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【発明の名称】 タイヤビード拡張冶具、タイヤ取付装置およびタイヤ取付方法
【発明者】 【氏名】石 山 英 希

【氏名】荒 井 ▲祥▼司

【氏名】吉 岡 ▲峯▼夫

【氏名】大 谷 功

【氏名】八 柳 太美雄

【要約】 【課題】タイヤをリムに組み込むのに際して、タイヤのビード部がリムフランジと直接触れ合ってビード部に傷などが発生しないように構成されたビード拡張冶具、タイヤ取付装置およびタイヤ取付方法の提供。

【構成】タイヤビード拡張冶具(3)は、タイヤビード(11)を載せる部分(爪状の部分35)が側面下端部(下端部近傍の部分を含む)に形成されていることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤビードを載せる部分が側面下端部に形成されていることを特徴とするタイヤビード拡張冶具。
【請求項2】
前記タイヤビードを載せる部分は、タイヤビードが載った状態が維持されるのに十分な長さを有しており、かつ、他の部材と干渉しないように構成されている請求項1のタイヤビード拡張冶具。
【請求項3】
前記タイヤビードを載せる部分は、タイヤビードが容易に載るような形状に構成され、かつ、タイヤビードに作用する引張力により変形しないように構成されている請求項1、2のいずれかのタイヤビード拡張冶具。
【請求項4】
前記タイヤビードを載せる部分からタイヤビード拡張冶具の側面に至る境界領域のホイール半径方向における曲率半径が、リムのフランジの外縁部の曲率半径以下である請求項1〜3のいずれか1項のタイヤビード拡張冶具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項のタイヤビード拡張冶具を有することを特徴とするタイヤ取付装置。
【請求項6】
請求項5のタイヤ取付装置を用いるタイヤ取付方法において、ディスクの裏側のタイヤビードをホイールに落とし込む工程と、ディスク側のタイヤビードをリムのフランジを越えてホイールに落とし込む工程とを有し、ディスク側のタイヤビードをホイールに落とし込む前記工程は、下ビード側のタイヤビードをホイールに落とし込む工程と上ビード側のタイヤビードをホイールに落とし込む工程とを有し、上ビード側のタイヤビードをホイールに落とし込む工程では、タイヤビード拡張冶具のタイヤビードを載せる部分に上ビード側のタイヤビードを載置し、その状態で、タイヤビード拡張冶具で上ビード側のタイヤビードをホイールの半径方向外方へ押圧しつつ、タイヤビード拡張冶具を上ビードの頂点部分に向ってホイールの円周方向へ移動することを特徴とするタイヤ取付方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤをディスクホイールのリムに取り付ける際に使用されるタイヤビード拡張冶具と、そのタイヤビード拡張冶具を使用するタイヤ取付装置およびタイヤ取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は、一般的なタイヤ1をホイール2に取り付けた状態を、部分的に断面で示している。
図15において、ホイール2は、リム21とディスク22とを、たとえば溶接Wによって一体にして構成されている。リム21におけるリム幅Bは、リム21の幅方向(図15では上下方向)の両端部に位置する一対のフランジ21f、21fの内壁面の間隔によって規定されている。
【0003】
タイヤ1の2個所のビード11(図15において、上方に位置するタイヤビード部と、下方に位置するタイヤビード部)が、前記フランジ21f、21f間にはまりこむように取り付けられて、車輪として構成される。
図15において、符号23は空気バルブを示しており、符号Rはフランジ21fの端部が丸み(R)を帯びていることを示している。
【0004】
図15から明らかなように、タイヤ1のビード11の内径(図15の左右方向寸法)は、リム21のフランジ21fの直径よりも小さく、そのままではタイヤ1のビード11がフランジ21fを越えて、リム21に嵌装する(取り付ける:あるいは、タイヤ1をホイール2に組み付ける)ことができない。
