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【発明の名称】 筆穂
【発明者】 【氏名】大橋 京弥

【要約】 【課題】クリンプの波長が各々相違する多数の合成樹脂製筆毛よりなるものの場合、空間率が大きくなり易く、穂先のまとまりが劣り、筆記時のタッチが悪いといった問題を持たざるを得ず、また、4種のテーパー長さの違うポリエステル繊維よりなる筆穂は、全てストレートであって先端をテーパー化した繊維を用いるため穂先のまとまりは良いが、筆毛が密集過ぎて、塗布液が穂先内を流動しにくく、低粘度塗布液では流動するが、高粘度塗布液は、筆記時に筆跡がカスレてしまう問題を有していた。

【構成】先端をテーパー化した合成樹脂製の筆毛よりなる筆穂であって、この筆穂が、ストレートな断面が円形な2種類の筆毛とストレートな断面が異形な筆毛とを少なくとも混毛してなる筆穂において、このストレートな筆毛の繊維の直径を0.10〜0.20mmにすると共に、断面が異形な筆毛の直径を0.10〜0.20mmにした筆穂。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端をテーパー化した合成樹脂製の筆毛よりなる筆穂であって、この筆穂が、ストレートな断面が円形な2種類の筆毛とストレートな断面が異形な筆毛とを少なくとも混毛してなる筆穂において、このストレートな筆毛の繊維の直径を0.10〜0.20mmにすると共に、断面が異形な筆毛の直径を0.10〜0.20mmにしたことを特徴とする筆穂。
【請求項2】
前記ストレートな断面が円形な筆毛が、ポリアミド製の筆毛とポリエステル製の筆毛から少なくとも構成される請求項1記載の筆穂。
【請求項3】
ストレートな断面が円形な筆毛が30〜80重量%、ストレートな断面が異形な筆毛が20〜70重量%である請求項1、或いは、請求項2に記載の筆穂。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アイライナーやリップカラーなどの化粧液、筆跡修正液、接着剤といった、特に、高粘度塗布液の塗布具に用いられるもの並びに顔料粒子の大きいものに用いられる筆穂に関し、高粘度塗布液又は、顔料粒子の大きい塗布液の塗布時の穂先まとまりと腰の安定性が良好で、塗布液の吐出性が良く、細い曲線描き(筆穂を塗布面に押し付けて、細い曲線描きしたときに安定した曲線が描ける)を良好となした筆穂に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部をインキ収容室となした軸筒の先端開口に筆穂を取り付けた筆ペンが知られている。
この筆ペンは、インキとして、筆記用インキや墨汁といった低粘度のものを用い、筆穂の材料として、ポリアミド(6、6−ナイロン、6−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合物などの合成繊維よりなる筆毛を集束したものを用いたものである。
【0003】
上記筆記用インキや墨汁は、染料や顔料などの着色材と水溶性有機溶剤と水とを含むものが一般に用いられており、その粘度は、25℃において2.7〜4.0mPa・sの範囲である。本発明における低粘度インキ(又は、低粘度塗布液)とは、この粘度範囲に含まれる物を示す。
【0004】
そこで、上記筆穂は、合成樹脂製繊維の先端をテーパー化してなる筆毛を、その基部を糸などで結束したり、接着剤で接着したり、熱を加えて溶着したりして形成したものが用いられている。
因みに、合成樹脂製繊維の先端をテーパー化し、筆毛となすためには、合成樹脂製繊維を溶解又は分解する処理液に接触させる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、上記筆穂は塗布液保持量を向上させる目的の提案も種々行われている。例えば、筆毛を波状にクリンプして、その波長が各々相違する多数の先端をテーパー化した合成樹脂製筆毛よりなる筆穂(特許文献3参照)やポリエステル繊維を加水分解により得た4種類のテーパー長さの違う繊維を混毛してなる筆穂(特許文献4参照)や、先端をテーパー加工した、径の異なるストレートな筆毛とクリンプを有する筆毛と断面が異形な筆毛とを少なくとも混毛してなる筆穂(特許文献5参照)などが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特公昭49−6159号公報(実施例1〜実施例3)。
【特許文献2】特公昭60−30556号公報(第5欄第35行目〜第8欄第4行目)。
【特許文献3】実開昭62−114781号公報(第2図)。
【特許文献4】実開昭56−83073号公報(実用新案登録請求の範囲)。
