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【発明の名称】 廃インク貯留構造及びこれを備えたインクカートリッジ並びにインクジェットプリンタ
【発明者】 【氏名】山田 学

【要約】 【課題】貯留空間内に装填されるインク吸収材の浸透吸収性能の低下を防止し、廃インクの回収を長期に渡って行うことができる廃インク貯留構造及びこれを備えたインクカートリッジ並びにインクジェットプリンタを提供する。

【構成】インクカートリッジ10内の廃インク貯留構造17は、下ケース33と中間容器壁35とによって区画形成されて廃インクを貯留する貯留空間51と、この貯留空間51内に廃インクを導入するための廃インク導入部37と、貯留空間51を外部に連通させる通気孔61と、貯留空間51内に装填されて廃インク導入部37から貯留空間51内に導入された廃インクを浸透吸収する2枚のインク吸収材63と、通気孔61を開閉する開閉弁65とから構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃インクを貯留する貯留空間を区画形成する容器壁の一部には、前記貯留空間内に廃インクを導入するための廃インク導入部と、前記貯留空間を大気開放する通気孔とが設けられ、
前記貯留空間内には、導入された廃インクを浸透吸収するインク吸収材が装填された廃インク貯留構造であって、
前記通気孔には、廃インクの導入時にのみ開く開閉弁を設けたことを特徴とする廃インク貯留構造。
【請求項2】
前記開閉弁は、前記通気孔を備えた可撓性シート部材によって形成された容器壁と、当接部が前記可撓性シート部材の通気孔周縁に当接して当該通気孔を塞ぐように設けられた弁用構造部材とを有し、
前記廃インク導入部からの廃インクの導入圧によって変位した前記可撓性シート部材の通気孔周縁が、前記弁用構造部材の前記当接部から離間することで、前記通気孔が開放されることを特徴とする請求項1に記載の廃インク貯留構造。
【請求項3】
前記インク吸収材は、前記弁用構造部材の前記当接部の周囲から離間していることを特徴とする請求項2に記載の廃インク貯留構造。
【請求項4】
前記通気孔は、前記容器壁における短辺の中心線上に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の廃インク貯留構造。
【請求項5】
前記弁用構造部材の当接部には、前記可撓性シート部材の通気孔を貫通する突起が突設されていることを特徴とする請求項2に記載の廃インク貯留構造。
【請求項6】
前記開閉弁は、前記通気孔を塞ぐ弁体が、前記廃インク導入部からの廃インクの導入圧によって開く方向に弾性変位する開閉部を有する弾性部材により一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の廃インク貯留構造。
【請求項7】
上記請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の廃インク貯留構造を備えると共に、インクが充填されたインクパックを収容していることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項8】
前記通気孔を設けた容器壁が、前記インクパックを収容する収容空間と、前記貯留空間とを区画形成することを特徴とする請求項7に記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記通気孔が、前記インクパックと干渉しない位置に設けられていることを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
前記インクが、顔料インクであることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のインクカートリッジ。
【請求項11】
上記請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のインクカートリッジを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項12】
上記請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の廃インク貯留構造を備えたことを特徴とする廃インクタンク。
【請求項13】
上記請求項12に記載の廃インクタンクを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項14】
前記廃インクタンクが、プリンタハウジングのタンク収容部に対して着脱自在に装備されることを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタにおけるヘッドクリーニング動作等で発生する廃インクを貯留しておく為の廃インク貯留構造及びこれを備えたインクカートリッジ並びにインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは、インクの目詰まりによる印刷品質の低下を防止するために実施されるヘッドクリーニング動作や、インクカートリッジ交換後のインク充填動作の際に、廃インクが発生する。そこで、このような廃インクがプリンタ内部の機構等に不用意に付着することがないように、発生した廃インクを回収するための廃インク貯留構造が必要となる。
【0003】
