| 【発明の名称】 |
液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】梅沢 道夫
【氏名】得能 敏郎
【氏名】上野 嘉一
【氏名】大西 晃二
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| 【要約】 |
【課題】ワイピングを繰り返してもノズルプレートの表面全域が長期間に渡って撥水性が失われることなく、高い印字品位を保持できる信頼性の高い液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置を提供する。
【構成】液滴を吐出する吐出口が複数配設された吐出口配設部材と、基板上に備えられた液滴吐出のためのエネルギー発生手段とを有し、前記吐出口が配設された面のうち、前記吐出口の縁以外の部分に、微小の凹状部を複数配設されたことを特徴とする。エネルギー発生素子が電気−機械変換素子である圧電素子を使用し、圧電振動子21の変位を振動板20に伝達し、振動板の変位でインク流路6'の容積変化によってインク滴を吐出口10から吐出させる。圧電振動子21を支持固定するベース22、圧電振動子21に駆動信号を伝えるFPC23等の部品は、前記振動板20及び圧電振動子21等の機能を発揮させる為に配設される部品である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液滴を吐出する吐出口が複数配設された吐出口配設手段と、 基板上に備えられた液滴吐出のためのエネルギー発生手段と、を有する液滴吐出ヘッドであって、 前記吐出口配設手段は、前記吐出口が配設された面のうち、前記吐出口の縁以外の部分に、微小の凹状部を複数配設されたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。 【請求項2】 前記エネルギー発生手段は、電気エネルギーを熱に変換する電気−熱変換素子であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。 【請求項3】 前記エネルギー発生手段は、振動板と該振動板に設けられる電気―機械変換素子であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。 【請求項4】 前記吐出口配設手段は、前記吐出口の周囲に、独立に放射状に配列された前記凹状部が前記吐出口と略同一の中心を有する同心円状に配設され、前記同心円状に配設された隣接する前記各凹状部は前記中心からの外径方向に重ならないように隣接する前記各凹状部同士が千鳥状に配置され、前記同心円状に配設された以外の前記凹状部は、独立して直線状に配列されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。 【請求項5】 前記同心円状に配設される凹状部は、前記吐出口の直径の2倍以上であることを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。 【請求項6】 前記吐出口配設手段の吐出口配設面に配設された凹状部は、幅が2〜5μmであり、深さが2〜5μmの範囲であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。 【請求項7】 前記吐出口の縁から最初の凹状部までの寸法及び凹状部ピッチ寸法は、5〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。 【請求項8】 前記吐出口配設手段の表面の付着物を除去するワイピング手段と、 前記吐出口配設手段の最上層の少なくとも一部に備えられた撥水性を有する撥水性手段と、を有し、 前記撥水性手段及び/又は前記凹状部が配設されている範囲は、前記ワイピング手段が接触する領域と略同一の範囲であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。 【請求項9】 液滴を吐出するためのエネルギー発生手段を有する基板上に液流路パターンを形成する工程と、 前記基板及び前記形成された液流路パターン上に液滴を吐出する吐出口が配設される吐出口配設手段を配設する工程と、 前記配設された吐出口配設手段に吐出口を形成する工程と、 前記吐出口配設手段の前記吐出口が配設された面に凹状部を形成する工程と、 前記凹状部を含めて前記吐出口配設手段面上に撥水性手段を配設する工程と、を有し、 前記吐出口配設手段は、感光性樹脂を用いて形成され、前記感光性樹脂の限界解像度以下のパターン転写によって前記凹状部を吐出口最近傍部分を除く部分に形成し、 前記吐出口を形成する工程と、前記凹状部を形成する工程と、を同一マスクを用いて行うことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。 【請求項10】 前記撥水性手段が、感光性樹脂材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。 【請求項11】 請求項1から8のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置に関し、特に長期間の使用に対し印字品位の劣化が少ない液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置に関する。 【背景技術】 【0002】 図10は、従来の液滴吐出ヘッドの吐出口部断面図であり、インク吐出圧力発生素子2が形成された基板1上に、吐出口配設部材3及び撥水性部材4が形成されている。この液滴吐出ヘッドを長期に亘って使用すると、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出記録装置で設定されたサイクルで印字品位を維持する為にワイピング動作が繰返され、吐出口配設部材3及び撥水性部材4の表面が繰返し摩耗させられる。