トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 インクジェット記録装置
【発明者】 【氏名】松岡 靖

【要約】 【課題】画像の記録に使用するノズルが変化する場合にも、適切な予備吐出を行うことができるインクジェット記録装置を提供する。

【構成】記録制御手段により吐出口の使用範囲を走査間で変更する場合には、予備吐出制御手段は、吐出口の使用範囲が確定後に、使用範囲に含まれる吐出口ごとのインク吐出数に基づき画像の記録に寄与しないインク滴を吐出口から吐出させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出可能な吐出口を複数備えた記録ヘッドを走査させ、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
各走査の記録に用いられる吐出口の使用範囲を定めて前記使用範囲に含まれる吐出口により前記各走査の記録を実行する手段であって、先行する走査間では前記吐出口の使用範囲を変更し、後続の走査間では前記吐出口の使用範囲を固定し記録を実行する記録制御手段と、
前記記録ヘッドの全吐出口について吐出口ごとのインク吐出数に基づき、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記吐出口から吐出させる第1の予備吐出動作、及び前記使用範囲に含まれる吐出口ごとのインク吐出数に基づき、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記吐出口から吐出させる第2の予備吐出動作を実行可能な予備吐出制御手段と、
を有し、
前記予備吐出制御手段は、前記吐出口の使用範囲の固定前では前記第1の予備吐出動作を実行し、前記吐出口の使用範囲の固定後では前記第2の予備吐出動作を実行することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
インク滴を吐出可能な吐出口を複数備えた記録ヘッドを走査させ、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
各走査の記録に用いられる吐出口の使用範囲を定めて前記使用範囲に含まれる吐出口により前記各走査の記録を実行する手段であって、先行する走査間では前記吐出口の使用範囲を変更し、後続の走査間では前記吐出口の使用範囲を固定し記録を実行する記録制御手段と、
規定の周期に応じて、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記吐出口から吐出させる第1の予備吐出動作、及び前記使用範囲に含まれる吐出口ごとのインク吐出数に基づき、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記吐出口から吐出させる第2の予備吐出動作を実行可能な予備吐出制御手段と、
を有し、
前記予備吐出制御手段は、前記吐出口の使用範囲の固定前では前記第1の予備吐出動作を実行し、前記吐出口の使用範囲の固定後では前記第2の予備吐出動作を実行することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドと対向する記録位置よりも前記記録媒体の搬送方向の上流側に備わる第1ローラ及び前記記録位置よりも前記搬送方向の下流側に備わる第2ローラにより前記記録媒体を搬送する搬送手段を有し、
前記記録制御手段は、前記記録媒体の後端が前記第1ローラから外れる前の走査から前記吐出口の使用範囲を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、前記吐出口の使用範囲の変更に応じて前記記録媒体の搬送量を変更することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録制御手段は、前記記録媒体の後端部に画像を記録する場合、前記吐出口の使用範囲の固定後、前記吐出口の使用範囲を前記記録媒体に対する最後の走査まで変更しないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
第1のインク滴を吐出可能な第1の吐出口と、第1のインク滴よりも体積が大きい第2のインク滴を吐出可能な第2の吐出口とをそれぞれ複数備えた記録ヘッドを走査させて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
各走査の記録に用いられる第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲を定めて前記使用範囲に含まれる第1の吐出口と第2の吐出口により各走査の記録を実行する手段であって、先行する走査間では前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲を変更し、後続の走査間では前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲を固定し記録を実行する記録制御手段と、
前記記録ヘッドの第1の吐出口について全吐出口における吐出口ごとのインク吐出数に基づき、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記第1の吐出口から吐出させる第1の予備吐出動作、前記使用範囲に含まれる第1の吐出口ごとのインク吐出数に基づき、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記第1の吐出口から吐出させる第2の予備吐出動作、及び規定の周期に応じて画像の記録に寄与しないインク滴を前記第2の吐出口から吐出させる第3の予備吐出動作を実行可能な予備吐出制御手段と、
を有し、
前記予備吐出制御手段は、前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲の固定前では前記第1の予備吐出動作を実行し、前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲の固定後では前記第2の予備吐出動作を実行することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
