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【発明の名称】 平版印刷版用の保護・包装材及び平版印刷版の包装方法
【発明者】 【氏名】案浦 泰広

【氏名】光本 知由

【要約】 【課題】平版印刷版の地汚れを防止することのできる平版印刷版用の保護・包装材及び平版印刷版の包装方法を提供する。

【解決手段】平版印刷版10を保護及び/又は包装するための保護・包装材であって、平版印刷版10の感光層10Pに接触した状態で使用される平版印刷版用の合紙14、保護用厚紙22、包装紙16に含まれる塩素濃度が1.5重量%以下であるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平版印刷版を保護及び/又は包装するための保護・包装材であって、前記平版印刷版の感光層に接触した状態で使用される平版印刷版用の保護・包装材において、
前記保護・包装材に含まれる塩素濃度が1.5重量%以下であることを特徴とする平版印刷版用の保護・包装材。
【請求項2】
前記保護・包装材に含まれる塩素濃度が0.47重量%以下であることを特徴とする請求項1の平版印刷版用の保護・包装材。
【請求項3】
前記保護・包装材は、前記平版印刷版を積層する際に、平版印刷版同士の間に挟み込む合紙であることを特徴とする請求項1又は2の平版印刷版用の保護・包装材。
【請求項4】
前記保護・包装材は、前記平版印刷版又は平版印刷版の積層束を包装する包装紙であることを特徴とする請求項1又は2の平版印刷版用の保護・包装材。
【請求項5】
前記保護・包装材は、前記平版印刷版を包装する際に、平版印刷版又は平版印刷版の積層束の上面と下面とに当てる保護用厚紙であることを特徴とする請求項1又は2の平版印刷版用の保護・包装材。
【請求項6】
前記平版印刷版は、機上現像用の感光層を備えたものであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1の平版印刷版用の保護・包装材。
【請求項7】
平版印刷版を包装する包装方法において、
塩素濃度が1.5重量%以下の包装材を使用して包装する包装工程を含むことを特徴とする平版印刷版の包装方法。
【請求項8】
前記包装材で包装する前段において、
前記平版印刷版を複数枚積層して積層束とすると共に、積層する平版印刷版同士の間に、塩素濃度が1.5重量%以下の合紙を挟み込む合紙挟み込み工程と、
前記積層束の上面及び/又は下面に、塩素濃度が1.5重量%以下の保護用厚紙を当てる保護用厚紙配設工程と、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする請求項7の平版印刷版の包装方法。
【請求項9】
請求項1又は2の保護・包装材で保護及び/又は包装されて成ることを特徴とする平版印刷版又はその積層体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、平版印刷版用の保護・包装材及び平版印刷版の包装方法に係り、特に保護・包装材に起因する平版印刷版の地汚れの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とから構成される。平版印刷は、水と油性インクが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインク受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インク非受容部)として、平版印刷版の表面にインクの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインクを着肉させた後、紙等の被印刷体にインクを転写して印刷する方法である。
【0003】
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液等によって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を不要化し又は簡易化することが課題の一つとして挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっているので、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
【0004】
一方、近年、画像情報をコンピュータによって電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。即ち、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。
【0005】
このようなコンピュータ・トゥ・プレートの平版印刷版としては、例えば、親水性結合剤中に疎水性熱可塑性重合体粒子を分散させた像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この平版印刷版原版は、赤外線レーザーにより露光して、疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により融着合体させて画像を形成させた後、印刷機のシリンダー上に取り付け、湿し水及び/又はインクを供給することによって、機上現像することが可能である(以下、「機上現像用の平版印刷版」という)。
