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【発明の名称】 印刷用ブランケット
【発明者】 【氏名】杉谷 信

【要約】 【課題】シリコーンゴム製の表面層を備える印刷用ブランケットであって、インキの受理性と転写性とが両立した印刷用ブランケットを提供すること。

【構成】基材1などからなる支持層と、支持層に支持される表面層2とを備える印刷用ブランケットであって、表面層2を、室温硬化型シリコーンゴムと、シリコーンゲルとを含有するゴム組成物の支持層に対する塗布により形成する。また、このゴム組成物におけるシリコーンゲルの含有量を、室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、5〜50重量部に設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層と、前記支持層に支持される表面層とを備える印刷用ブランケットであって、
前記表面層が、室温硬化型シリコーンゴムと、シリコーンゲルとを含有するゴム組成物の前記支持層に対する塗布により形成され、
前記シリコーンゲルの含有量が、前記室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、5〜50重量部であることを特徴とする、印刷用ブランケット。
【請求項2】
前記室温硬化型シリコーンゴムが、2液混合付加型の室温硬化型シリコーンゴムであり、前記シリコーンゲルが、2液混合付加型のシリコーンゲルであることを特徴とする、請求項1に記載の印刷用ブランケット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用ブランケット、詳しくは、シリコーンゴム製の表面層を備える印刷用ブランケットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフセット印刷は、例えば、エレクトロニクス分野などの様々な分野で用いられている。とりわけ、転写体が、シリコーンゴム製の表面層を備える印刷用ブランケット(以下、「シリコーンブランケット」という。)であるときは、表面層の表面張力が小さいことで、シリコーンブランケットから被印刷体などへのインキの転写性が高くなり、数十μmオーダーの微細なパターンであっても、極めて高い精度で印刷することができる。
【0003】
それゆえ、オフセット印刷は、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)の電極パターンや蛍光体パターンの形成、液晶ディスプレイ用カラーフィルタのカラーパターンの形成などの用途に好適である。
また、上記シリコーンブランケットは、通常、樹脂フィルムなどの基材を含む支持層と、上記支持層に支持されてインキを受理するための、シリコーンゴムからなる表面層と、を有している(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2003−308973号公報
【特許文献2】特開2002−337472号公報
【特許文献3】特開2002−337473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、シリコーンブランケットは、表面層の表面張力が小さいことから、例えば、印刷に使用されるインキの種類によっては、表面層でインキがはじかれて、インキの受理性が低下するという不具合がある。また、その結果、印刷により形成されたインキパターンに、ピンホール、かすれ、パターンの断線といった転写不良を生じるおそれがある。
一方、例えば、表面層の表面粗さを大きくして、表面張力を大きくすることにより、表面層によるインキのはじきを抑制できるものの、この場合、表面層の表面平滑性の低下に伴い、シリコーンブランケットから転写されるインキパターンの形状に乱れが生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、シリコーンゴム製の表面層を備える印刷用ブランケットであって、インキの受理性と転写性とが両立した印刷用ブランケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の印刷用ブランケットは、支持層と、前記支持層に担持される表面層とを備える印刷用ブランケットであって、前記表面層が、室温硬化型シリコーンゴムと、シリコーンゲルとを含有するゴム組成物の前記支持層に対する塗布により形成され、前記シリコーンゲルの含有量が、前記室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、5〜50重量部であることを特徴としている。
【0007】
本発明の印刷用ブランケットによれば、表面層を、室温硬化型シリコーンゴムと、この室温硬化型シリコーンゴムに対して所定の割合で配合されたシリコーンゲルと、を含有するゴム組成物から形成することで、表面層の表面粗さを大きくすることなく、表面層でのインキの受理性の低下を抑制し、ピンホール、かすれ、パターンの断線といった転写不良の発生を抑制できる。
【0008】