このワイピング動作で撥水性部材4が摩耗/摩滅し、図11に示すように非撥水面が露出し、その部分がインクに対し親和して濡れてしまい、吐出液滴の方向性が影響されて乱れる結果、印字品位が低下する。 【0003】 図12は、従来の他の液滴吐出ヘッドの概略断面図を示す。また図13は、従来の他の液滴吐出ヘッドの概略断面図を示す。この図で示すように、吐出口配設部材3の表面には吐出口10の周辺に凹状部5が形成されていて、撥水性部材4が埋め込まれるように配設されている例である。このヘッドを長期間使用した場合、撥水性部材の摩耗/摩滅は発生するが、凹状部に埋め込まれた撥水性部材は図5に示すように残っており、吐出口周辺部の撥水性を保っていてインクに濡れることがないとされているが、凹状部5は吐出口周囲に二重、三重と複数取り囲むようにしてもよいのであり、吐出口の近傍周囲のみに吐出口を取り囲むように設けられているだけで、吐出口から離れた部分にも凹状部を設けたり、また、吐出口配設部材3であるノズルプレートの表面全体にわたって設けられていない。 【0004】 近年の顔料タイプのインクを使用する場合や印刷物の発色性を向上するためにフッ素系界面活性剤等をインクに添加するタイプの新規インクを用いると、粘性が高く固形化し易かったり、あるいは濡れ易いなどの性質をこの新規インクは持つことから、吐出口配設部材表面の撥水性能も、より高い能力が要求される。すなわち、撥水性は吐出口の近傍周囲だけでなく、吐出口配設部材3の表面全体が持っている必要があり、ワイピング等により撥水膜が摩耗した後にも、吐出口配設部材3表面全体に撥水性部材が分布している必要がある。 【0005】 このような液滴吐出ヘッドでは従来、エネルギー発生素子基板上に、吐出口配設部材であるネガ型感光性樹脂を積層して、吐出口を形成すると同時に吐出口近傍表面に凹部を形成し、その上に感光性撥水部材を積層することで、耐久性のある撥水層を得る方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。 【0006】 また、吐出口配設部材が2層の感光性樹脂積層で形成されていて、これらの層にパターン露光、現像をすることで、2層分除去した吐出口部分と、表面層のみ除去した親水性部分とを形成し、部分的に親水部分のある撥水性表面を持つヘッドを得る方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。 【0007】 また、有機樹脂部材で形成された吐出口配設部材表面に、有機材料の微粒子を含む撥水層を形成し、エキシマレーザ加工で吐出口を加工することで、吐出口加工精度とワイパーによるワイピング耐久性向上を両立させる方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。 【特許文献1】特許第3610215号公報 【特許文献2】特開2003−300323号公報 【特許文献3】特開2003−127386号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 ここで、吐出口表面に撥水処理を施して吐出口表面のインクに対する濡れ性を小さくすることによって、吐出口近傍へのインク付着を防止し、インク液滴の吐出方向を安定させることで高品位な印字を行う試みは種々行われてきた。しかしながら、撥水効果の持続性/耐久性については、長期の信頼性維持という面で必ずしも十分なものではなかった。 【0009】 すなわち、液滴吐出ヘッドの吐出口近傍への付着物(インク滴、インクミスト、ゴミ、紙紛など)を除去する為のクリーニング時などにヘッド表面をワイパーブレードでワイピングする為に、撥水性部材が摩耗/摩滅することに起因する印字品位の劣化が発生する場合があった。 【0010】 また、最近退色性や定着性向上の為多く使用されるようになってきた顔料タイプのインクでは、粘性が高く固まりやすい性質を持つこと、及び、印刷物の発色性を向上するためにフッ素系界面活性剤等をインクに添加するタイプの新規インクではノズルプレート表面への濡れ性が良くなることから、従来の染料タイプインクに較べて付着物などに対するより高い清浄化性能が要求され、よって吐出口表面の撥水性能にも、より高い能力が要求されている。 【0011】 吐出口近傍表面に凹部を形成し、その上に感光性撥水部材を積層する技術では、撥水剤が埋め込まれる凹部が、吐出口の近傍部分に形成されるが、その範囲は「吐出口周囲に二重、三重と複数取り囲むように形成しても良い」とされていて、吐出口の周辺部分のみへの凹部形成に限定している。すなわち、吐出口の周辺部分のみが撥水性能を維持していれば目的は達成されるとしているが、前記のように、顔料タイプのインク等を使用する場合には、それでは不十分であり吐出口周辺部分以外の部分も十分な撥水性を維持している必要がある。 【0012】 また、上記部分的に親水部分のある撥水性表面を持つ技術では、吐出口周辺に親水性部分を設けることで、付着したインクミストがインク滴に成長することを防止するが、これについても顔料タイプのインクを使用する場合について問題を有している。 【0013】 すなわち吐出口周辺部がまだ汚れの少ない使用初期の状態であれば、記述されている効果が見られる可能性はまだあるが、前記親水性部分にインクが付着してしばらく時間を経過すると、顔料インクが固形化してきて、ワイピング動作で清浄化できなくなり経時と共に次第に固形化が拡大して吐出口周辺に影響を与えてしまうばかりでなく、逆にワイパーに付着した固形物などを他の部分に擦りつける結果となり清浄化の機能が果たせないことになってしまう。 【0014】 また、上記エキシマレーザ加工で吐出口を加工する技術は、エキシマレーザで加工可能な有機材料微粒子を撥水層に添加することでエキシマレーザ加工性と、ワイピング耐久性向上を両立させている。しかしながら最近の高印字品質化の要求は大きく進んでおり、こうした要求に十分こたえることが困難になってきている。 【0015】 すなわち、吐出口加工時に、吐出口端部に有機材料微粒子が存在した場合には、有機材料微粒子もエキシマレーザにより加工されるので、吐出口孔形状自体は凸凹なくきれいに加工されるが、微細に見れば、有機材料微粒子が加工された吐出口端部は吐出口配設部材の厚さ方向に微小な凸形状となっており、僅かながらインク滴の噴射に影響を与える。