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【発明の名称】 鉄道車両用灯具
【発明者】 【氏名】三木 哲也

【氏名】大岡 義明

【要約】 【課題】蛍光灯を用いたものにおいて、広範囲に間接照明することができる鉄道車両用灯具を提供する。

【解決手段】蛍光灯6の下側を、蛍光灯6の長手方向に沿って延びる3つのカバー部材22A,22B,22Bにて覆う構成とする。中央カバー部材22Aを、蛍光灯6の真下中央に蛍光灯6を覆うように配置する。左右の側部カバー部材22B,22Bを、中央カバー部材22Aに対して上方にずれると共に、中央カバー部材22Aに対して蛍光灯6の長手方向に直交する方向に一部重複してずれるように配置する。中央カバー部材22A及び左右の側部カバー部材22Bは、上面22Aa,22Baが鏡面で、下面22Ab,22Bbは塗装面となっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光灯の下側が灯具カバーにて覆われ、鉄道車両の天井面に、車両長手方向に沿って前記蛍光灯が延びるように取り付けられる鉄道車両用灯具であって、
前記灯具カバーは、前記蛍光灯の真下中央に前記蛍光灯を覆うように配置される中央カバー部材と、前記中央カバー部材に対して前記蛍光灯の長手方向に直交する方向にずれて配置されている側部カバー部材とを備えることを特徴とする鉄道車両用灯具。
【請求項2】
前記灯具カバーは、不燃性材料を用いて成形されていることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用灯具。
【請求項3】
前記各カバー部材の上面は、中央部位から両側方部位に向かって徐々に高さが低くなる構成とされていることを特徴とする請求項1または2記載の鉄道車両用灯具。
【請求項4】
前記側部カバー部材は2つで、前記中央カバー部材の左右であって前記中央カバー部材の上方に配置され、
前記中央カバー部材及び側部カバー部材は、上面に対し鏡面加工あるいは反射効率が高くなる表面処理が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用灯具。
【請求項5】
前記カバー部材は、3つとも、同じ中空形状の押出形材で形成されていることを特徴とする請求項4記載の鉄道車両用灯具。
【請求項6】
前記中央カバー部材は、中空形状の押出形材で、
左右の側部カバー部材は、上方に突出するように湾曲した平板材で形成されていることを特徴とする請求項4記載の鉄道車両用灯具。
【請求項7】
前記中央カバー部材は、前記蛍光灯の長手方向に直交する方向における中央部分に、前記蛍光灯からの光が透光可能である透光部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄道車両用灯具。
【請求項8】
前記カバー部材の各端部は、支持板に固定され、
前記各支持板は、上縁部の一側において前記天井面に対して回転可能に支持され、他側において取り外し可能に係止されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の鉄道車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の天井部に設けられる鉄道車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両の天井部に取り付けられる灯具として、例えば図8および図9に示すように、直管形蛍光灯101の全体を、透光可能な材料で成形される灯具カバー102にて覆い、間接照明を行うものは知られている。
【0003】
そのような間接照明を行うものとして、ランプカバーが下方に突出する湾曲形状で、中央側を除き蛍光灯を覆う形状であるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この鉄道車両用灯具のランプカバーは、合成樹脂または金属板からなる不透光性で、蛍光灯の下半分を覆い隠している。そして蛍光灯が点灯されると、このランプから下方に投射された光は、ランプカバーで遮られ、直射光として被照射部に照射させることがない。そして、蛍光灯から上方に投射された光は、上側に位置する反射板の反射部によって下方に反射され、間接照明光として照射される。
