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インクジェット記録方法 - 特開2008−961 | j-tokkyo
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【発明の名称】 インクジェット記録方法
【発明者】 【氏名】幕田 俊之

【氏名】紺野 雅章

【氏名】前野 裕

【氏名】梅林 励

【氏名】門松 哲三

【要約】 【課題】反転文字など打滴密度の高いインクジェット画像の記録を細線等の微細像の再現よく行なう。

【構成】画像を形成するための重合性もしくは架橋性材料を含有する記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、前記記録液と組成が異なり、重合性もしくは架橋性材料を含有する処理液を、前記記録液で形成される画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与した後、前記記録液を前記液滴a1と前記液滴a2とが重なり部分を有するように打滴すると共に、前記処理液の付与後から前記記録液の打滴までの間に、付与された処理液を液状のまま粘度上昇させる過程が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、
前記記録液が、前記画像を形成するための重合性もしくは架橋性材料を含有し、
前記記録液と組成が異なり、重合性もしくは架橋性材料を含有する処理液を、前記記録液で形成される画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与した後、前記記録液を前記液滴a1と前記液滴a2とが重なり部分を有するように打滴すると共に、前記処理液の付与後から前記記録液の打滴までの間に、付与された処理液を液状のまま粘度上昇させる過程を含むインクジェット記録方法。
【請求項2】
粘度を上昇させる過程は、活性エネルギー線又は熱を与える方法によることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、
前記記録液が、前記画像を形成するための重合性もしくは架橋性材料を含有し、かつ
前記記録液と組成が異なり、重合性もしくは架橋性材料を含有する処理液を、前記記録液で形成される画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与する工程と、
被記録媒体に付与された前記処理液に活性エネルギー線又は熱を与える工程と、
活性エネルギー線又は熱を与えた後、前記被記録媒体の処理液が付与された側に、前記記録液を前記液滴a1と前記液滴a2とが重なり部分を有するように打滴する工程と、
を含むインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記重なり部分における重なり率が10%以上90%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記処理液が、少なくとも前記重合性もしくは架橋性材料を架橋反応させる重合開始剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】
前記処理液が、親油性溶剤を更に含み、前記親油性溶剤の含有量が前記処理液の全質量の50質量%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項7】
前記親油性溶剤は、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒である請求項6に記載のインクジェット記録方法。
【請求項8】
前記記録液が、着色剤を更に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項9】
前記処理液が、着色剤を含有しない、又は着色剤の含有量が該処理液の全質量の1質量%未満である請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項10】
前記処理液の付与後、前記第1の液滴a1が打滴されるまでの打滴間隔が5μ秒以上400m秒以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項11】
打滴された前記記録液の液滴サイズが、0.1ピコリットル以上100ピコリットル以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項12】
少なくとも前記第1の液滴a1の打滴後に、エネルギーを前記画像に与えて前記重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋する請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方法に関し、詳しくは、多液を用いて高速に、高画質な画像を形成するのに好適なインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル等のインク吐出口からインクを液滴で吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、印字媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンタに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを液滴吐出する熱インクジェット方式は、高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
【0003】
現在、インクジェットプリンタにより、普通紙あるいは、プラスチックなど非吸水性の記録媒体にインクを打滴して印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっている。
【0004】
インクジェット記録は、インク(液体)の液滴を連続的に液滴n1、液滴n2、液滴n3、・・・、液滴nxと吐出し、被記録媒体上に液滴n1、液滴n2、液滴n3、・・・、液滴nxにてラインを形成したり、画像を形成するものであるが、特に打滴後の液滴の浸透に時間が掛かると、画像に滲みが生じやすく、また、隣接するインク液滴n1とインク液滴n2の間で混合が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなるなど、実用上問題があった。液滴間での混合の際には、打滴された隣接の液滴が合一して液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、細線を描く場合には線幅の不均一が生じ、着色面を描く場合には色ムラ等が発生する。
【0005】
画像の滲みや線幅の不均一等を抑制する方法の一つとして、インクの硬化を促進する方法がある。その一つとして、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着する技術が提案されている。更には、高精細な描画性を付与するために、2液式のインクを用い、記録媒体上で両者を反応させるものがあり、例えば、塩基性ポリマーを有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献1参照)や、カチオン性物質を含む液体組成物を適用した後、アニオン性化合物と色材を含有するインクを適用する方法(例えば、特許文献2参照)、一方に光硬化型樹脂を、他方に光重合開始剤を含むインクを用いる記録方法(例えば、特許文献3参照)などが開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法では、画像の滲み抑制にはある程度の効果はあるものの、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消には不充分であり、また、水性溶媒を含むために乾燥速度が遅い、析出した染料が不均一に分布しやすく画質低下を招く懸念もある。
【0007】
上記に関連する技術として、着色成分として顔料を用い、放射線によって硬化して固着する技術がある(例えば、特許文献4参照)。ここでは、固化するモノマーを含有するインクと顔料分散体を含有するインクとのいずれか一方を用いて画素を形成した後に他方で前記画像と同一ポイントに画素を形成し、硬化を紫外線、電子線等を用いて行なうことが記載されている。
また、水と共に反応性モノマーや着色剤等を含有するインク組成物と凝集物を生じさせる凝集剤を含有する凝集溶液とを用い、記録媒体上に前記凝集溶液を付着させた後に前記インク組成物を付着させることが記載されたものがある(例えば、特許文献5参照)。さらに、光重合開始剤を含有する反応液を全面付与した後にモノマー含有のインク組成物を付与し、紫外線照射を行なうことが記載されたものもある(例えば、特許文献6参照)。
【0008】
上記以外に、インクを2種類に分けて互いに重なるように打滴することに関する記載がなされたものもある(例えば、特許文献7参照)。
【特許文献1】特開昭63−60783号公報
【特許文献2】特開平8−174997号公報
【特許文献3】特許第3478495号
【特許文献4】特開平8−218018号公報
【特許文献5】特開2001−348519号公報
【特許文献6】特許第3642152号
【特許文献7】特開2000−135781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来の技術のみでは、高い画像濃度を得ようと隣接する液滴a1、液滴a2を重ねて打滴すると、隣接する液滴同士が非乾燥状態で媒体上に存在している際の液滴間の混合、すなわち隣接する液滴の合一という現象が生じてしまい、それに伴なう線幅の不均一や混色(色ムラ等)などを充分に解消することは困難である。
【0010】
また、2液を用いる系では、インク間で打滴干渉のない画像を得ることが可能であるが、組成の異なる2液を被記録媒体上で混合するため、一方の液体上に顔料含有の他方の液体を打滴したときには、不安定な状態にあり、高密度に打滴した部分が打滴されてない部分と隣接すると、顔料含有の液体が打滴されていない部分にまで拡がってしまいやすく、特に反転文字などの高密度にインクを打滴した中に形成された細線などが潰れてしまうという課題がある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、反転文字など打滴密度の高いインクジェット画像の記録を細線等の微細像の再現よく行なうことができるインクジェット記録方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
加えて更に、ドット形状を保持し、滲みがなく均質な線幅を有し、ベタツキがなく擦過性に優れた高濃度の高画質画像の記録が可能であるインクジェット記録方法を提供することをも目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、前記記録液が、前記画像を形成するための重合性もしくは架橋性材料を含有し、前記記録液と組成が異なり、重合性もしくは架橋性材料を含有する処理液を、前記記録液で形成される画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与した後、前記記録液を前記液滴a1と前記液滴a2とが重なり部分を有するように打滴すると共に、前記処理液の付与後から前記記録液の打滴までの間に、付与された処理液を液状のまま粘度上昇させる過程を含むインクジェット記録方法である。
<2> 粘度を上昇させる過程は、活性エネルギー線又は熱を与える方法によることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録方法である。
【0013】
<3> 記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、前記記録液が、前記画像を形成するための重合性もしくは架橋性材料を含有し、かつ前記記録液と組成が異なり、重合性もしくは架橋性材料を含有する処理液を、前記記録液で形成される画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与する工程と、被記録媒体に付与された前記処理液に活性エネルギー線又は熱を与える工程と、活性エネルギー線又は熱を与えた後、前記被記録媒体の処理液が付与された側に、前記記録液を前記液滴a1と前記液滴a2とが重なり部分を有するように打滴する工程と、を含むインクジェット記録方法である。
【0014】
<4> 前記重なり部分における重なり率が10%以上90%以下である前記<1>〜<3>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<5> 前記処理液が、少なくとも前記重合性もしくは架橋性材料を架橋反応させる重合開始剤を更に含むことを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<6> 前記処理液が、親油性溶剤を更に含み、前記親油性溶剤の含有量が前記処理液の全質量の50質量%以上である前記<1>〜<5>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<7> 前記親油性溶剤は、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒である前記<6>に記載のインクジェット記録方法である。
<8> 前記記録液が、着色剤を更に含む前記<1>〜<7>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
【0015】
<9> 前記処理液が、着色剤を含有しない、又は着色剤の含有量が該処理液の全質量の1質量%未満である前記<1>〜<8>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<10> 前記処理液の付与後、前記第1の液滴a1が打滴されるまでの打滴間隔が5μ秒以上400m秒以下である前記<1>〜<9>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<11> 打滴された前記記録液の液滴サイズが、0.1ピコリットル以上100ピコリットル以下である前記<1>〜<10>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<12> 少なくとも前記第1の液滴a1の打滴後に、エネルギーを前記画像に与えて前記重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋する前記<1>〜<11>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反転文字など打滴密度の高いインクジェット画像の記録を細線等の微細像の再現よく行なうことができるインクジェット記録方法を提供することができる。また、加えて更に、ドット形状を保持し、滲みがなく均質な線幅を有し、ベタツキがなく擦過性に優れた高濃度の高画質画像を記録することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体の上に、インクジェットプリンタにおけるインク吐出口(ヘッド)から、記録液による第1の液滴a1、液滴a2、・・・を吐出し、所望の画像を形成するものである。所望の画像を形成するために、記録液は少なくとも重合性もしくは架橋性材料を含んでなり、高い画像濃度を得るために、打滴の際に第1の液滴a1と液滴a2とを重なり部分を有するように打滴するようにする。その際、記録液による液滴a1、液滴a2、・・・の付与前に予め、記録液と組成の異なる重合性もしくは架橋性材料を含有した処理液を前記被記録媒体上における前記所望の画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に付与しておくようにすると共に、処理液の付与後から液滴a1、液滴a2、・・・(記録液)の打滴までの間に、付与された処理液を液状のまま粘度上昇させる過程(以下、「本発明に係る増粘過程」ということがある。)を設けて構成したものである。
【0018】
本発明のインクジェット記録方法では、高い画像濃度を得るために、互いに重なり部分を有して付与された隣接の液滴(第1の液滴a1と液滴a2を含む記録液)が乾燥前に媒体上に留まって接触していると、互いに合一して画像の滲みや細線の線幅が不均一になって先鋭な画像の形成性が損なわれやすいが、処理液の付与から記録液による液滴(a1、a2…)の打滴までの期間は付与された処理液を完全硬化せずに液体のまま粘度上昇させる構成とすることにより、液滴a1及び液滴a2が互いに重なり部分を有して付与されても液滴a1及び液滴a2間の合一が抑えられ、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生が効果的に防止されるので、均一幅で先鋭なライン形成が可能であり、反転文字など打滴密度の高いインクジェット画像の記録を細線等の微細像の再現よく行なうことができる。また、ベタツキがなく擦過性にも優れる。
例えば、被記録媒体として液体吸収性の低い非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体に画像を記録する場合に特に有効である。
【0019】
本発明においては、画像を形成するための液体として、第1の液滴a1及び液滴a2を含む記録液と、これと組成の異なる処理液とを用いる。被記録媒体上には、第1の液滴a1を打滴した後、後続の第1の液滴a2を前記液滴a1と重なり部分を有するように打滴する。そして、第1の液滴a1及び液滴a2の付与前には予め、記録液と組成の異なる処理液を、被記録媒体上における前記液滴a1及び前記液滴a2で打滴形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に付与する。これにより、液滴a1及び液滴a2が互いに重なり部分を有して付与された場合に、液滴a1及び液滴a2間の合一が抑えられ、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生が効果的に防止できる。
【0020】
