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【発明の名称】 液滴吐出装置
【発明者】 【氏名】鈴木 雅

【氏名】八木 孝

【要約】 【課題】各記録ヘッドユニットでばらつくことなく効率よく駆動ICを冷却することができる液滴吐出装置を得る。

【構成】支持部材40及び各スペーサ部材42をアルミニウムで形成し、支持部材40と各スペーサ部材42とを接触させて熱伝達可能な状態とし、熱伝導性の接着剤134を介してスペーサ部材42に形成された立壁42AとFPC130に配設された駆動IC132を接着させることで、駆動IC132の熱を、接着剤134、スペーサ部材42及び支持部材40を介して放熱させることができる。これによれば、各記録ヘッドユニット32で駆動IC132の冷却にバラツキは生じない。また、支持部材40自体で放熱させる構成であるため、支持部材の温度を均一化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液滴を吐出する複数の液滴吐出ヘッドユニットと、
前記液滴吐出ヘッドユニットに設けられ、複数の圧電素子が配設された素子基板と、
前記素子基板にそれぞれ接続され、前記複数の圧電素子へ駆動信号を送信する駆動ICが設けられた複数の駆動基板と、
熱伝導性材料で形成され、前記複数の液滴吐出ヘッドユニットが配列され、各前記駆動ICの熱を伝達される支持部材と、
を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記液滴吐出ヘッドユニットへ液体を供給する流路を前記支持部材に形成したことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
熱伝導性材料で形成され、前記支持部材に取付けられ前記駆動ICが接触する中間部材を有することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記中間部材が、前記支持部材に対して着脱可能であることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記中間部材に放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
熱伝導性接着剤を用いて、前記駆動ICと前記中間部材とを固着させることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記支持部材の熱歪を吸収する伸縮吸収部を該支持部材に設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を吐出し記録媒体に画像を記録する液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドを往復走査する従来のPWA方式の液滴吐出記録装置において、高速印字のためにノズル数を増加すると、ヘッド質量も増加しヘッド走査機構への負荷が大きくなるため、多ノズル化に限界があった。また、往復走査の反転時に余分な走査距離(アイドルラン)が生じるため、高速化をはかる上で不利になる。
【0003】
これらを解決する方法として、印刷方向に解像度と同ピッチで多数のノズルを配置したフルライン/記録媒体幅の液体吐出ヘッド(FWA方式)が既に知られている。多数のノズルを備えるラインヘッドは、一体/単一のヘッドとして製造すると、歩留りが低下したり、高額な製造設備を必要とする(ex. 大口径シリコンプロセス装置)等の問題がある。
【0004】
そこで、比較的ノズル数の少ない記録ヘッドユニットをライン状に複数個接続し、長尺化する技術が開示されている。例えば、特許文献1では、金属等のベースプレート上に、圧力発生素子が設けられた複数の素子基板をライン状に並べて接着固定し、この素子基板上にノズル及びインク流路を備えた支持部材を接合してラインヘッドを実現している。
【0005】
また、特許文献2では、ベースプレートを用いずに記録ヘッドユニットを並べて接合していく方式を採っている。この他、特許文献3では、フレームに記録ヘッドユニットを千鳥状配列した構造が開示されている。
【0006】
いずれの技術も、構成部品の中で最も低歩留まりな素子基板をユニット分割して製造する(一括一体製造しない)方式であり、隣接ユニット同士を相互に高精度位置決め固定することが必須となる。
【0007】
このような記録ヘッドユニットを位置決めする方法としては、各記録ヘッドユニットの外形を基準とする方法、特別なアライメントマークを基準とする方法、実際に液滴を噴射するノズルを基準とする方法などを使用し、所定の位置にアライメントした後、接着剤等を使用してベースプレートに接合固定して長尺ヘッドを構成する。
【0008】
