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空気入りタイヤ - 特開2008−12945 | j-tokkyo
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【発明の名称】 空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】佐伯 勉

【要約】 【課題】ゴムチェーファー24の性能を低下させることなく、ビード部13内への空気(酸素)の透過を効果的に抑制する。

【構成】少なくともインナーライナー36の半径方向内端37からビードトウ38に至るゴムチェーファー24の内表面を、熱可塑性樹脂からなる空気透過防止層およびエラストマーからなる補強層で構成された被覆層41により覆うようにしたので、ゴムチェーファー24の内表面はタイヤ内室17の空気から該被覆層41によって遮断され、空気がゴムチェーファー24内をビードコア12に向かって透過する事態を効果的に抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビードコア間をトロイド状に延びるカーカス層と、カーカス層の外側においてビードコアを包み込むよう配置されたゴムチェーファーと、カーカス層の内表面を覆い半径方向内端部がゴムチェーファーに重なり合うインナーライナーと、カーカス層の半径方向外側に配置されたベルト層およびトレッドとを備えた空気入りタイヤにおいて、少なくともインナーライナーの半径方向内端からビードトウに至るゴムチェーファーの内表面を、熱可塑性樹脂からなる空気透過防止層を有する被覆層により覆うようにしたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記被覆層は空気透過防止層に密着積層されたエラストマーからなる補強層をさらに有する請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記被覆層の少なくとも半径方向外端をカバー層により覆い、空気透過防止層と補強層との境界を密封するようにした請求項2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記カバー層は補強層の一部からなる請求項3記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記補強層が熱可塑性エラストマーからなるとき、被覆層を補強層側から加熱されたカッターにより切断することで、該補強層の一部を空気透過防止層側に溶融流動させてカバー層を構成した請求項4記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記被覆層の半径方向内端部をビードトウとビードヒールとの間のビードベース部まで延在させるようにした請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記空気透過防止層が変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記補強層が熱可塑性ウレタン系エラストマーからなる請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴムチェーファーの内表面を被覆層で覆うようにした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気入りタイヤの内表面には、該空気入りタイヤ内に充填された空気(内圧)が外部に漏洩するのを防止するため、耐空気透過性の高いゴムからなるインナーライナーが配置されているが、このようなインナーライナーは製造上等の理由からビードトウまで延在しておらず、その半径方向内端はビードトウより若干半径方向外側で終了している。
【0003】
このため、該インナーライナーの半径方向内端からビードトウに至るゴムチェーファーの内表面はタイヤ内室に露出し、該タイヤ内室に充填された空気に直接接触している。この結果、タイヤ内室の空気はゴムチェーファー内をビードコアに向かって透過し、この空気のうちの酸素によりビード部のゴム、特にカーカス層、ワイヤーチェーファーのコーティングゴムが劣化してしまうことがあった。
【0004】
このような事態を防止するため、従来、例えば以下の特許文献1に記載されているような空気入りタイヤが提案されている。
【特許文献1】特開平7−90125号公報
【0005】