【0006】
これら従来の平版印刷版及び機上現像用の平版印刷版の帯状原反は、加工工程において製品サイズに裁断された後、出荷のために包装される。
【0007】
平版印刷版の包装は、数枚から数十枚積み重ねて1単位の積層束とし、この積層束を包装する方法が一般に行われている。この場合、積み重ねられた平版印刷版が相互に摩擦して感光層を損傷することがある。また、平版印刷版の原反を裁断機で製品寸法に裁断する場合、金属を支持体とした平版印刷版のみ(即ち、後記する合紙を使用しない場合)では、刃に金属が付着し、平版印刷版の裁断面が鏡面状態にならず、凹凸なギザギザ状態になったりする。
【0008】
そこで、裁断刃の摩擦損傷や裁断する際の裁断損傷から感光層を保護すると共に、裁断刃自体の損傷を抑制して裁断回数を伸ばすために、積み重ねられた平版印刷版の間に合紙と呼ばれる薄紙のシートを挟み込んでいる。この合紙には、感光層の保護及び裁断性の向上はもちろんのこと、セッター等の画像形成装置に平版印刷版を供給する際に、容易に剥離可能な剥離性能が要求される。
【0009】
従来、上記目的を達成するための合紙としては、紙にワックスを含有させたもの(特許文献2)、紙に脂肪酸又はその塩を含有させたもの(特許文献3)、ポリオレフィン系パルプ及びアルカリ金属のハロゲン化物を含有したもの(特許文献4)等がある。
【0010】
また、平版印刷版の包装過程では、上記した合紙のみならず、保護用厚紙(通称、当てボールという)や包装紙等が使用される。即ち、平版印刷版を数枚から数十枚積み重ねると共に間に合紙を挟み込んだ積層束の上面と下面とに保護用厚紙を配置して、この状態の積層束を包装紙によって包装する。
【特許文献1】特許第2938397号公報
【特許文献2】特公昭61−19025号公報
【特許文献3】特開昭55−118041号公報
【特許文献4】特開昭57−99647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、平版印刷版を保護及び/又は包装する従来の保護・包装材で包装した平版印刷版においては、非画像部のインクによる汚れである「地汚れ」が発生するという問題がみられ、特に、機上現像処理用の感光層を有する平版印刷版において地汚れの発生が顕著に見られた。
【0012】
このような事実を踏まえて、本発明者は地汚れの原因を鋭意究明したところ、平版印刷版の感光層に接触した状態で使用される保護材(例えば、合紙、保護用厚紙等)や包装材に原因の主たる一因があることをつきとめた。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、平版印刷版の地汚れを防止することのできる平版印刷版用の保護・包装材及び平版印刷版の包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、平版印刷版を保護及び/又は包装するための保護・包装材であって、前記平版印刷版の感光層に接触した状態で使用される平版印刷版用の保護・包装材において、前記保護・包装材に含まれる塩素濃度が1.5重量%以下であることを特徴とする平版印刷版用の保護・包装材を提供する。
【0015】
本発明者は、保護材や包装材(以後、「保護・包装材」という)に起因する地汚れの原因が、保護・包装材に含まれる塩素にあることをつきとめると共に、塩素濃度が1.5重量%を超えると、地汚れが発現するとの知見を得た。
【0016】
請求項1によれば、塩素濃度が1.5重量%以下の保護・包装材を使用して、平版印刷版を保護あるいは包装するようにしたので、保護・包装材に起因する地汚れを防止することができる。尚、保護材及び包装材としては、一般的に、紙あるいは紙基材にプラスチィックコーティングされたものが使用されるが、本発明はこれ以外の材質の保護材及び包装材も含むものとする。
【0017】
請求項2は請求項1において、前記保護・包装材に含まれる塩素濃度が0.47重量%以下であることを特徴とする。
【0018】
保護・包装材の塩素濃度が0.47重量%以下であれば、地汚れを更に確実に防止できる。
【0019】
請求項3は請求項1又は2において、前記保護・包装材は、前記平版印刷版を積層する際に、平版印刷版同士の間に挟み込む合紙であることを特徴とする。
【0020】
合紙は、平版印刷版を積層する際に、平版印刷版同士の摩擦による感光層の損傷を防止するもので、感光層に接触する面積が大きく、合紙の塩素濃度を1.5重量%以下にすることは、地汚れ防止にとって特に好ましいからである。
【0021】
請求項4は請求項1又は2において、前記保護・包装材は、前記平版印刷版又は平版印刷版の積層束を包装する包装紙であることを特徴とする。
【0022】
