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【発明の名称】 曲面転写印刷方法及びその装置
【発明者】 【氏名】千葉 勝

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央が上方に空洞を有する下部支持枠を天井側とした密封室を設け、該密封室のほぼ中央部には上下動する載置台を設けるとともに、天井側を上部支持枠と伸縮性ゴムシートで塞いで気密な密封室を形成し、該密封室には減圧する減圧手段を設けた曲面印刷装置であって、
印刷すべき物品を前記載置台に載置し、天井部には前記下部支持枠に重なり中央部が空洞の蓋状の上部支持枠を設け、該上部支持枠には伸縮性ゴムシートを支持するともに前記下部支持枠と重ねることで挟持し、該伸縮性ゴムシートには所望の模様の印刷インクが加熱により剥離する転写シートを支持させ、
密封室の減圧と物品の上方への押圧移動とによって前記物品に前記伸縮性ゴムシートが密着するようにしたことを特徴とする曲面転写印刷方法。
【請求項2】
中央が上方に空洞を有する下部支持枠を天井側とした密封室を設け、該密封室のほぼ中央部には上下動する載置台を設けるとともに、天井側を上部支持枠と伸縮性ゴムシートで塞いで気密な密封室を形成し、該密封室には減圧する減圧手段を設けた曲面印刷装置であって、
印刷すべき物品を前記載置台に載置し、天井部には前記下部支持枠に重なり中央部が空洞の蓋状の上部支持枠を設け、該上部支持枠には伸縮性ゴムシートを支持するとともに前記下部支持枠と重ねることで挟持し、該伸縮性ゴムシートには所望の模様の印刷インクが加熱により剥離する転写シートを支持させ、
密封室の減圧と物品の上方への押圧移動とによって前記物品に前記伸縮性ゴムシートが密着するようにしたことを特徴とする曲面転写印刷装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、曲面を有する物品に綺麗に印刷する曲面印刷方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、曲面に対して印刷を施す場合には、予め転写紙に模様を印刷して、転写紙を物品に密接させて印刷している。
例えば、特許文献1に開示されているように、転写紙としてポリ塩化ビニル樹脂フィルムに所要の模様を裏面に印刷し、その上面に感圧性の接着剤層を形成した添付シートを用い、物品に貼付ヘッドで撫でて貼付シートを密接させ、印刷模様を物品に転写した後に、ベースフィルムであるポリ塩化ビニル樹脂フィルムを剥離すれば、印刷が完成する。
また、特許文献2には、ゴルフボールの上に転写シートを配置し、その上からシリコンゴムと発熱体とを押圧して、トナー像を転写する技術が開示されている。
更に、特許文献3には、表面に大きな凸凹がある被転写基材に予め接着剤を塗布しておき、その上に転写シートを配置して、転写シートの上面に固体粒子を衝突させて転写紙を圧接して印刷する技術が開示されている。
また、転写紙に印刷模様を配し、印刷対象物品に転写紙を圧接して密接させ、加熱して印刷模様を対象物品に転写し、常温に冷却して印刷対象物品から転写紙のベースフィルムだけを剥離することは、特許文献4等に示すように公知である。
【特許文献1】特公昭62−10584号公報
【特許文献2】特開昭62−279947号公報
【特許文献3】特開2000−944号公報
【特許文献4】特開2004−1333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1や特許文献2に開示されているような、曲面を有する物品に転写紙を上から圧接する方法は、ゴルフボールのような比較的単純な曲面を有する物品においては問題が少ないが、複雑な形状となると物品表面と転写紙との間に空気が残り、皺が生じたり、気泡が残ったりして、綺麗に転写することができないといった問題点があった。
また、特許文献3のように、転写シートの上面に固体粒子を衝突させて転写紙を圧接して印刷する方法は、装置の設定が難しく、また、固体粒子の取り扱い保管が煩わしいといった問題点があった。