これは従来要求されていた印字品質レベルであれば問題にならないレベルであるが、前記のように高印字品質化が求められる現在では問題となってしまうことになる。 【0016】 本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、吐出口配設部材(ノズルプレート)の表面インク付着物等を除去する為にワイピング(掃引)を繰り返すと、表面の撥水性部材が摩耗/摩滅することで撥水能力が失われ、インク滴の噴射に影響し印字品位が劣化するし、また、顔料インクを使用する場合には粘度が高いこと、固形化し易いことで、従来に較べて高い撥水性が必要となる。本発明はこれらを踏まえ、ワイピングを繰り返しても吐出口配設部材(ノズルプレート)の表面全域が長期間にわたって撥水性が失われることなく、高い印字品位を保持できる信頼性の高い液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0017】 請求項1記載の発明は、液滴を吐出する吐出口が複数配設された吐出口配設手段と、基板上に備えられた液滴吐出のためのエネルギー発生手段と、を有する液滴吐出ヘッドであって、前記吐出口配設手段は、前記吐出口が配設された面のうち、前記吐出口の縁以外の部分に、微小の凹状部を複数配設されたことを特徴とする液滴吐出ヘッドである。 【0018】 請求項2記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記エネルギー発生手段は、電気エネルギーを熱に変換する電気−熱変換素子であることを特徴とする。 【0019】 請求項3記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記エネルギー発生手段は、振動板と該振動板に設けられる電気―機械変換素子であることを特徴とする。 【0020】 請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記吐出口配設手段は、前記吐出口の周囲に、独立に放射状に配列された前記凹状部が前記吐出口と略同一の中心を有する同心円状に配設され、前記同心円状に配設された隣接する前記各凹状部は前記中心からの外径方向に重ならないように隣接する前記各凹状部同士が千鳥状に配置され、前記同心円状に配設された以外の前記凹状部は、独立して直線状に配列されていることを特徴とする。 【0021】 請求項5記載の発明は、請求項4記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記同心円状に配設される凹状部は、前記吐出口の直径の2倍以上であることを特徴とする。 【0022】 請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記吐出口配設手段の吐出口配設面に配設された凹状部は、幅が2〜5μmであり、深さが2〜5μmの範囲であることを特徴とする。 【0023】 請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記吐出口の縁から最初の凹状部までの寸法及び凹状部ピッチ寸法は、5〜20μmの範囲であることを特徴とする。 【0024】 請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記吐出口配設手段の表面の付着物を除去するワイピング手段と、前記吐出口配設手段の最上層の少なくとも一部に備えられた撥水性を有する撥水性手段と、を有し、前記撥水性手段及び/又は前記凹状部が配設されている範囲は、前記ワイピング手段が接触する領域と略同一の範囲であることを特徴とする。 【0025】 請求項9記載の発明は、液滴を吐出するためのエネルギー発生手段を有する基板上に液流路パターンを形成する工程と、前記基板及び前記形成された液流路パターン上に液滴を吐出する吐出口が配設される吐出口配設手段を配設する工程と、前記配設された吐出口配設手段に吐出口を形成する工程と、前記吐出口配設手段の前記吐出口が配設された面に凹状部を形成する工程と、前記凹状部を含めて前記吐出口配設手段面上に撥水性手段を配設する工程と、を有し、前記吐出口配設手段は、感光性樹脂を用いて形成され、前記感光性樹脂の限界解像度以下のパターン転写によって前記凹状部を吐出口最近傍部分を除く部分に形成し、前記吐出口を形成する工程と、前記凹状部を形成する工程と、を同一マスクを用いて行うことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法である。 【0026】 請求項10記載の発明は、請求項9に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法において、前記撥水性手段が、感光性樹脂材料を用いて形成されていることを特徴とする。 【0027】 請求項11記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置である。 【発明の効果】 【0028】 本発明によれば、液滴を吐出する吐出口が複数配設された吐出口配設部材を有する液滴吐出ヘッドにおいて、前記吐出口配設部材の前記吐出口が配設された面の吐出口最近傍部分を除いた部分全体に凹状部が配設されていることを特徴とする液滴吐出ヘッドにより、凹状部が吐出口部材表面全体に配設されていることから、長期間ワイピングを実施した後でも吐出口部材表面全域で撥水性を維持でき、従来より濡れやすい液(インク)や固形化しやすい液(インク)でも使用することが可能となり、高画質化を達成する為のインクの自由度が拡大され、すなわち高い印字品質を可能とする液滴吐出ヘッドを提供することができ、安価で高画質の画像記録装置、高信頼性化に対応することが可能となる。 