| 【発明の名称】 |
プリンタおよびプリンタの制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小山 薫
【氏名】五十嵐 人志
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| 【要約】 |
【課題】スループットを向上させることが可能な構成を備えるプリンタを提供すること。
【構成】搬送ローラ4と協働して印刷媒体を搬送する供給ローラ27および搬送ローラ4の周速度が略同一となるように、搬送モータ14および供給モータ31を制御する制御部50は、印刷媒体の間欠搬送後における搬送モータ14内部の第1推定温度および供給モータ31内部の第2推定温度を算出するとともに、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときに、次の間欠搬送時において、搬送モータ14および供給モータ31の適切な制御が可能となるように、前回の間欠搬送時の第1目標到達回転数より低い回転数を新たな第1目標到達回転数として搬送モータ14を回転制御し、かつ、前回の間欠搬送時の第2目標到達回転数より低い回転数を新たな第2目標到達回転数として供給モータ31を回転制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 印刷前の印刷媒体がセットされる媒体セット部から供給された上記印刷媒体を間欠的に搬送可能な搬送ローラと、該搬送ローラを駆動する搬送モータと、上記媒体セット部から上記印刷媒体を供給するとともに、上記搬送ローラと協働して上記媒体セット部から供給された上記印刷媒体を間欠的に搬送可能な供給ローラと、該供給ローラを駆動する供給モータと、上記搬送ローラの周速度と上記供給ローラの周速度とが略同一となるように、上記搬送モータおよび上記供給モータの回転数を制御する制御部とを備え、 該制御部は、上記印刷媒体の間欠搬送後における上記搬送モータ内部の第1推定温度および上記供給モータ内部の第2推定温度を算出するとともに、上記第1推定温度および上記第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるとき、次の間欠搬送時において、上記搬送ローラの周速度と上記供給ローラの周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時での上記搬送モータの第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1目標到達回転数として上記搬送モータを回転制御し、前回の間欠搬送時での上記供給モータの第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第2目標到達回転数として上記供給モータを回転制御することを特徴とするプリンタ。 【請求項2】 前記第1目標到達回転数および前記第2目標到達回転数は、前記搬送モータおよび前記供給モータごと個別にかつ段階的に設定され、 前記制御部は、前記第1推定温度および前記第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるときに、前記第1目標到達回転数および前記第2目標到達回転数を段階的に下げていくことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。 【請求項3】 前記制御部は、前記印刷媒体の搬送時における前記第1目標到達回転数および/または前記第2目標到達回転数が最小値である場合に、前記第1推定温度および前記第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるときには、前記搬送モータおよび前記供給モータを停止することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。 【請求項4】 前記制御部に接続され、前記搬送モータの回転数を検出可能な第1エンコーダと、前記制御部に接続され、前記供給モータの回転数を検出可能な第2エンコーダとを備え、 前記制御部は、上記第1エンコーダおよび上記第2エンコーダの少なくともいずれか一方からの出力信号を検出できないときに、前記搬送モータおよび前記供給モータを停止させることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のプリンタ。 【請求項5】 搬送モータで駆動され、印刷前の印刷媒体がセットされる媒体セット部から供給された上記印刷媒体を搬送する搬送ローラと、供給モータで駆動され、上記媒体セット部から上記印刷媒体を供給する供給ローラとを略同一の周速度で回転させるとともに、上記搬送ローラと上記供給ローラとを協働させて上記媒体セット部から供給された上記印刷媒体を間欠的に搬送する搬送ステップと、 該搬送ステップでの上記印刷媒体の間欠搬送後における上記搬送モータ内部の第1推定温度および上記供給モータ内部の第2推定温度を算出する温度算出ステップと、 上記第1推定温度および上記第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるとき、次の間欠搬送時において、上記搬送ローラの周速度と上記供給ローラの周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時での上記搬送モータの第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での上記搬送モータの第1目標到達回転数として設定し、前回の間欠搬送時での上記供給モータの第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での上記供給モータの第2目標到達回転数として設定する回転数設定ステップとを備えることを特徴とするプリンタの制御方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、プリンタおよびプリンタの制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 印刷用紙等の印刷媒体へ印刷を行うインクジェットプリンタとして、印刷用紙をプリンタの内部へ供給する給紙ローラと、プリンタの内部へ供給された印刷用紙への印刷時等にこの印刷用紙を搬送する紙送りローラとを備えたプリンタが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。 【0003】 特許文献1に記載のプリンタでは、給紙ローラは、紙送りローラを回転駆動する紙送りモータに、クラッチを介して接続されている。そして、給紙ホッパにセットされている印刷用紙は、まず、紙送りモータに接続された給紙ローラによって紙送りローラの位置まで搬送される。印刷用紙が紙送りローラの位置まで搬送されると、給紙ローラと紙送りモータとが切り離され、その後の印刷用紙の搬送は、紙送りローラによって行われる。 【0004】 また、特許文献2に記載のプリンタでは、給紙ローラと紙送りローラとは別個のモータで回転駆動されている。