ここで、第1の液滴a1及び液滴a2は、単一の記録液を用いてインク吐出口から打滴される液滴a1、a2、a3、・・・anにおける液滴であって重なり合って打滴されるものを意味する。打滴が同時である液滴であってもよいし、先行打滴と後続打滴の関係である先行液滴と後続液滴であってもよく、先行液滴と後続液滴であることが好ましい。
【0021】
〜増粘過程〜
本発明においては、処理液の付与後から記録液(液滴a1、液滴a2、・・・)の打滴までの間に、付与された処理液を液状のまま粘度上昇させる過程(本発明に係る増粘過程)を設ける。なお、記録液の打滴及び処理液の付与の詳細については後述する。
【0022】
ここで、本発明における「液状」とは、処理液の表面が完全に固化せず、流動性を持つ状態をいい、具体的には、増粘過程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後や加熱後)記録液の打滴前に、普通紙などの浸透媒体を押し当てて、浸透媒体に処理液が転写したかどうかによって判断する。処理液が転写しない場合は硬化したものとし、処理液が転写した場合は半硬化状態、つまり未だ液状の状態にあるものとする。
好ましくは、前記「液状」は、記録液を打滴するときの粘度(25℃)が100mPa以上10000mPa以下である状態である。粘度(25℃)は、本発明に係る増粘過程を経た後、10分経過後の処理液を掻き集め、25℃に保ってラボ用ハンディ型デジタル粘度計ビスコスティック(マルヤス工業(株)製)により測定されるものである。
【0023】
処理液を粘度上昇させるには、(1)酸性ポリマーに対して、塩基性化合物を添加する、又は塩基性ポリマーに対して、酸性化合物、金属化合物を添加するなど、いわゆる凝集現象を用いる方法、(2)処理液を予め高粘度に調製し、これに低沸点有機溶媒を添加することによって低粘化しておき、低沸点有機溶媒を蒸発させて元の高粘度に戻す方法、(3)高粘度に調製した処理液を加熱しておき、冷却することによって元の高粘度に戻す方法、(4)処理液に活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法など、既知の増粘方法であればいずれの方法を用いてもよく、好ましくは(4)処理液に活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法が好ましい。この場合、処理液に活性エネルギー線又は熱を与えることにより処理液を増粘させて半硬化することができる。
【0024】
活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法とは、重合性化合物の重合反応を不充分に行なう方法であり、重合度の目安としては1%以上70%以下が好ましく、5%以上60%以下が更に好ましく、10%以上50%以下が特に好ましい。重合度は、IRなどによって測定できる。
このような重合度の範囲であると、液状のままでの増粘(粘度上昇)が観測され、完全硬化することなく、液状のまま保つことができる。
【0025】
前記活性エネルギー線には、後述する画像固定用の活性光と同様のものを使用することができ、例えば、紫外線、可視光線など、並びにα線、γ線、X線、電子線などが挙げられ、コスト及び安全性の点で、紫外線、可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般には1〜500mJ/cm程度である。
活性光や加熱などの活性エネルギー線又は熱の付与により、重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性もしくは架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応が促進される。
増粘(粘度上昇)は、活性光の照射、又は加熱によって好適に行なうことができる。
【0026】
また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行なうことができ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等の全面露光による加熱手段等が好適である。加熱手段としての露光に好適な光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
【0027】
本発明のインクジェット記録方法の具体的な構成の1つは、記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するものであって、前記記録液が、前記画像を形成するための重合性もしくは架橋性材料を含有しており、かつ前記記録液と組成が異なり、重合性もしくは架橋性材料を含有する処理液を、前記記録液で形成される画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与する工程と、被記録媒体上に付与された前記処理液に活性エネルギー線又は熱を与える工程と、活性エネルギー線又は熱を与えた後、前記被記録媒体の処理液が付与された側に、前記記録液を前記液滴a1と前記液滴a2とが重なり部分を有するように打滴する工程と、を設けて構成される。
【0028】
〜記録液の打滴及び処理液の付与〜
本発明のインクジェット記録方法においては、既述の第1の液滴a1及び液滴a2を、インクジェットノズル等を用いて打滴するようにし、処理液については、インクジェットノズルを用いた噴射による付与が可能であるが、必ずしもインクジェットノズルを用いた噴射に限られず、塗布等の他の手段によって付与することができる。
【0029】
以下、被記録媒体上に処理液を付与する際の付与手段について説明する。なお、第1の液滴a1及び液滴a2(記録液)を打滴する打滴手段については、前記のようにインクジェットノズルを用いた噴射を中心に説明する。以下に、具体例を示す。
【0030】
(i)塗布装置を用いた塗布
塗布装置を用いて、処理液を被記録媒体上に塗布し、その後に液滴a1及び液滴a2(記録液)をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様は好適である。
【0031】
塗布装置としては、特に制限はなく、公知の塗布装置の中から目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照できる。
また、インクジェットノズルは、特に制限はなく、公知のノズルから目的等に応じて適宜選択することができる。なお、インクジェット記録方式については後述する。
【0032】
なお、第1の液滴a1及び液滴a2(記録液)並びに処理液以外の他の液体を用いてもよく、他の液体については、前記塗布装置による塗布やインクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で記録媒体上に付与してもよく、また、付与のタイミングも特に限定されるものではない。着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射によるのが好ましく、処理液を塗布した後に付与することが好ましい。
【0033】
(ii)インクジェットノズルによる噴射
インクジェットノズルによって処理液を液滴b1、液滴b2、液滴b3、・・・液滴bnにて噴射し、その後に第1の液滴a1、液滴a2、液滴a3、・・・液滴an(記録液)をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様は好適である。インクジェットノズルについては、前記同様である。
【0034】
この場合もまた、第1の液滴a1及び液滴a2(記録液)並びに処理液以外の他の液体については、塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で被記録媒体上に付与してもよく、付与のタイミングも特に限定されるものではない。着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射によるのが好ましく、処理液をノズルから噴射した後に更に噴射して付与されることが好ましい。
【0035】
次に、インクジェットノズルによる噴射の方式(インクジェット記録方式)について説明する。
本発明においては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等の公知の方式が好適である。
なお、インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0036】
前記(i)の付与手段による場合、少なくとも第1の液滴a1及び第1の液滴a2が、予め被記録媒体上に塗布された処理液の上にインクジェット記録方式によって打滴され、画像形成される。前記(ii)の付与手段による場合は、予めインクジェット記録方式により被記録媒体上に付与された処理液の上に更に、少なくとも第1の液滴a1及び第1の液滴a2がインクジェット記録方式により打滴され、画像形成される。
【0037】
本発明においては、液滴a1と液滴a2とが重なり部分を有するので、単位長さ当たりの打滴数が増し、より高解像度の画像記録が可能である。このとき、処理液を被記録媒体上に付与した後、1秒以下の間に第1の液滴a1及び液滴a2を打滴することが好ましい。
【0038】
重なり部分を有して打滴する際の重なり率は、少なくとも液滴a1と液滴a2とが重なって打滴されてから1秒後の重なり率であり、特に第1の液滴a1を打滴した後の第1の液滴a2の打滴から1秒後の重なり部分における重なり率が10%以上90%以下となるように打滴するようにするのが好ましい。より高解像度の画像記録に有効である。
中でも、重なり率は、20%以上80%以下であるのが好ましく、30%以上70%以下であるのが好ましい。
【0039】
前記重なり率とは、隣接する液滴(液滴a1、液滴a2、・・・)が、いかなる割合で重なっているかを示す指標である。記録媒体上に着弾後の液滴の直径をaとした場合、(1/2)aが重なっている場合には重なり率は50%である。本発明における場合、隣接して打滴された液滴は互いに合一せずに打滴形状を保持しうるが、重なり率は、1滴打滴して1秒後の液滴半径をbとし、隣接打滴中心点間の間隔をcとしたとき、100×(2b−c)/(2b)[%]で表される。
【0040】
また、第1の液滴a1及び第1の液滴a2の打滴量には、特に制限はなく、記録画像の鮮鋭度に応じて選択できる。一般には、1液滴当たり0.5pl〜10pl程度が好ましい。また、処理液の付与については、第1の液滴a1及び液滴a2で打滴形成される画像と同一領域もしくは該画像よりも広い領域に付与できれば、特に制限されるものではない。
【0041】
画像記録の際、第1の液滴a1及び第1の液滴a2の1打滴当たりの処理液の付与量のバランスとしては、液滴a1又は液滴a2の量を1とした場合の処理液の付与量(質量比)は0.05〜5の範囲が好ましく、0.07〜1の範囲がより好ましく、0.1〜1の範囲が特に好ましい。
【0042】
第1の液滴a1、液滴a2を含む記録液は、0.1pL(ピコリットル;以下同様)以上100pL以下の液滴サイズにて(好ましくはインクジェットノズルにより)打滴されるのが好ましい。液滴サイズが前記範囲内であると、高先鋭度の画像を濃度で描写できる点で有効である。また、より好ましくは0.5pL以上50pL以下である。
【0043】
また、処理液の付与後、第1の液滴a1が打滴されるまでの打滴間隔としては、5μ秒以上400m秒以下の範囲内であるのが好ましい。打滴間隔が前記範囲内であると、本発明の効果を顕著に奏し得る点で有効である。打滴間隔は、より好ましくは10μ秒以上300m秒以下であり、特に好ましくは20μ秒以上200μ秒以下である。
【0044】
(記録液と処理液の物性)
インクジェット記録方式によって被記録媒体上に噴射される記録液(液滴)並びに処理液(液滴)の物性については、装置により異なるが一般にはそれぞれ、25℃での粘度については、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、10〜80mPa・sがより好ましい。また、記録液と処理液との関係において前記粘度の差(25℃)は25mPa・s以内が好ましい。
【0045】
本発明のインクジェット記録方法に用いられる記録液と処理液とは、被記録媒体上に目的の大きさの記録液ドットを形成する観点から、処理液は界面活性剤を含有することが好ましく、下記の条件(A)、(B)、及び(C)の全てを満たすことが好ましい。
(A)処理液の表面張力は、インクジェット記録用インクセットに含まれるいずれかの記録液の表面張力よりも小さい。
(B)処理液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、
γs(0)−γs(飽和)>1mN/m
の関係を満たす。
(C)処理液の表面張力は、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2
の関係を満たす。
【0046】
ここで、γsは、処理液の表面張力の値である。γs(0)は、処理液のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力の値である。γs(飽和)は、処理液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに飽和する該液の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、処理液に含まれる界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たす全ての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
【0047】
〈条件(A)〉
本発明において、前述の通り、被記録媒体上に目的の大きさの記録液ドットを形成するためには、処理液の表面張力γsは、インクジェット記録用インクセットに含まれるいずれかの記録液の表面張力γkよりも小さくすることが好ましい。
さらに、着滴から露光までの間の記録液ドットの拡大をより効果的に防ぐ観点から、γs<γk−3(mN/m)がより好ましく、γs<γk−5(mN/m)が特に好ましい。
また、フルカラーの画像を印字する場合は、画像の鮮鋭性を向上させる観点から、処理液の表面張力γsは、少なくとも視感度の高い着色剤を含有する記録液の表面張力よりも小さくすることが好ましく、インクジェット記録用インクセットに含まれる全ての記録液の表面張力より小さいことがより好ましい。なお、ここで視感度の高い着色剤とは、マゼンタ、又は、ブラック、又は、シアンの色を呈する着色剤が挙げられる。
また、記録液の表面張力γkと処理液の表面張力γsとの値が上記の関係を満たしていても、両者の値が15mN/m未満であるとインクジェット打滴時に液滴の形成が困難になり不吐出が生じる場合がある。一方、50mN/mを超えると、インクジェットヘッドとの濡れ性が悪くなり不吐出の問題が生じる場合がある。したがって、吐出適正の観点から、記録液の表面張力γkと処理液の表面張力γsとは、15mN/m以上50mN/m以下が好ましく、18mN/m以上40mN/m以下がより好ましく、20mN/m以上38mN/m以下が特に好ましい。
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温20℃、60%RHにて測定した値である。
【0048】
〈条件(B)と条件(C)〉
本発明において、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、処理液は少なくとも1種類以上の界面活性剤を含有することが好ましい。なお、この場合は、処理液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、下記の条件(B)を満たすことが好ましい。
γs(0)−γs(飽和)>1mN/m …条件(B)
さらに、処理液の表面張力は、下記の条件(C)の関係を満たすことが好ましい。
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2 …条件(C)
【0049】
既述のように、γsは、処理液の表面張力の値である。γs(0)は、処理液のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力の値である。γs(飽和)は、処理液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに飽和する該液の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、処理液に含有する界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たす全ての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
【0050】
なお、前記γs(0)は、処理液のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力値を測定することによって得られる。前記γs(飽和)は、処理液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の含有濃度を0.01質量%ずつ増加させたときに、表面張力の変化量が0.01mN/m以下になったときの該液の表面張力を測定することによって得られる。
【0051】
以下、前記γs(0)、γs(飽和)、γs(飽和)最大 について具体的に説明する。
例えば、処理液(例1)を構成する成分が、高沸点溶媒(フタル酸ジエチル、和光純薬工業(株)製)、重合開始剤(TPO−L、下記の開始剤−1)、フッ素系界面活性剤(メガファック F475、大日本インキ化学工業(株)製)、炭化水素系界面活性剤(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム)とした場合、γs(0)、γs(飽和)(フッ素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)(炭化水素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)、及び、γs(飽和)最大は、下記の通りとなる。
【0052】
【化1】