【特許文献1】特開平06−131905号公報(段落0015,0021および図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のようなランプカバーは、下方に突出する湾曲形状で、中央側を除き蛍光灯を覆う形状であるので、ランプから中央側に照射された光が反射部にて反射され、間接照明がなされるので、照射範囲が狭くなる。
【0006】
そこで、発明者は、灯具カバーを、複数の板状のカバー部材で構成すれば、蛍光灯を覆い隠せるとともに、カバー部材の隙間を通じて蛍光灯より外側にも光を反射させることができることに着想し、広範囲にわたって間接照明できる本発明を開発するに至ったものである。
【0007】
ところで、現在、鉄道車両の天井部に設けられる鉄道車両用灯具の灯具カバーには、不燃性が求められることから、灯具カバーにガラスなどの使用が考えられるが、その場合には、重量増加になるおそれがある。
【0008】
本発明は、蛍光灯を用いたものにおいて、広範囲にわたって間接照明することができる鉄道車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、蛍光灯の下側が灯具カバーにて覆われ、鉄道車両の天井面に、車両長手方向に沿って前記蛍光灯が延びるように取り付けられる鉄道車両用灯具であって、前記灯具カバーは、前記蛍光灯の真下中央に前記蛍光灯を覆うように配置される中央カバー部材と、前記中央カバー部材に対して前記蛍光灯の長手方向に直交する方向にずれて配置されている側部カバー部材とを備えることを特徴とする。ここで、側部カバー部材は、中央カバー部材の上方に配置されていても下方に配置されていてもよい。また、中央カバー部材と側部カバー部材とは形状が同一でも、異なっていてもよい。
【0010】
このようにすれば、中央カバー部材および側部カバー部材で、蛍光灯を覆う灯具カバーを構成しているので、各カバー部材の隙間からも蛍光灯の光が漏れ出て側方を照明する。よって、比較的広範囲にわたって間接照明することができる。
請求項2に記載のように、前記灯具カバーは、不燃性材料を用いて成形されている構成とすることができる。
【0011】
このようにすれば、最近、車両火災対策として灯具カバーに不燃性材料の使用が義務づけられていることにも対応できる。
【0012】
請求項3に記載のように、前記各カバー部材の上面は、中央部位から両側方部位に向かって徐々に高さが低くなる構成とされている構成とするが望ましい。
【0013】
このようにすれば、各カバー部材の上面上の塵埃は、高さの変化に伴い、中央部位から両側方部位に向かって滑って落下しやすい。よって、塵埃の付着を防止する上で有利となる。
【0014】
請求項4に記載のように、前記側部カバー部材は2つで、前記中央カバー部材の左右であって前記中央カバー部材の上方に配置され、前記中央カバー部材及び側部カバー部材は、上面に対し鏡面加工あるいは反射効率が高くなる表面処理が施されている構成とすることができる。この場合、中央カバー部材及び側部カバー部材の下面は、塗装面としてもよいし、生地のままの面(未処理面)としてもよい。
【0015】
このようにすれば、蛍光灯からの光が中央カバー部材の上面で反射され、その反射光が左右の側部カバー部材の下面で反射されて、照明が行われる。
【0016】
この場合、請求項5に記載のように、前記カバー部材は、3つとも、同じ中空形状の押出形材で形成されている構成とすることができる。
【0017】
このようにすれば、カバー部材の共通化が図れる。また、剛性がある中空形状としているので、清掃時に各カバー部材が変形するおそれもない。
【0018】
請求項6に記載のように、前記中央カバー部材は、中空形状の押出形材で、左右の側部カバー部材は、上方に突出するように湾曲した平板材で形成されている構成としてもよい。
【0019】
このようにすれば、左右の側部カバー部材の下面が全体的に明るくなる。
【0020】
請求項7に記載のように、前記中央カバー部材は、前記蛍光灯の長手方向に直交する方向における中央部分に、前記蛍光灯からの光が透光可能である透光部が形成されている構成とすることもできる。この場合、透光部は、平面視で、円形状でもよいし、長円形状でもよい。
【0021】
このようにすれば、透光部を設けることで、中央カバー部材の下方を明るくすることができる。
【0022】
請求項8に記載のように、前記カバー部材の各端部は、支持板に固定され、前記各支持板は、上縁部の一側において前記天井面に回転可能に支持され、他側において取り外し可能に係止されている構成とすることが望ましい。