そして、このプリンタでも、特許文献1に記載のプリンタと同様に、印刷用紙は、給紙ローラによって紙送りローラの位置まで搬送され、その後の印刷用紙の搬送は、紙送りローラによって行われる。 【0005】 【特許文献1】特開2003−72964号公報 【特許文献2】特開2006−117385号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 近年、プリンタの市場では、複数の印刷用紙に連続で印刷を行う連続印刷時におけるスループット(単位時間当たりの印刷枚数)の向上が求められている。しかしながら、特許文献1および2に記載のプリンタでは、印刷用紙は、給紙ローラによって紙送りローラの位置まで取り込まれ、その後の印刷用紙の搬送は、紙送りローラによって行われている。すなわち、印刷動作または排紙動作と給紙動作とが別動作となっている。そのため、特許文献1および2に記載のプリンタでは、スループットの向上を図る上で限界がある。 【0007】 そこで、本発明の課題は、スループットをより向上させることが可能な構成を備えるプリンタを提供することにある。また、本発明の課題は、スループットをより向上させることが可能なプリンタの制御方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記の課題を解決するため、本発明のプリンタは、印刷前の印刷媒体がセットされる媒体セット部から供給された印刷媒体を間欠的に搬送可能な搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送モータと、媒体セット部から印刷媒体を供給するとともに、搬送ローラと協働して媒体セット部から供給された印刷媒体を間欠的に搬送可能な供給ローラと、供給ローラを駆動する供給モータと、搬送ローラの周速度と供給ローラの周速度とが略同一となるように、搬送モータおよび供給モータの回転数を制御する制御部とを備え、制御部は、印刷媒体の間欠搬送後における搬送モータ内部の第1推定温度および供給モータ内部の第2推定温度を算出するとともに、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるとき、次の間欠搬送時において、搬送ローラの周速度と供給ローラの周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時での搬送モータの第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1目標到達回転数として搬送モータを回転制御し、前回の間欠搬送時での供給モータの第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第2目標到達回転数として供給モータを回転制御することを特徴とする。 【0009】 本発明のプリンタでは、制御部は、搬送ローラと協働して印刷媒体を搬送する供給ローラの周速度と搬送ローラの周速度とが略同一となるように、搬送モータおよび供給モータの回転数を制御している。そのため、供給ローラと搬送ローラとを同期させて回転させることができる。したがって、印刷媒体の排出動作や印刷動作に支障を来たすことなく、印刷媒体の供給動作を行うことができる。すなわち、印刷動作や排出動作と供給動作とを一連の動作として行うことができ、連続印刷時に、スループットをより向上させることが可能になる。また、供給ローラと搬送ローラとを同期させて回転させることができるため、供給ローラと搬送ローラとの間で、印刷媒体を適切に搬送することが可能になる。その結果、印刷媒体にかかる張力の変化によって(印刷媒体がたるんだり、突っ張ったりすることで)搬送時に生じうる印刷媒体の音の発生を抑制できる。 【0010】 また、本発明では、制御部は、印刷媒体の間欠搬送後における搬送モータ内部の第1推定温度および供給モータ内部の第2推定温度を算出するとともに、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるとき、次の間欠搬送時において、搬送ローラの周速度と供給ローラの周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時での搬送モータの第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1目標到達回転数として搬送モータを回転制御し、前回の間欠搬送時での供給モータの第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第2目標到達回転数として供給モータを回転制御している。そのため、搬送モータ内部の第1推定温度や供給モータ内部の第2推定温度が所定の温度に達して、焼損等を防止するためのいわゆる発熱制限制御が必要となる場合には、搬送モータおよび供給モータの到達回転数を下げることで、負荷を低減して搬送モータや供給モータの発熱を抑制しながら、かつ、供給ローラと搬送ローラとを適切に同期させて回転させることが可能になる。 【0011】 本発明において、第1目標到達回転数および第2目標到達回転数は、搬送モータおよび供給モータごと個別にかつ段階的に設定され、制御部は、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるときに、第1目標到達回転数および第2目標到達回転数を段階的に下げていくことが好ましい。このように構成すると、搬送モータや供給モータの発熱を抑制しつつ、供給ローラと搬送ローラとを適切に同期させることができるとともに、できる限り速い搬送速度で印刷媒体を搬送することが可能になる。 【0012】 本発明において、制御部は、印刷媒体の搬送時における第1目標到達回転数および/または第2目標到達回転数が最小値である場合に、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるときには、搬送モータおよび供給モータを停止することが好ましい。第1、第2目標到達回転数が最小値であるにもかかわらず、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるときには、搬送モータや供給モータの発熱を抑制しつつ、供給ローラと搬送ローラとを適切に同期させながら回転させることは困難である。したがって、このように構成することで、搬送モータや供給モータの焼損等を防止しつつ、印刷媒体の損傷や印刷媒体による音の発生を防止することが可能になる。 【0013】 本発明において、プリンタは、制御部に接続され、搬送モータの回転数を検出可能な第1エンコーダと、制御部に接続され、供給モータの回転数を検出可能な第2エンコーダとを備え、制御部は、第1エンコーダおよび第2エンコーダの少なくともいずれか一方からの出力信号を検出できないときに、搬送モータおよび供給モータを停止させることが好ましい。第1エンコーダおよび第2エンコーダの少なくともいずれか一方からの出力信号を検出できないときには、異常事態が生じているため、このように構成すると、印刷媒体の詰まりや、プリンタ内部の損傷を防止できる。 