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【発明の名称】 インク供給機構及びそれを備えた記録装置並びにインクカートリッジ
【発明者】 【氏名】萩原 寛之

【氏名】大月 昇

【要約】 【課題】カートリッジホルダに対するインクカートリッジの干渉を防止し、インクカートリッジの変形を抑制しつつ円滑な取り外しが可能なインク供給機構及びそれらを備えた記録装置並びにインクカートリッジを提供する。

【構成】カートリッジホルダ13に形成された収納空間125に着脱可能に装着されたインクカートリッジ内に空気を供給して加圧することにより、インクカートリッジ内のインクパックに貯留したインクを送り出すインク供給機構において、加圧状態にて膨張するインクカートリッジの外面と対向する収納空間125の内面を形成する底板121の表裏に、収納空間125に対するインクカートリッジの着脱方向に沿って凹部142,143,144,145,146,147を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジホルダの収納空間に着脱可能に装着されたインクカートリッジ内の空気室に空気を供給して加圧することにより、前記インクカートリッジ内のインクパックに貯留されたインクを送り出すためのインク供給機構であって、
前記カートリッジホルダには、加圧状態にて膨張する前記インクカートリッジの外面と対向する前記収納空間の内面に、前記収納空間に対する前記インクカートリッジの着脱方向に沿って凹部が形成されていることを特徴とするインク供給機構。
【請求項2】
請求項1に記載のインク供給機構において、
前記凹部は前記カートリッジホルダの前記インクカートリッジの装着側の縁部まで設けられていることを特徴とするインク供給機構。
【請求項3】
請求項1に記載のインク供給機構において、
前記凹部は、前記カートリッジの前記空気室の着脱方向における稼動範囲のうち前記カートリッジホルダの前記内面に投影される範囲よりも広い範囲まで設けられていることを特徴とするインク供給機構。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のインク供給機構から供給されるインクをノズルから吐出して記録媒体に印刷を行うことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
カートリッジホルダの収納空間に着脱可能に装着され、空気の供給により加圧されて内部のインクパックに貯留されたインクを送り出すインクカートリッジであって、
加圧状態にて膨張する外面には、前記カートリッジホルダの収納空間に対する着脱方向に沿う突条が両側部に形成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを送り出すインク供給機構及びそれを備えた記録装置並びにインクを貯留するインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体にノズルからインク滴を吐出して印刷を行う記録ヘッドを備えたインクジェット式の記録装置が広く用いられている。
このインクジェット式記録装置には、インクカートリッジ内に、インクを貯留したインクパックを収容し、インクカートリッジ内を加圧することで、記録ヘッドにインクを圧送するものがある。
また、インクカートリッジ内に加圧空気を導入して加圧した際に、インクカートリッジが膨張するため、インクカートリッジを収容するカートリッジホルダに、インクカートリッジの膨張する外面との干渉によるインクカートリッジの変形を避ける窓部を形成し、インクカートリッジからのインクの正確な送り出しを図る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−82290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、インクカートリッジは、カートリッジホルダに対して摺動させることにより着脱可能とされているが、取り外し時に加圧状態が完全に解除されていないと、膨張面がカートリッジホルダの窓部以外の部分に干渉し、円滑な取り外しに支障を来す恐れがある。
したがって、装着時のみならず、取り外し時においても、カートリッジホルダに対するインクカートリッジの干渉を抑えることが可能な構造が要求されている。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、カートリッジホルダに対するインクカートリッジの干渉をなくし、インクカートリッジの変形を抑制しつつ円滑な取り外しが可能なインク供給機構及びそれを備えた記録装置並びにインクカートリッジを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のインク供給機構は、カートリッジホルダの収納空間に着脱可能に装着されたインクカートリッジ内の空気室に空気を供給して加圧することにより、前記インクカートリッジ内のインクパックに貯留されたインクを送り出すためのインク供給機構であって、前記カートリッジホルダには、加圧状態にて膨張する前記インクカートリッジの外面と対向する前記収納空間の内面に、前記収納空間に対する前記インクカートリッジの着脱方向に沿って凹部が形成されていることを特徴とする。