【特許文献5】実開平6−24976号公報(段落0015)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記、クリンプの波長が各々相違する多数の合成樹脂製筆毛よりなるものの場合、空間率が大きくなり易く、穂先のまとまりが劣り、筆記時のタッチが悪いといった問題を持たざるを得ず、また、4種のテーパー長さの違うポリエステル繊維よりなる筆穂は、全てストレートであって先端をテーパー化した繊維を用いるため穂先のまとまりは良いが、筆毛が密集過ぎて、塗布液が穂先内を流動しにくく、低粘度塗布液では流動するが、高粘度塗布液は、筆記時に筆跡がカスレてしまう問題を有していた。更に、先端をテーパー加工した径の異なる2種類のストレートな筆毛とクリンプを有する筆毛と断面が異形な筆毛を少なくとも混毛してなる筆穂は、穂先のまとまりと吐出性は良いが先端の腰が弱いと言う問題が残されていた。
因みに、本発明における塗布液は、その粘度が25℃において6〜200mPa・sの範囲であるもの、即ち、比較的高粘度の、例えば、アイライナーなどの塗布液に使用するのが好ましい。
【0008】
又、顔料粒子の大きさは、1μm以上のものを示す。尚、平均粒子径としては1.0〜10.0μmが好ましく、特に、パール顔料場合には、その平均粒子径としては70〜100μmのものが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みなしたものであって、高粘度塗布液又は、顔料粒子の大きい塗布液を塗布する筆穂であって、塗布時の筆穂のまとまりと腰の安定性が良好で、塗布液の吐出性が良く、筆穂を押し付けて曲線描きしたときに、細い曲線が安定して描ける筆穂を提供することを目的とし、その要旨を「先端をテーパー化した合成樹脂製の筆毛よりなる筆穂であって、この筆穂が、ストレートな断面が円形な2種類の筆毛とストレートな断面が異形な筆毛とを少なくとも混毛してなる筆穂において、このストレートな筆毛の繊維の直径を0.10〜0.20mmにすると共に、断面が異形な筆毛の直径を0.10〜0.20mmにしたことを特徴とする筆穂。」とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、先端をテーパー化した合成樹脂製の筆毛よりなる筆穂であって、この筆穂が、ストレートな断面が円形な2種類の筆毛とストレートな断面が異形な筆毛とを少なくとも混毛してなる筆穂において、このストレートな筆毛の繊維の直径を0.10〜0.20mmにすると共に、断面が異形な筆毛の直径を0.10〜0.20mmにしたので、塗布時の筆穂のまとまりと腰安定性が良好で、又液含みが良く、筆穂を押し付けて曲線描きした際、細線が安定して描ける筆穂が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について説明する。図1において、参照符号1は化粧用筆穂であり、この筆穂1は、前軸5に挿入固定され、この前軸5は後軸6の前端に挿入固定され、筆を形成している。
筆穂1は、先端をテーパー化したストレートな断面が異形な筆毛2、3と、先端をテーパー化した断面が異形な筆毛4とを用いて長手方向に集束し、後端を熱溶着や接着剤による接着などの方法により固着して形成したものである。
【0012】
筆毛に使用している合成樹脂製の材質としては、ポリアミド(6,6−ナイロン、6−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンなど)ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合物などを用いることができるが、各筆毛の材質は同一であっても異なっていても良い。
先端をテーパー化したストレートな筆毛2、3は、市販品としてはタイネックスブラッシュフィラメント:Roundタイプ0900シリーズ(材質:ナイロン、デュポン社製)と、PBTブリッスル520T−0.15W−90C(材質:ポリエステル、東レ社製)などが挙げられる。
先端をテーパー化した断面が異形な筆毛4は、市販品としてはタイネックス フイラメント:Quadrilobal タイプ0920シリーズ(材質:ナイロン、断面形状:クローバー状、デュポン社製)タイネックスブラッシュフィラメント:タイプ0960シリーズ(材質:ナイロン:断面形状シーホース型、デュポン社製)、タイネックスブラッシュフィラメント:Hollowタイプ0950シリーズ(材質:ナイロン、断面形状:ドーナツ状、デュポン社製)、カシミロンTABRシリーズ(材質:ポリアクリロニトリル、断面形状:略三角形、旭化成工業(株)製)などが例示できる。
尚、断面形状異形とは、筆毛の軸方向に垂直な面の形状が円形以外のものであり、上記市販品として例示したように、略十字状(図3参照)、略三角形状(図4参照)、略Y字状、クローバー状や半円状、矩形状のものがあり、特に断面が略十字状といった放射状形状のものの方が半円形、矩形状のものより顕著な効果を示すので好ましい。
【0013】
筆毛に使用するストレートな断面が円形な筆毛2、3とストレートな断面が異形な筆毛4は、同一の筆穂内で混毛されており、この混毛した筆毛より1つの筆穂を構成している。
