカムレバー取付角度の許容誤差を示す指標を設けた本発明によれば、施工時にはカムレバーの位置決めが短時間で行え、車両運転時にはドアを正確に気密することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る車両用ドア装置の一実施形態を示したものである。
【0022】
なお、本実施形態は、ドア装置の上部にドア駆動機構等を収納するためのスペースを確保することが困難である、例えば新幹線等の先頭車両に適用した場合を例に取って説明している。
【0023】
同図において、車両側壁1に乗降口2が設けられており、その車両側壁1に沿ってドア3が左右方向(矢印A方向)に移動することにより乗降口2を開閉するようになっている。なお、図ではドア3が全開している状態を示している。
【0024】
このドア3に対向するようにして車体内部には窓枠状のフレーム枠4が設置されている。
【0025】
このフレーム枠4は乗降口2の左右両側であって車体の天板と底板を接続している縦枠部4aおよび4bを有し、両縦枠部4a,4bに4個のドア押え装置(ドア押圧手段)5〜8が配設されている。
【0026】
各装置5,6,7,8にはそれぞれカムレバー5a,6a,7a,8aが設けられている。
【0027】
ドア3が閉じられた後にドア押え装置のカムレバー5a〜8aが進出し、ドア3は乗降口2の周縁部に設けられた気密シール9に押し付けられる。このようにして気密が確保されたドア3は、トンネル突入時に発生する衝撃的な外圧に対抗することができるようになっている。なお、4cは縦枠部4aおよび4bの各上部を接続している上枠部である。
【0028】
ドア3の内壁には、ドア3が閉じられた状態で上記カムレバー5a〜8aと対応する位置に当板3a〜3dが貼着されている。
【0029】
10は床板であり、この床板10と車体底板(図示しない)との間にドア3を開閉するための駆動機構(ドア駆動手段)が収納されている。
【0030】
駆動機構は、車体側壁1と平行に配置されたドアレール11と、このドアレール11上を摺動する摺動部12と、この摺動部12を矢印A方向に移動させる空気圧シリンダ13とを有し、上記摺動部12にドア3の下部プレート3eが支持されている。
【0031】
次に、各部の構成について詳しく説明する。
【0032】
図2は、図1に示した上記駆動機構を矢印B方向から見たものであり、図2(a)はドア3が閉じられる前の状態を示し、図2(b)はドア3が閉じられた状態を示している。
【0033】
まず、図2(a)において、14は左右の縦フレーム4aおよび4bの各下部を接続している基板であり、この基板14上にレール11と空気圧シリンダ13と台座14a(後述する)が固定されている。なお、基板14はフレーム枠4の下枠部としても機能している。
【0034】
ドアレール11は、基板14に対してボルト(図示しない)で固定される帯板状の取付座11aと、この取付座11aに形成された凹溝に対しボルト15を介して取り付けられるドアレール部11bとから構成されている。
【0035】
このドアレール部11b上を摺動する摺動部12は、ドアレール部11bと係合する凹溝を下向きに備えた摺動ブロック12aと、この摺動ブロック12a上にボルト16を介して固定されたドア押圧ガイド12bとから構成されている。
【0036】
このドア押圧ガイド12bは、摺動ブロック12aから乗降口2に向けて鉤状に突出する突出部12cを有し、この突出部12cの上面は水平に、下面は車内側に向けて先下がりの傾斜面12dに形成されている。この傾斜面12dに押圧用レール12eが車幅方向に取り付けられている。図中、17は押圧用レール12eを傾斜面12dに固定するためのボルトである。
【0037】
押圧用レール12eにはこの押圧用レール12eをガイドとして矢印C方向にスライド移動するスライドブロック12fが備えられており、このスライドブロック12fにドア3の下部プレート3eが固定されている。
【0038】
スライドブロック12fは押圧用レール12eに沿って移動することができ、従って、両者はドア3を車幅方向に移動可能に支持する支持手段として機能する。
