| 【発明の名称】 |
記録物の製造方法、該方法に適用される中間転写体および画像記録装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷内 洋
【氏名】毛利 明広
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| 【要約】 |
【課題】インクジェット記録を適用した中間転写方式の画像記録において、インクと反応する反応液が中間転写体上に適切に形成されるようにする。
【構成】親液部と撥液部とからなるパターンを表面に有する中間転写体を用いることで、反応液が適切な膜厚かつ均一に中間転写体に付与されるようにする。これにより、インク滴の着弾ずれやドット形状の変形を抑制しながら中間転写体上にインク画像を形成することができる。そして、これを転写することで、幅広い記録媒体に安定して高品質の画像を記録することが可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録媒体にインク画像が形成されてなる記録物を製造する方法であって、 親液部と撥液部とからなるパターンを表面に有する中間転写体上に、インクと反応する反応液を付与する工程と、 前記反応液が付与された中間転写体上に対してインクジェットヘッドからインクを吐出して前記中間転写体にインク画像を形成する工程と、 前記中間転写体上に形成されたインク画像を前記記録媒体に転写する工程と、 を具えたことを特徴とする記録物の製造方法。 【請求項2】 前記パターンを構成する親液部の要素の幅が、前記インク画像を形成するためのインクドットの直径以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録物の製造方法。 【請求項3】 前記パターンを構成する親液部の要素は、前記インク画像を形成するためのインクドットの直径の2倍以下のピッチで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録物の製造方法。 【請求項4】 前記親液部と撥液部を有する表面の材料はシリコーンゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の記録物の製造方法。 【請求項5】 前記親液部および前記撥液部は同一平面をなすよう形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の記録物の製造方法。 【請求項6】 前記インクが水系顔料インクであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の記録物の製造方法。 【請求項7】 前記反応液が金属塩を含有する液体であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の記録物の製造方法。 【請求項8】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の記録物の製造方法に適用される中間転写体。 【請求項9】 記録媒体にインク画像が形成されてなる記録物を製造する方法であって、 親液部と撥液部とからなるパターンを表面に有する中間転写体上に、インクと反応する反応液を付与する工程と、 前記付与された反応液が前記親液部に存在している中間転写体に対してインクジェットヘッドからインクを吐出して前記中間転写体にインク画像を形成する工程と、 前記中間転写体上に形成されたインク画像を前記記録媒体に転写する工程と、 を具え、前記親液部に存在している反応液ドットは、前記インク画像を形成するためのインクドットよりも小さいことを特徴とする記録物の製造方法。 【請求項10】 親液部と撥液部とからなるパターンを表面に有する中間転写体と、 前記中間転写体上に、インクと反応する反応液を付与するための塗布装置と、 前記反応液が付与された中間転写体上にインクを吐出するためのインクジェットヘッドと、 前記中間転写体上に吐出されたインクを記録媒体に転写するための転写部と、 を具えたことを特徴とする画像記録装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、記録物の製造方法、該方法に適用される中間転写体および画像記録装置に関する。