トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般

【発明の名称】 作業車用キャビンのドア構造
【発明者】 【氏名】稲田 俊寛

【氏名】竹中 満

【氏名】福井 祐己

【氏名】崎山 洋佑

【氏名】池田 太

【氏名】加藤 勝秀

【氏名】高山 良宏

【要約】 【課題】ドア構造に簡単な改良を施すことで、キャビン内からドア側の車外状況をより容易かつ正確に把握をできるようにする。

【構成】ドア16を、枠状のドアフレーム21と、このドアフレーム21に嵌め込み装備される透明のドアパネル22とから構成してある作業車用キャビンのドア構造において、ドアパネル22を複数枚のパネル体22A,22Bから構成し、かつ、ドアフレーム21に、所定のパネル体22Aをスライド開閉可能に支持するガイド溝21aを備えてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを、枠状のドアフレームと、このドアフレームに嵌め込み装備される透明のドアパネルとから構成してある作業車用キャビンのドア構造であって、
前記ドアパネルを複数枚のパネル体から構成し、かつ、前記ドアフレームに、所定のパネル体をスライド開閉可能に支持するガイド溝を備えてある作業車用キャビンのドア構造。
【請求項2】
前記パネル体を上下に備え、前記ガイド溝を、上側のパネル体を上下方向にスライド開閉可能に支持するように形成してある請求項1に記載の作業車用キャビンのドア構造。
【請求項3】
前記ドアフレームに固定装備されるパネル体にドアハンドルを備え、
前記ドアフレームにスライド開閉可能に装備されるパネル体を、そのドアハンドル側の端部における前記ドアハンドルとの対向部位に、そのドアハンドル側の端縁から反対側の端縁に向けて切り込まれた切欠部を有するように形成してある請求項1又は2に記載の作業車用キャビンのドア構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを、枠状のドアフレームと、このドアフレームに嵌め込み装備される透明のドアパネルとから構成してある作業車用キャビンのドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車用キャビンのドア構造としては、上窓と下窓とを形成する貫通孔を備えるようにプレス成形した板金製のインナーフレーム(ドアフレーム)、及び、インナーフレームの外面側に蝶番を介して上下揺動可能に支持される上側のアウターフレーム部分と、インナーフレームの外面側に接着される下側のアウターフレーム部分とを有するように分割形成されたアクリル樹脂製の透明板からなるアウターフレーム(ドアパネル)、などによって、開閉可能な上窓と閉め切りの下窓とを備えた乗降口ドアを構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、上部側に縦長矩形状の開口が形成された透明の樹脂板(ドアパネル)、その開口に支持枠を介して嵌め込み支持されたアルミ押出成形品からなるサッシュ、このサッシュの内側下部に固定装備した透明の固定樹脂板、及び、サッシュの外側部位に上下摺動可能に装備した透明の可動樹脂板、などによって、上下摺動式の開閉窓を備えたフレームレス構造のドアを構成したものがある(例えば非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−067691号公報(段落番号0014〜0018、図1〜9)
【非特許文献1】特願2005−251646号(段落番号0040,0081、図1〜9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によると、前者のものは、ドアに上窓と下窓とを形成することから、又、後者のものは、ドアを透明の樹脂板で構成することから、ドア側の車外状況を、キャビン内からの目視で、ドアや窓を開けることなく容易に把握することができる。
【0005】
又、両者とも、キャビン内から窓を開けて車外を覗き込むことが可能であり、これによって、ドアを開けなくても、より広範囲のドア側の車外状況を正確に把握することができる。
【0006】
