トップ :: B 処理操作 運輸 :: B61 鉄道

【発明の名称】 道路走行車両を積載するための鉄道車両
【発明者】 【氏名】柿沼 博彦

【氏名】佐藤 巌

【氏名】谷地 邦博

【氏名】佐藤 頼光

【氏名】高橋 慶和

【要約】 【課題】充分な輸送能力のある道路走行車両2を積載可能で、連結されている動力車を折り返し駅において連結し直すことなく、双方向に運転することが可能な鉄道車両1を構成する。

【構成】道路走行車両2を積載する荷台部110と、前記荷台部を鉄道車両の進行方向に対して左右水平にスライドするスライド手段120と、前記荷台部の上昇及び下降を行う昇降手段140と、を備える可動式積載装置100と、連結されている動力車を制御して連結車両として運転するための運転装置31と、を備えることを特徴とする鉄道車両1を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路走行車両を積載する荷台部と、前記荷台部を鉄道車両の進行方向に直交する左右水平にスライドするスライド手段と、前記荷台部の上昇及び下降を行う昇降手段と、を備える可動式積載装置と、
連結されている動力車を制御して連結車両として運転するための運転装置と、
を備えることを特徴とする道路走行車両を積載するための鉄道車両。
【請求項2】
道路走行車両が前記荷台部に載り入れる際に走行する走行路面の高さを検知する走行路面検知手段と、
前記走行路面検知手段により検知された走行路面の高さに対して前記荷台部が設置可能な高さとなるように前記昇降手段を調整する昇降制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両。
【請求項3】
前記可動式積載装置に積載した道路走行車両を、鉄道車両の進行方向に対して前後から固定するエアバッグ状の固定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両。
【請求項4】
前記可動式積載装置への道路走行車両の積載が完了したことを検知する積載完了検知手段と、
前記積載完了検知手段の検知に応じて前記固定手段を固定状態へと動作させる固定制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両。
【請求項5】
一方の車端に客室、機器室又は荷物室の何れか1つを配置し、他方の車端に前記運転装置を具備する運転室を配置し、前記客室と前記運転室との間に前記可動式積載装置を配置したことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、動力を備えず、動力車に連結され、道路走行車両を積載するための鉄道車両、特に、バスを積載するための鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、都市部への人口集中に伴い、地方山村部における過疎化が進行しており、この過疎化は、地方鉄道線(いわゆるローカル線)や地方路線バスの利用者の減少をもたらしている。このため、鉄道事業者やバス事業者は、新たな需要の創出や、運行コストの削減をするために、地方鉄道線や地方路線バスに代わる新たな交通システムを創造する必要に迫られている。
このような状況において、近年、鉄道と道路とのシームレス化を行って鉄道車両とバスの双方の利点を生かす交通システムの開発に注目が集まり、その一つとして、鉄道車両にバス等を積載して輸送するシステムの構想が掲げられている。
【0003】
自走する乗用車、バス、トラック等の道路走行車両を出発地において容易に積載し、目的地において容易に降車させることを可能とする鉄道車両はこれまでも提案されており、例えば、道路走行車両を積載する荷台が、その中心を軸として回転可能に鉄道車両の上面に取付けられ、一定の角度だけ回転することにより、線路脇の地面や道路走行車両が走行可能となるよう構成されたプラットホームから直接、荷台に載り降りすることを可能とする方法が知られている(例えば、特許文献1から3参照)。
【0004】
しかしながら、上記の方法では荷台がその中心を軸として回転するため、荷台を回転させた時に鉄道車両の幅方向に荷台が大きく突出する。したがって、隣接する線路上を通過する列車の障害となり、衝突事故を招く危険性があった。
それに対して、荷台を回転させずにプラットホームのある側に水平にスライドさせることで、隣接する線路を支障しないよう考えられた方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。この場合は、道路走行車両は鉄道車両に対して平行に走行して荷台に載り降りすることとなる。
【特許文献1】特開昭60−252060号公報
【特許文献2】特公昭63−058458号公報
【特許文献3】特開平08−002409号公報