第1のインク滴を吐出可能な第1の吐出口と、第1のインク滴よりも体積が大きい第2のインク滴を吐出可能な第2の吐出口とをそれぞれ複数備えた記録ヘッドを走査させて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
各走査の記録に用いられる第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲を定めて前記使用範囲に含まれる第1の吐出口と第2の吐出口により各走査の記録を実行する手段であって、先行する走査間では前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲を変更し、後続の走査間では前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲を固定し記録を実行する記録制御手段と、
規定の周期に応じて画像の記録に寄与しないインク滴を前記第1の吐出口から吐出させる第1の予備吐出動作、前記使用範囲に含まれる第1の吐出口ごとのインク吐出数に基づき、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記第1の吐出口から吐出させる第2の予備吐出動作、及び規定の周期に応じて画像の記録に寄与しないインク滴を前記第2の吐出口から吐出させる第3の予備吐出動作を実行可能な予備吐出制御手段と、
を有し、
前記予備吐出制御手段は、前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲の固定前では前記第1の予備吐出動作を実行し、前記第1の吐出口及び第2の吐出口の使用範囲の固定後では前記第2の予備吐出動作を実行することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記予備吐出制御手段は、前記第3の予備吐出動作に連動して、前記第1の予備吐出動作段及び前記第2の予備吐出動作を実行することを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。詳しくは、記録ヘッドのノズルから画像の記録に寄与しないインク滴を吐出させ、記録ヘッドの回復処理を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、記録ヘッドに備えられた吐出口から、ノズル内のインクをインク滴として記録媒体に向けて吐出し、画像を記録する。この記録ヘッドにおいては、インク滴の吐出によってノズル内のインクが減少し、そのノズル内に、インク液室から新たなインクが毛管力により充填される。記録ヘッドの吐出口から、インク中の水分や溶剤が蒸発すると、ノズル内のインクの増粘によってインクの吐出不良が生じるおそれがある。そこで、吐出不良が発生する前に吐出口から画像の記録に寄与しないインク滴を吐出(以下、「予備吐出」という)させて、ノズル内のインクの増粘による吐出不良を防止している。この予備吐出は、記録ヘッドを記録媒体の外側に移動させて、その移動位置においてインク滴を吐出させることにより行なわれる。このような予備吐出を行うことによって、記録ヘッドにおけるインクの吐出状態を良好に維持することができる。
【0003】
予備吐出の制御形態としては、前回の予備吐出から所定時間以上経過している場合に、予備吐出を行う形態がある。例えば、シリアルスキャン型のインクジェット記録装置の場合には、記録ヘッドを搭載したキャリッジの往復移動の反転時に、前回の予備吐出から所定時間以上経過しているか否かを判定する。そして、その所定時間以上が経過している場合に、記録ヘッドを記録媒体の外側に移動し、その移動位置にて予備吐出を行う。以下、このような制御形態を「周期制御」ともいう。
【0004】
しかし、このような周期制御は、前回の予備吐出から所定時間以上経過する度に予備吐出を行うため、必要以上に予備吐出を行うおそれがある。予備吐出を頻繁に行うと、記録速度(スループット)の低下を招き、さらにはインクの消費がランニングコストの上昇を招いてしまう。
【0005】
特許文献1には、このような不具合を解消する予備吐出の制御形態として、ノズルの使用頻度に応じて予備吐出を行う形態が記載されている。この制御形態においては、所定時間の間に、記録ヘッドのノズルから吐出されたインクの吐出数が所定数に達しているか否かをノズルごとに判断する。そして、その判断結果に基づき決定される記録可能時間と、次の記録走査に要する時間を比較し、記録可能時間が次の記録走査に要する時間よりも短い場合に予備吐出を行う。このように、それぞれのノズルから吐出されたインク滴の吐出数をカウント(モニタリング)することによって、予備吐出を効率的に実行することができる。以下、このような制御形態を「ノズルモニタ制御」ともいう。
【0006】
【特許文献1】特開2005−238712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インクジェット記録装置において、記録時における搬送量、および記録に用いられるノズル(使用ノズル)は、変更(シフト)される場合がある。
【0008】
例えば、搬送方向における記録媒体の両端部、つまり前端部と後端部に関しては、通常の搬送量よりも小さくして記録を行う場合がある。その理由は、記録媒体の両端部では、記録媒体を搬送ローラ及び排紙ローラの両方を用いて搬送出来ないため、記録媒体の搬送精度が落ちるからであり、その搬送精度の低下の影響を抑えるために、記録媒体の両端部に関しては通常の搬送量よりも小さくしている。このように記録媒体の搬送量が小さくなった分、記録ヘッドにおいて使用されるノズルも制限され、記録媒体の両端部に対しては、記録ヘッドの一部のノズルを用いて画像が記録される。
【0009】
さらに、記録媒体の両端部に対する記録時には、記録媒体の搬送量、および記録に用いられるノズルを変化させる場合がある。例えば、記録ヘッドと対向する記録位置を通して記録媒体を搬送させる搬送ラインに、記録位置よりも上流側に位置する搬送ローラが備えられている場合、記録媒体の後端が搬送ローラのニップ部から抜け出るときに、記録媒体の搬送量が一時的に大きくなる。このように、記録媒体の後端が搬送ローラから離れるときの搬送量が、所定の搬送量よりも大きくなることを「蹴飛ばし」ともいう。記録媒体の後端部に対する記録時には、このような蹴飛ばしによる搬送量の変化を考慮して、使用ノズルをシフトさせる。