しかしながら、前者の構成では、板金製のインナーフレームとアクリル樹脂製のアウターフレームとを備えることでドアの重量が重くなる。又、窓用の貫通孔を大きくするほどドアの強度が低下するために、上下の窓を大きく形成することが難しく、そのため、キャビン内からの目視でドア側の車外状況を把握する際には、枠状のフレームやフレームレス構造を採用したものに比較して、フレームによって遮られる部分が大きくなり、よって、キャビン内からの目視でドア側の車外状況をより把握し易くする上において改善の余地がある。
【0007】
一方、後者の構成では、ドアに開閉窓を備える上において、樹脂板の開口に支持枠を介してサッシュを嵌め込み支持させることから、部品点数が増加することになり、その増加に起因した生産性の低下やコストの高騰を招くことになる。又、キャビン内からの目視でドア側の車外状況を把握する際には、支持枠やサッシュによって遮られる部分を有することになり、しかも、キャビン内から車外への覗き込みを行い易い位置に開閉窓を形成することで、サッシュや支持枠が、キャビン内からドア側の車外を目視する際に及ぼす悪影響の大きい視界に入り易い位置に位置することになり、よって、キャビン内からの目視でドア側の車外状況をより把握し易くする上において改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、ドア構造に簡単な改良を施すことで、キャビン内からドア側の車外状況をより容易かつ正確に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、ドアを、枠状のドアフレームと、このドアフレームに嵌め込み装備される透明のドアパネルとから構成してある作業車用キャビンのドア構造において、前記ドアパネルを複数枚のパネル体から構成し、かつ、前記ドアフレームに、所定のパネル体をスライド開閉可能に支持するガイド溝を備えてある。
【0010】
この構成によると、枠状のドアフレームをスライド窓用のサッシュに、又、所定のパネル体をスライド式のウインドパネルに兼用することができ、これによって、ドアにスライド開閉式の窓を備えるようにしながらも部品点数を削減することができる。
【0011】
又、枠状のドアフレームよりも内側の位置にサッシュやサッシュ取り付け用の支持枠などを設ける必要がないことから、キャビン内からドア側の車外を目視する際には、枠状のドアフレームやドアハンドルなどが目視の妨げになるだけであり、しかも、枠状のドアフレームは、その多くがキャビンの乗降口を形成するフレーム部分に重合するものであって、キャビン内からドア側の車外を目視する際に及ぼす悪影響が小さいものであることから、キャビン内からドア側の車外をより広い範囲で目視することができ、結果、キャビン内からの目視によるドア側の車外状況の把握をより容易かつ正確に行える。
【0012】
しかも、枠状のドアフレームがサッシュとして機能することで、枠状のドアフレームよりも内側の位置にサッシュを設ける場合に比較して、より大きい窓を備えることができ、これによって、その窓から車外への覗き込みが行い易くなり、その窓からより広い範囲のドア側の車外を無理なく目視することができ、結果、窓からの覗き込みによるドア側の車外状況の把握をより容易かつ正確に行える。
【0013】
従って、ドアパネルを複数枚のパネル体から構成し、ドアフレームに、所定のパネル体をスライド開閉可能に支持するガイド溝を備えるだけの簡単な改良を施すことで、部品点数の削減による軽量化あるいは生産性の向上やコストの削減などを図れる上に、キャビン内からドア側の車外状況をより容易かつ正確に把握することができるようになって、ドア側の車外状況を考慮した適正な操縦が行い易くなることから、走行性や作業性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記パネル体を上下に備え、前記ガイド溝を、上側のパネル体を上下方向にスライド開閉可能に支持するように形成してある。
【0015】
この構成によると、パネル体を左右に備え、ガイド溝を、左右のパネル体を左右方向にスライド開閉可能に支持するように形成する場合に比較して、キャビン内から車外への覗き込みを行い易いドアの上部側を窓として大きく開放することができ、これによって、窓から車外への覗き込みが更に行い易くなって、より広い範囲のドア側の車外を無理なく目視することができ、結果、窓からの覗き込みによるドア側の車外状況の把握を更に容易かつ正確に行える。
【0016】
従って、ドア側の車外状況を考慮した適正な操縦が更に行い易くなり、よって、走行性や作業性の向上を更に図ることができる。
