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【発明の名称】 メッシュ一体型マスクの原板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】前田 恭志

【氏名】藤井 康之

【要約】 【課題】マスク用原板にメッシュを作成するための工程数を低減するとともにコストの低減化を図る。

【構成】金属基板12と、この金属基板12を構成する金属とは化学的エッチング特性の異なる金属からなるメッシュ14とを有し、メッシュ14は金属基板12に埋設されている。金属基板12を構成するための第1層21に、この第1層21を構成する金属とは化学エッチング特性の異なる金属からなる第2層22を積層して積層体23を形成し、積層体23の第2層側の表面を圧下によって塑性変形させて表面に凸部23aを形成し、この凸部23aをバフ研磨して第2層22によるメッシュ14を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板と、この金属基板を構成する金属とは化学的エッチング特性の異なる金属からなるメッシュとを有し、
前記メッシュが前記金属基板に埋設されているメッシュ一体型マスクの原板。
【請求項2】
前記金属基板の一方の面は、平面状に形成されるとともに前記メッシュが露出している請求項1に記載のメッシュ一体型マスクの原板。
【請求項3】
前記メッシュは、凹凸が形成された前記金属基板の一方の面側の部位を機械的に除去することによってメッシュ状に露出したものである請求項2に記載のメッシュ一体型マスクの原板。
【請求項4】
前記金属基板は、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金からなり、
前記メッシュは、ニッケル、銅又はこれらの少なくとも一方を含む合金からなる請求項1に記載のメッシュ一体型マスクの原板。
【請求項5】
前記金属基板はステンレスからなり、
前記メッシュは、チタン、ニッケル又はこれらの少なくとも一方を含む合金からなる請求項1に記載のメッシュ一体型マスクの原板。
【請求項6】
前記金属基板の厚みは10μm〜1mmである請求項4又は5に記載のメッシュ一体型マスクの原板。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載のメッシュ一体型マスクの原板から前記金属基板の一部をエッチングにより除去してなるメッシュ一体型マスク。
【請求項8】
金属基板とメッシュとが一体的に設けられたメッシュ一体型マスクの原板の製造方法であって、
金属基板を構成するための第1層に、この第1層を構成する金属とは化学エッチング特性の異なる金属からなる第2層を積層して積層体を形成し、
前記積層体の第2層側の表面を塑性変形させて表面に凹凸を形成し、この凹凸のうち突出した部分を物理的に除去することによって前記第2層によるメッシュを形成するメッシュ一体型マスクの原板の製造方法。
【請求項9】
前記積層体を、ローラ表面に凹凸パターンが設けられたロールで圧下して前記第2層側の表面を塑性変形させて当該表面に連続的に凹凸を形成する請求項8に記載のメッシュ一体型マスクの原板の製造方法。
【請求項10】
凹凸パターンが設けられた型を用い、
前記積層体を前記型と一緒にロールで圧下して前記第2層側の表面を塑性変形させて凹凸を形成する請求項8に記載のメッシュ一体型マスクの原板の製造方法。
【請求項11】
バフ研磨により前記凹凸のうち突出した部分を除去する請求項8から10の何れか1項に記載のメッシュ一体型マスクの原板の製造方法。
【請求項12】
前記凹凸パターンは、10〜500μmの多数の穴を有する請求項9又は10に記載のメッシュ一体型マスクの原板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュ一体型マスクの原板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品などの配線パターンの印刷や厚膜プロセスを用いた素子作成などに、スクリーン印刷技術が広く使用されている。このスクリーン印刷に用いられるスクリーンを作成する方法には、メッシュ上に樹脂を塗布するとともに、この塗布された樹脂を露光してパターンを形成するタイプと、金属板上に樹脂を塗布して露光し、その後エッチングを施したメタルマスクをメッシュ上に接着するタイプとがある。前者のタイプでは、樹脂がメッシュの上に乗るため平坦面を出すのが難しく、均一な印刷膜厚を得ることが困難である。また樹脂の耐久性の問題から精度が要求される電子部材に対して不利である。一方、後者のタイプでは、メタル面が平坦であるため均一な塗装膜厚を得ることができるが、メタルの作成後にメッシュと接着する必要があることから工程数が増加する問題があるのと、スクリーン印刷時に付与される張力によりメタルとメッシュが剥離しないような強度を付与することが困難である問題がある。
【0003】
