トップ :: B 処理操作 運輸 :: B61 鉄道

【発明の名称】 軌道自動自転車
【発明者】 【氏名】武内 秀雄

【要約】 【課題】労力が少なく容易且つ素早く方向転換を行うことができる軌道自動自転車を提供する。

【構成】鉄道用レールL上を転動するホイールから成る前輪及び後輪と、該前輪及び後輪上に取り付けられ、人員が搭乗可能な車両本体2と、前輪又は後輪を駆動して車両本体2を鉄道用レールLに沿って走行させるエンジン3とを具備し、鉄道用レールLの保守及び点検を行うための軌道自動自転車において、車両本体2の重心近傍に設けられ、当該車両本体2をジャッキアップ可能なジャッキ11と、該ジャッキ11によるジャッキアップ動作で下降して接地する接地手段12と、該接地手段12とジャッキ11との間に介装され、ジャッキアップ状態で当該接地手段12に対するジャッキ11の相対的回転を許容する回転部材13とを有して車両本体2の方向転換をなし得る方向転換手段4を備えたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用レール上を転動するホイールから成る前輪及び後輪と、
該前輪及び後輪上に取り付けられ、人員が搭乗可能な車両本体と、
前記前輪又は後輪を駆動して前記車両本体を鉄道用レールに沿って走行させる駆動手段と、
を具備し、鉄道用レールの保守及び点検を行うための軌道自動自転車において、
前記車両本体の重心近傍に設けられ、当該車両本体をジャッキアップ可能なジャッキと、
該ジャッキによるジャッキアップ動作で下降して接地する接地手段と、
該接地手段と前記ジャッキとの間に介装され、ジャッキアップ状態で当該接地手段に対するジャッキの相対的回転を許容する回転部材と、
を有して前記車両本体の方向転換をなし得る方向転換手段を備えたことを特徴とする軌道自動自転車。
【請求項2】
前記接地手段は、
前記車両本体の幅方向に延設されたステーと、
該ステーの両端部に形成され、鉄道用レールの上面に当接して接地するレール受けと、
を具備したことを特徴とする請求項1記載の軌道自動自転車。
【請求項3】
前記レール受けには、鉄道用レールの縁部と合致するフランジが形成されたことを特徴とする請求項2記載の軌道自動自転車。
【請求項4】
前記ジャッキは、ねじ軸をその軸心回りに回転させてジャッキアップ可能なパンタグラフ式ジャッキから成り、当該ねじ軸を回転させるジャッキハンドルが前記車両本体に支持されたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の軌道自動自転車。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用レールの保守及び点検を行うための軌道自動自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道用レールの保守及び点検を行うために、作業者が搭乗して当該鉄道用レール上を走行する軌道自動自転車は、通常、鉄道用レール上を転動するホイールから成る前輪及び後輪と、該前輪及び後輪上に取り付けられ、人員が搭乗可能な車両本体と、該車両本体に搭載されて前輪又は後輪を駆動することにより車両本体を鉄道用レールに沿って走行させるエンジンなどを具備している。
【0003】
そして、エンジンを始動して駆動輪を回転駆動させると、車両本体が鉄道用レールに沿って前進し、搭乗した作業員により当該鉄道用レールに対する各種保守や点検等が行われ得るようになっている。このような軌道自動自転車の方向転換は、従来、搭乗していた作業者が車両本体から一旦降り、当該車両本体を手で持ち上げつつ後方に向けて再び鉄道用レール上に載せることにより行われていた。
【0004】
また、車両本体の重心近傍にテコの一端を当接させた後、当該テコの他端を作業者が手で引き下げることにより車両本体を持ち上げ、その状態にて車両本体を回転させることにより軌道自動自転車の方向転換を行うことも提案されていた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の軌道自動自転車においては、方向転換時、比較的重量がある車両本体を持ち上げるには作業者に過度な負担を強いるとともに、テコによって持ち上げる場合においても、テコの他端を引き下げる際に比較的大きな労力が必要とされてしまうという問題があった。また、テコにより車両本体を持ち上げつつ回転させる間、作業者がテコの他端を引き下げた状態を維持しなければならず、負担が過大となっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、労力が少なく容易且つ素早く方向転換を行うことができる軌道自動自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、鉄道用レール上を転動するホイールから成る前輪及び後輪と、該前輪及び後輪上に取り付けられ、人員が搭乗可能な車両本体と、前記前輪又は後輪を駆動して前記車両本体を鉄道用レールに沿って走行させる駆動手段とを具備し、鉄道用レールの保守及び点検を行うための軌道自動自転車において、前記車両本体の重心近傍に設けられ、当該車両本体をジャッキアップ可能なジャッキと、該ジャッキによるジャッキアップ動作で下降して接地する接地手段と、該接地手段と前記ジャッキとの間に介装され、ジャッキアップ状態で当該接地手段に対するジャッキの相対的回転を許容する回転部材とを有して前記車両本体の方向転換をなし得る方向転換手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の軌道自動自転車において、前記接地手段は、前記車両本体の幅方向に延設されたステーと、該ステーの両端