このような廃インク貯留構造は、一般的に、廃インクを貯留する貯留空間を区画形成する容器壁の一部に、前記貯留空間内に廃インクを導入するための廃インク導入部が装備されると共に、前記容器壁上の前記廃インク導入部から離れた位置に前記貯留空間を外部に連通させて大気開放する通気孔が設けられる。更に、前記貯留空間内には前記廃インク導入部から導入された廃インクを浸透吸収するインク吸収材が装填された構成であり、インクカートリッジのケース自体に組み込まれたもの(例えば、特許文献1参照)、或いはインクカートリッジとは別体でインクジェットプリンタのプリンタハウジングの一部に組み込まれたもの(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−70672号公報
【特許文献2】特開平8−318629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した廃インク貯留構造において、貯留空間を大気開放する通気孔は、廃インクの導入に伴って貯留空間内の圧力が上昇しないように、貯留空間内の空気を外部に逃がすものである。
そこで、従来の廃インク貯留構造では、この通気孔が常時外部に開放した状態にあるため、インク吸収材に浸透吸収された廃インク中の水分が絶えず前記通気孔から外部に蒸散してしまう。
【0006】
その結果、特に顔料インクを用いている場合には、廃インクの固化が発生し易く、固化した廃インクがインク吸収材における浸透吸収性能を低下させてしまうため、インク吸収材の本来の吸収容量分を十分に活用することができず、長期に渡って安定使用することができない可能性があった。また、固化した廃インクによる目詰まりのために廃インク導入部に接続された廃インク供給側のチューブ等で異常昇圧が発生して、この異常昇圧のためにチューブが外れてインク漏れを招くという可能性もあった。
【0007】
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、貯留空間内に装填されるインク吸収材の浸透吸収性能の低下を防止し、廃インクの回収を長期に渡って行うことができる廃インク貯留構造及びこれを備えたインクカートリッジ並びにインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、廃インクを貯留する貯留空間を区画形成する容器壁の一部には、前記貯留空間内に廃インクを導入するための廃インク導入部と、前記貯留空間を大気開放する通気孔とが設けられ、前記貯留空間内には、導入された廃インクを浸透吸収するインク吸収材が装填された廃インク貯留構造であって、前記通気孔には、廃インクの導入時にのみ開く開閉弁を設けたことを特徴とする廃インク貯留構造により達成される。
【0009】
上記構成の廃インク貯留構造によれば、貯留空間を大気開放する通気孔が、廃インク導入部からの廃インクの導入時以外は開閉弁によって閉じた状態に保たれる。
そこで、貯留空間内に導入された廃インク中の水分が通気孔から外部に蒸散することを抑えて、貯留空間内における廃インクの固化を防止することができ、インク吸収材内の廃インクの固化に起因した浸透吸収性能の低下を防止することができる。
【0010】
なお、上記構成の廃インク貯留構造において、前記開閉弁は、前記通気孔を備えた可撓性シート部材によって形成された容器壁と、当接部が前記可撓性シート部材の通気孔周縁に当接して当該通気孔を塞ぐように前記貯留空間内に設けられた弁用構造部材とを有し、前記廃インク導入部からの廃インクの導入圧によって変位した前記可撓性シート部材の通気孔周縁が、前記弁用構造部材の当接部から離間することで、前記通気孔が開放されることが望ましい。
【0011】
この構成の廃インク貯留構造によれば、容器壁を構成する可撓性シート部材に通気孔を貫通形成し、この通気孔と対峙する位置の他の容器壁に前記弁用構造部材となる支柱又はリブ等を一体形成するだけで、通気孔を開閉する開閉弁を得ることができる。この開閉弁は、廃インク導入部からの廃インクの導入圧による可撓性シート部材の膨張動作によって、通気孔周縁が弁用構造部材の当接部から離脱することで通気孔が開放される。
そこで、開閉弁を装備するための部品追加が必要とならず、構成部品点数の増加や部品組立工程の増加に起因したコストアップが生じない。
【0012】
また、廃棄処分する際などには、通気孔を備えたプラスチックフィルム等の可撓性シート部材を他の容器壁から剥がすことで、貯留空間の一面を大きく開放した状態とすることができ、廃インクが浸透したインク吸収材を貯留空間内から簡単に取り出すことができる。
また、インク吸収材は、弁用構造部材の当接部の周囲から離間していることことが望ましい。
この構成により、当接部とインク吸収材とが離間していることからその間には毛細管力が働なく、インク吸収材に吸収されたインクが当接部に滲み出ることがないので、通気孔から廃インクが流出することがない。
また、通気孔の位置は、容器壁における短辺の中心線上に配置されていることが望ましく、この場合、変位量が一番大きいことから弁としての作動圧力を小さくすることができる。更には、容器壁の通気孔における変位量が左右同等であるから当接部に均一に当接させることができる。
【0013】
また、上記構成の廃インク貯留構造において、前記弁用構造部材の当接部には、前記可撓性シート部材の通気孔を貫通する位置決め用突起が突設されていることが望ましい。
この構成によれば、組立時における弁用構造部材の当接部と可撓性シート部材の通気孔との位置合わせが容易となり、組立性が向上する。
【0014】