そのため、タイヤ1のビード11を前記リム幅B内に取り付け、以って、タイヤ1をホイール2に組み付ける際には、図16に示すように、タイヤ1のビード11を図15において下方へ押圧する押圧ローラ40と、タイヤビード拡張ローラ3A、3Bを使用する。
なお、図示の簡略化のため、添付図面において、押圧ローラ40の図示を省略する場合がある。
【0005】
図16において、符号Lrの線はリム21(あるいはフランジ21f)の最大径部分の輪郭線を示しており、符号Lbはタイヤ1のビード11の最小径部あるいは内径縁部(半径方向内方の端面)の輪郭線を示している。そして、符号Lcはタイヤ断面におけるクラウン部(タイヤの外形線)を示す。
図16の状態では、ホイール2のディスク22の反対側は、図16の紙面裏側に位置しており、ディスク22の反対側のビード(図15の下側のビード)は、既にリム幅B内に取り付けられている。
【0006】
図16では、ディスク22側が描写されている。
図16の下側の領域(下ビード側)では、ビード11がリム21のフランジ21fを越えて取り付けられている。図16の下側の領域では、ビード11はリム21のフランジ21fの裏側(図16の紙面裏側)に位置しているため、ビード11が点線で示されており、フランジ21fあるいは輪郭線Lrが実線で示されている。
これに対して、図16の上側の領域(上ビード側)では、ビード11がリム21のフランジ21fを越えておらず、ビード11は視認可能であるため、ビード11を実線で示し、フランジ21fあるいは輪郭線Lrを点線で示している。
【0007】
図16において、上ビード側で、ビード11がフランジ21fを越えて、リム21に取り付けるために、押圧ローラ40でビード11を下方(図16では紙面裏側)へ押圧すると共に、2組のビード拡張ローラ3A、3Bのうち、ビード拡張ローラ3A、3Aの外周で、ビード11の内径側端面を半径方向外側へ押圧する。それにより、ビード11はリム21のフランジ21fを乗り越え、タイヤ1がリム21へ組み付けられる。
図示はされていないが、図16で示す上ビード側でビード11をリム21に取り付ける直前の段階で、下ビード側において、ビード11をリム21に取り付けるため、フランジ21fを乗り越えさせている。その際には、ビード拡張ローラ3B、3Bの外周で、ビード11の内径側端面を半径方向外側へ押圧する。
【0008】
図16で示す上ビード側のビード11をリム21に取り付ける場合は、詳細には、ビード拡張ローラ3A、3Aは、ビード11の内径側端面(半径方向内側の端面)をリム21の半径方向外側(矢印P側)に押圧して、押圧されているビード11の部分を半径方向外側へ拡張している。それと共に、ビード拡張ローラ3A、3Aは、図16におけるフランジ21fの頂点T(上ビード側の頂点)に向かって、矢印R方向に移動する。
【0009】
ここで、ビード拡張ローラ3A、3Bの下端面によりリム21のフランジ21fが傷つかないようにするため、ビード拡張ローラ3A、3Bの下端面は、リム21のフランジ21fに対して、リム幅方向(図15の上下方向:図16の紙面に垂直な方向)について、一定量(図示の例では3mm程度)だけ離れている。
【0010】
図16で示すように、押圧ローラ40でリム側(図15では下方:図16では紙面裏側)へ押圧されると共に、ビード拡張ローラ3Aまたは3Bでタイヤ1の半径方向外側(矢印P側)に押圧されることにより、ビード11はリム21のフランジ21fを越えて、リム21に取り付けられる。
ここで、ビード拡張ローラ3A、3Bの下端には、ビード11の移動を制限する機構はなく、ビード11がフランジ21fを越えてリム側(図15では下方:図16では紙面裏側)へ移動する際に、ビード拡張ローラ3A、3Bがそのような移動を拘束してしまうこともない。
【0011】
しかし、ビード11がリムフランジ21fを乗り越える際に、ビード11とフランジ21fとは直接擦れ合うことになる。
そして、リムフランジ21fの外縁部にバリなどのシャープエッジが形成されてしまっている場合には、タイヤビード11がリムのフランジ21fを越える時に、係るシャープエッジと接触することによって、タイヤビード11が破損してしまう場合が存在する。
