| 【発明の名称】 |
画像記録装置および画像記録方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】川床 徳宏
【氏名】神田 英彦
【氏名】筑間 聡行
【氏名】吉川 宏和
【氏名】林 雅
【氏名】森山 次郎
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| 【要約】 |
【課題】複数サイズのドットを組み合わせて画像を記録する画像記録装置において、副走査のばらつきに起因するバンディング問題や吐出回数の多数化に伴う記録ヘッドの昇温問題を比較的簡易な構成で解決する。
【構成】複数段階のレベルで表現された濃度データを有する個々の画素に対し、複数サイズのドットの組み合わせを割当てる。このとき、画像解像度よりも小さいドットを1つ割り当てる濃度レベルよりも高い濃度レベルを有する画素に対し、画像解像度よりも大きいドットを積極的に割当てたり、副走査方向の被服率を高める位置にドットを割当てたりする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットおよび前記領域よりも大きい大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、 前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いる前記ドットを決定する手段と、 前記決定手段により決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段と を具備し、 前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルよりも1段階高い濃度レベルを有する画素の記録には、少なくとも前記大ドットを1つ用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする画像記録装置。 【請求項2】 前記決定手段は、更に、前記画素の記録に用いるドットの、当該画素内の記録位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。 【請求項3】 複数サイズのドットを記録媒体に記録可能な記録ヘッドを前記記録媒体に対して走査させる主走査と、該主走査とは交差する方向に前記記録媒体を搬送する副走査を行うことにより、前記記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、 n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットと当該ドットの画素内の記録位置を決定する手段と、 前記決定手段によって決定されたドットおよび記録位置に応じて、前記記録ヘッドを用いて前記記録媒体に記録する手段と を具備し、 前記決定手段は、前記画素に相当する領域よりも小さい小ドットを1つ用いる濃度レベルよりも1段階高い濃度レベルを有する画素の記録には、前記小ドットおよび前記小ドットと前記副走査の方向に隣接する位置に前記複数サイズのうちの1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドット及び記録位置を決定することを特徴とする画像記録装置。 【請求項4】 n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットおよび前記領域よりも大きい大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、 前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、 前記決定手段により決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段と を具備し、 前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルより高く且つ前記大ドットを用いる濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする画像記録装置。 【請求項5】 n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、 前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、 前記決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段と を具備し、 前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルより高く且つ前記画素のインクによる被覆率が100%に達する濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする画像記録装置。 【請求項6】 複数サイズのドットを記録媒体に記録可能な記録ヘッドを前記記録媒体に対して走査させる主走査と、該主走査とは交差する方向に前記記録媒体を搬送する副走査を行うことにより、前記記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、 n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、 前記決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段と を具備し、 前記決定手段は、前記画素に相当する領域よりも小さいドットを1つ用いる濃度レベルより高く且つ前記領域のインクによる前記副走査方向への被覆率が100%に達する濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする画像記録装置。 【請求項7】 同サイズのドットを記録する記録素子の配列ピッチに相当する幅よりも小さい直径の小ドットおよび前記幅よりも大きい直径の大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、前記記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、 前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、 前記決定されたドットを前記記録媒体に記録する手段と を具備し、 前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルより高い濃度レベルを有する画素の記録には、少なくとも前記大ドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする画像記録装置。 【請求項8】 前記濃度レベルに対応した前記複数サイズのドットの組み合わせと画素内におけるドットの記録位置が予め記憶されたドットパターンを格納した格納手段を更に具備し、 前記決定手段は、前記格納手段に記憶された前記ドットパターンを前記濃度レベルに応じて選択することによって、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の画像記録装置。 【請求項9】 n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットおよび前記領域よりも大きい大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、 前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する工程と、 前記決定されたドットを前記記録媒体に記録する工程と を有し、 前記決定工程では、前記小ドットが1つ用いられる濃度レベルより高く且つ前記大ドットが割り当てられる濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットが用いられるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする画像記録方法。 【請求項10】 同サイズのドットを記録する記録素子の配列ピッチに相当する幅よりも小さい直径の小ドットおよび前記幅よりも大きい直径の大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、前記記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、 前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する工程と、 前記決定されたドットを前記記録媒体に記録する工程と を有し、 前記決定工程では、前記小ドットが1つ用いられる濃度レベルより高い濃度レベルを有する画素の記録には、少なくとも前記大ドットが用いられるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする画像記録方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、異なるサイズの複数のドットを用いて記録媒体に画像を形成する画像記録装置及び画像記録方法に関する。 