一方、液滴を噴射させ記録媒体上に画像を形成するためには、記録素子(ピエゾ素子/電気熱変換素子など)を駆動するための駆動ICが必要になるが、近年、より高速な印字のために駆動周波数を上げたり、同時駆動ノズル数を増加させることが求められ、さらには高画質化のために複数の大きさの液滴を噴射させたり、液滴を重ねて階調を表現させるなど駆動周波数も増大する傾向にあり、駆動電圧が駆動ICに集中して、駆動ICが高温になる。特に、長尺ヘッドではノズル数が飛躍的に増大することも重なって、駆動ICの温度上昇は著しい。
【0009】
駆動ICの温度が上昇しすぎると、駆動IC自体の故障につながるだけでなく、記録ヘッドユニット近傍の環境温度も上昇することになり、熱膨張によりノズル位置が変動したり、長尺ヘッドに反りが発生したりして、記録画質が悪化する可能性があるため、駆動ICの温度上昇を抑制するための冷却機構(ヒートシンクやヒートパイプ等)が必要になるが、この冷却機構を別途付加する構成では、部品が多くなり、装置が大型化し、コストアップとなってしまう。
【0010】
また、確実に冷却するためには、駆動ICを冷却部材に密着させる必要があるが、外力で駆動ICを押し付ける等の方法では、加重のばらつきなどで駆動IC全面を均一に押し付けることができない。駆動ICを押し付ける力が弱すぎると、駆動ICの冷却部材への密着が不十分となり、駆動ICを押し付ける力が強すぎると、駆動ICが破損するなど製造工程で微妙な調整工程が必要になったり、プリンタ使用中に押し付け力がばらついてしまい冷却効果がばらつくという可能性もあり問題である。
【0011】
このため、熱伝導性接着剤などを使用して、駆動ICを冷却部材に密着させると、確実に放熱できるが、長尺ヘッドで記録ヘッドユニットの交換をする際には、熱伝導性接着剤をはがす等の破壊作業が必要となり、適さない。つまり、記録ヘッドユニットの交換を可能とした長尺ヘッドでは、駆動ICを冷却部材に密着させるのは困難であった。
【0012】
一方、特許文献4では、往復走査するインクジェットヘッドを保持するキャリッジにヒートシンクを有し、インクジェットヘッドをキャリッジに装着したときドライバIC(駆動ICに相当)と接する位置に該ヒートシンクを設けるようにしているが、ドライバICとヒートシンクとは異なる部材に取付けられており、長尺ヘッドの場合、各記録ヘッドユニットにおいて、ドライバICとヒートシンクとを接触させた状態で接触状態にバラツキが生じ、各記録ヘッドユニット間でドライバICの冷却効率が異なる恐れがある。
【0013】
また、特許文献5は、インクジェットプリントのラインヘッドに冷却用のヒートパイプ等、熱伝導体を接触させてラインヘッド内の温度分布を均一にさせるようにしているが、このヒートパイプは長尺状となっているため、ラインヘッドの反りなどの変形により、ラインヘッドとヒートパイプとの接合状態が、各ヘッドで異なる恐れがある。
【0014】
さらに、特許文献6は、プリントヘッドの側面に冷却媒体循環手段を備えた支持バーを接触させ、プリントヘッドを冷却するようにしているが、該冷却媒体循環手段は、ポンプ水貯蔵器及び熱交換器を含んで構成され、部品点数が増えコストアップに繋がると共に、プリントヘッドが大型化する。
【特許文献1】特開平10−181004号公報
【特許文献2】特開2003−266710号公報
【特許文献3】特開2001−199074号公報
【特許文献4】特開平9−76485号公報
【特許文献5】特開2002−192724号公報
【特許文献6】特開平10−278251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上記事実を考慮して、各記録ヘッドユニットでばらつくことなく効率よく駆動ICを冷却することができる液滴吐出装置を得る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ノズルから液滴を吐出する複数の液滴吐出ヘッドユニットと、前記液滴吐出ヘッドユニットに設けられ、複数の圧電素子が配設された素子基板と、前記素子基板にそれぞれ接続され、前記複数の圧電素子へ駆動信号を送信する駆動ICが設けられた複数の駆動基板と、熱伝導性材料で形成され、前記複数の液滴吐出ヘッドユニットが配列され、各前記駆動ICの熱を伝達される支持部材と、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項1に記載の発明では、支持部材に配列された複数の液滴吐出ヘッドユニットには、複数の圧電素子が配設された素子基板を設けており、該圧電素子へ駆動信号を送信する駆動ICが設けられた複数の駆動基板とそれぞれ接続させている。
【0018】
ここで、支持部材を熱伝導性材料で形成し、各駆動ICの熱を伝達させる。支持部材を熱伝導性材料で形成することで、該支持部材によって放熱が可能となり、各駆動ICの熱を支持部材へ伝達し放熱させることができる。