【0029】 また、液滴吐出ヘッドの製造方法においては、工程数を増やすことなく安価な液滴吐出ヘッドを提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0030】 以下に、本発明の実施形態に係る液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。 【0031】 図1は、本発明の実施形態に係る吐出口配設部材3の表面部全体を模式的に表すヘッドの部分斜視図である(ただし基板1等の図示は省略している)。吐出口配設部材3には吐出口10が列状(101、102、・・・)に複数個設けられ、各列101、102・・・の吐出口10は、千鳥配列(となりの列(たとえば列101と102)の吐出口10、10どうしが、交互(互い違い)に配列)となるように配設されている。図1に示すように、斜線で示した部分30は前述した凹状部5が設けられているエリアである。 【0032】 図2に、本実施形態に係る吐出口の1つを拡大した図を示す。図2は、表面形状が施されている範囲を示している。吐出口10の端部の直近である吐出口最近傍部32は、凹状部5が設けられていない部分である。この吐出口最近傍部32に凹状部5を設けない理由は、凹状部が吐出口10にあまり近くなりすぎると、撥水性部材4の形成の際に撥水性部材が吐出口内に浸入したり(図12参照)、吐出口の壁部が薄くなりすぎて欠けやすくなるのを防止する為である。また図1に示すように、吐出口配設部材3の表面外周部に撥水処理の施されていない撥水未処理部31が設けられており、この部分には凹状部5は設けられていない。 【0033】 撥水未処理部31は、ヘッドを組み立てた際ノズルカバー等で覆われる部分とほぼ一致しており、シール材等でヘッド内部へのインクの浸入を防止する構成をとる場合のシール材接合代に相当している。すなわち、逆にいえば、凹状部5が設けられていて撥水処理が施されている部分は、ワイピング動作でワイパーブレードが接触する部分ということになる。もちろんインクシール不要のヘッド構成であれば、撥水処理の施されていない部分31は不要となるので、凹状部5や撥水部4が、吐出口配設部3の表面全体に設けられていても良い。 【0034】 図2に示すように、凹状部5の少なくとも吐出口10の近傍部は吐出口10の外周を取り巻くように同心円状に形成されている。また、同心状に設けられた凹状部5は、吐出口10を複数の輪により取り囲むように形成され、各輪の隣接した輪は互いに千鳥状となるように配列され、凹状部5の間の平面部が、吐出口10の中心から見て放射方向に対し、隣の同心円の溝が直線状に連ならないように設置されている(矢印33で示す)。そのため、撥水剤塗布時に撥水剤が吐出口に流れ込んだり、ワイピングで撥水剤または撥水部が摩耗して撥水性の失われた表面が吐出口方向に直線的に連続(連結)することを防止でき、正常な液(インク)滴の噴射を維持することが可能となる。 【0035】 同心円上に設けられた凹状部5の存在範囲は、吐出口10の径寸法をDとしたとき、2D以上が撥水性部材が吐出口内に浸入するのを防止する為、好ましい。もちろん、同心円上に設けられた凹状部5は、そのまま同心円状に繰り返し外周方向へ形成され、隣接の吐出口10から同様に形成されてきた凹状部5と合流するようにしても良い。後述する撥水剤を塗布する際には、前記吐出口近傍の凹状部5が液溜りとなり、吐出口内部への撥水性部材の入り込みを防止することができる。すなわち、図12に示す状態となるのを未然に防止する。 【0036】 なお図3に示すように、同心円の径は、同列の隣の吐出口10の同心円とぶつかる位置までであり、基本的には隣の吐出口距離の半分である(Dがノズル間ピッチPの2分の1)。ただし、場合によっては、多少、この同心円の半径を大きくすることもできる。すなわち、半径を多少代えて交互に径の小さい同心円を有する吐出口と径の大きい同心円を有する吐出口と、することもできる。また、同心円の円の個数は図2には3である例を示しているが、これは代表的な例(Dの代表値として20〜50μm程度)であり、ノズル間ピッチが変動すれば当然変化する値である。また吐出口の隣の列までの距離(列間距離)は本実施例では254μmの例を示しているが、たとえば931μmであってもよく、その他の距離であってもよい。 【0037】 図2に示す凹状部5の詳細形状を、図3を用いて説明する。図3に示すように、本発明では、吐出口端から最内側の凹状部存在位置迄の寸法b及び内側凹状部列から次の凹状部列までのピッチ寸法dは2〜50μmの範囲が適当であり、より好ましくは5〜20μmとするのが良い。 【0038】 凹状部自身の幅cは1〜20μm、より好ましくは2〜5μmの範囲とすることが望ましく、円周方向の長さeは10〜200μm程度の範囲とすることが良い。また、深さa(図4参照)は2〜5μmとするのが、凹状部形成プロセス条件及び撥水膜耐久性能維持を図る上で適当である。これは、ネガ型感光性樹脂の限界解像度以下でパターン転写(露光・現像)を行って凹状部を形成し、且つ長期間のワイピング動作に対して、効果的に撥水性部材を保持できるように、上記の大きさが適している。 【0039】 また凹状部を上記した範囲とすると、ネガ型感光性樹脂の限界解像度以下のパターン転写で溝部を形成する条件と、ワイパーのワイピング動作で平面部の撥水部材が摩耗しても溝内の撥水部材は摩耗しないで残るような条件になる。このような両立した2条件を本発明では有することができる。 【0040】 図4は、前述のようにして形成されたヘッド部の断面図であり、層状に設けられた撥水性部材4と、凹状部5が多数設けられている状態を表している。図5は、図4で示したヘッドの表面が、ワイピングによって摩耗した状態を表す。撥水性部材4はワイピングによって摩耗しているが、凹状部5のある部分では摩耗した後も撥水性部材が残っていて、ノズル面として必要な撥水性は確保されている様子を示している。 【0041】 ワイピングの行われない部分には凹状部及び撥水性部材4が無い方が、問題が無いようになる。換言すれば、本発明では、凹状部及び撥水性部材4はワイピングされる場所(ワイパーブレードが接触する部分)に形成され、ワイピングされない場所(ワイパーブレードが接触しない部分)には形成しないことが好ましい。 