【背景技術】 【0002】 プリンタ、複写機、ファクシミリ等の情報出力手段として、インクジェット記録装置が普及している。インクジェット記録装置では、インクを滴として吐出する記録ヘッドを備え、画像情報に基づいて紙やプラスチック薄板等の記録媒体にドットパターンを記録し、ここに画像を形成する。 【0003】 インクジェット記録装置では、ドットの記録・非記録によって画像を表現するので、ハイライト部(最低階調部)におけるドットの粒状感がかねてから問題視されていた。これに対応するため、例えばシアンとライトシアンあるいはマゼンタとライトマゼンタのような、互いに色材濃度の異なる複数のインクを用いて画像を記録する装置も提案されている(例えば特許文献4参照)。このような記録装置であれば、ハイライト部においてライトシアンやライトマゼンタを用いることにより、粒状感を低減することが出来る。しかしながら、使用するインク(消耗品)の種類を増やすことは、装置の大型化やランニングコストの増大を招致する。 【0004】 一方、画像の更なる高解像度化への要求も高まっており、これら課題に応えるために記録ヘッドにおける記録素子の高精細化・小液滴化が進んでいる。近年では、1〜2plのインク滴を1200dpi以上の解像度で高密度に吐出可能なインクジェット記録装置が数多く提供されている。高精細化および小液滴化が満足された記録装置では、上述した粒状感の低減と画像の高解像度化を同時に実現することが出来る。 【0005】 但し、画像の高解像度化が進むと画像処理すべき画素数が増えるので、画像処理の負荷や処理時間の増大が懸念される。しかし、この問題に対しては「INDEXパターン化処理」と称される2値化処理を導入することで、対応することが可能である。 【0006】 通常、記録装置が記録すべき画像データは、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)のような多値の輝度データで表されていることが多い。これに対しインクジェット記録装置では、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)およびK(ブラック)のようなインクによるドットの記録・非記録によって画像を表現する。よって、上記多値の輝度データ(RGB)を2値の濃度データ(CMYK)に変換するための様々な画像処理が必要とされる。その中には、多値の輝度データ(例えば256値)を多値(同じく256値)の濃度データに変換する処理や、多値の濃度データをより低レベル(例えば5値)の濃度データに変換する処理などが含まれる。更に、上記低レベル(5値)の濃度データを2値の濃度データに変換するINDEXパターン化処理も、その1つである。 【0007】 図1は、INDEXパターン化処理を説明するための模式図である。ここでは、600dpiの解像度で5値(レベル0〜レベル4)の濃度データを、1200dpiの解像度で2値(記録・非記録)の濃度データに変換するためのパターンが示されている。本例において、600dpiの1画素はINDEXパターン化処理以前の画像処理を行うための最小単位であり、1200dpiの1画素はINDEXパターン化処理以降のドットの記録・非記録を定義する最小単位である。600dpiの1画素は1200dpiの2画素×2画素領域に相当し、レベル数(濃度値)が上がるに連れて中に記録するドット数も増加している。このようなINDEXパターン化処理を、様々な工程を有する画像処理の終段階に設けることにより、それ以前の画像処理において対象となる画素数を減らすことが出来る。結果、画像処理全体の負荷および処理時間を軽減することが出来る。以後、本明細書において、INDEXパターン化処理以前の解像度(本例の600dpi)を画像解像度、INDEXパターン化処理以降の解像度(本例の1200dpi)を記録解像度と定義する。言い換えれば、画像解像度の1画素とはn(nは3以上の整数)段階の濃度(n階調)で表現可能な領域であり、記録解像度の1画素とは2段階の濃度(ドットのオン・オフ)で表現可能な領域をいう。以上説明したINDEXパターン化処理を用いることにより、小液滴で記録解像度の高く粒状感の抑えられた画像を出力することが出来る。 【0008】 但し、小液滴のインクしか吐出することが出来ない記録ヘッドにおいては、それ特有の問題が発生する。小液滴のインクによって記録媒体に形成された小さなドットは、確かに単独では目立ち難く、ハイライト部における粒状感は低減する。しかし一方で、より多くのドットを記録しなければ充分な高濃度を表現することが出来ない。結果、記録ヘッドにおける吐出回数が増大し、記録ヘッドが昇温しやすい状況となる。記録ヘッドが正常な吐出を安定して行うためには、記録ヘッドの温度は所定の範囲内に収められていることが望ましい。記録ヘッドの温度が上がりすぎた場合には、記録動作を一時中断するなどの処理が一般に採用されるが、このような一時停止は記録速度の低下を招致してしまうのである。 【0009】 以上のような問題を解決するために、近年では数段階のインク滴を吐出可能な記録ヘッドを用いた記録方法が提案され、そのような方法を採用した記録装置も提供されている。数段階のインク滴を吐出可能な記録装置であれば、ハイライト部では小ドットを記録することで粒状感を抑えつつ、高濃度部では大ドットを記録することで効率的に階調表現を行える。色材濃度の低いライト系のインクを併用する場合のように、装置の大型化やランニングコストの増大を招致することもない。 【0010】 高密度な記録を高速に実現可能な記録ヘッドとしては、個々の記録素子のインク路内にヒータ(電気熱変換素子)を設けた構成が有効である。このような記録ヘッドでは、ヒータに電圧パルスを印加することによりインク中に発泡を生じさせ、泡の成長エネルギによって吐出口からインクを吐出させる。 【0011】 特許文献1には、記録素子内に大ドット用および小ドット用のヒータを配備し、大ドットと小ドットのそれぞれを同じ記録走査で記録可能なインクジェット記録装置が開示されている。また、特許文献2には、大ドット用画像データと小ドット用の画像データをそれぞれ独立に低レベルに量子化し、更にそれぞれ独立して用意されたドットマトリックスパターン(INDEXパターン)を割り当る構成が開示されている。同文献によれば、大小のドットが記録解像度における同じ画素に重なって記録されないように、それぞれのドットマトリクスパターンが定められた構成が説明されている。 【0012】 更に特許文献3には、小、中および大の3段階の大きさのドットを記録可能な記録ヘッドを用い、画像を記録する装置が開示されている。同文献によれば、小中大ドットの混在比を異ならせた複数のパターンを印刷し、この中からバンディングの少ない画像を選択・設定することによって、装置ごとに或いは記録ヘッドの経年変化に応じてバンディングを抑えるための調整を行う構成が説明されている。 【0013】 このように、数段階のインク滴を吐出可能な記録ヘッドを用い、INDEXパターン化処理を導入することにより、ハイライト部における粒状感の抑制、高濃度部における効率的な階調表現、および画像処理や記録動作の高速化が、同時に実現されているのである。 【0014】 【特許文献1】特開平10−071730号公報 【特許文献2】特開2004−148723号公報 【特許文献3】特開2004−160913号公報 【特許文献4】特開2003−300312号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0015】 しかしながら、上記技術を採用した場合であっても、主に多くの小ドットによって濃度表現される階調領域において、バンディングが確認されやすいことが近年問題視されて来ている。特に、幅広い分野に普及しているシリアル型のインクジェット記録装置において、その弊害は大きい。 【0016】 シリアル型の記録装置では、インクを吐出しながら記録媒体に対して記録ヘッドが移動する主走査と、当該主走査とは交差する方向に記録媒体を所定量搬送する副走査とを交互に行うことにより、間欠的に画像を形成する。よって、比較的小型化が可能、様々な記録媒体のサイズに対応可能、比較的多色化が容易、マルチパス記録の導入により速度と記録画質の調整が容易など様々な利点を有してしている。 