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【発明の名称】 液滴吐出ヘッドの検査方法と装置及び液滴吐出装置
【発明者】 【氏名】八木 孝

【要約】 【課題】圧電素子の初期不良を精度良く検出し、高い信頼性を確保する。

【構成】複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、その複数のノズルからインク液滴を吐出するインクジェット記録ヘッドに対し、低電圧と高電圧を個々の圧電素子に印加して静電容量を測定し(ステップ102〜108)、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて圧電素子の撓み発生/剥離発生/正常状態を検出する(ステップ110〜120)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに対し、
少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を前記個々の圧電素子に印加して静電容量を測定し、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて圧電素子の撓み度合を検出する液滴吐出ヘッドの検査方法。
【請求項2】
前記個々の圧電素子について、前記第1の電圧を印加したときの静電容量に対する前記第2の電圧を印加したときの静電容量の低下率を演算し、その低下率が第1の閾値より小さい圧電素子を撓みが発生している圧電素子と判断することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法。
【請求項3】
複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに対し、
少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を前記個々の圧電素子に印加して静電容量を測定し、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて圧電素子の剥離を検出する液滴吐出ヘッドの検査方法。
【請求項4】
前記個々の圧電素子について、前記第1の電圧を印加したときの静電容量に対する前記第2の電圧を印加したときの静電容量の低下率を演算し、その低下率が第2の閾値より大きい圧電素子を剥離が発生している圧電素子と判断することを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法。
【請求項5】
少なくとも前記第2の電圧を印加して静電容量を測定する際に、測定期間中に前記圧電素子に印加される電圧の極性が一定となるように、バイアス電圧を加えた電圧を圧電素子に印加することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法。
【請求項6】
前記液滴吐出ヘッドは情報の記憶及び読み出しが可能な情報記憶手段を備え、前記撓みが発生している圧電素子、又は、前記剥離が発生している圧電素子の検出結果が前記情報記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法。
【請求項7】
撓みが発生している圧電素子、又は、剥離が発生している圧電素子の検出結果を記憶及び読み出し可能な情報記憶手段を備え、複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを着脱可能に搭載可能とし、
前記個々の圧電素子に対し、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を印加して静電容量を測定する静電容量測定手段と、
前記静電容量測定手段によって測定された、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子を検出する検出手段と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの検査装置。
【請求項8】
複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法によって検出された撓み又は剥離が発生している圧電素子を示す情報を記憶する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するように、前記液滴吐出ヘッドの駆動を制御する駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記個々の圧電素子に、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を印加して静電容量を測定する静電容量測定手段と、
前記静電容量測定手段によって測定された、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された撓み又は剥離が発生している圧電素子を示す情報が記憶される情報記憶手段と、
前記情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するように、前記液滴吐出ヘッドの駆動を制御する駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
前記静電容量測定手段による静電容量の測定と、前記検出手段による前記撓み又は剥離が発生している圧電素子の検出と、が定期的に行われることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッドの検査方法と装置及び液滴吐出装置に係り、詳細には、複数のノズルに設けられた個々の圧電素子の駆動により液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの検査方法と装置、及び、その液滴吐出ヘッドの検査方法と装置が適用された液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撓みモード圧電アクチュエータ(圧電素子)の駆動電圧印加による撓み変位によってノズルからインク滴を吐出させる圧電方式のインクジェット記録装置では、圧電素子の不良検出方法として、静電容量測定やインピーダンス(アドミタンス)周波数特性測定が知られている。
【0003】
具体的には、圧電素子の静電容量に応じて印加電圧を変える印字補正方法(例えば、特許文献1参照)、圧電素子を駆動して圧電素子に流れる電流を検出し、検出した電流が規定範囲外のときに圧電素子又は圧電素子駆動回路に故障があるものと判断する故障検出方法(例えば、特許文献2参照)、各ノズルにインピーダンスアナライザを接続し、各ノズルに対応して設けられた圧電素子の固有振動数(共振周波数)を測定し、接着状態が正常の圧電素子における固有振動数からずれた固有振動数の圧電素子を接着不良と判断する接着不良診断方法(例えば、特許文献3参照)、インクジェットプリンタに圧電素子駆動時の共振周波数を測定する測定部を設けると共に、基準となる共振周波数データを記憶部に記憶しておき、圧電素子駆動時の共振周波数の変化を測定することで、圧電素子の不良発生及び圧力室の気泡発生によるインク不吐出を検知する検査方法(例えば、特許文献4参照)などが開示されている。
【特許文献1】特開平10−193613号公報
【特許文献2】特開2002−127405号公報
【特許文献3】特開平11−64175号公報
【特許文献4】特開2004−9501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の各方法によっても、圧電素子の製造段階での初期撓みや剥離を精度良く検出することはできない。すなわち、通常行われる低電界での静電容量測定だけでは、圧電素子の厚さや面積等の製造ばらつきによって不良を十分に検出できず、インピーダンス周波数特性測定でも検出が不可能である。
【0005】
そして、例えば、初期(製造段階)の撓み量が大きい圧電素子の場合、特に微小滴を吐出させる際に吐出しにくくなり、他の圧電素子と同様の駆動条件で駆動できず、圧電素子毎に個別の駆動手段を採用するか、不良品として扱うことになり、コストアップ要因となる。
【0006】
また、圧電素子に撓みが発生し駆動時の応力等でその程度が大きくなると、吐出滴量が変化し、撓みが発生していない圧電素子が設けられたノズルと比較して、吐出滴量が異なることとなり、画像劣化を起こしてしまう。これは特に微小滴の吐出で顕著である。このように、撓みが発生した圧電素子では、駆動時の応力等で吐出特性が変化する、あるいは、駆動に伴い経時で剥離しやすくなることから、十分な信頼性を確保できない問題がある。
【0007】
本発明は上記事実を考慮して、圧電素子の初期不良を精度良く検出し、高い信頼性を確保することができる液滴吐出ヘッドの検査方法と装置、及び液滴吐出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに対し、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を前記個々の圧電素子に印加して静電容量を測定し、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて圧電素子の撓み度合を検出することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明では、複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を印加して静電容量を測定し、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて圧電素子の撓み度合を検出する。この検査方法により、従来の低電界のみの静電容量測定では検出しきれなかった圧電素子の撓み、特に製造段階での初期撓みなどが精度良く検出できるようになり、吐出滴量の均一化による高精度記録(高画質化)、及び信頼性の向上を図るための施策が取れるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法において、前記個々の圧電素子について、前記第1の電圧を印加したときの静電容量に対する前記第2の電圧を印加したときの静電容量の低下率を演算し、その低下率が第1の閾値より小さい圧電素子を撓みが発生している圧電素子と判断することを特徴としている。