【0039】
なお、下部プレート3eはドア3の下端部に対して接続される縦プレート部3fと、この縦プレート部3fから突出部12cの下側にもぐり込むようにしてL字状に折り曲げられた傾斜プレート部3gから構成されている。
【0040】
この傾斜プレート3gの傾斜角θは、突出部12cにおける傾斜面12dの傾斜角θと一致している。
【0041】
上記構成により、ドア3は傾斜配置された押圧用レール12eに沿って矢印C方向にスライド移動することができるため、ドア押え装置5〜8のカムレバー5a〜8aによって押圧されていないときは、自重で斜め下方向(矢印D方向)に移動し、図2(a)に示す位置で停止することになる。
【0042】
一方、ドア押え装置5〜8のカムレバー5a〜8aが迫り出してドア3を乗降口2に向けて押圧すると、スライドブロック12fは押圧用レール12eに沿って斜め上方向(矢印E方向)に移動する。それにより、乗降口2はドア3によって塞がれることになる。
【0043】
なお、図中10aは支持板(補強支持部材)であり、ドアレール11を取り付ける底フレーム10aと床板10との間に垂直方向に設けられ、床板10を支持するように構成されている。
【0044】
図3は上記ドア押え装置5〜8の構成を、ドア押え装置5を代表して示したものであり、図1の矢印F方向から見たものである。
【0045】
図3において、縦枠部4aの外側にはドア押え装置5の取付位置を調整するための補助フレーム4dが設けられており、この補助フレーム4dに空気圧シリンダ5bが縦方向に固定されている。
【0046】
この空気圧シリンダ5bのロッド5cの先端は、回転軸5dを中心として矢印G方向に揺動するカムレバー5aの後端5eに連結されている。カムレバー5aの先端にはローラ5fが備えられており、このローラ5fは、ドア3を閉動作する際に当板3a(図1参照)上を転動するようになっている。また、カムレバー5aが二点鎖線で示す退避位置に移動するとリミットスイッチ18によって検知されるようになっている。
【0047】
図4は、上記ドア押え装置5の取付要領を示したものである。
【0048】
当板3aに当接させるカムレバー5aは、そのローラ5fの中心と回転軸5dの中心とを結ぶ中心線ALが、当板3aからの法線(当板3aの曲面上の一点において、この点における曲線の接線に直交する直線)SLを超えて回転しない状態で、法線SLと略平行になる状態で取り付けられる。
【0049】
この条件を満たすようにカムレバー5aが配置されるが、その取付角度が許容誤差範囲内にあるかどうかは従来、確認する手段がなく、ドア押え装置5を取り付けて作動させ、不具合があれば調整が行われていた。従って、複数のカムレバー5aの押圧力にバラツキがあった。
【0050】
そこで、本実施形態ではカムレバー5aに許容誤差範囲内にあるかどうかを確認することができる指標を設けることにより、ドア押え装置5の取り付けを正確且つ簡便にしている。
【0051】
上記指標は、カムレバー5aの側面に形成されており、押圧状態におけるカムレバー5aの上縁5gから角度θa分、楔状に切り欠かれた浅溝部5hから構成されている。
【0052】
カムレバー5aの位置決めをする場合、カムレバー5aのローラ5fを当板3aに当接させた状態で曲尺Sを当て、この曲尺Sの下縁線Slowが上記楔状の浅溝部5h内にあれば仮に固定している空気圧シリンダ5bを補助フレーム4dに固定する。
【0053】
一方、曲尺Sの下縁線Slowが楔状の浅溝部5hの範囲外であれば、浅溝部5hの範囲内に収まるように仮に固定している空気圧シリンダ5bの姿勢を調整する。
【0054】
このような手順に従えば、各ドア押え装置5を正確に且つ短時間で補助フレーム4dに固定することができる。
【0055】
図5は上述した駆動機構を平面から見たものである。
【0056】
同図において、ドアレール11上を摺動する摺動ブロック12aの左右両側に一対の突出部12cが平行に配置されており、この突出部12cの下面に取り付けられた各押圧用レール12e,12eをガイドとして二つのスライドブロック12f,12fが前後方向に移動するようになっている。