また、前記開閉弁は、前記通気孔を塞ぐ弁体が、前記廃インク導入部からの廃インクの導入圧によって開く方向に弾性変位する開閉部を有する弾性部材により一体成形されていることが望ましい。
この構成によれば、開閉弁を構成する専用の弁体が必要となるが、その代わりに弁体の開閉部における弾性特性を適宜設定することで、開閉弁による通気孔の封止性能を向上させ、通気孔からの水分の蒸散を防止する性能を向上させることができる。また、通気孔を設ける容器壁がプラスチックフィルム等の可撓性シート部材に限定されないため、廃インク貯留構造を備えたインクカートリッジやプリンタハウジングの設計自由度が向上する。
【0015】
更に、本発明の上記目的は、上記構成の廃インク貯留構造を備えると共に、インクが充填されたインクパックを収容していることを特徴とするインクカートリッジにより達成される。
上記構成のインクカートリッジによれば、貯留空間内に導入された廃インク中の水分が通気孔から外部に蒸散することを抑えて、貯留空間内における廃インクの固化を防止することができ、廃インクの固化に起因したインク吸収材の浸透吸収性能の低下が防止されたインクカートリッジを得ることができる。
【0016】
また、上記構成のインクカートリッジにおいて、前記通気孔を設けた容器壁が、前記インクパックを収容する収容空間と、前記貯留空間とを区画形成することが望ましい。
この構成によれば、通気孔がインクカートリッジの外部に直接露呈せず、インクパックを収容する収容空間を介して大気開放されるので、通気孔に設けた開閉弁に使用者が不用意に触れてしまい、弁機能に支障をきたすおそれがない。
【0017】
また、上記構成のインクカートリッジにおいて、前記通気孔が、前記インクパックと干渉しない位置に設けられていることが望ましい。
この構成によれば、インクカートリッジの収容空間に収容されたインクパックによって、通気孔に設けた開閉弁の弁機能に支障をきたすおそれがない。
【0018】
また、前記インクが、顔料インクである場合には、貯留空間内における廃インクの固化防止効果をより顕著に享受することができる。
【0019】
更に、本発明の上記目的は、上記構成のインクカートリッジを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタにより達成される。
上記構成のインクジェットプリンタによれば、貯留空間内に導入された廃インク中の水分が通気孔から外部に蒸散することを抑えて、貯留空間内における廃インクの固化を防止することができ、廃インクの固化に起因したインク吸収材の浸透吸収性能の低下が防止されたインクジェットプリンタを得ることができる。
【0020】
更に、本発明の上記目的は、上記構成の廃インク貯留構造を備えたことを特徴とする廃インクタンクにより達成される。
この構成によれば、貯留空間内に導入された廃インク中の水分が通気孔から外部に蒸散することを抑えて、貯留空間内における廃インクの固化を防止することができ、廃インクの固化に起因したインク吸収材の浸透吸収性能の低下が防止された廃インクタンクを得ることができる。
【0021】
また、上記構成の廃インクタンクが、プリンタハウジングのタンク収容部に対して着脱自在に装備されることが望ましい。
この構成によれば、廃インクタンクだけをプリンタハウジングから独立して取り外すことができるので、インクで汚れた廃インクタンクだけを別に管理し、汚れていないプリンタハウジングについては、そのままリサイクルやリユースに回すことができる。また、廃インクタンクが着脱自在であることから、何らかの事情により、作業者の手等を汚すことなく、廃インクタンクだけを新品に交換することも可能である。
【0022】
本発明の廃インク貯留構造及びこれを備えたインクカートリッジ並びにインクジェットプリンタによれば、廃インクを貯留する貯留空間を大気開放する通気孔が、廃インク導入部からの廃インクの導入時以外は開閉弁によって閉じた状態に保たれる。
そこで、貯留空間内に導入された廃インク中の水分が通気孔から外部に蒸散することを抑えて、貯留空間内における廃インクの固化を防止することができ、インク吸収材内の廃インクの固化に起因した浸透吸収性能の低下を防止することができる。
従って、インク吸収材の本来の吸収容量分を十分に活用することができ、廃インクの回収に長期に渡って安定使用することができる。また、固化した廃インクによる目詰まりが生じないため、廃インク導入口に接続された廃インク供給側のチューブ等で異常昇圧が発生することもなく、チューブの外れ等によるインク漏れ等の不都合の発生も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る廃インク貯留構造の好適な第1の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係る廃インク貯留構造を備えたインクカートリッジが装填されたインクジェットプリンタの全体構成を示す外観斜視図であり、図2乃至図4は図1に示したインクカートリッジの全体斜視図、分解斜視図及び縦断面図であり、図5及び図6は図2に示したインクカートリッジの要部拡大断面図である。
【0024】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、複数種のカラーインク液を使用してロール紙にカラー印刷するものであり、図1に示すように、プリンタケース2の前面には、ロール紙カバー5及びインクカートリッジカバー7を一体に形成したプリンタカバー4が開閉自在に装備されている。更に、プリンタケース2の前面には、電源スイッチ3と共にフィードスイッチやインジケータ等も配置されている。