【0011】
例えば、製造段階で初期撓みが発生している圧電素子の検出については、請求項2に記載の発明のように、個々の圧電素子について、第1の電圧を印加したときの静電容量に対する第2の電圧を印加したときの静電容量の低下率を演算し、その低下率が第1の閾値より小さい圧電素子を撓みが発生している圧電素子と判断することで実現できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに対し、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を前記個々の圧電素子に印加して静電容量を測定し、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて圧電素子の剥離を検出することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様の検査方法により、従来の低電界のみの静電容量測定では検出しきれなかった圧電素子の剥離、特に製造段階での初期剥離なども精度良く検出できるようになる。したがって、吐出滴量の均一化による高精度記録、及び信頼性の向上を図るための施策が取れるようになる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法において、前記個々の圧電素子について、前記第1の電圧を印加したときの静電容量に対する前記第2の電圧を印加したときの静電容量の低下率を演算し、その低下率が第2の閾値より大きい圧電素子を剥離が発生している圧電素子と判断することを特徴としている。
【0015】
例えば、製造段階で初期剥離が発生している圧電素子の検出については、請求項4に記載の発明のように、個々の圧電素子について、前記第1の電圧を印加したときの静電容量に対する前記第2の電圧を印加したときの静電容量の低下率を演算し、その低下率が第2の閾値より大きい圧電素子を剥離が発生している圧電素子と判断することで実現できる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法において、少なくとも前記第2の電圧を印加して静電容量を測定する際に、測定期間中に前記圧電素子に印加される電圧の極性が一定となるように、バイアス電圧を加えた電圧を圧電素子に印加することを特徴としている。
【0017】
例えば、静電容量の測定時に個々の圧電素子に印加する第1の電圧及び第2の電圧として、電圧の大きさが一定振幅で周期的に変化する電圧を用いた場合、電圧の振幅が小さければ(例えば1V)両極性の電圧を印加しても圧電素子に悪影響を及ぼすことは無いが、電圧の振幅が大きい場合には圧電素子を破壊してしまう可能性がある。
【0018】
そのため、請求項5に記載の発明のように、少なくとも第2の電圧を印加して静電容量を測定する際に、測定期間中に圧電素子に印加される電圧の極性が一定となるように、バイアス電圧を加えた電圧を圧電素子に印加することにより、少なくとも第2の電圧の印加期間中に、圧電素子に印加される電圧の極性が一時的に切り替わることが防止され、圧電素子に悪影響が及ぶことを防止できる。なお、第1の電圧を印加して静電容量を測定する際にも、測定期間中に圧電素子に印加される電圧の極性が一定となるように、バイアス電圧を加えた電圧を圧電素子に印加するようにしてもよい。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法において、前記液滴吐出ヘッドは情報の記憶及び読み出しが可能な情報記憶手段を備え、前記撓みが発生している圧電素子、又は、前記剥離が発生している圧電素子の検出結果が前記情報記憶手段に記憶されることを特徴としている。
【0020】
請求項6に記載の発明では、液滴吐出ヘッドが備える情報記憶手段に、撓みが発生している圧電素子、又は、剥離が発生している圧電素子の検出結果を記憶することで、液滴吐出ヘッドの複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子の状態を認識できるようになる。
【0021】
例えば、液滴吐出ヘッドは通常、液滴吐出装置に組み込んで使用されるが、上記のように撓み又は剥離が発生している圧電素子の検出結果を液滴吐出ヘッドに付加した情報記憶手段に記憶しておくことにより、液滴吐出ヘッドを液滴吐出装置から取り外した状態でも上記の検出結果が取得できるようになる。したがって、液滴吐出ヘッドを液滴吐出装置から取り外して再使用(リユース)する場合等にも、情報記憶手段から情報を読み出すことで上記の検出結果を容易に取得でき、取得した上記の検出結果に基づいて、撓み又は剥離が発生している圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するなど、液滴吐出ヘッドの駆動を制御することにより、吐出滴量のばらつきによる記録精度低下(画質劣化)、及び信頼性低下の抑制を容易に実現することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、撓みが発生している圧電素子、又は、剥離が発生している圧電素子の検出結果を記憶及び読み出し可能な情報記憶手段を備え、複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを着脱可能に搭載可能とし、前記個々の圧電素子に対し、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を印加して静電容量を測定する静電容量測定手段と、前記静電容量測定手段によって測定された、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子を検出する検出手段と、を備えたことを特徴としている。
【0023】
請求項7に記載の発明では、圧電素子の状態を記憶及び読み出し可能な情報記憶手段を備えた液滴吐出ヘッドを着脱可能に搭載可能とし、個々の圧電素子に対し、静電容量測定手段により、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を印加して静電容量を測定し、前記静電容量測定手段によって測定された、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて、撓み又は剥離が発生している圧電素子を検出し、前記撓み又は剥離が発生している圧電素子を示す情報は、液滴吐出ヘッドに備えられた情報記憶手段に記憶される。これにより、液滴吐出ヘッドの検査装置を提供することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法によって検出された撓み又は剥離が発生している圧電素子を示す情報を記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するように、前記液滴吐出ヘッドの駆動を制御する駆動制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0025】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの検査方法により、例えば製造工程等で検出された、撓み又は剥離が発生している圧電素子を示す情報が情報記憶手段に記憶されており、駆動制御手段は、情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて、撓み又は剥離が発生している圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するように、液滴吐出ヘッドの駆動を制御する。これにより、液滴吐出ヘッドから吐出される液滴量を均一化して記録精度(画質)を向上できると共に、信頼性を向上させることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に駆動電圧が印加されることにより、前記複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記個々の圧電素子に、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を印加して静電容量を測定する静電容量測定手段と、前記静電容量測定手段によって測定された、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された撓み又は剥離が発生している圧電素子を示す情報が記憶される情報記憶手段と、前記情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するように、前記液滴吐出ヘッドの駆動を制御する駆動制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0027】
