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【発明の名称】 キャスター
【発明者】 【氏名】井手 遊生

【要約】 【課題】手押し台車の方向転換の動き出しをスムーズにし、特に略180度方向への反転も比較的小さな力で操作できるキャスターを提供する。

【構成】車台側旋回軸(1)と車輪側旋回軸(2)の2つの旋回軸を有し、この2段階の旋回軸回りに車輪(3)が自在に旋回するキャスターにおいて、車輪側旋回軸(2)の旋回角を一定の範囲に制限しその旋回を制止する反力によって車輪(3)に旋回モーメントが作用するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台側旋回軸(1)と車輪側旋回軸(2)の2つの旋回軸を有し、車輪(3)がこの2段階の旋回軸回りに旋回自在なキャスターにおいて、車輪側旋回軸(2)回りの旋回角(A)を一定の範囲に制限したことを特徴とするキャスタ―。
【請求項2】
請求項1において、旋回角(A)を90度以下に制限したキャスター。
【請求項3】
請求項1において、車台側旋回軸(1)の下端部で旋回を制止するようにしたキャスター。
【請求項4】
請求項1において、旋回制止部に弾性体を配したキャスター。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、車台側旋回軸(1)と車輪側旋回軸(2)の2つの旋回軸を有し、この2段階の旋回軸回りに車輪(3)が自在に旋回するキャスターの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャスターは手押し台車などに利用され、移動したい方向への転換を容易にするものであるが、方向転換をスムーズにする改良構造として、特開昭63−170102に、旋回軸を2つ設けた2段階に旋回するものが示されている。この機構によれば車輪の旋回に先んじて2つの旋回軸間で抵抗なく旋回し、比較的小さい力で動き出すことができる。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−170102
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら略180度の反転をする場合、車台側旋回軸は車輪側旋回軸を中心として180度の位置まで抵抗無く旋回するが、負荷のかかっている車輪はこのときはまだ旋回しておらず、車輪側旋回軸と車輪中心と車台側旋回軸が進行方向にほぼ一直線に並んだこの状態では車輪が旋回しにくいという難点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる難点を改善するものであり、
車輪側旋回軸(2)回りの旋回角(A)を一定の範囲に制限し、その旋回を制止する反力によって車輪(3)に旋回モーメントが作用するようにした。
【発明の効果】
【0006】
以上の説明から明らかなように本発明は、手押し台車などの方向転換の動き出しをスムーズにし、特に略180度方向への反転も比較的小さな力で操作できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施例について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の第一の実施例を示すものである。
台車等への取付ブラケット(4)と旋回アーム(6)は車台側旋回軸(1)を介して旋回自在に係合され、旋回アーム(6)とハウジング(5)は車輪側旋回軸(2)を介して旋回自在に係合され、ハウジング(5)には車軸(7)を介して車輪(3)が係合されており、車輪(3)は2つの旋回軸回りに二段階に旋回自在である。
また、ハウジング(5)にはピン(8)が係止されており、旋回アーム(6)がハウジング(5)に対して車輪側旋回軸(2)を中心として旋回した場合、ハウジング(5)に係止したピン(8)により旋回アーム(6)はBの位置で旋回を制止される。
【0009】
以下、従来と本発明を比較して作用の違いを説明する。
図5は旋回角を制限しない従来の場合の旋回の状況を説明するものである。
F方向に進んでいる状態から略180度方向のR方向に反転する場合、車台側旋回軸(1)は車輪側旋回軸(2)を中心としてE点を経由してD点まで抵抗無く旋回するが、負荷のかかっている車輪(3)はこの時点では旋回しておらず、車輪側旋回軸(2)と車輪(3)の中心とD点が進行方向にほぼ一直線に並んだこの状態から車輪(3)を旋回させるには、旋回軸が1つのキャスターの場合と同様の大きな力が必要である。
【0010】
図6は本発明の旋回の状況を説明するものである。
F方向に進んでいる状態から略180度方向のR方向に反転する場合、車台側旋回軸(1)は車輪側旋回軸(2)を中心として旋回が制止されるC点まで抵抗無く旋回する。C点では旋回が制止され、その反力が車輪(3)の旋回モーメントとして作用する。このとき、C点と車輪(3)中心までのスパンが旋回モーメントアームとして機能する為、車輪(3)は小さな力でもスムーズに旋回する。また、旋回角(A)を90度以下に制限したことにより、S方向からT方向へ転換する場合にも、C点からG点まで抵抗無く旋回し、動き出しが容易である。
【実施例2】
【0011】
図2は本発明の第二の実施例を示すものである。
図1の取付ブラケット(4)を、車台側旋回軸保持枠(10)に置き換えたものであり、パイプ製の椅子等にワンタッチ挿入して用いる場合に便利である。
【実施例3】
【0012】
図3は本発明の第三の実施例を示すものである。
図2のハウジング(5)を、車輪側旋回軸保持枠(11)に置き換えたものであり、双輪キャスターの場合に便利である。車台側旋回軸(1)下端には旋回軸突出部(9)が一体に形成されており、また車輪側旋回軸保持枠(11)には旋回制止突起(12)が一体に形成されている。旋廻アーム(6)が車輪側旋回軸保持枠(11)に対して車輪側旋回軸(2)を中心として旋回した場合、旋回制止突起(12)により旋回軸突出部(9)はJの位置で旋回を制止される。
尚、旋回軸突出部(9)を車台側旋回軸(1)の下端に一体に形成し旋回制止機能を持たせたことにより、旋回制止用のピンを別途に設定する必要がなく、構造がシンプルで安価となる効果がある。
【実施例4】
【0013】
図4は本発明の第四の実施例を示すものである。
図3の車台側旋回軸保持枠(10)を、取付ブラケット(4)に置き換えたものである。車台側旋回軸(1)下端の旋回軸突出部(9)には弾性体(13)が挿入されており、旋回制止突起(12)と旋回軸突出部(9)との当接の際の衝撃を緩和する。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明のキャスターは、スムーズな方向転換を要する台車、椅子、ワゴン、キャリーバッグなど、現在使用されているキャスターに代替して広い分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施例を示し、解説する図である。
【図2】本発明の第二の実施例を示し、解説する図である。
【図3】本発明の第三の実施例を示し、解説する図である。
【図4】本発明の第四の実施例を示し、解説する図である。
【図5】旋回角を制限しない場合の旋回の状況を解説する図である。
【図6】本発明の旋回の状況を解説する図である。
【符号の説明】
【0016】
1 車台側旋回軸
2 車輪側旋回軸
3 車輪
4 取付ブラケット
5 ハウジング
6 旋回アーム
7 車軸
8 ピン
9 旋回軸突出部
10 車台側旋回軸保持枠
11 車輪側旋回軸保持枠
12 旋回制止突起
13 弾性体
A 旋回角
【出願人】 【識別番号】304045701
【氏名又は名称】井手 遊生
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−37228(P2008−37228A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−213052(P2006−213052)