【0025】
図2に示すように、プリンタカバー4を開くと、印刷用紙であるロール紙6を収容した用紙収容部8を覆うロール紙カバー5が開放状態になって、用紙の交換が可能になる。同時に、カートリッジ装着部9を覆うインクカートリッジカバー7も開放状態になり、該カートリッジ装着部9へのインクカートリッジ10の着脱が可能になる。
本実施形態のインクジェットプリンタ1の場合は、プリンタカバー4を開く動作に連動して、カートリッジ装着部9の前方にインクカートリッジ10が所定距離だけ引き出される構成になっている。
【0026】
図2乃至図4に示すように、本実施形態のインクカートリッジ10は、インクジェットプリンタ1のカートリッジ装着部9に装着されるもので、3個のインクパック11〜13を収容するカートリッジケース15に、プリンタのインク充填動作やヘッドクリーニング動作の際に生じる廃インクを貯留する廃インク貯留構造17が装備されている。
3個のインクパック11〜13は、カラー印刷用にそれぞれ異なるカラーインクを充填したものである。それぞれのインクパック11〜13は、同一の構造のもので、インクを収容する可撓性の袋体21と、この袋体21の前端部に接合されたインク取り出し口23とから構成されている。
【0027】
袋体21は、2枚のアルミニウムラミネートフィルムを重ね合わせて、それらの周囲を熱融着等の方法によって接合することにより形成されている。アルミニウムラミネートフィルムを採用した理由は、ガスバリヤー性の向上のためである。アルミニウムラミネートフィルムとしては、例えば、アルミニウム箔の外側をナイロンフィルム、内側をポリエチレンフィルムにより挟み込んだ構成のものが採用される。
【0028】
インク取り出し口23は、図4に示すように、外径が先端側よりも大きく形成され袋体21内に固定される筒状体23aと、この筒状体23a内に装着されて該筒状体23aの流路を開閉する弁体23bと、筒状体23aの先端に貼付されて筒状体23aの開口を封止したシールフィルム23cとを備えた構成である。インク取り出し口23の筒状体23aは、例えば硬質プラスチック等で形成されている。そして、シールフィルム23cは、ポリエチレンフィルムで形成されている。
そして、インク取り出し口23は、筒状体23aを袋体21のアルミニウムラミネートフィルムに熱融着等により固定することで、筒状体23aに一体化されている。
【0029】
カートリッジケース15は、図3及び図4に示すように、上ケース31と、この上ケース31の下に連結される下ケース33と、上ケース31と下ケース33とで区画形成した空間を上下に仕切る中間容器壁35とから構成されている。
上ケース31と下ケース33は適宜プラスチック材料による成形品であり、中間容器壁35は可撓性シート部材であるプラスチックフィルムで形成され、本実施形態の場合、廃インク導入部37からの廃インクの導入圧によって上方へ膨張可能な程度の可撓性を有したプラスチックフィルムを選定している。
【0030】
上ケース31は、下方を開放した箱形であり、前面容器壁31aは、両側面及び後面の容器壁よりも丈が短く設定されている。そして、この前面容器壁31aの下端には、インクパック11〜13のインク取り出し口23の上半分を位置決めする半円筒状のインクパック位置決め部31bが形成されている。半円筒状のインクパック位置決め部31bは、収容する3個のインクパック11〜13に合わせて、合計3箇所、形成されている。
また、上ケース31と下ケース33はカバー部33dに設けられた係止用開口部33jに上ケース31の係止用突起31fを係合させて、上ケースの両側面側に設けた係止用突起31dを下ケース33側の係止用のスリット33a内に設けた段差状の係合部(不図示)に掛止させることにより上下ケース相互を連結される。
【0031】
下ケース33は、上部を開放した薄皿状の箱形である。前面容器壁33bは、両側面及び後面の容器壁よりも丈が高く設定されており、この前面容器壁33bの上端に、インクパック11〜13のインク取り出し口23の下半分を位置決めする半円筒状のインクパック位置決め部33cが形成されている。
【0032】
半円筒状のインクパック位置決め部33cは、図4に示すように、上ケース31のインクパック位置決め部31bとでインク取り出し口23を上下から挟み付けることで、インクパック11〜13のインク取り出し口23を位置決め固定する。この半円筒状のインクパック位置決め部33cも、上述したインクパック位置決め部31bと同様に、収容する3個のインクパック11〜13に合わせて、合計3箇所、形成されている。
【0033】
また、前面容器壁33bの上端には、前記インクパック位置決め部33cの前端から延出して前記インク取り出し口23の前方を覆うカバー部33dが形成されている。このカバー部33dには、図4に示したように、インクジェットプリンタ1のカートリッジ装着部9に装備されたインク供給針41を挿通させる開口33eが貫通形成されている。
開口33eは、3個の半円筒状のインクパック位置決め部33cのそれぞれに中心を一致させて、3個形成されている。
【0034】
また、前面容器壁33bの下部寄りの位置には、廃インク貯留構造17における廃インク導入部37を構成する導入口44が形成されている。
廃インク導入部37は、図3及び図4に示すように、先端に向かって内径が広がるテーパ管状のゴム製口部材37aと、このゴム製口部材37aの抜け止をも兼ねて前面容器壁33bに熱融着されるシールフィルム37bと、ゴム製口部材37aの後端に当接されることでゴム製口部材37aの開口を塞ぐ弁体37cと、弁体37cをゴム製口部材37aに当接する方向に付勢する圧縮コイルばね37dとから構成されている。