請求項9に記載の発明では、静電容量測定手段は、液滴吐出ヘッドの複数のノズルに対応して設けられた個々の圧電素子に、少なくとも第1の電圧と、この第1の電圧よりも高い第2の電圧と、の高低2以上の電圧を印加して静電容量を測定し、検出手段は、静電容量測定手段によって測定された、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて撓み又は剥離が発生している圧電素子を検出する。この検出手段によって検出された、撓み又は剥離が発生している圧電素子を示す情報は、情報記憶手段に記憶され、駆動制御手段は、情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて、撓み又は剥離が発生している圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するように、液滴吐出ヘッドの駆動を制御する。
【0028】
このように、上記の静電容量測定手段、検出手段、情報記憶手段、及び駆動制御手段を備えることで、装置上で、液滴吐出ヘッドの個々の圧電素子の撓みや剥離を検出、記憶し、これに基づいた駆動制御を行うことができる液滴吐出装置が提供できる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の液滴吐出装置において、前記静電容量測定手段による前記第1の電圧印加時の静電容量及び前記第2の電圧印加時の静電容量の測定と、前記検出手段による前記撓み又は剥離が発生している圧電素子の検出と、が定期的に行われることを特徴としている。
【0030】
請求項10に記載の発明では、静電容量測定手段による静電容量の測定と、検出手段による撓み又は剥離が発生している圧電素子の検出と、を例えば液滴吐出装置の電源ON又はOFF時、メンテナンス時、及び待機時(液滴吐出動作非実行時)等に定期的に行うことで、液滴吐出装置の使用を継続している間に液滴吐出ヘッドの一部の圧電素子の状態が変化した場合等にも、この一部の圧電素子の状態の変化を検出できるようになる。これにより、その状態が変化した圧電素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するように、液滴吐出ヘッドを駆動制御することで、信頼性の高い装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の液滴吐出ヘッドの検査方法と装置、及び液滴吐出装置によれば、圧電素子の初期不良を精度良く検出でき、高い信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッド、及び、そのインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置について説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置が示されている。図1に示すように、インクジェット記録装置10は、用紙Pをストックすると共に画像記録時に送り出す用紙供給部12、用紙供給部12から送り込まれた用紙Pの姿勢を制御して記録ヘッド部16に送り出すレジ調整部14、レジ調整部14から送り込まれた用紙Pに対しインク滴を吐出して画像を記録する記録ヘッド部16、及び、記録ヘッド部16のメンテナンスを行うメンテナンス部18を備えた記録部20、記録部20で画像記録された用紙Pが排出される排出部22によって基本構成されている。
【0034】
用紙供給部12には、複数枚の用紙Pが積層されてストックされるストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とが設けられている。レジ調整部14には、ループ形成部28と、用紙の姿勢を制御するガイド部材29とが設けられており、用紙供給部12から送り込まれた用紙Pは、これらのループ形成部28及びガイド部材29を通過することにより、用紙Pのコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に送り込まれる。
【0035】
記録部20では、上下に対向する記録ヘッド部16とメンテナンス部18が設けられており、それらの間には、レジ調整部14から送り込まれた用紙Pが搬送される用紙搬送路が構成されている。記録ヘッド部16には、用紙搬送路に沿って所定の間隔で配列された複数のインクジェット記録ヘッド(ヘッドバー)30が設けられており、用紙搬送路における各インクジェット記録ヘッド30の上流側と下流側には、上下に対向するスターホイール17と搬送ロール19が複数対設けられている。
【0036】
用紙Pは、これらのスターホイール17と搬送ロール19に挟持されつつ用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送され、記録ヘッド部16の各インクジェット記録ヘッド30からインク滴が吐出されることにより画像が記録される。そして、排出部22では、記録部20で画像記録された用紙Pが排紙ベルト23により搬送されてトレイ25に収納される。
【0037】
メンテナンス部18は、複数のインクジェット記録ヘッド30の各々に対向して配置された複数のメンテナンス装置21を備えている。メンテナンス装置21は、インクジェット記録ヘッド30に対するキャッピングを行うキャップCP(図9参照)を備えており、その他、ワイピング、更にダミージェットやバキューム等の処理を行うことができる。
【0038】
インクジェット記録装置10は以上の構成とされており、次に、このインクジェット記録装置10に搭載されたインクジェット記録ヘッド30について詳細に説明する。なお、本実施形態は、ノズルがマトリックス状に形成された特殊な平面形状の記録ヘッドユニットを、長尺基板に複数個接合固定して構成されたインクジェット記録ヘッドに関するものであり、以下、その特殊形状の記録ヘッドユニットを備える本実施形態のインクジェット記録ヘッドの構成、及び製造方法について説明する。
【0039】
図2及び図3に示すように、インクジェット記録ヘッド30は、紙送り方向Xと直交する方向(紙幅方向Y)に沿って配列された、複数の記録ヘッドユニット32を備えている。図3(B)に示すように、1つの記録ヘッドユニット32は、平面視が略平行四辺形状(紙送り方向Xの中央部が平行四辺形状)で、ノズル面52Aの中央部にインクを吐出させるノズル54がマトリクス状に形成されており、1つのインクジェット記録ヘッド30では、各記録ヘッドユニット32に設けられた複数のノズル54が紙幅方向Yに沿って連続した長尺のマトリクス状に形成されている。
【0040】
そして、各記録ヘッドユニット32は、上記の用紙搬送路を連続的に搬送される用紙Pに対し、マトリクス配列のノズル54からインク滴を吐出することで用紙P上に画像を記録し、例えば、ノズルが紙幅方向Yに沿ってライン状(1列状)に配列されて記録ヘッドユニットに比べて高画質化及び高速化が可能となる。なお、インクジェット記録装置10に搭載されたこのインクジェット記録ヘッド30は、例えば、いわゆるフルカラーの画像を記録するために、YMCKの各色に対応して、少なくとも4つ配置されている。
【0041】
図4に示すように、1つのインクジェット記録ヘッド30に紙幅方向Yに沿ってマトリクス状に形成されたノズル54による印字領域幅は、このインクジェット記録装置10での画像記録が想定される用紙Pの用紙最大幅PWよりも長くされており、インクジェット記録ヘッド30を紙幅方向Yに移動させることなく用紙Pの全幅にわたる画像記録が可能とされている(いわゆるFull Width Array(FWA))。ここで、印字領域とは、用紙Pの両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる用紙最大幅PWよりも大きくとっている。これは、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いためである。
【0042】
このインクジェット記録ヘッド30は、図2及び図3に示すように、長尺基板40、上述した複数の記録ヘッドユニット32、及び、複数のスペーサー部材42を含んで構成されている。長尺基板40は、紙幅方向Yに長尺とされ、長手方向に沿って所定の間隔で配列された複数の開口部40Aが形成されている。長尺基板40の長手方向の両端部には、インクジェット記録装置10への取り付け部材となる一対の取り付け板41が設けられており、長尺基板40は、この取り付け板41の紙幅方向Yの内側部分の下面に架け渡されるように配置されている。また、長尺基板40の紙送り方向Xの幅は、記録ヘッドユニット32の同方向の幅よりも狭幅とされており、これによって、インクジェット記録ヘッド30が小型に構成されている。
【0043】
長尺基板40の下面には、スペーサー部材42が取り付けられている。スペーサー部材42は、透明樹脂材料により形成されて板状とされ、各記録ヘッドユニット32毎に、図5に示すように、紙送り方向Xに互いに離間して斜め向いに2個配置されている。スペーサー部材42は、図6(A)、(B)に示すように、長尺基板40に2箇所でねじ46によりねじ止めされている。これにより、スペーサー部材42は長尺基板40から取り外し可能とされている。
【0044】
2個のスペーサー部材42の間には、図示しないインクタンクからインクを記録ヘッドユニット32へ供給するインク供給ユニット44(図5参照)が配置される。2個のスペーサー部材42を、互いに離間して配置することにより、スペーサー部材42自体にインク供給用の流路を設ける必要はなく、離間部分にインク供給ユニット44を配置でき、インク供給経路を確保することが可能となる。更には、スペーサー部材42にインク供給経路を形成する必要が無く、耐インク性を考慮しない材料選定が可能となり、スペーサー部材42に使用する材料選定に自由度が得られる。
【0045】