【0042】 上記実施形態により、ワイパーのワイピング動作で平面部の撥水部材が摩耗しても溝内の撥水部材は摩耗しないで残る。またネガ型感光性樹脂の限界解像度以下のパターン転写で溝部を形成することから、溝部を設ける範囲を限定する。 【0043】 なお、吐出口最近傍部形状は、インク滴噴射特性に直接影響があり連続的にきれいな面が形成されている必要がある。従って凹状部が吐出口端部の特性に影響したり、吐出口端部が欠けてように凹部が設けられてはならない。また離れすぎているとワイピングの結果、吐出口最近傍の撥水しない部分の面積が大きくなり、インクの付着、固着が発生しインク滴噴射に影響を及ぼしてしまう。これらの理由から吐出口端部から凹状部までの距離、すなわち凹状部の配設されていない吐出口最近傍平面部分の幅の範囲を限定することが重要である。 【0044】 前記凹状部が設けられる理由は、前述のようにワイピングによる撥水部材の摩耗あるいは排除の対策であるから、ワイピングの行われない部分には凹状部は無くても問題は無い。また、吐出口配設部材の外周部分は通常ノズルカバー等が設けられ、シール性部材でシールされることも多い。撥水性部材がシール部分についているとシール性部材の密着性が低下しシールできない場合も起こり、その部分には凹状部も撥水性部材も無い方が良い場合が多い。 【0045】 また凹状部を設けるには新たな工程が必要であり、コストが上がってしまうのでは問題がある。従来の前記凹状部を設けない場合に対し同等の工数でコストが上がらない方法を選定することが重要である。 【0046】 次に本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法について、図を参照しながら説明する。本発明は、液滴を吐出するためのエネルギー発生手段を有する基板上に液流路パターンを形成する工程と、前記基板及び前記形成された液流路パターン上に液滴を吐出する吐出口が配設される吐出口配設手段を配設する工程と、前記配設された吐出口配設手段に吐出口を形成する工程と、前記吐出口配設手段の前記吐出口が配設された面に凹状部を形成する工程と、前記凹状部を含めて前記吐出口配設手段面上に撥水性手段を配設する工程と、を有し、前記吐出口配設手段は、感光性樹脂を用いて形成され、前記感光性樹脂の限界解像度以下のパターン転写によって前記凹状部を吐出口最近傍部分を除く部分に形成し、前記吐出口を形成する工程と、前記凹状部を形成する工程と、を同一マスクを用いて行うことを特徴とする。 【0047】 このような本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法は、先ず図15(a)に示すようなSiウエハー基板1上にインクを吐出する為に利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子として、電気エネルギーを熱に変換する電気−熱変換素子2を形成した素子を用いる。この図15(a)におけるA−A'線での断面を図15(b)に示す。 【0048】 このような電気−熱変換素子2などの変換素子をSiウエハに埋設させた後に本発明では、図6(a)に示すように、基板1上にポジ型レジスト材料からなるインク流路パターン6を形成する(液流路パターンを形成する工程)。 【0049】 次に図6(b)に示すように、ネガ型感光性樹脂を適当な塗布溶媒に溶解しスピンコート等により基板1上に形成されたインク流路パターン6上に塗布してネガ型感光性樹脂層7を形成する。このネガ型感光性樹脂層7の材料は、エポキシ樹脂、シランカップリング剤、光カチオン重合触媒などを配合したものが使用できる。 【0050】 そしてIC製造プロセス等で用いられるマスクアライナーを用いて、吐出口及び凹状部形成マスク8を介して露光し(図6(c)参照:以上、吐出口配設部材を配設する工程)、次いでホットプレート等を用いて加熱した後、適当な溶剤(例えばメチルイソブチルケトン/キシレン=2/3:容量比または重量比)で現像してインク流路パターン6を除去し、吐出口10(以上、吐出口を形成する工程)、凹状部5を形成し(凹状部を形成する工程)、次いで、ネガ型感光性撥水性材4を適当な塗布溶媒に溶解し、形成されたユニットの吐出口配設部材7上にスピンコート等により塗布、膜形成し、吐出口配設部材と同様にパターニングする。 【0051】 ネガ型感光性撥水性部材4の材料は、前記ネガ型感光性樹脂層7と同様にエポキシ樹脂、フッ素樹脂、シランカップリング剤、光カチオン重合触媒等を配合したものが使用できる。次いで、前記基板1をSi異方性エッチングしてインク供給口9を形成し、インク流路パターン6を除去し、更に吐出口配設部材、撥水性部材を完全に硬化させ安定化させるために加熱を行い、図7に示す液滴吐出ヘッドを作成する(以上、撥水性部材を配設する工程)。なお図7の6'は、インク流路パターン6を除去したあとのインク流路を示す。 【0052】 図8は、エネルギー発生素子が電気−機械変換素子である圧電素子を使用している別の例を示す。図8に示される例の電気熱変換素子2を、振動板20と圧電振動子21とからなる圧電素子に代えて配置したものであり、圧電振動子21の変位を振動板20に伝達し、振動板の変位でインク流路6'の容積変化によってインク滴を吐出口10から吐出させるものである。図8で、圧電振動子21を支持固定するベース22、圧電振動子21に駆動信号を伝えるFPC23、ヘッド構成部品を全体に支持固定するフレーム24などの部品は、前記振動板20及び圧電振動子21等の機能を発揮させる為に配設される部品である。 【0053】 図9は、上記の液滴吐出ヘッドを装着して適用した画像形成装置としての一例である液滴吐出記録装置を示す概略斜視図である。図9において、601は上記の方法で作製した液滴吐出ヘッドである。このヘッド601は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603及び604を介して回転するリードスクリュ606の螺旋溝605に対して係合するキャリッジ607上に搭載され、駆動モータ602の駆動によってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印aまたはb方向に移動される。