包装材は、平版印刷版又は積層束を包装する際に、感光層に接触する可能性があるので、塩素濃度が1.5重量%以下とすることが好ましいからである。特に、一枚の平版印刷版を包装する場合には、合紙を使用しないので、包装紙が平版印刷版に直接接触することになる。
【0023】
請求項5は請求項1又は2において、前記保護・包装材は、前記平版印刷版を包装する際に、平版印刷版又は平版印刷版の積層束の上面と下面とに当てる保護用厚紙であることを特徴とする。
【0024】
積層束の上面と下面との何れにおいて感光層が露出しており、保護用厚紙が感光層に直接接触することになるため、保護用厚紙の塩素濃度を1.5重量%以下とすることが好ましいからである。
【0025】
請求項6は請求項1〜5の何れか1において、前記平版印刷版は、機上現像用の感光層を備えたものであることを特徴とする。
【0026】
上述したように、平版印刷版の地汚れは、特に機上現像用の感光層を備えた平版印刷版に発現し易く、本発明の保護・包装材が特に有効だからである。機上現像用の感光層を備えた平版印刷版に発現し易い理由としては、感光層の成分として重合開始剤が含まれており、この重合開示剤が保護・包装材に含有される塩素により分解されることが考えられる。
【0027】
本発明の請求項7は、前記目的を達成するために、平版印刷版を包装する包装方法において、塩素濃度が1.5重量%以下の包装材を使用して包装する包装工程を含むことを特徴とする平版印刷版の包装方法を提供する。
【0028】
請求項7によれば、平版印刷版を、塩素濃度が1.5重量%以下の包装材を使用して包装する包装工程を有するので、平版印刷版の地汚れを防止できる。
【0029】
請求項8は請求項7において、前記包装材で包装する前段において、前記平版印刷版を複数枚積層して積層束とすると共に、積層する平版印刷版同士の間に、塩素濃度が1.5重量%以下の合紙を挟み込む合紙挟み込み工程と、前記積層束の上面及び/又は下面に、塩素濃度が1.5重量%以下の保護用厚紙を当てる保護用厚紙配設工程と、の少なくとも1つの工程を行うことを特徴とする。
【0030】
平版印刷版を包装する過程では、平版印刷版を積層した積層束を一単位として包装する場合が多く、その場合には、平版印刷版同士の間に合紙を挟み込む工程や、積層束の上面及び/又は下面に保護用厚紙を配設する工程が行われることが多い。その場合にも、合紙や保護用厚紙の塩素濃度が1.5重量%以下であることが好ましいからである。
【0031】
請求項9は、請求項1又は2の保護・包装材で保護及び/又は包装されて成ることを特徴とする平版印刷版又はその積層体を提供する。
【0032】
これにより、平版印刷版又はその積層体の保護・包装材に起因する地汚れを防止できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の平版印刷版の保護・包装材及び平版印刷版の包装方法によれば、保護・包装材に起因する平版印刷版の地汚れを防止することができる。特に、本発明は、機上現像用の感光層を有する平版印刷版の地汚れ防止に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に従って、本発明の平版印刷版用の保護・包装材及び平版印刷版の包装方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0035】
先ず、地汚れが発現し易い、機上現像用の感光層を有する平版印刷版について説明する。
【0036】
(機上現像用の平版印刷版)
機上現像とは、平版印刷版の不要部分の除去を通常の印刷工程の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上で非画像部を除去し、平版印刷版を得る製版方法である。このような平版印刷版原版として、例えば、親水性結合剤中に疎水性熱可塑性重合体粒子を分散させた像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版が知られている。
【0037】
しかし、このように重合体微粒子の単なる熱融着による合体で画像を形成させる方法は、良好な機上現像性を示すものの、画像強度が極めて弱く、耐刷性が不十分であった。このような機上現像可能な平版印刷版原版の耐刷性を改良するものとして、親水性支持体上に、熱により反応する官能基を有する化合物を含有しているマイクロカプセルを含む感熱層を設け、赤外線吸収剤を感熱層かその隣接する層に含有していることを特徴とする平版印刷版用原版が提案されている(例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報)。
【0038】
また、耐刷性を改良する別の技術として、支持体(通常はアルミニウム板)上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する感光層を設けた機上現像可能な平版印刷版原版が知られている(例えば、特開2002−287334号公報)。更に、特開2000−39711号公報には、アルミニウム支持体上に、(a)水溶性あるいは水に分散可能なポリマー、(b)光重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーまたはオリゴマー、および(c)紫外域に吸収極大を有する光重合開始系を含有する感光性組成物を用い、露光後、機上現像可能な平版印刷版原版が記載されている。