【0012】
また、フランジ21fの端部のR(丸み:図15参照)は、デザイン上の要請から曲率半径を小さくする場合がある。そのような曲率半径が小さなRがフランジ21fの端部に形成されている場合にも、タイヤ1のビード11がフランジ21fを乗り越える際に、ビード11とフランジ21fの(曲率半径が小さな)Rとが直接擦れ合い、ビード11およびその周辺に引っかき傷などが発生してしまうこととなる。
【0013】
ここで、図16で示すように、上ビード側でタイヤビード11をリムに取り付けている場合には、円柱形のビード拡張ローラ3Aにより半径方向外方へタイヤビード11が押圧されるので、ビード11がフランジ21fを越える際には、ビード11に強いテンションが作用している。
そして、強いテンションが作用している状態で、ビード11がフランジ21fに形成されたシャープエッジで擦られて、引っかき傷などが生じてしまうと、上述した強いテンションの作用により傷が拡大して、ビード11の破損をもたらしてしまう。
【0014】
そして、ビード11が破損している場合はもちろん、ビード11に目視できる程度の諸々の傷が形成されてしまった場合は、外観上の問題と、タイヤの強度上の問題により、ホイールに組み付けられたタイヤは商品価値を失ってしまう。
【0015】
その他の従来技術としては、たとえば、タイヤにおけるゴム脚付き中子体を塑性変形させずに、当該タイヤをリムに正しく組み付ける技術が提案されている。
しかし、係る従来技術では、ゴム脚付き中子体を塑性変形させないことが目的であり、タイヤビードがリムフランジを乗り越えるときにタイヤビードがフランジと擦れ合って破損してしまうことに対する配慮はされておらず、上述したような問題を解決するものではない。
【0016】
また、タイヤビードを半径方向外方に押し広げるガイドローラと、タイヤビード部を支持面方向へ押し下げる押さえローラとを有するタイヤリム組み装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、このような従来技術においても、図15および図16を参照して上述したような問題が存在している。
【特許文献1】特開平5−58122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、タイヤをリムに組み込むに際して、タイヤのビード部がリムフランジと直接触れ合うことを防止して、ビード部に傷や破損が生じないようなビード拡張冶具と、それを用いたタイヤ取付装置およびタイヤ取付方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のタイヤビード拡張冶具(3)は、タイヤビード(11)を載せる部分(爪状の部分35)が側面下端部(下端部近傍の部分を含む)に形成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0019】
ここで、側面は湾曲面により構成されており、タイヤビード(11)と接触する際に摩擦力を小さくするために(樹脂コーティング、メッキ、その他の)表面処理が施されているのが好ましい。
【0020】
本発明のタイヤビード拡張冶具(3)において、前記タイヤビード(11)を載せる部分(爪状の部分35)は、タイヤビード(11)が載った状態が維持されるのに十分な長さを有しており、かつ、他の部材(別のタイヤビード拡張冶具3のタイヤビードを載せる部分35、あるいは、タイヤ取付装置の各種センサ類)と干渉しないように構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0021】
そして、前記タイヤビードを載せる部分(爪状の部分35)は、タイヤビード(11)が容易に載るような形状に構成され、かつ、タイヤビード(11)に作用する引張力(テンション)により変形しないように構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0022】