【0010】
図8を用いて、シリアルスキャン型のインクジェット記録装置において、記録媒体の後端部に対する記録時に、蹴飛ばしを考慮して使用ノズルをシフトさせる制御の一例を説明する。
【0011】
図8(a)における斜線部分は、記録ヘッドHにおける全ノズル(例えば、512ノズル)を表しており、矢印Bの記録媒体の搬送方向(副走査方向)に沿ってノズル列を形成している。L10は、全ノズルのノズル幅(全ノズル幅)である。インクジェット記録装置は、記録ヘッドHが矢印Aの主走査方向に移動しつつノズルからインク滴を吐出する記録動作と、記録媒体を矢印Bの副走査方向に搬送する搬送動作を交互に繰り返して、画像を記録する。記録媒体の中央部に対する記録時において、記録媒体の搬送量は全ノズル幅L10に相当し、使用ノズルNBは全ノズルである。記録媒体の後端部に対する記録時の使用ノズルNBは、全ノズル幅L10よりも小さいノズル幅L11内のノズルであり、記録媒体の搬送量は、このノズル幅L11に対応する。本形態の場合、ノズル幅L11は全ノズル幅L10の半分(=256ノズル)とし、使用ノズルNBは同図下側である給紙側に位置する。さらに、このような記録媒体の後端部に対する記録時には、上記の蹴飛ばしが生じるタイミングに合わせて、使用ノズルNBの位置を図8(c)のように一旦シフトさせた後、図8(d)のように使用ノズルNBの位置を給紙側にさらにシフトさせる。
【0012】
上述したノズルモニタ制御は、記録時における記録媒体の搬送量が一定であって、各記録走査において記録に用いられる使用ノズルが一定である場合には、効率的な予備吐出を行うことができる。しかし図8のように、記録時における記録媒体の搬送量が一定ではなく、各記録走査において記録に用いられる使用ノズルが一定でない場合には、適切な予備吐出が実行されないことがある。
【0013】
すなわち、ノズルモニタ制御は、記録走査毎における使用ノズルの使用頻度に応じて予備吐出の実行を制御する。そのため、図8(b)の記録走査においてモニタリングの対象外であったノズルNX11は、モニタリングされないまま、図8(c)の記録走査において使用ノズルMBとなってしまう。図8(c)の記録走査において新たに使用ノズルNBとして設定されたノズルNX11は、インクの吐出状態が正常ではない場合がある。図8(c)の記録走査においてモニタリングの対象外であって、図8(d)の記録走査において使用ノズルMBとなったノズルNX12に関しても同様である。
【0014】
また仮に、図8(b)のNBとNX11の範囲のノズルをモニタリングの対象としてから、その使用ノズルの使用頻度に応じて予備吐出の実行を制御した場合には、図8(b)から(d)の記録走査に、使用されないノズルNX11またはNX12が存在する。そのために、このような構成では、記録走査毎に予備吐出が実行される不具合が生じるおそれがある。
【0015】
このように、従来のノズルモニタ制御では、使用ノズルが変化した場合に、必要な予備吐出が行われなかったり、または必要以上に予備吐出が行われるなど、適切な予備吐出が実行されないおそれがある。
【0016】
そこで、特許文献1では、使用ノズルが変化する記録媒体の前端部および後端部では、予備吐出の制御形態を周期制御とするインクジェット記録装置を開示している。しかし、周期制御は、既に述べたように、前回の予備吐出から所定時間以上経過する度に予備吐出を行うため、必要以上に予備吐出を行い、記録速度(スループット)の低下を招く問題が生じてしまう。
【0017】
本発明の目的は、画像の記録に使用するノズルが変化する場合にも、適切な予備吐出を行うことができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のインクジェット記録装置は、インク滴を吐出可能な吐出口を複数備えた記録ヘッドを走査させて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、各走査の記録に用いられる吐出口の使用範囲を定め、前記使用範囲に含まれる吐出口により前記各走査の記録を実行する記録制御手段と、前記使用範囲に含まれる吐出口ごとのインク吐出数に基づき、前記各走査での記録終了後に画像の記録に寄与しないインク滴を前記吐出口から吐出させる予備吐出制御手段と、を有し、前記記録制御手段により前記吐出口の使用範囲を走査間で変更する場合、前記予備吐出制御手段は、前記吐出口の使用範囲が確定後に、前記使用範囲に含まれる吐出口ごとのインク吐出数に基づき画像の記録に寄与しないインク滴を前記吐出口から吐出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のインクジェット記録装置によれば、使用ノズルが変化する場合でも、必要な予備吐出が行われなかったり、または必要以上に予備吐出が行われてることなく、適切な予備吐出を実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、および皮革等を含み、インクを受容可能なものも表すものとする。さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様に広く解釈されるべきものである。すなわち「インク」とは、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化するための処理)に供される液体を表すものとする。また、「ノズル」(「記録素子」という場合もある)とは、特にことわらない限り、吐出口、これに連通する液路、およびインク滴の吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0022】
(インクジェット記録装置の機械的な構成)
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の機械的な構成を説明するための要部の外観斜視図である。
【0023】