【特許文献4】特開平04−262961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの鉄道車両は通常、動力を備えておらず、機関車等の動力車に連結して牽引される事を目的として作られており、折り返し運転をする際には、折り返し駅において、その都度これから進行する方向側に動力車を連結し直している。そのため、動力車を連結し直すためには当該駅に入れ換え用の設備が必要となり、駅設備が大規模なものとなる。しかし、ここでは地方鉄道線や地方路線バスに代わる新たな交通システムを担う目的があり、駅設備が大型化してしまうことは望ましくない。
【0006】
一方で、積載される道路走行車両が大きくなるほど積載部が広く必要であり、車高の高い道路走行車両を積載させる場合には荷台を極力下げる必要もあるため床下スペースの確保も困難であり、1両単独で走行するために必要な動力源や運転台等の全ての各種機器を1両の鉄道車両に搭載することは難しい。仮に全ての各種機器を1両の鉄道車両に搭載すると、一般的な鉄道の客車等に比べて乗車定員が格段に少ない道路走行車両でなければ、鉄道車両に積載できなくなり、朝夕の通勤通学時間帯を考慮すると、地方鉄道線においても充分な輸送量とは言えない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、充分な輸送能力のある道路走行車両を積載可能で、連結されている動力車を折り返し駅において連結し直すことなく、双方向に運転することが可能な道路走行車両を積載するための鉄道車両を構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
道路走行車両を積載するための鉄道車両であって、
道路走行車両を積載する荷台部と、前記荷台部を鉄道車両の進行方向に直交する左右水平にスライドするスライド手段と、前記荷台部の上昇及び下降を行う昇降手段と、を備える可動式積載装置と、
連結されている動力車を制御して連結車両として運転するための運転装置と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両であって、
道路走行車両が前記荷台部に載り入れる際に走行する走行路面の高さを検知する走行路面検知手段と、
前記走行路面検知手段により検知された走行路面の高さに対して前記荷台部が設置可能な高さとなるように前記昇降手段を調整する昇降制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両であって、
前記可動式積載装置に積載した道路走行車両を、鉄道車両の進行方向に対して前後から固定するエアバッグ状の固定手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両であって、
前記可動式積載装置への道路走行車両の積載が完了したことを検知する積載完了検知手段と、
前記積載完了検知手段の検知に応じて前記固定手段を固定状態へと動作させる固定制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の道路走行車両を積載するための鉄道車両であって、
一方の車端に客室、機器室又は荷物室の何れか1つを配置し、他方の車端に前記運転装置を具備する運転室を配置し、前記客室と前記運転室との間に前記可動式積載装置を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、可動式積載装置に昇降手段を備えていて道路走行車両を積載した後に荷台部を降下させるため、車高が高くとも、充分な輸送能力のある道路走行車両を積載するための鉄道車両を構成することができる。また、連結されている動力車を制御して連結車両として運転するための運転装置を備えているため、動力車を進行方向に応じて連結し直すことなく双方向に運転することが可能な鉄道車両を構成することができ、駅設備の大型化を避けることもできる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、走行路面の高さを検知する走行路面検知手段を備えており、検知した高さに応じて昇降手段の高さを調整するため、昇降手段の操作が容易で、操作者への負担が少なく、操作ミスなどによる事故を防ぐことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、可動式積載装置に積載した道路走行車両をエアバッグ状の固定手段によって鉄道車両に固定するため、万が一、踏切事故などで鉄道車両に衝撃が加えられた場合に、積載されている道路走行車両への衝撃を和らげるとともに、逸脱する危険性を抑えることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、可動式積載装置への道路走行車両の積載が完了したことを検知して固定手段を自動で制御するため、操作者への負担が少なく、固定手段の操作失念などにより道路走行車両が固定されないまま運行する等の事態を避けることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、可動式積載装置を中央に設けることにより、一般的に鉄道車両の前後にある台車を支障することなく、車高の高い道路走行車両を積載可能なように可動式積載装置をより低い位置に設置することができ、両端に運転室と客室、機器室又は荷物室を配することもでき、スペースの有効活用が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明における実施の形態に係る鉄道車両1について、図1から図8を参照しながら説明する。