【0006】
この構成のインク供給機構によれば、カートリッジホルダの収納空間を形成する内面のうちの加圧状態にて膨張するインクカートリッジの外面と対向する内面に、収納空間に対するインクカートリッジの着脱方向に沿って凹部が形成されているので、インクカートリッジが加圧されて膨張しても、インクカートリッジの外面とこれに対向するカートリッジホルダの内面との間には隙間が形成される。
したがって、インクカートリッジが加圧されて膨張した状態であっても、インクカートリッジの外面とカートリッジホルダの内面とが接触することがなく、これにより、インクカートリッジの変形を抑制しつつ収納空間からのインクカートリッジの取り出しを円滑に行うことができる。
【0007】
また、前記凹部は、前記カートリッジホルダの前記インクカートリッジの装着側の縁部まで設けられていることが好ましい。
この構成によれば、インクカートリッジが加圧されて膨張した状態であっても、インクカートリッジの外面とカートリッジホルダの内面とが接触することをより確実に防止することができ、これにより、インクカートリッジの変形を抑制しつつ収納空間からのインクカートリッジの取り出しを円滑に行うことができる。
【0008】
さらに、前記凹部は、前記カートリッジの前記空気室の着脱方向における稼動範囲のうち前記カートリッジホルダの前記内面に投影される範囲よりも広い範囲まで設けられていることが好ましい。
この構成によれば、インクカートリッジが加圧されて膨張した状態であっても、インクカートリッジの外面とカートリッジホルダの内面とが接触することをより確実に防止することができ、これにより、インクカートリッジの変形を抑制しつつ収納空間からのインクカートリッジの取り出しを円滑に行うことができる。
【0009】
また、本発明の記録装置は、上記インク供給機構から供給されるインクをノズルから吐出して記録媒体に印刷を行うことを特徴とする。
【0010】
この構成の記録装置によれば、インクカートリッジの着脱を容易にかつ円滑に行うことができ、インクの補充作業等のメンテナンスの容易化を図ることができる。
【0011】
また、本発明のインクカートリッジは、カートリッジホルダの収納空間に着脱可能に装着され、空気の供給により加圧されて内部のインクパックに貯留されたインクを送り出すインクカートリッジであって、加圧状態にて膨張する外面には、前記インクカートリッジの収納空間に対する着脱方向に沿う突条が両側部に形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成のインクカートリッジによれば、加圧状態にて膨張する外面に、カートリッジホルダの収納空間に対する着脱方向に沿う突条が両側部に形成されているので、インクカートリッジが加圧されて膨張しても、インクカートリッジの外面とこれに対向するカートリッジホルダの内面との間には隙間が形成される。
したがって、インクカートリッジが加圧されて膨張した状態であっても、インクカートリッジの外面とカートリッジホルダの内面とが接触することがなく、これにより、インクカートリッジの変形を抑制しつつ収納空間からのインクカートリッジの取り出しを円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るインク供給機構及びそれを備えた記録装置並びにインクカートリッジの実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、記録装置をメディア処理装置であるパブリッシャに適用した場合を例にとって説明する。
図1はパブリッシャ(メディア処理装置)の外観斜視図、図2はパブリッシャのケースを外した状態の前方側の斜視図、図3はパブリッシャのケースを外した状態の後方側の斜視図、図4はパブリッシャに設置された記録装置部分の斜視図、図5はパブリッシャの内部概略構成図である。
【0014】
パブリッシャ1は、例えばCDあるいはDVD等の円板状のメディアへのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行うメディア処理装置であり、ほぼ直方体形状のケース2を備えている。このケース2の前面には、左右に開閉可能な開閉扉3,4が取り付けられている。ケース2の上側右端部には、表示ランプ、操作ボタンなどが配列された操作面5が設けられており、また、ケース2の下端には、メディア排出口6が設けられている。
【0015】
正面視右側の開閉扉3は、閉じた状態にてロックされており、操作面5には、例えば、指紋センサなどの図示せぬ生体認証用の読み取り部が配置され、予め登録されている者のみが開閉できるようになっている。また、開閉扉3は、パブリッシャ1と通信可能に接続された後述する上位機器97側(図5参照)からの指令によっても開閉可能となっている。
【0016】
図2に示すように、正面視左側の開閉扉4は、レーベルプリンタ(記録装置)11のインクカートリッジ12の入れ換え時に開閉するためのものであり、この開閉扉4を開けると、鉛直方向に配列された複数のカートリッジホルダ13を有するカートリッジ装着部14が露出するようになっている。