本形態のインクジェット記録装置(「記録装置」ともいう)1は、キャリッジ2に、記録ヘッド3が着脱自在に搭載され、そのキャリッジ2は、矢印Aの主走査方向に往復移動される。キャリッジ2の駆動力は、キャリッジモータM1から伝達機構4を介して伝達される。本形態の伝達機構4は、キャリッジモータM1により駆動される駆動プーリと、従動プーリと、それらのプーリの間に掛け渡されかつキャリッジ2に連結されたベルト7と、を含む構成となっている。記録紙などの記録媒体Pは、給紙機構5を介して給紙されて記録位置に搬送され、その記録位置において、記録ヘッド3から吐出されるインクによって画像が記録される。
【0024】
10は、記録ヘッド3のインクの吐出状態を良好に維持するための回復装置である。キャリッジ2が回復装置10の位置まで移動して、記録ヘッド3が画像の記録に寄与しないインク滴を回復装置10のキャップ内に吐出(予備吐出)することができる。この回復装置10の構成については後述する。
【0025】
キャリッジ2には、記録ヘッド3に供給するためのインクを貯留するインクカートリッジ6が着脱自在に搭載される。このインクカートリッジ6は、記録ヘッド3と共にインクジェットカートリッジを構成するものであってもよい。本形態のインクジェット記録装置1は、カラー画像の記録が可能である。そのためキャリッジ2には、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを収容した4つのインクカートリッジ6が搭載される。これら4つのインクカートリッジ6は、それぞれ独立的に着脱可能である。
【0026】
キャリッジ2と記録ヘッド3は、それらの接合面が適正に接触することによって、それらの間において所要の電気的接続が維持される。記録ヘッド3は、記録信号に応じて、複数の吐出口からインクを選択的に吐出することができる。本形態の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインク滴を吐出するインクジェット方式が採用され、熱エネルギーを発生するために電気熱変換体(ヒータ)を備える。その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーがインクに与えられることにより、そのインクに膜沸騰が生じる。そして、その膜沸騰によってインク中に気泡の成長および収縮が生じ、それに伴うインクの圧力変化を利用して、吐出口からインク滴を吐出させることができる。この電気熱変換体は吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて電気熱変換体にパルス電圧が印加されることにより、その電気変換体に対応する吐出口からインク滴が吐出される。記録ヘッド3は、ピエゾ素子などを用いてインク滴を吐出する方式であってもよい。
【0027】
キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によって、ガイドシャフト13に沿って矢印Aの主走査方向に往復移動される。また、キャリッジ2の移動方向に沿って、そのキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。本形態のスケール8は、透明なPETフィルムに一定のピッチで黒色のバーが印刷されたものであり、その一方はシャーシ9に固着され、その他方は板バネ(不図示)によって支持されている。
【0028】
インクジェット記録装置1には、吐出口が形成された記録ヘッド3の吐出口面と対向する位置に、プラテン23(図3および図4参照)が設けられている。記録ヘッド3がキャリッジ2と共に往復移動しつつ、記録信号に基づいて記録ヘッド3からインク滴を吐出することにより、プラテン23上に搬送された記録媒体Pに対して、その全幅に渡って画像を記録する。
【0029】
14は、記録媒体Pを矢印Bの副走査方向に搬送するための搬送ローラであり、搬送モータM2によって駆動される。15は、バネ(不図示)の付勢力により記録媒体Pを搬送ローラ14に当接させるピンチローラ、16は、ピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダである。17は、搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアである。この搬送ローラギア17に、中間ギア(不図示)を介して搬送モータM2の回転が伝達されることにより、搬送ローラ14が駆動される。
【0030】
20は排出ローラであり、記録ヘッド3によって画像が記録された記録媒体Pをインクジェット記録装置1の外に排出する。この排出ローラ20は、搬送モータM2の回転が伝達されることにより駆動される。拍車ローラ21(図3および図4参照)は、バネ(不図示)によって記録媒体Pを排出ローラ20に圧接させる。22は、拍車ローラ21を回転自在に支持する拍車ホルダである。
【0031】
前述した回復装置10には、記録ヘッド3の吐出口面をキャップによってキャッピングするキャッピング機構11と、記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12と、が備えられている。キャッピング機構11のキャップによる吐出口面のキャッピングに連動して、回復装置10の吸引手段(吸引ポンプ等)によってキャップ内に負圧を導入することにより、記録ヘッド3の吐出口から、キャップ内にインクを強制的に吸引排出させる。これによって、記録ヘッド3のノズルおよびインク流路内の増粘インクや気泡等を除去して、インクの吐出状態を良好に維持することができる。
【0032】
また、非記録動作時等において、キャッピング機構11のキャップによって吐出口面をキャッピングすることにより、記録ヘッド3を保護すると共に、吐出口からのインクの蒸発や乾燥を防止することができる。また、ワイピング機構12は、キャッピング機構11の近傍に配備されて、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取る。
【0033】
これらのキャッピング機構11およびワイピング機構12により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つための回復処理が可能となっている。その回復処理には、前述した予備吐出も含まれる。
【0034】
(インクジェット記録装置の制御系の構成)
図2は、インクジェット記録装置1の制御系のブロック構成図である。
【0035】