また、ここでは各記録ヘッドユニット32毎に互いに離間した2個のスペーサー部材42を使用する場合を記載したが、この形態に限られるものではなく、例えば、上記互いに離間した2個のスペーサー部材42を1個のスペーサー部材とし、インク供給経路を配置する部分にはスペーサー部材42が存在しないようにその一部が離間するような、例えば貫通孔42Bとする形態とすればよい(図13参照)。
【0046】
また、本実施形態では、各記録ヘッドユニット32毎にスペーサー部材42を用いる場合を示したが、必要に応じて、複数の記録ヘッドユニット32単位に対してスペーサー部材42を用いる形態としても良い。この場合には、複数の記録ヘッドユニット32単位で交換可能となり、使用するスペーサー部材42の数を減らすことができるため、製造コストを低減させることができる(図14参照)。
【0047】
記録ヘッドユニット32は、図6(A)に示すように、液体中継部材50及びヘッド基板52で構成されている。液体中継部材50は、スペーサー部材42側に配置され、インク供給ユニット44と連通されてヘッド基板52へインクを供給する個別供給路50Aが形成されている。ヘッド基板52は、インクの吐出側に配置され、ノズル面52A側にはインクを吐出させるノズル54が紙幅方向Y及び紙送り方向Xの2次元平面にマトリックス状に形成されている(図3(B)参照)。
【0048】
図15に示すように、ヘッド基板52には、液体中継部材50の個別供給路50Aと連通されたインク室56、及び、インク室56と一端部側が供給路58を介して連通されると共に、他端部側がノズル54と連通された圧力室60が設けられている。インク室56には、個別供給路50Aを通して供給されたインクが貯留され、圧力室60は、インク室56から供給路58を通して供給されるインクで満たされている。
【0049】
圧力室60を構成するノズル面52A側とは反対側の壁面の一部は、振動板62によって形成されており、振動板62には圧電素子64が接着等で接合固定されている。また、上記のインク室56、供給路58、圧力室60、及び圧電素子64は、ヘッド基板52のノズル面52Aに形成された複数のノズル54に対応してノズル54と同数設けられている。
【0050】
この記録ヘッドユニット32のヘッド基板52に設けられた圧電素子64に駆動電圧が印加されると、圧電素子64が撓み変位して振動板62が振動し、振動板62の振動が圧力波として圧力室60内を伝播することにより、圧力室60内のインクがノズル54からインク滴として吐出される(矢印I)。
【0051】
記録ヘッドユニット32は、スペーサー部材42を挟んで、長尺基板40と逆側に配置されている。スペーサー部材42と記録ヘッドユニット32とは、ノズル面52A側からみて、紙幅方向Yに沿った長尺基板40よりも外側の端辺部が、ほぼ同一形状(矩形状)とされている。記録ヘッドユニット32は、紙幅方向Yに沿った両端辺部で、即ち記録ヘッドユニット32の長手方向に沿った両端辺部で、スペーサー部材42と接合固定されている。
【0052】
この記録ヘッドユニット32のスペーサー部材42への接合固定は、記録ヘッドユニット32とスペーサー部材42との間の介在させたUV(紫外線)硬化型の接着剤Uにより行われている。記録ヘッドユニット32とスペーサー部材42との間には、接着剤Uの厚み分のギャップGが構成され、このギャップGを調整することにより、複数の記録ヘッドユニット32のノズル面52Aの高さをそろえることができる。
【0053】
図6(B)に示すように、スペーサー部材42の長尺基板40が重ねられていない部分には、電気配線用の貫通孔42Aが形成されている。図示しない電気配線は、貫通孔42Aを通って記録ヘッドユニット32と後述するコントローラーとしての駆動制御手段78を接続している。
【0054】
次に、本実施形態のインクジェット記録ヘッド30の製造方法を、図7(A)〜図7(D)を参照して説明する。まず、図7(A)に示すように、長尺基板40に、すべてのスペーサー部材42を取り付ける。ここでの取り付けは、ねじ46によるねじ止めで行う。
【0055】
次に、図7(B)に示すように、長尺基板40をアライメント接合装置に設けられた接合用下降アームSAに取り付け、取り付けられた長尺基板40と平行に配置されたアライメント接合装置の位置決めステージST上に、1つのインクジェット記録ヘッド30を構成するために必要な個数の記録ヘッドユニット32を1列に並べる。このとき、記録ヘッドユニット32は、各記録ヘッドユニット32間でのノズル54の位置を正確に位置決めして並べる。記録ヘッドユニット32には、所定箇所にUV硬化型の接着剤Uを塗布しておく。
【0056】
次に、図7(C)に示すように、平行状態を保ちながら、接合用下降アームSAを位置決めステージSTに近づけていき、ノズル面52Aが所定のノズル面を構成する位置で止める。このとき、記録ヘッドユニット32に塗布されていた接着剤Uは、スペーサー部材42に押し当てられ、所定の厚み以上の厚さ部分は押しつぶされる(接合)。
【0057】
次に、接合用下降アームSAと位置決めステージSTとの距離を上記の状態で維持したまま接着剤UにUV光を照射して硬化処理を行い(接合固定)、図7(D)に示すように、接合用下降アームSA及び位置決めステージSTから取り外して、インクジェット記録ヘッド30が完成する。なお、この接着剤Uに照射するUV光は、例えばフォーカス照射やマスク等を用いて、接着剤Uが塗布された所定箇所を含む所定範囲内のみに照射するよう、即ち接着剤Uが塗布されていない箇所には照射しないよう照射範囲を制限する。
【0058】
上記製造方法によれば、スペーサー部材42はねじ止めで長尺基板40へ取り付けられるが、記録ヘッドユニット32の接合前に長尺基板40に取り付けられるので、スペーサー部材42の多少の位置ずれは記録ヘッドユニット32の位置合わせに影響しない。そして、記録ヘッドユニット32は、長尺基板40に取り付けられた状態のスペーサー部材42へ接着剤Uを用いて接合されるので、位置決めステージST上にアライメントした状態で接合固定を行うことができ、長尺基板40と記録ヘッドユニット32を直接ねじ止めする場合と比較して、正確に位置合わせがなされたまま接合固定することができる。
【0059】
なお、上記製造方法では、位置決めステージST上に、長尺基板40を構成するために必要なすべての記録ヘッドユニット32を並べて一度に接合固定を行ったが、記録ヘッドユニット32の接合固定は、必ずしも一度で行う必要はない。例えば、図8に示すように、1個、2個など、一部の記録ヘッドユニット32のみを並べて接合固定を行い(図8では2個ずつ)、同様の処理を複数回繰り返すことにより、インクジェット記録ヘッド30を完成させてもよい。
【0060】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置10の動作について説明する。インクジェット記録装置10に印字ジョブが入力されて印字(画像記録)動作が開始されると、ストッカ24から用紙Pが1枚ピックアップされ、搬送装置26により、記録部20へ搬送される。
【0061】
一方、インクジェット記録ヘッド30には、すでにインクタンクからインク供給ポートを介して記録ヘッドユニット32のインク室56及び圧力室60にインクが貯留(充填)されている。このとき、ノズル54の先端(吐出口)では、インクの表面が僅かに凹んだメニスカスが形成されている。
【0062】
用紙Pを所定の搬送速度で搬送しつつ、記録ヘッドユニット32の各圧電素子64に駆動電圧を印加し、圧電素子64を撓み変位させて振動板62を振動させ、圧力室60内を加圧し複数のノズル54から選択的にインク滴を吐出することにより、用紙Pに、画像データに基づく画像を記録する。
【0063】
記録ヘッドユニット32をメンテナンスする際には、図9に示すように、キャップCPをメンテナンス位置M1に配置し、キャップCPで記録ヘッドユニット32をキャップする。このとき、記録ヘッドユニット32の長手方向(紙幅方向Yと同方向)に沿った端辺部TにはキャップCPが押し当てられる。これにより、インクジェット記録ヘッド30のノズル面52A側がキャップCPに覆われて密閉空間Hが構成される。この状態で、メンテナンス装置21の図示しないポンプが作動されて密閉空間Hが負圧とされ、ノズル54を吸引することにより、ノズル54を詰まらせているインク塊などを排出させることができる。
【0064】
本実施形態のインクジェット記録ヘッド30は、スペーサー部材42と記録ヘッドユニット32との接合が、上記メンテナンス時にキャップCPにより押圧される端辺部T部分で行われているので、押圧により作用される力を接合部で適切に受けることができ、インクジェット記録ヘッド30の変形などを防止することができる。
【0065】
また、インクジェット記録ヘッド30は、図10に示すように、長尺基板40及び記録ヘッドユニット32の両方を、スペーサー部材42の下側に配置することもできるが、本実施形態のように配置することにより、メンテナンス時にキャップCPによる押圧力を、長尺基板40とスペーサー部材42の両方で受けることができ、強度を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、長尺基板40の紙送り方向Xの幅を、記録ヘッドユニット32の幅よりも狭くしたが、長尺基板40の紙送り方向Xの幅は、図11に示すように、記録ヘッドユニット32の幅と同程度にしてもよい。この場合には、電気配線用の貫通孔42Aは必要なく、離間されたスペーサー部材42の間で長尺基板40の開口部40Aに連通する位置に、電気配線を行えばよい。
【0067】
また、本実施形態のスペーサー部材42は透明樹脂製であるため、接着剤Uの硬化処理では、図12に示すように、接着剤Uへ向けて出射されたUV光がスペーサー部材42を透過して、接着剤U全体に照射される。そして、この場合には、図12(A)のように、長尺基板40の紙送り方向Xの幅を、記録ヘッドユニット32の幅よりも狭くした構成の方が、図12(B)のように、長尺基板40の紙送り方向の幅を、記録ヘッドユニット32の幅と同幅とした構成よりも光照射領域が広くなり、照射効率が向上する。