また、本発明の印刷用ブランケットでは、前記室温硬化型シリコーンゴムが、2液混合付加型の室温硬化型シリコーンゴムであり、前記シリコーンゲルが、2液混合付加型のシリコーンゲルであることが好適である。
この場合、シリコーンゴムとシリコーンゲルとの組合せが良好で、シリコーンゴムの硬化不良を抑制し、表面層の寸法精度や、シリコーンゲルを配合する際の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の印刷用ブランケットによれば、表面層の表面の平滑性を損なうことなく、表面層の表面張力を低下させることができ、インキの転写性を維持しつつ、インキの受理性を向上させ、インキの転写性と受理性との両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の印刷用ブランケットは、支持層と、この支持層に支持される表面層とを備えている。
上記印刷用ブランケットの支持層は、基材と、必要に応じて、圧縮性層とを有している。
基材としては、特に限定されず、印刷用ブランケットの基材として公知のものが挙げられる。具体的には、これに限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのプラスチックフィルムが挙げられる。
【0011】
圧縮性層は、支持層における任意の層である。この圧縮性層としては、特に限定されず、印刷用ブランケットの圧縮性層として公知のものが挙げられる。
また、圧縮性層を有する支持層は、これに限定されないが、例えば、一対の基材と、圧縮性層とを備え、この圧縮性層が、一対の基材間に挟み込まれていることが好ましい。
支持層の厚みは、表面層の厚みや印刷用ブランケット全体の厚みに合わせて、または、支持層に要求される機械的強度(例えば、引張強さなど。)に合わせて、適宜設定されることから、特に限定されないが、例えば、好ましくは、0.1〜1.2mmである。
【0012】
上記印刷用ブランケットの表面層は、印刷版からインキを受理し、受理したインキを、被印刷体などに転写するための層であって、室温硬化型シリコーンゴムと、シリコーンゲルとを含有するゴム組成物を、支持層に対して塗布することにより形成される。
室温硬化型シリコーンゴム(以下、「RTVシリコーンゴム」という。)は、その性状により、例えば、1液型、2液混合型などが挙げられる。表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムは、1液型、2液混合型などのいずれであってもよいが、なかでも、後述するシリコーンゲルを表面層に含有させる際の操作性(とりわけ、表面層中でのシリコーンゲルの分散の均一性)の観点から、2液混合型のRTVシリコーンゴムが好適である。
【0013】
また、RTVシリコーンゴムは、その硬化機構により、付加反応型(付加型)と縮合反応型(縮合型)とが挙げられ、上記縮合型には、さらに、副生物(例えば、ガスなど。)の種類により、オキシム型、アセトン型、アルコール型などが挙げられる。表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムは、付加型と縮合型のいずれであってもよいが、なかでも、付加型のRTVシリコーンゴムは、硬化時に副生物を生じないものであることから、表面層の膜厚の均一性、平坦性などの観点から好適である。
【0014】
表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムは、とりわけ、2液混合型で付加反応型(2液混合付加型)のRTVシリコーンゴムであることが好ましい。
また、RTVシリコーンゴムは、溶剤を含有する溶剤型と、溶剤を含有しない無溶剤型とが挙げられ、なかでも、表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムは、無溶剤型であることが好ましく、溶剤型の場合は、溶剤が揮発性であることが好ましい。
【0015】
また、RTVシリコーンゴムは、硬化前の形態として、液状、ゲル状、パテ状などの形態が挙げられる。表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムは、液状、ゲル状、パテ状などのいずれの形態であってもよいが、後述するシリコーンゲルを表面層に含有させる際の操作性(とりわけ、表面層中でのシリコーンゲルの分散の均一性)や、後述するように、RTVシリコーンゴムとシリコーンゲルとを含有するゴム組成物の上記支持層に対する塗布により表面層を形成する際の操作性(塗工性、加工性)の観点から、硬化前において液状のRTVシリコーンゴムが好適である。
【0016】
RTVシリコーンゴムの粘度(硬化前)は、特に限定されないが、例えば、23℃において、好ましくは、10〜200Pa・sであり、より好ましくは、20〜150Pa・sであり、さらに好ましくは、30〜100Pa・sである。RTVシリコーンゴムの粘度が上記範囲を下回ると、表面層の形成時に、RTVシリコーンゴムのタレが生じ易く、操作性(特に、表面層形成時の取扱い性)が低下するおそれがある。逆に、RTVシリコーンゴムの粘度が上記範囲を上回ると、操作性(特に、表面層形成時の塗工性、加工性)が低下するおそれがあり、また、表面層の平坦性を向上させるためのセルフレベリングの効果が得られなくなるおそれがある。