【0017】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記ドアフレームに固定装備されるパネル体にドアハンドルを備え、前記ドアフレームにスライド開閉可能に装備されるパネル体を、そのドアハンドル側の端部における前記ドアハンドルとの対向部位に、そのドアハンドル側の端縁から反対側の端縁に向けて切り込まれた切欠部を有するように形成してある。
【0018】
この構成によると、スライド開閉可能なパネル体を開操作する際には、そのパネル体におけるドアハンドル側の端部を、ドアフレームとドアハンドルとの間に入り込ませることができ、これによって、切欠部を形成しない場合に比較して、最大開放状態での開口面積をより大きくすることができ、その分、窓から車外への覗き込みが更に行い易くなって、より広い範囲のドア側の車外をよりスムーズに目視することができ、結果、窓からの覗き込みによるドア側の車外状況の把握を更に容易かつ正確に行える。
【0019】
従って、ドア側の車外状況を考慮した適正な操縦が更に行い易くなり、よって、走行性や作業性の向上を更に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1には作業車の一例である自脱型コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、角パイプ材などによって枠状に形成した車体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を配備し、車体フレーム1の前部に刈取搬送装置3を昇降揺動可能に連結し、車体フレーム1の左半部に脱穀装置4を搭載し、脱穀装置4の後部に排ワラ処理部5を連結し、車体フレーム1の右後部に穀粒タンク6を搭載し、穀粒タンク6にスクリュー搬送式の穀粒排出装置7を備え、車体フレーム1の右前部に原動部8を搭載するとともに搭乗運転空間を形成するキャビン9を配備して構成されている。
【0021】
左右のクローラ式走行装置2は、搭乗運転空間に備えた変速レバー(図示せず)の操作に基づいて変速され、その駆動状態では、搭乗運転空間に備えた十字揺動式で中立復帰型の操縦レバー(図示せず)の左右方向への揺動操作に基づいて、それらが等速駆動される直進状態と、それらが差動する旋回状態とに切り換えられる。
【0022】
刈取搬送装置3は、操縦レバーの前後方向への揺動操作に基づいて昇降し、搭乗運転空間に備えた刈取クラッチレバー(図示せず)の操作などに基づいて作動状態と停止状態とに切り換えられ、その作動状態では、車体の走行に伴って、作業対象物である刈取対象の所定条数の植立穀稈を分草して引き起こすとともに、それらの株元側を切断し、切断後の植立穀稈(刈取穀稈)を、起立姿勢から横倒れ姿勢に姿勢変更しながら後方の脱穀装置4に向けて搬送する。
【0023】
脱穀装置4は、搭乗運転空間に備えた脱穀クラッチレバー(図示せず)の操作に基づいて作動状態と停止状態とに切り換えられ、その作動状態では、刈取搬送装置3から刈取穀稈を受け取り、その刈取穀稈の穂先側に対して脱穀処理を施しながら、後方の排ワラ処理部5に向けて搬送し、その脱穀処理で得られた処理物に対しては選別処理を施し、その選別処理によって1番物に選別された単粒化穀粒を穀粒タンク6に供給し、選別処理で2番物に選別された枝梗付き穀粒などは回収して再び脱穀処理及び選別処理を施し、3番物に選別された切れワラやワラ屑などの塵埃はそのまま車外に排出する。
【0024】
排ワラ処理部5は、脱穀装置4と連動し、脱穀装置4からの排ワラをそのまま車体後方に搬送して車外に放出する長ワラ放出状態と、脱穀装置4からの排ワラに対して細断処理を施して車外に放出する細断放出状態とに切り換え可能に構成されている。
【0025】
穀粒タンク6は、脱穀装置4からの単粒化穀粒を貯留する。穀粒排出装置7は、穀粒タンク6に備えた排出クラッチレバー(図示せず)の操作に基づいて作動状態と停止状態とに切り換えられ、穀粒タンク6に備えた昇降スイッチ(図示せず)の操作に基づいて排出筒7Aが昇降し、穀粒タンク6に備えた旋回スイッチ(図示せず)の操作に基づいて排出筒7Aが旋回し、よって、穀粒タンク6に貯留した単粒化穀粒を、トラックの荷台などの所望の排出位置に排出することができる。
【0026】