【0068】
次に、上述したインクジェット記録ヘッド30が備える各記録ヘッドユニット32に設けられた個々の圧電素子64の撓みと剥離を検出する検査方法について説明する。前述したように、従来の低電界(例えば印加電圧1V)のみの静電容量測定では、製造ばらつきに埋もれて、圧電素子の撓みや剥離を検出することができない。また、インピーダンス周波数特性測定においても同様に検出不可能である。
【0069】
この問題に対して種々の調査、実験を行ったが、その結果と判明事項について図16〜図18を用いて説明する。なお、以下の説明では、撓みが発生した圧電素子(撓み量が所定の許容範囲外)を「撓み発生素子」、剥離が発生した圧電素子(剥離量が所定の許容範囲外)を「剥離発生素子」、撓み又は剥離が発生していない圧電素子(撓み量又は剥離量が所定の許容範囲内)を「未発生素子」又は「正常素子」と言う。
【0070】
図16は、撓み発生、剥離発生、及び未発生の各圧電素子に、所定のDCバイアス電圧を印加したときの撓み変位を模式的に示す比較図である。図16(A)に示すように、圧電素子自体に撓みが発生している撓み発生素子64A、あるいは、圧電素子を振動板62に接着する接着層のむら等によって振動板62に撓みが発生している撓み発生素子64A´では、所定電圧の印加による撓み変位量(静電容量)Δaが小さくなる。
【0071】
これに対し、図16(B)示す、撓み及び剥離が発生していない正常素子64B(未発生素子)では、所定電圧の印加による撓み変位量Δbが大きくなり(Δb>Δa)、図16(C)示す、一部が剥離した剥離発生素子64C(撓み無し)でも、所定電圧の印加による撓み変位量Δcが大きくなる(Δc>Δa)。
【0072】
図17では、撓み発生、剥離発生、及び未発生(良品)の各圧電素子における所定のDCバイアス電圧印加(例えば振幅1V、周波数1kHz)と静電容量の関係、即ち静電容量の電圧依存性をグラフ図で示している。この図17から分かるように、グラフ線を実線で示した未発生素子に対して、グラフ線を一点鎖線で示した撓み発生素子はグラフ線の傾きが小さく、印加電圧に対する静電容量の変化が少ない。グラフ線を二点鎖線で示した剥離発生素子は、グラフ線の傾きが大きく、印加電圧に対する静電容量の変化が多い。
【0073】
また、低電圧L(例えばバイアス電圧0V)だけ印加して静電容量値を比較する場合には、圧電素子の加工形状(厚さや面積等)のばらつきにより、静電容量値の差が形状によるものか、撓みや剥離によるものか判断し難くなり、撓みや剥離の発生を十分に検出することができない。一方、高電圧H(例えばバイアス電圧30V)だけ印加して静電容量値を比較する場合には、各圧電素子の静電容量値の差が小さいため、撓みや剥離発生と未発生の区別が困難となる。
【0074】
図18では、撓み発生、剥離発生、及び未発生(良品)の各圧電素子における印加電圧と共振周波数の関係をグラフ図で示している。この図18からは、印加する電圧レベルを上昇させて強制的に撓ませても、各圧電素子で共振周波数に変化が見られないことが分かる。
【0075】
これらの結果から、以下の3点が判明した。
(1)撓み発生素子、剥離発生素子、及び未発生素子では、印加電圧値に対する静電容量値の変化率に違いがある(図17参照)。
(2)撓み発生素子、剥離発生素子、及び未発生素子では、印加電圧値に対する共振周波数の変化は殆ど見られない(図18参照)。すなわち、圧電素子の撓みや剥離を共振周波数で検出することはできない。
したがって、
(3)圧電素子に少なくとも2つの異なる(高低2以上の)電圧を印加して静電容量値を測定し比較することにより、撓みや剥離発生の有無を検出することができる。更に、撓み度合(相対的な撓みの大小)を判別することができる。
【0076】
次に、圧電素子の撓み及び剥離発生の有無を検出する具体的な方法について説明する。例えば、圧電素子に高低2つの電圧を印加して静電容量値を測定し比較する場合、低電界静電容量(Cpl)と高電界静電容量(Cph)を測定し、静電容量の低下率(例えば、電圧値変化量(ΔV)に対する静電容量値変化量(Cpl−Cph)の割合)を下記(1)式によって算出する(図17参照)。
【0077】
静電容量低下率R=(Cpl−Cph)/ΔV×100・・・・・・(1)
【0078】
そして、この静電容量低下率Rと、現実値等から予め定めておいた、正常状態(良品)と撓み発生状態を区別する静電容量低下率の閾値Raを比較し、静電容量低下率Rが閾値Raよりも小さい場合には(R<Ra)、測定した圧電素子を撓み発生状態と判断する。また、静電容量低下率Rと、現実値等から予め定めておいた、正常状態(良品)と剥離発生状態を区別する静電容量低下率の閾値Rbを比較し、静電容量低下率Rが閾値Rbよりも大きい場合には(R>Rb)、測定した圧電素子を剥離発生状態と判断する。更に、静電容量低下率Rが閾値Ra以上で、且つ、閾値Rb以下の場合には(Ra≦R≦Rb)、測定した圧電素子を正常状態と判断する。
【0079】
以上の静電容量測定に基づいた静電容量低下率の演算、及び、その算出値と閾値の比較・判断により、圧電素子の状態(撓み発生/剥離発生/正常)を検出することができる。
【0080】
次に、上述したインクジェット記録ヘッド30の検査方法を適用した本実施形態の構成について説明する。なお、本実施形態は、インクジェット記録ヘッド30の検査をインクジェット記録装置10の製造工程等で使用前に実施する場合の例である。
【0081】
図19に示すように、インクジェット記録ヘッド30は、各記録ヘッドユニット32に設けられた個々の圧電素子64の中から、上記の静電容量測定に基づく状態検出(撓み発生/剥離発生/正常)を行う圧電素子64を選択するスイッチIC等からなる素子選択回路70と、検出した圧電素子64の状態が記憶されるRAM等からなる素子状態記憶手段72とを備えている。
【0082】
インクジェット記録装置10は、インクジェット記録ヘッド30に印加する駆動電圧及び波形を生成する駆動電圧/波形生成部74と、駆動電圧/波形生成部74が接続されて、インクジェット記録ヘッド30への印加電圧を、駆動電圧/波形生成部74からの駆動電圧又は装置外部からの測定電圧に切り替えて選択する選択回路76と、選択回路76、素子選択回路70、及び素子状態記憶手段72が接続されて、素子状態記憶手段72に記憶された情報に基づき選択回路76及びインクジェット記録ヘッド30を駆動制御する駆動制御手段78とを備えている。
【0083】
また、インクジェット記録装置10の外部には、図中の点線で示すように、圧電素子64の静電容量測定を行うためのインクジェット記録ヘッド30の駆動と静電容量測定の一連の動作を制御する駆動/測定制御手段80と、インクジェット記録ヘッド30に印加する第1の測定電圧及び波形を生成する第1の測定電圧/波形生成部82と、インクジェット記録ヘッド30に印加する第2の測定電圧及び波形を生成する第2の測定電圧/波形生成部84と、圧電素子64の静電容量を測定する静電容量測定手段86と、静電容量測定手段86による静電容量の測定に基づいて圧電素子64の状態を判断し検出する素子状態検出手段88と、が設けられている。
【0084】
駆動/測定制御手段80は、第1の測定電圧/波形生成部82、第2の測定電圧/波形生成部84、インクジェット記録装置10の選択回路76、及びインクジェット記録ヘッド30の素子選択回路70と接続されてそれらを制御し、第1の測定電圧/波形生成部82と第2の測定電圧/波形生成部84は、駆動電圧/波形生成部74と共に選択回路76に接続されている。また、静電容量測定手段86はインクジェット記録ヘッド30の全ての圧電素子64と接続されて、測定した個々の圧電素子64の静電容量値を素子状態検出手段88へ出力する。素子状態検出手段88は、インクジェット記録ヘッド30の素子状態記憶手段72と接続されて、静電容量測定手段86から入力された静電容量値に基づく個々の圧電素子64の状態を素子状態記憶手段72に記憶するよう構成されている。
【0085】
次に、上述した構成によるインクジェット記録ヘッド30の検査方法について説明する。インクジェット記録装置10の製造工程等で、使用前のインクジェット記録ヘッド30を検査するには、図20に示す使用前ヘッド検査処理のステップ90で、ヘッド検査処理(A)を実施する。図21に示すヘッド検査処理(A)では、処理が開始されると、先ず、駆動/測定制御手段80に制御された第1の測定電圧/波形生成部82及び第2の測定電圧/波形生成部84が、静電容量測定用のDCバイアス電圧を各々生成し、選択回路76へ出力する。
【0086】
ここで、第1の測定電圧/波形生成部82は、図22(A)に示すような正弦波(例えば振幅1V、周波数1kHz)で電圧レベルがVlであり、且つ、後述する静電容量の測定期間中に圧電素子64に印加される電圧の極性が一定となるようなバイアス電圧を加えた第1のDCバイアス電圧(低電圧)を生成し、選択回路76へ出力する。また、第2の測定電圧/波形生成部84は、図22(B)に示すような正弦波(例えば振幅1V、周波数1kHz)で、第1のDCバイアス電圧よりも電圧レベルVhが高く(Vh>Vl)、且つ、後述する静電容量の測定期間中に圧電素子64に印加される電圧の極性が一定となるようなバイアス電圧を加えた第2のDCバイアス電圧(高電圧)を生成し、選択回路76へ出力する。
【0087】
そして、ステップ100で、駆動/測定制御手段80に制御された素子選択回路70が、インクジェット記録ヘッド30の各記録ヘッドユニット32に設けられた複数の圧電素子64の中から、処理対象となる圧電素子64を選択し、ステップ102で、駆動/測定制御手段80に制御された選択回路76が、入力された第1のDCバイアス電圧を選択して素子選択回路70へ出力し、素子選択回路70は、ステップ100で選択した圧電素子64に対し、第1のDCバイアス電圧を印加する。