詳しくは、本発明は、インクジェット記録方式を用いて中間転写体上にインク画像を形成する工程と、その転写体上に形成されたインク画像を所望の記録媒体に転写する工程とを含む記録物の製造方法、該方法に適用される中間転写体および画像記録装置に関する。 【背景技術】 【0002】 インクジェット記録方法は、液体であるインクを紙,布,プラスチックシート等の記録媒体上に直接吐出して文字,画像等を記録する方式である。この方法は機構が簡単であるため、カラー化や装置の小型化が容易であること、低騒音であること等の装置上の利点の他に、無版方式であるため、一枚からでも安定した印刷物を手軽に得られるといった使用上の利点も有している。さらに、近年の製品は画像品位においても銀塩写真と同等の画像出力が可能であり、スピードの面でも高速化がなされ、家庭やオフィスをはじめ幅広い分野で用いられている。 【0003】 インクジェット記録の問題としては、使用する記録媒体によって画像の品位が異なるといった点が挙げられる。これは、インクジェット記録におけるインクの定着が記録媒体への浸透に依存しているためである。近年、記録媒体によらず高品位画像を高速で出力したいといった要望が、特に産業分野から強くなってきており、インクジェット記録の大きな課題となっている。 【0004】 例えば、インクの浸透性が高すぎる記録媒体においては、紙の繊維に沿ってインクがにじんでしまうフェザーリングと呼ばれる現象が発生することがある。また、インクの水分とともに色剤が沈み込んでしまうことで発色が悪化したり、裏から表の画像が透けて見えてしまう不具合などが生じることもある。インクに対する浸透性が少ない場合、隣接するインクドット同士が引き合ってしまうビーディングと呼ばれる現象や、重なり合った色の境界部でインクが混じり合ってしまうブリーディングと呼ばれる現象を生じてしまう場合がある。また、インクがいつまでも乾かない乾燥不良を生じてしまう場合もある。これらの問題は、インクジェット記録用のインクの流動性が高いことに起因している。 【0005】 インクジェット記録方式のインク吐出方式には、コンティニュアス方式のほか、電気熱変換素子(発熱素子)や電気機械変換素子(ピエゾ素子)などを用いるオンデマンド方式があるが、いずれの方式でも、低粘度のインクしか吐出させることはできていない。これは、インクジェット記録方式で使用されるインクには、吐出適性を満足させるためにインクジェットヘッド内では高い流動性が求められるからである。その反面で、前述したように、記録媒体表面上では、隣のインク滴と混ざったり、インク滴同士が引き合わないようにするために、インクに対して低い流動特性が求められる。このようにインクジェット方式の場合、流動性の高いインクを記録媒体に吐出するにもかかわらず、その記録媒体上ではインクの流動性を低くしなければならず、相反する特性が要求される。 【0006】 こうしたインクに対する相反する要求を同時に満足するために、中間転写体上にインク画像を形成し、その転写体上に形成されたインク画像を所望の記録媒体に転写し、所望の記録媒体にインク画像を記録する方式が提案されている(特許文献1〜特許文献3等)。この方式では、インクジェットヘッドから吐出したインクを一旦転写体に付着させて、インクの流動性をある程度低下させた状態のインク画像を転写体上に形成し、その後、そのインク画像を転写体から記録媒体に転写するのである。 【0007】 【特許文献1】米国特許第4,538,156号明細書 【特許文献2】米国特許第5,099,256号明細書 【特許文献3】特開昭62−92849号公報 【特許文献4】特許第2916864号公報 【特許文献5】特開2002−321350号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 そこで、特許文献4および特許文献5では、中間転写体上にインクと反応する液体を塗布しておき、ここにインクが接触すると、これら2液の反応によってインクの流動性が制御されるようにした方法が提案されている。この方法を用いると、中間転写体表面上での「ビーディング」や「ブリーディング」を防止でき、良好な画像を形成することができるとされている。 【0009】 しかしながら、この場合インク滴は反応液の層を介して中間転写体に付与することになるので、画像品質は反応液の付与状態に大きく左右される。