図示しない記録媒体供給装置によってプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pの紙押板610は、キャリッジ移動方向にわたってプリント用紙Pをプラテン609に対して押圧する。 【0054】 リードスクリュ606の一端の近傍には、フォトカプラ611及び612が配設されている。これらはキャリッジ607のレバー607aのこの域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。図において613は液滴吐出ヘッド601の吐出口のある前面を覆うキャップ部材614を支持する支持部材であり、又、615はキャップ部材614の内部にヘッド601から空吐出等されて溜まったインクを吸引するインク吸引手段である。 【0055】 この吸引手段615によりキャップ内開口部616を介してヘッド601の吸引回復が行われる。617はクリーニングブレードであり、618はブレード617を前後方向(キャリッジ607の移動方向と直交する方向)に移動可能にする移動部材であり、ブレード617及び移動部材618は本体支持体619に支持されている。ブレード617はこの形態に限らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよい。620は吸引回復操作にあたって、吸引を開始するためのレバーであり、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動カがクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。 【0056】 ヘッド601に設けられたインク吐出圧力発生素子2に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりする液滴吐出制御部は装置本体側に設けられており、ここには図示しない。このような構成を有する液滴吐出記録装置600は、図示しない被記録材給送装置によりプラテン609上を搬送される被記録材Pに対し、ヘッド601は用紙Pの全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。 【0057】 次に、本発明が適用された液滴吐出ヘッドを使用することでより高い信頼性を確保しつつ使用可能となる顔料インクの例を示す。本発明の記録液に用いる顔料として特に限定はないが、例えば以下に挙げる顔料が好適に用いられる。また、これら顔料は複数種類を混合して用いても良い。 【0058】 有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられる。無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。 【0059】 これらの顔料の粒子径は0.01〜0.30μmで用いることが好ましく、0.01μm以下では粒子径が染料に近づくため、耐光性、フェザリングが悪化してしまう。また、0.30μm以上では、吐出口の目詰まりやプリンタ内のフィルターでの目詰まりが発生し、吐出安定性を得ることができない。 【0060】 ブラック顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15〜40ミリミクロン、BET法による比表面積が、50〜300m2/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなものとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上、三菱化学製)、Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(以上、コロンビア製)、Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(以上、キャボット製)、カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(以上、デグッサ製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。 【0061】 カラー顔料の具体例を以下に挙げる。有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等が挙げられる。色別により具体的には以下のものが挙げられる。 【0062】 イエローインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同73、同74、同75、同83、同93、同95、同97、同98、同114、同128、同129、同151、同154等が挙げられるが、これらに限られるものではない。 【0063】 マゼンタインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、同7、同12、同48(Ca)、同48(Mn)、同57(Ca)、同57:1、同112、同123、同168、同184、同202等が挙げられるが、これらに限られるものではない。 【0064】 シアンインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15:3、同15:34、同16、同22、同60、C.I.バットブルー4、同60等が挙げられるが、これらに限られるものではない。また、本発明で使用する各インクに含有される顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。 【0065】 以上に挙げた顔料は高分子分散剤や界面活性剤を用いて水性媒体に分散させて液滴吐出用記録液とすることができる。