【0088】
この低電圧の印加に伴って圧電素子64が撓み変位し、ステップ104で、静電容量測定手段86は圧電素子64の静電容量を測定し、その測定値(低電界静電容量:Cpl)を素子状態検出手段88へ出力する。
【0089】
次に、ステップ106で、選択回路76が、入力された第2のDCバイアス電圧を選択して素子選択回路70へ出力し、素子選択回路70は、ステップ100で選択した同じ圧電素子64に対し、第2のDCバイアス電圧を印加する。
【0090】
この高電圧の印加に伴って圧電素子64が撓み変位し、ステップ108で、静電容量測定手段86は、圧電素子64の静電容量を測定し、その測定値(高電界静電容量:Cph)を素子状態検出手段88へ出力する。
【0091】
続くステップ110では、素子状態検出手段88が、高低の各電圧レベルに応じた静電容量測定値に基づき、処理対象の圧電素子64の状態を検出する。具体的には、前述したように、静電容量の低下率を算出する式(静電容量低下率R=(Cpl−Cph)/ΔV×100)を用いた演算処理にて、静電容量の低下率を算出する。
【0092】
そして、ステップ112で、現実値等から予め定めておいた、正常状態(良品)と撓み発生状態を区別する静電容量低下率の閾値Ra(第1の閾値)よりも静電容量低下率Rが小さいか否かを判定し、肯定判定の場合には(R<Ra)、ステップ114へ移行して、素子状態検出手段88は処理対象の圧電素子64を撓み発生状態と判断し、ステップ122で、素子状態記憶手段72にその圧電素子64が撓み発生状態であることを示す情報を書き込んで記憶させる。
【0093】
一方、ステップ112で否定判定の場合には(R≧Ra)、ステップ116へ移行して、現実値等から予め定めておいた、正常状態(良品)と剥離発生状態を区別する静電容量低下率の閾値Rb(第2の閾値)よりも静電容量低下率Rが大きいか否かを判定し、肯定判定の場合には(R>Rb)、ステップ118へ移行して、素子状態検出手段88は処理対象の圧電素子64を剥離発生状態と判断し、ステップ122で、素子状態記憶手段72にその圧電素子64が剥離発生状態であることを示す情報を書き込んで記憶させる。
【0094】
また、ステップ116で否定判定の場合には(R≦Rb⇒Ra≦R≦Rb)、ステップ120へ移行して、素子状態検出手段88は処理対象の圧電素子64を正常状態(良品)と判断し、ステップ122で、素子状態記憶手段72にその圧電素子64が正常状態であることを示す情報を書き込んで記憶させる。更に、この素子状態記憶手段72には、圧電素子64の検出状態に加えて、測定した低電界静電容量(Cpl)及び高電界静電容量(Cph)を示す情報も記憶させる。
【0095】
以上の手順で、処理対象となった1つの圧電素子64の状態検出が完了する。続くステップ124では、インクジェット記録ヘッド30の全ての圧電素子64について、状態の検出処理が完了したか否かを判定し、否定判定の場合には、ステップ100へ戻り、未処理の圧電素子64に対して、ステップ100からステップ122までの手順を繰り返し行う。そして、全ての圧電素子64の状態を検出し終えると、インクジェット記録ヘッド30の検査処理は完了し、素子状態記憶手段72には、個々の圧電素子64の状態(撓み発生/剥離発生/正常)を示す情報が記憶される。
【0096】
ここで、ヘッド駆動時に、例えば撓み発生素子や剥離発生素子に対して、正常素子と同じ駆動電圧を印加すると、各素子の変位量は以下の関係となる。
【0097】
剥離発生素子>正常素子>撓み発生素子・・・・・・(2)
【0098】
これにより、各素子に対応したノズルから吐出されるインク滴の吐出量に差が出て、画像劣化を招いてしまうため、駆動電圧の変更や駆動波形の変更等により、撓み発生素子や剥離発生素子に対する制御が必要となる。
【0099】
そこで、本実施形態のインクジェット記録装置10では、ユーザーの使用環境で画像を記録する際に、インクジェット記録ヘッド30の素子状態記憶手段72に記憶された個々の圧電素子64の状態を示す情報を駆動制御手段78が読み出し、その情報に基づいて、駆動電圧/波形生成部74から駆動電圧が入力された選択回路76と素子選択回路70を制御し、インクジェット記録ヘッド30を以下のように駆動制御する(図20のステップ92)。
【0100】
例えば、上記のインクジェット記録ヘッド30の検査方法で検出された撓み発生素子及び剥離発生素子に対し、
(1)使用頻度を減少させ、他の正常素子に減少分を補わせる(図23参照)。
(2)使用を停止し、他の正常素子を使用する(図23参照)。
(3)素子毎に印加する駆動電圧を変更する(図24参照)。
(4)波形セットを予め用意しておき、必要に応じて該当する波形セットを使用する(図25参照)。
(5)温度補正テーブルが設けられている場合には、撓み発生素子は低温用、剥離発生素子は高温用を使用するなどして、テーブルを流用する。
【0101】
ここで、上記(1)、(2)のように、撓み発生素子や剥離発生素子の使用頻度を減少させる、あるいは、使用を停止する場合には、図23に示すように、撓み/剥離発生素子に対応するノズルの隣接ノズルから吐出するインク滴量を大きくするなどにより行う。
【0102】
例えば、隣接した特定の3つのノズル54に対応する3つの圧電素子64が全て正常であれば、それらの圧電素子64に同じ駆動電圧を印加すると、各素子の変位量はほぼ等しくなり、3つのノズル54から吐出されるインク滴の吐出量がほぼ等しくなって、図23(A)に示すように、記録される3つの画素G1、G2、G3はほぼ同じ大きさとなる。
【0103】
これに対し、例えば1つの圧電素子64に撓みが発生していると、その撓み発生素子に対応するノズル54から吐出されるインク滴の吐出量は少なくなって、図23(B)に示すように、その画素(例えば画素2)だけ小さくなり、剥離が発生していると、インク滴の吐出量は多くなくなって、図23(C)に示すように、その画素(例えば画素2)だけ大きくなるなどし、ドット抜けや過大、インク滴の着弾位置ずれ(画素ずれ)が生じてしまう。
【0104】
そこで、撓み/剥離発生素子は、使用頻度を減少又は使用を停止し、隣接するノズル54に対応して設けられた正常素子に印加する駆動電圧を大きくして、インク滴の吐出量を多くする。これにより、図23(D)に示すように、隣接する画素(例えば画素1、3)が大きくされ、不良画素の減少分を補うことができる。
【0105】
また、上記(3)のように、素子毎に印加する駆動電圧を変更する場合には、例えば図24(A)、(B)に示すように、撓み発生素子に印加する駆動電圧は正常素子よりも大きくし(+ΔV)、逆に、剥離発生素子に印加する駆動電圧は正常素子よりも小さくして(−ΔV)、各素子に印加する駆動電圧を以下の関係を満たすように設定する。
【0106】
剥離発生素子<正常素子<撓み発生素子・・・・・・(3)
【0107】
これにより、撓み発生/剥離発生/正常の各素子に対応する各ノズル54から吐出されるインク滴の吐出量が揃えられ、ドット抜けや過大、インク滴の着弾位置ずれなどによる画質劣化が抑制できる。
【0108】
また、上記(4)のように、予め用意した波形セットを用いて素子毎の吐出インク滴量を変更する場合には、例えば図25に示すように、素子毎に大滴波形/中滴波形/小滴波形が各々設定された波形セットなどを使用する。この波形セットにおいて、正常素子に対しては、正常素子用波形セット(大滴(N)、中滴(N)、小滴(N))を選択し、駆動する。撓み発生素子に対しては、撓み発生素子用波形セット(大滴(T)、中滴(T)、小滴(T))を選択し、駆動する。剥離発生素子に対しては、剥離発生素子用波形セット(大滴(H)、中滴(H)、小滴(H))を選択し、駆動する。また、これら波形セットは、必要に応じて、特に影響を受けやすい微小滴吐出時のみ使用するようにしてもよい。これにより、上記(3)のように、素子毎に制御する場合に比べて低コストで制御することができる。
【0109】
このように、本実施形態のインクジェット記録装置10では、個々の圧電素子64の状態を検出し、その情報に基づいてインクジェット記録ヘッド30を駆動制御することにより、画像劣化が抑えられ、高画質化が可能となる。
【0110】
以上説明したように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド30(記録ヘッドユニット32)の検査方法では、複数のノズル54に対応して設けられた個々の圧電素子64に、第1の電圧(第1のDCバイアス電圧)と、それよりも高い第2の電圧(第2のDCバイアス電圧)と、の高低2つの電圧を印加して静電容量を測定し、各電圧レベルに応じた静電容量に基づいて圧電素子64の撓み度合及び剥離を検出しており、この検査方法によって、従来の低電界のみの静電容量測定では検出しきれなかった圧電素子の撓みや剥離、特に製造段階での初期不良が精度良く検出できるようになる。したがって、吐出するインク滴量の均一化による高画質化、及び信頼性の向上を図るための施策が取れるようになり、製造時の歩留を向上させることができる。
【0111】
また、このインクジェット記録ヘッド30の検査は、使用前のインクジェット記録装置10の製造工程等にて、インクジェット記録装置10に組み込んだ状態で行う場合を例に説明したが、ヘッド単体の製造時にその検査工程等にて実施することもできる。
【0112】
また、圧電素子64の静電容量測定では、圧電素子64に高低2つの電圧を印加しているが、特に高電圧(第2の電圧)の印加で、測定期間中に圧電素子64に印加される電圧の極性が一定となるようバイアス電圧を加えた電圧(DCバイアス電圧)を印加していることにより、この高電圧の印加期間中に、圧電素子64に印加される電圧の極性が一時的に切り替わることが防止され、圧電素子64に悪影響が及ぶことを防止できる。