【0017】 しかしながら、副走査の搬送量には、記録媒体を搬送するためのローラの偏心などが起因して、どうしてもある程度のばらつきが含まれる。このような場合、より小さいドットを一様に記録するような状況においては、搬送量の誤差に伴って副走査方向にドットの粗密が生じ、これが濃度むらとして確認されやすくなる。 【0018】 以下、上記弊害について図面を参照しながら具体的に説明する。 【0019】 図2は、大ドットと小ドットを用いて画像を形成するインクジェット記録装置におけるINDEXパターンを説明するための模式図である。ここでは600dpiの画像解像度で7値のレベルを有する濃度データに対し、縦600dpi×横1200dpiの記録解像度における個々の記録画素への大ドット、小ドットの記録・非記録を定めるパターンを示している。600dpiの1画素幅は約42μm、1200dpiでは約21μmである。これに対し、本例で用いる大ドットの直径は60μm、小ドットの直径は35μmとしている。 【0020】 表の左側には、各レベル値に対応した、画像解像度の1画素内に記録する小ドットの個数と大ドットの個数をそれぞれ示している。右側には、各レベルに対応するドットの記録状態を示している。レベル数が上がるに連れて、記録するドットの大きさや個数が増大しているのが分る。ここで、レベル2に注目する。本例において、レベル2は小ドットのみで形成する階調値である。 【0021】 図3(a)および(b)は、レベル2のデータをある程度の領域に連続して記録した場合のドット配列状態を示す図である。ここでは、マルチパス記録方法が採用されており、領域内の複数の小ドットは副走査を介在させた複数回の主走査によって記録されている。図3(a)は複数回の副走査にばらつきが含まれていない状態、同図(b)はばらつきが含まれている状態をそれぞれ示している。 【0022】 小ドットの直径(35μm)は、画像解像度の1画素幅(42μm)よりも小さい。よって、副走査に誤差がなければ、図3(a)を参照するに、副走査方向に配列する小ドット同士は互いに接触することはなく、白地部分を上下に挟んだ状態で主走査方向に伸びる罫線が形成される。また、白地部分が存在すると言うことは、記録媒体上の被覆率(画像を記録する面積に対する、インクで覆われた面積の比率)は100%未満となる。白地部分の存在は明度の上昇を促す。 【0023】 一方、副走査に誤差が含まれている場合は、図3(b)を参照するに、副走査方向に配列する小ドット同士は互いに接触したり離れたりする状態で配置され、白地部分は少なく不規則に形成される。この場合、記録媒体上の被覆率は同図(a)の場合よりも増え、明度は低くなる。このような明度や被覆率は、記録媒体における定着前のインク滴同士の接触にも影響を受ける。 【0024】 図4(a)および(b)は、図3(a)および(b)の副走査方向における境界部分に着目した際の拡大図である。図4(a)のように、副走査方向に配列するドット間に白地部分が存在する状態では、副走査方向に配列する小ドット同士は互いに接触することはなく、その距離を保っている。一方、副走査のばらつきが含まれている場合は、図4(b)に示すように、副走査方向に配列するドット同士が互いに接触する箇所が発生する。 【0025】 この接触が記録媒体への吸収前であると、互いのインク滴はその表面張力によって引き付け合い、一方のインク滴から他方のインク滴にインクが流れ込むような現象が生じる。すなわち、図4(a)では主走査方向の流れ込みは生じるが副走査方向への流れ込みは生じないのに対し、図4(b)では主走査方向にも副走査方向にもインクの流れ込みが生じる。流れ込み現象が生じると、ドットはその形状を崩し、面積を増す方向に形状を変え、結果的に被覆率の増大を招く。すなわち、インク滴同士の接触は、副走査のばらつきに起因する被覆率の変動を、更に大きくする要因となる。 【0026】 副走査にばらつきが含まれていると、記録媒体の搬送幅毎に被覆率や明度も変動する。 搬送ローラに偏心がある場合には、搬送量のばらつきも周期的に現れるので明度の変動も副走査方向に周期的に現れる。人間の視覚は明度の変動に対して敏感なため、このような現象はバンディング或いは濃度むらとして感知され、画像品位の上で大きな問題となる。 【0027】 小ドットのみで記録されるような階調レベルにおいて、主走査方向に連続する白地部分をなくすために、小ドットを副走査方向にずらして記録する方法も提案されている。しかし、ドットを副走査方向に積極的にずらして記録するためには、記録ヘッドにおける記録素子の配列密度をより高く構成するか、各主走査間に行われる副走査の搬送量をずれた位置にドットが配列する様に設定するか、の何れかが要される。前者の場合には、記録ヘッド上の記録素子数をより多くより高密度に配列させなければならないため、記録ヘッドのコストアップを伴う。また、後者の場合には、結果的により高精細な搬送が求められるため、記録装置本体のコストアップを伴う。 【0028】 特許文献3には、既に説明した様に、複数段階のドットの混在比を互いに異ならせた複数のパターンを記録し、これらの中からバンディングの少ない画像を選択・設定することで、バンディングを抑えようとする技術が開示されている。しかしながら、このような場合、バンディングを抑えるための調整工程が通常の記録動作とは別に要されるので、ユーザにとって簡便さを損ねる恐れがある。また、複数段階のドットの混在比が異なる複数パターンを記録するための手段や、得られた調整値に基づいて画像処理を変更する手段など、一般の記録装置に比べて更に多くの手段が必要になる。多数の手段を設けることは、本体やホストにおける制御の複雑化を招く他、記録装置のコストアップにも繋がる。 【0029】 以上いずれに記載した方法も、制御の複雑化と大幅なコストアップを伴うことから、あまり現実的な方法ではない。低デューティ側のバンディングを防止するためのより簡易で確実な方法が求められる。 【0030】 本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。よって、その目的とするところは、複数サイズのドットを組み合わせて画像を記録する画像記録装置において、副走査のばらつきに起因するバンディング問題を比較的簡易な構成で解決することである。 【課題を解決するための手段】 【0031】 上記課題を解決するための本発明は、n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットおよび前記領域よりも大きい大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いる前記ドットを決定する手段と、前記決定手段により決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段とを具備し、前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルよりも1段階高い濃度レベルを有する画素の記録には、少なくとも前記大ドットを1つ用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする。 【0032】 また、本発明は、複数サイズのドットを記録媒体に記録可能な記録ヘッドを前記記録媒体に対して走査させる主走査と、該主走査とは交差する方向に前記記録媒体を搬送する副走査を行うことにより、前記記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットと当該ドットの画素内の記録位置を決定する手段と、前記決定手段によって決定されたドットおよび記録位置に応じて、前記記録ヘッドを用いて前記記録媒体に記録する手段とを具備し、前記決定手段は、前記画素に相当する領域よりも小さい小ドットを1つ用いる濃度レベルよりも1段階高い濃度レベルを有する画素の記録には、前記小ドットおよび前記小ドットと前記副走査の方向に隣接する位置に前記複数サイズのうちの1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドット及び記録位置を決定することを特徴とする。 【0033】 また、本発明は、n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットおよび前記領域よりも大きい大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、前記決定手段により決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段とを具備し、前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルより高く且つ前記大ドットを用いる濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする。 