【0017】
図3にも示すように、パブリッシャ1のケース2の内部には、データ書き込み処理が行われていない複数枚の未使用のブランクメディアMAをスタック可能なブランクメディア保管部21と、作成済みメディアMBが保管される作成済みメディア保管部22が同軸状態で上下に配置されている。なお、この作成済み保管部22には、使用済みメディアMCを処分する場合に、この使用済みメディアMCがセットされる。
【0018】
ブランクメディア保管部21は、前方に水平に引き出し可能なスライド板23と、このスライド板23の上に垂直に配置されている左右一対の円弧状の枠板24,25とを備えており、これらにより、ブランクメディアMAを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収納可能なスタッカが構成されている。ブランクメディア保管部21にブランクメディアMAを収納あるいは補充する作業は、開閉扉3を開け、スライド板23を手前に引き出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0019】
下側の作成済みメディア保管部22も同一構造となっており、前方に水平に引き出し可能なスライド板26と、この上面に垂直に配置されている左右一対の円弧状の枠板27,28とを備えており、これらによって、作成済みメディアMBあるいは使用済みメディアMCを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収納可能なスタッカが構成されている。
【0020】
使用済みメディアMCを処分する場合には、開閉扉3を開けて、作成済みメディア保管部22に、使用済みメディアMCをセットして処分動作を行うことが可能となっている。また、開閉扉3からは、作成済みメデイアMB(すなわち、データの書き込み、及びレーベル面印刷が終了したメディア)を取り出すこともできる。
【0021】
これらのブランクメディア保管部21及び作成済みメディア保管部22の後側には、メディア搬送機構31が配置されている。メディア搬送機構31は、ケース2に垂直に取り付けられているシャーシ32と、このシャーシ32の上下の水平支持板部33,34の間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸35と、この垂直ガイド軸35に取り付けたメディアキャリア36とを備えている。メディアキャリア36は、駆動モータ37によって垂直ガイド軸35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸35を中心に左右に旋回可能である。メディア搬送機構31によってメディア排出口6に搬送されてきたメディアは、このメディア排出口6から外部に取り出すことが可能である。
【0022】
上下の保管部21,22及びメディア搬送機構31の側方の部位には、上下に積層された2つのメディアドライブ41が配置され、これらメディアドライブ41の下側にレーベルプリンタ11の後述するキャリッジ62(図4参照)が移動可能に配置されている。
メディアドライブ41は、メディアへのデータ書き込み位置とメディアの受け取り及び受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ41aをそれぞれ有している。
【0023】
また、レーベルプリンタ11は、メディアのレーベル面へのレーベル印刷可能な位置とメディアの受け取り及び受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ51を有している。
【0024】
図2及び図3では、上側のメディアドライブ41のメディアトレイ41aが手前に引き出されてメディア受け渡し位置にある状態、及び下側のレーベルプリンタ11のメディアトレイ51が奥側のレーベル印刷可能位置にある状態が示されている。また、レーベルプリンタ11はインクジェットプリンタであり、インク供給機構71として各色(本実施形態ではブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色)のインクカートリッジ12が用いられ、これらのインクカートリッジ12がカートリッジ装着部14の各カートリッジホルダ13に前方から装着されている。
【0025】
ここで、ブランクメディア保管部21の左右一対の枠板24,25の間及び作成済みメディア保管部22の左右一対の枠板27,28の間には、メディア搬送機構31のメディアキャリア36が昇降可能な隙間が形成されている。また、これら上下のブランクメディア保管部21と作成済みメディア保管部22との間には、メディア搬送機構31のメディアキャリア36が水平に旋回して、作成済みメディア保管部22の真上に位置できるように隙間が開いている。さらに、メディアトレイ41aをメディアドライブ41に押し込むと、メディア搬送機構31のメディアキャリア36を下降させて、メディア受け渡し位置にあるメディアトレイ51にアクセス可能となっている。したがって、メディアキャリア36の昇降及び左右への旋回の組み合わせ動作によって、メディアを各部に搬送することが可能とされている。