【0014】 また、上記の課題を解決するため、本発明のプリンタの制御方法は、搬送モータで駆動され、印刷前の印刷媒体がセットされる媒体セット部から供給された印刷媒体を搬送する搬送ローラと、供給モータで駆動され、媒体セット部から印刷媒体を供給する供給ローラとを略同一の周速度で回転させるとともに、搬送ローラと供給ローラとを協働させて媒体セット部から供給された印刷媒体を間欠的に搬送する搬送ステップと、搬送ステップでの印刷媒体の間欠搬送後における搬送モータ内部の第1推定温度および供給モータ内部の第2推定温度を算出する温度算出ステップと、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるとき、次の間欠搬送時において、搬送ローラの周速度と供給ローラの周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時での搬送モータの第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での搬送モータの第1目標到達回転数として設定し、前回の間欠搬送時での供給モータの第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での供給モータの第2目標到達回転数として設定する回転数設定ステップとを備えることを特徴とする。 【0015】 本発明のプリンタの制御方法では、搬送ステップで、搬送ローラと供給ローラとを略同一の周速度で回転させるとともに、搬送ローラと供給ローラとを協働させて印刷媒体を搬送している。そのため、供給ローラと搬送ローラとを同期させて回転させることができ、連続印刷時において、スループットをより向上させることが可能になる。また、供給ローラと搬送ローラとの間において、印刷媒体を適切に搬送することが可能になり、印刷媒体の音の発生を抑制できる。 【0016】 また、本発明では、温度算出ステップで搬送モータ内部の第1推定温度および供給モータ内部の第2推定温度を算出するとともに、回転数設定ステップで、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときまたは所定温度を超えるとき、次の間欠搬送時において、搬送ローラの周速度と供給ローラの周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時での搬送モータの第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1目標到達回転数として設定し、前回の間欠搬送時での供給モータの第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第2目標到達回転数として設定している。そのため、搬送モータや供給モータの発熱制限制御が必要となる場合には、搬送モータおよび供給モータの到達回転数を下げることで、搬送モータや供給モータの発熱を抑制しながら、かつ、供給ローラと搬送ローラとを適切に同期させて回転させることが可能になる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、本発明の実施の形態にかかるプリンタおよびプリンタの制御方法を図面に基づいて説明する。 【0018】 (プリンタの概略構成) 図1は、本発明の実施の形態にかかるプリンタ1の主要部の概略構成を示す側面図である。図2は、図1に示すPF駆動ローラ4等の駆動部の概略構成を模式的に示す図である。図3は、図1に示す給紙ホッパ26およびリタードローラ28の動作を説明するための図であり、(A)は給紙ホッパ26の下端部およびリタードローラ28が上昇してプリンタ1の内部への印刷用紙Pの供給が可能となっている状態を示し、(B)は給紙ホッパ26の下端部およびリタードローラ28が下降してプリンタ1の内部への印刷用紙Pの供給が不可能となっている状態を示す。 【0019】 本形態のプリンタ1は、印刷媒体となる印刷用紙Pに対してインク滴を吐出して印刷を行うインクジェットプリンタであり、前面側(図1の左側)および後面側(図1の右側)の両面側からの印刷用紙Pの供給が可能となっている。このプリンタ1は、図1に示すように、インク滴を吐出する印刷ヘッド2が搭載されたキャリッジ3と、後述の給紙ホッパ26等から供給された印刷用紙Pを副走査方向SSへ搬送する搬送ローラとしてのPF駆動ローラ4と、PF駆動ローラ4とともに印刷用紙Pの搬送を行うPF従動ローラ5と、印刷用紙Pをプリンタ1の外部へ排出する排紙駆動ローラ6および排紙従動ローラ7と、印刷ヘッド2のインク吐出面(図1の下面)と対向するプラテン8と、給紙ホッパ26等から供給された印刷用紙Pの通過等を検出するための紙検出装置9と、印刷ヘッド2で印刷が行われる印刷領域に向かって前面側から印刷用紙Pを供給するための前面給紙機構10と、印刷領域に向かって後面側から印刷用紙Pを供給するための後面給紙機構11とを備えている。なお、本形態における印刷媒体には、通常の文書印刷に使用される普通紙、写真の印刷に使用される写真用紙、普通紙や写真用紙よりも厚い厚紙等の印刷用紙Pの他に、シールやOHPシート等の透明フィルム等が含まれる。 【0020】 PF駆動ローラ4は、図2に示すように、搬送モータとしてのPFモータ14に直接あるいは図示を省略する歯車等を介して連結されている。本形態のPFモータ14は、DC(直流)モータである。また、本形態では、PFモータ14の制御方法として、PWM制御が採用されるとともに、比例制御と積分制御と微分制御とを組み合わせてPFモータ14の現行回転速度(現行回転数)を目標回転速度(目標回転数)に収束させる制御であるPID制御が採用されている。PF従動ローラ5は、不図示のバネでPF駆動ローラ4に向かって付勢され、PF駆動ローラ4とともに回転する。 【0021】 排紙駆動ローラ6は、図2に示すように、プーリ18やベルト19等の伝達機構を介してPF駆動ローラ4に連結されている。この排紙駆動ローラ6の回転は、PF駆動ローラ4の回転と同期する。すなわち、排紙駆動ローラ6は、PF駆動ローラ4の周速度と略同一の周速度で回転する。排紙従動ローラ7は、不図示のバネで排紙駆動ローラ6に向かって付勢され、排紙駆動ローラ6とともに回転する。紙検出装置9は、不図示の発光素子と受光素子とが上下方向で対向配置された光学式の検出装置であり、発光素子と受光素子との間を通過する印刷用紙Pの幅方向の一端部分を検出する。 【0022】 前面給紙機構10は、前面側から供給される印刷用紙Pがセットされる給紙カセット20と、給紙カセット20内の印刷用紙Pをプリンタ1の内部へ供給する前面給紙ローラ21と、前面側から取り込まれる印刷用紙Pが通過する搬送路23とを備えている。前面給紙ローラ21は、回動軸22aを中心に揺動可能に構成されたアーム22の先端に取り付けられ、印刷用紙Pの上面に圧接している。また、前面給紙ローラ21は、印刷用紙Pの先端がPF駆動ローラ4に到達するまで、印刷用紙Pをプリンタ1の内部へ搬送する。 