【0004】
本発明は、前記の問題点に鑑みなされたもので、曲面を有する物品に対して転写紙を、斑無く綺麗に密接させて、綺麗に印刷模様を曲面を有する物品に転写する曲面転写方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、中央が上方に空洞を有する下部支持枠を天井側とした密封室を設け、該密封室のほぼ中央部には上下動する載置台を設けるとともに、天井側を上部支持枠と伸縮性ゴムシートで塞いで気密な密封室を形成し、該密封室には減圧する減圧手段を設けた曲面印刷装置であって、印刷すべき物品を前記載置台に載置し、天井部には前記下部支持枠に重なり中央部が空洞の蓋状の上部支持枠を設け、該上部支持枠には伸縮性ゴムシートを支持するとともに前記下部支持枠と重ねることで挟持し、該伸縮性ゴムシートには所望の絵柄の印刷インクが加熱により剥離する転写シートを支持させ、密封室の減圧と物品の上方への押圧移動とによって前記物品に前記伸縮性ゴムシートが密着するようにしたことを特徴とする曲面転写印刷方法である。
請求項2の発明は、中央が上方に空洞を有する下部支持枠を天井側とした密封室を設け、該密封室のほぼ中央部には上下動する載置台を設けるとともに、天井側を上部支持枠と伸縮性ゴムシートで塞いで気密な密封室を形成し、該密封室には減圧する減圧手段を設けた曲面印刷装置であって、印刷すべき物品を前記載置台に載置し、天井部には前記下部支持枠に重なり中央部が空洞の蓋状の上部支持枠を設け、該上部支持枠には伸縮性ゴムシートを支持するとともに前記下部支持枠と重ねることで挟持し、該伸縮性ゴムシートには所望の絵柄の印刷インクが加熱により剥離する転写シートを支持させ、密封室の減圧と物品の上方への押圧移動とによって前記物品に前記伸縮性ゴムシートが密着するようにしたことを特徴とする曲面転写印刷装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の曲面転写印刷方法及び装置によれば、曲面を有する印刷対象物品と転写紙とを密封室に配置することになるので、密封室を減圧することにより、印刷対象物品と転写紙との間の空気を吸引する状態となり、伸縮性ゴムシートとこれに支持された転写紙が均一に伸縮して、物品に転写紙が斑無く綺麗に密接し、結果として、印刷模様を曲面を有する物品に綺麗に転写することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好適な曲面印刷方法と装置の実施例を図面に沿って説明するが、図1は、符合1は曲面転写印刷装置の枠体で、枠体1の左側には密封室2を設け、この密封室2は底部21と矩形側部22と天井側には中央が上方に空洞部24を有する下部支持枠23から構成され、この下部支持枠23の空洞部24は印刷対象物品A及び載置台6が上昇する際に許容する空間で、作業開始時には後述する蓋部3で塞ぐが、図3に示すように、この蓋部3は上部支持枠31とウレタンラバー等の伸縮性ゴムシート34で構成され、図4に示すように、蓋部3を左側に倒して天井部の空洞部24を塞いで密封室2を構成している。
密封室2の底部21には空気の吸引孔41が設けられるが、この吸引孔41は枠体1の右下部に設けた吸引装置4に連結管42及び開放弁43を介して導通され、この吸引装置4の操作は枠体1の操作盤5の指令により制御される。
また、密封室2の底部21のほぼ中央には、印刷対象物品Aを載置する載置台6が設けられ、この載置台6は底部21の裏に設けられた油圧シリンダーによる上下移動装置61が接続され、この上下移動装置61の油圧シリンダーの油圧制御は枠体1の右下部に設けたコンプレッサー62が連結管63及び制御弁64を介して接続され、この上下移動装置61及びコンプレッサー62の操作は操作盤5の指令により制御される。
【0008】
作業準備工程での蓋部3を右に開いた図1状態は、図2、図3に示すように、矩形の上部支持枠31は上下の1対の把持板である上把持板311と下把持板312とから構成され、上部支持枠31の上把持板311と下把持板312のほぼ中央部に空洞部32が設けられ、この空洞部32を除いた上部支持枠31には伸縮性ゴムシート34を把持される。