原動部8は、車体フレーム1における穀粒タンク6の直前箇所に配備したエンジンカバー10で形成されるエンジンルームに、水冷式のエンジン11やラジエータ12などを配備して構成されている。エンジンカバー10の上部には運転座席13が位置調節可能に装備されている。
【0027】
キャビン9は、右側部に乗降口14Aを有するように枠組み形成した金属製のキャビンフレーム14に、透明の曲面ガラスなどからなるウインドシールド15、乗降口14Aを開閉する外開き式のドア16、平面ガラスからなる固定式の右サイドウインド17、前後一対の平面ガラスなどからなるスライド開閉式の左サイドウインド(図示せず)、平面ガラスなどからなる外開き式のリヤウインド18、及び、ルーフ19などを備えて構成され、エンジンカバー10や車体フレーム1の右前端部に立設したフロントパネル20などで支持されている。
【0028】
乗降口14Aは、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成されており、これによって、キャビン9の後下部に原動部8が位置することで狭くなる虞のある乗降口14Aの下部側を広く確保することができ、その分、乗降口14Aからの乗降が行い易くなる。
【0029】
図1〜4に示すように、ドア16は、枠状のドアフレーム21に透明のドアパネル22を嵌め込み装備して構成され、その上側の後端部が乗降口14Aの後端縁に上下一対のヒンジ23を介して揺動開閉可能に連結され、キャビンフレーム14とドアフレーム21とにわたって架設したガススプリング24の作用で、ドアフレーム21が、キャビンフレーム14のドア受面14Bに、その全周にわたって付設したウェザーストリップ25を介して密接する閉位置と、規制機構26によって開方向への揺動が規制される全開位置とに、位置保持可能に構成されている。
【0030】
規制機構26は、ドアフレーム21に前後揺動可能に装備した揺動アーム27と、この揺動アーム27に形成した長孔27aに挿通されるようにキャビンフレーム14に立設した規制ピン28とから構成され、ドア16の開操作によって、揺動アーム27の遊端側に位置する長孔27aの端縁が規制ピン28に接当することで、ドア16の開方向への揺動を規制する。
【0031】
ドアフレーム21は、その内周縁に2条の溝21a,21bが一体形成された金属製で、それらの溝21a,21bでドアパネル22を支持するように構成されている。
【0032】
ドアパネル22は、上下2枚のパネル体22A,22Bから構成され、各パネル体22A,22Bには平面ガラスが採用されている。
【0033】
上側のパネル体22Aは、ドアフレーム21における外側の溝21aに、その溝21aに内装したシール部材21Aを介して、上下方向にスライド開閉可能に嵌め込み装備されている。つまり、ドアフレーム21における外側の溝21aが、上側のパネル体22Aを上下方向にスライド開閉可能に支持するガイド溝として機能するように形成されている。
【0034】
上側のパネル体22Aの上部には、上側のパネル体22Aのキャビン内側からのスライド開閉操作を可能にするとともに、ドアフレーム21の上部に備えた被係止部21Bに係合することで、このパネル体22Aの閉位置での固定保持を可能にするロック具として機能する操作具29が装備されている。
【0035】
下側のパネル体22Bは、ドアフレーム21における内側の溝21bに、その溝21bに内装したシール部材21Cを介して嵌め込み固定され、その前部側の上下中間部に、キャビン外側からのドア16の開閉操作を可能にするドアハンドル30と、キャビン内側からのドア16の開閉操作を可能にするドアハンドル31とが備えられている。
【0036】
上側のパネル体22Aは、そのドアハンドル側の端部におけるドアハンドル30との対向部位、つまり、その下端部の前側部位に、そのドアハンドル側の端縁である下縁から反対側の端縁である上縁に向けて三角形状に切り込まれた切欠部22aを有するように形成されている。
【0037】
下側のパネル体22Bは、上側のパネル体22Aを閉位置に位置させた際に、その上縁部が上側のパネル体22Aの下縁部と重合するように、その上端部における前側部位に、上方に向けて突出する三角形状の突出部22bを有するように形成されている。
【0038】
下側のパネル体22Bの上縁部には、上側のパネル体22Aとの隙間を塞ぐシール材32が付設されている。
【0039】