【0053】
即ち、γs(0)は、処理液のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力値であり、36.7mN/mとなる。また、該液にフッ素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液の表面張力の飽和値をγs(飽和)としたとき、その値は20.2mN/mとなる。さらに、同様に該液に炭化水素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液の表面張力の飽和値をγs(飽和)としたとき、その値は30.5mN/mとなる。
【0054】
前記処理液(例1)は、前記条件(B)を満たす界面活性剤を2種類含有するため、γs(飽和)は、フッ素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和))と炭化水素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和))の2つの値をとり得る。これらから、γs(飽和)最大は、前記γs(飽和)及びγs(飽和)のうちの最大値であることから、γs(飽和)の値となる。
以上より、それらを纏めると下記のようになる。
γs(0)=36.7mN/m
γs(飽和)=20.2mN/m(フッ素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)=30.5mN/m(炭化水素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)最大=30.5mN/m
【0055】
以上の結果から、処理液の表面張力γsとしては、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2=33.6mN/m
の関係を満たすことが好ましい。
なお、前記条件(C)については、着滴から露光までの間のインク滴の拡大をより効果的に防ぐ観点から、処理液の表面張力としては、
γs<γs(0)−3×{γs(0)−γs(飽和)}/4
の関係を満たすことがより好ましく、
γs≦γs(飽和)
の関係を満たすことが特に好ましい。
【0056】
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温20℃にて測定した値である。
【0057】
記録液及び処理液は、所望の表面張力が得られるように組成を選択すればよいが、これらの液体に界面活性剤を添加することが好ましい。既述のように、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、処理液は少なくとも1種の界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤について以下に示す。
【0058】
〜界面活性剤〜
ここでいう界面活性剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブチルカルビトール、シクロヘキサノン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、メタノール、水、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、好ましくは、ヘキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、特に好ましくは、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質である。
【0059】
上記に列挙した溶媒に対して、ある化合物が強い表面活性を有する物質か否かは、下記の手順によって判断することができる。
(手順)
上記に列挙した溶媒から1種類の溶媒を選択し、該溶媒の表面張力γ(0)溶媒を測定する。前記γ(0)溶媒を求めた溶媒と同じ液に該化合物を添加し、該化合物の濃度を0.01質量%づつ増加させ、表面張力の変化が0.01mN/m以下になったときの溶液の表面張力γ(飽和)溶媒を測定する。前記γ(0)溶媒と前記γ(飽和)溶媒の関係が、
γ(0)溶媒 − γ(飽和)溶媒 > 1mN/m
であれば、該化合物は該溶媒に対して強い表面活性を有する物質であると判断する。
【0060】
処理液に含有する界面活性剤の具体例としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。その他、界面活性剤としては、例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。
【0061】
本発明において、上記のように予め処理液を付与しておき、その後に少なくとも第1の液滴a1、あるいは第1の液滴a1、液滴a2、・・・を含む記録液全てを打滴した後には、優れた定着性を得る観点から、エネルギーを付与することで記録画像を固定化する工程を設けることができる。エネルギーの付与により、含まれる重合性もしくは架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応を促進させ、より強固な画像をより効率よく形成することができる。例えば重合開始剤を含む系では、活性光や加熱などの活性エネルギーの付与により重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性もしくは架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応が促進される。
エネルギーの付与は、活性光の照射、又は加熱によって好適に行なうことができる。
【0062】
また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行なうことができ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等の全面露光による加熱手段等が好適である。加熱手段としての露光に好適な光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
【0063】
−被記録媒体−
本発明のインクジェット記録方法においては、被記録媒体として、浸透性の記録媒体、非浸透性の記録媒体、及び緩浸透性の記録媒体のいずれも使用することができる。中でも、本発明の効果がより顕著に奏される観点から、非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体が好ましい。
【0064】
液体吸収性の低い記録媒体に画像記録を行なうときには、従来、互いに重なり部分を有して付与された隣接の液滴(液滴a1、液滴a2、・・・)が乾燥前に媒体上に留まって接触していると、互いに合一等して画像の滲みや混色、細線の線幅が不均一、画像端部が膨らむことによる端部不均一が起こりやすいが、記録液で画像が打滴形成しようとする領域と同一もしくは該領域よりも広い範囲に予め、処理液を打滴しておく構成により、記録液の液滴同士が互いに重なり部分を有して付与されたときに液滴間の合一が抑えられるので、打滴形成された画像中の細線の線幅バラツキや、格子線のゆがみ、画像端部が膨らむことによる不均一を効果的に防止することができる。これにより、滲みがなく細線品質(線幅の均質性を含む。)が良好で画像端部の均一な高画質画像を記録することができる。また、ベタツキがなく擦過性にも優れる。
【0065】
ここで、浸透性の記録媒体は、10pl(ピコリットル)の液滴を被記録媒体上に滴下した場合に、全液量が浸透するまでの時間が100m秒以下である媒体であり、具体的には、普通紙、多孔質紙などが挙げられる。非浸透性の記録媒体とは、実質的に液滴が浸透しない媒体をいい、例えば合成樹脂やガラス等を用いた媒体が挙げられる。「実質的に浸透しない」とは、1分後の液滴の浸透率が5%以下であることをいう。また、緩浸透性の記録媒体とは、10plの液滴を被記録媒体上に滴下した場合に、全液量が浸透するまでの時間が100m秒以上である媒体をいい、具体的にはアート紙などが挙げられる。非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体の詳細については後述する。
【0066】
浸透性の記録媒体としては、例えば、普通紙、多孔質紙その他液を吸収できる媒体が挙げられる。
非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体としては、例えば、アート紙、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。また、機能付加の目的で、これら材質を複数組み合わせて複合化した基材も使用できる。
【0067】
前記合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も使用可能であるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられる。合成樹脂を用いた場合の厚みや形状としては、フィルム状、カード状、ブロック状のいずれでもよく、特に限定されるものではなく、透明又は不透明のいずれであってもよい。
【0068】
前記合成樹脂の使用形態としては、いわゆる軟包装に用いられるフィルム状にして用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチックス及びそのフィルムを用いることができる。プラスチックスフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等が挙げられる。その他プラスチックスとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などを使用できる。
【0069】
前記樹脂コート紙としては、例えば、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム、及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体等が挙げられる。特に好ましいのは、紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
【0070】
前記金属としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、シリコン、鉛、亜鉛等、又はステンレス等、及びこれらの複合材料が好適である。
【0071】
また更に、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスク等を用いることも可能であり、レーベル面側にインク受容層及び光沢付与層を付与することもできる。
【0072】
以下、本発明のインクジェット記録方法に用いる記録液及び処理液について詳細に説明する。
【0073】
記録液は、少なくとも画像を形成するための組成となるように構成され、処理液は少なくとも前記記録液と組成が異なるように構成されており、記録液及び処理液はそれぞれ、少なくとも重合性もしくは架橋性材料を含み、必要に応じて重合開始剤、親油性溶剤、着色剤、及び他の成分を用いて構成することができる。
中でも、記録液が着色剤を含有し、処理液が着色剤を含有しない若しくは着色剤の含有量が1%未満である構成が好ましい。以下、各液体を構成する各成分について詳述する。
【0074】
−重合性もしくは架橋性材料−
記録液及び処理液は、画像を形成するための重合性もしくは架橋性材料の少なくとも一種を含有する。重合性もしくは架橋性材料は、後述する重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合もしくは架橋反応を生起し、硬化する機能を有するものである。
【0075】
重合性もしくは架橋性材料としては、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、二量化反応など公知の重合性もしくは架橋性材料を適用することができる。少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、オキシラン系化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられ、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
【0076】
特に、カチオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知の重合性のモノマーが好ましく、具体的には、分子内にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)等や、エポキシ基、オキセタニル基などを有するものが好ましく、中でも、低エネルギーで硬化反応を生起させ得る点で、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基を有する化合物が好ましい。
【0077】
カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが好適である。
【0078】
前記エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド等が挙げられる。
単官能エポキシ化合物の例としては、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
【0079】
多官能エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
【0080】
単官能ビニルエーテルの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
【0081】
また、多官能ビニルエーテルの例としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
【0082】
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物をさし、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載のように、公知オキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
オキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
【0083】
単官能オキセタンの例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0084】
多官能オキセタンの例としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3'−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンが挙げられる。
【0085】
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217公報の段落番号〔0021〕〜〔0084〕に詳細に記載され、ここに記載の化合物を好適に使用できる。
オキセタン化合物の中でも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
【0086】
カチオン重合性モノマーは、1種のみを用いても2種以上を併用してもよいが、硬化時の収縮を効果的に抑制する観点からは、少なくとも1種のオキセタン化合物とエポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを併用することが好ましい。
【0087】
また、ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を起こさせる各種公知のラジカル重合性のモノマーも好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートは、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかをさし、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかをさす。
【0088】
(メタ)アクリレートとしては、例えば以下のものが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
【0089】
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0090】
二官能の(メタ)アクリレートの具体例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0091】
三官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等を挙げることができる。
【0092】
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0093】
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0094】
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0095】
前記(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
【0096】
前記芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3―オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0097】
上記以外に、本発明におけるラジカル重合性モノマーとしては、更に、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
【0098】
上記のうち、ラジカル重合性モノマーとしては、硬化速度の点から、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、特に硬化速度の点から、4官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。更には、インク組成物の粘度の観点から、多官能(メタ)アクリレートと単官能もしくは2官能の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドとの併用が好ましい。
【0099】
重合性もしくは架橋性材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性もしくは架橋性材料の、記録液、処理液中における含有量としては、各液滴の全固形分(質量)に対して、50〜99.6質量%の範囲が好ましく、70〜99.0質量%の範囲がより好ましく、80〜99.0質量%の範囲がさらに好ましい。
また、液滴中における含有量としては、各液滴の全質量に対して、20〜98質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、50〜90質量%の範囲が特に好ましい。
【0100】
−重合開始剤−
記録液及び処理液は、重合開始剤の少なくとも一種を用いて好適に構成することができ、好ましくは少なくとも処理液に用いて構成される。この重合開始剤は、活性光、熱、あるいはその両方のエネルギーの付与によりラジカルなどの開始種を発生し、既述の重合性もしくは架橋性材料の重合もしくは架橋反応を開始、促進させ、硬化する化合物である。重合開始剤は、処理液あるいはそれ以外の液体が重合開始剤を含有する形態が好ましい。
【0101】
重合性の態様において、ラジカル重合もしくはカチオン重合を起こさせる重合開始剤を含有することが好ましく、光重合開始剤を含有することが特に好ましい。
重合開始剤は、光の作用、又は増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物であり、中でも、露光という簡便な手段で重合開始させることができるという観点から前記光ラジカル発生剤、又は光酸発生剤であることが好ましい。
【0102】
光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
【0103】
具体的な光重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、Bruce M.Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993).や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A :Chemistry,73.81(1993).や、J.P.Faussier“Photoinitiated Polymerization−Theory and Applications”:Rapra Review vol.9,Report,Rapra Technology(1998).や、M.Tsunooka et al.,Prog.Polym.Sci.,21,1(1996).に多く、記載されている。また、「イメージング用有機材料」(有機エレクトロニクス材料研究会編、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)に化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が多く、記載されている。さらには、F.D.Saeva,Topics in Current Chemistry,156,59(1990).、G.G.Maslak,Topics in Current Chemistry,168,1(1993).、H.B.Shuster et al,JACS,112,6329(1990).、I.D.F.Eaton et al,JACS,102,3298(1980).等に記載の、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
【0104】
好ましい光重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、等が挙げられる。
【0105】
前記(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.FOUASSIER J.F.RABEK (1993)、p77〜117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
【0106】
前記(b)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の第V、VI及びVII族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び同422570号各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び同2833827号各明細書に記載されるスルホニウム塩類、ジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び特公昭46−42363号各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、及び同52−14279号各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
【0107】
前記(c)「有機過酸化物」としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0108】
前記(d)ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0109】
前記(e)ケトオキシムエステル化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0110】
前記(f)ボレート化合物の例としては、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物が挙げられる。
前記(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、並びに特公昭46−42363号の各公報に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0111】
前記(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号各公報記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
【0112】
前記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
【0113】
前記(i)活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、及び同0388343号各明細書、米国特許3901710号、及び同4181531号各明細書、特開昭60−198538号、及び特開昭53−133022号各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、及び同0101122号各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、及び同4431774号各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び特開平4−365048号各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、及び特開昭59−174831号各公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0114】
前記(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
【0115】
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
【0116】
前記(a)〜(j)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0117】
【化2】