図2において、コントローラ600は、MPU601、ROM602、特殊用途集積回路(ASIC)603、RAM604、システムバス605、およびA/D変換器606を含む。ROM602は、後述する制御シーケンスに対応するプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納する。ASIC603は、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、および記録ヘッド3の制御信号を生成する。RAM604には、画像データの展開領域、およびプログラム実行のための作業用領域等が設けられる。システムバス605は、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行う。A/D変換器606は、後述するセンサ群630から入力したアナログ信号をA/D変換し、その変換後のデジタル信号をMPU601に供給する。コントローラ600は、ROM602に格納されたプログラムにしたがって、後述するようにノズルモニタ制御によって回復処理を実行する。
【0036】
610は、画像データの供給源となるホスト装置であり、コンピュータ、画像読取り用のリーダ、あるいはデジタルカメラなどを含む。ホスト装置610とインクジェット記録装置1は、インタフェース(I/F)611を介して、画像データ、コマンド、およびステータス信号等を送受信する。
【0037】
620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリントスイッチ622、および回復スイッチ623などを含む。プリントスイッチ622はプリント開始を指令するためのスイッチであり、回復スイッチ623は、前述した回復処理、つまり記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理の起動を指示するためのスイッチである。さらにスイッチ群620には、操作者からの指令入力を受けるためのスイッチをも含まれる。
【0038】
620はセンサ群であり、位置センサ631、および温度センサ632等、インクジェット記録装置1の状態を検出するためのセンサを含む。位置センサ631は、記録ヘッド3が回復装置10と対向するように、キャリッジ2が所定のホームポジションに移動したことを検出するためのセンサであり、フォトカプラなどによって構成されている。温度センサ632は、環境温度を検出するためにインクジェット記録装置1の適宜の箇所に設けられたセンサである。
【0039】
640はキャリッジモータドライバであり、キャリッジ2を矢印Aの主走査方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動制御する。642は搬送モータドライバであり、記録媒体Pを矢印Bの副走査方向に搬送するための搬送モータM2を駆動制御する。ASIC603は、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM604の記憶領域に直接アクセスしながら、記録ヘッド3に対して電気熱変換体(記録素子)の駆動データ(DATA)を転送する。
【0040】
このような構成のインクジェット記録装置1は、インタフェース611を介してホスト装置610から転送された画像データをRAM604に格納し、その画像データから、インクの吐出情報を示す記録データを生成してRAM604に格納する。記録時には、その記録データに基づいて、記録ヘッド3の各吐出口からインクが吐出されることにより、記録媒体P上に画像が記録される。すなわち、記録ヘッド3が主走査方向に移動しつつインク滴を吐出する動作と、記録媒体Pを副走査方向に搬送する動作を繰り返すことによって、記録媒体P上に順次画像を記録する。
【0041】
(記録媒体の端部に対する記録動作)
図3および図4は、記録媒体Pの搬送量と記録ヘッド3の使用ノズルとの関係の説明図であり、これらは記録媒体Pの後端部に記録するときと中央部に記録するときとでは異なっている。図5は、その使用ノズルの変化、およびノズルモニタの対象となるノズルの説明図である。
【0042】
記録媒体Pは、搬送ローラ14と排紙ローラ20によって、搬送ライン(搬送路)L上を矢印Bの副走査方向に搬送される。画像の記録時には、記録ヘッド3が矢印Aの主走査方向に移動しつつノズルからインク滴を吐出する記録動作と、記録媒体を矢印Bの副走査方向に搬送する搬送動作を交互に繰り返す。本形態のインクジェット記録装置1は、後述するように、記録媒体Pの後端部に対して余白のない縁なし記録が可能であり、そのためにインク吸収体24が備えられている。縁無し記録の際、記録媒体Pの搬送方向上流側に位置する記録ヘッド3のノズルから吐出されて、記録媒体P上から外れたインク滴は、インク吸収体24によって受容される。
【0043】
図5(a)における斜線部分は、記録ヘッド3における全ノズル(例えば、512ノズル)を表しており、矢印Bの記録媒体の搬送方向(副走査方向)に沿うノズル列を形成している。記録媒体Pの中央部に対する記録時には、図3(a)のように、記録ヘッド3の全ノズル幅L0内の全ノズルが使用ノズルNAとなり、記録媒体Pの搬送量Fは、その全ノズル幅L0に相当する。
【0044】
図3(c)のように、記録媒体Pが搬送ローラ14から外れてからは、排紙ローラ20のみによる搬送動作となるため、記録媒体Pの搬送精度は低下する。このような搬送精度の影響を抑えるために、図3(b)のように、記録媒体Pの後端Peが搬送ローラ14から外れる前の搬送動作から、記録媒体Pの搬送量Fを小さくする。本形態の場合、そのときの記録媒体Pの搬送量Fは、全ノズル幅L0の1/4のノズル幅L1に相当し、そのときの使用ノズルNAは、記録媒体Pの搬送方向上流側に位置するノズル幅L1内のノズルとなる(図5(b)参照)。
【0045】
図3(c)のように記録媒体Pの後端Peが搬送ローラ14から外れて、記録媒体Pの搬送動作が排紙ローラ20のみによる搬送動作に移行する際には、記録媒体Pの搬送量が一時的に大きくなって、搬送精度が低下する傾向がある。これは、記録媒体Pの後端Peが搬送ローラ14から離れるぎりぎりの状態において、搬送ローラ14が記録媒体Pの後端Peをしっかりと把持できないためである。このように搬送精度が低下することにより、記録される画像の品位は低下してしまう。記録媒体Pの後端Peが搬送ローラ14から離れるときに、記録媒体Pの搬送量が一時的に大きくなる現象は、前述したように「蹴飛ばし」と称される。また、蹴飛ばしが起こる前の記録領域は、「蹴飛ばし準備領域」と称される。