このような有機顔料粉体を分散させるための分散剤としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。 【0066】 水溶性樹脂の具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも重量平均分子量3000〜20000のものが、液滴吐出用記録液に用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。 【0067】 高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組み合わせである。その理由は明らかでないが、以下のように考えられる。高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。 【0068】 また、本発明で分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。 【0069】 更に両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。 【0070】 また、顔料は親水性基を有する樹脂によって被覆し、マイクロカプセル化することで、分散性を与えることもできる。 【0071】 水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、以下に示す方法がある。 【0072】 ・界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法); ・in−situ重合法(液体または気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法); ・液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法); ・コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法); ・液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法); ・融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法); ・気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法); ・スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法); ・酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性または酸性にし有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法); ・転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)、などが挙げられる。 【0073】 マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナウバロウ、アルブミンなどが挙げられる。 【0074】 これらの中ではカルボン酸基またはスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。 【0075】 また、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類の量は、有機顔料またはカーボンブラックなどの水不溶性の色材に対して1重量%以上20重量%以下である。有機高分子類の量を上記の範囲にすることによって、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低いために、有機高分子類が顔料表面を被覆することに起因する顔料の発色性の低下を抑制することが可能となる。有機高分子類の量が1重量%未満ではカプセル化の効果を発揮しづらくなり、逆に20重量%を越えると、顔料の発色性の低下が著しくなる。さらに他の特性などを考慮すると有機高分子類の量は水不溶性の色材に対し5〜10重量%の範囲が好ましい。 【0076】 すなわち、色材の一部が実質的に被覆されずに露出しているために発色性の低下を抑制することが可能となり、また、逆に、色材の一部が露出せずに実質的に被覆されているために顔料が被覆されている効果を同時に発揮することが可能となるのである。また、本発明に用いる有機高分子類の数平均分子量としては、カプセル製造面などから、2000以上であることが好ましい。ここで「実質的に露出」とは、例えば、ピンホール、亀裂などの欠陥などに伴う一部の露出ではなく、意図的に露出している状態を意味するものである。 【0077】 さらに、色材として自己分散性の顔料である有機顔料または自己分散性のカーボンブラックを用いれば、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低くても、顔料の分散性が向上するために、十分なインクの保存安定性を確保することが可能となるので本発明にはより好ましい。 【0078】 なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合は、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合は、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、且つ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、勿論前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。 