【0019】
鉄道車両1は、図1に示すように、小型から中型のバスを容易かつ迅速に積載して軌道上の走行を可能とすることにより、乗客を乗せて道路を走行してきたバス2が、そのまま鉄道車両1に載り入れて、鉄道車両1によって軌道を走行し、乗客を乗せたまま鉄道車両1から道路へ降りて、そのまま道路を走行する形態の交通システムとして運行することを可能とする。
【0020】
(鉄道車両が備える構成・機器等)
鉄道車両1は、図1に示すように、ベースとなる鉄道車両を改造したものであり、元々鉄道車両が備えている台枠11、連結運転のための引き通し電線12(図8参照)、ブレーキ制御等のための図示しない引き通し空気管、ブレーキ装置を備えた台車14、他車両と連結するための連結器15、引き通し電線12に接続され鉄道車両1の両端に配置されたジャンパー栓16等を備えている。
さらに、鉄道車両1は、一方の車端に運転室30及び機器室40、もう一方の車端に客室50を備え、それらの間にバス2を積載する”可動式積載装置”としてのバス台100を備えている。バス台100が設けられている台枠中央部11aのレール上面からの高さは、車高の高いバスを積載可能とするため、運転室30、機器室40及び客室50の高さ(例えば1,000mm)よりも一段低く(例えば700mm)なるよう構成されており、つまり、鉄道車両1の台枠中央部11aにバス台100を配置することで、台車14を支障せずにバス台100をより低い位置に設置することを可能としている。
【0021】
バス台100は、図2に示すように、鉄道車両1の各台車の間に一段低く構成されている台枠中央部11aの上に設けられている。台枠中央部11a内の前方、後方及び中央の3箇所に”昇降手段”としての昇降装置140がそれぞれ配置され、それら3機の昇降装置140によって昇降板130が支えられている。昇降板130の上には”荷台部”としての荷台110が、”ローラー部”としてのローラー150を介して、鉄道車両1の進行方向に直交する左右双方向にスライド可能に載せられており、昇降板130と荷台110は左右方向にスライドさせるために4機配置された”スライド手段”としてのスライド装置120によって接続されている。また、バス台100に積載したバス2を固定するため、台枠中央部11aの最前部及び最後部には”固定手段”としての固定エアバッグ171,172が設けられており、バス2を積載した場合に自動で動作するよう構成されている。
なお、固定エアバッグ171,172は、固定エアバッグ171,172に加えられている空気圧を検知する圧力計を用いたエアバッグ圧検知センサーを備えていても良い。
【0022】
昇降装置140は、図3に示すように、進行方向側から見て交差して見えるよう配置した2本の昇降油圧シリンダー141を横に2組並べて配置した4本の昇降油圧シリンダー141からなり、4本の昇降油圧シリンダー141を同時に伸縮させることにより昇降板130を昇降させることができる。なお、昇降油圧シリンダー141は横から見て交差して見えるように配置しても良い。
なお、昇降装置140は、昇降装置140が最も収縮した状態にあるか、最も伸長した状態にあるか、収縮動作中であるか、伸長動作中であるかの全て又は何れかを検知する、変位計又はスイッチ等を用いた昇降装置検知センサーを備えていても良い。
【0023】
スライド装置120は、図4に示すように、鉄道車両1の進行方向に直交する左右向きに配置された二段階伸縮式のスライド油圧シリンダー121によって荷台110をスライドさせることができる。また、スライド装置120は、左右双方向にスライド可能とするために各方向に個別に荷台110を動作させる2本のスライド油圧シリンダー121を備えている。そして、右方向にスライドする時には左方向にスライドするためのスライド油圧シリンダー121を荷台110から切り離し、左方向にスライドする時には右方向にスライドするためのスライド油圧シリンダー121を荷台110から切り離す図示しない電磁ソレノイド等を備えている。
なお、スライド装置120は、スライド装置120が最も収縮した状態にあるか、左方向又は右方向に最も伸長した状態にあるか、収縮動作中であるか、伸長動作中であるかの全て又は何れかを検知する、変位計又はスイッチ等を用いたスライド装置検知センサーを備えていても良い。