【0113】
また、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド30が備える素子状態記憶手段72に、撓み発生/剥離発生/正常状態として検出した各圧電素子64の検出結果を記憶していることにより、個々の圧電素子64の状態を認識できるようになり、例えば、インクジェット記録ヘッド30をインクジェット記録装置10から取り外した状態でも上記の検出結果が取得できるようになる。したがって、インクジェット記録ヘッド30をインクジェット記録装置10から取り外して再使用(リユース)する場合等にも、素子状態記憶手段72から各素子の情報を読み出すことで上記の検出結果を容易に取得でき、取得した上記の検出結果に基づいて、撓み発生素子や剥離発生素子の駆動頻度又は駆動電圧を変更するなどの駆動制御を行うことができる。
【0114】
(第2の実施形態)
次に、上述したインクジェット記録ヘッドの検査方法を適用した第2の実施形態の構成について説明する。なお、本実施形態も、インクジェット記録ヘッドの検査をインクジェット記録装置の製造工程等で、使用前に実施する場合の例である。
【0115】
図26に示すように、本実施形態は、素子状態記憶手段72がインクジェット記録ヘッド132に搭載されずに、インクジェット記録装置130に搭載されており、その他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0116】
このように、素子状態記憶手段72をインクジェット記録装置130側に設けることも可能であり、この場合、インクジェット記録ヘッド132の交換時などに、新たなインクジェット記録ヘッド132の情報(全圧電素子の撓み発生/剥離発生/正常状態を示す情報)を素子状態記憶手段72に書き込んで記憶させる必要はあるが、インクジェット記録ヘッド132のコストは低減できる。したがって、本実施形態のようなFWA(Full Width Array)の装置などのように、インクジェット記録ヘッドを複数搭載する構成においては、装置全体のコストが抑えられる。
【0117】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成と、インクジェット記録ヘッドの検査方法について説明する。なお、本実施形態は、インクジェット記録ヘッドの検査をユーザーによる使用環境等でインクジェット記録装置の使用後にも実施できるようにした場合の例である。
【0118】
図27に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置140には、第2の実施形態で説明したインクジェット記録ヘッド132、及び、個別の素子状態記憶手段72が搭載されており、更に、第1の実施形態で説明した駆動/測定制御手段80、第1の測定電圧/波形生成部82、第2の測定電圧/波形生成部84、静電容量測定手段86、及び素子状態検出手段88も搭載されている。また、第1の実施形態で説明した駆動制御手段78の機能は、駆動/測定制御手段80に組み込まれており、駆動制御手段78は駆動/測定制御手段80に置き換えられて構成されている。
【0119】
このように、インクジェット記録ヘッド132を検査するための各手段部をインクジェット記録装置140側に設けることも可能であり、この構成であれば、インクジェット記録ヘッド132の検査を、インクジェット記録装置140の製造工程等に加え、ユーザーによる使用環境等でも実施できるようになる。
【0120】
ここで、本実施形態のインクジェット記録装置140における使用後のヘッド検査方法について説明する。なお、以下に説明する検査は、ヘッドの所定駆動数経過時点、又は、装置の電源ON/OFF時やメンテナンス時、あるいは待機時(インク滴吐出動作非実行時)等に定期的に実行される。
【0121】
インクジェット記録装置140の使用環境等で、使用後のインクジェット記録ヘッド132を検査するには、図28に示す使用後ヘッド検査処理のステップ150で、ヘッド検査処理(B)を実施する。図29に示すヘッド検査処理(B)では、処理が開始されると、駆動/測定制御手段80に制御された第2の測定電圧/波形生成部84が、静電容量測定用のDCバイアス電圧を生成し、選択回路76へ出力する。
【0122】
続くステップ160で、駆動/測定制御手段80に制御された素子選択回路70が、インクジェット記録ヘッド132の各記録ヘッドユニット32に設けられた複数の圧電素子64の中から、処理対象となる圧電素子64を選択し、ステップ162で、駆動/測定制御手段80に制御された選択回路76が、入力された第2のDCバイアス電圧を素子選択回路70へ出力し、素子選択回路70は圧電素子64に対し、第2のDCバイアス電圧を印加する。
【0123】
次に、ステップ164で、静電容量測定手段86が圧電素子64の静電容量を測定し、その測定値(経時の高電界静電容量:Cph)を素子状態検出手段88へ出力する。ここで、素子状態検出手段88は、素子状態記憶手段72から、製造工程等で測定した処理対象の圧電素子64における使用前の低電界静電容量(Cpl)を読み出し、ステップ166で、その使用前の初期の低電界静電容量(Cpl)と、使用後に測定した経時の高電界静電容量(Cph)とに基づいて静電容量の低下率を算出する((1)式参照)。
【0124】
そして、以降のステップ168〜180により、第1の実施形態と同じ手順で処理対象の圧電素子64の状態(撓み発生/剥離発生/正常)を検出し、検出した状態を示す情報を素子状態記憶手段72に記憶し、全ての圧電素子64について同様に状態の検出及び情報の記憶を行って検査処理を終了する。
【0125】
この検査処理を実施した後は、素子状態記憶手段72に新たに記憶された各素子の検出状態を示す情報に基づき、駆動/測定制御手段80が第1の実施形態と同様のヘッド駆動制御を実行して(図28のステップ152)、インクジェット記録装置140による画像記録が行われる。
【0126】
このように、インクジェット記録ヘッドの検査を定期的に行うことで、経時的に特性変化する圧電素子に対して、撓みの程度や経時的な特性変化を検出できるようになる。そして、不良の程度に応じて使用頻度を減少させ、その不足分を正常素子の代替使用で補うなどのヘッド駆動制御を行うことにより、圧電素子64の経時的な特性変化による吐出特性劣化(=画質劣化)を低減することができて、信頼性の高い装置が得られる。また、特に本実施形態の検査方法では、初期の低電界静電容量(Cpl)を利用して、経時の低電界静電容量測定を省略していることにより、検査時間を短縮することができる。
【0127】
(第4の実施形態)
次に、上述したインクジェット記録装置140において、インクジェット記録ヘッド132の検査方法を変更した第4の実施形態について説明する。本実施形態の場合も、第3の実施形態と同様に、ヘッドの所定駆動数経過時点、又は、装置の電源ON/OFF時やメンテナンス時、あるいは待機時等に定期的にインクジェット記録ヘッド132の検査が実行される。
【0128】
図30に示すように、本実施形態の使用後ヘッド検査処理では、ステップ190で、第1の実施形態で説明したヘッド検査処理(A)を実施し(図21参照)、その検査処理で取得した各圧電素子64の検出状態を示す情報に基づいて、ステップ192で、第1の実施形態と同様のヘッド駆動制御を実行し、画像記録を行う。
【0129】
このヘッド検査処理(A)では、インクジェット記録ヘッド132に設けられた個々の圧電素子64の静電容量低下率が、使用後に測定した経時の低電界静電容量(Cpl)及び経時の高電界静電容量(Cph)に基づいて算出されることになる。これにより、圧電素子64の経時による撓み程度の変化や吐出特性の劣化をより精度良く検出できるようになり、画質劣化に対する低減効果が高められる。
【0130】
(第5の実施形態)
次に、第3の実施形態を一部変更した第5の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成について説明する。図31に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置200には素子状態記憶手段72が搭載されておらず、インクジェット記録ヘッド132に換えて、第1の実施形態で説明した、素子状態記憶手段72を備えたインクジェット記録ヘッド30が搭載されている。
【0131】
このインクジェット記録装置200においても、第3の実施形態と同様に、装置稼動後の定期的な検査が可能であり、圧電素子64の状態に関する検出情報を更新できるようになる。また、第1の実施形態と同様に、その検出情報がインクジェット記録ヘッド30側の素子状態記憶手段72に記憶されることにより、素子状態記憶手段72から各素子の情報を読み出すことで、ヘッド交換や再使用に容易に対応できるようになる。
【0132】
(第6の実施形態)
次に、第1の実施形態を一部変更した第6の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの検査装置の構成について説明する。図32で示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド30には、素子状態記憶手段72が搭載されており、インクジェット記録ヘッド30は、検査装置300に着脱可能に搭載される。検査装置300は、駆動/測定制御手段80、第1の測定電圧/波形生成部82、第2の測定電圧/波形生成部84、静電容量測定手段86、素子状態検出手段88により構成される。
【0133】