【0039】
上記のような重合反応などの反応を用いる方法は、重合体微粒子の熱融着により形成される画像部に比べ、画像部の化学結合密度が高いため画像強度を向上させることが可能であるが、機上現像性と、細線再現性や耐刷性との両立という点では未だ不十分であった。
【0040】
一方、機上現像用の平版印刷版では、画像記録層の上に、画像記録層における傷等の発生防止、酸素遮断、高照度レーザー露光時のアブレーション防止のためにオーバーコート層(保護層)が通常設けられている。ここで、オーバーコート層には、これまでポリビニルアルコールのような結晶性に優れる水溶性高分子化合物が主成分として用いられているが、機上現像性、細線再現性、耐刷性および機上現像ランニング性(連続して機上現像・印刷を繰り返した時の、機上現像除去物の湿し水への混入や圧胴への堆積などの適性)の更なる改良が望まれている。
【0041】
これに対して、特開平11−38633号公報では、オーバーコート層に無機質の層状化合物を含有させることで感材の高感度化と保存安定性を図っているが、この特許に開示されているのはアルカリ現像によるネガ型画像記録材料であり、機上現像型版材とは異なるものである。
【0042】
このような背景から、本出願人は、機上現像性、細線再現性、耐刷性および機上現像ランニング性に優れた平版印刷版として、次の構成を備えた機上現像用の平版印刷版を提案している。
【0043】
(1)支持体上に、(a)活性光線吸収剤と、(b)重合開始剤と、(c)重合性化合物とを含有し、印刷インク、湿し水又はこれらの両方により除去可能な画像記録層、及び、無機質の層状化合物を含有するオーバーコート層をこの順に有する平版印刷版。
【0044】
(2)支持体上に、重合性基を有する化合物を含有する下塗層、(a)活性光線吸収剤と、(b)重合開始剤と、(c)重合性化合物とを含有し、印刷インク、湿し水又はこれらの両方により除去可能な画像記録層、及び、無機質の層状化合物を含有するオーバーコート層をこの順に有する平版印刷版。
【0045】
(3)前記(a)活性光線吸収剤が赤外線吸収剤である平版印刷版。
【0046】
(4)前記オーバーコート層に含有される無機質の層状化合物が膨潤性無機層状化合物である平版印刷版。
【0047】
上記の(1)〜(4)の平版印刷版に使用する重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オキシムエーテル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
【0048】
重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。より好ましくは、極大吸収波長が360nm以下であり、最も好ましくは300nm以下である。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の白灯安全性が向上する。
【0049】
これらの重合開始剤は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好
ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
【0050】
上記の有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林など、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の公報、M.P.Hutt"Jurnal of Heterocyclic Chemistry"1(No3),(1970)」などに記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物およびS−トリアジン化合物が好適である。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(p−ヒドロキシベンゾイルアミノ)フェニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0051】
上記のカルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4'−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル誘導体などを挙げることができる。
【0052】
上記のアゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物などを使用することができる。
【0053】