【0024】
昇降板130は、図5に示すように、進行方向に直交する左右方向に開閉可能で、二段に折りたたみ可能なサイドカバー160を、昇降板130の左右両側面に2つずつ備えており、サイドカバー160は、荷台110が左右どちらかにスライドする時にそれに合わせて図示しない油圧シリンダや電気アクチュエータ等により開かれる。
昇降板130の上面にはスライド装置120によってスライドする荷台110が載せられており、荷台110が左方向又は右方向に直進してスライドするよう昇降板130上面のガイドウェイ状の凸部と荷台110下面の溝状の凹部が嵌合する構造となっている。
また、図6に示すように、荷台110がその底面にローラー150を備えていることに加えて、荷台110がスライドする時に、ローラー150が開かれたサイドカバー160上を走行するよう、ローラー150及びサイドカバー160が配置されていることにより、プラットホーム等に多少の凹凸がある場合にも関係なく、荷台110は昇降板130及びサイドカバー160上を、滑らかにスライドすることが可能な構造となっている。さらに、サイドカバー160は、図2に示す位置に、荷台110が平行にスライドするよう、ローラー150が通る経路に合わせてローラーガイド161を備えている。
なお、サイドカバー160は、サイドカバー160が展開された状態にあるか、収納された状態にあるかを検知する、回転角度計又はスイッチ等を用いたサイドカバー検知センサーを備えていても良い。
【0025】
荷台110は、図7に示すように、バス2が荷台110に載り降りする時に踏板となる、収納可能な”スロープ部”としてのスロープ180を備えており、バス2が安全かつスムーズに荷台110に載り降りすることが可能となっている。また、スロープ180は荷台110が鉄道車両1に収納される時には、スライドの邪魔にならないよう付け根から上向きに折りたたみ可能な構造となっており、荷台110がスライドしてバス2が載り降り可能な状態になった時にのみ図示しない油圧シリンダや電気アクチュエータ等によりスロープ180が展開される。
なお、スロープ180は、スロープ180が展開された状態にあるか、収納された状態にあるかを検知する、回転角度計又はスイッチ等を用いたスロープ検知センサーを備えていても良い。
【0026】
また、鉄道車両1は、車体の左右側方にプラットホームPの高さを検知する”走行路面検知手段”としてのホーム検知センサー221を備えている。外方に水平に光を射出する光源とその反射光を受光する受光素子からなる光学式センサが荷台110の側方に設けられ、荷台110の上昇によりセンサ位置がプラットホームPよりも高くなると受光素子が反射光を受光できなくなり、荷台110がプラットホームPに設置可能な丁度良い高さを認識することができる。
【0027】
さらに、鉄道車両1は、荷台110に荷重が加わることによってそれを検知する歪みゲージを用いたバス積載センサー222を備えており、荷台110にバス2が積載されている事を検知することができる。
【0028】
客室50は、図1に示すように、プラットホームPから乗客が乗降できるよう左右両側に乗降ドアが設けられており、バス2の乗客も一度プラットホームPに降りてから客室50に乗降することができる。なお、乗降ドアは開閉駆動源を備え、当該開閉駆動源は他車両と連動して運転室30からの操作で開閉できるよう構成しても良いし、手動で開閉しても良い。
なお、客室50の車端側に他車両と往来可能となるよう貫通ドアを設けても良い。その場合は、他車両と連結する幌や渡り板を設ける必要がある。
なお、客室50内には、乗客が着座することができるよう座席を設けてもよい。座席はスペースの都合上、ロングシートが望ましいが、必要に応じて別な座席を用いても良い。
さらに、車内放送用のスピーカー等の接客設備を備えていても良い。
なお、場合によっては、窓ガラスを備えず、上半分が開放され、又は簡易な屋根を備えたトロッコ列車タイプの客室としても良いし、客室として利用する代わりに機器室や荷物室として利用しても良い。
【0029】
機器室40には、詳細は図示しないが、ディーゼル気動車と連結して連結車両として走行するために必要な機器に加えて、バス台100を動作させるための油圧コンプレッサーや、バス台100を制御するための”昇降制御手段”としての昇降制御装置211、固定エアバッグ171,172を制御するための”固定制御手段”としての固定制御装置212等が備えられている。なお、通常は床下に設置されるがバス台100設置による床下のスペース減少に伴って配置できなくなった引き通し空気管からつながる空気タンク等を機器室40に設置しても良い。
【0030】