【0046】
本形態においては、搬送精度の低下が起こらないように、蹴飛ばしと記録媒体Pの後端Peが搬送ローラ14から離れるぎりぎりの状態が、一度の搬送動作中に含まれるようにする。具体的には、記録媒体Pの後端Peが搬送ローラ14から離れるときのぎりぎりの状態で止まらないように、図3(c)および図5(c)のように、記録媒体Pの搬送量Fを大きくし、同時に、使用ノズルNAの位置をシフトする。このような記録媒体Pの後端部に対する記録時に、記録媒体Pの搬送量Fを一時的に大きくして、記録に用いる使用ノズルNAの位置の切り替える一連の動作は、「蹴飛ばし処理」と称される。
【0047】
蹴飛ばし準備領域では、蹴飛ばし処理を行うための前段階として、前述した図3(b)および図5(b)のように、全ノズルの内、給紙側(搬送方向の上流側)の一部分を使用ノズルNAとするように使用ノズルNAを切り替える。そして、蹴飛ばし処理が入るまでは、その給紙側の一部の限定された使用ノズルNAを用いて記録を行う。つまり蹴飛ばし準備領域において、図5(a)の使用ノズルNAによって記録媒体Pの通常の記録領域に記録に行う状態から、図5(b)の給紙側の使用ノズルNAによって記録を行う状態に移行する。このように、使用ノズルNAを図5(a)から図5(b)に切り替える際には、使用ノズル数を徐々に減らすようにしてもよい。
【0048】
本形態の蹴飛ばし処理においては、図3(c)および図5(c)のように、記録媒体Pの搬送量Fをノズル幅L1の2倍とし、同時に、使用ノズルNAの位置をノズル幅L1だけ排紙側(搬送方向の下流側)にシフトする。記録ヘッド3の全ノズルが512ノズル、およびノズル幅L1が全ノズル幅L0の1/4の場合、搬送量Fは、蹴飛ばし準備領域における128ノズル分(ノズル幅L1)から、256ノズル分(ノズル幅L1の2倍)となる。その際には、蹴飛ばしによる記録媒体Pの搬送量の増大を考慮する。例えば、蹴飛ばしによる記録媒体Pの搬送量の増大量が2ノズル分であることが予想できる場合には、給紙ローラ14および排紙ローラ20による記録媒体Pの搬送量を254(=256−2)ノズル分とする。これにより記録媒体Pは、結果的に、所期どおりに256ノズル分搬送されることになる。
【0049】
このような蹴飛ばし処理によって、図3(c)および図5(c)のように使用ノズルNAを排紙側にシフトさせた後は、図4(b)および図5(d)のように、その使用ノズルNAを段階的に給紙側にシフトする。そして、最終的には、図5(b)および図5(e)のように、使用ノズルNAを給紙側の位置に戻す。このように使用ノズルNAを給紙側に段階的にシフトする処理(「シフト処理」または「ノズル戻し処理」ともいう)に伴って、記録媒体Pの搬送量Fは段階的に小さくなり、最終的に、図4(b)および図5(e)のようにノズル幅L1に相当する量となる。
【0050】
記録媒体Pの最後端部に対する記録走査時には、図4(c)のように、記録媒体Pの後端Pnは、使用ノズルNAの給紙側範囲Sのノズルと対向する位置から外れる。給紙側範囲Sのノズルから吐出されて、記録媒体Pに着弾しなかったインク滴は、吸収体24に吸収される。このようにして、記録媒体Pの後端部に対して、余白のない縁なし記録を行うことができる。
【0051】
このように本形態においては、図4(b)および図5(e)のように給紙側にまで使用ノズルNAが完全にシフトされた後、複数回の走査で画像が記録され、記録媒体Pの後端部に対しては上述のように縁なし記録を行う。吸収体24の配備位置によっては、図5(c)または図5(d)のように、給紙側にまで完全にシフトされない使用ノズルNAによって、記録媒体Pの後端部に対して縁なし記録を行うこともできる。例えば、図5(c)における使用ノズルNAによって、記録媒体Pの後端部に対して縁なし記録を行う場合には、その使用ノズルNAと対向する位置に吸収体24が配備されることになる。また、この場合、使用ノズルNAの位置を給紙側にシフトするためのシフト処理(ノズル戻し処理)は、必ずしも必要ではない。また、このようなシフト処理は、記録媒体Pの後端部に対して縁なし記録を行わない場合には不要となる。
【0052】
(回復処理の制御形態)
本形態においては、ノズルモニタ制御によって予備吐出の実行を制御する。前述したように、このノズルモニタ制御においては、所定時間の間に、記録ヘッドのノズルから吐出されたインク滴の吐出数が所定数に達しているか否かをノズルごとに判断する。そして、その判断結果に基づき決定される記録可能時間と、次の記録走査に要する時間を比較し、記録可能時間が次の記録走査に要する時間よりも短い場合に予備吐出を行う。このように、それぞれのノズルから吐出されたインク滴の吐出数をカウント(モニタリング)することによって、予備吐出を効率的に実行することができる。
【0053】
図5(a)のように、全ノズルを使用ノズルNAとする記録動作中においては、その全ノズルがモニタリング対象のノズルとなる。一方、図5(b)から図5(e)のように使用ノズルNAが変化する場合、図5(e)のように使用ノズルNAの変化(シフト)が終了するまでは、全ノズルをモニタリング対象としてノズルモニタ制御を行う。そして、図5(e)のように、使用ノズルNAの変化が終了して、それが確定されてからは、その使用ノズルNAをモニタリング対象としてノズルモニタ制御を行い、その使用ノズルNA以外のノズルをモニタリング対象から外す。確定された使用ノズルは、「確定使用ノズル」という。
【0054】
このように、使用ノズルNAが確定するまでは、全ノズルがモニタリング対象となるため、当然ながら、図5(b)の記録走査においては使用ノズルMAではなく、図8(c)の記録走査において使用ノズルMAとなったノズルNX1もモニタリング対象となる。図5(c)の記録走査においては使用ノズルMAではなく、図8(d)の記録走査において使用ノズルMAとなったノズルNX2についても同様である。また、図5(d)の記録走査においては使用ノズルMAではなく、図8(e)の記録走査において使用ノズルMAとなったノズルNX3についても同様である。したがって、使用ノズルNAが確定するまでは、これらのノズルNX1、NX2、NX3を含む全ノズルをモニタリングの対象とするノズルモニタ制御を行って、全てのノズルに関してインクの吐出状態を良好に維持することができる。