また、本発明のタイヤビード拡張冶具(3)において、前記タイヤビード(11)を載せる部分(爪状の部分35)からタイヤビード拡張冶具(3)の側面に至る境界領域(図3の符号Eで示す部分)のホイール半径方向における曲率半径(R3)が、リムのフランジ(21f)の外縁部の曲率半径以下であるのが好ましい(請求項4)。
【0023】
本発明のタイヤ取付装置(100)は、上述したようなタイヤビード拡張冶具(請求項1〜4のいずれか1項のタイヤビード拡張冶具3)を有することを特徴としている(請求項5)。
【0024】
本発明のタイヤ取付方法は、上述したタイヤ取付装置(請求項5のタイヤ取付装置100)を用いるタイヤ取付方法において、ディスク(22)の裏側のタイヤビード(11)をホイール(2)に落とし込む工程と、ディスク(22)側のタイヤビード(11)をリムのフランジ(21f)を越えてホイール(2)に落とし込む工程とを有し、ディスク(22)側のタイヤビード(11)をホイール(2)に落とし込む前記工程は、下ビード側のタイヤビード(11)をホイール(2)に落とし込む工程と上ビード側のタイヤビード(11)をホイール(2)に落とし込む工程とを有し、上ビード側のタイヤビード(11)をホイール(2)に落とし込む工程では、タイヤビード拡張冶具(3)のタイヤビード(11)を載せる部分(爪状の部分35)に上ビード側のタイヤビード(11)を載置し、その状態で、タイヤビード拡張冶具(3)で上ビード側のタイヤビード(11)をホイール(2)の半径方向外方へ押圧しつつ、タイヤビード拡張冶具(3)を上ビードの頂点部分(T)に向ってホイール(2)の円周方向へ移動することを特徴としている(請求項6)。
【発明の効果】
【0025】
上述する構成を具備する本発明によれば、大きなテンションが作用する上ビード側のタイヤビード(11)を、リムフランジ(21f)を越えてホイール(2)に取り付ける(あるいは落とし込む)際に、上ビード側のタイヤビード(11)とリムフランジ(21f)との間に、前記タイヤビード(11)を載せる部分(爪状の部分35)を介在させている。
【0026】
そのため、タイヤビード拡張冶具(3)で上ビード側のタイヤビード(11)をホイール(2)の半径方向外方へ押圧しつつ、タイヤビード拡張冶具(3)を上ビードの頂点(T)部分に向ってホイールの円周方向へ移動するのに際して、上ビード側のタイヤビード(11)とリムフランジ(21f)とは直接に接触しない。
【0027】
そして、タイヤビード(11)とリムフランジ(21f)とが接触しないので、リムフランジ(21f)にシャープエッジが形成されていても、上ビード側のタイヤビード(11)内側に、亀裂などが生じることが防止される。
【0028】
本発明は、アルミホイールでも、スチールホイールでも、貨物用車両などの大型車両でも、乗用車などの小型車両でも、適用可能である。換言すれば、本発明は、自動化された機器で、タイヤとホイールとが組み付け可能なすべての場合において、適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1および図2は、本発明の実施形態を適用したタイヤ取付装置100の要部を簡略に示している。
【0030】
図1および図2において、タイヤ取付装置100は、一対のタイヤビード拡張冶具3と、全体の図示を省略した装置本体におけるホイール固定部材である筒部材(ベース)4と、ピン6と円錐台の先端部7を有する芯出しピン5とを有している。
タイヤ取付装置100は、図2で示すように押圧ローラ40も有している。ただし、押圧ローラ40については、図示の実施形態も従来技術と同様であり、たとえば図1のように、図示の簡略化のため押圧ローラ40を省略する場合がある。
【0031】
図1では、筒状のベース4上にホイール2が載置され、芯出しピン5によって固定されている。
ホイール2はリム21とディスク22が一体に形成されており、リム21には、リムの幅方向(図1の上下方向)の両端で最外周となる部分に、リムフランジ(フランジ)21fが形成されている。
リム21の幅方向の中央部にはドロップ部21dが形成されており、ドロップ部21dは、ホイール2の半径方向内方(車軸中心Loに向かう方向)に凹んでいる。
【0032】
ディスク22の中心には、車軸中心Loと同心のハブ穴22aが形成されており、そのハブ穴22aに芯だしピン5の先端部7が嵌入することにより、ホイール2はベース4に固定される。