【0019】
これによれば、各駆動ICの熱を支持部材へ伝達することで放熱させるため、各液滴吐出ヘッドユニットで駆動ICの冷却においてバラツキが生じにくい。また、支持部材自体で放熱させる構成であるため、支持部材の温度を均一化させることができる。さらに、駆動ICの冷却に複雑な構成が不要であり、液滴吐出装置が大型化することもない。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドユニットへ液体を供給する流路を前記支持部材に形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項2に記載の発明では、液滴吐出ヘッドユニットへ液体を供給する流路を支持部材に形成し、該流路内で液体を流動させることで、支持部材を冷却することができるため、支持部材に接触している各駆動基板を積極的に冷却させ、さらに、効果的に駆動ICを冷却することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出装置において、熱伝導性材料で形成され、前記支持部材に取付けられ前記駆動ICが接触する中間部材を有することを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の発明では、支持部材に取付けられ駆動ICが接触する中間部材を設け、該中間部材を熱伝導性材料で形成する。これにより、該中間部材を介して支持部材と駆動ICとで熱伝達が可能となり、駆動ICによる熱は、中間部材を介して支持部材へ伝達され、中間部材及び支持部材によって放熱されることとなる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液滴吐出装置において、前記中間部材が、前記支持部材に対して着脱可能であることを特徴とする。
【0025】
請求項4に記載の発明では、中間部材を支持部材に対して着脱可能とすることで、液滴吐出ヘッドユニットの交換が容易にできることとなる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の液滴吐出装置において、前記中間部材に放熱フィンを設けたことを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の発明では、中間部材に放熱フィンを設けることで、さらに、効果的に駆動ICを冷却することができる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、熱伝導性接着剤を用いて、前記駆動ICと前記中間部材とを固着させることを特徴とする。
【0029】
請求項6に記載の発明では、熱伝導性接着剤を用いて、駆動ICと中間部材とを固着させることで、駆動ICの熱がより確実に中間部材に伝達される。
【0030】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記支持部材の熱歪を吸収する伸縮吸収部を該支持部材に設けたことを特徴とする。
【0031】
請求項7に記載の発明では、支持部材の熱歪を吸収する伸縮吸収部を該支持部材に設けることで、温度が変動する環境下でも、支持部材の熱歪の影響を防止し、温度変動に伴う各液滴吐出ヘッドユニット間の位置ずれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、上記構成としたので、各記録ヘッドユニットでばらつくことなく効率よく駆動ICを冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る液滴吐出装置としてのインクジェット記録装置について説明する。
【0034】
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置が示されている。
【0035】
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、用紙Pをストックすると共に画像記録時に送り出す用紙供給部12、用紙供給部12から送り込まれた用紙Pの姿勢を制御して記録ヘッド部16に送り出すレジ調整部14、レジ調整部14から送り込まれた用紙Pに対しインク滴を吐出して画像を記録する記録ヘッド部16、及び、記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18を備えた記録部20、記録部20で画像記録された用紙Pが排出される排出部22によって基本構成されている。
【0036】
用紙供給部12には、複数枚の用紙Pが積層されてストックされるストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とが設けられている。