部に形成され、鉄道用レールの上面に当接して接地するレール受けとを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の軌道自動自転車において、前記レール受けには、鉄道用レールの縁部と合致するフランジが形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の軌道自動自転車において、前記ジャッキは、ねじ軸をその軸心回りに回転させてジャッキアップ可能なパンタグラフ式ジャッキから成り、当該ねじ軸を回転させるジャッキハンドルが前記車両本体に支持されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、方向転換手段のジャッキによるジャッキアップ動作により接地手段が接地し、車両本体を持ち上げることができるとともに、回転部材により接地状態で車両本体を回転させることができるので、労力が少なく容易且つ素早く方向転換を行うことができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ジャッキによるジャッキアップ動作によりレール受けが鉄道用レールの上面に当接して接地するので、地面に接地させるものに比べ、安定した状態にて車両本体の方向転換を行わせることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、レール受けには、鉄道用レールの縁部と合致するフランジが形成されているので、ジャッキアップ時や方向転換時、当該レール受けが鉄道用レールからずれてしまうのを防止することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、ジャッキは、ねじ軸をその軸心回りに回転させてジャッキアップ可能なパンタグラフ式ジャッキから成り、当該ねじ軸を回転させるジャッキハンドルが車両本体に支持されているので、簡単な構成で方向転換を行わせることができるとともに、方向転換をより素早く行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る軌道自動自転車は、鉄道用レールの保守及び点検を行うためのものであり、図1及び図2に示すように、鉄道用レールL上を転動可能な前輪用ホイール1a及び後輪用ホイール1bと、作業員等人員が搭乗可能な車両本体2と、後輪用ホイール1bを駆動するための駆動手段としてのエンジン3と、方向転換手段4とを具備し、当該エンジン3の駆動力にて鉄道用レールL上を走行可能なものである。
【0016】
前輪用ホイール1a及び後輪用ホイール1bは、硬質のウレタン樹脂から成るものであり、後輪用ホイール1bに対してエンジン3の駆動力が伝達されると、車両本体2が人員を搭乗した状態にて鉄道用レールLに沿って走行し得るよう構成されている。尚、本実施形態においては、後輪用ホイール1bに対して駆動力が伝達されるものであるが、前輪用ホイール1aに駆動力が伝達されるもの、或いは前後輪ホイール共に駆動力が伝達されるものであってもよい。また、他の材質(例えば金属製のもの)から成るホイールとしてもよい。
【0017】
車両本体2は、前輪用ホイール1a及び後輪用ホイール1b上に取り付けられたフレーム5にて構成されるもので、駆動手段としてのエンジン3が設置されるとともに、走行に必要な種々構成要素(左右前後の着座シート6、アクリル製の防風手段7、ライト8、アクセル9及びフットブレーキ10など)が取り付けられている。そして、着座シート6に着座した作業員がアクセル9を操作することにより、エンジン3の駆動が制御されるとともに、フットブレーキ10を操作することにより、制動し得るよう構成されている。
【0018】
エンジン3は、フレーム5の略中央に固定され、その周囲に配設された燃料タンクTから燃料が供給されるとともに、伝達ベルト等の伝達手段を介して後輪用ホイール1bと連結され、走行時の駆動力を伝達可能とされたものである。尚、変速操作可能とすべく減速機及び変速操作装置を具備してもよく、或いは内燃機関としてのエンジン3に代えて、モータ等他の駆動手段としてもよい。
【0019】
方向転換手段4は、車両本体2におけるフレーム5の下面側に固定されて当該車両本体2の方向転換をなし得るもので、図3に示すように、車両本体2の重心近傍に設けられたパンタグタフ式ジャッキ11と、ステー12a及びレール受け12bで構成される接地手段12と、接地手段12とジャッキ11との間に介装された回転部材13とから主に構成されている。パンタグラフ式ジャッキ11は、フレーム5(車両本体2の重心近傍位置)に溶接にて固定されたベース11aと、一対の第1アーム11bと、一対の第2アーム11cと、ねじ軸11dとを具備して成るものである。
【0020】
また、ねじ軸11dの一端側には、ジャッキハンドル14の一端が取り付けられる取付部11eが形成されており、当該ジャッキハンドル14を回転操作することにより、ねじ軸11dがその軸回りに回転し、第1アーム11bと第2アーム11cをその連結部が近接する方向に移動させるよう構成されている。即ち、ジャッキハンドル14を回転操作してジャッキアップ動作すると、ジャッキ11が図3の状態から図4の状態とされ、接地手段12を下降し得るのである。
【0021】
ジャッキハンドル14は、上述の如く一端が取付部11eに取り付けられるとともに、図6に示すように、他端側が車両本体2のフレーム5に形成された支持部5aにて回転操作可能な状態で支持されている。これにより、簡単な構成で方向転換を行わせることができるとともに、方向転換をより素早く行わせることができる。尚、同図中符号14aは、作業者が把持して回転操作するための把持グリップを示している。