【0035】
導入口44には、ゴム製口部材37aが弁体37cを介して圧縮コイルばね37dを少し圧縮させた状態で圧入されており、廃インク導入針47が差し込まれていない図4の状態ではゴム製口部材37aと弁体37cとは気密を保っている。
【0036】
本実施形態の廃インク貯留構造17は、図4に示すように、下ケース33と中間容器壁35とによって区画形成されて廃インクを貯留する貯留空間51と、この貯留空間51内に廃インクを導入するための廃インク導入部37と、貯留空間51を外部に連通させる通気孔61と、貯留空間51内に装填されて廃インク導入部37から貯留空間51内に導入された廃インクを浸透吸収する2枚のインク吸収材63と、通気孔61を開閉する開閉弁65とから構成されている。このインク吸収材63は、液体吸収性のある材料を貯留空間51内に収容可能な直方体状に成形したもので、具体的な材料としては、スポンジや不織布等の多孔質素材の他に、液体吸収性のある高分子ポリマーを採用することができる。
【0037】
下ケース33に2枚のインク吸収材63をセットした後、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルム(可撓性シート部材)によって形成された容器壁である中間容器壁35は、その周縁部を下ケース33の側面容器壁33f及び前後容器壁33g,33hの上端面に重ね合わせ、重ね合わせた部分を熱融着等の方法によって接合されることで、僅かに緊張した状態に下ケース33に固定されている。
この中間容器壁35が下ケース33の上端開口を覆うように下ケース33に固定されることで、図4に示すように、下ケース33の底壁33iと中間容器壁35との間には、廃インク貯留構造17を構成する貯留空間51が区画形成される。また、上ケース31の天井壁31eと中間容器壁35との間には、3個のインクパック11〜13を図3に示すように立てた状態に収容するインクパック収容空間55が区画形成される。
【0038】
また、本実施形態の場合、貯留空間51内に設けられた弁用構造部材67とを有する。
略円柱状の支柱である弁用構造部材67は、貯留空間51の幅方向に対して略中心線上の位置に下ケース33の底壁33iから突出するように一体形成されており、中間容器壁35が溶着される側面容器壁33f及び前後容器壁33g,33hの上端面と同一の高さ若しくはそれらより若干高い位置に当接面67bを備え、更にその中央上部に当接面67bより小径の位置決め用突起67aが突設されている。
また、貯留空間51に装填される2枚のインク吸収材63はその総高さが中間容器壁35が溶着される側面容器壁33f及び前後容器壁33g,33hの上端面と同一の高さ若しくはそれらより若干低くなっており、更には、弁用構造部材67とは隙間をもって配置されるように孔63aが貫通して形成されている。
一方、中間容器壁35には、当接面67bと対向する位置に当接面67bによって塞がれる円形状の通気孔61を備えている。この通気孔61は幅方向に対して中心線上に配置されている。
弁用構造部材67の当接面67bと中間容器壁35の通気孔61は後述する開閉弁65を構成する。
この開閉弁65が形成される位置は、貯留空間51内で最後に廃インクが到達する位置が望ましい。本実施形態では、図3に示すように、インクパック11〜13の下端と干渉しないと共に、廃インク導入部37から離れた後端寄り位置に通気孔61及び弁用構造部材67を設けている。
そして、本実施形態では、通気孔61を中間容器壁35の周縁部を下ケース33に接合する際の位置決め用にも使用している。すなわち、通気孔61を位置決め用突起67aに挿通させ、その後、通気孔61とは反対側の周縁部を下ケース33の接合端面に合わせるだけで正確に接合部分に位置決めできる。
上記構成により、下ケース33に接合された中間容器壁35の通気孔61の周縁部は、弁用構造部材67の当接面67bに当接しており、通気孔61は、図6(a)のように塞がれている。
【0039】
下ケース33には、図2及び図3に示すように、その側面容器壁33fに、収容した各インクパック11〜13の種類や、インクの残量、その他の諸データを記録可能なICモジュール53が装備される。
このICモジュール53は、インクカートリッジ10をインクジェットプリンタ1のカートリッジ装着部9に装着すると、カートリッジ装着部9に装備された接続端子に電気的に接続される。そして、プリンタ側の制御回路、又はプリンタが接続されたコンピュータから諸情報の読み書きが可能になる。
【0040】
インクパック11〜13を収容した上ケース31に、インク吸収材63を貯留空間51装填して中間容器壁35によってシールドした下ケース33とを接合すると前述の係止用突起31d,31f等によって連結することによりインクカートリッジ10が組み立てられる。
インクカートリッジ10をインクジェットプリンタ1のカートリッジ装着部9に装着する状態では、図5に示すように、インクパック11〜13の下端が中間容器壁35を図中矢印(A)方向に中間容器壁35を下方に押圧付勢する。押圧付勢する力は、後述する廃インク貯留構造17の開閉弁65を閉じた状態に維持する付勢力として機能することもできる。この場合、テンションをかけずに中間容器壁35を下ケース33に固定することもできる。
【0041】
次に、上記のように構成された開閉弁について詳述する。