【0037】
レジ調整部14には、ループ形成部28と、用紙の姿勢を制御するガイド部材29とが設けられており、用紙供給部12から送り込まれた用紙Pは、これらのループ形成部28及びガイド部材29を通過することにより、用紙Pのコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に送り込まれる。
【0038】
記録部20では、上下に対向する記録ヘッド部16とメンテナンス部18が設けられており、それらの間には、レジ調整部14から送り込まれた用紙Pが搬送される用紙搬送路が構成されている。記録ヘッド部16には、用紙搬送路に沿って所定の間隔で配列された複数のインクジェット記録ヘッド30が設けられており、用紙搬送路における各インクジェット記録ヘッド30の上流側と下流側には、上下に対向するスターホイール17と搬送ロール19が複数対設けられている。
【0039】
用紙Pは、これらのスターホイール17と搬送ロール19に挟持されつつ用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送され、記録ヘッド部16の各インクジェット記録ヘッド30からインク滴が吐出されることにより画像が記録される。そして、排出部22では、記録部20で画像記録された用紙Pが排紙ベルト23により搬送されてトレイ25に収納される。
【0040】
メンテナンス部18は、複数のインクジェット記録ヘッド30の各々に対向して配置された複数のメンテナンス装置21を備えている。メンテナンス装置21は、ワイピング、ダミージェット、バキューム等のメンテナンス処理を行うことができる。
【0041】
次に、このインクジェット記録装置10に搭載されたインクジェット記録ヘッド30について詳細に説明する。
【0042】
図2及び図3(A)、(B)に示すように、インクジェット記録ヘッド30は、紙送り方向Xと直交する方向(紙幅方向Y)に沿って配列された、複数の記録ヘッドユニット32を備えている。図3(B)に示すように、記録ヘッドユニット32には、紙幅方向Yに沿ってライン状に複数のノズル74が形成されており、記録ヘッドユニット32は、上記の用紙搬送路を連続的に搬送される用紙Pに対し、ノズル74からインク滴を吐出することで、用紙P上に画像を記録する。
【0043】
なお、インクジェット記録装置10に搭載されたこのインクジェット記録ヘッド30は、例えば、いわゆるフルカラーの画像を記録するために、YMCKの各色に対応して、少なくとも4つ配置されている。
【0044】
そして、図4に示すように、1つのインクジェット記録ヘッド30にライン状に形成されたノズル74による印字領域幅は、このインクジェット記録装置10での画像記録が想定される用紙Pの用紙最大幅PWよりも長くされており、インクジェット記録ヘッド30を紙幅方向Yに移動させることなく用紙Pの全幅にわたる画像記録が可能とされている(いわゆるFull Width Array(FWA))。
【0045】
ここで、印字領域とは、用紙Pの両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる用紙最大幅PWよりも大きくとっている。これは、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いためである。
【0046】
このインクジェット記録ヘッド30は、図2及び図3(A)、(B)に示すように、支持部材40、上述した複数の記録ヘッドユニット32、及び、複数のスペーサ部材42を含んで構成されている。
【0047】
支持部材40は、アルミニウムで形成されており(材料は高熱伝導材料(熱伝導率が約10W/m・K以上)であればよく、アルミニウム以外にも、ステンレス、銅、チタン等の金属材料、高熱伝導性樹脂などを用いても良い)、紙幅方向Yに長尺とされている。また、支持部材40の長手方向の両端部には、一対の取付板41が設けられており、この一対の取付板41がインクジェット記録装置10のフレーム(図示省略)に取り付けられる。
【0048】
さらに、図5及び図6に示すように、支持部材40の中央部には、長手方向に沿って所定の間隔で複数の開口部40Aが形成されており、開口部40Aの外側には、開口部40Bがそれぞれ形成されている。また、支持部材40の下面には、アルミニウムで形成された板状のスペーサ部材(中間部材)42が固定されており、各記録ヘッドユニット32毎に、紙送り方向Xに互いに離間して2個配置されている。
【0049】
このスペーサ部材42は、支持部材40に2箇所でねじ46によりねじ止めされている。これにより、スペーサ部材42は支持部材40から取り外し可能とされている。また、2個のスペーサ部材42の間には、図示しないインクタンクからインクを記録ヘッドユニット32へ供給するインク供給ユニット44が配置され、インクタンク中継チューブ44Aを通じてインク供給ユニット44内にインクが供給される。