すなわち、中間転写体上に反応液が適切に形成されていない場合、例えば均一な厚みの薄膜として形成されていない場合には、インク滴の着弾ずれやドット形状の変形が起こり、中間転写体への高品位の画像形成ひいては記録媒体への高品質な画像記録が阻害される。 【0010】 本発明は、インクジェット記録を適用した中間転写方式の画像記録において、中間転写体上に反応液が適切に形成されているようにすることで、インク滴の着弾ずれやドット形状の変形を軽減することを目的とする。そして本発明は、これにより中間転写体への高品位の画像形成ひいては記録媒体への高品質な画像記録を可能とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 そのために、本発明は、記録媒体にインク画像が形成されてなる記録物を製造する方法であって、 親液部と撥液部とからなるパターンを表面に有する中間転写体上に、インクと反応する反応液を付与する工程と、 前記反応液が付与された中間転写体上に対してインクジェットヘッドからインクを吐出して前記中間転写体にインク画像を形成する工程と、 前記中間転写体上に形成されたインク画像を前記記録媒体に転写する工程と、 を具えたことを特徴とする。 【0012】 また、本発明は、上記製造方法に適用される中間転写体に存する。 【0013】 さらに、本発明は、記録媒体にインク画像が形成されてなる記録物を製造する方法であって、 親液部と撥液部とからなるパターンを表面に有する中間転写体上に、インクと反応する反応液を付与する工程と、 前記付与された反応液が前記親液部に存在している中間転写体に対してインクジェットヘッドからインクを吐出して前記中間転写体にインク画像を形成する工程と、 前記中間転写体上に形成されたインク画像を前記記録媒体に転写する工程と、 を具え、前記親液部に存在している反応液ドットは、前記インク画像を形成するためのインクドットよりも小さいことを特徴とする。 【0014】 加えて、本発明画像記録装置は、親液部と撥液部とからなるパターンを表面に有する中間転写体と、 前記中間転写体上に、インクと反応する反応液を付与するための塗布装置と、 前記反応液が付与された中間転写体上にインクを吐出するためのインクジェットヘッドと、 前記中間転写体上に吐出されたインクを記録媒体に転写するための転写部と、 を具えたことを特徴とする。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、インク滴の着弾ずれやドット形状の変形が軽減されたインク画像を中間転写体上に形成することができる。そしてこれにより、これを転写することで、幅広い記録媒体に安定して高品質の画像を記録することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 1.画像記録装置の実施形態 図1は一実施形態に係る画像記録装置の概略を示す模式図である。この実施形態の画像記録装置は、基本的に、中間転写体上にインク画像を形成するプロセスと、その転写体上に形成されたインク画像を所望の記録媒体に転写するプロセスとを、基本的に含む記録工程を実施する。 【0017】 図1において、符号1は、軸1Aのまわりに矢印F方向に回転駆動される円筒状の中間転写体を示し、親液部と撥液部とからなるパターンが形成された表面層2を有している。中間転写体1の外周すなわち表面層2に対向する部位には、水系の反応液4を付与する塗布装置3、インクを吐出してインク画像を形成するインクジェットヘッド5、および記録媒体9に転写を行うための加圧ローラー10などが設けられている。 【0018】 すなわち、中間転写体1は図中の矢印の方向に回転し、その表面にまず塗布装置3によって反応液4が付与される。ここで、反応液は水系であるため、付与された反応液は中間転写体表面の親液部に保持される。これにより、常に一定量の反応液を転写体上に均一に存在させることができる。次いで、インクジェットヘッド5からインクが例えば滴として吐出されて、中間転写体1の表面層2上にインク画像(ミラー反転した画像)6が形成される。このとき、インクは反応液との接触により瞬時に凝集反応が起こり、色材の流動性が低下するため、インク画像が乱れることがない。