運転室30は、詳細は図示しないが、一般的なディーゼル気動車が備えている、連結車両内での自車位置(前/中間/後)を設定する運転台選択スイッチ31a、加減速を行うためのマスコン31b並びにブレーキ弁31c、前進/後退を切換える逆転ハンドル31d、ドアスイッチ31e、車内放送装置31f、自動放送装置、列車無線、防護無線、及びATS等の各種保安装置等を含む営業運転に必要な各種の”運転装置”としての運転台31を備えており、それに加えて、荷台110の上昇/停止/下降を切替える荷台昇降スイッチ32、荷台110のスライド方向を設定するスライド方向設定スイッチ33、荷台110の展開/停止/収納を行う荷台スライドスイッチ34を備えている。
なお、運転室30は必要に応じて、バス内に対する車内放送を行うバス内放送装置、手動で固定エアバッグ171,172を作動させる場合にはエアバッグ作動スイッチ35、同様に、スロープ展開スイッチ36、サイドカバー開閉スイッチ37を備えていても良い。
なお、運転室30は、昇降制御装置211がバス台100に対して後述する「展開状態」又は「収納状態」にするよう指示を出したことを昇降制御装置211から授受し、それを表示する表示灯を備えていても良い。
なお、昇降装置検知センサーを備えている場合は、荷台110が最下段まで下降し、昇降装置140が最も収縮した状態にあることを検知した時のみ消灯し、昇降装置140がそれ以外の状態の時は点灯する荷台上昇ランプを運転室30に備えていても良い。
なお、スライド装置検知センサーを備えている場合は、スライド装置120が最も収縮した状態にあることを検知した時のみ点灯し、スライド装置120がそれ以外の状態の時は消灯する昇降可ランプを運転室30に備えていても良いし、サイドカバー160にサイドカバー検知センサーを備えている場合は、サイドカバー160が収納された状態にある時のみ昇降可ランプが点灯するようにしても良い。
なお、スライド装置検知センサーを備えている場合は、スライド装置120が左方向又は右方向に最も伸長した状態にあることを検知した時のみ点灯し、スライド装置120がそれ以外の状態の時は消灯するバス乗降可ランプを運転室30に備えていても良いし、スロープ180にスロープ検知センサーを備えている場合は、スロープ180が展開された状態にある時のみバス乗降可ランプが点灯するようにしても良い。
なお、運転室30は、ホーム検知センサー221によって荷台110がプラットホームPに設置可能な高さとなった時に点灯するスライド可ランプを備えていても良い。
なお、エアバッグ圧検知センサーを備えている場合は、固定エアバッグ171,172に一定以上の空気圧(例えば200hPa)が加わっていることを検知した時に点灯するエアバッグ固定ランプを運転室30に備えていても良い。
なお、昇降制御装置211がバス台100に対して「収納状態」にするよう指示を出した後でなければ、マスコン31bを操作できないよう、電気的又は機械的に規制する機構を備えていても良いし、昇降装置検知センサー及びスライド装置検知センサーを備えている場合は、昇降装置140が最も収縮した状態にあること、スライド装置120が最も収縮した状態にあること、を検知した時以外はマスコン31bを操作できないよう規制しても良い。
なお、昇降制御装置211は、スライド装置120が最も収縮した状態にあること、サイドカバー160が閉じられていること、を検知した時以外は、昇降装置140が動作しないよう規制する機能を備えていても良いし、サイドカバー160が閉じられている時やスロープ180が展開されている時はスライド装置120が動作しないよう規制する機能を備えていても良いし、スライド装置120が最も収縮した状態にあるとき以外はサイドカバー160が動作しないよう規制する機能を備えていても良いし、スライド装置120が左方向又は右方向にスライドした状態でなければスロープ180が展開しないよう規制する機能を備えていても良い。
【0031】
(バス台100の動作等)
以下では、図8を参照しながら、バス台100等の動作及び各制御装置の動作について説明する。
まず、プラットホームPにおいて鉄道車両1にバス2を積載する場合を考える。
鉄道車両1がバス2を積載するプラットホームPに到着すると、バス台100をバス2の積載が可能な「展開状態」にするため、運転室30に設けられた荷台昇降スイッチ32を「上昇」にセットする。昇降制御装置211は、荷台昇降スイッチ32が「上昇」にセットされると、まず、鉄道車両1に設けられたホーム検知センサー221を用いてプラットホームPの高さを検知し、その高さに応じて荷台110がプラットホームPに設置可能な高さとなるよう昇降装置140を制御して荷台110を上昇させる。
なお、運転室30に荷台上昇ランプが設けられている場合は、荷台110が上昇を開始した時点で荷台上昇ランプが点灯する。
なお、運転室30にスライド可ランプが設けられている場合は、荷台110がプラットホームPに設置可能な高さまで上昇を完了した時点でスライド可ランプが点灯する。
【0032】