このものは、ゴムチェーファーに、ゴム成分がブチルゴムおよび/またはハロゲン化ブチルゴム合計20〜40重量%、シス−1,4−ポリイソプレンゴムおよびエポキシ化−シス−1,4−ポリイソプレンゴム合計80〜60重量%とからなるゴム組成物を用いたもので、これにより、ビードコアに向かう空気(酸素)の透過を抑制するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の空気入りタイヤにあっては、ゴムチェーファーを構成するゴム組成物中のブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムの比率が従来より高いため、ゴムチェーファー本来の役割、例えばビード部のへたり、リム擦れ、リム滑り等の防止を充分に果たすことができなくなってしまうという課題があった。
【0007】
この発明は、ゴムチェーファーの性能を低下させることなく、ビード部内への空気(酸素)の透過を効果的に抑制することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、ビードコア間をトロイド状に延びるカーカス層と、カーカス層の外側においてビードコアを包み込むよう配置されたゴムチェーファーと、カーカス層の内表面を覆い半径方向内端部がゴムチェーファーに重なり合うインナーライナーと、カーカス層の半径方向外側に配置されたベルト層およびトレッドとを備えた空気入りタイヤにおいて、少なくともインナーライナーの半径方向内端からビードトウに至るゴムチェーファーの内表面を、熱可塑性樹脂からなる空気透過防止層を有する被覆層により覆うようにした空気入りタイヤにより、達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明においては、少なくともインナーライナーの半径方向内端からビードトウに至るゴムチェーファーの内表面を、熱可塑性樹脂からなる空気透過防止層を有する被覆層により覆うようにしたので、インナーライナーとビードトウとの間に位置するゴムチェーファーの内表面は、空気入りタイヤ内の空気から空気透過防止層を有する被覆層によって遮断され、空気がゴムチェーファー内をビードコアに向かって透過する事態を効果的に抑制することができる。このとき、ゴムチェーファーの組成に手を加える必要がないので、ゴムチェーファーは本来の役割を充分に果たすことができる。
【0010】
ここで、前記空気透過防止層は、弾性率が高い熱可塑性樹脂からなるため、ビード部を構成するゴム、例えばゴムチェーファーに比較し、耐クラック性、耐屈曲疲労性が劣っているが、請求項2に記載のように空気透過防止層に耐クラック性、耐屈曲疲労性に優れたエラストマーからなる補強層を密着積層すれば、被覆層全体の耐クラック性、耐屈曲疲労性が向上する。また、空気透過防止層にクラックが生じたときも、補強層がある程度の耐空気透過性を有しているため、空気の透過を抑制することができる。
【0011】
前述のように被覆層が密着積層された空気透過防止層と補強層とを有していると、該被覆層の少なくとも半径方向外端に空気透過防止層と補強層との境界が露出するため、この境界の露出位置から空気が空気透過防止層と補強層の間に侵入し、しわやふくれが発生することがあるが、このような事態は請求項3に記載のように被覆層の少なくとも半径方向外端をカバー層により覆い、空気透過防止層と補強層との境界を密封するようにすれば、防止することができる。
【0012】
ここで、前述のカバー層を、請求項4に記載のように補強層の一部から構成すれば、例えば、別部材をカバー層として貼付ける場合に比較し、成形が容易となり、コストを低減させることもできる。そして、このようなカバー層を、請求項5に記載のように、被覆層を補強層側から加熱されたカッターにより切断して、該補強層の一部を空気透過防止層側に溶融流動させることで構成すれば、カバー層の成形が容易となり、コストを低減させることもできる。
【0013】
また、請求項6に記載のように構成すれば、空気入りタイヤをリムに装着したとき、被覆層の半径方向内端部がビード部とリムとにより両側から挟持され、これにより、被覆層のゴムチェーファーからの剥がれが効果的に抑制される。さらに、請求項7、8に記載のように構成すれば、被覆層の耐クラック性、耐屈曲疲労性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
11はトラック、バス等に装着される重荷重用空気入りラジアルタイヤであり、この空気入りタイヤ11は一対のビード部13を有し、これらビード部13には対をなす(ここでは一対であるが、複数対のこともある)ビードコア12が埋設されている。14は前記空気入りタイヤ11が装着されたリムであり、このように空気入りタイヤ11がリム14に装着されたとき、該空気入りタイヤ11のビードベース部(ビード部13の内周)15はリム14のビードシート部16に着座し、また、空気入りタイヤ11とリム14とにより画成された密閉状態のタイヤ内室17には所定圧の空気(内圧)が充填される。
【0015】