【0034】 また、本発明は、n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、前記決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段とを具備し、前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルより高く且つ前記画素のインクによる被覆率が100%に達する濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする。 【0035】 また、本発明は、複数サイズのドットを記録媒体に記録可能な記録ヘッドを前記記録媒体に対して走査させる主走査と、該主走査とは交差する方向に前記記録媒体を搬送する副走査を行うことにより、前記記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、前記決定されたドットを前記記録媒体上の画素に記録する手段とを具備し、前記決定手段は、前記画素に相当する領域よりも小さいドットを1つ用いる濃度レベルより高く且つ前記領域のインクによる前記副走査方向への被覆率が100%に達する濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする。 【0036】 また、本発明は、同サイズのドットを記録する記録素子の配列ピッチに相当する幅よりも小さい直径の小ドットおよび前記幅よりも大きい直径の大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、前記記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する手段と、前記決定されたドットを前記記録媒体に記録する手段とを具備し、前記決定手段は、前記小ドットを1つ用いる濃度レベルより高い濃度レベルを有する画素の記録には、少なくとも前記大ドットを用いるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする。 【0037】 また、本発明は、n(nは3以上の整数)段階の濃度を表現可能な画素に相当する領域よりも小さい小ドットおよび前記領域よりも大きい大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する工程と、 前記決定されたドットを前記記録媒体に記録する工程とを有し、前記決定工程では、前記小ドットが1つ用いられる濃度レベルより高く且つ前記大ドットが割り当てられる濃度レベル以下の濃度レベルを有する画素の記録には、濃度レベルが1つ上がるに連れて、少なくともより大きい1つのドットが用いられるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする。 【0038】 また、本発明は、同サイズのドットを記録する記録素子の配列ピッチに相当する幅よりも小さい直径の小ドットおよび前記幅よりも大きい直径の大ドットを少なくとも含む複数サイズのドットを用いて、前記記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、前記画素の濃度レベルに応じて、前記画素の記録に用いるドットを決定する工程と、前記決定されたドットを前記記録媒体に記録する工程とを有し、前記決定工程では、前記小ドットが1つ用いられる濃度レベルより高い濃度レベルを有する画素の記録には、少なくとも前記大ドットが用いられるように、前記画素の記録に用いるドットを決定することを特徴とする。 【発明の効果】 【0039】 本発明によれば、複数サイズのドットを組み合わせて画像を記録する画像記録装置において、副走査のばらつきに起因するバンディング問題を比較的簡易な構成で解決することが出来る。結果、記録速度の低下や装置の複雑化を伴うことなく、ハイライト部から高濃度領域まで幅広い階調を有する高品位な画像を出力することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0040】 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、インクジェット記録装置を適用例として挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。 本発明は、面積階調法を利用したドットアライメントによって画像を形成可能な記録装置であれば適用することが出来る。 【0041】 図6は、本実施形態で適用するインクジェット記録装置F102の要部の概略構成図である。記録装置の外装部材内に収納されたシャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成されて、記録装置の骨格を成すものであり、以下に説明する各機構を保持する。自動給送部M3022は、用紙(記録媒体)を装置本体内へと自動的に給送する。搬送部M3029は、自動給送部M3022から1枚ずつ送出される用紙を所定の記録位置へと導くと共に、その記録位置から排出部M3030へと用紙を導く。矢印Yは、用紙の搬送方向(副走査方向)である。記録位置に搬送された用紙は、記録部によって所望の記録が行われる。この記録部に対しては、回復部M5000によって回復処理が行われる。M2015は紙間調整レバー、M3006は、搬送ローラM3001の軸受けである。 【0042】 記録部において、キャリッジM4001は、キャリッジ軸M4021によって矢印Xの主走査方向に移動可能に支持されている。このキャリッジM4001には、インクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドカートリッジH1000が着脱可能に搭載される。 【0043】 図7は、本実施形態に適用可能なインクジェット記録カートリッジの構成を説明するための斜視図である。記録ヘッドカートリッジH1001(以下、単に記録ヘッドとも言う)は、吐出を行うための記録素子を備えた記録ヘッド部とインクタンクホルダから構成されている。インクタンクH1900のそれぞれは、記録ヘッドカートリッジH1001に対し、図のように着脱可能になっており、それぞれのタンクから、対応する記録素子列へインクを供給する。本実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの4色のインクを用い、各色で複数段階の量のインクを吐出可能な記録ヘッド構成とする。 【0044】 本実施形態における記録ヘッドの記録素子は、インク路内に備えられたヒータに対し、電圧を印加することにより膜沸騰を生じさせ、所定量のインクを滴として吐出させる仕組みになっている。同色、同量を吐出する吐出口は、副走査方向に所定のピッチで配列されており、互いに異なる量のインクを吐出する吐出口列は、主走査方向に並列されている。 【0045】 再度図6を参照する。キャリッジM4001には、キャリッジM4001上の所定の装着位置に記録ヘッドH1001を案内するためのキャリッジカバーM4002が設けられている。さらに、キャリッジM4001には、記録ヘッドH1001のタンクホルダーと係合して、記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるヘッドセットレバーM4007が設けられている。ヘッドセットレバーM4007は、キャリッジM4001の上部に位置するヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられており、記録ヘッドH1001と係合する係合部には、ばね付勢されるヘッドセットプレート(不図示)が備えられている。そのばね力によって、ヘッドセットレバーM4007は、記録ヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する。キャリッジH4001に搭載された記録ヘッドH1001は、メイン基板E0001からフレキシブルケーブルE0012を経由して記録に必要なヘッド駆動信号を得る。 【0046】 回復部M5000には、記録ヘッドカートリッジH1001におけるインク吐出口の形成面をキャップするキャップ(図示せず)が備えられている。このキャップには、その内部に負圧を導入可能な吸引ポンプを接続してもよい。その場合には、記録ヘッドカートリッジH1001のインク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入して、インク吐出口からインクを吸引排出させる。これにより、記録ヘッドH1001の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう)をすることができる。