【0017】
また、RTVシリコーンゴムの可使時間は、例えば、印刷用ブランケットのサイズ、製造方法などに合わせて適宜選択され、それゆえ、特に限定されないが、表面層形成時の操作性、加工性などの観点から、好ましくは、30分以上であり、より好ましくは、60〜180分である。
RTVシリコーンゴムの具体例としては、これに限定されないが、例えば、下記に示すものが挙げられる。
・2液混合付加型RTVシリコーンゴム:品名「KE−1606」、「KE−1300T」、「KE−1310ST」、「KE−1314」、「KE−1600」、「KE−1603(A/B)」、「KE1222」、「KE1241」(以上、信越化学工業(株)製)、品名「TSE3453」、「TSE3453T」、「TSE3455T」、「TSE3456T」、「TSE3457T」、「TSE3450」、「TSE3466」、「TSE3402」、「YE5626」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・2液混合縮合型RTVシリコーンゴム:品名「KE−12」、「KE−14」、「KE−17」、「KE−24」、「KE−26」、「KE−108」、「KE−111」、「KE−113」、「KE−1414」、「KE−1415」、「KE−1416」、「KE−1417」(以上、信越化学工業(株)製)、「TSE3503」、「TSE3504」、「TSE350」、「TSE3502」、「TSE3508」、「TSE3562」、「XE12−246」、「XE12−A4001」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・1液縮合型RTVシリコーンゴム:品名「KE−44」(オキシム型)、「KE−40RTV」(オキシム型)、「KE−347」(アセトン型)、「KE−3490」(アセトン型)、「KE−3493」(アセトン型)、「KE−4896」(アルコール型)、「KE−4890」(アルコール型)(以上、信越化学工業(株)製)、「TSE397」、「TSE398」(アルコール型)、「TSE387」、「TSE388」(オキシム型)(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
【0018】
なお、本発明において、表面層の形成に際し、RTVシリコーンゴムに代えて、加熱硬化型シリコーンゴムを用いたときには、例えば、表面層形成時に、基材などの熱による伸縮、変形などの不具合が生じ、印刷用ブランケットの寸法精度や印刷品質などが低下する。また、RTVシリコーンゴムに代えて、紫外線・電子線照射型のシリコーンゴムを用いたときには、例えば、表面層形成時に、紫外線や電子線の照射装置が必要になり、印刷用ブランケットの製造工程の複雑化、製造コストの上昇などの不具合が生じる。
【0019】
シリコーンゲルは、シリコーンオイルを、一般のシリコーンエラストマーよりも極めて低い架橋密度となるように硬化させた硬化物である。
シリコーンゲルは、その硬化方法により、例えば、室温硬化型シリコーンゲル(以下、「RTVシリコーンゲル」という。)、熱硬化型シリコーンゲル、紫外線・電子線照射型シリコーンゲルなどが挙げられる。
【0020】
表面層の形成に用いられるシリコーンゲルは、これらのいずれであってもよいが、なかでも、表面層形成時の操作性(とりわけ、硬化処理の容易さ)の観点から、好ましくは、RTVシリコーンゲル、熱硬化型シリコーンゲルであり、より好ましくは、RTVシリコーンゲルである。
シリコーンゲルは、その性状により、例えば、1液型、2液混合型などが挙げられる。表面層の形成に用いられるシリコーンゲルは、1液型、2液混合型などのいずれであってもよいが、表面層の寸法精度を向上させるという観点より、2液混合型であることが好ましい。
【0021】
また、シリコーンゲルは、その硬化機構により、付加反応型(付加型)と縮合反応型(縮合型)とが想定されるが、現状で入手可能なシリコーンゲルは、付加型が主である。なお、付加型のシリコーンゲルは、硬化時に副生物を生じないものであることから、耐熱安定性、硬化時の低収縮性、分子設計の容易さ、信頼性などの観点や、表面層の膜厚の均一性、表面の平坦性などの観点から好適である。
【0022】
すなわち、表面層の形成に用いられるシリコーンゲルは、とりわけ、2液混合付加型のシリコーンゲルであることが好ましく、2液混合付加型のRTVシリコーンゲルであることがより好ましい。
本発明の印刷用ブランケットにおいて、表面層の形成に、付加型のRTVシリコーンゴムが用いられるときには、表面層の硬化阻害を防止するために、シリコーンゲルとして、好ましくは、2液混合付加型のシリコーンゲルが用いられ、より好ましくは、2液混合付加型のRTVシリコーンゲルが用いられる。
【0023】
すなわち、本発明において、表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムと、シリコーンゲルとの組み合わせは、とりわけ、2液混合付加型のRTVシリコーンゴムと、2液混合付加型のシリコーンゲルとの組み合わせが好ましく、2液混合付加型のRTVシリコーンゴムと、2液混合付加型のRTVシリコーンゲルとの組み合わせがより好ましい。