また、前記空気入りタイヤ11は、ビード部13から略半径方向外側に向かってそれぞれ延びるサイドウォール部18と、両サイドウォール部18の半径方向外端同士を連結する略円筒状のトレッド部19とをさらに備えている。そして、この空気入りタイヤ11は前記ビードコア12間をトロイド状に延びてサイドウォール部18、トレッド部19を補強するカーカス層20を有し、このカーカス層20の幅方向両端部は前記ビードコア12の回りに折り返されている。
【0016】
前記カーカス層20は少なくとも1枚、ここでは1枚のカーカスプライ21から構成され、このカーカスプライ21は、タイヤ赤道Sに対して70〜90度のコード角で交差する、即ち、実質上ラジアル方向(子午線方向)に延びる多数本の非伸張性補強コードと、これら補強コードを被覆するコーティングゴムとから構成されている。22はビード部13の剛性を確保するためのゴムからなるスティフナーであり、これらのスティフナー22はビードコア12からカーカス層20に沿ってほぼ半径方向外側に延びている。
【0017】
また、前記ビード部13には例えば、スチールコード、ナイロンコード等により補強されたコードチェーファー(ここでは、ワイヤーチェーファー)23が配置され、これらのコードチェーファー23はカーカス層20の外側でビードコア12を包み込むよう該カーカス層20に沿って屈曲している。24はカーカス層20、コードチェーファー23の外側においてビードコア12を包み込むよう配置されたゴムチェーファーであり、これらのゴムチェーファー24は主要部が弾性率の高い、例えばジエン系ゴムから構成されている。
【0018】
27はカーカス層20の半径方向外側に配置されたベルト層であり、このベルト層27は少なくとも2枚(ここでは3枚)のベルトプライ28を半径方向に積層することで構成され、各ベルトプライ28は、例えばスチール、芳香族ポリアミドからなる非伸張性の互いに平行な補強コードと、これら補強コードを被覆するコーティングゴムとから構成されている。ここで、ベルトプライ28を構成する補強コードはタイヤ赤道Sに対して所定角度、10〜70度で傾斜していたり、あるいは、タイヤ赤道Sに実質上平行に延びているが、前者の場合には、少なくとも2枚のベルトプライ28において補強コードの傾斜方向が逆方向となっている。
【0019】
31は前記カーカス層20、ベルト層27の半径方向外側に配置されたトレッドとしてのトップトレッドであり、このトップトレッド31の外表面には、例えば周方向に延びる複数本の主溝32および該主溝32に交差する図示していない横溝が形成されている。33はサイドウォール部18におけるカーカス層20およびスティフナー22の軸方向両外側に配置されたサイドトレッドであり、これらのサイドトレッド33の半径方向外端部は前記トップトレッド31に重なり合い、一方、その半径方向内端部はビードコア12より軸方向外側のゴムスティフナー24に重なり合っている。
【0020】
36はカーカス層20に貼り付けられ、該カーカス層20の内表面のほぼ全域を覆うインナーライナーであり、このインナーライナー36は耐空気透過性の高いゴム、例えば主要部がブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムから構成されている。また、前記インナーライナー36の半径方向内端部は前記ビードコア12より軸方向内側に位置するゴムチェーファー24の半径方向外端部にタイヤ内室17側において重なり合っているとともに、その半径方向内端37はビードトウ38から所定距離、通常はリム14の呼び径の 2.0%以上離れている。
【0021】
この結果、インナーライナー36の半径方向内端37からビードトウ38に至るゴムチェーファー24の内表面はタイヤ内室17に露出し、該タイヤ内室17に充填されている空気に直接接触することになる。これにより、タイヤ内室17の空気はゴムチェーファー24の露出部分からビードコア12に向かってビード部13内を透過し、この空気のうちの酸素によりビード部13のゴム、特にカーカス層20、コードチェーファー24のコーティングゴムが劣化してしまうのである。
【0022】
このような事態を防止するため、この実施形態では、少なくともインナーライナー36の半径方向内端37からビードトウ38に至るゴムチェーファー24の内表面を耐空気透過性の高い被覆層41により覆うようにしている。この結果、インナーライナー36とビードトウ38との間に位置するゴムチェーファー24の内表面は、空気入りタイヤ11(タイヤ内室17)内の空気から被覆層41によって遮断され、空気がゴムチェーファー24内をビードコア12に向かって透過する事態が効果的に抑制される。このとき、ゴムチェーファー24の組成に手を加える必要がないので、ゴムチェーファー24は本来の役割、例えばビード部13のへたり、リム擦れ、リム滑り等の防止を充分に果たすことができる。