開閉弁65は、図6(a)に示すように、弁用構造部材67の当接面67bが通気孔61の周縁に当接して当該通気孔61を塞いでおり、廃インク導入部37からの廃インクの導入時以外は閉じた状態に保たれる。
この開閉弁65は、図6(b)に示すように、廃インクの導入に伴って貯留空間51内の圧力が上昇すると、中間容器壁35が変位して上方へ膨張動作する。すると、通気孔61の周縁が弁用構造部材67の当接面67bから離間するので、開閉弁65は通気孔61を介して貯留空間51を大気開放する。
この通気孔61は幅方向に対して中心線上に配置されているので、中間容器壁35の変位量が大きい位置にあり、弁としての作動圧力を小さくる。これにより貯留空間51の内圧の上昇を防ぎ易い。更には、中間容器壁35の通気孔61における変位量が左右同等であるから当接面67bに均一に当接させることができる。
【0042】
そして、開閉弁65は、図6(c)に示すように、廃インクの導入が終了して貯留空間51内の圧力が低下すると、中間容器壁35自体のテンション及び中間容器壁35を下方に押圧付勢するインクパック11〜13によって、通気孔61の周縁が弁用構造部材67の当接面67bに当接する方向に付勢されるので、当該通気孔61は塞がれる。
【0043】
そこで、インクカートリッジ10をインクジェットプリンタ1のカートリッジ装着部9に装着すると、カートリッジ装着部9に装備されたインク供給針41が気密にインク取り出し口23を貫通し、袋体21内のインク液がインク供給針41を介してプリンタ側に供給可能になる。インク供給針41には、プリンタの印字ヘッド(不図示)にインクを供給するための供給チューブ42が接続されている。
【0044】
一方、カートリッジ装着部9に装備された廃インク導入針47はゴム製口部材37aに気密に嵌合すると同時に弁体37cを押込み、廃インク導入針47を介して貯留空間51内に廃インクの導入が可能になる。
廃インク導入針47には、インクジェットプリンタ1がインク充填動作やヘッドクリーニング動作の際に発生した廃インクを廃インク導入針47に誘導する廃インク誘導チューブ49が接続されている。
図4に示すように、導入口44の後端(図4で左端)は、貯留空間51に連通しており、廃インク導入部37に挿入された廃インク導入針47から導入される廃インクは、導入口44の後端から貯留空間51内に流入する。
【0045】
インク吸収材63は、廃インク導入部37及び導入口44を経て貯留空間51内に導入された廃インクが廃インク導入部37側に逆流して外部に漏れることの無いように、導入された廃インクを浸透吸収する。
【0046】
機密に保持されている貯留空間51に廃インクが導入されると貯留空間51の気圧が高まり、それにより中間容器壁35は押し上げられて当接面67bとの間に隙間ができて貯留空間51内の空気が外部に逃げ気圧が下がり、開閉弁65は再び閉じられる。このように、開閉弁65は、廃インクの導入時にのみ通気孔61を開いて貯留空間51内の空気を外部に逃がすので、廃インク導入部37からの廃インクの導入が妨げられることはない。
【0047】
以上に説明した本実施形態の廃インク貯留構造17によれば、貯留空間51を大気開放する通気孔61が、廃インク導入部37からの廃インクの導入時以外は開閉弁65によって閉じた状態に保たれる。
そこで、貯留空間51内に導入された廃インク中の水分が通気孔61から外部に蒸散することを抑えて、貯留空間51内における廃インクの固化を防止することができ、インク吸収材63の廃インクの固化に起因した浸透吸収性能の低下を防止することができる。
【0048】
従って、顔料インクを用いた場合にもインク吸収材63の本来の吸収容量分を十分に活用することができ、また、廃インクの回収に長期に渡って安定使用することができる。また、固化した廃インクによる目詰まりが生じないため、廃インク導入部37に接続された廃インク供給側の廃インク誘導チューブ49等で異常昇圧が発生することもなく、廃インク誘導チューブ49の外れ等によるインク漏れ等の不都合の発生も防止できる。
【0049】
また、本実施形態の廃インク貯留構造17では、例えば、使用済みインクカートリッジ10を処分する際などには、上ケース31と下ケース33とを分離した後、下ケース33からプラスチックフィルム製の中間容器壁35を剥がすことで、貯留空間51の一面を大きく開放した状態とすることができ、よって、廃インクが浸透したインク吸収材63を貯留空間51内から簡単に取り出すことができる。
従って、部品や材料のリサイクルやリユースのために使用済みインクカートリッジ10を分解して、材料別に分類する作業等が容易になる。
【0050】
また、プラスチックフィルム製の中間容器壁35に貫通形成された通気孔61と対峙する位置の底壁33iに、当接面67bが通気孔61の周縁に当接して当該通気孔61を塞ぐ弁用構造部材67を一体形成するだけで、通気孔61を開閉する開閉弁65を得ることができる。そこで、開閉弁を装備するための部品追加が必要とならず、構成部品点数の増加や部品組立工程の増加に起因したコストアップが生じない。
【0051】
更に、上記実施形態のインクカートリッジ10においては、通気孔61を設けた中間容器壁35が、インクパック11〜13を収容するインクパック収容空間55と、貯留空間51とを区画形成している。
そこで、通気孔61がインクカートリッジ10の外部に直接露呈せず、インクパック11〜13を収容するインクパック収容空間55を介して大気開放されるので、通気孔61に設けた開閉弁65に使用者が不用意に触れてしまうことによる弁機能支障をきたすおそれがない。