【0050】
このように、2個のスペーサ部材42を、互いに離間して配置することにより、スペーサ部材42自体にインク供給用の流路を設ける必要はなく、離間部分にインク供給ユニット44を配置でき、インク供給経路を確保することが可能となる。更には、スペーサ部材42にインク供給経路を形成する必要が無いため、耐インク性を考慮しない材料選定が可能となり、スペーサ部材42に使用する材料選定に自由度が得られる。
【0051】
また、ここでは各記録ヘッドユニット32毎に互いに離間した2個のスペーサ部材を使用する場合を記載したが、この形態に限られるものではなく、例えば、上記互いに離間した2個のスペーサ部材42を1個のスペーサ部材とし、インク供給ユニット44を配置する部分にはスペーサ部材が存在しないように貫通孔を形成する形態とすればよい。
【0052】
一方、記録ヘッドユニット32は、図7(A)、(B)に示すように、スペーサ部材42を挟んで、支持部材40と逆側に配置される。記録ヘッドユニット32は、記録ヘッドユニット32の長手方向に沿った両側で、スペーサ部材42と接合固定されている。本実施形態では、この接合固定がUV(紫外線)硬化型の接着剤Uで行なわれ、詳細については後述する記録ヘッドユニット32とスペーサ部材42との間の所定箇所に接着剤Uが介在している。
【0053】
記録ヘッドユニット32とスペーサ部材42との間には、接着剤Uの厚み分のギャップGが構成され、このギャップGを調整することにより、複数の記録ヘッドユニット32のノズル面52Aの高さをそろえることができる。
【0054】
ところで、このスペーサ部材42には、図8及び図9に示すように、立壁42Aを設けており、該立壁42Aの幅寸法は、開口部40Bの幅寸法よりも狭く、立壁42Aを開口部40B内に挿通可能としている。そして、図6に示すように、立壁42Aの内面を開口部40Bの内壁に接触させるようにする。支持部材40及びスペーサ部材42はそれぞれアルミニウムで形成されているため、スペーサ部材42と支持部材40とは熱伝達可能となる。
【0055】
一方、図7(A)、(B)に示すように、記録ヘッドユニット32は、インク供給中継部材50及びヘッド基板(素子基板)52で構成されている。インク供給中継部材50は、スペーサ部材42側に配置され、インク供給ユニット44と連通されて各ノズル74へインクを供給する個別供給路50Aが形成されている。
【0056】
また、ヘッド基板52は、インクの吐出側に配置され、ノズル面52A側にはインクを吐出させるノズル74が紙幅方向Yに1列に形成されており、このヘッド基板52には、インクを吐出させるための圧電素子、振動板、圧力室(後述する)などが備えられている。
【0057】
図11に示すように、ヘッド基板52には、ノズルプレート72が備えられており、該ノズルプレート72にはインク滴を吐出するノズル74が形成されている。そして、このノズル74が形成されているノズルプレート72の表面がノズル面52Aであり、ノズル面52Aには撥液化処理がなされている。
【0058】
なお、ここではヘッド基板52にノズルを紙幅方向Yに1列に形成した例を挙げたが、この形態に限らない。例えば高画質化や高速化の為、ヘッド基板52に紙幅方向Y及び紙送り方向Xの2次元平面にマトリックス配列状となるようにノズルを形成しても良い。
【0059】
ノズルプレート72の上面には、下から順に、連通孔プレート76、ダンパ部材78、プールプレート80,82,84、連通孔プレート86、流路プレート88、90、圧力室プレート92、振動板94が積層されており、連通孔プレート76には、ノズル74と通じる連通孔96が形成され、ダンパ部材78には連通孔98が形成されている。
【0060】
また、プールプレート80,82,84には、連通孔100,102,104がそれぞれ形成され、連通孔プレート86には連通孔106が形成されている。更に、流路プレート88には連通孔108が形成され、流路プレート90には連通孔110が形成されている。これらのノズル74及び連通孔96,98,100,102,104,106,108,110はそれぞれ連通し、圧力室プレート92に形成された圧力室112に繋がっている。
【0061】
一方、連通孔プレート76には、ダンパ部材78の下部に空洞部114が形成されている。プールプレート80,82,84には、それぞれインクプール116,118,120が形成され、図示しないインク供給ユニットからインク供給孔(図示省略)を経て供給されたインクが貯留されている。また、連通孔プレート86には供給孔122が形成され、流路プレート88にはインク流路124、流路プレート90には供給孔126がそれぞれ形成されている。