荷台110の上昇が完了したことを確認した後、バス2を積載するプラットホームPの方向をスライド方向設定スイッチ33により設定し、荷台スライドスイッチ34を「展開」にセットする。昇降制御装置211は、荷台スライドスイッチ34が「展開」にセットされると、スライド方向設定スイッチ33に設定された側のサイドカバー160を開き、スライド装置120を制御して荷台110をプラットホームP上に展開し、引き続き、スロープ180も展開する。
なお、運転室30に昇降可ランプが設けられている場合は、スライド装置120がスライドを開始した時点、又は、サイドカバー検知センサーによってサイドカバー160が開き始めたことを検知した時点で昇降可ランプが消灯する。
なお、運転室30にバス乗降可ランプが設けられている場合は、スライド装置120がスライドを完了した時点、又は、スロープ検知センサーによってスロープ180の展開が完了したことを検知した時点でバス乗降可ランプが点灯する。
【0033】
これにより、バス台100は「展開状態」となり、バス2が載り降り可能な状態となる。バス2は荷台110に向けてプラットホームP上を列車に沿って走行し、スロープ180を踏板として荷台110に載り入れる。
【0034】
バス2が荷台110の所定の位置(例えば、中央)に停止したことを確認後、バス台100を「収納状態」にするため、運転室30に設けられた荷台スライドスイッチ34を「収納」にセットする。昇降制御装置211は、荷台スライドスイッチ34が「収納」にセットされると、スロープ180を収納し、スライド装置120を制御して荷台110を鉄道車両1上に移動し、続けて、サイドカバー160を閉じる。
なお、運転室30にバス乗降可ランプが設けられている場合は、スライド装置120が収納を開始した時点、又は、スロープ検知センサーによってスロープ180の収納が開始されたことを検知した時点でバス乗降可ランプが消灯する。
なお、運転室30に昇降可ランプが設けられている場合は、スライド装置120が収納を完了した時点、又は、サイドカバー検知センサーによってサイドカバー160が閉じ終わったことを検知した時点で昇降可ランプが点灯する。
【0035】
サイドカバー160が閉じたことを確認した後、運転室30に設けられた荷台昇降スイッチ32を「下降」にセットする。昇降制御装置211は、荷台昇降スイッチ32が「下降」にセットされると、昇降装置140を制御して荷台110を最下段まで下降させる。以上により、バス台100は「収納状態」となる。
なお、運転室30にスライド可ランプが設けられている場合は、荷台110が下降を開始した時点でスライド可ランプが消灯する。
なお、運転室30に荷台上昇ランプが設けられている場合は、荷台110が最下段まで下降した時点で荷台上昇ランプが消灯する。
【0036】
ここで、固定制御装置212は、バス台100を「収納状態」にしたことを昇降制御装置211から授受し、バス積載センサー222によりバス2が確実に積載されていることを検知すると、固定エアバッグ171,172を作動させバス2を固定する。このとき、固定制御装置212及びバス積載センサー222は協働して”積載完了検知手段”として機能する。その後、鉄道車両1とバス2との間で、ドアの開閉や車内放送等の通信を行う通信線を接続する必要があれば、それを接続する。
なお、固定エアバッグ171,172は、運転室30に設けられたエアバッグ作動スイッチ35の入力操作を受けて作動させても良い。その場合、鉄道車両1とバス2との通信線を接続する必要があれば、エアバッグ作動スイッチ35を操作する前にそれを接続しても良い。
なお、運転室30にエアバッグ固定ランプが設けられている場合は、固定エアバッグ171,172に一定以上の空気圧が加わっていることを検知した時点でエアバッグ固定ランプが点灯する。
以上により、鉄道車両1へのバス2の積載が完了する。
【0037】
一方、プラットホームPにおいて鉄道車両1からバス2を降ろす場合は、上記とほぼ同様な動作を行うが、以下の動作が行われることが異なる。
鉄道車両1とバス2との通信を行う通信線を切断した後、荷台昇降スイッチ32を「上昇」にセットする。それにより、固定制御装置212は、解除が完了するまでの間、昇降制御装置211による昇降装置140の制御を抑止し、バス2を固定している固定エアバッグ171,172の解除を開始する。
解除が完了した後は、バス2を積載する場合と同様な動作を行い、バス台100が「展開状態」となった時点で、バス2はスロープ180を踏板として荷台110から降りる。また、バス台100を「収納状態」に戻す場合もバス2を積載する場合と同様な動作を行うが、バス2が積載されていない時には、当然、固定制御装置212は固定エアバッグ171,172を作動させない。
【0038】
(連結された動力車の制御)