この筆穂1は、ストレートな断面が円形な筆毛2、3とストレートな断面が異形な筆毛4を少なくとも混毛し、このすべての筆毛の繊維の直径が0.10〜0.20mmのものを用いるのが好ましい。尚、ここで言う筆毛の径とはテーパー加工されていない部分の径を言うものである。以下、具体的に混合割合などを説明する。
【0014】
ストレートな断面が円形な筆毛を使用する目的は、筆毛2は、塗布時の腰安定の目的で使用するもので、筆毛3は、穂先のまとまりと細線を描くために使用するものである。その直径としては、筆毛2は、0.10〜0.20mm程度が好ましく、筆毛3は、0.10〜0.20mm程度が好ましい。その理由は、筆毛2の直径が0.10mmに満たないと筆穂先端の腰が弱く筆記時に腰砕けすることがあり、直径が0.20mmを超えると腰が強すぎて、筆記時に筆穂側面から筆毛がはみ出すからである。又、筆毛3の直径が0.10mmに満たないと筆穂の復元性が悪くなり、直径が0.20mmを超えると穂先のまとまりが悪くなり細線が描けないからである。又、筆毛2、3は、繊維径が同一の場合もしくは、同一でない場合であっても弾性、或いは、材質、硬度の異なる筆毛を使用することができる。
又、筆穂1に占める使用割合としては、ストレートな筆毛2は、10〜30重量%が好ましく、又、ストレートな筆毛3は、20〜50重量%が好ましい。その理由は、ストレートな筆毛2が10重量%に満たないと腰が安定しにくく、腰砕けすることがあり、ストレートな筆毛2が30重量%を超えると塗布液の保持性が悪くなったり、筆記時に筆穂側面から筆毛がはみ出すからである。又、ストレートな筆毛3が20重量%に満たないと筆穂のまとまりを悪くすることがあり、ストレートな筆毛3が50重量%を超えると塗布液の保持性が低下するからである。
尚、ストレートな筆毛は、直径が0.10〜0.20mmの範囲であれば、何種類使用しても良い。
【0015】
断面が異形の筆毛4は、塗布液の吐出性向上の目的のために使用するものである。その直径として筆毛4は、0.10〜0.20mm程度が好ましい。その理由は、直径が0.10mmに満たないと空間率が小さくなり吐出性が低下し、直径が0.20mmを超えると空間率が大きくなりすぎ筆穂のまとまりが悪くなるからである。
又、筆穂1に占める割合としては、20〜70重量%程度が好ましい。その理由は、20重量%に満たないと空間率が小さくなりすぎて、塗布液の吐出を悪くすることがあり、70重量%を超えると空間率が大きくなりすぎ筆穂がバラケたり割れたりすることがあるからである。
【0016】
発明の筆穂を製造するに当たっては、上記3種類の筆毛を少なくとも混毛し、後端を溶着、接着又は、後部を糸などで縛って筆毛の脱落を防止して筆穂となす訳であるが、混毛された筆穂は、ストレートな断面が円形な筆毛2、3とストレートな断面が異形な筆毛4とがお互いに均一に配列されていることが好ましい。
【0017】
以下、実施例を説明する。
図1は、本発明の化粧用筆穂の使用例である筆を示すものである。参照符号1は、アイライナーの筆穂であり、後述する筆毛2、3、4、を混毛し、その後部を溶着したものである。その筆穂1は、前軸5に挿入固定され、この前軸5は後軸6の先端に挿入固定され、筆を形成している。
筆毛は、先端をテーパー化したストレートな断面が円形な筆毛2、3と、先端をテーパー化したストレートな断面が異形な筆毛4を用いるが、他の条件を表1に示す。
【0018】
【表1】



【0019】
実施例1〜13、比較例1〜14
表2に実施例1〜13、並びに、比較例1〜14の筆穂の筆毛の配合を示す。
【0020】
【表2】



【0021】
上記実施例1〜13び比較例1〜6のアイライナー筆穂を用いて図1のように筆を形成し、化粧料の塗布試験をおこなった(表3参照)。
塗布試験(アンケート調査)
方法:任意に抽出した女性にアイライナーの使用性についてアンケート調査を実施した。
【0022】
【表3】



【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本考案の一実施例の穂先を装着した筆の正面図である。
【図2】筆穂の拡大模式図である。
【図3】断面が異形な筆穂の断面図である。
【図4】異形な筆穂の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 筆穂
2 先端をテーパー化したストレートな断面が円形な筆毛
3 先端をテーパー化したストレートな断面が円形な筆毛
4 先端をテーパー化したストレートな断面が異形な筆毛
5 前軸
6 後軸

【出願人】 【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−55742(P2008−55742A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234785(P2006−234785)