そして、中間転写体1上に形成された画像に記録媒体9の被記録面を接触させ、加圧ローラー10により裏面側から加圧することで、記録媒体9上に画像が転写される。 【0019】 図1に例示した装置では、中間転写体1上の画像を構成するインク中の水分ないし溶剤成分を蒸発させて除去する目的で、送風機形態の水分除去促進装置7が配置されている。これにより、転写に先立って、インクの水分量は記録媒体の許容量まで低減される。なお図示の装置では、これとともに、中空状とした中間転写体1の裏面側に接触して加熱を行う加熱ローラー10を用いている。しかしこれらはいずれかが用いられるものでもよい。 【0020】 そして図1に例示した装置ではさらに、インク画像を記録媒体9に転写した後の中間転写体を複数回にわたって繰り返し使用するために次の画像を受け取るのに備え、次段のクリーニングユニット12で洗浄される。 【0021】 中間転写体に反応液を付与した上でインクジェット記録を行う場合において、中間転写体上の反応液の付与状態は最終的な画像品質に大きな影響を与える。ここで重要となるのは反応液の膜厚およびその均一性である。 【0022】 図2(a)および(b)を用いてこれを説明する。中間転写体上で、反応液に接触したインクは瞬時に反応し流動性が低下するが、反応液の膜厚が厚い場合、図2(a)に示すように、反応により生じたインク凝集体Iと中間転写体1の間に流動性の反応液Rの層が残る。この状態であると、インク凝集体Iは後のインク滴の着弾の衝撃や中間転写体の運動により容易に位置がずれてしまう。また、反応液Rの付与量すなわち反応液の膜厚が不均一であった場合、反応強度等の影響からインク凝集体Iのドット径が不揃いになったり、インク滴の着弾抵抗の偏りによりドット位置ずれや形状変形が生じてしまう。すなわち、図2(b)に示すように、反応液の膜厚が厚い部分では反応が強く、インクの流動性が瞬時に奪われてドットが広がらない一方、反応液の膜厚が薄い部分では反応が弱く、ドットが広がる傾向となるからである。 【0023】 一般に、反応液を薄く均一に付与するためには中間転写体表面を反応液に濡れやすい状態(親液性)に保つことが望ましいと考えられているが、それだけでは不十分である。中間転写体全面が高い濡れ性を有していると、反応液の移動が起こりやすく、容易に反応液の偏りが生じてしまう。このような反応液の移動や偏りは、転写体上でのインク像を乱す要因となる。しかも、中間転写体全面を親液性とした場合、供給した反応液の全量を受容してしまうため、付与量は塗布装置の精度に依存するものとなり、これを高精度に制御するためには複雑かつ高価な塗布装置を必要とすることになる。 【0024】 また、表面全域に親液化処理が施された中間転写体1に対して反応液を付与すると、付与された反応液は転写体表面で比較的広い範囲まで均一に広がり、比較的広い面積を有する反応液Rの薄膜が形成される(図18参照)。しかし、このような状態の反応液上にインクIを付与すると、図18に示すように、インクが比較的広い範囲で反応液上を移動してしまう。すなわち、反応液の薄膜表面は、インクが自由に移動できる自由表面であるので、薄膜が比較的広い面積を有している限り、インクは比較的広い範囲で移動可能なのである。従って、このようなインク移動によるインク像の乱れを軽減するためには、反応液上でのインクの移動範囲をある程度制限することが必要である。 【0025】 そこで本実施形態では、次に詳述するように、中間転写体の表面を適切な微細パターン状に親液化することで、反応液の保持量がパターン構成部分毎に一定となるようにし、結果として均一で好ましい厚みの反応液膜が形成されるようにする。また、転写体表面の全域ではなく一部だけに親液部を形成することで、反応液が存在する範囲を制限し(図19参照)、これによりインクが反応液上を必要以上に移動しないようにする(図20参照)。 【0026】 2.本発明方法に係る工程および適用可能な要素 次に、本発明に係る工程と、これに適用可能な要素とを詳述する。またこの説明は、図1の装置の構成と適宜関連させつつ行うものとする。 【0027】 図1の装置構成は、親液部と撥液部とからなるパターンが形成された表面層2を有する中間転写体上に反応液を付与する工程(a)と、インクジェットヘッドによりインク画像を形成する工程(b)と、記録媒体にインク画像を転写する工程(c)とを実施する。 