また、キャップ内に向かって、インク吐出口から画像の記録に寄与しないインクを吐出させることによって、記録ヘッドH1001の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吐出回復処理」または「予備吐出」ともいう)をすることができる。 【0047】 図8は、本実施形態の記録装置F102における制御系の構成を説明するための概略ブロック図である。CPU B100は、記録装置全体の動作制御や画像データ処理等を実行する。ROM B101には、CPU B100が制御を行うために必要なプログラムや、本発明特有のINDEXパターンなどの記録に必要なデータが格納されている。CPU B100は、ROM B101に格納されたプログラムやデータを適宜参照し、RAM B102をワークエリアとして使用しながら、各種処理を実行する。RAM B102には、このようなワークエリアの他にも、受信した画像データを一時的に保存する受信バッファF115や、記録ヘッドH1001を駆動するための記録データを保存するプリントバッファF118などが用意されている。 【0048】 本実施形態の記録装置F102は、外部に接続されたホスト装置F101から、インターフェイス(I/F) F114を介して画像データを受信する。CPU B100は、受信した画像データを、一時的にRAM B102内の受信バッファF115に保存し、ROM F101に格納された様々なパラメータを用いながら画像処理を施す。一連の画像処理が施された画像データは、RAM B102内のプリントバッファF118に保存され、記録ヘッドH1001の記録動作の進行に伴いながら、順次ヘッドドライバH1001Aに転送される。ヘッドドライバF1001Aは、受信した記録信号に基づいて、記録ヘッドH1001を駆動する。記録ヘッドH1001からのインクの吐出は、CPU B100が電気熱変換体などの駆動データ(記録データ)および駆動制御信号(ヒートパルス信号)をヘッドドライバH1001Aに供給することにより行われる。CPU B100は、記録ヘッドのH1001の吐出動作と共に、キャリッジモータドライバB103Aを介して、キャリッジモータB103を駆動させ、キャリッジM4001を所定速度で走査させる。これにより、1回の記録主走査が実行される。1回の記録主走査が終了すると、CPU B100は、搬送モータドライバB104Aを介して、搬送モータB104を駆動させ、記録媒体を所定量搬送(副走査)する。上記記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、ホスト装置F101から受信した画像を記録媒体に記録することが出来る。 【0049】 図9は、本実施形態の記録装置F102とこれに画像データを供給するホスト装置F101によって実行される一連の画像処理工程を説明するためのブロック図である。本実施形態において、ホスト装置F101では、まずRGBの多値(8ビット(256値))の輝度データF110を、記録要素分離手段F111によって、記録装置が備えるインク色に対応したCMYKの多値(8ビット(256値))の濃度データに変換する。このときの濃度データは、600dpiの画像解像度を有しているものとする。次に、n値(nは3以上の整数)化処理手段F112を用いて、解像度はそのままに、多値の濃度データをインク色ごとにn値化(3≦n<256)する。本実施形態においては、例えば多値誤差拡散法などを利用し、256値を5値(実施例3の場合は6値)に量子化する。更に、記録コード化手段F113によって、n値化された600dpiの画像データをインクジェット記録装置F102で認識できる命令形態のコードに変換する。コード化された5値(あるいは6値)の濃度データは、インターフェイスF114を介して記録装置F102に転送される。 【0050】 記録装置F102では、受信した画像データを受信バッファF115に一時的に記憶し、次にコード解析手段F116を用いて、受信バッファF115に記憶しているコードを解析する。解析された画像データは600dpiの5値(あるいは6値)で表されており、記録データ展開手段F117ではこのデータに対しINDEX展開処理を施す。つまり、n(nは3以上の整数)段階の濃度(n階調)で表現される領域に相当する1画素(600dpiの1画素)の濃度レベルに応じて、その画素を記録するのに用いるINDEXパターンを決定する。これにより、各色5値(あるいは6値)の濃度データは、各色、各ドットサイズ、2値の記録データに変換され、各色、各サイズ別に、プリントバッファF118に展開される。このように記録データ展開手段F117は、画素の濃度レベルに応じて、その画素の記録に用いるドットを決定するための決定手段に相当する。プリントバッファF118に展開された記録データは、記録ヘッドドライバH1001Aに転送され、記録ヘッドドライバH1001Aは、記録ヘッド上の各色各サイズの記録素子を記録データに従って、それぞれ駆動する。これにより、記録媒体上にカラー画像が記録される。なお、以下では、n値(5値、6値等)で示される濃度データの「レベル」のことを、「階調レベル」あるいは「濃度レベル」ともいう。 【0051】 以上説明したインクジェット記録装置を用い、以下に具体的な実施例を説明する。 【実施例1】 【0052】 図10は、本実施例で用いるINDEXパターンを従来例である図2と比較しながら説明するための図である。ここでは、600dpiの画像解像度で5値のレベルを有する濃度データに対し、縦600dpi×横1200dpiの記録解像度における個々の記録画素への大ドット、小ドットの記録・非記録を定めるパターンを示している。本実施例においても、大ドットの直径は60μm、小ドットの直径は35μmとしている。 図2の場合と比較するに、本実施例の階調レベル2では、600dpiの1画素に対し、大ドットと小ドットを1つずつ記録する。図2で示したレベル2のように、小ドットのみを主走査方向に並べて2つ記録するようなレベルは存在しないことが本実施例の特徴となっている。 【0053】 図11(a)および(b)は、本実施例のレベル2のデータをある程度の領域に連続して記録した場合のドット配列状態を、図3(a)および(b)と比較して示した図である。本実施例においても、マルチパス記録方法が採用されており、領域内の複数ドットは副走査を介在させた複数回の主走査によって記録されている。図11(a)は複数回の副走査にばらつきが含まれていない状態、同図(b)は図3(b)の場合と同程度のばらつきが含まれている状態をそれぞれ示している。 【0054】 本実施例において、レベル2では副走査方向の画像解像度のピッチよりも大きい大ドットが記録されているため、図3(a)で見られたような主走査方向への罫線は確認されない。記録媒体における被覆率も100%以上となっている。 【0055】 副走査にばらつきが含まれるような状態であっても、大ドットの直径は画像解像度のピッチよりも大きいので、ドット同士の重なり部分が被服率変動に対するマージンとなる。結果、同図(b)に見るように、被覆率の変動は殆ど起こらず100%の状態を維持している。背景技術の項で説明したようなバンディング問題は、このような2つの状態における明度差によって招致されることは既に述べた。すなわち、本実施例のレベル2の状態では、従来例のレベル2のような明度差は確認されず、結果これに起因するバンディングも発生しない。 【0056】 このように本実施例では、n(nは3以上の整数)段階の濃度(n階調)で表現される領域に相当する1画素(600dpiの1画素)に対し、1画素よりも小さなドット(小ドット)は1ドットまでしか配置されないように、ドット配置を決定している。つまり、1つの小ドットが使用される濃度(階調レベル1)の次に高い濃度(階調レベル2)については、2つの小ドットは用いることはせず、大ドットを用いるように、ドット配置を気決定するのである。この構成によれば、被服率変動を少なくでき、この被服率変動が原因で生じるバンディングの問題を軽減することができる。 【0057】 但し、レベル2の状態で良好であっても、全ての階調で良好な画像が得られるとは限らない。 【0058】 図12(a)および(b)は、単位面積あたりのインク付与量が図3(a)および(b)と同程度になるような場合のドット配列状態を図3(a)および(b)と比較して示した図である。図2で示したINDEXパターンのレベル2では、600dpiの1画素に小ドットが2つ、すなわち計2pl×2=4plのインクが付与されている。より広い範囲で考えた場合、これと同じインク量を図10に示す本発明のインデックスパターンの組み合わせで実現しようとすると、レベル1のパターンとレベル2のパターンが6:4の比率で分散している状態になる。 【0059】 図12(a)のように副走査のばらつきが含まれない場合、副走査方向の画像解像度のピッチよりも大きい大ドットが分散して記録されているため、図3(a)で見られたような主走査方向への罫線は確認されない。