上記の有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)などが挙げられる。
【0054】
上記のメタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体などが挙げられる。
【0055】
上記のヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の明細書などに記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。
【0056】
上記の有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号の公報、特許第2764769号明細書、特開2002−116539号公報、および、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"などに記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報などの有機ホウ素遷移金属配位錯体などが挙げられる。
【0057】
上記のジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2003−328465号公報など記載される化合物が挙げられる。
【0058】
上記のオキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、具体的には、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
【0059】
【化1】



上記のオキシムエーテル化合物としては、特開平8−202035号、特開平10−237118号などの公報の化合物が挙げられる。具体的には、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
【0060】
【化2】


上記のオニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報などに記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同第390,214号、同第233,567号、同第297,443号、同第297,442号、米国特許第4,933,377号、同第161,811号、同第410,201号、同第339,049号、同第4,760,013号、同第4,734,444号、同第2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同第3,604,580号、同第3,604,581号の明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩などのオニウム塩などが挙げられる。
【0061】
特に、反応性、安定性の面から好適なものとして、上記オキシムエステル化合物またはオニウム塩(ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩もしくはスルホニウム塩)が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。 好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
【0062】
【化3】


式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11-は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
【0063】
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21-は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
【0064】
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31-は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
【0065】
以下に好適なオニウム塩化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0066】
【化4】




【0067】
【化5】



【0068】
【化6】





【0069】
【化7】






【0070】
【化8】


【0071】
【化9】



上記の各成分[(a)活性光線吸収剤、(b)重合開始剤、(c)重合性化合物]を有する機上現像用の感光層を備えた平版印刷版を、従来の合紙、保護用厚紙、包装材等の保護・包装材を使用して、保護あるいは包装したところ、平版印刷版に地汚れを発現した。一方、保護・包装材の塩素濃度を1.5重量%以下とした本発明の保護・包装材で同様に平版印刷版を保護あるいは包装しても地汚れは発現しなかった。
【0072】