【0023】
このようにすれば、カバー部材および支持板を一緒に、ユニットとして、簡単に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明は、蛍光灯を、複数のカバー部材からなる灯具カバーで覆うようにしているので、各カバー部材の間からも蛍光灯の光が漏れ出て側方を照明する。よって、比較的広範囲にわたって間接照明することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0026】
図1は鉄道車両の天井部への、取付状態を示す概略断面図、図2は鉄道車両用灯具の斜視図、図3(a)は鉄道車両用灯具の取付状態を示す側面図、(b)は取り外し状態を示す側面図である。
【0027】
図1に示すように、鉄道車両の天井中央付近に矩形状のダクト1が取り付けられ、その側方に、冷風グリル部材2および吊手アッセンブリ3を挟んで内装パネルアッセンブリ4が配置され、その内装パネルアッセンブリ4に、吊手アッセンブリ3に隣接して鉄道車両の天井面に灯具5が取り付けられている。
【0028】
図2及び図3(a)に示すように、灯具5は、車両長手方向に延びる反射板11の下側に、支持部12を介して蛍光灯6が支持される一方、上側にインバータ13が設けられている。反射板11は、支持部12およびインバータ13が取り付けられる水平基部11aと、この水平基部11aの両側縁より斜め外側下方に延びる傾斜部11b,11bと、この傾斜部11b,11bに連接され側方水平方向に延びる取付部11c,11cとを備える。水平基部11aおよび傾斜部11b,11bが、天井部内に埋め込まれるように、天井部に取付部11c,11cがビス14を介して固定されている。
【0029】
また、反射板11の長手方向両端付近には、3つのカバー部材つまり、中央カバー部材22Aおよび左右の側部カバー部材22B,22Bを支持する支持板21,21が配置されている。カバー部材22A,22B,22Bの各端部を、支持板21を貫通するように嵌合して固定することで、カバー部材22A,22B,22Bと支持板21とは、灯具カバー26としてユニット化されている。中央カバー部材22Aは、蛍光灯6の真下中央に蛍光灯6を覆うように配置されている。左右の側部カバー部材22B,22Bは、中央カバー部材22Aの左右上方であって中央カバー部材22Aに対して蛍光灯6の長手方向に直交する方向に一部重複してずれて配置されている。よって、下側からは、蛍光灯6を見ることができない、間接照明となっている。
【0030】
各支持板21は、上縁部の一端側が、天井部に取り付けられたフック部材23に回転可能に係止され、他端側が、天井部に固定された支持部材24に係止ピン25を挿通することで、取り外し可能に係止されている。つまり、係止ピン25を外すことで、支持板21の上縁部の他端側の係止が解除され、図3(b)に示すように、フック部材23に係止部分を中心として回転するようになっている。この状態で灯具カバー26を上方に持ち上げて、フック部材23による係止を解除することで、灯具カバー26を取り外すことができるようになっている。
【0031】
そして、蛍光灯6の下側が、蛍光灯6の長手方向に沿って延びる複数の板状のカバー部材22A,22B,22Bにて覆われているので、下側から蛍光灯6を直接見ることができないように構成されている。具体的には、カバー部材のうちの中央に位置するカバー部材22Aが、蛍光灯の真下中央に蛍光灯6を覆うように配置され、左右の側部カバー部材22B,22Bが、中央カバー部材22Aに対して上方にずれると共に、中央カバー部材22Aとは、前記蛍光灯の長手方向に直交する方向に一部重複してずれる位置関係で配置されている。
【0032】
カバー部材22A,22B,22Bは、3つとも、不燃性材料(金属材料、例えばアルミニウム合金など)あるいは難燃性材料からなり、同じ中空形状の押出形材で形成されている。そして、各カバー部材の上面22Aa,22Baは、蛍光灯6の長手方向に直交する方向における中央部位から両側方部位に向かって徐々に高さが低くなる構成とされ、上面22Aa,22Baに塵埃が付着しにくくなっている。
【0033】
中央カバー部材22Aは、上面22Aaが鏡面加工が施され反射効率が高い鏡面で、下面22Abは塗装面となっている。また、左右の側部カバー部材22Bも、上面22Baが鏡面で、下面22Bbが塗装面となっている。これにより、蛍光灯6からの照明光が、中央カバー部材22Aの上面22Aaで反射され、その反射光が側方に位置する側部カバー部材22Bの下面22Bbや客室内を照明する。