記録媒体における被覆率は100%ではないが、白地部分は所々に分散している。 【0060】 一方、同図(b)に見るように、副走査にばらつきが含まれるような状態であっても、画像解像度のピッチよりも大きい大ドットが含まれているので、白地部分の出現箇所が同図(a)に比べて多少移動するだけで画像全体の被服率や明度に与える影響は少ない。 【0061】 以上説明したように、従来では小ドットのみで記録を行っていた階調であっても、本実施例のように、より積極的に大ドットを記録するようなINDEXパターンを用意することにより、バンディングの低減された一様な画像を実現することが可能となる。 【0062】 次に、本実施例のINDEXパターンを使用した場合の、ヘッド昇温抑制効果について説明する。以下では、図10のINDEXパターンを使用した場合(本実施例)と図2のINDEXパターンを使用した場合(従来例)とを比較することで、本実施例のヘッド昇温抑制効果について説明する。 【0063】 図5(a)は、図2に示したINDEXパターンを使用した場合の、各入力レベルに対する600dpiの1画素内での小ドットの記録数、大ドットの記録数、小ドットと大ドットの和、およびインク付与量を示した図である。 【0064】 また、同図(b)は、画像解像度の1画素あたりに付与するインク量と、当該インク量を付与するために記録するドット数の平均値を示した図である。横軸は、ある程度の領域に対し一様な画像を様々な濃度で記録した場合の、600dpiの1画素あたりに平均して付与されるインク量(pl)を示している。縦軸は、それぞれのインク量を実現するために各画素に記録される大ドットと小ドットの和の平均値を示している。 【0065】 個々の記録素子において、少量のインクを吐出する場合よりも多量のインクを吐出する場合のほうが、駆動エネルギは多く必要とされ、インク路内での発熱量も大きい。しかし、大ドットにおいては、発熱したインクが小ドットよりも多く吐出されて行くので、記録ヘッドにおける昇温の程度は、大ドットと小ドットで殆ど変わりない。本発明者らの検討によれば、記録ヘッドの昇温の程度は、吐出されるインクの量ではなく、主に吐出回数に依存することが確認されている。 【0066】 すなわち、図5の場合には、レベル1、レベル2またはレベル4においては、中ドットを用いた場合よりも記録ヘッドが昇温しやすく、逆にレベル5においては昇温し難いと言える。しかしながら、一般的な画像において、頻繁に用いられる階調は然程高くはなく、本例の場合で言えばレベル2以下が多い。よって、大小のドットを記録可能な記録ヘッドを用い、図2で示すようなINDEXパターンを導入した従来のインクジェット記録装置においては、記録ヘッドが昇温しやすく、記録速度の低下を招致しやすい。 【0067】 一方、図13(a)は、図10に示したINDEXパターンを使用した場合の、各入力レベルに対する600dpiの1画素内での小ドットの記録数、大ドットの記録数、小ドットと大ドットの和、およびインク付与量を示した図である。ここでは、図2のINDEXパターンの入力レベル(7値)に対応するインク付与量を実現するための、平均ドット数あるいは平均インク付与量も示している。 【0068】 また、同図(b)は、本実施例における画像解像度の1画素あたりに付与するインク量と、当該インク量を付与するために記録するドット数の平均値を図5(b)で示した曲線と共に示した図である。図13から判るように、本実施例のINDEXパターンを用いれば、図2で示したINDEXパターンのレベル2やレベル4と同等のインク付与量を実現した場合であっても、吐出回数を抑えることが出来る。具体的には、図2の場合よりもレベル2では70%、レベル4では80%に吐出回数を抑えることが出来る。結果、従来よりも記録ヘッドの昇温は抑制され、昇温に伴う記録速度の低下も回避される。 【0069】 本実施例では、画像解像度を600dpiとし、5plと2plの2段階のドットサイズで画像を記録する例を説明したが、本実施例の効果は、このようなパラメータの組み合わせに限るものではない。用いるドットのサイズは、副走査方向の解像度より小さいドットと、副走査方向の解像度より大きいドットを含む2種類以上であればよい。たとえば、画像解像度が1200dpiの場合、解像度ピッチである21μmよりも大きな直径を有するドットと、小さな直径を有するドットの組み合わせが含まれていればよい。 【0070】 さらに、図10に示したようなINDEXパターンも、本実施例を限定するものではない。 【0071】 図14は、本実施例に適用可能なINDEXパターンの別例を示した図である。ここでは、レベル1に対応するパターンとして、左側の記録画素に小ドットを1つ記録するパターンと、右側の記録画素に小ドットを1つ記録するパターンの2種類が用意されている。これら2つは、小ドットの配置が異なるのみであるから、レベル1に対しどちらのパターンが用いられても画像濃度は大きく変わらない。但し、キャリッジ走査むらや装置本体に含まれる様々な誤差に起因する画像弊害を目立たなくするために、これら2種類のパターンをカラム毎やラスター毎に切り替えたり、記録データの出現ごとに切り替えたり、更にランダムに切り替えたりしてもよい。 【0072】 以上説明した本実施例によれば、複数サイズのドットを記録可能な記録ヘッドを用いながらも、低階調領域で積極的に大ドットを記録するようなINDEXパターンを用いることにより、バンディングや記録ヘッドの昇温が抑えられた記録を実行することが出来る。 【実施例2】 【0073】 以下に本発明の第2の実施例を説明する。本実施例で適用する記録ヘッドでは、1色のインクに付き3段階の吐出量を実現できるものとする。大ドットは15plの吐出量で直径80μm、中ドットは5pl吐出量で直径60μm、および小ドットは2plの吐出量で直径35μmとする。本実施例の中ドットは、実施例1の大ドットに相当する。 【0074】 なお、本実施例では、小ドットは副走査方向の画像解像度よりも小さな径を有し、中ドットおよび大ドットは副走査方向の画像解像度よりも大きな径を有している。 【0075】 図15は、本実施例で用いるINDEXパターンを図2あるいは図10と比較しながら説明するための図である。本実施例では、600dpiの画像解像度で5値のレベルを有する濃度データに対し、同じ600dpiの解像度を有する個々の記録画素に、大ドット、中ドット、および小ドットを記録する数を定めたパターンで対応している。 【0076】 本実施例の場合、レベル1〜レベル3においては、600dpiの1画素に記録される小ドットおよび中ドット(実施例1では大ドット)の数は実施例1と同様である。但し、本実施例では記録解像度も画像解像度と同等の600dpiであるので、記録されるドットは全て600dpi画素の略中央に配置されている。レベル3で2つの中ドットがずれて配置されているのは、1つの画素に2つのドットが記録されていることを示すためである。 【0077】 レベル4において、実施例1では2つの大ドット(本実施例では中ドット)と2つの小ドットが割当てられているが、本実施例では中ドット1つと大ドット1つが割当てられている。1画素あたりに付与するインク量で考えると、実施例1の場合は2pl×2+5pl×2=14plであるのに対し、本実施例では15pl+5pl=20plとなる。結果的に、本実施例の場合の方が、レベル4におけるインク付与量は大きくなり、表現可能な濃度の最大値が高くなる。 【0078】 このように、複数段階のドットサイズを用意する構成においては、最大のドットの吐出量を高く設定するほど、表現可能な濃度の最大値を高く設定することが出来る。しかしながら、本実施例のように、大ドットの吐出量(20pl)がその下のサイズである中ドット(5pl)の4倍にもなる場合は、階調の飛びが懸念される。具体的に説明すると、本実施例のレベル2でのインク付与量は5pl+2pl=7plであるが、次のレベル3で大ドットのみにしても付与量は20plと、レベル2の約3倍になってしまう。個々のレベルで表現される濃度は必ずしも線形性を有していなくても良いが、2つの連続するレベル間の濃度差が極端に大きいと、画像の階調性が損なわれやすい。 【0079】 よって、本実施例ではレベル3において中ドットを2つ配置させている。このようにすることによって、大ドットを記録するレベル4とレベル2との間の階調連続性を好適に保つことが出来る。本実施例は、副走査方向の解像度よりも小さなドット(小ドット)を1つだけ配置するような濃度レベル(レベル1)より高いレベルの領域において、副走査方向の解像度よりも大きなドットが画素内に1つでも配置されていれば、その効果を得ることが出来る。このような条件が満たされれば、本発明が課題の対象とするような副走査のばらつきは画像に現れ難くなるからでる。