【0118】
【化3】



【0119】
【化4】



【0120】
【化5】



【0121】
【化6】



【0122】
【化7】



【0123】
【化8】



【0124】
【化9】



【0125】
なお、重合開始剤は感度に優れるものが好ましいが、例えば、80℃以下の温度で熱分解を起こすものを用いることは保存安定性の観点から好ましくなく、80℃までの温度では熱分解を起こさない重合開始剤を選択することが好ましい。
【0126】
重合開始剤は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、感度向上の目的で公知の増感剤を併用することもできる。
【0127】
重合開始剤の処理液中における含有量としては、経時安定性と硬化性、硬化速度との観点から、記録液、処理液を画像形成に必要な最大量を媒体上に打滴した場合、単位面積あたりに塗設された重合性材料に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。なお、含有量が多すぎる場合には、経時による析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりすることがある。
【0128】
なお、重合開始剤を処理液に含有すると共に記録液に含有させてもよく、この場合には、記録液の保存安定性を所望の程度に保持できる範囲で適宜選択して含有することができる。
また、重合開始剤は、処理液に含有せず既述の記録液に含有させるようにしてもよい。この場合は、第1の液滴中の含有量は、記録液中の重合性もしくは架橋性化合物に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
【0129】
−−増感色素−−
本発明においては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加してもよい。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
【0130】
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
【0131】
より好ましい増感色素の例としては、下記一般式(IX)〜(XIII)で表される化合物が挙げられる。
【0132】
【化10】



【0133】
式(IX)中、A1は硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA1及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
【0134】
式(XII)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−又は−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Aは酸素原子、硫黄原子又は−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
【0135】
前記一般式(IX)〜(XIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物(A−1)〜(A−20)などが挙げられる。
【0136】
【化11】



【0137】
【化12】



【0138】
−−共増感剤−−
さらに、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えてもよい。
共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0139】
別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
【0140】
−着色剤−
記録液及び処理液は、着色剤の少なくとも一種を用いて好適に構成することができ、好ましくは少なくとも記録液に用いて構成される。なお、着色剤は、記録液以外に、処理液やその他の液体に含有してもよい。
【0141】
着色剤としては、特に制限はなく、公知の水溶性染料、油溶性染料、及び顔料等から適宜選択して用いることができる。中でも、本発明に係る記録液及び処理液は非水溶性の有機溶剤系に構成されるのが本発明の効果の観点から好ましく、非水溶性媒体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料、顔料を用いるのが好ましい。
【0142】
着色剤は、好ましくは記録液中の含有量が1〜30質量%であり、更に好ましくは1.5〜25%であり、特に好ましくは2〜15%である。また、処理液中の含有量は1質量%未満が好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0143】
以下、本発明に好適な油溶性染料、顔料を中心に説明する。
〜油溶性染料〜
油溶性染料としては、特に制限はなく、任意のものを選択して使用することができる。以下、油溶性染料を色相別に例示する。
イエロー染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などが挙げられ、その他の染料種として、キノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0144】
マゼンタ染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0145】
シアン染料としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料、あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
【0146】
前記各染料は、発色原子団(クロモフォア)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0147】
〜顔料〜
着色剤として、複数の液の混合時に凝集が生じやすい点で、顔料を用いる態様も好ましい。顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用できるが、黒色顔料としては、カーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。また、一般には黒色、並びにシアン、マゼンタ、及びイエローの3原色の顔料が用いられるが、その他の色相、例えば、赤、緑、青、茶、白等の色相を有する顔料や金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料なども目的に応じて用いることができる。
【0148】
有機顔料としては、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロン、もしくはイソビオラントロン系顔料、又はそれらの混合物などが挙げられる。
【0149】
更に詳しくは、例えば、C.I.ピグメント・レッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメント・レッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメント・バイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン系顔料、C.I.ピグメント・オレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメント・レッド194(C.I.番号71100)等のペリノン系顔料、C.I.ピグメント・バイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメント・バイオレット42、C.I.ピグメント・レッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメント・レッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメント・レッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメント・レッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメント・オレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメント・オレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン系顔料、C.I.ピグメント・イエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメント・レッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン系顔料、C.I.ピグメント・ブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメント・バイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメント・イエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメント・イエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメント・オレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメント・レッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン系顔料、C.I.ピグメント・イエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメント・イエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメント・イエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメント・イエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメント・イエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメント・オレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメント・オレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメント・オレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメント・レッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメント・レッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメント・レッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメント・レッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメント・レッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメント・レッド248、C.I.ピグメント・レッド262、もしくはC.I.ピグメント・ブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合系顔料、
【0150】
C.I.ピグメント・イエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメント・イエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメント・イエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメント・レッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメント・レッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメント・イエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメント・イエロー150(C.I.番号48545)、C.I.ピグメント・レッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメント・レッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメント・オレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメント・レッド247(C.I.番号15915)等のアゾ系顔料、C.I.ピグメント・ブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン系顔料、C.I.ピグメント・グリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメント・グリーン36(C.I.番号74265)、ピグメント・グリーン37(C.I.番号74255)、ピグメント・ブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメント・ブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメント・ブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメント・ブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム系顔料、C.I.ピグメント・バイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメント・バイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメント・レッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン系顔料、C.I.ピグメント・レッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメント・レッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメント・レッド264、C.I.ピグメント・レッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメント・オレンジ71、もしくはC.I.ピグメント・オレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメント・レッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ系顔料、C.I.ピグメント・イエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメント・オレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメント・イエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメント・オレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメント・オレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメント・レッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン系顔料、又はC.I.ピグメント・バイオレット31(60010)等のイソビオラントロン系顔料が挙げられる。
本発明においては、2種類以上の有機顔料又は有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもできる。
【0151】
また、シリカ、アルミナ、樹脂などの粒子を芯材とし、表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することができる。さらに、樹脂被覆された顔料を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販品が入手可能である。
【0152】
液中に含有される顔料粒子の体積平均粒子径は、光学濃度と保存安定性とのバランスといった観点からは、10〜250nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200nmである。ここで、顔料粒子の体積平均粒子径は、例えば、LB−500(HORIBA(株)製)などの測定装置により測定することができる。
【0153】
着色剤は、1種単独のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、打滴する液滴及び液体ごとに異なる着色剤を用いてもよいし、同一の着色剤を用いてもよい。
【0154】
処理液は、好ましくはsp値が35以下となるように調製される。処理液は、非水溶性であって、油溶性の有機溶剤系側の性質に調整された状態が好ましい。処理液のsp値が35以下であると、例えば既述のように重合性もしくは架橋性材料を含む記録液(液滴a1、液滴a2、・・・)との間の親和性が増大し、第1の液滴a1及び液滴a2を互いに重なり部分を有して付与したときの液滴同士の合一を抑止でき、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生を効果的に防止することができる。
【0155】
記録液の液滴a1、液滴a2、・・・は、重合性もしくは架橋性材料を含んで有機溶剤系に好適に調製でき、有機溶剤系に調製されているときには処理液と混合しやすく、互いに接触して重なり部分を有するように打滴される第1の液滴a1と液滴a2との間など液滴間の合一を効果的に回避できる。これにより、既述のように、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生を効果的に防止される。
【0156】
sp値の調整は、親油性溶剤(高沸点有機溶媒、重合性化合物)などを用いて好適に行なえる。好ましい調整態様の一つとして、親油性溶剤を処理液の全質量の50質量%以上100質量%以下の範囲で含有する構成とすることができる。親油性溶剤の含有量が前記範囲内であると、sp値を低減して35以下の範囲に調整することができる。
処理液のsp値のより好ましい範囲は、30以下であり、特に好ましくは25以下である。
【0157】
sp値は、種々の溶剤、溶質に対して定義されるものであり、溶剤/溶剤間、溶剤/溶質間における溶けやすさを示す値である。この値は、溶剤と溶剤とが混ざり合う場合、溶剤に溶質が溶ける場合のエネルギーの変化から算出されるものであり、本発明で用いたsp値は、具体的には、東北大学 R.L.smithによるsp値計算プログラムにより計算して得られるものである。計算に際しては、25℃を基準とし、炭素原子を含まない化合物を除き、ポリマーやポリエチレン鎖等の構成単位については結合手を持つ飽和の繰り返し単位(例えばスチレンの場合は-CH2-CH(C6H5)-)とし、水(H2O)は47.8として計算される。
【0158】
−親油性溶剤−
親油性溶剤は、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生防止に効果的であると共に、処理液のsp値を既述の範囲に調整することができる。
「親油性」とは、水100ccに対して1g以下の溶解性を有する化合物をいう。
【0159】
なお、親油性溶剤は、処理液に含有すると共にあるいは含有せずに、既述の記録液に含有することもできる。また、処理液並びに記録液以外の他の液体に含有するようにしてもよい。
【0160】
親油性溶剤としては、高沸点有機溶媒、既述の重合性の化合物(重合性もしくは架橋性材料)などが挙げられ、ノズル固化回避などの観点からは高沸点有機溶剤を用いることが好ましく、また、インクにより形成する膜の膜強度を高める観点からは、既述の重合性もしくは架橋性材料より選ばれる重合性の化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明において好適な高沸点有機溶媒について説明する。
【0161】
前記高沸点有機溶媒としては、(1) 25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、かつ(2) 沸点が100℃よりも高いものが好ましい。
【0162】
前記(1) の粘度条件のいずれをも満たさない高沸点有機溶媒では、粘度が高くなって、被記録媒体上への付与に支障を来すことがあり、前記(2) の沸点条件を満たさない高沸点有機溶媒では、沸点が低くなりすぎて画像記録中に蒸発し、本発明の効果が低下することがある。
【0163】
前記(1) の条件のうち、25℃での粘度は、更に70mPa・s以下の範囲が好ましく、40mPa・s以下の範囲がより好ましく、20mPa・s以下の範囲が特に好ましい。60℃での粘度は、更に20mPa・s以下の範囲が好ましく、10mPa・s以下の範囲が特に好ましい。また、前記(2) の条件については、沸点は150℃以上の範囲がより好ましく、170℃以上の範囲が特に好ましい。また、融点の下限値としては80℃以下の範囲が好ましい。更には、水の溶解度(25℃)が4g以下であるものが好ましく、3g以下の範囲がより好ましく、2g以下の範囲がさらに好ましく、1g以下の範囲が特に好ましい。
【0164】
ここでの「粘度」は、東機産業(株)製のRE80型粘度計を用いて求めた粘度である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10r.p.m.の回転数にて測定を行なった。但し、60mPa・sより高粘なものについては、必要により回転数を5r.p.m.、2.5r.p.m.、1r.p.m.、0.5r.p.m.等に変化させて測定を行なった。
【0165】
なお、「水の溶解度」とは、25℃における高沸点有機溶媒中の水の飽和濃度であり、25℃での高沸点有機溶媒100gに溶解できる水の質量(g)を意味する。
【0166】
前記高沸点有機溶媒としては、下記式〔S−1〕〜〔S−9〕で表される化合物が好ましい。
【0167】
【化13】