一方、メッシュが一体的に形成されたメタルマスクが提案されている。例えば、下記特許文献1には、アディティブ法によって製造されたメタルマスクが示されている。具体的に、このメタルマスクを作成するには、まずステンレス基板上に感光性樹脂材料であるドライフィルムを貼り合わせ、フォトマスクを介して露光し、そのご薬品処理することにより、フォトマスクに対応した雌型を形成する。そして、ステンレス基板上の雌型以外の部分に電界めっきを施してめっき層を形成し、次いで雌型及びステンレス基板を除去することにより、メッシュが形成されたメタルマスクを作成するようにしている。
【0004】
また、下記特許文献2には、金属基板の片面にフォトレジストを塗布した後、露光して印刷パターンを形成するとともに、その後で金属基板の両面にフォトレジストを塗布して所望のフォトマスクを用いて露光し、その後エッチングによってメッシュを形成するようにしたメタルマスクが示されている。
【0005】
また、下記特許文献3には、ステンレス基板にレジスト処理を施してメッシュパターンの露光を行い、この露光部分にニッケルめっきを施すとともに残りのレジストを除去し、その後にステンレス基板を除去するとともに2次レジスト処理を施して、印刷パターンに対応する露光を行うことにより、メッシュ一体型のマスクを作成することが示されている。
【特許文献1】特開2000−218758号公報
【特許文献2】特開2004−218034号公報
【特許文献3】特開2001−334629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来のメタルマスク及びメッシュ一体型マスクでは、インク面及び印刷面がそれぞれ平坦に形成可能なため、正確なインク塗布量のコントロールが可能であるが、マスク用原板の製造時においては、原板にメッシュを設けるのに際して、何れもレジストの塗布、露光及びエッチング(又はめっき)の各工程が必要なため、工程数が多く製造コストが高いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マスク用原板にメッシュを設けるための工程数を低減するとともにコストの低減化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、金属基板と、この金属基板を構成する金属とは化学的エッチング特性の異なる金属からなるメッシュとを有し、前記メッシュが前記金属基板に埋設されているメッシュ一体型マスクの原板である。
【0009】
本発明では、金属基板にメッシュが埋設されているので、マスクのインク面及び印刷面をそれぞれ平坦に形成することが可能であるばかりでなく、原板にメッシュを設けるのにレジスト塗布、露光及びエッチング(又はめっき)の各工程が不要となり、また電鋳プロセスや放電加工プロセスが必要になることもない。このため、原板にメッシュを作成するための工程数を低減できるとともに、コストの低減化を図ることができる。しかも、基板にメッシュが一体的に形成される従来のメタルマスクと異なり、本発明では、金属基板とメッシュが異種金属で構成される。したがって、本発明によれば、金属基板及びメッシュの各機能に応じた素材をそれぞれ選定し易くすることができる。
【0010】
ここで、前記金属基板の一方の面は、平面状に形成されるとともに前記メッシュが露出しているのが好ましい。
【0011】
この態様では、マスクのインク面又は印刷面を平面状にでき、しかもこの面にメッシュを存在させることが可能になるので、インクの塗布量を正確にコントロールすることが可能となり、また滲み難くすることができる。
【0012】
そして、前記メッシュは、凹凸が形成された前記金属基板の一方の面側の部位を機械的に除去することによってメッシュ状に露出したものであるのがより好ましい。
【0013】
この態様では、マスクの原板を作成する工程を簡易化することができる。
【0014】
また、前記金属基板は、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金からなり、前記メッシュは、ニッケル、銅又はこれらの少なくとも一方を含む合金からなるものであってもよい。
【0015】
この態様では、原板からメッシュ一体型マスクを作成するのにエッチングを利用することができる。そして、メッシュにニッケルが含有される場合には、メッシュにおいてもある程度の強度を確保することができるようになる。
【0016】
また、前記金属基板はステンレスからなり、前記メッシュは、チタン、ニッケル又はこれらの少なくとも一方を含む合金からなるものであってもよい。
【0017】
この態様では、原板からメッシュ一体型マスクを作成するのにエッチングを利用することができ、しかもマスク強度を上げることができるので、スクリーン印刷に好適に用いることができる。
【0018】
前記金属基板の厚みは10μm〜1mmであるのが好ましい。
【0019】
また、本発明は、前記メッシュ一体型マスクの原板から前記金属基板の一部をエッチングにより除去してなるメッシュ一体型マスクである。
【0020】