よって、副走査方向の解像度よりも大きなドットが画素内に1つでも配置されていれば、その他のドットの組み合わせに対し、本発明はなんら制限を加えるものではなく、本実施例のように同じ画素内に中ドットを2つ配置させることも出来る。 【実施例3】 【0080】 以下に、第3の実施例を説明する。本実施例では、図9で説明したn値化処理手段において、多値の濃度データを6値の濃度データ(レベル0〜レベル5)に量子化するものとする。 【0081】 図16は、本実施例で使用する記録ヘッドのノズル配列を説明するための模式図である。図において、Sは1plのインク滴を吐出し直径約25μmの小ドットを記録するノズル、Mは2plのインク滴を吐出し直径約35μmの中ドットを記録するノズル、更にLは5plのインク滴を吐出し直径約60μmの大ドットを記録するノズルである。小ドット用の吐出口列と中ドット用の吐出口列は、それぞれが副走査方向に600dpiの密度で配列しているが、これら2つの列は互いに副走査方向に1200dpiの1画素分だけずれた関係になっている。一方、大ドット用の吐出口列は2列の吐出口列で構成されており、これら2列は小ドット用の吐出口列と中ドット用の吐出口列の関係と同様に互いにずれて配置されている。 【0082】 図17は、図16の小ドット用吐出口列1602と、中ドット用吐出口列1603によって記録されるドット配列状態を説明するための図である。それぞれの吐出口列に関しては、1回の記録走査で副走査方向に600dpiの記録を行うが、小ドットと中ドットとを組み合わせた状態では、副走査方向に1200dpiの記録を行うことができる。ここでは図示していないが、2列の大ドット用吐出口列に関しては、1200dpiの記録を行うことが出来る。本実施例では、このように大、中、小組み合わせて1200dpiの記録解像度を実現する記録ヘッドを用い、画像解像度が600dpiの濃度データに対応する。 【0083】 図18は、本実施例のINDEXパターンを、図2や図10あるいは図15と比較しながら説明するための模式図である。ここでは、600dpiの画像解像度で6値のレベルを有する濃度データ(レベル0〜レベル5)に対し、縦1200dpi×横1200dpiの個々の記録画素への大ドット、中ドット、および小ドットの記録・非記録を定めるパターンが示されている。レベル1において、600dpiの1画素の中には小ドットが1つ記録されている。本実施例の小ドットは、先に説明した実施例1や実施例2よりもその径が小さいので、より一層ハイライト部の粒状感を低減することが出来る。 【0084】 レベル2では、レベル1で記録した小ドットに対し副走査方向に隣接する位置に中ドットを追加する。このように、副走査方向に隣接する位置に積極的にドットを埋めていくことが本実施例の特徴となる。本実施例は実施例1や実施例2と異なり、副走査方向にも1200dpiの記録解像度を有している。よって、画像解像度(600dpi)の1画幅(42μm)より小さいドットであっても、記録解像度(1200dpi)の1画素幅(21μm)より大きければ、これらを副走査方向に連続して配置させれば、上記実施例と同じ効果が得られるのである。 【0085】 図19(a)および(b)は、レベル2のデータをある程度の領域に連続して記録した場合のドット配列状態を図3と比較して説明するための図である。 【0086】 本実施例では副走査方向に隣接する記録画素にドットが重なり合いながら連結しており、副走査方向の被覆率はレベル2の状態で100%以上になっている。よって、副走査に誤差が含まれている場合でも(図19(b)参照)、ドット同士が重なり合う領域が多少増減するのみで、図3のように白地部分の面積が変動することはない。すなわち、副走査量の変動に起因して記録媒体上の被覆率が大きく変わることはなく、画像の明度も安定する。 【0087】 本実施例において、レベル3以降のドットパターンについては、副走査方向の被覆率が100%を越えているという条件さえ満たしていれば、先に説明した実施例と同様、特にドットの組み合わせに制限はない。 【0088】 なお、本実施例のレベル2においては、小ドットを1つ記録したレベル1に対し、中ドットを追加しているが、追加するドットは中ドットに限られるものではない。本実施例で使用する3種類のドットはいずれも記録解像度の1画素領域よりも大きな径を有しているので、これらのうちのいずれが記録されても、“副走査方向に対する被覆率が100%を超える”と言う条件は満足され、本発明の効果は得られる。例えば、図16で説明した中ドット用の吐出口列を全て小ドット用に変更し、レベル2では2つの小ドットを副走査方向に隣接して記録させる場合であってもよい。 【実施例4】 【0089】 以下に、本発明の第4の実施例を説明する。本実施例では、図9で説明したn値化処理手段において、多値の濃度データは実施例1および2と同様に5値の濃度データ(レベル0〜レベル4)に量子化されるものとする。 【0090】 図20は、本実施例で使用する記録ヘッドのノズル配列を説明するための模式図である。図において、S、M、およびLは実施例3と同様の吐出量およびドット径を実現する、小ドット用の吐出口列、中ドット用の吐出口列、および大ドット用の吐出口列をそれぞれ示している。小ドット用吐出口列と中ドット用の吐出口列の副走査方向に対する位置関係は、実施例3と同様であり、これら2列の組み合わせによって副走査方向に1200dpiの記録を行うことも同じである。但し、本実施例においては、これら2列の吐出口列が主走査方向に実施例3の構成よりも距離をおいて配置されている。このような2列間の距離は、主走査方向に対して記録ヘッドが傾いていた場合に、副走査方向に対する記録位置ずれとなって現れる。 【0091】 図21は、記録ヘッドの傾きに起因する記録位置ずれを説明するための図である。ここでは、距離d=15mmを置く小ドット列と中ドット列を有する記録ヘッドが、θだけ傾いた状態で主走査した場合の各ドットの記録位置を示している。本実施例の記録ヘッドは、小ドットの記録位置と中ドットの記録位置が、1200dpiの1画素分(約21μm)だけ副走査方向に互いにずれた状態で、交互に配置されるように設計されている。しかしながら、このような傾きが含まれ、且つ2列の距離が大きい場合には、互いの位置関係は記録画素単位で崩れる場合がある。図では、小ドットに対し中ドットが約21μmずれ、2つのドットが副走査方向において殆ど同位置に記録されてしまう状態を示している。 【0092】 このような状態で、実施例3で用いたINDEXパターンを用いても、レベル2やレベル3では中ドットと小ドットが重なり合い、適切な階調表現が出来なくなる。特にレベル3では図3で示したドット配置パターンと類似したドット配置状態となり、搬送ばらつきの影響を受けやすくなってしまう。 【0093】 図22は、本実施例のINDEXパターンを、図18で示した実施例3のINDEXパターンと比較しながら説明するための模式図である。ここでは、600dpiの画像解像度で5値のレベルを有する濃度データ(レベル0〜レベル4)に対し、縦1200dpi×横1200dpiの個々の記録画素への大ドット、中ドット、および小ドットの記録・非記録を定めるパターンが示されている。本実施例のレベル3では、記録ヘッドの傾きの影響が現れやすい実施例3のレベル3に対し、中ドット2つを大ドットに置き換えている。このように、比較的低階調のレベルから画像解像度(600dpi)の1画素領域以上の径を有するドットを記録していくことが、記録ヘッドの傾きに起因する記録位置ずれへの対応策となり、本実施例の特徴でもある。1画素領域以上の大きさの大ドットが画素内に1つでも記録されていれば、多少の傾きが含まれていたとしても、被覆率は変わらないからである。更に、本実施例のレベル3は、600dpiの1画素に対し2plのドットと5plのドットを記録すると言う点で実施例1のレベル2と同等である。よって、実施例1と同様の効果により搬送ばらつきによるバンディングも抑制される。 【0094】 なお、以上では、“画像解像度の1画素領域以上の径を有するドット”を記録することが記録ヘッドの傾きに起因する弊害に対して有効であると説明した。すなわち、実施例4の場合で言えば、600dpiの1画素幅(42μm)よりも大きな径(60μm)を有する大ドットを記録することが有効であることになる。しかし、本実施例のように記録ヘッドに傾きが含まれている場合には、記録ヘッド上に配列する吐出口列の解像度と記録媒体上で実際にドットが配置される解像度とは厳密には異なる。すなわち、記録媒体で形成される画像の解像度は、記録ヘッドのノズル解像度と記録ヘッドの傾きによって変化するのである。よって、画像解像度が600dpiであっても“画像解像度の1画素領域以上の径を有するドット”であれば、必ず有効であるとは言えない懸念が生じる。 【0095】 しかしながら、図21で説明したような本実施例の程度であれば、記録ヘッドのノズル解像度と記録媒体で形成される画像の解像度は、実際には殆ど等しいと言える。