【0034】
また、蛍光灯6からの照明光は、左右の側部カバー部材22Bの上面22Baで反射され、その反射光が客室天井面も間接照明する。これにより、客室天井面が明るくなり、従来の灯具では、照明できなかった部分も照明できるようになる。
【0035】
前記実施の形態のほか、本発明は、次のように構成することも可能である。
【0036】
(i)図4に示すように、中央カバー部材22A’を、左右の側部カバー部材22B,22Bよりも幅を広くすることで、前記実施の形態よりも側部カバー部材をより外側に配置することができ、灯具カバーの全体高さを低くすることができ、下側から蛍光灯6を見上げたときに隠蔽できる部分を多くすることができる。また、反射光をより側方に反射させることができ、反射する範囲を広くすることも可能である。
【0037】
(ii)図5に示すように、中央カバー部材22Aのみを中空形状の押出形材とし、左右の側部カバー部材22C,22Cは上方に突出するように湾曲した平板材で形成することも可能である。この場合も、左右の側部カバー部材22Cの上面22Caは鏡面で、下面22Cbは塗装面とされる。このようにすれば、左右の側部カバー部材22C,22Cの下面が明るく、全体的に明るくなり、図4に示す場合よりも照度が向上する。
【0038】
(iii)図6及び図7に示すように、中央カバー部材22Dは、蛍光灯6の長手方向に直交する方向における中央部分が上方に突出するように湾曲した薄形の中空形材とし、その中央部分に、透光性材料(例えば、球体レンズ)からなり平面視円形状の透光部31が一定ピッチで配置されている構成とすることも可能である。つまり、中央カバー部材22Dの中央部分に一定ピッチで貫通テーパ穴22Daを形成し、その各貫通テーパ穴22Daに球体レンズ32が埋め込まれることで、蛍光灯6からの光を透過する透光部31が形成される。このようにすれば、中央カバー部材22Dの下面を明るくすることができる。また、透光部31は、平面視円形状に制限されるものではなく、平面視長円形状や平面視長方形状でもよく、それらが複数個配置されている構成としてもよいし、細長いものが1個だけ配置されている構成とすることも可能である。
(iv)中央カバー部材22A及び側部カバー部材22Bの上面22Aa,22Baは、鏡面加工に代えて、反射効率が高くなる表面処理が施されている面とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】鉄道車両の天井部への、取付状態を示す概略断面図である。
【図2】鉄道車両用灯具の斜視図である。
【図3】(a)は鉄道車両用灯具の取付状態を示す側面図、(b)は取り外し状態を示す側面図である。
【図4】鉄道車両用灯具の別の実施の形態を示す、図3(a)と同様の図である。
【図5】鉄道車両用灯具のさらに別の実施の形態を示す、図3(a)と同様の図である。
【図6】鉄道車両用灯具の他の実施の形態を示す、図2と同様の図である。
【図7】前記他の実施の形態を示す、図3(a)と同様の図である。
【図8】鉄道用灯具の、従来の取付状態示す図1と同様の図である。
【図9】従来例を示す図3(a)と同様の図である。
【符号の説明】
【0040】
5 灯具
6 蛍光灯
11 反射板
21 支持板
22A,22B,22B,22C,22D カバー部材
22Aa,22Ba,22Ca 上面
22Ab,22Bb,22Cb 下面
22Da 貫通テーパ穴
23 フック部材
31 透光部
32 球体ガラス
【出願人】 【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【出願日】 平成18年12月20日(2006.12.20)
【代理人】 【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実

【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一


【公開番号】 特開2008−149970(P2008−149970A)
【公開日】 平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願番号】 特願2006−342079(P2006−342079)