【0062】
そして、これらのインクプール116,118,120と、供給孔122と、インク流路124と、供給孔126及び圧力室112は互いに連通しており、インクプール116,118,120から圧力室112内へインクが供給される。
【0063】
また、振動板94の上部には、個々のノズル74と連通する各圧力室112の上方にそれぞれ圧電素子128が取り付けられており、圧電素子128には駆動基板としてのフレキシブル配線基板130(以下、「FPC130」という、図9参照)が電気的に接続されている。
【0064】
図8〜図10に示すように、このFPC130は、2個のスペーサ部材42の内側に位置し開口部40Bを通じて、支持部材40の上方へ露出している。そして、FPC130の外面には、複数の圧電素子へ駆動信号を送信する駆動IC132が配設され、FPC130を介して、インクジェット記録装置10に設けられた図示しないコントローラーと圧電素子128とが接続されて、該圧電素子128へ駆動電圧が印加されるように構成されている。
【0065】
圧電素子128に駆動電圧が印加されると、圧電素子128の撓み変形によって振動板94が上下方向に変形し、圧力室112内に充填されたインクが加圧されて、ノズル74からインク滴が吐出する。そして、記録用紙を搬送しながら、複数のノズル74から選択的にインク滴を吐出することにより、記録用紙に、画像データに基づく画像の一部を記録する。
【0066】
ところで、駆動IC132とスペーサ部材42の立壁42Aの内面は、熱伝導性の接着剤134を介して互いに固着されている。これにより、駆動IC132の熱が、該接着剤134を介して確実にスペーサ部材42へ伝達されることとなる。また、スペーサ部材42の立壁42Aの外面に、駆動IC132と対応する位置に駆動IC132よりも広い面積で、立壁42Aに対して垂直な複数の放熱壁136を形成し、放熱フィン138を構成している。
【0067】
次に、本発明の実施形態に係る記録ヘッドユニット32の製造方法を説明する。
【0068】
まず、必要な厚さに加工した板状の圧電体(厚さ約30μm)の両面に電極層を成膜する。つぎに、成膜した電極層及び圧電体の断面が露出し、各ノズル74(圧力室112)に対応するように、ブラスト法やダイシング法等の手段により圧電体を個別化し、圧電素子128(図11参照)を形成する。
【0069】
そして、接着等の手段により、図11に示すノズルプレート72,連通孔プレート76,ダンパ部材78、プールプレート80,82,84、連通孔プレート86,流路プレート88,90、圧力室プレート92及び振動板94を接合し、該振動板94に圧電素子128を接合する。さらに、圧電素子128の高電位印加面側電極上(図11では上面)に半田接合等の電気接点を介してFPC130(図9参照)を接続する。
【0070】
そして、インクタンクから供給されるインクをインクプール116,118,120に供給する為のインク供給中継部材50及びインク供給ユニット44(図9参照)を取り付ける。以上により、記録ヘッドユニット32が完成する。
【0071】
次に、各記録ヘッドユニット32にUV硬化型接着剤Uを塗布し、支持部材40を記録ヘッドユニット32に密着させる。この状態で、支持部材40と記録ヘッドユニット32の間にUV光を照射し、支持部材40と記録ヘッドユニット32とで位置精度を保ったまま接着剤Uを硬化させて記録ヘッドユニット32を支持部材40に固定する。なお、必要に応じて、補強用接着剤を塗布し硬化させても良い。
【0072】
次に本実施形態のインクジェット記録装置10の作用について説明する。
【0073】
図1に示すインクジェット記録装置10に印字ジョブが入力されて印字(画像記録)動作が開始されると、ストッカ24から用紙Pが1枚ピックアップされ、搬送装置26により、記録部20へ搬送される。
【0074】
一方、インクジェット記録ヘッド30には、すでにインクタンクからインク供給ポートを介して記録ヘッドユニット32の個別供給路50A(図7(A)参照)にインクが注入(充填)されている。このとき、ノズル74の先端(吐出口)では、インクの表面が僅かに凹んだメニスカスが形成されている。
【0075】
用紙Pを所定の搬送速度で搬送しつつ、記録ヘッドユニット32の複数のノズル74から選択的にインク滴を吐出することにより、用紙Pに、画像データに基づく画像を記録する。
【0076】
ところで、本発明では、図9に示す支持部材40及び各スペーサ部材42をアルミニウムで形成し、支持部材40と各スペーサ部材42とを接触させて熱伝達可能な状態とし、熱伝導性の接着剤134を介してスペーサ部材42に形成された立壁42AとFPC130に配設された駆動IC132を接着させることで、駆動IC132の熱を、接着剤134、スペーサ部材42及び支持部材40を介して放熱させることができる(矢印A)。