【0168】
前記式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。また、a,b,cは、各々独立に0又は1を表す。
【0169】
式〔S−2〕においてR4及びR5は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R6は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I以下同じ)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが複数のとき、複数のR6は同じでも異なっていてもよい。
【0170】
式〔S−3〕においてArはアリール基を表し、eは1〜6の整数を表し、R7はe価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
【0171】
式〔S−4〕においてR8は脂肪族基を表し、fは1〜6の整数を表し、R9はf価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
【0172】
式〔S−5〕においてgは2〜6の整数を表し、R10はg価の炭化水素基(ただしアリール基を除く)を表し、R11は脂肪族基又はアリール基を表す。
【0173】
式〔S−6〕においてR12、R13及びR14は各々独立に、水素原子、脂肪族基又はアリール基を表す。Xは−CO−又は−SO2−を表す。R12とR13又はR13とR14は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0174】
式〔S−7〕においてR15は脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基又はシアノ基を表し、R16はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、hは0〜3の整数を表す。hが複数のとき、複数のR16は同じでも異なっていてもよい。
【0175】
式〔S−8〕においてR17及びR18は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R19はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、iは0〜5の整数を表す。iが複数のとき、複数のR19は同じでも異なっていてもよい。
【0176】
式〔S−9〕においてR20及びR21は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。jは1又は2を表す。R20及びR21は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0177】
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が脂肪族基又は脂肪族基を含む基であるとき、脂肪族基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、また不飽和結合を含んでいても置換基を有していてもよい。置換基の例として、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、エポキシ基等がある。
【0178】
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が環状脂肪族基、すなわちシクロアルキル基であるか、又はシクロアルキル基を含む基であるとき、シクロアルキル基は3〜8員の環内に不飽和結合を含んでよく、また置換基や架橋基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、脂肪族基、ヒドロキシル基、アシル基、アリール基、アルコキシ基、エポキシ基等があり、架橋基の例としてメチレン、エチレン、イソプロピリデン等が挙げられる。
【0179】
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21、Arがアリール基又はアリール基を含む基であるとき、アリール基はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基等の置換基で置換されていてもよい。
【0180】
式〔S−3〕、〔S−4〕、〔S−5〕においてR7、R9又はR10が炭化水素基であるとき、炭化水素基は環状構造(例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)や不飽和結合を含んでいてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基等がある。
【0181】
以下に、式〔S−1〕〜〔S−9〕で表される高沸点有機溶媒の中でも、特に好ましい高沸点有機溶媒について述べる。
式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えばn−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R1、R2及びR3は特に、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、2−クロロエチル、2−ブトキシエチル、シクロヘキシル、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、クメニルが好ましい。
a、b、cは各々独立に0又は1であり、より好ましくはa、b、cすべて1である。
【0182】
式〔S−2〕においてR4及びR5は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えば前記R1について挙げた脂肪族基と同じ基、ヘプチル、エトキシカルボニルメチル、1,1−ジエチルプロピル、2−エチル−1−メチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ボルニル、1−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R1について挙げたアリール基、4−t−ブチルフェニル、4−t−オクチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2,4,−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,−ジ−t−ペンチルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R4及びR5は更に、脂肪族基が好ましく、特に、n−ブチル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、2−ブトキシエチル、エトキシカルボニルメチルが好ましい。
6はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ)又は炭素原子数2〜19のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)又は炭素原子数6〜25のアリールオキシカルボニル基が好ましい。これらの中でも、R6は更に、アルコキシカルボニル基が好ましく、特に、n−ブトキシカルボニルが好ましい。
dは0又は1である。
【0183】
式〔S−3〕においてArは炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、4−n−ブトキシフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、Arは特に、フェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニルが好ましい。
eは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
7はe価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R4について挙げた脂肪族基、n−オクチル、前記R4について挙げたアリール基、−(CH22−、
【0184】
【化14】



【0185】
〕又はe価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに結合した炭化水素基〔例えば、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2(OCH2CH23−、−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−、
【0186】
【化15】



【0187】
〕が好ましい。これらの中でも、R7は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
【0188】
式〔S−4〕においてR8は炭素原子数1〜24(好ましくは1〜17)の脂肪族基(例えばメチル、n−プロピル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、n−ヘプチル、n−ウンデシル、n−トリデシル、ペンタデシル、8,9−エポキシヘプタデシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)が好ましく、これらの中でも、R8は特に、n−ヘプチル、n−トリデシル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、8,9−エポキシヘプタデシルが好ましい。
fは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
9はf価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基又はf価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに連結した炭化水素基(例えば前記R7について挙げた基、1―メチル−2−メトキシエチル、2−ヘキシルデシル)が好ましく、これらの中でも、R9は特に、2−エチルヘキシル、2−ヘキシルデシル、1―メチル−2−メトキシエチル、
【0189】
【化16】



【0190】
が好ましい。
【0191】
式〔S−5〕においてgは2〜4(好ましくは2又は3)である。
10はg価の炭化水素基〔例えば、−CH2−、−(CH22−、−(CH24−、−(CH27−、−(CH28−、
【0192】
【化17】



【0193】
〕が好ましく、これらの中でも、R10は特に、−(CH24−、−(CH28−、
【0194】
【化18】



【0195】
が好ましい。
11は炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R4について挙げた脂肪族基、アリール基)が好ましく、これらの中でも、R11は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
【0196】
式〔S−6〕において、R12は水素原子、炭素原子数1〜24の脂肪族基(好ましくは3〜20)〔例えばn−プロピル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、n−ペンタデシル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシメチル、4−t−オクチルフェノキシメチル、3−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル、1−(2,4−ジ−t−ブチルフェキシ)プロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル〕、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記Arについて挙げたアリール基、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、R12は特に、n−ウンデシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニルが好ましい。
13及びR14は、水素原子、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、シクロペンチル、シクロプロピル)又は炭素原子数6〜18(好ましくは6〜15)のアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、p−トリル)が好ましく、これらの中でも、R13及びR14は特に、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、n−テトラデシル、フェニルが好ましい。
13とR14とが互いに結合し、Nとともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R12とR13とが互いに結合し、Nとともにピロリドン環、ピペリジン環を形成してもよい。
Xは−CO−又は−SO2−であり、好ましくはXは−CO−である。
【0197】
式〔S−7〕においてR15は炭素原子数1〜24(好ましくは3〜18)の脂肪族基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ドデシル、2−ヘキサデシル、t−ペンタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素原子数2〜24(好ましくは5〜17)のアルコキシカルボニル基(例えばn−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル)、炭素原子数7〜24(好ましくは7〜18)のアリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、クレジルオキシカルボニル基)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、n−ドデシルスルホニル)、炭素原子数6〜30(好ましくは6〜24)のアリールスルホニル基(例えばp−トリルスルホニル、p−ドデシルフェニルスルホニル、p−ヘキサデシルオキシフェニルスルホニル)、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)又はシアノ基が好ましく、これらの中でも、R15は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基、炭素原子数2〜24のアルコキシカルボニル基がより好ましく、特に、炭素原子数1〜24の脂肪族基が好ましい。
16はハロゲン原子(好ましくはCl)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基{より好ましくは、アルキル基(例えば前記R15について挙げたアルキル基)、炭素原子数3〜18(更に好ましくは5〜17)のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)}、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ)又は炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシ、p−ドデシルオキシフェノキシ)であり、これらの中でも、R16は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基がより好ましく、特に炭素原子数1〜12の脂肪族基が好ましい。
hは1〜2の整数である。
【0198】
式〔S−8〕においてR17及びR18の好ましい例は、前記R13及びR14における水素原子以外の例と同じであり、これらの中でも、R17及びR18は、更に脂肪族基がより好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、n−ドデシルが好ましい。但し、R17及びR18は互いに結合して環を形成することはない。
19の好ましい例は、前記R16と同じであり、これらの中でもR19は、更にアルキル基及びアルコキシ基がより好ましく、特に、n−オクチル、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシが好ましい。
iは1〜5の整数である。
【0199】
式〔S−9〕においてR20及びR21の好ましい例は、結合して環を形成しない場合には、前記R1、R2及びR3と同じであり、これらの中でもR20及びR21は、特に、炭素原子数1〜24の置換又は無置換の脂肪族基が好ましい。
20とR21とが互いに結合し環を形成してもよく、形成される環としては、3〜10員環が好ましく、5〜7員環が特に好ましい。
jは1又は2を表し、好ましくは、jは1である。
【0200】
以下、高沸点有機溶媒の具体例(例示化合物S−1〜S−53)並びに、各高沸点有機溶媒の粘度(25℃及び60℃の環境下、前記手段により測定した値;mPa・s)及び沸点(℃)を示す。
ここで、高沸点有機溶媒の沸点は、減圧蒸留時の沸点から常圧に換算した値である。なお、下記具体例において、沸点の記載のないものは170℃で沸騰しないことが確認されたものであり、25℃における粘度の記載のないものは25℃で固体であることを表す。
【0201】
【化19】