【0023】 後面給紙機構11は、後面側から供給される印刷前の印刷用紙Pがセットされる媒体セット部としての給紙ホッパ26と、給紙ホッパ26上の印刷用紙Pを、印刷ヘッド2で印刷が行われる印刷領域に向かって供給する供給ローラとしての後面給紙ローラ27と、印刷用紙Pの重送を防止するためのリタードローラ28とを備えている。 【0024】 後面給紙ローラ27は、図2に示すように、歯車列29や遊星歯車列30を介して供給モータとしてのASFモータ31に連結されている。また、前面給紙ローラ21も、遊星歯車列30等を介してASFモータ31に連結されている(図2では、前面給紙ローラ21の図示を省略)。本形態では、遊星歯車列30の作用によって、ASFモータ31が一方向へ回転すると、後面給紙ローラ27が回転し、ASFモータ31が他方向へ回転すると、前面給紙ローラ21が回転する。本形態のASFモータ31は、DCモータであり、PFモータ14と同様に、PWM制御されるとともに、PID制御されている。 【0025】 給紙ホッパ26は、印刷用紙Pを載置可能な板状部材であり、上端側に設けられた回動軸26aを中心に揺動可能となっている。リタードローラ28は、後面給紙ローラ27の斜め下側に対向する位置に配置され、不図示の回動軸を中心に揺動可能に構成された不図示のアームに回転可能に保持されている。不図示のカムの回動によって、給紙ホッパ26は、回動軸26aを中心に揺動し、リタードローラ28が保持されたアームも揺動する。この揺動によって、給紙ホッパ26の下端部は、後面給紙ローラ27に向かって付勢され、また、後面給紙ローラ27から離れる。また、この揺動によって、リタードローラ28は、後面給紙ローラ27に圧接され、また、後面給紙ローラ27から離れる。すなわち、カムの回動によって、図3(A)に示すように、給紙ホッパ26の下端部およびリタードローラ28は上昇し、図3(B)に示すように、給紙ホッパ26の下端部およびリタードローラ28は下降する。図3(A)に示す状態が、プリンタ1の内部への印刷用紙Pの供給が可能な状態である。また、図3(B)に示す状態が、後面側からプリンタ1の内部へ印刷用紙Pを供給できない状態である。 【0026】 また、プリンタ1は、図2に示すように、PFモータ14の回転数等を検出するための第1エンコーダとしてのPFエンコーダ40と、ASFモータ31の回転数等を検出するための第2エンコーダとしてのASFエンコーダ41とを備えている。PFエンコーダ40は、PF駆動ローラ4の回転軸に固定されたロータリスケール43と、不図示の発光素子および受光素子を有するフォトセンサ44とから構成されている。ASFエンコーダ41は、ASFモータ31の出力軸に固定されたロータリスケール45と、不図示の発光素子および受光素子を有するフォトセンサ46とから構成されている。PFエンコーダ40およびASFエンコーダ41からの出力信号は、プリンタ1の各種の制御を行う制御部50に入力される。 【0027】 なお、本形態では、PFエンコーダ40およびASFエンコーダ41から矩形状のパルス信号が出力されるか、あるいは、PFエンコーダ40やASFエンコーダ41からの出力信号に基づいて、制御部50で、矩形状のパルス信号が生成される。そして、この矩形状のパルス信号に基づいて、PFモータ14やASFモータ31の回転数等が検出される。以下、PFエンコーダ40から出力される、あるいは、PFエンコーダ40からの出力信号に基づいて、制御部50で生成されるパルス信号をPFパルス信号とし、ASFエンコーダ41から出力される、あるいは、ASFエンコーダ41からの出力信号に基づいて、制御部50で生成されるパルス信号をASFパルス信号とする。 【0028】 (制御部の概略構成) 図4は、図2に示す制御部50およびその周辺機器の概略構成を示すブロック図である。図5は、図4に示すメモリ53に記憶された発熱量参照テーブルの一例を示す表である。なお、図4には、PFモータ14およびASFモータ31の制御に関連する制御部50の構成のみが図示されている。 【0029】 上述のように、本形態のPFモータ14およびASFモータ31はPID制御されているため、制御部50は、図4に示すように、PFモータ14およびASFモータ31の制御に関連する構成として、PID制御を行うための速度演算部61、位置演算部62およびPID制御部63を備えている。また、制御部50は、PFモータ14やASFモータ31を構成する巻線の焼損や発煙あるいは発火等を防止するために、いわゆる発熱制限制御を行うための発熱制限制御部64を備えている。さらに、制御部50は、プリンタ1の制御プログラム等が記憶されたメモリ53、PFモータ駆動回路57およびASFモータ駆動回路58を備えるとともに、不図示のIOポート等の入出力手段を介して、制御指令部59から出力される各種の制御指令を受け取ることができるように構成されている。なお、速度演算部61、位置演算部62、PID制御部63および発熱制限制御部64は、実際には、CPU等の演算手段と、RAMや不揮発性メモリ等の記憶手段と、IOポート等の入出力手段等から構成されている。 【0030】 速度演算部61は、PFエンコーダ40からの入力信号に基づいてPFモータ14の現行回転数を算出するとともに、ASFエンコーダ41からの入力信号に基づいてASFモータ31の現行回転数を算出し、各回転速度に対応する信号をPID制御部63および発熱制限制御部64へ出力する。位置演算部62は、PFエンコーダ40からの入力信号に基づいてPFモータ14の現行回転距離を算出するとともに、ASFエンコーダ41からの入力信号に基づいてASFモータ31の現行回転距離を算出し、各回転距離に対応する信号をPID制御部63および発熱制限制御部64へ出力する。 【0031】 発熱制限制御部64は、PFモータ14内部の推定温度(第1推定温度)およびASFモータ31内部の推定温度(第2推定温度)を算出する。すなわち、速度演算部61から入力されるPFモータ14やASFモータ31の回転数に関する情報と、位置演算部62から入力されるPFモータ14やASFモータ31の回転距離に関する情報とから、PFモータ14やASFモータ31の推定発熱量を特定し、特定された推定発熱量に基づいて、第1推定温度や第2推定温度を算出する。 【0032】 具体的には、まず、印刷用紙Pは後述のように間欠搬送されるため、図5に示すように、間欠搬送時における印刷用紙Pの搬送量(すなわち、間欠搬送時のPFモータ14またはASFモータ31の回転距離)L1等と、PFモータ14またはASFモータ31の到達回転数(すなわち、定速回転時の回転数)N1等とから推定されるPFモータ14またはASFモータ31の推定発熱量Q1等がテーブル化された発熱量参照テーブルが各モータごと設定され、メモリ53に記憶されている。そして、発熱制限制御部64は、間欠搬送後の速度演算部61からの情報および位置演算部62からの情報と発熱量参照テーブルとからPFモータ14およびASFモータ31の推定発熱量を特定し、この推定発熱量の和から、印刷用紙Pの間欠搬送が行われるたびに第1推定温度および第2推定温度を算出する。なお、第1推定温度および第2推定温度の算出にあたっては、PFモータ14やASFモータ31の回転時間および間欠搬送間の待ち時間等の経過時間が考慮される。 