また、本発明は、金属基板とメッシュとが一体的に設けられたメッシュ一体型マスクの原板の製造方法であって、金属基板を構成するための第1層に、この第1層を構成する金属とは化学エッチング特性の異なる金属からなる第2層を積層して積層体を形成し、前記積層体の第2層側の表面を塑性変形させて表面に凹凸を形成し、この凹凸のうち突出した部分を物理的に除去することによって前記第2層によるメッシュを形成するメッシュ一体型マスクの原板の製造方法である。
【0021】
本発明では、第1層と第2層を有する積層体の第2層側表面を塑性変形させることによってこの表面に凹凸を形成し、この凹凸の一部を物理的に除去することによってメッシュを形成するので、メッシュの形成に際して従来のようなレジスト塗布、露光及びエッチング(又はめっき)の各工程が不要となる。したがって、本発明によれば、原板にメッシュを設けるための工程数を低減できるとともに、コストの低減化を図ることができる。また第1層と第2層を異種金属で構成するので、金属基板及びメッシュの各機能に応じた素材をそれぞれ選定し易くすることができる。
【0022】
ここで、前記積層体を、ローラ表面に凹凸パターンが設けられたロールで圧下して前記第2層側の表面を塑性変形させて当該表面に連続的に凹凸を形成してもよい。
【0023】
この態様では、大面積のマスク原板を効率的に作成することができる。
【0024】
また、凹凸パターンが設けられた型を用い、前記積層体を前記型と一緒にロールで圧下して前記第2層側の表面を塑性変形させて凹凸を形成してもよい。
【0025】
この態様では、ロールを加工する必要がないため、既存の設備を利用してスク原板を作成することができる。
【0026】
そして、バフ研磨により前記凹凸のうち突出した部分を除去するのが好ましい。
【0027】
この態様では、凹凸を有する第2層側の表面を平坦面に精度よく加工することができる。
【0028】
また、前記凹凸パターンは、10〜500μmの多数の穴を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、マスク用原板にメッシュパターンを作成するための工程数を低減でき、しかもコストの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明に係るメッシュ一体型マスクの原板の一実施形態を概略的に示す断面図である。同図に示すように、本実施形態に係るメッシュ一体型マスク(以下、単にマスクと称する)の原板10は、金属基板12とメッシュ14とを有する。
【0032】
金属基板12は、縦断面が矩形状に形成されるとともに、一方の面(例えば図1における上面)に表面から窪んだ形状の凹部12aが多数形成されている。この凹部12aは、基板上面を上から見たときに例えば丸形、矩形状等に見える平面視形状となっている。この凹部12aのパターンはメッシュ14のパターンに対応している。なお、凹部12aの形状は、このような形状に限られるものではなく、例えば、スクリーン印刷等に使用される公知のメッシュパターンの形状を適宜採用することができる。
【0033】
金属基板12は、例えばステンレスで構成してもよく、あるいはアルミニウム又はアルミニウムを含む合金で構成してもよい。金属基板12がアルミニウム又はその合金で構成される場合には、原板10からメッシュ一体型マスクを作成する際にエッチング性を向上することができる。また金属基板12の厚みは10μm以上で、かつ1mm以下であるのが好ましい。
【0034】
メッシュ14は、金属基板12の凹部12a内に配置されている。したがって、メッシュ14は、平面視で例えば丸形、矩形状等に形成されていて、金属基板12の上面に露出している。金属基板12の一方の面にメッシュ14が露出するのは、その製法に起因する。製法の詳細は後述する。そして、凹部12a内にメッシュ14が配設された状態で、原板10の上面は平面状に形成されている。また、その反対側の面、すなわち原板10の下面も平面状に形成されている。
【0035】
ここで、この原板10の製造方法について、図2(a)〜(c)を参照しつつ説明する。まず、図2(a)に示すように、金属基板12の材料となる金属からなる第1層(基層)21に、メッシュ14の材料となる金属を積層する。すなわち第1層21の片面に薄膜状の第2層(薄膜層)22を積層することによって積層体23を密着形成する。
【0036】
メッシュ14を構成するための第2層22は、金属基板12を構成するための第1層21とは化学エッチング特性の異なる金属によって構成されている。このように第1層21と第2層22がそれぞれ化学エッチング特性の異なる金属で構成されるのは、原板10からマスク40(図4参照)を製造する際に、エッチングを利用するからである。
【0037】
第1層21及び第2層22の金属を例示すると、例えば、第1層21の金属としてステンレスを挙げることができ、この場合には第2層22をチタン(Ti)、ニッケル(Ni)又はこれらの少なくとも一方を含む合金で構成することができる。こうすることで、塩化第二鉄のエッチング性の高いステンレスに対して耐腐食性を持たせることができる。なお、チタンを用いる場合、チタンを液相メッキできないので、蒸着、PVD、イオンプレーティング等の気相メッキをすることになる。またニッケル又はニッケル合金を用いた場合は、液相メッキで製造することが可能である。
【0038】