【0023】
ここで、前記被覆層41の半径方向外端42は、ゴムチェーファー24の内表面を空気から遮断するには、最低限インナーライナー36の半径方向内端37に重なり合っているだけで充分であるが、被覆層41の半径方向外端部とインナーライナー36の半径方向内端部との重なり合い量を 5mm以上とすれば、前述の空気遮断を確実とすることができるので、これらを 5mm以上重なり合わせることが好ましい。但し、この重なり合い量が30mmを超えると、空気遮断効果が飽和し、重量増加の弊害のみが生じるため、重なり合い量は30mm以下とすることが好ましい。
【0024】
一方、前記被覆層41の半径方向内端に関しては、最低限ビードトウ38と重なり合っているだけで充分であるが、この被覆層41を延長してその半径方向内端部をゴムチェーファー24に沿うよう折り曲げ、ビードトウ38とビードヒール44との間のビードベース部15まで延在させることが好ましい。その理由は、このようにすれば、空気入りタイヤ11をリム14に装着したとき、被覆層41の半径方向内端部がビード部13とリム14とにより両側から挟持され、これにより、被覆層41のゴムチェーファー24からの剥がれを効果的に抑制することができるからである。
【0025】
前記被覆層41は、耐空気透過性の高い熱可塑性樹脂からなる空気透過防止層47を少なくとも有しているが、この実施形態では、図2に示すように、被覆層41は、前記空気透過防止層47の他に、該空気透過防止層47のゴムチェーファー24側裏面およびタイヤ内室17側表面にそれぞれ密着積層されたエラストマーからなる第1、第2補強層48、49を有している。
【0026】
これは、前記空気透過防止層47は、弾性率の高い熱可塑性樹脂からなるため、ビード部13を構成するゴム、例えばゴムチェーファー24に比較し、耐クラック性、耐屈曲疲労性が劣っているが、前述のように空気透過防止層47に耐クラック性、耐屈曲疲労性に優れたエラストマーからなる補強層48、49を少なくとも1層密着積層すれば、被覆層41全体の耐クラック性、耐屈曲疲労性が向上するからである。
【0027】
また、空気透過防止層47にクラックが生じたときも、補強層48、49がある程度の耐空気透過性を有しているため、前述のように積層すれば、空気の透過を抑制することもできる。前述のように空気透過防止層47には耐空気透過性の高いものを用いるが、ここで、耐空気透過性が高いとは、空気透過係数が 1.5×10−9 cm3・cm/cm2・sec・kPa以下のものをいい、強力に空気の透過を抑制するには、空気透過係数が 3×10−15 cm3・cm/cm2・sec・kPa以下のものを用いることが好ましい。
【0028】
そして、このような耐空気透過性の高い熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ナイロン(ポリアミド)系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66)、ポリビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン)、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)等を挙げることができるが、エチレン−ビニルアルコール共重合体系の樹脂としてエポキシ化合物を反応させた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が、耐空気透過性がかなり高く、しかも、耐クラック性、耐屈曲疲労性に優れているので、空気透過防止層47に用いることが好ましい。
【0029】
なお、他に熱可塑性樹脂として、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンイソフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド酸/ポリブチレートテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル)、ポリニトリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体)、ポリメタクリレート系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル)、ポリビニル系樹脂(例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体)、セルロース系樹脂(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース)、フッ素系樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体)、イミド系樹脂(例えば芳香族ポリイミド)などを用いることもできる。