【0026】
メディアトレイ51のメディア受け渡し位置の下方には、廃棄用メディアMDを保管するための廃棄用スタッカ52が配置されており、この廃棄用スタッカ52には、例えば30枚程度の廃棄用メディアMDが保管可能とされている。メディアトレイ51が廃棄用スタッカ52の上方のメディア受け渡し位置からデータ書き込み位置へ退避した状態にてメディア搬送機構31のメディアキャリア36により、廃棄用メディアMDを廃棄用スタッカ52に供給可能となっている。
【0027】
このような構成により、CDあるいはDVDからなるメディアは、ブランクメディア保管部21、作成済みメディア保管部22、廃棄用スタッカ52、メディアドライブ41のメディアトレイ41a及びレーベルプリンタ11のメディアトレイ51間を、メディア搬送機構31のメディアキャリア36によって搬送される。
【0028】
また、レーベルプリンタ11の前方側には、メディア処分機構92(図5参照)が取り付けられている。このメディア処分機構92は、プランジャなどの駆動機構によって突起部を突出させることにより、後側あるいは前側に移動するメディアトレイ51に搭載されたメディアに突起部を接触させ、メディアの記録面を機械的に破壊し、書き込み及び読み出しを不能な状態とする。
【0029】
次に、レーベルプリンタ11の構成について説明する。
図2から図4にも示すように、レーベルプリンタ11はインクジェットヘッド61を有するキャリッジ62を備えており、このキャリッジ62は、キャリッジガイド軸63に沿って、水平方向に往復移動可能に支持されている。そして、このキャリッジ62は、キャリッジガイド軸63に沿って水平に架け渡したタイミングベルト64と、これを駆動するためのキャリッジモータ65とを備えている。
【0030】
キャリッジ62に搭載されているインクジェットヘッド61は、そのノズル面が下向きとされており、インクジェットヘッド61の下側位置を、前後方向に水平にメディアトレイ51が往復移動可能となっている。メディアトレイ51は、その右側の端が、前後方向に水平に延びるガイド軸66によって支持され、その左側の端が、スライド可能な状態で、前後方向に水平に延びるガイドレール67によって支持されている。このメディアトレイ51の駆動機構も、前後方向に水平に架け渡した図示しないタイミングベルトと、これを駆動するためのトレイモータとを備えた構成となっている。
【0031】
レーベルプリンタ11は、インクカートリッジ12が装着されるカートリッジ装着部14を有するインク供給機構71を備えている。このインク供給機構71は、縦型構造を有しており、パブリッシャ1のベース72上に立設されて鉛直方向に配設されている。このインク供給機構71には、可撓性を有するインク供給チューブ73の一端が接続されており、このインク供給チューブ73の他端は、キャリッジ62に接続されている。
【0032】
そして、インク供給機構71のインクカートリッジ12のインクは、インク供給チューブ73を介してキャリッジ62に供給され、このキャリッジ62に設けられた図示しないダンパユニット及び背圧調整ユニットを経てインクジェットヘッド61に供給される。
なお、インク供給機構71には、その上部に、加圧機構74が設けられており、この加圧機構74は、インクカートリッジ12内を加圧し、インクカートリッジ12内のインクパックに貯留しているインクを送り出す。
【0033】
また、キャリッジ62のホームポジション(図4に示す位置)における下方側には、インク吸引機構81が設けられている。このインク吸引機構81は、ホームポジションに配置されたキャリッジ62の下面に露出するインクジェットヘッド61のノズルを覆うキャップ82と、インクジェットヘッド62のヘッドクリーニング動作やインク充填動作によってキャップ82に排出された廃インクを吸引する廃インク吸引ポンプ83とを備えている。
【0034】
そして、このインク吸引機構81の廃インク吸引ポンプ83によって吸引された廃インクは、チューブ84を介して、廃インク吸収タンク85へ送り込まれる。
この廃インク吸収タンク85は、ケース86内に図示しない吸収材を配設したもので、その上面は、複数の孔部87を有するカバー88によって覆われている。
なお、廃インク吸引機構81の下方には、廃インク吸収タンク85の一部である廃インク受け部89が設けられ、廃インク吸引機構81から滴下した廃インクを受け止め、吸収材によって吸収するようになっている。
【0035】
メディアトレイ51は、矩形の板の上面に、メディアを載せるための円形の浅い凹部51aを備えている。また、この凹部51aの中心部には、同心円上において120度間隔に配置された図示せぬ3本の垂直爪を備えている。そのうち2本の垂直爪は半径方向に一体となって移動可能であり、残りの1本の垂直爪は、固定位置に配置されている。電磁ソレノイドなどの不図示の駆動機構によって2本の垂直爪が移動するようになっている。
【0036】