なお、タイヤ1の一対のビード11が、いずれもリム21に嵌め込まれてはいない状態を表現するために、便宜上、図1においてはタイヤ1が宙に浮いた状態で表現されている。換言すれば、タイヤ1をホイール2に組み込むに際して、図1で示すように、タイヤ1が浮遊したような状態で保持されるのではない。
【0033】
図2で示す状態では、図2の裏側(ディスク22の反対側)におけるビード11は、既にリム21に組み付けられている。図2の裏側でビード11が既にリム21に組み付けられている状態は、図示されていない。
図2においては、上方のビード11(上ビード側)が、時計のおよそ「10時10分の位置」で、一対のタイヤビード拡張冶具3、3によって、リム21に組み付けられようとしている状態が示されている。
なお、図2における符号Oは、ホイール2の中心を示している。
【0034】
タイヤビード拡張冶具3、3は、タイヤビード11を載せる部分(爪状の部分)35を有している。爪状の部分35の詳細は、図3、図4で示されている。
図2において、上ビード側のタイヤビード11は、図2において上方に位置している2つのビード拡張冶具3、3の爪状の部分35に載置されている。
その状態で、タイヤビード拡張冶具3で上ビード側のタイヤビード11をホイール2の半径方向外方(P矢印方向)へ押圧しつつ、タイヤビード拡張冶具3を上ビード11の頂点部分Tに向ってホイール2の円周方向(R矢印方向)へ移動する。その際に、押圧ローラ40により、ビード11を図2の裏側に向けて押圧している。
【0035】
次に、図3〜図6を参照してタイヤビード拡張冶具3を詳細に説明する。
図3、図4において、タイヤビード拡張冶具3は、柱状部材31と、その下端(図3では紙面裏側方向端部:図4では上下方向の下端部)に形成された爪状の部材35とを有している。
柱状部分31は、図3で示すように、その水平断面形状は、複数の円弧R1〜R3と直線Lsとを組み合わせた形状となっている。爪状の部材31は、その水平断面形状が、革靴の爪先のようになっている。
【0036】
明確には図示されていないが、タイヤビード拡張冶具3の外周面で、タイヤビード11と接触する領域には、タイヤビード11と接触する際に摩擦力を小さくするために、たとえば、樹脂コーティング、メッキ、その他の表面処理が施されているのが好ましい。
【0037】
図4で明示されているように、爪状の部材35の下端面35bは、柱状部材31の底面32と同一面を構成している。すなわち、爪状の部材35の下端面35bと柱状部材31の底面32とは、いわゆる「面一」(高さ方向位置が同一)となっている。
図3および図4において、柱状部材31の上面33側にはシャフト嵌入穴34が形成されており、シャフト嵌入穴34には、タイヤビード拡張冶具3を支持して駆動する図示しないシャフトが挿入される。
【0038】
図3において、柱状部分31の水平断面形状における曲率半径R3の部分は、リム21のフランジ21fに内接する位置となる。そして、この曲率半径R3は、タイヤとリムとの組み合わせが変更されても、常に、リムフランジ21fの曲率半径よりも小さく設定されている。
これは、柱状部分31の曲率半径R3の部分がリムフランジ21fよりも半径方向外側にはみ出すことを防止するためである。
【0039】
柱状部分31の曲率半径R3の部分がリムフランジ21fよりも半径方向外側にはみ出してしまうと、上述したはみ出した部分(ビード拡張冶具3の一部分)がタイヤビード11に当接してしまい、ビード11の当接個所に過大な力が作用してしまう。そのため、曲率半径R3をリムフランジ21fの曲率半径よりも小さく設定して、ビード拡張冶具3の一部分がリムフランジ21fよりも半径方向外側にはみ出さないようにしているのである。
【0040】
爪状の部材35の柱状部材31は、リムに組付け予定のタイヤのビードをその上に載置し、当該タイヤビードを押圧しても、変形しない程度の剛性は少なくとも有している。それに加えて、柱状部材31は、長年にわたる繰り返し負荷に対応できる強度を有している。
【0041】