【0030】
一方、第1、第2補強層48、49を構成するエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物(例えば天然ゴム、イソプレンゴム、エポキシ化天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、オレフィン系ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム)、含ハロゲンゴム(例えば、クロロプレンゴム、ヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン)、シリコンゴム(例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム)、フッ素ゴム(例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー)などを挙げることができる。そして、前記エラストマーのなかでは、熱可塑性ウレタン系エラストマーが、被覆層41の耐クラック性、耐屈曲疲労性を大幅に向上させることができるとともに、接着性に優れているので、補強層48、49としてこれを用いることが好ましい。
【0031】
ここで、前述のような空気透過防止層47および第1、第2補強層48、49を積層した被覆層素材の成形は、例えば、熱可塑性樹脂のフィルム、シート等にエラストマーを溶融押出しする方法、逆に、エラストマーの基材に熱可塑性樹脂を溶融押出しする方法、熱可塑性樹脂、エラストマーを共押出成形する方法、熱可塑性樹脂のフィルム、シート等にエラストマーのフィルム、シート等をラミネートする方法、あるいは、タイヤ成形時にドラム上で熱可塑性樹脂のフィルムにエラストマーのフィルムを貼り合わせる方法によって行うことができる。
【0032】
また、前述のような被覆層41は、例えばドラム上に帯状の被覆層素材を貼付けた後、該ドラム上にインナーライナー36、ゴムチェーファー24、カーカス層20を次々とドラム上に貼付け、その後、周知の方法により生タイヤを成形し、該生タイヤを加硫することで空気入りタイヤ11に設けてもよく、また、生タイヤのビード部13に帯状の被覆層素材を接着剤を介して貼付けた後、加硫することで空気入りタイヤ11に設けてもよく、さらに、加硫済みの空気入りタイヤ11のビード部13に帯状の被覆層素材を接着剤を介して貼付けることで、空気入りタイヤ11に設けるようにしてもよい。
【0033】
さらに、前述のようにして成形された被覆層素材のシートが幅広で長尺である場合には、このシートから所定幅の帯状被覆層素材をカッターにより次々と切り出し、該帯状被覆層素材を前述のような貼付けに使用することになるが、このような帯状被覆層素材が空気入りタイヤ11に貼付けられた後は、前記カッターによる切断端が被覆層41の半径方向外端42およびビードベース部15に密着した延在端53となる。
【0034】
ここで、被覆層41の少なくとも半径方向外端42において(被覆層41の半径方向内端がビードトウ38に重なり合っている場合のみ、半径方向内端においても)、空気透過防止層47と第1、第2補強層48、49との境界がタイヤ内室17に露出するため、この境界の露出位置からタイヤ内室17の空気が空気透過防止層47と第1、第2補強層48、49の間に侵入した後、コードチェーファー23の軸方向内側部の半径方向外端近傍に滞留して、しわやふくれに進展することがある。
【0035】
このため、この実施形態においては、被覆層41の少なくとも半径方向外端42を(半径方向内端も露出している場合には、該半径方向内端も)薄肉のカバー層55により覆い、空気透過防止層47と第1、第2補強層48、49との境界を密封するようにしている。そして、このようにすれば、空気透過防止層47と第1、第2補強層48、49との間への空気の侵入が阻止され、前述したしわやふくれの発生を防止することができる。
【0036】
ここで、前述のカバー層55は、第1、第2補強層48、49が熱可塑性エラストマーからなるときには、以下のようにして成形すれば、成形が容易となり、コストを低減させることもできる。即ち、図3に示すように、アンビル57上に幅広で長尺の被覆層素材を載置した後、カッター58によって該被覆層素材を切断して帯状被覆層素材を切り出す際、該カッター58を加熱するとともに、いずれかの補強層、ここでは第2補強層49側から該加熱されたカッター58により被覆層素材を切断し、これにより、該第2補強層49の一部を空気透過防止層47側に、ここでは第1補強層48まで溶融流動させることで成形する。
【0037】