メディアを、そのレーベルなどが印刷されるレーベル面を上向きにして、上から凹部51aに落とすと、メディアのセンターホールに3本の垂直爪が差し込まれた状態になる。この後に、2本の垂直爪を半径方向の外方に僅かに移動すると、これら3本の垂直爪がメディアのセンターホールの内周面に内側から押し付けられた状態になる。これにより、メディアがメディアトレイ51に保持される。この状態で、図示せぬトレイモータを駆動して、メディアトレイ51をガイド軸66に沿って後ろ側に移動させ、インクジェットヘッド61の印字領域内まで移動させることができる。この後は、インクジェットヘッド61によって、メディアのレーベル面に所定の印刷を施すことができる。
【0037】
なお、廃インク吸収タンク85は、インクジェットヘッド61の印字領域における下方位置にも配置されており、インクジェットヘッド61から滴下したインク液が廃インク吸収タンク85によって受け止められるようになっている。
【0038】
次に、パブリッシャ1の内部構成について説明する。
図5に示すように、パブリッシャ1は、各部の制御を司る制御部91を有し、パブリッシャ1内の各部間の動作制御を行う中央制御部となっている。具体的には、メディアドライブ41、レーベルプリンタ11、メディア搬送機構31等の動作を制御する。
【0039】
パブリッシャ1は、メディア作成のための機能に加えて、作成後に不要となった使用済みメディアMCを、データ書き込み、データ読み出し不能な状態に処分するためのメディア処分機構92を備え、また、このメディア処分機構92によって処分される使用済みメディアMCのレーベル面の印刷画像を読み取るための、例えば、CCDなどを有するラインセンサからなる画像センサ93と、読み取られたレーベル面の印刷画像をメディア処分機構92によるメディア処分履歴94aとして記憶するための記憶部94を備えている。
【0040】
メディア処分機構92は、前述したように、レーベルプリンタ11におけるメディアトレイ51の動きを利用して、使用済みメディアMCの記録面に機械的に傷を付けて、データの読み出し及び書き込みが不能の廃棄用メディアMDとするようになっている。
レーベル面の印刷画像の読取用の画像センサ93は、例えば、メディア搬送機構31に搭載されている。メディア搬送機構31に把持された使用済みメディアMCを回転させ、このメディアMCのレーベル面に受光面が対峙する状態で、メディア半径方向に沿って配置されている画像センサ93によって、レーベル面の全体の印刷画像を読み取るようになっている。この代わりに、メディア搬送機構31に把持された使用済みメディアMCのレーベル面に沿って、その半径方向に配置されている画像センサ93側を回転させて、レーベル面の全印刷画像を読み取るようにしても良い。
【0041】
さらに、制御部91には操作部95が接続されており、操作部95には認証用のパスワードなどを入力するためのテンキーなどの英数字キ一群、各種のファンクションキ一群、及び状態表示ランプなどの表示器群が配置されている。また、制御部91は、通信用のインターフェース96を介して、専用通信回線あるいは一般通信回線によって上位機器97と接続されている。通常は、上位機器97側から制御部91に供給されるメディア作成指令、メディア処分指令などに基づき、メディア作成動作(データ書き込み動作、レーベル面印刷動作)、メディア処分履歴作成動作(レーベル面印刷画像読取動作)、メディア処分動作などが起動するようになっている。
【0042】
次に、上記のパブリッシャ1におけるレーベルプリンタ11を構成するインク供給機構71の具体的な構造について説明する。
図6はインクカートリッジの構造を説明する斜視図、図7はカートリッジホルダの構造を説明する斜視図、図8はカートリッジホルダの構造を説明する平面図である。
【0043】
前述したように、カートリッジ装着部14には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタのインクがそれぞれ貯留された6つのインクカートリッジ12がそれぞれのカートリッジホルダ13に装着可能とされている。
【0044】
図6に示すように、インクカートリッジ12は、略直方体形状のカートリッジケース101を備えている。このカートリッジケース101には、上下2段に収容空間(空気室)102が形成されており、これら収容空間102には、液体貯留袋としてのインクパック103が収容されている。これらインクパック103は、アルミラミネートフィルム等のガスバリア性材料から形成された袋体104の一辺に取出し部105が設けられ、袋体104内に液体としてのインクが貯留されている。
【0045】
そして、インクパック103は、袋体104内に連通する取出し部105のインク送出口106が、カートリッジケース101の前面である接続面101aにて開口されている。
また、カートリッジケース101の接続面101aには、各インク送出口106の右隣に、カートリッジケース12の各収容空間102内に空気を導入する空気導入孔107が貫通形成されている。さらに、カートリッジケース101の接続面101aには、下段側のインク送出口106及び空気導入孔107を挟むように、左右一対の挿入穴108が凹設されている。なお、挿入穴108は、カートリッジケース101内と非連通となっている。
【0046】