【0028】 2.1 工程(a):中間転写体上に反応液を付与する工程 中間転写体 中間転写体ないしはその表面の支持体は、表面が記録媒体と少なくとも線接触可能となるものであればいずれでもよい。すなわち、適用する画像形成装置の形態ないしは記録媒体への転写に態様に合わせ、上述のようにローラー状のものでもよいし、そのほか例えばベルト状やシート状のもの等も使用することができる。また表面2には、ゴムやプラスチックなど、弾性を持つ材料を好適に使用することができる。タイプAのデュロメータ(JIS K 6253準拠)で測定したときに硬度10〜100°の範囲の弾性を持つものを用いれば効果が得られ、さらには40〜80°の範囲のものであれば、殆どの記録用紙に対応できる。 【0029】 親液部/撥液部パターンの設計 中間転写体表面上のパターンにおける撥液,親液の程度に関しては、使用される反応液によって最適化することが望ましい。重要なことは、用いる反応液が撥液部には保持されず、親液部のみに保持されることであり、用いる反応液の表面張力や粘度、選択する付与手段や付与スピードおよびパターン形状により適応範囲は変化する。目安としては、使用する反応液との接触角が、親液部については60°以下、撥液部については60°以上である。さらに好ましくは、親液部については20°以下、撥液部については80°以上である。 【0030】 なお、上述の通り、反応液は親液部のみに存在することが好ましいが、撥液部に反応液が微量存在する分には何ら問題ない。すなわち、隣接する親液部に存在する反応液同士が接触しない程度の微量であれば、本発明の効果を得ることができるため、撥液部に反応液が存在することを許容できる。このように本発明は、反応液が撥液部に全く存在しない形態のみならず、撥液部に多少存在する形態も含むものである。 【0031】 親液部と撥液部とからなるパターンは、反応液の付与状態を制御するためにあるので、より重要なのは親液部のパターンを構成する親液部の要素の形状、幅およびピッチである。 【0032】 図3(a)〜(f)、図4(a)〜(e)、図5(a)〜(d)、図6(a)および図(b)を用いて本発明で適用可能な幾つかの親液部のパターンについて説明する。これらの図において、塗りつぶした部分が親液部の要素、ハッチングを施した部分がインクドットを、それ以外の部分が撥液部のパターン要素を示している。 【0033】 親液部の要素の形状は、上述した条件を満たせば限定されることはない。 【0034】 図3(a)〜(f)は、親液部パターンを孤立(散在)した複数の親液部の要素で構成した例である。ここで、同図(a)は親液部の要素を直径αの円形とし、これを2次元方向に整列させたものである。同図(b)は同じく円形の親液部要素を千鳥状配列としたものである。同図(c)は同図(b)よりも親液部要素の中心同士の距離(ピッチ)βを大きくしたものである。同図(d)は親液部の要素を1辺αの矩形とし、これを2次元方向に整列させたものである。また、同図(e)および(f)は、それぞれ、親液部要素の形状を三角形状および六角形状としたものである。 【0035】 図4(a)〜(e)は親液部パターンを連続する親液部の要素で構成し、撥液部の要素が孤立(散在)するようにした例である。ここで、同図(a)は円形の撥液部要素が2次元方向に整列するようにしたもの、同図(b)は同じく円形の撥液部要素が千鳥状配列となるようにしたものである。同図(c)は矩形の撥液部要素が2次元方向に整列するようにしたものである。また、同図(d)および(e)は、それぞれ、三角形状および六角形状の撥液部要素が得られるようにしたものである。このような場合、親液部要素の幅αは、撥液部要素間の最短距離に等しい。 【0036】 図5(a)〜(d)は親液部の要素および撥液部の要素の双方を連続形状としたものであり、種々の波形の親液部要素が例示されている。 【0037】 なお、これらの親液部要素ないしは撥液部要素の形状はあくまでも例示であって、その他の形状、例えば図6(a)および(b)に示すようなものであってもよい。また、各種形状のものが混在するものでもよく、さらにパターン間隔が完全に等間隔でなくともよいが、単独模様の等間隔パターンとする方が有効である。また、図1の実施形態は単一の中間転写体に複数色のインクを吐出可能なものであるが、複数色の印刷を複数の中間転写体を用いて印刷する場合、それぞれ違うパターンが用いられてもよい。 