また更には、弁用構造部材67の周囲はインク吸収材63と接しないように離間して空間部56を設けていることから、弁用構造部材67とインク吸収材63との間には毛細管力が働かず、インク吸収材63に吸収された廃インクが弁用構造部材67を伝って当接面67bに移動することが無いので、インク吸収材63が容量オーバーしない限り、通気孔61から廃インクが漏れることはない。
【0052】
また、本実施形態における弁用構造部材67の当接部には、通気孔61を貫通する位置決め用突起67aが突設されている。
そこで、組立時における弁用構造部材67の当接部と中間容器壁35の通気孔61との位置合わせが容易となり、組立性が向上する。
【0053】
尚、本発明の廃インク貯留構造を備えたインクカートリッジの具体的構造は、上記実施形態のインクカートリッジ10に限定されない。インクパックの支持構造や、収容するインクパックの数量等が異なる各種のインクカートリッジにも本発明の廃インク貯留構造は適用可能である。
また、弁用構造部材の具体的な構造も、上記実施形態では下ケースと一体に形成させたが別部品を下ケースに設けていても構わなく、更には下ケースの周縁部であっても構わなく、通気孔を塞ぐ面を備えていればよい。
【0054】
また、上記実施形態では、インクジェットプリンタ1に着脱可能に装着されるインクカートリッジ10に、廃インク貯留構造17を装備した例を説明した。しかし、本発明の廃インク貯留構造は、これに限定されるものではなく、種々の形態を採りうることは云うまでもない。
【0055】
次に、本発明に係る第2の実施形態について図を用いて説明する。
図7は廃インク貯留構造を備えた廃インクタンクが装填されたインクジェットプリンタの全体構成を示す概略分解斜視図であり、図8は図7に示した廃インクタンクの分解斜視図、図9は図8に示した開閉弁の拡大断面図である。
本実施形態のインクジェットプリンタ101は、図7に示すように、底部筐体であるプリンタハウジング111と、その内底部に画成したタンク収容部111sに対して着脱自在に装備される平面視矩形状の廃インクタンク120と、プリンタハウジング111及び廃インクタンク120の上側に設置されるプリンタ機構部115と、上部筐体である外装カバー112とを備えている。また、廃インクタンク120を収容するタンク収容部111sの後側には、電源ユニット116が装備されている。
【0056】
本実施形態の廃インクタンク120は、図8に示すように、貯留空間151内に導入された廃インクを浸透吸収するインク吸収材122を交換可能に収容した平箱形のタンク本体121と、該タンク本体121の上面開口を覆う蓋体124とを備えている。タンク本体121と蓋体124の接合部はゴムパッキン等のシール材123を介して圧接され、液密に密閉されている。
蓋体24の裏面には、廃インクをタンク周縁部のインク受口部127からタンク中央部に誘導してインク吸収材122の中央上部にて滴下させるチューブ125が装備されている。なお、廃インクタンク120を構成するプラスチック部品の色は、貯留される廃インクが見えにくいように濃色、例えば黒色とするのが好ましい。
【0057】
この廃インクタンク120は、プリンタハウジング111上のタンク収容部111sに嵌め込んでネジ固定され、その上でヘッドクリーニング用の吸引ポンプ(不図示)の吐出口とチューブ125の先端入口125aとを接続することによって、プリンタハウジング111にセットすることができる。また、廃インクタンク120を取り外す場合は、逆の操作を行うことで、プリンタハウジング111から取り外すことができる。
【0058】
インク吸収材122は、不織布やフェルトなどから成る薄板状の成形体を最下層から最上層(122A〜122D)まで多段(図示例では4段)に積層した積層体として構成されている。また、最下層のインク吸収材122Aを除く上3段のインク吸収材122B〜122Dの平面中央には、上下に貫通する中央穴122fが設けられ、最上層のインク吸収材122Dには、周縁部から中央穴122fに至るチューブ収容溝122gが形成されている。
【0059】
そして、最上層のインク吸収材122Dに形成されたチューブ収容溝122gにチューブ125が収容され、チューブ125の先端入口125aが蓋体124の周縁部に設けられたインク受口部127に位置決めされると共に、チューブ125の先端出口125bが最上層のインク吸収材122Dの中央穴122f内に位置決めされている。
【0060】
即ち、本実施形態の廃インクタンク120は、プリンタのインク充填動作やヘッドクリーニング動作の際に生じる廃インクを貯留する貯留空間151を区画形成する容器壁である蓋体124に、貯留空間151内に廃インクを導入するための廃インク導入部であるインク受口部127と、貯留空間151を大気開放する通気孔173とが設けられた廃インク貯留構造を備えている。通気孔173は、図8に示すように蓋体124の中央部にあり、インク吸収材122と接することが無いように中央穴122fの中央となる位置に配置されている。
【0061】
更に、蓋体124に形成された通気孔173には、図9に示すように、廃インクの導入時にのみ開く開閉弁171が設けられている。この開閉弁71は、蓋体124に形成された通気孔173を塞ぐ弁体174が、インク受口部127からの廃インクの導入圧によって開く方向に弾性変位する開閉部174cを有する弾性部材により一体成形されている。
弁体174は、通気孔173の周縁部に密着接合される鍔部174aと、この鍔部174aの内周部から通気孔173を貫通した円筒部174bと、この円筒部174bの先端を塞ぐように円筒部174bの先端に連設された円錐状部に軸方向の切れ込み174dを入れて形成した複数の開閉部174cとが、ゴム材料により一体形成されている。