【0057】
この二つのスライドブロック12f,12fに跨がるようにしてそれらの下面に、ドア3の傾斜プレート部3gが固定されている。
【0058】
したがって、ドア3と突出部12cと摺動ブロック12aはドア開閉動作時に一体として左右方向に移動する。
【0059】
摺動ブロック12aの右側端部12gには車内側に向けてL字形に形成された接続金具20が取り付けられており、この接続金具20には貫通孔を備えたアーム部20aが備えられている。
【0060】
一方、ドアレール11と平行に空気圧シリンダ13が配置されており、そのロッド13aの先端部に形成された雄ねじ部は、上記アーム部20aの貫通孔を左右方向に軸通しナット20aおよび20cを用いてそのアーム部20aに固定されている。
【0061】
したがって、空気圧シリンダ13のロッド13aが伸長すると、接続金具20を介して摺動ブロック12aがドアレール11上を右方向に移動する。また、伸長させたロッド13aを縮小させると、接続金具20を介して摺動ブロック12aがドアレール11上を左方向に移動する。それにより、ドア3が開閉する。
【0062】
図6はドア3の上部の構成を示したものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0063】
両図において、実線で示したドア3は閉位置気密動作前のドア3の位置、二点鎖線で示したドア3は気密動作後のドア3の位置をそれぞれ示している。
【0064】
上枠部4cの左側端部には戸閉めスイッチ30がL字形のブラケット31を介して固定されており、この戸閉めスイッチ30の接触子30aをオンするためのスイッチ押し板32がドア3の上部左側に設けられている。
【0065】
上記スイッチ押し板32は、ドア3の左側上縁から若干突出するプレート部32aと、このプレート部32aの上部から左方向に鉤状に延設された押し片32bとからなり、この押し片32bは、前後方向の仮想線Mに対して角度θ1だけ先が広がった状態で延設されており、ドア3が二点鎖線で示す全閉位置に移動したときに接触子30aをオンするようになっている。
【0066】
ドア3が矢印H方向に押圧されて閉動作する過程でスイッチ押し板32は実線で示す位置から二点鎖線で示す位置に移動する。この移動経路に戸閉めスイッチ30が配置されている。
【0067】
また、床板10下部に駆動機構を収納した本実施形態において戸閉めスイッチ30を、ドア3の上側に配置すると以下の利点がある。すなわち、ドア3を下から支持する構成において、仮にドア3に異物が挟まるとドア3の上方にいくほど隙間が大きくなる。したがって、隙間の最も大きくなるドア3の上部に戸閉めスイッチ30を配置すれば、ドア3の閉状態を確実に検知することができる。
【0068】
また、スイッチ押し板32の右側にはドア開動作時にドア3をガイドレール部(ガイド体)33に案内するための被ガイド部(被ガイド体)34が取り付けられている。
【0069】
ガイドレール部33は、乗降口2から内側に離れた車体側に車体側壁1に沿って設けられており、上枠部4cから外向きに延設された帯板状プレート35の前縁部35aに固定されている。
【0070】
ガイドレール部33の左側端部33aは円弧状に形成されており、この左側端部33aに対し、被ガイド部34から右側に突出して設けられている導入部34aの先端が接触するようになっている。ただし、このときのドア3は、ドア押え装置5〜8によって乗降口2に押圧され全閉状態にある。
【0071】
上記ガイドレール部33および導入部34aを有する被ガイド部34は、ドア3の開動作時に気密を解除する気密解除手段として機能する。
【0072】
従来は、図8に示したように、ドア91を全閉状態にする際に圧縮コイルバネ100をその付勢力に抗して圧縮しておき、ドア91を開く場合に、その圧縮コイルバネ100の復元力を利用してドア91を乗降口の気密シール部99から離し、気密を解除するようにしている。ところが車内の圧力が外気圧に比べて高い場合にはドア91全体に圧力が作用しているため、ドア押え装置97,98による押圧力が解除された後も乗降口にドア91が密着した状態が起こり得る。この場合、ドア開動作が緩慢になる。