鉄道車両1は、前述のように引き通し電線12、引き通し空気管、連結器15、ジャンパー栓16等を備えており、ディーゼル気動車との連結が可能である。また、図8に示すように、引き通し電線12は複数の信号線を備えており、各信号線には運転台31に備えられているマスコン31b、ブレーキ弁31c、逆転ハンドル31d、ドアスイッチ31e、車内放送装置31f等の制御信号・音声信号の伝達が可能となっている。
【0039】
連結の際には、鉄道車両1と動力車は連結器15により連結され、鉄道車両1のジャンパー栓16と動力車のジャンパー栓がジャンパーによって接続され、引き通し空気管同士が空気ホースによって接続される。この時、マスコン31bからの制御信号に応じて動力車の動力が制御され、ブレーキ弁31cの操作によって変動する引き通し空気管の空気圧に応じて動力車のブレーキが制御される。また、ドアスイッチ31eの操作による制御信号も同様にジャンパーを通して動力車に伝えることにより、鉄道車両1の運転台31から動力車の乗降ドアを操作することも可能であり、車内放送装置31fの音声信号をジャンパーを通して動力車に伝えることにより、鉄道車両1の運転台31から動力車の車内に車内放送を行うことも可能である。なお、ブレーキの制御信号もジャンパーを通して動力車に伝達しても良い。
これにより、連結されたディーゼル気動車を鉄道車両1に備えられた運転台31から制御して、鉄道車両1を先頭車として運転することが可能であり、したがって、鉄道車両1とディーゼル気動車が連結されている場合でも、どちらの方向にも運転することが可能となっている。
【0040】
(本実施の形態にかかる鉄道車両1の効果)
以上のように、本実施の形態に係る鉄道車両1は、ディーゼル気動車に連結することで、その駆動力を利用し、充分な乗車定員を確保しつつ、連結されている動力車を折り返し駅において連結し直すことなく、双方向に運転可能となるようディーゼル気動車の駆動力を制御する運転台31を備え、乗客を乗せて走行してきたバスをそのまま鉄道車両1に積載して軌道走行を行うことが可能であり、乗客を乗せて走行してきたバスをそのまま鉄道車両1に積載して軌道走行を行うことにより、既存の設備を変えずに在来鉄道との共存が容易な、鉄道と道路のシームレス化を実現した交通システムを実現させることが可能である。
【0041】
(その他)
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1は、必要に応じてバス2以外の道路走行車両を積載して軌道上を走行しても良いし、鉄道車両1の構造上可能であれば小型、中型のバスに限らず、大型のバスを積載しても良い。
【0042】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、昇降装置140は3機でなくても良く、充分な出力が得られる場合は2機でも良いし、さらに重量の重い道路走行車両を積載するなど大きな出力が必要な場合は4機以上配置しても良い。また、必要な出力に応じて、各々の昇降装置140が備える昇降油圧シリンダー141の数を増減させても良い。
【0043】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、スライド装置120は4機でなくても良く、充分な出力が得られる場合は3機以下でも良いし、さらに重量の重い道路走行車両を積載するなど大きな出力が必要な場合は5機以上配置しても良い。
【0044】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、スライド装置120が備える左右各方向のスライド油圧シリンダー121の荷台110との接続部分は、常時切り離されていて、スライドを開始する時に接続するようにしても良い。
【0045】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、固定エアバッグ171,172は、一方又は両方がエアバッグの代わりにゴム材、バネ又はダンパー等を用いて構成しても良い。
【0046】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、サイドカバー160は、手動操作により開閉の切替を行っても良い。また、アクチュエータを用いる場合には、運転室30に設けられたサイドカバー開閉スイッチ37の入力操作を受けて開閉の動作を行う駆動回路を設けても良いし、スライド油圧シリンダー121の伸長の前に自動的に開動作を行い、スライド油圧シリンダー121の収縮の後で自動的に閉動作を行うように制御する制御回路を設けるか、昇降制御装置211が同機能を備えていても良い。
【0047】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、スロープ180は、手動操作により展開/収納を行っても良い。また、アクチュエータを用いる場合には、運転室30に設けられたスロープ展開スイッチ36の入力操作を受けて展開動作を行う駆動回路を設けても良いし、荷台110がスライドしてバス2が載り降り可能な状態になった時に自動的に開動作を行い、荷台110を収納する時に自動的に閉動作を行うように制御する制御回路を設けるか、昇降制御装置211が同機能を備えていても良い。