そして、前述のようにカッター58によって被覆層素材を切断する際、該カッター58の温度を 150〜 400度Cの範囲内とすることが好ましい。その理由は、カッター58の温度が 150度未満であると、補強層の溶融流動が不十分となってカバー層55による境界の密閉が不確実となることがあり、一方、 400度を超えると、補強層の溶融流動が過大となって切断端の形状が不安定となったり、焼けが発生することがあるからである。
【0038】
なお、帯状被覆層素材の切断端に液状エラストマーを塗布したり、シート状エラストマーを接着剤で貼り付けて帯状被覆層素材とは別部材のカバー層で切断端(被覆層41の少なくとも半径方向外端42)を覆うことも考えられるが、このようにすると、成形が面倒でコストもアップしてしまう。これに対し、カバー層55を第1または第2補強層48または49の一部から構成すれば、成形が容易となり、コストを低減させることもできる。
【0039】
図4は、この発明の第2実施形態を示す図である。この実施形態においては、被覆層61を、耐空気透過性の高い熱可塑性樹脂からなり空気透過防止層62と、該空気透過防止層62のタイヤ内室17側表面に密着積層されたエラストマーからなる補強層63とからなる2層構造とし、前記空気透過防止層62を少なくともインナーライナー36の半径方向内端37からビードトウ38に至るゴムチェーファー24の内表面に直接、例えば接着剤で貼付けている。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
【0040】
なお、前述の実施形態においては、この発明をトラック、バス用の空気入りタイヤ11に適用したが、この発明は、乗用車用タイヤ、建設機械用の大型タイヤ、航空機用タイヤに適用することもできる。また、前述の実施形態においては、インナーライナー36をゴムから構成したが、この発明においては、被覆層と同様のものから構成してもよい。
【実施例】
【0041】
次に、試験例について説明する。この試験に当たっては、ビード部に被覆層が設けられていない従来タイヤと、ビード部に図1、2に示すような3層構造の被覆層を設けた実施タイヤ1と、ビード部に図4に示すような2層構造の被覆層を設けた実施タイヤ2とを準備した。ここで、各タイヤのサイズはいずれも275/70R22.5であり、適用リムは8.25×22.5であった。
【0042】
また、前記実施タイヤ1、2においては、空気透過防止層を変性エチレン−ビニルアルコール共重合体から、一方、補強層を熱可塑性ウレタン系エラストマーからそれぞれ構成し、これらの肉厚をそれぞれ60μm、60μmとした。さらに、前記被覆層の半径方向外端部とインナーライナーの半径方向内端部との重なり合い量を20mmとし、被覆層素材を 300度Cのカッターで切断することで被覆層の半径方向外端にカバー層を設けた。
【0043】
次に、このような各タイヤを適用リムに装着した後、 900kPaを充填するとともに、30.9kNの荷重を作用させながら、60km/hの速度でドラム上を10万km走行させた。その後、ビードコア回りのカーカス層のコーティングゴムを取り出し、破壊するまでの伸びを測定した。その結果は、従来タイヤを指数 100で表すと、実施タイヤ1では 125、実施タイヤ2では 123となり、実施タイヤではビード部内部におけるゴムの劣化が効果的に抑制されていることが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、ゴムチェーファーの内表面を被覆層で覆うようにした空気入りタイヤの産業分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施形態1を示す子午線断面図である。
【図2】被覆層の半径方向外端近傍の子午線断面図である。
【図3】被覆層素材の切断状態を説明する断面図である。
【図4】この発明の実施形態2を示す図2と同様の子午線断面図である。
【符号の説明】
【0046】
11…空気入りタイヤ 12…ビードコア
15…ビードベース部 20…カーカス層
24…ゴムチェーファー 27…ベルト層
31…トレッド 36…インナーライナー
37…半径方向内端 38…ビードトウ
41…被覆層 44…ビードヒール
47…空気透過防止層 48、49…補強層
55…カバー層 58…カッター
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100080540
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 敏雄


【公開番号】 特開2008−12945(P2008−12945A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183020(P2006−183020)