【0202】
【化20】



【0203】
【化21】



【0204】
【化22】



【0205】
【化23】



【0206】
【化24】



【0207】
【化25】



【0208】
【化26】



【0209】
【化27】



【0210】
高沸点有機溶媒は、1種類を単独で用いても、2種以上〔例えば、トリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕を混合して使用してもよい。
【0211】
高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例、及び/又はこれら高沸点有機溶媒の合成方法については、例えば、米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号等の各明細書、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等の各公報に記載されている。
【0212】
本発明においては、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶剤が好適であり、更には沸点が170℃よりも高い高沸点有機溶剤が好ましい。
【0213】
親油性溶剤の処理液中における添加量としては、該液体の全質量に対して、50%質量以上100質量%以下の範囲が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
【0214】
記録液は、処理液とのsp値の差が10以下となる範囲で調製されるのが好ましい。第1の液滴a1の打滴前に予め付与される処理液とのsp値の差が10以下で親和性が高く、後続の液滴a2と接触させて打滴されたときの液滴同士の合一を効果的に防止することができる。好ましいsp値の差は5以下である。
記録液と処理液との間のsp値の差が前記範囲内であると、互いに溶解しやすく、液滴a1は液滴a2との間よりも液滴Bとの間の方が接触面積が大きいため処理液との間で親和性が良好になり、したがって例えば、互いに重なり部分を有して付与される液滴a1、液滴a2、・・・が着色剤を含有する場合に、液滴a1及び液滴a2間で色滲みや混色を起こしたり、着色された線像の線幅バラツキの回避に効果的である。
【0215】
sp値の調整は、後述の親油性溶剤、重合性材料などを用いて好適に調整が可能であり、例えば液滴中の親油性溶剤の割合を高めることでよりsp値を下げることができる。
【0216】
本発明においては、好ましい形態として、
(1)記録液及び処理液が重合性もしくは架橋性材料を含み、処理液が更に重合開始剤を含む形態
(2)記録液が重合性もしくは架橋性材料及び着色剤を含み、処理液が重合性もしくは架橋性材料及び重合開始剤を含むと共に着色剤を含有しない若しくは着色剤の含有量が1%未満である形態
(3)記録液が重合性もしくは架橋性材料及び着色剤を含み、処理液が重合性もしくは架橋性材料、重合開始剤、及び親油性溶剤を含むと共に着色剤を含有しない若しくは着色剤の含有量が1%未満である形態
などが挙げられる。
上記において、重合開始剤は、本発明に係る処理液に含有すると共に、本発明の効果を阻害しない範囲において記録液に含有されていてもよい。
【0217】
〈その他成分〉
上記した成分以外に、公知の添加剤などを目的に応じて併用することができる。
〜界面活性剤〜
前記記録液及び前記処理液は、所望の表面張力が得られるように組成を選択すればよいが、これらの液体に界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記公知の界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
これらの化合物の添加量は、液体の全体の0.2〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%が更に好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。また、記録液への添加量は処理液への添加量より少ないことが好ましい。
【0218】
〜貯蔵安定剤〜
本発明に係る記録液及び処理液(好ましくは記録液に)には、保存中における好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性もしくは架橋性材料と共存させて用いることが好ましく、また、含有する液滴又は液体あるいは共存の他成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
【0219】
貯蔵安定剤としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
【0220】
貯蔵安定剤の添加量は、重合開始剤の活性や重合性もしくは架橋性材料の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と硬化性とのバランスの点で、液中における固形分換算で、0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
【0221】
〜導電性塩類〜
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性がよい場合には、適当量添加してもよい。
前記導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
【0222】
〜溶剤〜
本発明においては、必要に応じて公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、液(インク)の極性や粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整、及び印字性能の調整などの目的で使用できる。
なお、溶剤は、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことが、速乾性及び線幅の均一な高画質画像を記録する点で好ましいことから、中でも既述した高沸点有機溶媒を用いた構成とするのが望ましい。
【0223】
100℃以下の有機溶剤である低沸点有機溶媒も挙げられるが、硬化性に影響を与える懸念があり、また、低沸点有機溶媒は環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましい。使用する場合には、安全性の高いものを用いることが好ましく、安全性が高い溶媒とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶媒であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、メタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0224】
溶剤は一種単独で用いる以外に複数組み合わせて使用することができるが、水及び/又は低沸点有機溶媒を用いる場合には、両者の使用量は各液中0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが好ましい。本発明に係る記録液及び処理液に水を含有すると、経時による不均一化、染料の析出等に起因する液体の濁りが生じる等の経時安定性の点、及び非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体を用いたときの乾燥性の点で好ましくない。なお、実質的に含まないとは、不可避不純物の存在を容認することを意味する。
【0225】
〜その他添加剤〜
さらに、ポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
【0226】
また、上記のほか、混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物をそれぞれ、本発明に係る記録液と処理液とに分けて含有することができる。前記1組の化合物は、凝集体を急速に形成させるか、あるいは液を急速に増粘させる特徴を有するものであり、これにより互いに隣接する液滴間の合一をより効果的に抑制することができる。
前記1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
【0227】
〜画像の記録原理及び記録装置〜
次に、打滴干渉を回避しつつ記録媒体に画像を形成する本発明の原理について、図1を参照して一例を説明する。
まず、図1(a)に示すように、色材を含まない処理液を記録媒体16に付与し、記録媒体16の表面に処理液からなる液体膜81を形成する。このような処理液の付与態様は、打滴(「吐出」ともいう)及び塗布のいずれの態様であってもよい。前者の打滴によれば、後述の色材を含む記録液の付与に必要な範囲のみに処理液の液体膜を容易に形成し得る点で、好ましい。
【0228】
付与した処理液の液体膜の厚みは、付与された処理液の体積を処理液が付与された部分の面積で除した平均厚みである。処理液が打滴にて付与される場合は、打滴された体積と処理液が打滴された部分の面積より求めることができる。処理液の液体膜の厚みは、均一で局所的な厚みの違いはないことが望ましい。この観点から、インクジェットヘッドから安定に吐出できる範囲で、処理液のメディア上で濡れ拡がり易い物性、つまり静的な表面張力が小さいことが望ましい。
【0229】
次に、図1(b)に示すように、処理液と大気との境界面81aのみに気液界面が限定された状態のまま、すなわち気液界面81aの表面積を変化させない、又は表面積の変化が少ない状態で、記録媒体16上の処理液からなる液体膜81が存在する領域内に、色材を含む記録液の液滴82a(第1の液滴)を打滴する。この打滴により、図1(c)に示すように、液体膜81に第1の液滴82aを埋没させる。
さらに、図1(d)に示すように、記録媒体16上の処理液からなる液体膜81が存在する領域内であって、先に打滴した第1の液滴82aの着弾位置の近傍に、記録液の液滴82b(第2の液滴)を打滴する。図1(e)に示すように、第2の液滴82bも液体膜81に埋没させる。
【0230】
このようにして、複数の液滴82a、82bを、処理液の液体膜81に埋没させることにより、複数の液滴82a、82bを互いに近傍となる位置に着弾させても、新たな気液界面が生じないことになる。詳細には、気体と液体の境界面は、処理液からなる液体膜81と大気との境界面81aに限定され、この気液界面81aの面積は変化しない、又は面積の変化が少ない。
仮に処理液からなる液体膜81が記録媒体16上に無い状態で記録液の複数の液滴82a、82bを打滴した場合には、気液界面の表面積を小さくしようとして、すなわち表面エネルギーを最小化しようとして、記録液の複数の液滴82a、82b同士が合一するという打滴干渉が発生するが、本発明では、このような打滴干渉が回避されることになる。
【0231】
従来は、打滴干渉を回避するためには、記録液に含まれる色材が凝集又は不溶化する化学反応を起こさせる物質を処理液に含有させていたが、本発明では、このような物質を処理液に含有させることなく、打滴干渉を回避できる。
【0232】
以上説明したように打滴干渉を回避しつつ記録媒体に画像を形成するには、処理液の動的表面張力と記録液の動的表面張力との関係を適切に設定する必要がある。このような2液間の動的表面張力の関係については、後に詳細に説明する。
【0233】
また、図1(e)に示すように打滴干渉が回避されて記録液の液滴82a、82bの形状が液体膜81の内部で保たれている間に(本発明の場合、数百ミリ秒から5秒間)、すなわちドット形状が崩れないうちに、記録液の液滴82a、82bを硬化させて、記録液の液滴82a、82b中の色材を記録媒体16に定着させる。少なくとも記録液は、輻射線硬化型の重合性化合物を含有し、紫外線などの輻射線が照射されると、いわゆる重合反応により硬化する。処理液にも、重合性化合物を含有させることも可能であり、吐出した液体全体が硬化するので、密着性を高めるために好ましい。
【0234】
次に、画像記録装置の全体構成について、図面を参照して説明する。
図2は、画像記録装置10の一例を示す全体構成図である。この画像記録装置10は、色材を含まず記録媒体16上に液体膜を形成するための処理液、及び色材を含む少なくとも2種の記録液を、所定の記録媒体16に付与して、所望の画像を記録媒体16に形成するものである。
記録媒体としては、特に浸透性がない記録媒体(例えば、OPP(Oriented Polypropylene Film)、CPP(Casted Polyproptlene Film)、PE(polyethylene)、PET(Polyethylene terephthalate)、浸透性が低い軟包材、ラミネート紙、コート紙、アート紙など)を用いたときに良好な画像を形成することができる。
【0235】
図2において、画像記録装置10は、処理液及びインク(記録液)を打滴により記録媒体16に付与する液体付与部12を備えている。
また、画像記録装置10は、液体付与部12に供給する処理液及びインクを貯蔵しておく液体貯蔵/装填部14と、記録媒体16を供給する給紙部18と、記録媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、液体付与部12の吐出面に対向して配置され、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送するベルト搬送部22と、液体付与部12によるインクの打滴結果(インク滴の着弾状態である)としての画像を読み取る画像検出部24と、記録済みの記録媒体を外部に排出する排紙部26を備えている。
【0236】
図2においては、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)を給紙するものを示しているが、予めカットされているカット紙を給紙するものを用いてもよい。ロール紙を使用する装置構成の場合、裁断用のカッタ28が設けられる。ところで、給紙部18から送り出される記録媒体16は一般に巻き癖が残りカールする。このカールを除去するために、デカール処理部20において巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録媒体16に熱を与える。デカール処理後、カット済の記録媒体16は、ベルト搬送部22へと送られる。
【0237】
ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、液体付与部12の吐出面及び画像検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。ベルト33は、記録媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において液体付与部12の吐出面及び画像検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト上の記録媒体16が吸着保持される。ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図2において、反時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録媒体16は、図2の右から左へと搬送される。なお、縁無しプリント等を形成するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(記録領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ここで本実施例では記録媒体の保持、搬送手段として負圧による記録媒体の吸着の例を挙げたが、他の保持、搬送手段(静電吸着搬送、ローラー搬送など)を選択的にもちいることもできる。
【0238】
画像記録装置10の液体付与部12及びその周辺部分を、図3の平面図に示す。
図3において、液体付与部12は、シングルパスで記録媒体16に処理液を打滴する処理液用の打滴ヘッド12P、及び、シングルパスで記録媒体16にインクを打滴するインク用の打滴ヘッド12Y、12M、12C、12Kによって構成されている。詳細には、記録媒体16の記録可能幅の全幅に対応した長さのライン型ヘッドを媒体搬送方向(図3中に矢印Sで示す副走査方向である)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。
【0239】
各打滴ヘッド12P、12Y、12C、12M、12Kは、本画像記録装置10が対象とする最大サイズの記録媒体16の少なくとも一辺を超える長さにわたって複数のノズル(液体吐出口)が配列されている。
また、媒体搬送方向Sに沿って、上流側(図3の右側)から、処理液(P)、イエロ色のインク(Y)、シアン色のインク(C)、マゼンタ色のインク(M)、黒色のインク(K)の順に、各液体に対応した打滴ヘッド12P、12Y、12C、12M、12Kが配置されており、記録媒体16上にカラーの画像を形成し得る。
【0240】
具体的には、まず、処理液用の打滴ヘッド12Pから記録媒体16に向けて処理液が打滴されることによって記録媒体16上に処理液が付与され、この処理液が液体膜として存在する領域に、次に、インク用の打滴ヘッド12Y、12M、12C、12Kから記録媒体16に向けてインクが打滴される。ここで、インク滴を、記録媒体16上の処理液の液体膜に埋没させることにより、気液界面の大幅な増大を生じさせず、着弾干渉が回避される。
【0241】
また、フルライン型の打滴ヘッドからなる液体付与部12によれば、媒体搬送方向(副走査方向)について記録媒体16と液体付与部12を相対的に移動させる動作を一回行なうだけで、記録媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、媒体搬送方向と直交する方向(主走査方向)に打滴ヘッドが往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速プリントが可能であり、生産性を向上させることができる。
【0242】
なお、主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、
記録媒体の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、記録媒体の幅方向(記録媒体の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)のプリントをするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
【0243】
一方、上述したフルラインヘッドと記録媒体とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)のプリントを繰り返し行なうことを副走査と定義する。そして、副走査を行なう方向を副走査方向という。したがって、記録媒体の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向である。
【0244】
なお、本実施形態では、YMCKの標準色(4色)の構成を例示したが、インクの色数や色の組み合わせについては本実施形態に示す例には限定されず、必要に応じて、淡インク、濃インク、白色又は他色の特色インク、透明インク等を追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する打滴ヘッドを追加する構成、又は白色インクによる背景の描画を行なう構成、透明インクによる光沢度調整等を行なう構成も可能である。
【0245】
UV光源27は、重合性化合物を含むインクを硬化させるために記録媒体16に向けて紫外線を照射するものである。紫外線発光光源としては公知の光源、例えば高圧水銀灯、中圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、紫外用蛍光灯、紫外LED、紫外LD等を用いることができるが、実用性の面から高圧水銀灯又はメタルハライドランプを用いるのが好ましい。またUV光源としては200nm〜400nmの波長範囲内に光量のピークをもつものが好ましく、光量ピーク波長において1〜500mJ/cmの範囲の照射光量を持つものが好ましい。UV光源はリフレクタにコールドミラー、カバーガラスに赤外線カットガラスを用いることで、熱線照射による記録媒体の温度上昇を防ぐ構成とするのが好ましい。ここで図2では省略したが、ラジカル系重合性化合物を含有するインクにおいては、UV照射部の硬化雰囲気を不活性ガス(窒素など)により置換することでより良好なインクの硬化、定着を行なうことができる。