また、カートリッジケース101には、接続面101a側における底面に、複数の位置決め溝部109が形成されており、これら位置決め溝部109には、カートリッジホルダ13への装着時に、カートリッジホルダ13に設けられた後述の位置決めレール134が係合可能とされている。
また、カートリッジケース101には、接続面101a側における底面に、カム溝部110も形成されており、このカム溝部110には、カートリッジホルダ13側に設けられたカムピン135が挿入され、カートリッジケース101の底部に設けられた図示しないハートカムに係合可能とされている。そして、カムピン135がハートカムに係脱することにより、インクカートリッジ12のカートリッジホルダ13に対する着脱が可能とされている。
【0047】
図7及び図8に示すように、カートリッジホルダ13は、上方及び手前側が開口した略長方体形状の箱状に形成されており、上方の開口部分は、上方に積層されるカートリッジホルダ13によって閉鎖される。
このカートリッジホルダ13は、底板121と、この底板121の両側部に立設された側板122,123と、奥側にて底板121に立設された後面板124とを有している。
【0048】
そして、これら底板121、側板122,123及び後面板124によってインクカートリッジ12の収納空間125が形成されている。つまり、この収納空間125に対して、前方側の開口部分にてインクカートリッジ12が挿抜されて着脱可能とされている。
また、このカートリッジホルダ13には、後面板124の手前に、インクカートリッジ12の挿抜方向である前後方向にスライド可能なスライダ126が設けられており、図示しないバネなどの付勢手段によって手前側へ付勢されている。
【0049】
カートリッジホルダ13には、後面板124及びスライダ126を貫通したインク供給針131が、スライダ126から収納空間125側へ突設されており、これらインク供給針131は、収納空間125内に装着されるインクカートリッジ12のインク送出口106に差し込まれる。これらインク供給針131は、インク供給チューブ73を介してインクジェットヘッド61に繋がるもので、インクカートリッジ12のインクがインク供給針131からインク供給チューブ73を介してインクジェットヘッド61へ供給されるようになっている。
【0050】
また、スライダ126には、各インク供給針131の左隣に、カートリッジケース12の各空気導入孔107と気密的に密着する加圧空気供給口132が設けられている。これら加圧空気供給口132には、加圧機構74から加圧空気が送り出されるようになっており、これにより、収納空間125内に装着されるインクカートリッジ12の各収容空間102内に加圧空気が供給され、収容空間102内のインクパック103が加圧され、内部のインクがインク供給針131から送り出されるようになっている。
【0051】
また、スライダ126には、下段側のインク供給針131及び加圧空気供給口132を挟むように、左右一対の係合ピン133が突設されており、収納空間125内に装着されるインクカートリッジ12の各挿入穴108に挿入するようになっている。
また、カートリッジホルダ13の底板121には、複数の位置決めレール134が形成されており、これら位置決めレール134は、収納空間125内に装着されるインクカートリッジ12の位置決め溝部109に係合するようになっている。
さらに、カートリッジホルダ13の底板121には、水平面内にて揺動可能に支持されたカムピン135が設けられており、このカムピン135は、収納空間125内に装着されるインクカートリッジ12のカム溝部110に入り込み、カートリッジケース101のハートカムに係合するようになっている。
【0052】
上記のように構成されたカートリッジホルダ13には、その底板121に、窓部141が形成されている。この窓部141は、収納空間125内に装着されるインクカートリッジ12のインクパック103の平面視における範囲と略同一の大きさとされている。
また、この底板121の表面には、収納空間125へのインクカートリッジ12の挿入方向後方側に、カートリッジホルダ13に対する着脱方向に沿って凹部142が形成されている。この凹部142は、窓部141と同一幅寸法にて、この窓部141の縁部から底板121の手前側の縁部までにわたって形成されている。
【0053】
また、底板121の表面には、収納空間125へのインクカートリッジ12の挿入方向前方側にも、カートリッジホルダ13に対する着脱方向に沿って凹部143,144が装着側の縁部まで形成されており、凹部143の右側の縁部が窓部141の右側の縁部と一致され、凹部144の左側の縁部が窓部141の左側の縁部と一致されている。なお、凹部143は、窓部141の奥側の縁部から収納空間125の奥側までにわたって形成されており、凹部144は、窓部141の奥側の縁部と位置決めレール134との間に形成されている。
【0054】
なお、底板121には、その裏面側にも凹部142,143,144と同様に、凹部145,146,147が形成されている。
また、これら凹部142,143,144,145,146,147は、インクカートリッジ12の収容空間102の着脱方向における稼動範囲のうちカートリッジホルダ13の内面に投影される範囲よりも広い範囲まで設けられていることが好ましい。