このことから鑑みて、保護・包装材に含有される塩素が感光層の成分である重合開始材を分解し、これが地汚れの要因になっていることが考えられる。
【0073】
次に、本発明の保護・包装材を使用して平版印刷版の積層束を包装する包装方法の一例を説明する。
【0074】
(平版印刷版の包装方法)
平版印刷版10は、長方形の板状に形成された薄いアルミニウム製の支持体上に、感光層を塗布して形成されている。この感光層に、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされ、インクが塗布されることで、紙面に文字、画像等が印刷される。ここでは、この感光層が形成された面を画像形成面10Pといい、感光層が形成されていない面を非画像形成面10Qと言うことにする。平版印刷版10の種類によっては、両面が画像形成面10Pとされた、いわゆる両面品もあるが、図1では、片面のみが画像形成面10Pとされた、いわゆる片面品を図示している。
【0075】
図1からも分かるように、感光層を保護する合紙14と、平版印刷版10と、を交互に厚み方向に重ね合わせ、更に、この上面及び下面に保護用厚紙22を配置して、平版印刷版10の積層束12が構成されている。ここで使用される合紙14及び保護用厚紙22は、それぞれ塩素濃度が1.5重量%以下、好ましくは0.47重量%以下である本発明の合紙14及び保護用厚紙22が使用される。
【0076】
1つの積層束12を構成する平版印刷版10の数は特に限定されないが、運搬や保管の効率化の観点等から、例えば10枚〜100枚とすることができる。また、このように10枚〜100枚の平版印刷版10によって積層束12を構成した場合には、平版印刷版10と保護用厚紙22とがずれないように、粘着テープ等の固定手段でこれらを固定することが好ましい。また、更に多くの平版印刷版10によって積層束12を構成し、より効率的に(少ない荷扱いの回数で)運搬や保管をできるようにすることも可能である。例えば、平版印刷版10の枚数を最大で6500枚程度とし、平版印刷版10の20〜100枚ごとに保護用厚紙22を入れるようにしてもよい。更に、平版印刷版10の枚数を最大で6500枚程度とし、その上下にのみ保護用厚紙22を配置してもよい。加えて、平版印刷版10の種類によっては、保護用厚紙22を省略してもよい。
【0077】
このようにして構成された積層束12を、図2〜図4に示すように、包装紙16によって包装する。包装紙16は、一例として、所定の大きさとされた1枚の長方形状の未晒クラフト紙によって構成されている。ここで使用される包装紙16は、塩素濃度が1.5重量%以下、好ましくは0.47重量%以下である本発明の包装紙16が使用される。
【0078】
包装紙16の長辺16Lの長さは、図2に示すように、積層束12の長辺12Lと包装紙16の短辺16Sとが平行になるように包装紙16の略中央に積層束12を置き、包装紙16を積層束12の長辺12Lに沿って両側から折り曲げた状態で、包装紙16の短辺16Sの近傍が部分的に重なり合うように(図3参照)、所定の長さとされている。
【0079】
また、包装紙16の短辺16Sの長さは、この短辺16Sの近傍が部分的に重なり合った状態から、更に包装紙16の長辺16L側を折りこんだとき、積層束12の上面と平面視して部分的に重なるように(図3参照)、所定の長さとされている。このようにして、包装紙16によって積層束12を内装することで、図4に示すように、積層束12が全面に渡って包装紙16で覆われることとなる。
【0080】
最後に、粘着テープ24によって包装紙16を所定位置で張り付け、包装紙16が不用意に広がったり脱落したりしないように固定する。
【0081】
尚、図4に示したものは、包装紙16によって積層束12を内装する構造の一例であり、これに限定されないことはもちろんである。要するに、積層束12を包装紙16で覆うことで(場合によっては、後述するように外装材18との組み合わせによって)、平版印刷版10を確実に遮光及び防湿できればよい。
【0082】
平版印刷版10の種類によっては、包装紙16で包装した積層束12をさらに、外装材によって外装することもできる。図5には、このような外装材の一例として、段ボール製の包装箱26で外装した図が示されている。
【0083】
この包装箱26は、図6に示す展開図から分かるように、底面板28の短辺側及び上面板30の短辺側に、底面積層板32及び上面積層板34が隣接して設けられている。底面積層板32及び上面積層板34には複数の折り曲げ線36が形成されており、この折り曲げ線36で折り曲げることで、図5に示すように、渦巻き状の積層部38、40が構成される。これにより、積層束12が包装紙16で包装された包装体が包装箱26によって保護され、例えば外部から大きな力が作用しても、平版印刷版10が変形したり破損したりしないようになる。
【0084】
尚、平版印刷版10の種類や運搬方法等に応じ、積層束12をさらにパレットや、特に用意された積載部材(いずれも後述する)等に積載したりしてもよい。
【0085】