爪状の部材35が長過ぎる場合には、上ビードの頂点T(図2)の領域で、左右の爪状の部材35の先端同士が干渉してしまう恐れがある。
また、図示はされていないが、上ビートの頂点T近傍には、タイヤ組付け装置における制御用の各種センサが設けられており、爪状の部材35が長すぎると、上ビート11の頂点T近傍の領域にタイヤビード拡張冶具3が来た時に、爪状の部材35がセンサと干渉し、あるいは、センサによる計測を妨げてしまう可能性が有る。
それに加えて、爪状の部材35が長過ぎると、タイヤビード11に作用するテンションによって、爪状の部材35が変形してしまう(曲がってしまう)恐れがある。
【0042】
一方、爪状の部材35が短過ぎる場合には、爪状の部材35の長さ寸法に対して厚さ寸法が大きくなってしまい、タイヤビード11が爪状の部材35の上に載置されなくなってしまう。
【0043】
したがって、爪状の部材35は、タイヤビード11が載った状態が容易に維持されるのに十分な長さを有している。それと共に、上ビードの頂点T(図2)近傍で爪状の部材35同士が干渉してしまうことがなく、爪状の部材35がセンサと干渉せず、センサによる計測を妨げてしまうことがなく、しかも、タイヤビード11に作用するテンションによって変形しない程度の長さに、爪状の部材35の長さは抑えられている。
【0044】
爪状の部分35は、その上面側表面が滑らかに仕上げてあることが好ましい。爪状の部分35に載置されたタイヤビード11が、リムフランジ21fを越えた後に、リムフランジ21f内側のリム2へ容易かつ円滑に移動するようにするためである。
【0045】
図4において、上述したように、爪状部材35の下面35bと柱状部材31の下面32とは、いわゆる「面一」(高さ方向位置が同一)となっている。
そして図4で示すように、タイヤビード拡張冶具3がリムフランジ21fに最も接近した場合でも、柱状部材31の下面32は、リムフランジ21fに対して所定の隙間δ(図示の例では3mm)だけ離隔しているように構成されている。タイヤビード拡張冶具3により、リムフランジ21fが損傷することを防止するためである。
【0046】
それに対して、図5で示す変形例においては、爪状の部材35の下面35bは、柱状部材31の下面32よりも、符号δ1で示す寸法だけ上方に位置している。図5の変形例においても、柱状部材31の下面32とフランジ21fとの間には、クリアランスδが確保されていて、両者の干渉あるいはそれに起因する損傷を防止している。
【0047】
ここで、爪状の部材35の下面35bが、柱状部材31の下面32よりも上方に位置している寸法δ1は、タイヤビード11が爪状の部材35へ載置可能であれば、特に限定しない。
換言すれば、爪状の部材35の下面35bと、柱状部材31の下面32とは、必ずしも同一位置(高さ)でなくてもよく(面一に限定しない)、少なくとも、タイヤビード11が爪状の部材35へ載置可能であれば、爪状の部材35の下面35bを、柱状部材31の下面32よりも上方に位置させてもよい。
【0048】
また図6は、爪状部材35の下面35bを柱状部材31の下面32よりも、符号δ2で示す寸法だけ下方に位置している変形例を示している。
図6の変形例においても、爪状の部材35の下面35bとフランジ21fのリム幅方向の最外側位置とのクリアランスδが確保されている。
【0049】
ここで、爪状部材35の下面35bを柱状部材31の下面32よりも下げた寸法δ2は、爪状の部材35の下面35bとフランジ21fのリム幅方向の最外側位置とのクリアランスδが確保できて、かつ、タイヤビード11のテンションにより変形しない程度に爪状部材35の強度が確保できるのであれば、特に限定するものではない。
換言すれば、爪状の部材35の下面35bとフランジ21fのリム幅方向の最外側位置とのクリアランスδが確保できて、かつ、タイヤビード11のテンションにより変形しない程度に爪状部材35の強度が確保できるのであれば、爪状の部材35の下面35bを、柱状部材31の下面32よりも下方に位置させてもよい。
【0050】
次に、図7〜図14を参照して、タイヤ1のリム21への取り付けについて説明する。