【0048】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、ホーム検知センサー221には、超音波や赤外線等を用いた非接触式のセンサー、及びスイッチ類を用いた接触式のセンサー等、プラットホームPの高さを検知できるものであれば何を用いても良い。
【0049】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、バス積載センサー222には、超音波、赤外線並びにミリ波等を用いた非接触式のセンサー、及びスイッチ類を用いた接触式のセンサー等、バス2の存在を検知できるものであれば何を用いても良い。
【0050】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、プラットホームPの高さを検知するホーム検知センサー221を設けずに、荷台昇降スイッチ32の入力操作を受けて目視により目的の高さまで荷台110を上昇させるようにしても良い。
【0051】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、荷台昇降スイッチ32と荷台スライドスイッチ34を分離せず、一つのスイッチで展開/停止/収納を設定しても良い。その場合、昇降装置140の上昇が完了後すぐにスライド装置120をスライドさせる制御を昇降制御装置211が行う。
【0052】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1において、昇降制御装置211と固定制御装置212は、双方の機能を併せ持つ一体の制御装置として構成しても良い。
【0053】
なお、本実施の形態に係る鉄道車両1では、ディーゼル気動車と連結して連結車両として走行する例を示したが、ディーゼル気動車に限らず、電車等の他の動力車と連結して走行することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明における実施の形態に係る鉄道車両にバスを積載した状態の(a)平面図、(b)側面図である。
【図2】本発明における実施の形態に係るバス台の主要な構成要素を表す説明図である。
【図3】本発明における実施の形態に係る昇降装置の動作を表す、図2のA−A断面から見た(a)上昇前、(b)上昇後、の説明図である。
【図4】本発明における実施の形態に係るスライド装置の動作を表す、図2のB−B断面から見た説明図である。
【図5】本発明における実施の形態に係るサイドカバーの動作を表す(a)展開途中、(b)展開終了後、の説明図である。
【図6】本発明における実施の形態に係るローラーの動作を表す、図2のC−C断面から見た説明図である。
【図7】本発明における実施の形態に係る鉄道車両の荷台をスライドさせてスロープを展開した状態の(a)平面図と、荷台の(b)側面図である。
【図8】本発明における実施の形態に係る鉄道車両が備える各機器のブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1 鉄道車両
2 バス(道路走行車両)
11 台枠
11a 台枠中央部
12 引き通し電線
14 台車
15 連結器
16 ジャンパー栓
30 運転室
31 運転台(運転装置)
32 荷台昇降スイッチ
33 スライド方向設定スイッチ
34 荷台スライドスイッチ
35 エアバッグ作動スイッチ
36 スロープ展開スイッチ
37 サイドカバー開閉スイッチ
40 機器室
50 客室
100 バス台(可動式積載装置)
110 荷台(荷台部)
120 スライド装置(スライド手段)
121 スライド油圧シリンダー
130 昇降板
140 昇降装置(昇降手段)
141 昇降油圧シリンダー
150 ローラー(ローラー部)
160 サイドカバー
161 ローラーガイド
171,172 固定エアバッグ(固定手段)
180 スロープ(スロープ部)
211 昇降制御装置(昇降制御手段)
212 固定制御装置(固定制御手段、積載完了検知手段)
221 ホーム検知センサー(走行路面検知手段)
222 バス積載センサー(積載完了検知手段)
P プラットホーム
【出願人】 【識別番号】590003825
【氏名又は名称】北海道旅客鉄道株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司

【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男


【公開番号】 特開2008−6862(P2008−6862A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176610(P2006−176610)