【0073】
これに対し、本実施形態では図6に示したように、乗降口にドア3が密着した状態でも、空気圧シリンダ13のロッド13aを伸長させてドア3を開動作させると、傾斜面に形成されている導入部34aが、ガイドレール部33の左側端部33に接触してドア3の開方向(右方向)の移動を利用して被ガイド部34を矢印H方向と反対方向に移動させるため、ドア3を乗降口2の気密シール9から強制的に引き離すことができる。従って、車内の圧力が外気圧より高い状態であってもドア3の気密をすばやく解除してドア3を開動作させることが可能になる。
【0074】
また、図2に示したように、ドア3はドア押え装置5による押圧が解除された時点で自重により矢印D方向に移動するようになっているため、気密解除時にはガイドレール部33と被ガイド部34とによるドア3の引き離し動作を支援するように機能し、従って、少ない力でドア3を引き離すことができる。
【0075】
図7は、上記したドア押え装置5〜8および駆動機構を駆動させる空気圧回路を示したものである。
【0076】
同図において、空気圧源40からの空気圧は、フィルタ41、ドアコック42を通じて空気圧供給路43に供給される。
【0077】
この空気圧供給路43には、ドア3を開閉させる空気圧シリンダ13とドア押え装置5を駆動させる空気圧シリンダ5〜8が接続されている。
【0078】
上記空気圧シリンダ13に供給される空気圧は、電磁切換弁44によってその方向および流量が制御されるようになっている。
【0079】
電磁切換弁44は、車両に備えられているドア制御盤のドア開スイッチ(図示しない)を押すと、ドア開信号S1がソレノイド44aに作用してa位置に切り換わり、ドア閉スイッチを押すとドア閉信号S2がソレノイド44bに作用してb位置に切り換わるようになっている。a位置に切り換わると空気圧シリンダ13のヘッド側13bにチェック弁45aを通じて空気圧が導入されてロッド13aが伸長し、また、b位置に切り換わると空気圧シリンダ13のロッド側13cに空気圧が導入されてロッド13aが縮小する。
【0080】
ロッド13aには図4に示したようにドア3を開閉させるための接続金具20が取り付けられているため、そのロッド13aの伸縮動作によってドア3が開閉する。
【0081】
なお、図中、45bは閉速度調整ネジ、45cは開速度調整ネジ、46aは開クッション調整ネジ、46bは閉クッション調整ネジである。また、47は消音器である。
【0082】
また、空気圧供給路43には空気圧の流れ方向に給排電磁弁48と切換電磁弁49が直列に接続されている。
【0083】
給排電磁弁48はc位置とd位置に切り換わるようになっており、c位置では空気圧を連通させ、d位置では空気圧を遮断する。
【0084】
c位置を通過した空気圧は切換電磁弁49に供給され、この切換電磁弁49はe位置(第二切換位置)とf位置(第一切換位置)に切り換わるようになっている。e位置では空気圧は後段の減圧弁50に導入され出口側圧力が入力側圧力に対し所定の差だけ減圧された後、各空気圧シリンダ5b〜8bに供給される。一方、ソレノイド49aに信号S3が与えられてf位置に切り換えられると空気圧は直接、各空気圧シリンダ5b〜8bに供給される。
【0085】
すなわち、上記給排電磁弁48は、気密状態が得られる第一の押圧力を発生させ、上記減圧弁50は第一の押圧力よりも所定量低い押圧力を第二押圧力として発生させ、上記切換電磁弁49は、ドアを押圧する押圧力を第二押圧力から第一押圧力に切り換えるように機能する。
【0086】
上記信号S3とは例えば、車両が所定の速度に達したことを検知して出力される車速検知信号である。また給排電磁弁48を切り換える信号S4は、例えば戸閉めスイッチ30がオンで且つ電磁切換弁44がドア閉じ動作している場合に与えられる。
【0087】
なお、51は扉全閉位置のときに連通状態(図7に示す状態)になる切換弁、52aは押え速度調整ネジ、52bは弛み速度調整ネジである。