【0246】
本発明においては、処理液付与後からインクの打滴までの間に、付与された処理液を粘度上昇させる増粘過程を持つが、例えば、打滴ヘッド12Pから処理液を付与後、UV光源27でUV照射した後に一端逆搬送して更に打滴ヘッド12Y等でインクを打滴する、あるいは打滴ヘッド12Pと12Yとの間に増粘用のUV光源を設けておき、打滴ヘッド12Pから処理液を付与後にUV照射し更に搬送してインクを打滴するようにして画像を形成することができる。
【0247】
また、図示しないが、重合性化合物を含むインクを硬化させるための手段として電子線照射装置と、酸素による重合阻害を防止するための硬化雰囲気不活性ガス置換手段とを用いてもよい。
【0248】
上記では、重合性化合物を硬化させる手段として、UV光源の例と電子線照射装置とを例示したが、これらの手段はここで示す例に限定されるものではなく、その他の輻射線、例えばα線、γ線、X線等を用いてもよい。
【0249】
図2に示す液体貯蔵/装填部14は、処理液を貯蔵する処理液タンク、及び、YMCK各色別にインクを貯蔵する液体タンクを有し、図示を省略した管路を介して各打滴ヘッド12P、12Y、12C、12M、12Kとそれぞれ連通している。
【0250】
画像検出部24は、液体付与部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った画像からノズルの目詰まりその他の吐出異常をチェックする手段として機能する。
【0251】
画像が形成されたプリント物としての記録媒体16は、排紙部26から排出される。この画像記録装置10では、本画像のプリント物と、テストプリントのプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテストプリントとを同時に並列に形成する場合は、カッタ(第2のカッタ)48によってテストプリントの部分を切り離す。カッタ48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテストプリントを行なった場合に、本画像とテストプリント部を切断するものである。また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダ別に画像を集積するソータが設けられている。
【0252】
*打滴ヘッドの構造
図4(a)は、図3に示した打滴ヘッド12P、12Y、12C、12M、12Kを代表する打滴ヘッドに符号50を付して、その打滴ヘッド50の基本的な全体構造の一例を示す平面透視図である。
図4(a)に一例として示す打滴ヘッド50は、いわゆるフルライン型のヘッドであり、記録媒体16の搬送方向(図中に矢印Sで示す副走査方向)と直交する方向(図中に矢印Mで示す主走査方向)において、記録媒体16の幅Wmに対応する長さにわたり、記録媒体16に向けて液体を吐出する多数のノズル51(液体吐出口)を2次元的に配列させた構造を有している。
【0253】
打滴ヘッド50は、ノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、及び、液体供給口53を含んでなる複数の圧力室ユニット54が、主走査方向M及び主走査方向Mに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って配列されている。なお、図4(a)では、図示の便宜上、一部の圧力室ユニット54のみ描いている。
【0254】
ノズル51は、具体的には、主走査方向Mに対して所定の鋭角θをなす斜め方向において、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Mに沿った一直線上に「d×cosθ」の間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。
【0255】
打滴ヘッド50を構成する一吐出素子としての前述の圧力室ユニット54について、図4(a)中のb−b線に沿った断面図を図4(b)に示す。
図4(b)に示すように、各圧力室52は液体供給口53を介して共通液室55と連通している。共通液室55は図示を省略した液体供給源たるタンクと連通しており、そのタンクから供給される液体が共通液室55を介して各圧力室52に分配供給される。
【0256】
圧力室52の天面を構成する振動板56の上には圧電体58aが配置され、この圧電体58aの上には個別電極57が配置されている。振動板56は、接地されており、共通電極として機能する。これらの振動板56、個別電極57及び圧電体58aによって、液体吐出力を発生する手段としての圧電アクチュエータ58が構成されている。
圧電アクチュエータ58の個別電極57に所定の駆動電圧が印加されると、圧電体58aが変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力室52内の圧力の変化によって、ノズル51から液体が吐出される。液体吐出後、圧力室52の容積が元に戻ると共通液室55から液体供給口53を通って新しい液体が圧力室52に供給される。
【0257】
なお、図4(a)には、記録媒体16に高解像度の画像を高速で形成し得る構造として、複数のノズル51が2次元配列されている場合を例に示したが、本発明における打滴ヘッドは、複数のノズル51が2次元配列された構造に特に限定されるものではなく、複数のノズル51が1次元配列された構造であってもよい。また、打滴ヘッドを構成する吐出素子として図4(b)に示した圧力室ユニット54は、一例であって、このような場合に特に限定されない。例えば、圧力室52よりも下(すなわち圧力室52よりも吐出面510側)に共通液室55を配置する代りに、圧力室52よりも上(すなわち吐出面510とは反対側)に共通液室55を配置してもよい。また、例えば、圧電体58aを用いる代りに、発熱体を用いて、液体吐出力を発生するようにしてもよい。
【0258】
なお、本発明においては、処理液の記録媒体上への付与手段として、ノズルからの処理液の吐出によるもののほかに、塗布等、他の手段を用いてもよい。
前記塗布に用いる装置としては特に制限はなく、公知の塗布装置を目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。
【0259】
*液体供給系
図5は、画像記録装置10における液体供給系統の構成を示した概要図である。
液体タンク60は、打滴ヘッド50に液体を供給するための基タンクである。液体タンク60と打滴ヘッド50を繋ぐ管路の途中には、液体タンク60から打滴ヘッド50へ液体を送液する液体供給ポンプ62が設けられている。液体タンク60及び打滴ヘッド50及び両者を繋ぐ管路は温度検出手段とヒーターにより内部のインクとともに温度調節されることが好ましい。このときのインク温度は40℃〜80℃に調節されることが好ましい。
【0260】
また、画像記録装置10には、長期の吐出休止期間におけるノズル51のメニスカスの乾燥を防止又はメニスカス近傍の粘度の上昇を防止する手段としてのキャップ64と、吐出面50aを清掃する手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。キャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によって打滴ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から打滴ヘッド50の下方のメンテナンス位置に移動されるようになっている。
【0261】
キャップ64は、図示しない昇降機構によって打滴ヘッド50に対して相対的に昇降される。昇降機構は、キャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、打滴ヘッド50に密着させることにより、吐出面50aの少なくともノズル領域をキャップ64で覆うようになっている。
また、好ましくは、キャップ64の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。
【0262】
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したクリーニングブレード用の移動機構により打滴ヘッド50の吐出面50aにおいて摺動可能である。吐出面50aに液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66を吐出面50aにおいて摺動させることで吐出面50aを拭き取り、吐出面50aを清浄するようになっている。
吸引ポンプ67は、打滴ヘッド50の吐出面50aをキャップ64が覆った状態で、その打滴ヘッド50のノズル51から液体を吸引し、吸引した液体を回収タンク68へ送液する。
【0263】
このような吸引動作は、画像記録装置10に液体タンク60が装填されて液体タンク60から打滴ヘッド50へ液体を充填するとき(初期充填時)のほか、長時間停止して粘度が上昇した液体を除去するとき(長時間停止の使用開始時)にも行なわれる。
ここで、ノズル51からの吐出について整理しておくと、第1に、紙などの記録媒体に画像形成するために記録媒体に向けて行なう通常の吐出があり、第2に、キャップ64を液体受けとしてそのキャップ64に向けて行なうパージ(空吐出ともいう)がある。
【0264】
また、打滴ヘッド50のノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内の粘度上昇があるレベルを超えたりすると、前述の空吐出では液体をノズル51から吐出できなくなるので、打滴ヘッド50の吐出面50aにキャップ64を当てて打滴ヘッド50の圧力室52内の気泡が混入した液体又は増粘した液体を吸引ポンプ67で吸引する動作が行なわれる。
ここで、打滴ヘッド50、液体タンク60、液体供給ポンプ62、キャップ64、クリーニングブレード66、吸引ポンプ67、回収タンク68、及びこれらを繋ぐインク流路、並びにその他インクが直接触れる部材及び機器は、耐溶解性、耐膨潤性を持つことが好ましい。またこれらの部材及び機器は遮光性を持つことが好ましい。
【0265】
*制御系
図6は、画像記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。
図6において、画像記録装置10は、主として、液体付与部12、画像検出部24、UV光源27、通信インターフェース110、システムコントローラ112、メモリ114、152、搬送用のモータ116、モータドライバ118、ヒータ122、ヒータドライバ124、媒体種別検出部132、インク種別検出部134、照度検出部135、環境温度検出部136、環境湿度検出部137、媒体温度検出部138、給液部142、給液ドライバ144、プリント制御部150、ヘッドドライバ154、及び、光源ドライバ156を含んで構成されている。
なお、液体付与部12、画像検出部24、及び、UV光源27については、それぞれ図2に記載したものと同一であり既に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0266】
通信インターフェース110は、ホストコンピュータ300から送信される画像データを受信する画像データ入力手段である。通信インターフェース110には、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394などの有線、又は、無線のインターフェースを適用することができる。この通信インターフェース110を介して画像記録装置10に入力された画像データは、画像データ記憶用の第1のメモリ114に一旦記憶される。
【0267】
システムコントローラ112は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、第1のメモリ114に予め記憶された所定のプログラムに従って画像記録装置10の全体を制御する主制御手段である。すなわち、システムコントローラ112は、通信インターフェース110、モータドライバ118、ヒータドライバ124、媒体種別検出部132、インク種別検出部134、プリント制御部150等の各部を制御する。
【0268】
搬送用のモータ116は、紙などの記録媒体を搬送するためのローラやベルト等に動力を与える。この搬送用モータ116によって、液体付与部12を構成する打滴ヘッド50と記録媒体とが相対的に移動する。モータドライバ118は、システムコントローラ112からの指示に従って搬送用のモータ116を駆動する回路である。
【0269】
ヒータ122は、図2の加熱ドラム30その他のヒータ122を駆動する回路である。ヒータドライバ124は、システムコントローラ112からの指示にしたがってヒータ122を駆動する回路である。
【0270】
媒体種別検出部132は、記録媒体の種別を検出するものである。記録媒体の種別の検出態様には各種ある。例えば、図2の給紙部18にセンサを設けて検出する態様、ユーザの操作により入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力された画像データ(例えば、解像度や色)又はその画像データの付加データを解析することにより自動で検出するようにした態様がある。
【0271】
インク種別検出部134は、インクの種別を検出するものである。インクの種別の検出態様には各種ある。例えば、図2の液体貯蔵/装填部14にセンサを設けて検出する態様、ユーザの操作により入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力された画像データ(例えば、解像度や色)又はその画像データの付加データを解析することにより自動で検出するようにした態様がある。
【0272】
照度検出部135は、UV光源27から発せられた紫外線の照度を検出するものである。照度の検出態様としては例えば図2のUV光源27の近傍に照度センサを設けて検出する態様がある。
環境温度検出部136は、外気又は画像記録装置内の温度を検出するものである。環境温度検出態様としては例えば装置外部又は装置内部に温度センサを設けて検出する態様がある。
環境湿度検出部137は、外気又は画像記録装置内の湿度を検出するものである。環境湿度検出態様としては例えば装置外部又は装置内部に湿度センサを設けて検出する態様がある。
媒体温度検出部138は、記録媒体の画像形成時の温度を検出するものである。媒体温度検出態様には各種ある。例えば、図2のベルト搬送部22に接触式の温度センサを設けて検出する態様、記録媒体16の上方に非接触式の温度センサを設けて検出する態様がある。
【0273】
給液部142は、図5の液体タンク60から液体付与部12へインクを流動させる管路及び給液ポンプ62などによって構成されている。
給液ドライバ144は、液体付与部12に液体が供給されるように、給液部142を構成する給液ポンプ62などを駆動する回路である。
【0274】
プリント制御部150は、画像記録装置10に入力される画像データに基づいて、液体付与部12を構成する各打滴ヘッド50が記録媒体に向けて吐出(打滴)を行なうために必要なデータ(打滴データ)を生成する。すなわち、プリント制御部150は、システムコントローラ112の制御に従い、第1のメモリ114内の画像データから打滴データを生成するための各種の加工、補正などの画像処理を行なう画像処理手段として機能し、生成した打滴データをヘッドドライバ154へ供給する。
また、プリント制御部150は、媒体種別検出部132によって検出された媒体種別及びインク種別検出部134によって検出されたインク種別に基づいて、処理液によって記録媒体上に形成される液体膜の厚さを決定し、ヘッドドライバ154を用いて、処理液の打滴量を制御することにより、液体膜の厚さを切り換える。
プリント制御部150には第2のメモリ152が付随しており、プリント制御部150における画像処理時に打滴データ等が第2のメモリ152に一時的に格納される。
【0275】
なお、図6において第2のメモリ152はプリント制御部150に付随する態様で示されているが、第1のメモリ114と兼用することも可能である。また、プリント制御部150とシステムコントローラ112とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0276】
ヘッドドライバ154は、プリント制御部150から与えられる打滴データ(実際には第2のメモリ152に記憶された打滴データである)に基づき、液体付与部12を構成する各打滴ヘッド50に対して吐出用駆動信号を出力する。このヘッドドライバ154から出力された吐出用駆動信号が各打滴ヘッド50(具体的には図4(b)に示すアクチュエータ58)に与えられることによって、打滴ヘッド50から記録媒体に向けて液体(液滴)が吐出される。
【0277】
光源ドライバ156は、プリント制御部150からの指示と照度検出部135によって検出された照度、環境温度検出部136によって検出された環境温度、環境湿度検出部137によって検出された環境湿度、媒体温度検出部138によって検出された媒体温度に基づいてUV光源27に入力する電圧、時間、タイミングを制御し、UV光源27を駆動する回路である。
【実施例】
【0278】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0279】
<顔料分散物の調製>
PB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)16g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDODA;ダイセル・サイテック(株)製)48g、及びBYK−168(ビックケミー社製)16g混合し、スターラーで1時間攪拌した。攪拌後の混合物をアイガーミルにて分散し、顔料分散物P−1を得た。
ここで、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間1時間とした。
【0280】
<顔料を含有するインクジェット記録用液体I−1の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、インクジェット記録用液体I−1を調製した。インクジェット記録用液体I−1のsp値は20、表面張力は32mN/mであった。
・上記の顔料分散物P−1 … 3.75g
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(重合性化合物)…11.25g
(HDODA;ダイセル・サイテック(株)製)
【0281】
sp値は、既述のように、R.L.smith(東北大学)によるsp値計算プログラムにより計算した(25℃)。以下、同様である。但し、炭素原子を含まない化合物は計算から除くと共に、ポリマーやポリエチレン鎖等の構成単位については結合手を持つ飽和の繰り返し単位とし、水は47.8として計算した。
【0282】
<顔料を含まないインクジェット記録用インクの液体II−1の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、インクジェット記録用インクの液体II−1を調製した。液体II−1のsp値は20、表面張力は23mN/mであった。
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(重合性化合物)…11.7g
(HDODA;ダイセル・サイテック(株)製)
・下記重合開始剤Irg907 … 1.5g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記増感剤ダロキュアITX … 0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記増感剤ダロキュアEDB … 0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・メガファックF475(大日本インキ化学工業(株)製) … 0.3g
【0283】
【化28】