また、シリコーンゲルは、溶剤を含有する溶剤型と、溶剤を含有しない無溶剤型とが挙げられ、なかでも、表面層の形成に用いられるシリコーンゲルは、無溶剤型であることが好ましく、溶剤型の場合は、溶剤が揮発性であることが好ましい。
【0024】
また、シリコーンゲルの粘度(硬化前)は、特に限定されないが、例えば、23℃において、好ましくは、0.1〜100Pa・sであり、より好ましくは、0.2〜50Pa・sであり、さらに好ましくは、0.5〜10Pa・sである。シリコーンゲルの粘度が上記範囲を下回ると、表面層形成時の取扱い性が低下するおそれがある。逆に、シリコーンゲルの粘度が上記範囲を上回ると、表面層形成時の取扱い性や、表面層中でのシリコーンゲルの分散の均一性が低下するおそれがある。
【0025】
また、シリコーンゲルの可使時間は、例えば、印刷用ブランケットのサイズ、製造方法などに合わせて適宜選択され、それゆえ、特に限定されないが、表面層形成時の操作性、加工性の観点から、好ましくは、30分以上であり、より好ましくは、60〜180分である。
シリコーンゲルの具体例としては、これに限定されないが、例えば、下記に示すものが挙げられる。
・2液混合付加型RTVシリコーンゲル:品名「KE1051(A/B)」、「KE1051J(A/B)」、「KE1052(A/B)」(以上、信越化学工業(株)製)、「YE5818」、「TSE3062」、「TSE3065」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・1液付加型RTVシリコーンゲル:品名「KE1056」、「KE1057」、「FE57」(以上、信越化学工業(株)製)、「TSE3053」、「TSE3051」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・加熱硬化型シリコーンゲル:品名「スリーボンド1238E」(1液型、無溶剤、(株)スリーボンド製)など。
【0026】
・紫外線硬化型シリコーンゲル:品名「スリーボンド3167C」(1液型、無溶剤、(株)スリーボンド製)など。
シリコーンゲルの配合量は、室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、5〜50重量部であり、好ましくは、10〜40重量部であり、より好ましくは、20〜40重量部である。
【0027】
シリコーンゲルの配合量が、上記範囲を下回ると、表面層の表面張力を上昇させて、インキの受理性を向上させることができず、それゆえ、印刷に使用するインキによっては、表面層でインキがはじかれる現象が生じる。逆に、シリコーンゲルの配合量が、上記範囲を上回ると、表面層がやわらかくなりすぎて、引張強さなどの機械的強度が低下し、印刷用ブランケットとしての実機での使用が困難になる。
【0028】
RTVシリコーンゴムとシリコーンゲルとを含有するゴム組成物は、例えば、その粘度などの物性を調整するために、さらに、種々の配合剤、例えば、硬化速度調整剤、充填剤などを含有してもよい。
硬化速度調整剤としては、例えば、品名「X−93−405」、「制御剤No6−10」(以上、信越化学工業(株)製)、「ME75」(GE東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。
【0029】
充填剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレーなどが挙げられる。充填剤の配合量は、特に限定されないが、室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、好ましくは、10重量部以下、より好ましくは、5重量部以下である。
また、上述のRTVシリコーンゴムやシリコーンゲルが2液混合型であって、あらかじめ硬化剤が配合されていないタイプである場合には、RTVシリコーンゴムやシリコーンゲルとともに、別途、それらの硬化剤が配合される。
【0030】
上記硬化剤としては、特に限定されないが、通常、2液混合型RTVシリコーンゴムやシリコーンゲルと組み合わせて使用される硬化剤であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、RTVシリコーンゴムと、シリコーンゲルと、その他の配合剤とを、上記した配合割合で配合し、さらに、特に限定されないが、例えば、攪拌羽を用いて回転させる方法、自転・公転方式による方法、ニーダー、バンバリーロールなどで攪拌することにより、均一に混合されたゴム組成物として調製することができる。
【0031】
このようにして得られたゴム組成物は、表面層形成時の操作性の観点から、コーンプレート型回転式粘度計により、23℃で測定された粘度が、例えば、好ましくは、10〜200Pa・s、より好ましくは、20〜150Pa・sとなるように調製されることが好ましい。
上記ゴム組成物は、特に限定されないが、例えば、バーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター、ナイフコーターなどによって、基材上に塗布、硬化され、これにより、基材と、この基材上に担持された表面層とを備える印刷用ブランケットが得られる。