【0022】
接地手段12を構成するステー12aは、回転部材13を介してジャッキ11(第2アームの連結部分)に接続された長尺状部材から成り、車両本体2の幅方向(進行方向と略直交する方向)に延設された鋼材等から成るものである。かかるステー12aの両端部には、レール受け12bが形成されており、ジャッキアップ動作による接地手段12の下降過程で、図4に示すように、当該レール受け12bと鉄道用レールL上面とが当接して接地し得るよう構成されている。
【0023】
一方、レール受け12bには、図4に示すように、下方に折り曲げ形成されて鉄道用レールLの両縁部と合致するフランジ12baが形成されている。これにより、ジャッキアップ時や方向転換時、レール受け12bが鉄道用レールLからずれてしまうのを防止することができる。尚、本実施形態においては、フランジ12baが鉄道用レールLの両縁部に合致するよう形成されているが、一方の縁部に合致するものであってもよい。
【0024】
しかして、接地手段12による接地状態から更にジャッキハンドル14を回転操作すると、第1アーム11bと第2アーム11cをその連結部が近接する方向に更に移動させるので、図5に示すように、反力によって車両本体2が鉄道用レールLから持ち上がりジャッキアップ状態とし得るようになっている。このとき、ジャッキ11が車両本体2の重心近傍に固定されているため、安定したジャッキアップ状態となっている。
【0025】
回転部材13は、上記の如きジャッキアップ状態で接地手段12に対するジャッキ11の相対的回転を許容するものである。即ち、ジャッキ11によるジャッキアップ状態で作業者が車両本体2を所定方向に押せば、当該車両本体2が図7の状態から図8の状態へと回動し、方向転換をなし得るのである。そして、図9で示したように、車両本体2の方向転換が完了した後、ジャッキハンドル14を反対方向に回転操作すれば、第1アーム11bと第2アーム11cがその連結部が離間する方向に移動するので、車両本体2が下降することとなる。
【0026】
しかして、前輪用ホイール1a及び後輪用ホイール1bが鉄道用レールL上に至り、当該鉄道用レールLに沿って逆向きに走行可能となる。尚、前輪用ホイール1a及び後輪用ホイール1bが鉄道用レールL上に至った後、更にジャッキハンドル14を回転操作し、接地手段12を図3の状態(初期位置)まで上昇させておく。これにより、軌道自動自転車の走行時、接地手段12が鉄道用レールLに干渉してしまうのを回避できる。
【0027】
本実施形態によれば、方向転換手段4のジャッキ11によるジャッキアップ動作により接地手段12が鉄道用レールLに対して接地し、車両本体2を持ち上げることができるとともに、回転部材13により接地状態で車両本体2を回転させることができるので、労力が少なく容易且つ素早く方向転換を行うことができる。また、ジャッキ11によるジャッキアップ動作によりレール受け12bが鉄道用レールLの上面に当接して接地するので、地面に接地させるものに比べ、安定した状態にて車両本体2の方向転換を行わせることができる。
【0028】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばジャッキ11の下端に、回転部材を介して鉄道用レールL間の地面や枕木上に接地し得る板状の接地手段を具備させたものとしてもよい。但し、この場合であっても、安定した方向転換を図るべく、ジャッキ11を車両本体2の重心近傍に設ける必要がある。また、パンタグラフ式ジャッキに代えて、他の形態のジャッキ(油圧式ジャッキ等)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
車両本体の重心近傍に設けられ、当該車両本体をジャッキアップ可能なジャッキと、該ジャッキによるジャッキアップ動作で下降して接地する接地手段と、該接地手段とジャッキとの間に介装され、ジャッキアップ状態で当該接地手段に対するジャッキの相対的回転を許容する回転部材とを有して車両本体の方向転換をなし得る方向転換手段を備えた軌道自動自転車であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る軌道自動自転車を示す側面図
【図2】同軌道自動自転車を示す正面図
【図3】同軌道自動自転車における方向転換手段(ジャッキアップ前)を示す模式図
【図4】同軌道自動自転車における方向転換手段(ジャッキアップ過程)を示す模式図
【図5】同軌道自動自転車における方向転換手段(ジャッキアップ後)を示す模式図
【図6】同軌道自動自転車におけるジャッキハンドルの支持構造を示す模式図
【図7】同軌道自動自転車における方向転換前の状態を示す平面模式図
【図8】同軌道自動自転車における方向転換過程の状態を示す平面模式図
【図9】同軌道自動自転車における方向転換後の状態を示す平面模式図
【符号の説明】
【0031】
1a 前輪用ホイール
1b 後輪用ホイール
2 車両本体
3 エンジン(駆動手段)
4 方向転換手段
5 フレーム
6 着座シート
7 防風手段
8 ライト
9 アクセル
10 フットブレーキ
11 ジャッキ
12 接地手段
12a ステー
12b レール受け
12ba フランジ
13 回転部材
14 ジャッキハンドル
L 鉄道用レール
【出願人】 【識別番号】592124344
【氏名又は名称】株式会社協栄製作所
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫


【公開番号】 特開2008−56102(P2008−56102A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−235730(P2006−235730)