【0079】 マイクロカプセル化の方法として転相法または酸析法を選択する場合は、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能または溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物または複合体、あるいは自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤およびアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、記録液用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても何等問題はない。特に、直接記録液用の分散液を製造できることからいえば、記録液の液媒体を混入させる方がより好ましい。 【0080】 一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部または全部を塩基性化合物で中和し、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材と、水性媒体中で混練する工程および酸性化合物でpHを中性または酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部または全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。 【0081】 また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。 【0082】 なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離または濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水および必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とする本発明に用いることができる記録液を得る。以上の如き方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50nm〜180nmであることが好ましい。このように樹脂被覆することによって顔料が印刷物にしっかりと付着することにより、印刷物の擦過性を向上させることができる。 【0083】 以上述べたように、本発明の画像形成装置においては本発明を実施した液滴吐出ヘッドを搭載しているので、低コストで高画質を持続的に維持できる画像形成装置を提供できる。なお、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、これらの複合機などを有する意味で使用されている。 【図面の簡単な説明】 【0084】 【図1】本発明に使用される吐出口配設部材の表面部全体を模式的に表すヘッドの部分斜視図である。 【図2】本発明に使用される吐出口近傍の部分拡大平面図である。 【図3】本発明に使用される吐出口近傍の詳細形状を示す部分拡大平面図である。 【図4】本発明に使用される吐出口配設部材のヘッド要部の断面図である。 【図5】本発明に使用される吐出口配設部材のヘッド表面がワイピングにより摩耗した状態を示す断面図である。 【図6】本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法における製造工程を説明するのための図である。 【図7】本発明の液滴吐出ヘッドの構成例を示す断面図である。 【図8】本発明に使用されるインク吐出源に圧電素子を使用したヘッドの断面図である。 【図9】本発明を使用した液滴吐出記録装置の一例を示す概略斜視図である。 【図10】従来の液滴吐出ヘッドの吐出口部断面図である。 【図11】従来のヘッドの吐出口の非撥水面が露出しインクに濡れる状況の断面図である。 【図12】従来の他の液滴吐出ヘッドの概略断面図である。 【図13】従来の周辺に凹状部を有するヘッドの概略断面図である。 【図14】従来のヘッドの凹状部に埋め込まれた撥水性部材も濡れる状況の断面図である。 【図15】従来の液滴吐出ヘッドの吐出部の概略配置を示す図であり、(a)はシリコンウエハー基板上に液滴吐出ヘッドの吐出部を形成するために吐出部を設ける位置に電気−熱変換素子を設置した状態の各吐出部の配置を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A’線の断面図である。 【符号の説明】 【0085】 1 基板 2 インク吐出圧力発生素子(電気−熱変換素子) 3 吐出口配設部材(ノズルプレート) 4 撥水性部材 5 凹状部 6 インク流路パターン 6’ インク流路パターンを除去後のインク流路 7 ネガ型感光性樹脂層 8 吐出口及び凹状部形成マスク 9 インク供給口 10 吐出口 20 振動板 21 圧電振動子 22 支持固定するベース 23 FPC 24 フレーム 31 撥水処理の施されていない部分 32 吐出口最近傍部分 600 液滴吐出記録装置 601 ヘッド 602 駆動モータ 603、604 駆動力伝達ギア 605 螺旋溝5 606 リードスクリュ 607 キャリッジ 608 ガイド 609 プラテン 610 紙押さえ板 611、612 フォトカプラ 613 支持部材 614 キャップ部材 615 吸引手段 616 キャップ内開口部 617 クリーニングブレード 618 移動部材 619 本体支持体 620 吸引開始レバー
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
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| 【出願日】 |
平成18年8月24日(2006.8.24) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−49588(P2008−49588A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−228220(P2006−228220) |
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