【0033】 また、発熱制限制御部64は、算出された第1推定温度が所定温度以上になったか否かを判断し、第1推定温度が所定温度以上になった場合には、PID制御部63へPFモータ14の発熱制限信号(第1発熱制限信号)を出力する。また、第1推定温度が所定温度未満である場合には、発熱制限制御部64は、PID制御部63へPFモータ14の発熱制限不要信号(第1制限不要信号)を出力する。同様に、発熱制限制御部64は、算出された第2推定温度が所定温度以上になったか否かを判断し、第2推定温度が所定温度以上になった場合には、PID制御部63へASFモータ31の発熱制限信号(第2発熱制限信号)を出力し、第2推定温度が所定温度未満である場合には、PID制御部63へASFモータ31の発熱制限不要信号(第2制限不要信号)を出力する。 【0034】 なお、発熱制限制御部64は、算出された第1推定温度や第2推定温度が超えたか否かを判断し、第1推定温度や第2推定温度が所定温度を超えた場合に、PID制御部63へ第1発熱制限信号や第2発熱制限信号を出力するとともに、第1推定温度や第2推定温度が所定温度以下である場合に、PID制御部63へ第1制限不要信号や第2制限不要信号を出力するように構成しても良い。 【0035】 PID制御部63は、まず、印刷用紙Pの次の停止位置に対応する目標停止位置と、位置演算部62から入力された現行回転距離とから、目標停止位置と現行回転距離との差である位置偏差を算出する。また、位置偏差の信号に基づいてPFモータ14あるいはASFモータ31の現行回転距離に対応する目標回転数をメモリ53に記憶された目標速度テーブルから読み出し、速度演算部61から入力された現行回転数と目標回転数とから、目標回転数と現行回転数との差である速度偏差を算出する。その後、速度偏差に基づいて、比例制御値と積分制御値と微分制御値とを算出し、これらを加算したPID制御信号をPFモータ駆動回路57およびASFモータ駆動回路58へ出力する。 【0036】 また、PID制御部63は、発熱制限制御部64から第1発熱制限信号や第2発熱制限信号が入力されると、必要に応じて、メモリ53から読み出す目標速度テーブルを変更して、PFモータ14の定速時の目標回転数である第1目標到達回転数を下げたり、ASFモータ31の定速時の目標回転数である第2目標到達回転数を下げる。このように、目標到達回転数を下げることで、PFモータ14やASFモータ31の負荷が低減され、PFモータ14やASFモータ31の発熱が抑制される。PID制御部63に、第1発熱制限信号や第2発熱制限信号が入力される場合の制御、および、第1制限不要信号や第2制限不要信号が入力される場合の制御の詳細については後述する。 【0037】 PFモータ駆動回路57は、PID制御部63からの信号によってPFモータ14をPWM制御するためのPWM駆動信号を出力する。また、ASFモータ駆動回路58も同様に、PID制御部63からの信号によってASFモータ31をPWM制御するためのPWM駆動信号を出力する。 【0038】 制御指令部59は、印刷用紙Pを間欠的に搬送するための制御指令を制御部50へ出力する。具体的には、制御指令部59は、所定の搬送量で印刷用紙Pを間欠的に搬送するための制御指令、および、間欠搬送時におけるPFモータ14、ASFモータ31の定速時の回転数を所定の到達回転数とするための制御指令を制御部50へ出力する。 【0039】 (印刷用紙の搬送制御の方法) 図6は、ドラフト印刷モードでの連続印刷時において、印刷用紙Pが搬送されている状態を示す図である。図7は、図1に示すPF駆動ローラ4および後面給紙ローラ27の定速領域での印刷用紙Pの搬送速度と最小搬送量との関係を示す表である。 【0040】 本形態では、複数の印刷用紙Pに連続で印刷を行う連続印刷時において、解像度を落とす代わりにインクの消費量をセーブして高速印刷を行うドラフト印刷モードで後面側から供給された印刷用紙Pの印刷を行う場合、後面給紙ローラ27によって、給紙ホッパ26からPF駆動ローラ4まで搬送された後の印刷用紙Pの間欠的な搬送には、PF駆動ローラ4および排紙駆動ローラ6に加え、後面給紙ローラ27が用いられている。すなわち、ドラフト印刷モードでは、PFモータ14で駆動されるPF駆動ローラ4および排紙駆動ローラ6と、ASFモータ31で駆動される後面給紙ローラ27とが協働することで、キャリッジ3による印刷動作の間に、印刷用紙Pの間欠的な搬送が行われる。そのため、ドラフト印刷モードでの連続印刷時には、PF駆動ローラ4および排紙駆動ローラ6と後面給紙ローラ27とを同期させて(すなわち、同一の周速度で)回転させるシンクロ制御が行われ、複数の印刷用紙Pが連続して搬送される。 【0041】 具体的には、PF駆動ローラ4の回転距離と目標周速度(PF駆動ローラ4による印刷用紙Pの目標搬送速度)との関係を示す速度プロファイルと、後面給紙ローラ27の回転距離と目標周速度(後面給紙ローラ27による印刷用紙Pの目標搬送速度)との関係を示す速度プロファイルとが略同一になるように、PFモータ14およびASFモータ31のそれぞれの目標速度テーブルが設定され、メモリ53に記憶されている。そして、これらの目標速度テーブルにしたがって、PFモータ14およびASFモータ31がPID制御されている。なお、ドラフト印刷モードでの連続印刷時において、1枚の印刷用紙PがPF駆動ローラ4および後面給紙ローラ27の両ローラで搬送されるときには、PFモータ14の起動タイミングをASFモータ31の起動タイミングよりも遅らせている。そのため、搬送中の印刷用紙Pは、図6の二点鎖線で示すように、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27との間でたるみ、停止時の印刷用紙Pは、図6の実線で示すように、たるみがとれた状態になる。 【0042】 また、本形態では、PFモータ14およびASFモータ31が実際に駆動されるときの第1、第2目標到達回転数(すなわち、PF駆動ローラ4や後面給紙ローラ27の定速領域での印刷用紙Pの目標搬送速度)は、段階的に、かつ、PFモータ14、ASFモータ31ごとにそれぞれ個別に設定されている。たとえば、説明の簡略化のため、PFパルス信号の分解能(PFパルス信号の1パルス当たりのPF駆動ローラ4の回転距離(すなわち、印刷用紙Pの搬送量))と、ASFパルス信号の分解能(ASFパルス信号の1パルス当たりの後面給紙ローラ27の回転距離(すなわち、印刷用紙Pの搬送量))が同じであると仮定すると、図7に示すように、PFモータ14およびASFモータ31が実際に駆動されるときの目標搬送速度(目標到達回転数)がそれぞれ個別に設定されている。より具体的には、段階的に設定された第1、第2目標到達回転数に対応する目標速度テーブルがそれぞれメモリ53に記憶されている。 【0043】 なお、本形態のPFモータ14およびASFモータ31は、その特性上、PFモータ14、ASFモータ31の第1、第2目標到達回転数が所定の回転数であるときに(すなわち、PF駆動ローラ4や後面給紙ローラ27の定速領域での印刷用紙Pの目標搬送速度が所定速度であるときに)、PFモータ14やASFモータ31を適切に回転制御するために必要なPFモータ14、ASFモータ31の最小回転距離(すなわち、PF駆動ローラ4や後面給紙ローラ27による印刷用紙Pの最小搬送量)が決まっている。