【0055】
次に、カートリッジホルダ13へインクカートリッジ12を装着する場合について説明する。
図9はカートリッジホルダへのインクカートリッジの着脱動作を説明する平面図である。
図9(a)に示すように、インクカートリッジ12をカートリッジホルダ13の収納空間125へ、その前方側からスライドさせて挿入する。
さらに、インクカートリッジ12を収納空間125内へ押し込む。このようにすると、インクカートリッジ12の位置決め溝部109にカートリッジホルダ13の位置決めレール134が係合し、インクカートリッジ12の挿入方向が案内される。
【0056】
その後、インクカートリッジ12のカム溝部110にカートリッジホルダ13のカムピン135が挿入されるとともに、インクカートリッジ12の挿入穴108にスライダ126の係合ピン133が挿入され、さらに、インクカートリッジ12のインク送出口106にカートリッジホルダ13側のインク供給針131が差し込まれる。
これにより、インクカートリッジ12がスライダ126に対して位置決めされ、さらに、インク供給針131がインクパック103内に挿入され、このインク供給針131を介してインクパック103内のインクが送出可能とされる。
【0057】
その後、このインクカートリッジ12の接続面101aの空気導入穴107がスライダ126の加圧空気供給口132に密着して連通される。
インクカートリッジ12をさらに押し込むと、図9(b)に示すように、このインクカートリッジ12とともにスライダ126が付勢手段の付勢力に抗して押し込まれ、所定の位置まで押し込まれると、カム溝部110に挿入されたカムピン135がハートカムによって係止され、インクカートリッジ12がカートリッジホルダ13の収納空間125内に収容された状態に装着される。
【0058】
次に、レーベルプリンタ11によってメディアのレーベル面へ印刷を行う場合について説明する。
そして、各カートリッジホルダ13内にインクカートリッジ12を装着した状態にて印刷が開始されると、互いに密着された加圧空気供給口132及び空気導入孔107を介してカートリッジケース101の収容空間102内に加圧装置74から加圧空気が供給され、収容空間102内が加圧される。
【0059】
これにより、インクカートリッジ12の収容空間102内のインクパック103に貯留されたインクがインク供給針131を介してインク供給チューブ73へ送り込まれ、ヘッドキャリッジ62のインクジェットヘッド61へ供給される。これにより、インクジェットヘッド61のノズルからインクが噴射され、印刷指令に基づいてメディアのレーベル面に所定の画像が印刷される。
【0060】
ここで、インクカートリッジ12内に加圧空気を導入して加圧すると、インクカートリッジ12の外面の特に表裏面が膨張することがあるが、カートリッジホルダ13は、その底板121に窓部141が形成されているので、インクカートリッジ12が膨張しても、その膨張箇所の底板121との干渉が防止される。これにより、インクカートリッジ12の底板121との干渉による変形を抑えることができ、インクカートリッジ12からのインクの正確な送り出しが図られる。
【0061】
次に、カートリッジホルダ13からインクカートリッジ12を取り外す場合について説明する。
インクカートリッジ12を取り外す場合は、まず、インクカートリッジ12をカートリッジホルダ13への挿入方向前方側へ押し込む。
このようにすると、インクカートリッジ12のハートカムに係止されていたカムピン135がハートカムから外される。
これにより、図9(c)に示すように、インクカートリッジ12は、付勢手段によって付勢されているスライダ126によって手前へ押し出される。
【0062】
このとき、依然としてインクカートリッジ12の接続面101aの空気導入穴107はスライダ126の加圧空気供給口132に密着した状態であるので、加圧装置74による加圧空気の供給は停止されていても、インクカートリッジ12の収容空間102内が加圧状態とされている。
つまり、インクカートリッジ12は、収容空間102が加圧されて膨張した状態にて手前側へ押し出されることとなる。
【0063】
しかし、底板121の表面には、凹部142,143,144が形成され、また、底板121の下面側にも同様の凹部145,146,147が形成されているので、インクカートリッジ12の表裏面が膨張していたとしても、図10(a)、(b)に示すように、このインクカートリッジ12と底板121との間には隙間が形成され、インクカートリッジ12と底板121との接触が回避される。
したがって、加圧されて膨張したインクカートリッジ12は、上下の底板121に接触することなく手前側へ円滑に押し出される。
そして、この手前へ押し出されたインクカートリッジ12を把持して手前へ引き抜くと、インクカートリッジ12の接続面101aの空気導入穴107とスライダ126の加圧空気供給口132とが離され、インクカートリッジ12の収容空間102内が大気圧とされて膨張状態が解除される。
【0064】