この伸縮性ゴムシート34の上部支持枠31への把持方法は、図3に示すように、この時点で一番下の上把持板311に転写インクで印刷模様8が施された転写紙7を貼り付けた伸縮性ゴムシート34を載せ、その上に下把持板312を載せ、下把持板312のネジ貫通孔314に固定ネジ313を挿入し、次に、この固定ネジ313を伸縮性ゴムシート34のネジ貫通孔341に挿入し、一番下の上把持板311のナット部315に縲合して締めれば、伸縮性ゴムシート34の周辺縁は上把持板311と下把持板312に強固に挟まれ上部支持枠31に確実に把持される。この把持方法によって、後述するように、伸縮性ゴムシート34が伸びても外れないように固定する。
【0009】
また、上部支持枠31と下部支持枠23とは、下部支持枠23の回動支持部232と上部支持枠31の回動支持部材33とがロッド331によって回動自在に支持されているが、上部支持枠31を左側に倒し上部支持枠31の下把持板312の面と下部支持枠23の上面に設けられたゴムシート(パッキン)231が密着して密封室2を気密に構成する。この際、上部支持枠31の止め金具35を下部支持枠23の止め金具25の係合させることによって、両者の強固に密着させ維持させる。
すなわち、図2、図3において、伸縮性ゴムシート34上には所定の転写すべき印刷部8が施された転写紙7が支持されるが、この印刷部8の模様には所望の絵柄でよく、勿論、記号や文字でもよいことは勿論である。
【0010】
[作動]
前述した曲面転写印刷装置での、転写紙7による曲面印刷の手順を説明する。
先ず、印刷部8が施された転写紙7を水に濡らし、伸縮性ゴムシート34に載せて密着させ余分な水を排除する。この水による密着状態は、転写紙7が伸縮性ゴムシート34に支持されているが、伸縮性ゴムシート34が大きく伸びて転写紙7自体に過度の力が加わる場合には滑ることが可能な適度の保持力となる。
また、転写紙7の大きさは、転写紙7の端部が下部支持枠23、上部支持枠31のそれぞれの上把持板311と下把持板312に把持されないような配置や大きさであることが重要であり、伸縮性ゴムシート34が大きく伸びた場合は転写紙7は多少滑ってズレることが必要である。
さらに、伸縮性ゴムシート34の厚さとして、密封室2が減圧されて真空に近づいて、伸縮性ゴムシート34が密封室2の内側に引っ張られても、均一に延びる必要がある。
【0011】
また、転写紙7及び印刷部8に使用したインクは、曲面に使用することから、従来公知のものと同様に多少伸縮性を有するものを使用する必要がある。
本実施例でのインクの支持シートである転写紙7自体は、アクリル酸エステル共重合物40〜45重量%、C9芳香族炭化水素55〜60重量%であり、引っ張ると30%程度に伸びるものである。更に、印刷部8に使用したインクは、従来公知のエポキシ系樹脂インキで加圧して加熱することによって対象物品Aの表面に固着されるスクリーン印刷用インクである。
【0012】
次に、図4に示すように、印刷部8を施した転写紙7を貼り付けた伸縮性ゴムシート34を把持した上部支持枠31を枠体1の左側に倒すことによって、図5の拡大図(図4のX部分)に示すように、上部支持枠31と下部支持枠23とはゴムシート231を介し、止め金具25,35で強固に挟むことによって気密に固定する。
この伸縮性ゴムシート34が密封室2の天井部を塞ぐことによって、密封室2の気密に密封することが完成するが、ここで、操作盤5の操作ボタン51を操作することによって、吸引装置4を稼働させ密封室2の底部21の空気の吸引孔41から空気を吸い込み(図4の矢印a)減圧する。
【0013】
密封室2内が減圧されることにより、図6に示されるように、伸縮性ゴムシート34及び転写紙7とが密封室2の内方に引き込まれ、同時に、操作盤5の操作ボタン52を操作することによって、コンプレッサー62を稼働させ、油圧シリンダーの上下移動装置61に連結された載置台6が上方(図6の矢印b)に移動するように制御弁64を制御する。