たとえば、図7に示すように、定速領域での印刷用紙Pの目標搬送速度に対する最小搬送量が決まっており、目標搬送速度が20ips(inch per second)であれば、印刷用紙Pの間欠搬送量が100パルス以上でないと、PFモータ14やASFモータ31を適切に回転制御することができない。なお、図7では、説明の便宜上、PFモータ14の定速時の目標搬送速度と最小搬送量との関係と、ASFモータ31の定速時の目標搬送速度と最小搬送量との関係とが同じになっている。 【0044】 上述のように、本形態の制御指令部59は、間欠搬送時におけるPFモータ14、ASFモータ31の定速時の回転数を所定の到達回転数とするための制御指令を制御部50へ出力する。しかしながら、PFモータ14やASFモータ31の発熱制限制御が必要となる場合に、制御指令部59からの制御指令に基づく第1目標到達回転数でPFモータ14の回転制御を行ったり、制御指令部59からの制御指令に基づく第2目標到達回転数でASFモータ31の回転制御を行うと、PFモータ14やASFモータ31の焼損を防止することができない。また、PFモータ14およびASFモータ31のいずれか一方の発熱制限制御が必要な場合に、一方のモータの目標到達回転数のみを下げて制御したのでは、適切なシンクロ制御を行うことができない。 【0045】 そこで、本形態では、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が、所定温度以上になるときには、制御指令部59からの制御指令のいかんにかかわらず、次の間欠搬送時において、PF駆動ローラ4の周速度と後面給紙ローラ27の周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時でのPFモータ14の第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1目標到達回転数としてPFモータ14を回転制御し、かつ、前回の間欠搬送時でのASFモータ31の第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第2目標到達回転数としてASFモータ31を回転制御している。 【0046】 説明の簡略化のため、連続印刷時における間欠搬送時において、制御指令部59からの制御指令に基づくPFモータ14の第1目標到達回転数およびASFモータ31の第2目標到達回転数が一定であるものとすると、具体的には、発熱制限制御部64から第1発熱制限信号および第2発熱制限信号の少なくともいずれか一方がPID制御部63へ入力された場合には、PID制御部63でフラグがONの状態となり、PID制御部63は、前回の間欠搬送時にメモリ53から読み出した目標速度テーブルに対応する第1目標到達回転数よりも低い目標到達回転数に対応する目標速度テーブルを読み出して、PFモータ14を回転制御するとともに、前回の間欠搬送時にメモリ53から読み出した目標速度テーブルに対応する第2目標到達回転数よりも低い目標到達回転数に対応する目標速度テーブルを読み出して、ASFモータ31を回転制御する。また、発熱制限制御部64から第1制限不要信号および第2制限不要信号が入力され、PID制御部63でフラグがOFFの状態になると、メモリ53から読み出す目標速度テーブルを元に戻して(すなわち、制御指令部59からの制御指令に基づく目標速度テーブルを元に戻して)、PFモータ14およびASFモータ31を回転制御する。 【0047】 また、本形態では、間欠搬送のたびに算出される第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるときには、PFモータ14の第1目標到達回転数やASFモータ31の第2目標到達回転数を段階的に下げていく。たとえば、制御指令部59からの制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数に対応する目標搬送速度が20ipsである場合に、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるときには、次の間欠搬送時におけるPFモータ14、ASFモータ31の第1、第2目標到達回転数を、目標搬送速度10ipsに対応する回転数とする(図7参照)。また、ある間欠搬送時の第1、第2目標到達回転数に対応する目標搬送速度が10ipsである場合に、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるときには、次の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数を目標搬送速度5ipsに対応する回転数とする(図7参照)。 【0048】 さらに、第1、第2目標到達回転数に対応する目標搬送速度が5ipsである場合(すなわち、第1、第2目標到達回転数の少なくともいずれか一方が最小値である場合)に、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるときには、異常事態が生じているとして、次の間欠搬送は行わず、PFモータ14およびASFモータ31をすぐに停止して、所定の表示部にエラー表示を行う等のエラー処理を行う。 【0049】 なお、本形態では、シンクロ制御が行われているにもかかわらず、所定の時間内に、PFエンコーダ40およびASFエンコーダ41の少なくともいずれか一方からの出力信号が、制御部50で検出されないときには、制御部50は、PFモータ14およびASFモータ31を停止させる。 【0050】 (印刷用紙の搬送制御の制御フロー) 図8は、図1に示す印刷用紙Pの搬送制御の手順を示すフローチャートである。以下、ドラフト印刷モードでの連続印刷時における印刷用紙Pの搬送制御の手順を説明する。なお、以下では、説明の簡略化のため、上述のように、連続印刷時における間欠搬送時において、制御指令部59からの制御指令に基づく第1目標到達回転数および第2目標到達回転数が一定であるものとする。 【0051】 制御指令部59から制御部50に対して印刷指令が入力されると、制御部50は、制御指令部59からの指令に基づく第1目標到達回転数でPFモータ14を回転制御し、制御指令部59からの指令に基づく第2目標到達回転数でASFモータ31を回転制御して、印刷用紙Pの間欠搬送を1回行う(ステップS1)。そして、この間欠搬送によって、連続印刷時における最後の1枚の印刷用紙Pへの印刷が終了したか否かを判断する(ステップS2)。最後の1枚の印刷用紙Pへの印刷が終了している場合には、排紙動作を行い、印刷用紙Pの印刷制御、すなわち、搬送制御が終了する。 【0052】 一方、最後の1枚の印刷用紙Pへの印刷が終了していない場合には、発熱制限制御部64は、ステップS1での間欠搬送後のPFモータ14の第1推定温度およびASFモータ31の第2推定温度を算出する(ステップS3)。そして、発熱制限制御部64は、第1推定温度および第2推定温度が所定温度以上になったか否かを判断する(ステップS4)。