その後、カートリッジホルダ13側のカムピン135、係合ピン133及びインク供給針131がインクカートリッジ12側のカム溝部110、挿入穴108及びインク送出口106から引き抜かれ、インクカートリッジ12がカートリッジホルダ13の収納空間125から取り出される。
【0065】
このように、上記実施形態によれば、加圧状態にて膨張するインクカートリッジ12の外面と対向する収納空間125の内面を構成する底板121の表裏に、収納空間125に対するインクカートリッジ12の着脱方向に沿って凹部142,143,144,145,146,147が形成されているので、インクカートリッジ12が加圧されて膨張しても、インクカートリッジ12の膨張する外面とこれに対向するカートリッジホルダ13の上下の底板121との間には隙間が形成される。
【0066】
したがって、インクカートリッジ12が加圧されて膨張した状態であっても、インクカートリッジ12の膨張した外面とカートリッジホルダ13の上下の底板121とが接触することがなく、これにより、インクカートリッジ12の変形を抑制しつつ収納空間125からのインクカートリッジ12の取り出しを円滑に行うことができる。
【0067】
なお、上記実施形態では、カートリッジホルダ13の底板121の表裏に凹部141,142,143,145,146,147を形成して膨張したインクカートリッジ12との間に隙間を形成するようにしたが、図11に示すように、インクカートリッジ12の上下端における両側部に、上下の底板121側へ突出する突条151を形成することにより、膨張したインクカートリッジ12とカートリッジホルダ13の底板121との間に隙間を形成しても良い。
そして、このように突条151を形成した場合も、インクカートリッジ12をカートリッジホルダ13の収納空間125から取り出す際に、インクカートリッジ12と上下の底板121との接触を回避することができ、インクカートリッジ12の収納空間125からの円滑な取り出しが可能とされる。
【0068】
つまり、このインクカートリッジ12によれば、加圧状態にて膨張する外面に、カートリッジホルダ13の収納空間125に対する着脱方向に沿う突条151が両側部に形成されているので、インクカートリッジ12が加圧されて膨張しても、インクカートリッジ12の外面とこれに対向するカートリッジホルダ13の内面を形成する底板121との間には隙間が形成される。
【0069】
したがって、インクカートリッジ12が加圧されて膨張した状態であっても、インクカートリッジ12の外面とカートリッジホルダ13の底板121とが接触することがなく、これにより、インクカートリッジ12の変形を抑制しつつ収納空間125からのインクカートリッジ12の取り出しを円滑に行うことができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、記録装置を、CDあるいはDVD等の円板状のメディアのレーベル面を印刷するレーベルプリンタ11として、メディアを処理するパブリッシャ1に適用した場合を例にとって説明したが、本発明はパブリッシャ1のレーベルプリンタ11に適用するものに限定されることはなく、例えば、用紙などのシート状の記録媒体に印刷を行うインクジェット式の記録装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】パブリッシャ(メディア処理装置)の外観斜視図である。
【図2】パブリッシャのケースを外した状態の前方側の斜視図である。
【図3】パブリッシャのケースを外した状態の後方側の斜視図である。
【図4】パブリッシャに設置された記録装置部分の斜視図である。
【図5】パブリッシャの内部概略構成図である。
【図6】インクカートリッジの構造を説明する斜視図である。
【図7】カートリッジホルダの構造を説明する斜視図である。
【図8】カートリッジホルダの構造を説明する平面図である。
【図9】カートリッジホルダへのインクカートリッジの着脱動作を説明する平面図である。
【図10】(a)は図9(c)におけるA−A断面図、(b)は図9(c)におけるB−B断面図である。
【図11】他の形状のインクカートリッジを説明するカートリッジホルダに装着されたインクカートリッジの正面図である。
【符号の説明】
【0072】
11…レーベルプリンタ(記録装置)、12…インクカートリッジ、13…カートリッジホルダ、71…インク供給機構、102…収容空間(空気室)、103…インクパック、121…底板(内面)、125…収納空間、142,143,144,145,146,147…凹部、151…突条。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年8月23日(2006.8.23)
【代理人】 【識別番号】100116182
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 照雄

【識別番号】100135194
【弁理士】
【氏名又は名称】林 智雄


【公開番号】 特開2008−49551(P2008−49551A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−226984(P2006−226984)