また、金属基板12がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成される場合には、メッシュ14を銅又は銅合金で構成することができる。この場合、銅又は銅合金を金属基板12にメッキするのが簡便である。また苛性ソーダをエッチング液にする場合の最も単純な組み合わせでもある。
【0039】
また金属基板12がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成される場合において、メッシュ14をニッケル、又はニッケルと銅との固溶体で構成することもできる。この場合には、メッシュ14においてもある程度の強度を確保することができる。
【0040】
次に、図2(b)に示すように、積層体23の一方の面に凹凸を形成する。この凹凸を形成するには、金型30を用いてもよく、あるいはロール50(図5参照)を用いてもよい。例えば図2(b)には、表面に凹凸パターンを有する金型30で積層体23の表面に凹凸を形成する場合を示している。この金型30の凹凸パターンはメッシュ14のパターンに対応する形態のものであり、例えば丸形、矩形状等の断面形状の多数の微小凹部30aが縦横に間隔をおいて配列されたものである。この金型30を第2層22側から積層体23に押し付けることによって、積層体23が塑性変形を起こし、これによって積層体23の表面に凹凸が形成される。すなわち積層体23において、金型表面の凹部30aが接触する部位以外の部位が凹み、これによって積層体23表面に凹凸が形成される。この表面の凹凸は、第2層22が密着する第1層21の上面(境界面)が部分的に凹むことにより形成されるものである。これにより、第2層22の金属が第1層21内に埋め込まれることとなる。この凹凸が形成された状態での表面プロファイルを実測してみると、例えば、数μm程度の高さの凸部23aが約100μmピッチで形成されていることが確認された。
【0041】
なお、ロール50を用いる場合には、ロール50表面に同様の凹凸パターンを形成しておいて、このロール50間に積層体23を通すようにすればよい。この場合には、積層体23に連続的に凹凸を形成していくことができるので、大面積のマスク原板10を効率的に作成することができる。
【0042】
次に、凹凸が形成された積層体23の表面を平滑面にすべく、この凹凸面のうち突出した部位(凸部)23aを機械的に除去する。この除去は例えばバフ研磨等によって行うことができ、凹凸が形成されている第2層22側の面を表面研磨する。そして、図2(c)のように、金属基板12を構成する第1層21の金属が部分的に露出するまで研磨すると、第2層22の金属がメッシュ状に埋設されたマスク用原板10が完成する。すなわち、積層体23表面に形成された多数の凸部23aは、それぞれ間隔をおいて配列されているので、研磨によって凸部23aが除去されると、例えば図3に概略的に示すように、第1層21の金属が露出したところが分散した状態で多数現れる。そして、第2層22のうち凸部23aの周囲を形成する格子状の部位がメッシュ状となっている。
【0043】
図3は実際に原板10を作成したものを模式的に示したものである。この実施例では、純アルミニウムからなる厚み12μmの金属基板12に、5μmの銅メッキを行い、これに65μmピッチで四角穴形状の凹部が形成されたロール50で圧延した。圧延後の積層体23の表面には、5〜6μm程度の多数の四角い凸形状の凸部23aが形成され、この凹凸面をバフ研磨により厚み5μm分だけ削ると、図3に示すように、金属基板12が丸形に露出した原板10となった。
【0044】
このようにして得られた原板10からマスク40を作成する方法について、図4(a)〜図4(d)を参照しつつ説明する。
【0045】
まず、原板10にフォトレジスト42を塗布し(図4(a))、露光により所定の印刷パターンを焼き付けてから未露光部のレジスト42を除去する(図4(b))。そして、エッチングにより金属基板12にマスクパターンを形成し(図4(c))、残りのレジスト42を除去する(図4(d))。これにより、メッシュ14が金属基板12に埋設される一方、所定の印刷パターンを有するマスク40が得られえる。
【0046】
なお、図例では、フォトレジスト42を原板10における被覆側の面(メッシュ側の面、図における上面)に塗布する例を示しているが、これに代え、原板10における母材側の面(図における下面)に塗布してもよい。被覆側の面はバフ研磨されていて平坦面となっており、母材側の面は圧延された状態のままで平坦面となっている。このため、どちらにフォトレジスト42を塗布しても露光精度及びエッチング精度を確保することができる。
【0047】
マスク40を作成する際のエッチングは化学エッチングで行われる。例えば、ステンレス基板を用いた場合には、一般的には塩化第二鉄溶液でエッチングでき、またアルミニウム基板を用いた場合には、20%苛性ソーダ、濃塩酸、塩酸及び塩化第二鉄の混合溶液等でエッチングでき、銅基板を用いた場合には、塩化第二鉄溶液等でエッチングできる。エッチング条件は、エッチング後の寸法精度、生産性の観点から適宜設定できる。例えば、アルミニウム基板の場合には20%苛性ソーダ液で60〜90℃とし、またステンレス基板の場合には常温とすればよい。また、フォトレジスト42の塗布方法としては、液状フォトレジストによるディッピング、スピンコータによる回転塗布等、周知の方法を採用すればよい。