第1推定温度および第2推定温度が所定温度未満である場合には、PID制御部63は、制御指令部59からの制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数を次の間欠搬送時の目標到達回転数として設定して(ステップS5)、ステップS1へ戻る。すなわち、第1推定温度および第2推定温度が所定温度未満である場合には、発熱制限制御部64は、第1制限不要信号および第2制限不要信号を出力し、PID制御部63は、メモリ53から読み出す目標速度テーブルを制御指令部59からの制御指令に基づく目標速度テーブルとして、ステップS1へ戻る。 【0053】 また、ステップS4で、第1推定温度および第2推定温度の少なくもいずれか一方が所定温度以上になるときには、発熱制限制御部64は、第1発熱制限信号および/または第2発熱制限信号を出力し、PID制御部63は、前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数が最小値であるか否かを判断する(ステップS6)。前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数が最小値でない場合には、PID制御部63は、前回の間欠搬送時おける第1、第2目標到達回転数より低い回転数を次の間欠搬送時における新たな第1、第2目標到達回転数として設定して(ステップS7)、ステップS1へ戻る。すなわち、第1推定温度および第2推定温度の少なくもいずれか一方が所定温度以上である場合には、PID制御部63は、メモリ53から読み出す目標速度テーブルを、前回の間欠搬送時おける第1、第2目標到達回転数より低い回転数を第1、第2目標到達回転数とする目標速度テーブルとして、ステップS1へ戻る。たとえば、前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数に対応する目標搬送速度が20ipsである場合には、ステップS7では、10ipsに対応する第1、第2目標到達回転数を次の間欠搬送時における新たな第1、第2目標到達回転数として設定する。 【0054】 一方、第1、第2目標到達回転数が最小値である場合には、PFモータ14およびASFモータ31をすぐに停止して、所定の表示部にエラー表示を行う等のエラー処理を行い(ステップS8)、印刷用紙Pの印刷制御、すなわち、搬送制御を終了する。 【0055】 なお、本形態では、ステップS1は、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27とを略同一の周速度で回転させるとともに、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27とを協働させて給紙ホッパ26から供給された印刷用紙Pを間欠的に搬送する搬送ステップであり、ステップS3は、間欠搬送後におけるPFモータ14内部の第1推定温度およびASFモータ31内部の第2推定温度を算出する温度算出ステップである。また、ステップS7は、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるときに、次の間欠搬送時において、PF駆動ローラ4の周速度と後面給紙ローラ27の周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時でのPFモータ14の第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1目標到達回転数として設定し、前回の間欠搬送時でのASFモータ31の第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第2目標到達回転数として設定する回転数設定ステップである。 【0056】 (本形態の主な効果) 以上説明したように、本形態では、ドラフト印刷モードの連続印刷時において、PF駆動ローラ4と協働して印刷用紙Pを搬送する後面給紙ローラ27の周速度とPF駆動ローラ4の周速度とが略同一となるように、PFモータ14およびASFモータ31の回転数を制御している。そのため、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27とを同期させて回転させることができ、印刷用紙Pの排出動作や印刷動作に支障を来たすことなく、印刷用紙Pの供給動作を行うことができる。すなわち、印刷動作や排出動作と供給動作とを一連の動作として行うことができるため、連続印刷時において、スループットをより向上させることができる。また、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27とを同期させて回転させることができるため、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27との間で、印刷用紙Pを適切に搬送できる。その結果、印刷用紙Pにかかる張力の変化によって、搬送時に生じうる印刷用紙Pの音の発生を抑制できる。 【0057】 また、本形態では、印刷用紙Pの間欠搬送後におけるPFモータ14内部の第1推定温度およびASFモータ31内部の第2推定温度を算出し、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるとき、次の間欠搬送時において、PF駆動ローラ4の周速度と後面給紙ローラ31の周速度とが略同一となるように、前回の間欠搬送時での第1目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1目標到達回転数としてPFモータ14を回転制御し、前回の間欠搬送時での第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第2目標到達回転数としてASFモータ31を回転制御している。そのため、第1推定温度や第2推定温度が所定温度に達して、発熱制限制御が必要となる場合には、PFモータ14およびASFモータ31の目標到達回転数を一緒に下げることで、PFモータ14やASFモータ31の発熱を抑制しながら、かつ、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27とを適切に同期させて回転させることが可能になる。 【0058】 本形態では、第1、第2目標到達回転数は、PFモータ14およびASFモータ31ごと個別にかつ段階的に設定され、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるときに、第1、第2目標到達回転数を段階的に下げている。そのため、PFモータ14やASFモータ31の発熱を抑制しつつ、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27とを適切に同期させることができるとともに、できる限り速い搬送速度で印刷用紙Pを搬送することが可能になる。 【0059】 本形態では、間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数が最小値である場合に、第1推定温度および第2推定温度の少なくともいずれか一方が所定温度以上になるときに、次の間欠搬送は行わず、PFモータ14およびASFモータ31をすぐに停止している。