図7〜図10は、タイヤをリムに組み付ける際における4つの工程を断面図で示しており、図11、図12は、タイヤをリムに組み付ける際の第2工程(図8)および第3工程(図9)を平面図で示している。そして、図13、図14は第3工程(図9)および第4工程(図10)の要部を立体的かつ詳細に示している。
【0051】
図7〜図9において、図示の簡略化のため、押圧ローラ40を省略して示している。換言すれば、図7〜図14において、押圧ローラ40は図10にのみ示されている。
上述したように押圧ローラ40については、従来技術と図示の実施形態とではその構成および作用効果が同様であることによる。
【0052】
また、図2で説明したように、タイヤビード拡張冶具3は、合計4つ設けられており、上ビード側のタイヤビード11をリムに取り付けるには、図2における上方の2個のタイヤビード拡張冶具3が用いられ、下ビード側のタイヤビード11をリムに取り付けるには、図2における下方の2個のタイヤビード拡張冶具3が用いられる。
しかし、図7〜図14では、タイヤビード拡張冶具は、1個あるいは2個のみが示されている。図7〜図14では、タイヤビード11に強いテンションが作用する上ビード側における取り付けを説明しているからである。
【0053】
図7の第1工程では、既に公知の方法で、リム21におけるディスク22の反対側に組み付けられるビード(図7の下方のビード)11は、既にリム21内に落とし込まれ(組み込まれ)ている。
一方、ディスク22側のビード11は、未だにリム21のフランジ21fを乗り越えておらず、ディスク22側のフランジ21fの上方に位置している。
【0054】
図8および図11で示す状態では、押圧ローラ40(図10参照)およびタイヤビード拡張冶具3を用いて、公知の態様で、下ビード側(図8では右側、図11では下側)のタイヤビードが、ディスク22側のフランジ21f(図8において上方のフランジ21f)を乗り越えて、リム21内に落とし込まれている。
図8および図11の第2工程は、係る状態(下ビード側のタイヤビードがリム21内に落とし込まれている状態)から、上ビード側(図8では左側、図11では上側)のタイヤビード11をディスク22側のフランジ21f(図8において上方のフランジ21f)を乗り越えて、リム21内に落とし込む初期の段階に相当する。
【0055】
図11において、一対のタイヤビード拡張冶具3、3は、上ビード側(図11の上側:図8の左側)のビード11であって、フランジ21fを乗り越えていない部分における半径方向の端面を、タイヤビード拡張冶具3で、半径方向外方(P矢印方向)へ押圧する。ここで、フランジ21fを乗り越えていないビード11を半径方向外方(P矢印方向)へ押圧するのは、タイヤビード拡張冶具3において、曲率半径R3(図3参照)を有する部分である。
なお、図8、図11では図示されていないが、押圧ローラ40(図10参照)は、フランジ21fを乗り越えていないビード11を下方(図8の下側、図11の紙面裏側)へ押圧している。
【0056】
タイヤビード拡張冶具3は、フランジ21fを乗り越えていないビード11を半径方向外方(P矢印方向)へ押圧すると共に、上ビード側の頂点部分Tに向って、リム21の円周方向(R方向)へ移動する。
そして、図8、図11で示す第2工程では、フランジ21fを乗り越えていないビード11は、タイヤビード拡張冶具3の爪状の部材35の上面に載置されている。
【0057】
すなわち、タイヤビード拡張冶具3および爪状の部材35は、爪状の部材35をビード11の下方(ホイール2側)に潜り込ませて、ビード11とリムフランジ21fとが接触しないようにした状態で、当該ビード11を半径方向外方(図11の矢印P方向)に押し込みつつ、リムのフランジ21fに沿うように、矢印R方向へ移動する。
【0058】
図11および図12において、符号Lrはリム21の輪郭を示しており、符号Lbはタイヤ1のビード11の半径方向端面(内径方向端面)の輪郭を示している。
図11において、下ビード側(図11で下側)では、ビード11はフランジ21fを乗り越えているため、ビード11の内径方向端面の輪郭Lbが点線で示されており、フランジ21fの輪郭線Lrが実線で示されている。一方、上ビード側(図11の上側の領域)では、ビード11がリム21のフランジ21fを越えておらず、ビード11は視認可能であるため、ビード11の内径方向端面の輪郭Lbが実線で示され、フランジ21fの輪郭線Lrが点線で示されている。