つまり、このキャビン9においては、ドア16にスライド開閉式の右サイドウインド33が備えられており、これによって、例えば、刈取搬送装置3の右端に位置する分草用のデバイダ34を畦と植立穀稈との間に適切に位置させる畦際での収穫作業や、右端のデバイダ34を植立穀稈に対する適切な位置に位置させる条合わせ作業などを行う際には、上側のパネル体22Aを下方に向けてスライド操作して右サイドウインド33を全開にし、この全開の右サイドウインド33から車体の前方を覗き込むようにすれば、植立穀稈や畦などに対する右端のデバイダ34の位置関係を容易かつ正確に把握することができ、これによって、畦際での収穫作業や条合わせ作業などを簡単に効率良く行える。
【0040】
又、ドア16にスライド開閉式の右サイドウインド33を備える上において、ドアフレーム21がサッシュに、又、上下のパネル体22A,22Bがウインドパネルにそれぞれ兼用されることになり、これによって、部品点数を削減することができ、その分、車体の軽量化、生産性の向上、及びコストの削減などを図ることができる。
【0041】
そして、ドアフレーム21がサッシュとして機能することで、例えばドアパネル22にサッシュを設ける場合に比較して、より開口面積の大きい右サイドウインド33を備えることができる。しかも、上側のパネル体22Aにおけるドアハンドル30との対向部位に切欠部22aを形成したことで、上側のパネル体22Aを開操作する際には、そのパネル体22Aの下端部が、外側のドアハンドル30をかわして、ドアフレーム21と外側のドアハンドル30との間に入り込むようになり、これによって、切欠部22aを形成しない場合に比較して、最大開放状態での開口面積をより大きくすることができる。その結果、右サイドウインド33から車外への覗き込みが更に行い易くなり、その右サイドウインド33からより広い範囲のドア側の車外を無理なく目視することができる。
【0042】
その上、ドアフレーム21よりも内側の位置にサッシュなどを設ける必要がないことから、キャビン内からドア側の車外を目視する際には、ドアフレーム21やドアハンドル30,31などが目視の妨げになるだけであり、しかも、ドアフレーム21は、その多くがキャビンフレーム14のドア受面14Bに重合するものであって、キャビン内からドア側の車外を目視する際に及ぼす悪影響が小さいものであることから、キャビン内からでもドア側の車外をより広い範囲で正確に目視することができ、その結果、例えば、穀粒タンク6に貯留した単粒化穀粒を畦際に停車させたトラックの荷台などに排出する穀粒排出作業を行う際の、畦に対する適切な幅寄せなどを容易に行える。
【0043】
図1、図2及び図5〜9に示すように、エンジン11は、その出力軸35が左右向きになる横向き姿勢で車体フレーム1に防振搭載され、その右側部には、ベルト式の伝動機構36を介して伝達される出力軸35からの動力で一定方向に回転駆動される冷却ファン37が装備され、この冷却ファン37の右側方にラジエータ12が立設されている。
【0044】
エンジンカバー10は、ラジエータ12に対向する右側壁38に外気取り入れ用の開口38Aが形成され、又、その開口38Aからエンジンルームへの塵埃の流入を防止する防塵網39が装備されている。
【0045】
図5〜9に示すように、伝動機構36は、エンジン11の出力軸35と一体回転する出力プーリ40、エンジン11の左側部に配備した発電機41の入力軸42と一体回転する第1入力プーリ43、エンジン11の前上部に配備したウォータポンプ44のポンプ軸45と一体回転する第2入力プーリ46、及び、それらの各プーリ40,43,46にわたって回し掛けた伝動ベルト47、などによって構成されている。
【0046】
冷却ファン37は、第2入力プーリ46とともにポンプ軸45に固定された回転体48に、4本の支持ピン49を介して、それらの支持ピン49の長手方向に沿う方向への摺動操作が可能となるように、椀状のハブ50を装備し、かつ、そのハブ50の摺動操作に連動して、ハブ50の外周部から外方に向けて放射状に延設した7枚の起風翼51が吸気姿勢と排気姿勢とに切り換わるように、回転体48と各起風翼51とを連係部材52を介して連係して構成されている。
【0047】
各起風翼51の吸気姿勢では、冷却ファン37の回転駆動に伴って、防塵網側からエンジン側に向けて流れる冷却風が発生し、防塵網39による除塵後の清浄な外気が、冷却用としてエンジン11やラジエータ12などに供給される。
【0048】
各起風翼51の排気姿勢では、冷却ファン37の回転駆動に伴って、エンジン側から防塵網側に向けて流れる排塵風が発生し、防塵網39に付着した塵埃が車外に吹き飛ばされて排除される。