【0032】
このようにして形成される表面層の厚みは、特に限定されないが、例えば、好ましくは、0.2〜1.2mmであり、より好ましくは、0.3〜1.0mmである。また、印刷用ブランケット全体の厚みは、特に限定されないが、例えば、好ましくは、0.5〜2mmであり、より好ましくは、0.7〜1.7mmである。
また、上記ゴム組成物を硬化させて得られる表面層の硬さは、特に限定されないが、印刷用ブランケットの印刷適性の観点から、デュロメータ硬さ(タイプA;JIS K 6253−1997)で、20〜70であることが好ましく、25〜60であることがより好ましい。
【0033】
上記ゴム組成物を硬化させて得られる表面層の表面張力は、特に限定されないが、Fowkes法による測定値で、好ましくは、18〜24mN/mであり、より好ましくは、18.5〜23.5mN/mであり、さらに好ましくは、19〜23mN/mである。また、Van Oss法による測定値で、好ましくは、21〜23.5mN/mであり、より好ましくは、21.5〜23mN/mであり、さらに好ましくは、22〜23mN/mである。
【0034】
なお、Fowkes法やVan Oss法による表面張力の値の決定には、純水、グリセリンおよびヘキサデカンについての接触角を測定し、この測定値に基づいて、表面張力解析ソフトにより導いた。
表面層の表面張力が上記範囲を下回ると、インキの受理性を十分に向上させることができず、それゆえ、印刷に使用するインキによっては、表面層でインキがはじかれる現象を生じるおそれがある。逆に、表面層の表面張力が上記範囲を上回ると、インキの転写性が低下し、ピンホール、かすれ、パターンの断線といった転写不良を生じるおそれがある。
【0035】
そして、このようにして得られた本発明の印刷用ブランケットは、例えば、オフセット印刷機のブランケット胴に装着して用いられる。
本発明の印刷用ブランケットは、例えば、図1に示すように、支持層としての基材1上に、表面層2が積層されており、その使用時には、基材1のうち、表面層2が形成されている面とは逆側の面3が、ブランケット胴の表面に貼着または固定される。
【0036】
このような本発明の印刷用ブランケットは、例えば、オフセット印刷において好適に用いることができる。
そして、本発明の印刷用ブランケットによれば、表面層の表面の平滑性を損なうことなく、表面層の表面張力を低下させることができ、それゆえ、インキの転写性を維持しつつ、インキの受理性を向上させて、インキの転写性と受理性との両立を図ることができる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
2液混合付加型RTVシリコーンゴム(品名「KE1606」、硬化前の粘度50Pa・s、液状、信越化学工業(株)製)100重量部に対して、2液混合付加型RTVシリコーンゲル(品名「KE1051(A/B)」、同社製)5重量部(A液2.5重量部およびB液2.5重量部)を配合し、攪拌、混合した。
【0038】
さらに、得られた混合液に対して、2液混合付加型RTVシリコーンゴム(KE1606)の硬化剤(品名「CAT−RG」、信越化学工業(株)製)を配合し、再び攪拌、混合して、ゴム組成物を得た。上記硬化剤(CAT−RG)の配合量は、上記混合液中での2液混合付加型RTVシリコーンゴム(KE1606)の含有量に対して、10重量%となるように調整した。
【0039】
次いで、得られたゴム組成物を、厚さ0.30mmのPETフィルム(基材)上にバーコーターで塗布し、その後、室温で24時間静置し、硬化させることにより、基材1と、基材1に支持される表面層2(縦50cm、横50cm、厚み0.70mm)とを備える印刷用ブランケットを得た(図1参照)。
実施例2
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
【0040】
実施例3
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、20重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
実施例4
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、40重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
【0041】
実施例5
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、50重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
比較例1
2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤(品名「KE1606(主剤)」、信越化学工業(株)製)100重量部に対して、硬化剤(品名「CAT−RG」、同社製)を10重量部の割合で配合し、攪拌、混合した。
【0042】