【0059】
図9、図12、図13に示す第3工程では、一対のタイヤビード拡張冶具3、3が上ビード側の頂点T(図12参照)近傍で接近している。
この段階では、上ビード側の頂点T(図12参照)付近のビード11が、タイヤビード拡張冶具3、3の爪状の部材35の上面(滑らかな傾斜面)を滑り、リムフランジ21fを乗り越えようとしている(図9参照)。
図13においては、図12の左側のタイヤビード拡張冶具3が省略されて描かれている。符号Lxで示す2点鎖線は、ホイール2およびタイヤ1の半径方向(図10の左右方向)断面の形状を理解し易いように表示した架空の断面切断線である。
【0060】
図10、図14の第4工程では、上ビード側の頂点T(図12参照)付近のビード11が、タイヤビード拡張冶具3、3の爪状部材35の上面(滑らかな傾斜面)から完全に滑り落ち、ビード11の全てが、フランジ21fの内側に組み込まれる。
【0061】
上述した実施形態によれば、大きなテンションが作用するディスク側の上ビード側でタイヤビード11をリム21に組み込むのに際して、リムフランジ21fを越えてタイヤビード11がリム21へ落とし込まれる(組み込まれる)ときに、ビード11とリムフランジ21fとの間に、タイヤビード拡張冶具3の爪状の部分35が介在する。
【0062】
そのため、タイヤビード拡張冶具3でディスク22側のタイヤビード11をホイール2の半径方向外方へ押圧しつつ、タイヤビード拡張冶具3をビードの頂点T部分に向ってホイール2の円周方向へ移動して、リムフランジ21fを越えてタイヤビード11をリム21に組み込む際に、タイヤビード11とリムフランジ21fとは直接に接触しない。
【0063】
タイヤビード11とリムフランジ21fとが接触しないので、仮にリムフランジ21fにシャープエッジが形成されていても、ビード11内側に、亀裂などが生じることが防止できるのである。
【0064】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態のタイヤビード拡張冶具およびタイヤ組付け装置を示す断面図。
【図2】図1で示すタイヤビード拡張冶具およびタイヤ組付け装置の簡略化した平面図。
【図3】図示の実施形態に係るタイヤビード拡張冶具の平面図。
【図4】図3に対応する正面図。
【図5】図示の実施形態の第1変形例を示す正面図。
【図6】図示の実施形態の第2変形例を示す正面図。
【図7】実施形態に係るタイヤ組付け方法の第1工程を説明する断面図。
【図8】実施形態に係るタイヤ組付け方法の第2工程を説明する断面図。
【図9】実施形態に係るタイヤ組付け方法の第3工程を説明する断面図。
【図10】実施形態に係るタイヤ組付け方法の第4工程を説明する断面図。
【図11】図8に対応する平面図。
【図12】図9に対応する平面図。
【図13】図9、図12の工程を立体的に示した部分斜視図。
【図14】図10の工程を立体的に示した部分斜視図。
【図15】タイヤをディスクホイールのリムに組付けた状態図。
【図16】従来技術におけるタイヤ組付の態様を示す平面図。
【符号の説明】
【0066】
1・・・タイヤ
2・・・ディスクホイール
3・・・タイヤビード拡張冶具
4・・・筒部材/ベース
5・・・心出しピン
6・・・ピン
7・・・円錐台の先端部
11・・・ビード部
12・・・タイヤ内部
31・・・柱状部
32・・・下面
33・・・上面
34・・・シャフト嵌入穴
35・・・タイヤビードを載置する部材(爪状の部材)
100・・・タイヤ取付装置
【出願人】 【識別番号】000110251
【氏名又は名称】トピー工業株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】110000431
【氏名又は名称】特許業務法人高橋特許事務所


【公開番号】 特開2008−1298(P2008−1298A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174737(P2006−174737)