【0062】
開閉弁171の開閉部174cは、廃インクの非導入時には図9(a)に示したように閉じているが、廃インクの導入時には、図9(b)に示したようにインク受口部127からの廃インクの導入圧によって開く方向に弾性変位し、切れ込み174dが開いて貯留空間151内の空気が外部に逃がされる。
【0063】
従って、開閉弁171を構成する専用の弁体174が必要となるが、その代わりに弁体174の開閉部174cにおける弾性特性を適宜設定することで、開閉弁171による通気孔173の封止性能を向上させ、通気孔173からの水分の蒸散を防止する性能を向上させることができる。
また、通気孔173を設ける蓋体124の材質が限定されないため、廃インク貯留構造を備えた廃インクタンク120の設計自由度が向上する。
【0064】
上述した本実施形態の廃インクタンク120によれば、貯留空間151内に導入された廃インク中の水分が通気孔173から外部に蒸散することを抑えて、貯留空間151内における廃インクの固化を防止することができ、廃インクの固化に起因したインク吸収材122の浸透吸収性能の低下が防止された廃インクタンクを得ることができる。
【0065】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ101は、廃インクタンク120だけをプリンタハウジング111から独立して取り外すことができるので、インクで汚れた廃インクタンク120だけを別に管理し、汚れていないプリンタハウジング111については、そのままリサイクルやリユースに回すことができる。また、廃インクタンク120が着脱自在であることから、何らかの事情により、作業者の手等を汚すことなく、廃インクタンク120だけを新品に交換することも可能である。
【0066】
また、本実施形態の廃インクタンク120は、使用済みで処分する際などには、蓋体124を開けて廃インクが浸透したインク吸収材122をタンク本体121から取り出した後、蓋体124から弁体174やチューブ125などを取り外すことで、簡単に分解することができる。
従って、部品や材料のリサイクルやリユースのために使用済み廃インクタンク120を分解して、材料別に分類する作業等が容易になる。
【0067】
尚、廃インク導入部からの廃インクの導入圧によって開く開閉部を有する弁体が一体成形される開閉弁の構成は、上記開閉弁171の構成に限定されるものではなく、種々の形態を採りうることは云うまでもない。
図10に示した開閉弁175は、例えば図示しない容器壁の通気孔内に螺着固定される略円筒状の弁座177と、この弁座177に着座する弁体178とから構成されている。
【0068】
弁座177は、円筒内周面に形成された当接面177aを弁体178の着座面としたものである。弁体178は、外周部が当接面177aに着座する円板状の弁本体178aと、この弁本体178aの中心部を支持する支持部178bとが、弾性部材により一体成形されている。
そして、図中に2点鎖線で示すように、廃インクの導入時には貯留空間側の圧力上昇に伴って弁本体78aの外周部が弁座77から離間する方向に弾性変位し、図中に矢印で示すように、その時に形成される隙間から貯留空間側の空気を外部に逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る廃インク貯留構造を備えたインクカートリッジが装填されたインクジェットプリンタの全体構成を示す外観斜視図。
【図2】図1に示したインクカートリッジの全体斜視図。
【図3】図2に示したインクカートリッジの分解斜視図。
【図4】図2に示したインクカートリッジの縦断面図。
【図5】図2に示したインクカートリッジの要部拡大断面図。
【図6】図4に示した開閉弁の開閉動作を説明する断面図であり、(a)は開閉弁が閉じられている状態を示す断面図、(b)は廃インクの導入による貯留空間内の圧力上昇により開閉弁が開いた状態を示す断面図、(c)は廃インクの導入が終了して再び開閉弁が閉じた状態を示す断面図。
【図7】本発明に係る廃インク貯留構造を備えた廃インクタンクが装填されたインクジェットプリンタの全体構成を示す概略分解斜視図。
【図8】図7に示した廃インクタンクの分解斜視図。
【図9】図8に示した開閉弁の拡大断面図。
【図10】本発明に係る開閉弁の他の構成例を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0070】
1,101…インクジェットプリンタ、10…インクカートリッジ、11,12,13…インクパック、15…カートリッジケース、17…廃インク貯留構造、31…上ケース、33…下ケース、35…中間容器壁(可撓性シート部材)、37…廃インク導入部、44…導入口、47…廃インク導入針、51…貯留空間、61…通気孔、63…インク吸収材、65,171…開閉弁、67…弁用構造部材、67a…位置決め用突起、120…廃インクタンク。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年8月28日(2006.8.28)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦


【公開番号】 特開2008−49639(P2008−49639A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−230191(P2006−230191)