したがって、載置台6に載置された印刷対象物品Aを、伸縮性ゴムシート34が無理なく均一に包むように押圧される。その結果、伸縮性ゴムシート34の転写紙7は従来の印刷転写紙と同様に、単に水により伸縮性ゴムシート32に貼り付いているだけなので印刷対象物品Aに加圧されるだけで、印刷転写紙7と印刷部(インク)8とは印刷対象物品A側に移転する。
そして、印刷転写紙7と印刷部(インク)8とが、伸縮性ゴムシート34から剥離して印刷対象物品A側に移転した後は、図7に示されるように、操作部5で減圧を停止して開放弁43より外気側に開放し、真空状態を解除(図7の矢印d)して密封室2を室圧に戻し、同時に、上下移動装置61に連結された載置台6も下方(図7の矢印c)に移動するように制御弁64を制御して、印刷対象物品Aに転写紙7を密着する工程を終了し、載置台6から印刷転写紙7及び印刷部(インク)8が均一に密着した印刷対象物品Aを取り出す。
なお、図6の状態で転写紙7の印刷部8が印刷対象物品Aからはみ出ている場合には、手で印刷対象物品Aの内側には貼り付けるか、切断する等の方法で部分修正をすればよい。
【0014】
印刷転写紙7及び印刷部(インク)8が均一に皺無く綺麗に密着した印刷対象物品Aは、従来の転写工程と同様に、70℃で20分程度加熱して、印刷部8のインクが印刷対象物品Aに定着し、印刷対象物品Aを常温まで冷やせば、インクの支持シートである転写紙7だけを剥離でき、印刷部8のインク自体は印刷対象物品Aに残り、曲面部への印刷模様の転写は完了する。
なお、転写紙7の印刷模様は所望の絵柄としたが、勿論、記号や文字でもよいことは勿論である。
【0015】
以上のように、本発明の実施例によれば、曲面を有する印刷対象物品と転写紙とを密封室に配置することになるので、密封室を減圧して真空状態に近くすることにより、印刷対象物品と転写紙との間に気泡を残すことがなく、徐々に減圧することから均一に伸縮性ゴムシート34が伸びつつ印刷対象物品Aを包み込むので、伸縮性ゴムシート34及び転写紙7の伸びも均一となり、結果として印刷対象物品に転写紙が斑無く綺麗に密接し、結果として、気泡も入りこむことがなく均一に伸びるので、綺麗に印刷模様を曲面を有する物品に転写(印刷)することができる。
なお、本発明の特徴を損うものでなければ、上記の各実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例の曲面転写印刷装置の全体の側面図、
【図2】図1の上面図、
【図3】図1の曲面転写印刷装置の蓋部3の分解図、
【図4】図1の曲面転写印刷装置で、蓋部3を左側に倒した状態の側面図、
【図5】図3のA部の拡大断面図、
【図6】図1の曲面転写印刷装置で密封室内を減圧状態にし、載置台を上方に移動した状態の側面図、
【図7】図1の曲面転写印刷装置で、印刷対象物品に転写紙を密着する工程を終了した状態の側面図である。
【符号の説明】
【0017】
A…印刷対象物品、
1…枠体、
2…密封室、21…底部、22…矩形側部、23…下部支持枠、
231…ゴムシート(パッキン)、232…回動支持部、24…空洞部、
25,35…止め金具、
3…蓋部、31…上部支持枠、311…上把持板、
312…下把持板、313…固定ネジ、314…ネジ貫通孔、315…ナット部、
32…空洞部、33…回動支持部、331…ロッド、
34…伸縮性ゴムシート、341…ネジ貫通孔、
4…吸引装置、41…吸引孔、42…連結管、43…開放弁、
5…操作盤、51,52…操作ボタン、
6…載置台、61…上下移動装置、62…コンプレッサー、
63…連結管、64…制御弁、
7…転写紙、
8…印刷部、
【出願人】 【識別番号】506378290
【氏名又は名称】有限会社 松川木ヒール
【出願日】 平成18年11月10日(2006.11.10)
【代理人】 【識別番号】100111442
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 英一


【公開番号】 特開2008−119934(P2008−119934A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−305994(P2006−305994)