ここで、本発明に係る各種の合紙14、保護用厚紙22、包装紙16、包装箱26(さらには、パレットやその他の積載部材をさらに使用している場合には、これらのパレットや積載部材等も含む)は、平版印刷版10の種類や形状、特性等に応じて、それぞれ、所定の形状、構造、物性等が決められており、これらは単独で、あるいは他の平版印刷版包装材料と組み合わせて使用し平版印刷版10を包装することにより、平版印刷版10の特性を一定範囲内に維持し、品質を確実に保持できるようにされている。
【0086】
平版印刷版10は、積層束12を構成した状態で自動給版機能を持った自動製版機やいわゆるプレートセッター等にセットされ、製版工程への供給(給版)されることがある。この場合には、合紙14や保護用厚紙22を平版印刷版10から剥離して給版する必要がある。従って、合紙14の剥離と平版印刷版10の供給とを自動で行う自動給版機能を持った自動製版機やプレートセッター等を用いると、製版作業の効率化を図ることができる。
【0087】
ところが、合紙14や保護用厚紙22が平版印刷版10に強く密着していると、合紙14や保護用厚紙22が平版印刷版から剥離されることなく供給されてしまうため、自動給版動作が停止する等の不都合が生じることがある。
【0088】
例えば、平版印刷版10の画像形成面10Pに合紙14が接触した状態で合紙14を吸盤等で吸着して持ち上げると、合紙14と平版印刷版10とが一体となったまま持ち上げられて供給されてしまうことがある。また、平版印刷版10の非画像形成面10Qを吸着して持ち上げた場合にも、画像形成面10Pに合紙14が密着した状態のまま平版印刷版10が供給されてしまうことがある。さらに、積層束12から平版印刷版10の画像形成面10P又は非画像形成面10Q(合紙14は接触していない)を吸着して持ち上げると、その下側に合紙14と平版印刷版10とが密着した状態で持ち上げられて供給されてしまうことがある。
【0089】
また、合紙14の本来的機能として、平版印刷版10の感光層(画像形成面)を確実に保護できることが求められ、特に、合紙14と画像形成面とが擦れあったときにも、いわゆる膜剥れ(感光層が剥れてしまう現象)を確実に防止できる必要がある。
【0090】
このような条件を満たすために、合紙14は、平版印刷版10の感光層に接触する接触部のベック平滑度(JIS P8119に定義される)が3秒以上900秒以下、より好ましくは8秒以上560秒以下である。
【0091】
合紙14としては、例えば、木材パルプを100%使用した紙や、木材パルプを100%使用せず合成パルプを使用した紙、及びこれらの紙の表面に低密度ポリエチレン層を設けた紙等を使用できる。特に、合成パルプを使用しない紙では、材料コストが低くなるので、低コストで合紙14を製造することができる。より具体的には、漂白クラフトパルプから抄造した坪量30〜60g/m2 、密度0.7〜0.85g/cm3 、水分4.0〜8.0%、PH4〜6の合紙が挙げられるが、もちろんこれに限定されない。
【0092】
また、保護用厚紙22も平版印刷版10の感光層に接触する接触部のベック平滑度(JIS P8119に定義される)が3秒以上900秒以下、より好ましくは8秒以上560秒以下である。
【0093】
保護用厚紙22の材料としては、例えば、木材パルプ、麻等の天然繊維、ポリオレフィン等の線状高分子から得られる合成パルプ、再生セルロース等を単独又は混合して使用することができる。特に、木材パルプや天然繊維繊等、低コストの材用を選択することで、保護用厚紙22を低コストで製造することができる。より具体的には、例えば、原料故紙を叩解し、4%の濃度に希釈した紙料にサイズ剤を厚紙重量の0.1%、紙力剤を厚紙重量の0.2%になるように加え、さらに硫酸アルミニウムをPHが5.0になるまで加えた紙料を用いて抄紙して得られた密度0.72g/cm3、坪量640g/m2の保護用厚紙22を挙げることができるが、もちろんこれに限定されない。
【0094】
また、包装紙16も、少なくとも平版印刷版10の画像形成面に接触する部分、即ち接触部のベック平滑度が上記した条件と満たすものが好ましい。
【0095】
包装紙16としては、この条件を満たしていれば、その他の条件には特に限定されないため、例えば、材料コストの低いものを選択することで、包装紙16を低コストで製造することができる。
【0096】
また、最近ではレーザーで描画する感光タイプ(以下、「レーザー露光タイプ」という)の平版印刷版10がある。このようなレーザー露光タイプの平版印刷版10において、前述の保護用厚紙22を使用して積層束12を構成する場合、感光層の特性によっては、保護用厚紙22に含まれた水分が感光層を変質させてしまうおそれがある。このため、必要に応じて防湿層が設けられた保護用厚紙22が使用されることがある。防湿層としては、一般的に使用されている保護用厚紙に、低密度ポリエチレン(LDPE)の層を張りつけた構造のものが使用されることが多い。従って、保護用厚紙22の表面に低密度ポリエチレン(LDPE)の層を張りつける場合には、低密度ポリエチレン(LDPE)の層に含有される塩素濃度が1.5重量%以下であることが必要である。