第1、第2目標到達回転数が最小値であるにもかかわらず、第1推定温度や第2推定温度が所定温度以上になるときには、PFモータ14やASFモータ31の発熱を抑制しつつ、PF駆動ローラ4と後面給紙ローラ27とを適切に同期させながら回転させることは困難である。したがって、このように構成することで、PFモータ14やASFモータ31の焼損等を防止しつつ、印刷用紙Pの損傷や印刷用紙Pによる音の発生を防止できる。 【0060】 本形態では、シンクロ制御が行われているにもかかわらず、所定の時間内に、PFエンコーダ40およびASFエンコーダ41の少なくともいずれか一方からの出力信号が、制御部50で検出されないときには、PFモータ14およびASFモータ31を停止させている。PFエンコーダ40やASFエンコーダ41からの出力信号を制御部50が検出できないときには、異常事態が生じているため、このように構成すると、印刷用紙Pの詰まりや、プリンタ1の内部の損傷を防止できる。 【0061】 (他の実施の形態) 上述した形態では、説明の簡略化のため、制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数が一定である場合を例に、印刷用紙Pの搬送制御の手順を説明しているが、間欠搬送時において、制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数が変動する場合には、以下のように印刷用紙Pの搬送制御を行えば良い。すなわち、上述したステップS6の後で、次の間欠搬送時における制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数が、前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数よりも低いか否かを判断する。そして、次の間欠搬送時における制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数が、前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数よりも低い場合には、制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数をそのまま次の間欠搬送時における目標到達回転数とし、次の間欠搬送時における制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数が、前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数以上である場合には、前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時における目標到達回転数として、PFモータ14、ASFモータ31を制御すれば良い。 【0062】 上述した形態では、ステップS4で、第1推定温度および第2推定温度が所定温度未満である場合には、制御指令部59からの制御指令に基づく第1、第2目標到達回転数を次の間欠搬送時の目標到達回転数として設定して、ステップS1へ戻っている。この他にもたとえば、第1推定温度および第2推定温度の少なくもいずれか一方が所定温度以上になって、第1、第2目標到達回転数が段階的に下げられている場合に、ステップS4で、第1、第2推定温度が所定温度未満である場合には、第1、第2目標到達回転数を段階的に上げても良い。たとえば、制御指令に基づく目標搬送速度が20ipsであり、かつ、前回の間欠搬送時における第1、第2目標到達回転数に対応する目標搬送速度が5ipsとなっている場合に、ステップS4で、第1、第2推定温度が所定温度未満である場合には、第1、第2目標到達回転数に対応する目標搬送速度を10ipsに上げても良い。 【0063】 上述した形態では、第1、第2推定温度が所定温度以上になるとき、前回の間欠搬送時での第1、第2目標到達回転数よりも低い回転数を次の間欠搬送時での第1、第2目標到達回転数としてPFモータ14、ASFモータ31を回転制御している。この他にもたとえば、この構成に加え、メカ的な負荷の変動や外乱によって、速度演算部61で算出されるPFモータ14の到達回転数が第1目標到達回転数の所定の割合まで達しないとき、および/または、速度演算部61で算出されるASFモータ31の到達回転数が第2目標到達回転数の所定の割合まで達しないときに、次回の間欠搬送時におけるPFモータ14およびASFモータ31の目標到達回転数を一緒に下げて、シンクロ制御を行っても良い。 【0064】 なお、発熱制限制御部64で算出された第1、第2推定温度を、制御部50が制御指令部59へ出力するように構成するとともに、所定の場合には、制御指令部59が、第1、第2目標到達回転数よりも低い回転数を新たな第1、第2目標到達回転数とする制御指令を制御部50へ出力するようにしても良い。 【図面の簡単な説明】 【0065】 【図1】本発明の実施の形態にかかるプリンタの主要部の概略構成を示す側面図。 【図2】図1のPF駆動ローラ等の駆動部の概略構成を模式的に示す図。 【図3】図1の給紙ホッパおよびリタードローラの動作を説明するための図。 【図4】図2の制御部およびその周辺機器の概略構成を示すブロック図。 【図5】図4のメモリに記憶された発熱量参照テーブルの一例を示す表。 【図6】ドラフト印刷モードでの連続印刷時において、印刷用紙が搬送されている状態を示す図。 【図7】図1のPF駆動ローラおよび後面給紙ローラの定速領域での印刷用紙の搬送速度と最小搬送量との関係を示す表。 【図8】実施の形態にかかる印刷用紙の搬送制御の手順を示すフローチャート。 【符号の説明】 【0066】 1 プリンタ、4 PF駆動ローラ(搬送ローラ)、14 PFモータ(搬送モータ)、26 給紙ホッパ(媒体セット部)、27 後面給紙ローラ(供給ローラ)、31 ASFモータ(供給モータ)、40 PFエンコーダ(第1エンコーダ)、41 ASFエンコーダ(第2エンコーダ)、50 制御部、P 印刷用紙(印刷媒体)、S1 搬送ステップ、S3 温度算出ステップ、S7 回転数設定ステップ。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月28日(2006.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095728 【弁理士】 【氏名又は名称】上柳 雅誉
【識別番号】100127661 【弁理士】 【氏名又は名称】宮坂 一彦
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| 【公開番号】 |
特開2008−49638(P2008−49638A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−230187(P2006−230187) |
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