【0055】
一方、使用ノズルNAが確定してからは、その使用ノズルNA以外のノズルをモニタリング対象から外したノズルモニタ制御を行うことによって、必要以上に予備吐出を行うことなく、インクの無駄な消費を抑え、スループットの向上を図ることができる。
【0056】
また、使用ノズルNAが確定するまでは、図5(c)、図5(d)のノズルNY1、NY2のように、記録媒体Pの最後の記録走査まで使用されないノズルが増えていく。このようなノズルNY1、NY2に関して、ノズルモニタ制御のモニタリングの対象から外すことが望ましい。
【0057】
また、使用ノズルNAが確定した後は、次のページの記録媒体Pに対する画像の記録に影響がなければ、その確定した使用ノズルNAのみから予備吐出を行うようにしてもよい。使用ノズル確定後は、必ずしも全ノズルでについて予備吐出を行う必要はなく、これにより、インクの無駄な消費を抑えることができる。
【0058】
なお、使用ノズルが確定したことを決定する方法としては、記録ヘッド3の給紙側から、蹴飛ばし処理およびノズル戻し処理に伴って変化する使用ノズルまでのノズル数をRAM604で管理する方法等がある。上述の例では、まず蹴飛ばし処理により、図5(c)のように使用ノズルNAは給紙側から128ノズル開いた位置となるため、RAM604には128が設定値としてセットされる。次に、図5(d)のように、ノズル戻し処理によって、使用ノズルNAがシフトされていくと、RAM604の設定値は、128、96、64、32のように記録走査ごとに変更されていく。そして、設定値が0となる、図5(e)のように使用ノズルが完全に給紙側となった段階で、使用ノズルの確定を決定する。
【0059】
使用ノズル確定後、ノズルモニタ制御による回復処理は、コントローラ600がROM602に格納されたプログラムにしたがって実行する。
【0060】
まず、記録可能時間(PENBL)を所定の値に初期化し、記録ヘッド3のノズル毎の吐出駆動回数を計測するノズルカウンタの計測値(Dcount(i)i=1,N)を初期化して全計測値を“0”とする。さらに、次のステップで、所定の時間間隔で記録可能時間(PENBL)を更新するタイミングをつくるための割り込みタイマを始動させる。 例えば、本形態では、割り込み時間間隔(TINRT)を50ミリ秒とする。また、Nとはノズルの数であり、記録可能時間(PENBL)は記録ヘッド3からの正常なインク吐出が期待される時間であり、記録ヘッド3やインクジェット記録装置1の性能に従って定められる値である。
【0061】
ここで、50ミリ秒間隔での割り込み処理について説明する。まず、最初のステップとして、ノズルカウンタの計測値(Dcount(i)i=1,N)の全てが所定値(TH)に達しているかどうかを調べる。本形態の場合、TH=3とする。ここで、ノズルカウンタの計測値全てに関し、Dcount≧3であれば、記録可能時間(PENBL)をリセットして初期化する。これに対して、いずれかのノズルカウンタの計測値に関し、Dcount<3であれば、記録可能時間(PENBL)を50ミリ秒減算した値を新たな記録可能時間(PENBL)として更新する。いずれかの処理の後、ノズルカウンタの計測値(Dcount(i)i=1,N)の全てを初期化して全計測値を“0”とする。以上の処理が、50ミリ秒間隔での割り込み処理である。
【0062】
記録時、各記録走査の間では記録ヘッド3の移動速度を減速させ、その後、移動方向を反転させ、次の記録走査のために加速させる制御を実行する。1記録走査が終了し、記録ヘッド3の移動速度を減速させる制御に移行する前に、記録終了であるかどうかを調べ、記録終了でないと判断されたときには、その時点での記録可能時間(PENBL)と次の記録走査に要する時間(Tscan)とを比較する。PENBL<Tscanであれば、予備吐出が必要であると判断して、記録ヘッド3を予備吐出位置へ移動して予備吐出を実行し、ステップAへと進む。また、PENBL≧Tscanであれば、予備吐出は必要でないと判断され、そのままステップAへと進む。
【0063】
ステップAでは、記録可能時間(PENBL)を初期化し、ノズルカウンタの計測値(Dcount(i)i=1,N)を初期化してすべての計測値を“0”とする。その後、記録走査を再開する。以上のような一連の処理により、ノズルモニタ制御による予備吐出を行う。なお、以上のようなノズルモニタ制御による予備吐出は、使用ノズル確定後の使用ノズルをモニタリング対象とした場合だけでなく、全ノズルをモニタリング対象とした予備吐出についても同様である。
【0064】
図6は、ノズルモニタ制御による予備吐出の一連の制御手順を説明するためのフローチャートである。
【0065】
本形態においては、蹴飛ばし処理によって使用ノズルNAの変更が開始され、そして、縁なし記録を行うときにシフト処理(ノズル戻し処理)が行われ、縁なし記録を行わないときにはシフト処理(ノズル戻し処理)が行わないものとする。使用ノズルNAが確定する前は全ノズルを予備吐出の対象ノズルとし、使用ノズルNAが確定してからは、その使用ノズルNAのみを予備吐出の対象ノズルとする。
【0066】
まず、ステップS1において、蹴飛ばし処理を行ったか否かを判定する。蹴飛ばし処理をしていない場合にはステップS4に進み、モニタリングの対象ノズルを全ノズルに設定し、ステップS5において、全ノズルを予備吐出の対象ノズルとしたノズルモニタ制御を行う。
【0067】
蹴飛ばし処理をした場合にはステップS1からステップS2に進み、記録モードとして、縁なし記録を行うための縁なし記録モードが設定されているか否かを判定する。縁なし記録モードが設定されていない場合、蹴飛ばし処理後の使用ノズルNA(図5(c)の使用ノズルNA)は、記録媒体Pの最後の記録走査まで使用されるノズルとして確定される。この場合にはステップS6に進み、その確定された使用ノズルNAをモニタリングの対象ノズルとして設定する。そしてステップS5において、その使用ノズルNAを予備吐出の対象ノズルとしたノズルモニタ制御を行う。
【0068】