次いで、得られたシリコーンゴム組成物を、基材(厚さ0.30mmのPETフィルム)上にバーコーターで塗布して、上記シリコーンゴム組成物からなる縦50cm、横50cm、厚み0.70mmの層を形成し、その後、室温で24時間静置して、印刷用ブランケットを得た。
比較例2
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
【0043】
比較例3
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、70重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
実施例6
2液混合付加型RTVシリコーンゲル5重量部に代えて、1液付加型RTVシリコーンゲル(品名「KE1056」、信越化学工業(株)製)10重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
【0044】
物性評価
(1)表面張力
上記実施例1〜6および比較例1〜3の印刷用ブランケットについて、表面層の表面張力を測定した。
測定には、純水、グリセリンおよびヘキサデカンを用い、これらの液体が、それぞれ、印刷用ブランケットの表面層上で液滴を形成したときの、接触角を測定した。次いで、Fowkes法と、Van Oss法との2つの測定方法により、それぞれ、表面層の表面張力(mN/m)を算出した。算出結果を、表1に示す。
【0045】
(2)引張強さ
上記実施例1〜6および比較例1〜3の印刷用ブランケットについて、表面層の引張強さT(単位:MPa)を、JIS K 6251:2004の規定に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
(3)印刷適性
上記実施例1〜6および比較例1〜3の印刷用ブランケットを用いた実機試験により、印刷用ブランケットの印刷適性を評価した。すなわち、上記印刷用ブランケットを、それぞれオフセット印刷機(OPM社製)に装着し、凹版オフセット印刷によって、被印刷体としてのガラス基板上に、ストライプパターンを印刷した。
【0046】
インキには、アクリル樹脂、銀粉末、溶剤を含み、3本ロールにて混練して調製したものを使用した。得られたインキの粘度は、10Pa・sであった。
また、凹版には、金属製の基板上に、線幅80μm、ピッチ360μm、深さ20μmの凹部(ストライプパターン)が形成され、その表面に、硬質クロム処理(厚み10μm)による傷付防止加工がなされ、さらに、研磨処理による鏡面加工がなされたものを使用した。
【0047】
印刷時の条件は、凹版から印刷用ブランケットへの転写速度を、50mm/sに設定し、印刷用ブランケットから被印刷体への転写速度を、100mm/sに設定した。
印刷後、凹版の凹部を電子顕微鏡で観察して、凹部内に残留したインキの有無を確認し、下記の基準で、印刷用ブランケットについてのインキの受理性を評価した。その評価結果を表1に示す。
○:凹部内でのインキの残留が観察されなかった(インキの受理性が良好であった)。
△:凹部内でのインキの残留が観察されたが、インキの受理性は、実用上、許容できる範囲であった。
×:転写不良の発生が顕著に観察された(インキの受理性が不良であった)。
【0048】
また、被印刷体上に形成されたインキパターンを、電子顕微鏡で観察して、ピンホール、かすれ、パターンの断線といった転写不良の発生の有無を確認し、下記の基準で、印刷用ブランケットについてのインキの転写性を評価した。その評価結果を表1に示す。
○:転写不良の発生が観察されなかった(インキの転写性が良好であった)。
△:転写不良の発生が観察されたが、インキの転写性は、実用上、許容できる範囲であった。
×:転写不良の発生が顕著に観察された(インキの転写性が不良であった)。
【0049】
【表1】


【0050】
表1に示すように、表面層が、シリコーンゲルを上記範囲で含有するゴム組成物を用いて形成された実施例1〜6では、表面層の表面粗さを大きくするといった処理を経ることなく、表面層の表面張力を上昇させることができ、また、印刷適性も良好であった。
なお、実施例1〜5と、実施例6との対比より明らかなように、2液混合付加型RTVシリコーンゴムと組み合わせて用いられるシリコーンゲルとしては、1液付加型RTVシリコーンゲルよりも、2液混合付加型RTVシリコーンゲルが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の印刷用ブランケットの一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
2 表面層
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作

【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之

【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫


【公開番号】 特開2008−49495(P2008−49495A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225534(P2006−225534)