【0048】
以上説明した原板作成及びマスク作成の工程は、図5に示すように、一連の工程とすることができる。すなわち、金属基板12の母材となる金属板をコイル52にしたものを用意し、連続メッキ浴53により表面にメッキを行う。そして、このメッキ浴53を出た被覆板(積層体23)に、一方のロールが表面凹凸ロール50となっている一対のロールを有する圧下装置54で圧下することにより表面加工を行う。ここでは、5μm以上の突起(凸部23a)が形成されるように圧下量を調整するのが好ましい。また、ロールキス状態(上ロールと下ロールとが接触する位置)からロールギャップを狭めて材料が無い状態でも荷重がかかっている状態で圧延を行うが、この条件は圧延装置54の構造に依存する。ロールギャップを例えば−1.0mmに設定して圧延してもよい。
【0049】
圧延された被覆板の凸部23aをバフ研磨機55によって機械的に除去してマスク用原板10とし、これをコイル56にして巻き取る。このマスク用原板10は汎用のものであり、印刷すべきパターンは、このコイル56から切り出して、シート状として個別にレジスト塗布、露光、エッチングを行う。この製法によれば、大面積のマスク原板10を効率的に作成することができる。なお、図5のように一連のラインで各工程を実施するのではなく、メッキ、ロール転写、バフ研磨の各工程ごとにコイル形状に巻き取るようにすれば、既存の設備を活用することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、金属基板12にメッシュ14が埋設されているので、マスク40のインク面及び印刷面をそれぞれ平坦に形成することが可能になるばかりでなく、原板10にメッシュ14を設けるのにレジスト塗布、露光及びエッチング(又はめっき)の各工程が不要となり、また電鋳プロセスや放電加工プロセスが必要になることもない。このため、原板10にメッシュ14を形成するための工程数を低減できるとともに、コストの低減化を図ることができる。しかも、基板にメッシュが一体的に形成される従来のメタルマスクと異なり、本実施形態では、金属基板12とメッシュ14が異種金属で構成されるため、金属基板12及びメッシュ14の各機能に応じた素材をそれぞれ選定し易くすることができる。
【0051】
そして、金属基板12の上面が平面状に形成されるとともにそこにメッシュ14が露出しているので、マスク40のインク面又は印刷面を平面状にでき、しかもこの面にメッシュ14を存在させることが可能になって、インクの塗布量を正確にコントロールすることが可能となり、また滲み難くすることができる。
【0052】
また本実施形態では、第1層21と第2層22を有する積層体23の第2層22側表面を塑性変形させることによってこの表面に凹凸を形成し、この凹凸の一部を物理的に除去することによってメッシュ14を形成するので、メッシュ14の形成に際して従来のようなレジスト塗布、露光及びエッチング(又はめっき)の各工程が不要となる。したがって、原板10にメッシュパターンを作成するための工程数を低減できるとともに、コストの低減化を図ることができる。
【0053】
また積層体23を圧下するのに凹凸パターンが設けられた型を用いて、この型及び積層体23を一緒に圧下する場合には、ロールを加工する必要がなくなり、既存の設備を利用して原板10を作成することができるようになる。
【0054】
また本実施形態では、バフ研磨によって積層体23の凸部を除去するようにしているので、積層体23の第2層22側の表面を平坦面に精度よく加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る原板を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は図1の原板を作成する工程を説明するための図である。
【図3】図1の原板の部分平面図である。
【図4】(a)〜(d)は図1の原板からマスクを作成する工程を説明するための図である。
【図5】原板作成及びマスク作成を一連の工程として行う場合の工程を説明するための図である。
【符号の説明】
【0056】
10 原板
12 金属基板
12a 凹部
14 メッシュ
21 第1層
22 第2層
23 積層体
23a 凸部
30 金型
30a 凹部
40 マスク
42 レジスト
50 ロール
52 コイル
53 メッキ浴
54 圧下装置
55 バフ研磨機
56 コイル
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎

【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久


【公開番号】 特開2008−44243(P2008−44243A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222426(P2006−222426)