縁なし記録モードが設定されている場合には、ステップS2からステップS3に進み、シフト処理が完了したか否かを判定する。シフト処理が完了した場合、そのシフト処理完了後の使用ノズルNA(図5(e)の使用ノズルNA)は、記録媒体Pの最後の記録走査まで使用されるノズルとして確定される。この場合にはステップS6に進み、その確定された使用ノズルNAをモニタリングの対象ノズルとして設定する。そしてステップS7において、その使用ノズルNAを予備吐出の対象ノズルとしたノズルモニタ制御を行う。
【0069】
シフト処理が完了していない場合には、使用ノズルNAが確定していないと判断してステップS4に進み、モニタリングの対象ノズルを全ノズルに設定し、ステップS5において全ノズルを予備吐出の対象にしたノズルモニタ制御を行う。
【0070】
(回復処理の制御形態の他の例)
上述の説明では、記録媒体Pの中央部に対する予備吐出制御をノズルモニタ制御としたが、使用ノズル確定前までの予備吐出制御として周期制御により行い、使用ノズル確定後、ノズルモニタ制御に変更しても構わない。
【0071】
記録ヘッドは、インク滴の吐出量などが異なる複数種のノズルを備えたものであってもよく、この場合には、ノズルの種類毎に応じた予備吐出の制御形態を採用することができる。
【0072】
例えば、記録ヘッドに、比較的大きなインク滴を吐出可能な大径の大ノズルと、比較的小さなインク滴を吐出可能な小径の小ノズルが備えられている場合には、図7のように、それぞれのノズルに適した予備吐出の制御形態を採用することができる。すなわち、大ノズルに対しては、記録媒体Pの中央部および後端部のいずれの記録時においても周期制御を採用する。一方、小ノズルに対しては、前述した実施形態と同様のノズルモニタ制御を採用する。すなわち、記録媒体Pの中央部の記録時においては全ノズルをモニタリング対象とし、また記録媒体の後端部の記録時において、使用ノズル確定前は全ノズルをモニタリング対象とし、使用ノズル確定後は確定された使用ノズルをモニタリング対象とする。
【0073】
なお、大ノズルから予備吐出を行うときには、これに連動して、小ノズルからも予備吐出を行ってもよい。一般に、小ノズルは大ノズルよりもノズル内のインクの増粘による吐出不良が生じやすいため、大ノズルから予備吐出を行うときには小ノズルからも予備吐出を行うことが好ましい。
【0074】
(他の実施形態)
記録媒体の前端部に対する記録時に、記録媒体の搬送量、および記録ヘッドの使用ノズルを変化させることにより、記録媒体の前端部に対して、余白のない縁なし記録を行うこともできる。この場合、記録媒体の前端部の記録から中央部の記録に移行するまでの間においては、使用ノズルが徐々に増えるように変化し、そして最終的に、使用ノズルは全ノズルとして確定することになる。記録媒体の前端部の記録時における予備吐出の制御形態として、ノズルモニタ制御を採用した場合には、モニタリング対象を全ノズルとしてもよい。
【0075】
記録ヘッドは、大ノズル、中ノズル、小ノズルを備えるものであってもよく、また異なる構成のノズルを備えるものであってもよく、それぞれのノズルの種類毎に適した予備吐出の制御形態を採用することができる。その制御形態の1つとして、前述した実施形態のノズルモニタ制御を採用することができる。
【0076】
また、前述した実施形態のノズルモニタ制御においては、使用ノズルの確定前は全ノズルをモニタリング対象とし、使用ノズルの確定後は確定された使用ノズルをモニタリング対象とした。しかし、使用ノズルが多段階的に変化してから、それが確定される場合には、使用ノズルが完全に確定される前の段階における使用ノズルを、確定された使用ノズルとして扱ってもよい。
【0077】
また、記録媒体の後端部に対する記録時以外のときに使用ノズルを変化させる場合にも、前述したようなノズルモニタ制御を採用することができる。
【0078】
また、上述したノズルモニタ制御の機能の一部または全部は、ホスト装置610(図2参照)に持たせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態としてのインクジェット記録装置の要部の外観斜視図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置における制御系のブロック構成図である。
【図3】(a)から(c)は、それぞれ、図1のインクジェット記録装置における記録動作の説明図である。
【図4】(a)から(c)は、それぞれ、図1のインクジェット記録装置における記録動作の説明図である。
【図5】(a)から(e)は、それぞれ、図1のインクジェット記録装置における回復処理と使用ノズルとの関係の説明図である。
【図6】図1のインクジェット記録装置におけるノズルモニタ制御を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1のインクジェット記録装置における回復処理の他の例の説明図である。
【図8】(a)から(d)は、従来のインクジェット記録装置における回復処理と使用ノズルとの関係の説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 インクジェット記録装置
2 キャリッジ
3 記録ヘッド
10 回復装置
14 給紙ローラ
20 排紙ローラ
600 コントローラ
601 MPU
602 ROM
603 ASIC
604 RAM
605 システムバス
605 A/D変換器
610 ホスト装置
611 インタフェース
P 記録媒体
Pe 後端
L 搬送ライン(搬送路)
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年8月23日(2006.8.23)
【代理人】 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一

【識別番号】100088915
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 和夫


【公開番号】 特開2008−49562(P2008−49562A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−227178(P2006−227178)