【0284】
<1液型のインクジェット記録用の比較インク液I−0の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、1液型のインクジェット記録用の比較インク液I−0を調製した。比較インク液I−0のsp値は20、表面張力は32mN/mであった。
〈組成〉
・前記顔料分散物P−1 … 3.75g
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(重合性化合物)… 8.25g
(HDODA;ダイセル・サイテック(株)製)
・前記重合開始剤Irg907 … 1.5g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアITX … 0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアEDB … 0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
【0285】
<画像記録及び評価>
調製したインクジェット記録用液体I−1、液体II−1をインクジェットプリンタ(東芝テックヘッド(CA3)搭載=打滴周波数:4.8KHz、ノズル数:318、ノズル密度:150npi(ノズル/インチ、以下同様)、ドロップサイズ:6pl〜42plを7段階に可変のヘッドを2つ配列して300npiにしたヘッドセットを4組搭載)に装填した。ヘッドは機体に固定して、ヘッドの直下を被記録媒体が移動可能な構造に構成すると共に、インクジェット記録用液体I−1が装填されたヘッドに対して被記録媒体の進行方向に15cm離した位置にメタルハライドランプを設置した実験機を作製した。被記録媒体の搬送はロール搬送とした。
【0286】
まず、上記の実験機を用い、液体II−1が装填されたヘッドによって被記録媒体の表面全体に液体II−1を均一に付与した(42pl)。液体II−1を付与後、メタルハライドランプにより露光を行なって付与された液体II−1の粘度を上昇させる、あるいは、このメタルハライドランプによる露光を行なわないという2通りの処理を行なった。その後、インクジェット記録用液体I−1が装填されたヘッドによって、前記液体II−1が付与された画面上にインクジェット記録用液体I−1を重ね打ちしてライン状に描画した(42pl)。続いて、「あいうえお」を5ptの反転文字を描画した。その後、メタルハライドランプにより紫外線(波長365nm)を紫外線量500mJ/cmにて照射し、画像を固定化した。
【0287】
ここで、液体I−1による描画前であって、液体II−1の付与後のメタルハライドランプによる露光は、100mJ/cm、500mJ/cmとし、液体II−1の付与からインクジェット記録用液体I−1の打滴までの間隔を30秒とした。
また、被記録媒体には、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET:ルミラー:東レ(株)製)シートを用いた(以下、PETシートという)。
【0288】
被記録媒体の表面全体に付与(描画)された液体II−1の粘度測定は、露光後の液体II−1を掻き集め、25℃に保って、ラボ用ハンディ型デジタル粘度計ビスコスティック(マルヤス工業(株)製)を用いて行なった。100mJ/cmで露光した場合は、完全に硬化せず、粘度ρは1200mPa・sであった。500mJ/cmで露光した場合は完全に硬化した。
【0289】
このとき、PETシートの搬送速度を調節して、液体II−1については隣接する液滴間の重なり率が5%になるようにし、インクジェット記録用液体I−1については隣接する液滴間(例えば第1の液滴a1と第1の液滴a2との間)の重なり率が50%になるようにした。
【0290】
なお、重なり率は、既述のように、1滴打滴して1秒後の液滴半径をbとし、隣接打滴中心点間の間隔をcとして100×(2b−c)/(2b)[%]にて算出したものである。
【0291】
さらに、液体II−1を比較インク液I−0に代え、インクジェット記録用I−1を用いなかったこと以外は、上記と同様の操作を行なって画像の記録を行なった。
【0292】
得られた画像並びに、インクジェット記録用I−1、液体II−1、及び比較インク液I−0について、下記の評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。なお、上記で調製した各液について、「I−」の液はI液(記録液)、「II−」の液はII液(処理液)である。
【0293】
−1.ライン品質の評価−
幅100μmで、点と点の間隔が84μmのライン状に描画された画像のラインの品質を、顕微鏡による50倍拡大写真を目視で判断し、下記評価基準にしたがって評価した。但し、比較インク液I−0は1液のみをライン状に打滴した。
〈評価基準〉
A :ドット形状が保持され、均質なライン形状が得られた。
B :各ドットの独立性がなく、隣接する液滴間の合一による線幅の乱れがところどころ認められた。
C :各ドットの独立性がなく、隣接する液滴間の合一による線幅の乱れが全体的に認められた。
【0294】
−2.ライン幅の評価−
点と点の間隔が84μm、ノズル間隔が175μm、ライン幅方向に1滴の液滴でライン状に描画された画像のライン幅を、顕微鏡による50倍拡大写真を基に、5点平均法で測定した。尚、ライン幅方向に1滴の液滴で構成されるライン幅は、理想的には40μmとなる。
【0295】
−3.反転文字の文字品質−
反転文字の文字品質を、写真専用紙(富士写真フイルム製 画彩)に吐出した場合を基準として、「あいうえお」の中で、最も文字の白抜け部分が狭まった文字部分を、元の文字と比べて下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:文字の形が整っており、白抜け部分が狭まっていなかった。
B:白抜け部分が10〜30%狭まっていた。
C:白抜け部分が30%以上狭まっていた。
【0296】
−4.ベタツキ性の評価−
紫外線の照射直後、画像面(記録面)を指で触り、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:ベタツキはなかった。
B:若干ベタツキが認められた。
C:著しくベタツキが認められた。
【0297】
−5.耐擦過性の評価−
ライン状の画像が記録されたPETシートについて、紫外線照射後30分経過した後の画像を消しゴムで10往復擦ったときの変化を観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:擦過による濃度低下は全くなかった。
B:擦過による濃度低下が僅かに認められた。
C:擦過により著しく濃度が低下した。
【0298】
−6.耐光性の評価−
ライン状の画像が記録されたPETシートに対して、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いてキセノン光(85,000Lux)を1週間照射し、照射前後の濃度をマイクロデンシトメーター(機種名:MICRO−PHOTOMETER MPM−No.172、メーカー名:ユニオン オプティカル(株)製)にて測定して色素残存率〔%〕を求め、下記評価基準にしたがって5段階評価した。なお、耐光性の評価はPETシート上の画像のみについて行なった。
〈評価基準〉
A:色素残存率が90%以上であった。
B:色素残存率が89〜80%であった。
C:色素残存率が79〜70%であった。
D:色素残存率が69〜50%であった。
E:色素残存率が49%未満であった。
【0299】
−7.オゾン耐性の評価−
ライン状の画像が記録されたPETシートをオゾン濃度5.0ppm条件下に1週間保存し、保存前後での画像の濃度をマイクロデンシトメーター(機種名:MICRO−PHOTOMETER MPM−No.172、メーカー名:ユニオン オプティカル(株)製)にて測定して色素残存率(%)を求め、下記評価基準にしたがって5段階評価した。なお、オゾン耐性の評価はPETシート上の画像のみについて行なった。
〈評価基準〉
A:色素残存率が90%以上であった。
B:色素残存率が89〜80%であった。
C:色素残存率が79〜70%であった。
D:色素残存率が69〜50%であった。
E:色素残存率が49%未満であった。
【0300】
【表1】



【0301】
前記表1に示すように、本発明に係る実施例は、比較例に比して、良好なライン品質が得られ、液体II−1を完全固化せずに粘度上昇させることで文字の乱れを回避でき、再現性の高い画像を記録することができた。比較例では、反転文字のように広い画像中に微細な非画像領域が形成された絵柄において、非画像領域の面積が縮み、文字品質が低下してしまった。一方、液体II−1を完全に固化させた場合には、液体II−1はプラスチックと同様であり、ドット形状を保持できずに滲みを生じ、均質な線幅が得られず、ベタツキ及び擦過性に劣っており、2液化することによる効果が得られなかった。
【0302】
(実施例2)
実施例1の液体I−1、液体II−1の調製に用いたHDODA(ダイセル・サイテック(株)製)をこれと等質量の下記の高沸点有機溶媒S−15に代えたこと以外、実施例1と同様にして、液体I−1、液体II−1を調製し、画像記録を行なうと共に、反転文字の文字品質を評価したところ、本実施例でも、実施例1と同様の結果が得られた。
【0303】
【化29】



【図面の簡単な説明】
【0304】
【図1】画像形成原理を説明するための工程図である。
【図2】本発明のインクジェット記録方法により画像を記録する画像記録装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図3】図2の画像記録装置の液体付与部12及びその周辺部分を拡大して示す平面図である。
【図4】(a)は図3の打滴ヘッドの基本的な全体構造の例を示す平面図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図5】画像記録装置を構成する液体供給系統の構成例を示す概略図である。
【図6】画像記録装置を構成する制御システムの構成例を示すブロック図である。
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−961(P2008−961A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171731(P2006−171731)