【0088】
上記空気圧回路では、ドア3を押圧する押圧力を切換電磁弁49によって切り換えるように構成したため、ドア3を閉じる場合には、所定量減圧された空気圧、すなわち気密押圧力よりも低い押圧力でドア3を閉じることができ、万一、ドア3に物や体の一部が挟まれても自力で外すことができ安全性を高めることができる。また、車両が走行し始めて所定の速度に達すると気密押圧力でドア3が押圧され気密を確保することができる。
【0089】
上記した電磁弁44,48,49および切換弁51は、図5に示した台座14a上に固定されており、この台座14a内には空気圧源40から上記各電磁弁44,48,49および切換弁51に空気圧を供給する空気路が形成されている。
【0090】
詳しく説明すると、台座14aは、交換可能な構成部品としてモジュール化された第一配管部Mo1と第二配管部Mo2とを有し、第一配管部Mo1に戸閉電磁弁ユニットV1およびドア押え電磁弁ユニットV2が取り付けられ、このドア押え電磁弁ユニットV2に切換弁ユニットV3が接続されている。
【0091】
第一および第二配管部Mo1,Mo2内には、空気圧源40から各ユニットV1,V2に供給する空気通路が形成されている。従って台座14aの外部に配管を引き回す必要がなく、ドア駆動装置のコンパクト化が図れるようになっている。
【0092】
なお、本発明のドア駆動手段は、上記実施形態では空気圧シリンダで構成したが、これに限らず、電動モータとその出力軸に接続されたボールねじとによって構成することもできる。
【0093】
また、本発明のドア押圧手段は、上記実施形態では空気圧シリンダ等で構成したが、これに限らず、空気圧を油圧に変換し、その変換した圧油で作動する油圧シリンダで構成することもできる。
【0094】
また、上記実施形態ではスライドレール12eを突出部12cの下面に取り付けることにより、塵芥の影響を受けずに、しかも横移動機構のコンパクト化を実現したが、床下に十分なスペースがあり防塵対策が施されていれば、スライドレール12eを突出部12cの上面または側面に傾斜した状態で取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係るドア装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】(a)はドアが閉位置にある場合、(b)はドアが全閉位置にある場合を拡大して示すB矢視図である。
【図3】図1に示すドア押え装置の構成を拡大して示すF矢視図である。
【図4】図3に示すカムレバーの位置決め方法を示す説明図である。
【図5】ドアの駆動機構を示す平面図である。
【図6】(a)はドアの上部の構成を拡大して示す平面図、(b)はその正面図である。
【図7】ドア駆動機構およびドア押え装置の空気圧回路である。
【図8】従来の気密扉の構成を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 車両側壁
2 乗降口
3 ドア
4 フレーム枠
5〜8 ドア押え装置
5a〜8a カムレバー
5a〜8b 空気圧シリンダ
10 床板
11 ドアレール
12 摺動部
12b ドア押圧ガイド
12c 突出部
12d 傾斜面
12e 押圧用レール
12f 押圧用摺動ブロック
13 空気圧シリンダ
14 基板
14a 台座
33 ガイドレール
34 被ガイド部
34a 導入部
【出願人】 【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
【出願日】 平成19年1月19日(2007.1.19)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎

【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久


【公開番号】 特開2008−174149(P2008−174149A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−10611(P2007−10611)