【実施例】
【0097】
上記の実施の形態で説明した支持体(アルミニウム板)上に、(a)活性光線吸収剤と、(b)重合開始剤と、(c)重合性化合物とを含有し、印刷インク、湿し水又はこれらの両方により除去可能な画像記録層、及び、無機質の層状化合物を含有するオーバーコート層をこの順に有する機上現像用の平版印刷版を使用して下記の試験を行った。
【0098】
図1のように積層束12の平版印刷版10同士の間に、表1に示す6種類の合紙14(A紙、B紙、C紙-1、C紙-2、D紙−1、D紙−2)を挟み込んで、合紙14が異なる6つの積層束サンプルを作成した。次に、この6つの積層束サンプル全体を塩素濃度2wt%以下の包装紙であるアルミクラフト紙でそれぞれ包装し、6つの包装体サンプル(図4参照)を作成した。この包装体サンプルを60℃の環境下で3日間放置した。その後、それぞれの包装体サンプルの平版印刷版10を用いて印刷を行い、合紙14や包装紙16の保護・包装材に起因する地汚れの有無を確認した。尚、本実施例では、保護用厚紙22は使用しなかった。
【0099】
【表1】


その結果、A紙、B紙、D紙−1、及びD紙−2の4種類の合紙14をそれぞれ挟み込み、塩素濃度2wt%以下の包装紙16で保護・包装した平版印刷版10は、地汚れが発生せず、平版印刷版10の品質として合格であった。塩素濃度が0.47重量%以下のA紙、B紙は、特に良い結果であった。
【0100】
これに対して、C紙-1、C紙-2は、地汚れが顕著に発現し、平版印刷版10の品質として不合格の評価であった。
【0101】
そして、合格したA紙、B紙、D紙−1、及びD紙−2の4種類の表1における元素濃度と、不合格のC紙-1、C紙-2の2種類の表1における元素濃度とにおいて、どの元素が地汚れに関係しているかを考察した。
【0102】
表1から分かるように、A紙、B紙、D紙−1、及びD紙−2と、C紙-1、C紙-2において、炭素(C)、ナトリウム(Na)、珪素(Si)、カルシウム(Ca)、その他の元素についての濃度は略同等と考えることができ、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、イオウ(S)、及び塩素(Cl)の濃度が異なる。
【0103】
そこで、濃度の異なる元素について見ると、マグネシウム(Mg)は、合格のA紙、D紙−1、及びD紙−2が多く、不合格のC紙-1、C紙-2が逆に少ないことからして、地汚れに悪影響を及ぼす元素ではないことが考察される。
【0104】
また、アルミニウム(Al)は、不合格のC紙-1、C紙-2に多いが、合格のD紙−2も同程度であることからして、地汚れに悪影響を及ぼす元素ではないことが考察される。
【0105】
また、イオウ(S)は、不合格のC紙-1、C紙-2に多いが、合格のD紙−1、及びD紙−2も同程度であることからして、地汚れに悪影響を及ぼす元素ではないことが考察される。
【0106】
最後の塩素(Cl)は、合格のA紙、B紙、D紙−1、及びD紙−2に少なく、不合格のC紙-1、C紙-2に多い。
【0107】
以上のことから、塩素のみが地汚れとの対応関係にあり、保護・包装材で平版印刷版10を保護・包装した際に、保護・包装材に含まれる塩素濃度が平版印刷版の地汚れに大きく影響していることが考察される。おそらく、保護・包装材に含まれる塩素濃度が1.5重%を超えると、平版印刷版の感光層に含まれる重合開始剤が塩素により分解され、これにより地汚れが発現することが推察される。
【0108】
本来、表1に示す各元素濃度について、1つの元素濃度を変化させ、残りの元素濃度を固定した保護・包装材を複数作成して、どの元素が地汚れと関係があるかを試験することが理想であるが、現実的にはできないので、上記のように消去法により、塩素濃度が地汚れに影響があることを考察した。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】平版印刷版の包装方法の第1の過程を説明する説明図
【図2】平版印刷版の包装方法の第2の過程を説明する説明図
【図3】平版印刷版の包装方法の第3の過程を説明する説明図
【図4】平版印刷版の包装方法の第4の過程を説明する説明図
【図5】第1〜第4の過程で包装した包装体を外装箱で包装する説明図
【図6】外装箱の展開図
【符号の説明】
【0110】
10…平版印刷版、12…積層束、14…合紙、16…包装紙、18…外装材、22…保護用厚紙、24…粘着テープ、26…包装箱
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年9月25日(2006.9.25)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三


【公開番号】 特開2008−80499(P2008−80499A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−259657(P2006−259657)