本実施形態の検査装置300では、個々の圧電素子64の状態を検出し、インクジェット記録ヘッド30の素子状態記憶手段72に圧電素子64の状態を記憶させることができ、インクジェット記録ヘッドの製造工程等におけるインクジェット記録ヘッドの検査装置を提供することが可能となる。
【0134】
以上、本発明を上述した第1〜第6の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。例えば、上述したインクジェット記録ヘッドの検査方法では、圧電素子64の静電容量低下率を求めるために、高低2つの電圧を印加するようにしているが、この印加電圧は3つ以上としてもよい。
【0135】
例えば、低、中、高の3段階の電圧を印加する場合、静電容量低下率Rは、低電界静電容量(Cpl)及び中電界静電容量(Cpm)に基づいて算出した静電容量低下率(R=(Cpl−Cpm)/ΔV×100)と、中電界静電容量(Cpm)及び高電界静電容量(Cph)に基づいて算出した静電容量低下率(R=(Cpm−Cph)/ΔV×100)の平均値を用いる(R=(R+R)/2)、あるいは、低、中、高電界の各静電容量に対する近似直線を求めてその傾きを用いるなどができ、4段階以上の電圧を印加する場合も同様の算出方法にて対応することができる。
【0136】
また、上述したインクジェット記録ヘッド30、132では、素子選択回路70を含んだ場合を例に説明したが、この素子選択回路70は、ヘッド形態に応じてインクジェット記録装置側、検査装置側に設けるようにしてもよい。
【0137】
また、上述の実施形態においては、フルカラー画像を記録するために、YMCKの各色に対応して、インクジェット記録ヘッド30を少なくとも4つ配置される例について説明したが、本発明のインクジェット記録ヘッドは、これに限定されない。例えば、1つの長尺基板40に対し、紙幅方向Yと紙送り方向Xへ2次元配列させた複数の記録ヘッドユニット32へ、紙幅方向Y方向に配列させた複数の記録ヘッドユニットの列毎に各々YMCKの各色を対応させ、記録ヘッドユニット32C、32M、32Y、32K、とすることにも適用できる。
【0138】
また、上述の実施形態においては、紙幅対応のFWAの例について説明したが、本発明のインクジェット記録ヘッドは、これに限定されず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)の装置にも適用することができる。
【0139】
その他、上記実施例のインクジェット記録装置10では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド30から画像データに基づいて選択的にインク滴が吐出されてフルカラーの画像が用紙Pに記録されるようになっているが、本発明におけるインクジェット記録は、用紙P上への文字や画像の記録に限定されるものではない。
【0140】
すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成するなど、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係るインクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの斜視図である。
【図3】図2のインクジェット記録ヘッドの(A)は正面図、(B)は下面図である。
【図4】図2のインクジェット記録ヘッドによる印字領域を示す図である。
【図5】図2のインクジェット記録ヘッドのスペーサー部材の取り付け部分の構成を示す上面図である。
【図6】図2のインクジェット記録ヘッドの記録ヘッドユニットの取り付け部分の構成を示す(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図7−1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを製造する工程(A)、(B)を示す説明図である。
【図7−2】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを製造する工程(C)、(D)を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを製造する工程の変形例を示す説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのメンテナンス時におけるキャップとの位置関係を示す側面図である。
【図10】本発明の適用された他の実施形態のインクジェット記録ヘッドのメンテナンス時におけるキャップとの位置関係を示す側面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの変形例を示す側面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの他の変形例を示す側面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのスペーサー部材の取り付け部分の他の構成を示す上面図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおけるスペーサー部材の変形例を示す正面図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドユニットの内部構造を示す断面図である。
【図16】(A)撓み発生、(B)正常、(C)剥離発生の各圧電素子に所定のDCバイアス電圧を印加したときの撓み変位を模式的に示す比較図である。
【図17】撓み発生、剥離発生、及び未発生(正常)の各圧電素子における所定のDCバイアス電圧印加と静電容量の関係を示すグラフ図である。
【図18】撓み発生、剥離発生、及び未発生(正常)の各圧電素子における所定のDCバイアス電圧印加と共振周波数の関係を示すグラフ図である。
【図19】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置、及び、インクジェット記録ヘッドを検査するための構成を示す概略ブロック図である。
【図20】本発明の第1の実施形態に係る使用前ヘッド検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】図20におけるヘッド検査処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】(A)はバイアス電圧が付加された第1の測定電圧の波形、(B)はバイアス電圧が付加された第2の測定電圧の波形を示す線図である。
【図23】隣接した3つのノズルからの吐出インク滴によって記録された3つの画素において、(A)は3つのノズルに対応する各圧電素子が全て正常の場合、(B)は真中の圧電素子に撓みが発生した場合、(C)は真中の圧電素子が剥離が発生した場合、(D)は真中の不良素子に対し補正を行った場合、の一例を示す説明図である。
【図24】(A)は正常素子に対して印加する駆動電圧の波形、(B)は撓み/剥離発生素子に対して印加する駆動電圧の波形を示す線図である。
【図25】撓み発生/剥離発生/正常の各素子に対し、吐出インク滴量を変更するために用いる波形セットの一例を示す表図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置、及び、インクジェット記録ヘッドを検査するための構成を示す概略ブロック図である。
【図27】本発明の第3の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの検査機能を備えたインクジェット記録装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図28】本発明の第3の実施形態に係る使用後ヘッド検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図29】図28におけるヘッド検査処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図30】本発明の第4の実施形態に係る使用後ヘッド検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図31】本発明の第5の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの検査機能を備えたインクジェット記録装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図32】本発明の第6の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの検査装置の構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0142】
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
30 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
32 記録ヘッドユニット
52 ヘッド基板
54 ノズル
64 圧電素子
72 素子状態記憶手段(情報記憶手段)
78 駆動制御手段
80 駆動/測定制御手段(駆動制御手段)
86 静電容量測定手段
88 素子状態検出手段(検出手段)
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成18年9月4日(2006.9.4)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−62388(P2008−62388A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−239225(P2006−239225)