【0049】
つまり、冷却ファン37は、ハブ50の摺動操作によって、その回転に伴って防塵網側からエンジン側に向けて流れる冷却風を発生させる吸気状態と、エンジン側から防塵網側に向けて流れる排塵風を発生させる排気状態とに切り換えられるように構成されている。
【0050】
ハブ50は、操作機構53の作動で、各起風翼51が吸気姿勢に切り換わる吸気位置と、各起風翼51が排気姿勢に切り換わる排気位置とにわたって摺動操作される。
【0051】
操作機構53は、エンジンカバー10の背面に備えた電動モータ54の作動で、ハブ50が吸気位置と排気位置とにわたって摺動操作されるように、電動モータ54と、ハブ50にベアリング55を介して取り付けたシフトフォーク56とを、セクターギヤ57やプッシュプルワイヤ58などを介して操作連係し、かつ、ハブ50を吸気位置に向けて付勢する押しバネ59などを備えて構成されている。
【0052】
図10に示すように、電動モータ54は、その作動がマイクロコンピュータなどを備えて構成された制御装置60によって制御される。
【0053】
制御装置60には、エンジン11から脱穀装置4への伝動を断続する脱穀クラッチ(図示せず)の作動状態を検出する脱穀クラッチセンサ61の検出情報、セクターギヤ57の揺動角度を各起風翼51の姿勢角度として検出する回転式のポテンショメータからなる角度センサ62の検出情報、及び、乗降口14Aの開閉状態を検出する開閉センサ63の検出情報などが入力され、制御装置60は、それらの検出情報や予め記憶した制御プログラムなどに基づいて、電動モータ54の作動を制御して各起風翼51の姿勢を切り換え保持することで、冷却ファン37の作動状態を適切な状態に切り換える冷却状態切換制御を、その制御作動の一つとして実行するように構成されている。
【0054】
その冷却状態切換制御について説明すると、制御装置60は、常にクラッチセンサ61からの検出情報に基づいて脱穀クラッチの作動状態を判別し、脱穀クラッチの作動状態が遮断状態である場合には、脱穀装置4が駆動されない移動走行などの非作業時に適した第1冷却制御を実行し、脱穀クラッチの作動状態が接続状態である場合には、脱穀装置4が駆動される作業時に適した第2冷却制御を実行する。
【0055】
第1冷却制御では、角度センサ62からの検出情報に基づいて、各起風翼51の姿勢が吸気姿勢に切り換え保持されるように電動モータ54の作動を制御して、脱穀クラッチの作動状態が接続状態に切り換えられるまでの間、冷却ファン37の作動状態を吸気状態に維持する。
【0056】
つまり、防塵網39の目詰まりが生じ難い非作業時には、常に、防塵網39による除塵後の清浄な外気を冷却用としてエンジン11やラジエータ12などに供給することから、非作業時に適した効率の良いエンジン冷却を行える。
【0057】
一方、第2冷却制御では、角度センサ62からの検出情報と内蔵したタイマのカウント値に基づいて、先ず、予め設定した第1設定時間(例えば3分)の間は、各起風翼51の姿勢が吸気姿勢に切り換え保持されるように電動モータ54の作動を制御して、冷却ファン37の作動状態を吸気状態に維持する吸気状態維持制御を実行し、その第1設定時間の経過後は、予め設定した第2設定時間(例えば10秒)の間、各起風翼51の姿勢が排気姿勢に切り換え保持されるように電動モータ54の作動を制御して、冷却ファン37の作動状態を排気状態に維持する排気状態維持制御を実行し、以後、吸気状態維持制御と排気状態維持制御とを交互に実行する。
【0058】
つまり、防塵網39の目詰まりが生じ易い作業時には、防塵網39の自動清掃を定期的に行いながら、防塵網39による除塵後の清浄な外気を冷却用としてエンジン11やラジエータ12などに供給することから、防塵網39の目詰まりに起因した冷却能力の低下を回避することのできる作業時に適した効率の良いエンジン冷却を行える。
【0059】
ところで、第2冷却制御においては、常に開閉センサ63からの検出情報に基づいて乗降口14Aの開閉状態を監視し、乗降口14Aの閉状態を検知している間は、上述したように、角度センサ62からの検出情報とタイマのカウント値に基づいて、吸気状態維持制御と排気状態維持制御とを交互に実行し、乗降口14Aの開状態を検知すると、タイマをリセットするとともに、乗降口14Aの閉状態を検知するまでの間、吸気状態維持制御のみを実行し、その後、乗降口14Aの閉状態の検知に伴って、角度センサ62からの検出情報とタイマのカウント値に基づいて、吸気状態維持制御と排気状態維持制御とを、その順に交互に実行する。