【0077】
これによれば、各記録ヘッドユニット32で駆動IC132の冷却においてバラツキが生じにくい。また、支持部材40自体で放熱させる構成であるため、支持部材の温度を均一化させることができる。また、駆動IC132を冷却するための複雑な構成が不要であり、インクジェット記録装置10が大型化することもない。
【0078】
さらに、スペーサ部材42を介して固定ネジ46によって各記録ヘッドユニット32を支持部材40に着脱可能に取付けるようにすることで、固定ネジ46を外せば、スペーサ部材42と記録ヘッドユニット32だけが外れるので、熱伝導性接着剤を剥がすことなく記録ヘッドユニット32の交換も簡単に実施できる。
【0079】
また、スペーサ部材42の外面の、FPC130の駆動IC132と対応する位置に、駆動IC132よりも広い面積で放熱フィン138を設けることで、駆動IC132の熱がスペーサ部材42に伝達され、放熱フィン138で放熱する(矢印B)ことができるため、さらに、効果的に駆動IC132を冷却することができる。
【0080】
なお、本形態では、図8に示すように、スペーサ部材42の立壁42Aの外面に、該立壁42Aに対して垂直な複数の放熱壁136を形成することで、放熱フィン138を構成したが、複数の放熱壁136が設けられた放熱フィンをスペーサ部材42の立壁42Aに固着させても良い。この場合、放熱性或いはコストの観点から、放熱フィン138とスペーサ部材42の材料を変えても良い。
【0081】
また、本形態では、支持部材40及び各スペーサ部材42をアルミニウムで形成し、スペーサ部材42の立壁42AとFPC130の駆動IC132を接着させることで、駆動IC132の熱を、接着剤134、スペーサ部材42及び支持部材40を介して放熱させることができるため、放熱フィン138は、必ずしも必要ではない。
【0082】
さらに、本形態では、支持部材40の中央部に、長手方向に沿って所定の間隔で、インク供給ユニット44を配置するための開口部40Aを複数形成しているが、この開口部40Aと開口部40Aの間に、図12及び図13に示すように、支持部材40の長手方向の伸縮を吸収する伸縮吸収部146を形成しても良い。
【0083】
具体的には、支持部材40の幅方向に延びた矩形孔148を該幅方向に沿って複数形成させる。そして、この矩形孔148を、開口部40Aと開口部40Aの間に複数列(ここでは3列)形成し、互い違いとなるように配列する。このため、伸縮吸収部146では、紙送り方向Xでは高剛性であるが、紙幅方向Yでは低剛性で圧縮変形しやすくなっている。
【0084】
このように、支持部材40の幅方向に長い矩形孔148を複数形成することで、支持部材40の長手方向に沿った矩形孔148と矩形孔148との間に位置する縦梁部146Aが変形可能となるが、この縦梁部146Aの変形は矩形孔148内で吸収され、これにより、支持部材40の熱歪による全長方向の変位が吸収されることとなる。
【0085】
以上の構成により、温度が変動する環境下でも、支持部材40の熱歪(熱膨張)が伸縮吸収部146によって吸収され撓みが抑えられるため、支持部材40の撓みを起因とする記録ヘッドユニット32の位置ずれ、特に記録ヘッドユニット間の位置ずれが抑えられる。また、この伸縮吸収部146の矩形孔148により、支持部材40の放熱性を高める効果も得られる。
【0086】
また、本形態では、図9に示すように、支持部材40に開口部40Bを設け、該開口部40Bを通じてFPC130をヘッド基板52と接続させたが、開口部40Bは必ずしも必要ではない。例えば、図14で示すように、スペース部材142の形状を、記録ヘッドユニット32の幅寸法に合わせた板状とし、支持部材40の長手方向の側端面40Cに沿ってスペース部材142を取り付ける。
【0087】
そして、スペース部材142の外側にヘッド基板52と接続されたFPC130が配設されるようにする。FPC130の内側に駆動IC132を配設し、該駆動IC132とスペーサ部材42とを熱伝導性の接着剤134を介して固着する。
【0088】
ここで、スペース部材142を支持部材40に取り付けるに当って、固定ネジ140を用いる。これにより、スペース部材142を支持部材40から着脱可能とするが、FPC130には、スペース部材142を支持部材40に着脱させる際の、固定ネジ140へのアクセス用の開口144を設ける。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。なお、第1の実施形態と略同一の内容については、説明を省略する。
【0090】
図15〜図17に示すように(なお、ここでは、伸縮吸収部146を形成しているが、この伸縮吸収部146はなくても良い)、支持部材40の内部に、インクを流動させるための流路150を設ける。