以下にその理由を簡単に述べる。本実施例の中ドット用の吐出口列は小ドット用の吐出口列に対しd=15mm程度離れた位置に配置されている。この中ドット用吐出口列によって記録されたドットが、副走査方向に21μm程度ずれて記録されたということは、傾き量θは、 Sinθ=21μm/15mm となり、殆ど0に近いことがわかる。一方、実際に記録媒体上の副走査方向に配列する中ドット間の距離Lは、記録ヘッド上に600dpiで配列するノズル間距離Dを用いて、 L=D×Cosθ=D×(1−Sin2θ)1/2≒D と表すことが出来、略ノズル間距離Dと等しいことが判る。よって、本実施例においては、記録ヘッドのノズルピッチよりも大きな径を有するドット”を記録することが記録ヘッドの傾きに起因する弊害に対して有効であると言い換えることも出来る。 【0096】 図23は、本実施例に適用可能なINDEXパターンの別例を示した図である。ここでは、レベル1に対応するパターンとして、左上の記録画素に小ドットを1つ記録するパターンと、右上の記録画素に小ドットを1つ記録するパターンの2種類が用意されている。また、レベル2に対応するパターンとして、左下の記録画素に中ドットを追加するパターンと、右下の記録画素に中ドットを追加するパターンの2種類が用意されている。更に、レベル3に対応するパターンとして、右上の記録画素に大ドットを追加するパターンと、右下の記録画素に大ドットを追加するパターンの2種類が用意されている。このように、同じレベルに対して複数のパターンを用意することは、キャリッジ走査むらや装置本体に含まれる様々な誤差に起因する画像弊害を目立たなくするために有効である。これら複数種類のパターンをカラム毎やラスター毎に切り替えたり、記録データの出現ごとに切り替えたり、更にランダムに切り替えたりすることによって、様々な効果を得ることが出来る。図23では、それぞれのレベルについて2つずつのパターンを用意したが、更に多くのパターンが用意されていても無論構わない。 【0097】 (その他の実施例) なお、以上説明した実施例のINDEXパターンは、記録装置が用いる全インク色に対して同様に適用される必要はない。全てのインク色において同様に用いてもよいし、搬送ばらつきに起因するバンディングが目立ちやすいインク色のみに対して用いてもよい。 【0098】 また、同じインク色であっても、記録モードや記録媒体の種類に応じて、副走査ばらつきに起因するバンディングの現れ方は様々である。よって、記録モードや記録媒体の種類に応じて、異なる画像処理や異なるINDEXパターンが適用されるような構成であっても良い。例えば、シリアル型のインクジェット記録装置でマルチパス記録を採用する場合、マルチパス数が増加するほど副走査のばらつきは画像に現われ難くなる。よって、マルチパス数が少ない高速記録モードでは本発明を適応し、マルチパス数の多い記録モードでは、従来型のINDEXパターンを適用する構成であっても良い。無論、その中に、背景技術の項で図2を用いて説明したような従来のINDEXパターンが含まれていても構わない。 【0099】 更に、以上の実施例で提示したドット配列の特徴が満足されるパターンは、本明細書に提示した以外にも、様々な変形例が実現可能である。インク色、記録モード、或いは記録媒体の種類などに応じて、これら変形例のいずれかを適用する場合であっても本発明の範疇に含まれる。 【0100】 なお、以上の実施例では、一連の画像処理工程を、ホスト装置と記録装置で図9のように分担するシステムとして説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。より多くの工程を、ホスト装置側で行っても良いし、記録装置側で行っても構わない。例えば、図9のホスト装置F101側にある画像処理手段(F111、F112,F113)を、記録装置F102側に備えるようにしてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0101】 【図1】INDEXパターン化処理を説明するための模式図である。 【図2】大ドットと小ドットを用いて画像を形成するインクジェット記録装置におけるINDEXパターンを説明するための模式図である。 【図3】(a)および(b)は、レベル2のデータをある程度の領域に連続して記録した場合のドット配列状態を示す図である。 【図4】(a)および(b)は、図3(a)および(b)の副走査方向における境界部分に着目した際の拡大図である。 【図5】(a)は、図2に示したINDEXパターンを使用した場合の、各入力レベルに対する600dpiの1画素内での小ドットの記録数、大ドットの記録数、小ドットと大ドットの和、およびインク付与量を示した図である。(b)は、画像解像度の1画素あたりに付与するインク量と、当該インク量を付与するために記録するドット数の平均値を示した図である。 【図6】本発明の実施形態で適用するインクジェット記録装置F102の要部の概略構成図である。 【図7】本発明の実施形態に適用可能なインクジェット記録カートリッジの構成を説明するための斜視図である。 【図8】本発明の実施形態の記録装置における制御系の構成を説明するための概略ブロック図である。 【図9】本発明の実施形態の記録装置とこれに画像データを供給するホスト装置によって実行される一連の画像処理工程を説明するためのブロック図である。 【図10】実施例1で用いるINDEXパターンを図2と比較しながら説明するための図である。 【図11】(a)および(b)は、実施例1のレベル2のデータをある程度の領域に連続して記録した場合のドット配列状態を、図3と比較して示した図である。 【図12】(a)および(b)は、単位面積あたりのインク付与量が図3と同程度になるような場合のドット配列状態を示した図である。 【図13】(a)は、図10に示したINDEXパターンを使用した場合の、各入力レベルに対する600dpiの1画素内での小ドットの記録数、大ドットの記録数、小ドットと大ドットの和、およびインク付与量を示した図である。(b)は、画像解像度の1画素あたりに付与するインク量と、当該インク量を付与するために記録するドット数の平均値を図5(b)で示した曲線と共に示した図である。 【図14】実施例1に適用可能なINDEXパターンの別例を示した図である。 【図15】実施例2で用いるINDEXパターンを説明するための図である。 【図16】実施例3で使用する記録ヘッドのノズル配列を説明するための模式図である。 【図17】図16の小ドット用吐出口列と、中ドット用吐出口列によって記録されるドット配列状態を説明するための図である。 【図18】実施例3のINDEXパターンを説明するための模式図である。 【図19】(a)および(b)は、レベル2のデータをある程度の領域に連続して記録した場合のドット配列状態を図3と比較して説明するための図である。 【図20】実施例4で使用する記録ヘッドのノズル配列を説明するための模式図である。 【図21】記録ヘッドの傾きに起因する記録位置ずれを説明するための図である。 【図22】実施例4のINDEXパターンを、図18と比較しながら説明するための模式図である。 【図23】実施例4に適用可能なINDEXパターンの別例を示した図である。 【符号の説明】 【0102】 B100 CPU B101 ROM B102 RAM B103 キャリッジモータ B103A モータドライバ B104 搬送モータ B104A モータドライバ F101 ホスト装置 F102 記録装置 F110 多値画像データ F111 記録要素分離手段 F112 n値化処理手段 F113 記録コード化手段 F114 インターフェイス(I/F) F115 受信バッファ F116 コード解析手段 F117 記録データ展開手段 F118 プリントバッファ H1001 記録ヘッド H1001A ヘッドドライバ H1900 インクタンク 1602 小ドット用吐出口列 1603 中ドット用吐出口列
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月23日(2006.8.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077481 【弁理士】 【氏名又は名称】谷 義一
【識別番号】100088915 【弁理士】 【氏名又は名称】阿部 和夫
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| 【公開番号】 |
特開2008−49561(P2008−49561A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−227177(P2006−227177) |
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