【0060】
つまり、制御装置60は、乗降口14Aの開状態を検知するのに伴って、冷却ファン37の排気状態が現出されないように冷却ファン37の作動を規制する規制手段64として機能するように構成されており、これによって、乗降口14Aの開状態で冷却ファン37の排気状態が現出されることに起因して、防塵網39に付着した塵埃がエンジン側からの排塵風で吹き飛ばされて開状態の乗降口14Aからキャビン内に流入する、といった不都合が生じることを未然に回避することができ、結果、キャビン内を、防塵網39から吹き飛ばされた塵埃が流入することのない快適な状態に維持することができる。
【0061】
制御装置60は、開閉センサ63の検出に基づいて、乗降口14Aの閉状態を検知している間は室内灯65を消灯させ、乗降口14Aの開状態を検知している間は室内灯65を点灯させる室内灯点滅制御を、その制御作動の一つとして実行するように構成されている。
【0062】
図2に示すように、開閉センサ63は、乗降口14Aを開閉するドア16の閉塞位置への到達に伴って押圧操作されることでオン状態に切り換わり、閉塞位置からの開操作に伴って押圧操作が解除されることでオフ状態に切り換わるオンオフスイッチで構成されている。
【0063】
〔別実施形態〕
【0064】
〔1〕作業車としては、普通形コンバインあるいは人参収穫機や大根収穫機などであってもよく、又、トラクタやバックホーなどであってもよい。
【0065】
〔2〕ドア16としては、スライド開閉式に構成したものであってもよい。
【0066】
〔3〕ドアフレーム21の横側面に、パネル体22Aをスライド開閉可能に支持するガイド溝21aが形成された支持部材を連結して、ガイド溝21aを備えるようにしてもよい。
【0067】
〔4〕ドアパネル22として、例えば、軽量で、透明性、耐侯性、耐衝撃性、などに優れたアクリル樹脂や、軽量で加工し易く強度などの面で優れるポリカーボネート樹脂などの樹脂板を採用してもよい。
【0068】
〔5〕ドアパネル22を、3枚以上のパネル体22A,22Bで構成するようにしてもよく、又、パネル体22A,22Bが左右方向にスライド開閉可能となるようにドアフレーム21に嵌め込み装備してもよい。
【0069】
〔6〕スライド開閉可能なパネル体22Aにおける切欠部22aの形成位置は、固定のパネル体22Bに備えるドアハンドル30,31の位置に応じて種々の変更が可能であり、例えば、パネル体22A,22Bを上下に備えるものにおいて、固定のパネル体22Bにおける後部側の位置にドアハンドル30,31を備える場合には、スライド開閉可能なパネル体22Aにおけるドアハンドル30,31に対向する後部側の位置に切欠部22aを形成すればよい。
【0070】
〔7〕スライド開閉可能なパネル体22Aに形成する切欠部22aの形状としては種々の変更が可能であり、例えば、パネル体22Aに矩形状や円弧状の切欠部22aを切り込み形成するようにしてもよい。又、スライド開閉可能なパネル体22Aに切欠部22aを形成しないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】自脱型コンバインの全体側面図
【図2】乗降口の開閉構造を示す要部の一部切り欠き平面図
【図3】ドアの構成を示す要部の側面図
【図4】図3のIV−IV断面図
【図5】冷却構造を示す要部の一部切り欠き背面図
【図6】冷却構造を示す要部の縦断側面図
【図7】冷却ファンの構成を示す要部の縦断背面図
【図8】冷却ファンの吸気状態と排気状態とを示す要部の縦断背面図
【図9】冷却ファンの吸気状態と排気状態とを示す要部の横断平面図
【図10】制御構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0072】
16 ドア
21 ドアフレーム
21a ガイド溝
22 ドアパネル
22A パネル体
22B パネル体
22a 切欠部
30 ドアハンドル
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−1203(P2008−1203A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171708(P2006−171708)