【0091】
この場合、支持部材40の内部に流路150を設けるため、スペース部材142は、図14に示すように、支持部材40の長手方向の側端面40Cに取り付け、該スペース部材142の外側にヘッド基板52と接続されたFPC130を配設して、FPC130の駆動IC132とスペーサ部材42とを熱伝導性の接着剤134を介して固着させる。
【0092】
そして、該流路150を図5で示すインク供給ユニット44の替わりとして、流路150には、インクタンク中継チューブ150Aを設け、インクタンクからインクが供給されるようにする。このインクタンク中継チューブ150Aを記録ヘッドユニット32のインク供給中継部材50に設けられたインク中継チューブ51と連結させて、インクタンクから供給されたインクが支持部材40内の流路150を経て記録ヘッドユニット32のインク供給中継部材50へ供給されるようにする。
【0093】
このように、インクを流動させる流路150を支持部材40に設け、インクタンクから記録ヘッドユニット32のインク供給中継部材50へのインクの供給過程で、該流路150内でインクを流動させることで、支持部材40を冷却することができるため、支持部材40に接触している各FPC130を積極的に冷却させ、さらに、効果的に駆動IC132を冷却することができる。
【0094】
以上、本発明を上述した実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
【0095】
例えば、上述の実施形態においては、紙幅対応のFWAの例について説明したが、本発明のインクジェット記録ヘッドは、これに限定されず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)の装置にも適用することができる。
【0096】
その他、上記実施例のインクジェット記録装置10では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド30から画像データに基づいて選択的にインク滴が吐出されてフルカラーの画像が用紙Pに記録されるようになっているが、本発明におけるインクジェット記録は、用紙P上への文字や画像の記録に限定されるものではない。
【0097】
すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成するなど、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係るインクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概念図であり、(A)は正面図、(B)は下面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドによる印字領域を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図8】図5の部分拡大図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの側面図である。
【図10】図5のA−A矢視図である。
【図11】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す部分断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの変形例を示す斜視図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの他の変形例を示す側面図である。側面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの正面図である。
【図17】図15のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0099】
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
30 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
32 記録ヘッドユニット(液滴吐出ヘッドユニット)
40 支持部材
42 スペーサ部材(中間部材)
52 ヘッド基板(素子基板)
130 フレキシブル配線基板(駆動基板)
132 駆動IC
134 接着剤(熱伝導性接着剤)
138 放熱フィン
146 伸縮吸収部
150 流路
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−62434(P2008−62434A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−240435(P2006−240435)