【0038】 親液部要素の幅とは、親液部要素に内接する円を想定した場合の直径を示す(図3(a)〜図6(b)のα)。インクジェットヘッドから付与されるインク滴は飛翔中は球形であり、着弾後は円形となるため、このように内接円を基準とする。この基準は、孤立パターン要素であっても連続パターン要素であっても同様である。親液部要素の面積が同じであっても、パターン幅が小さいほど薄膜でかつ均一な反応液の付与が可能となる。 【0039】 親液部要素のピッチ(図3(a)〜図6(b)のβ)とは、孤立パターン要素であればそのくり返し周期がピッチに相当する。一方、連続パターン要素であれば、その変曲点から変曲点までの距離がピッチとなる。 【0040】 図7(a)および(b)を用い、親液部の要素の幅αおよびピッチβを好ましく選定するための基準を説明する。 【0041】 親液部/撥液部の要素における寸法の基準となるのが、中間転写体上でのインク滴の最大広がり直径α’である。一般に、インク滴は中間転写体に着弾するとその運動エネルギーでドット径を拡大してゆく。運動エネルギーが消費され切ったところで最大広がり直径α’となり、転写体表面が撥液性である場合はドット径の収縮が起こり、静止時のインク滴直径はα’より小さくなる。 【0042】 本例においてインクは親液部に存在している反応液と接触することが前提であり、親液部上の反応液とインク滴とが必ず接触するための親液部の最大ピッチβは2×α’となる(2α’=β)。ただし、この場合、インクの着弾点が設計位置からずれた場合、パターンの変曲点をとらえられない場合がある。このため、反応液とインクとを確実に接触させるためには、最大ピッチβを最大広がり直径の2倍以下、すなわち2×α’以下に選定することがより望ましい(2α’≧β)。 【0043】 一方、親液部要素の幅がインクドットの最大広がり直径α’を越えると、親液部の要素上に存在する反応液でインク滴の位置を規制することができなくなる。このため、親液部の要素の最大幅は、最大広がり直径以下のαとなるように選定すればよい(α≦α’)。しかし反応液の膜厚は親液部要素の幅に比例するため、反応液の好ましい膜厚を得る観点からは、親液部要素の幅αは1/2α’以下であることがより望ましい。 【0044】 なお、親液部要素のピッチもしくは幅のいずれか一方でも上記条件を満たすよう選定されれば所期の効果を得ることができるが、双方の条件を満たすように設計することがより望ましい。 【0045】 親液部/撥液部パターンの形成 中間転写体上に撥液部と親液部とからなるパターンを形成する場合、種々の方法が考えられる。 【0046】 図8(a)〜(d)ないし図15(a)〜(d)を用いてパターン形成の順次の工程のいくつかを説明する。これらの図において、それぞれの左側部分は模式的平面図を、右側部分は模式的断面図を示している。 【0047】 図8(a)〜(d)は、親液性材料で形成した中間転写体1の基材もしくはその表面層2の基材に、撥液材料22を担持させた印刷版21を当接させて撥液部23を形成する工程を示している。 【0048】 図9(a)〜(d)は、同じく親液性を呈する中間転写体1もしくはその表面層2の基材に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン24を形成し、撥液材料25を塗布した後にレジストパターンを除去するリフトオフ法を採用した場合の工程を示している。 【0049】 図10(a)〜(d)は、親液性を呈する中間転写体1もしくはその表面層2の基材に、撥液性レジスト26を塗布し、露光によりパターニングを行うことで撥液部23を形成する工程を示している。 【0050】 図11(a)〜(d)は、親液性を呈する中間転写体1もしくはその表面層2の基材にマスク28を配し、エネルギー照射により、マスク非存在部分30に撥液性元素を導入することで、撥液部23を形成するものである。この場合のエネルギー照射手段としては、例えば弗素原子を含むガスを用いたプラズマ照射や蒸着法などが挙げられる。 【0051】 図12(a)〜(d)は、親液性を呈する中間転写体1もしくはその表面層2の基材に、撥液性塗膜30を形成した後、レーザー加工装置31により部分的により親液部を露出させることで撥液部23を形成する工程を示している。なお、撥液部を有機レジストで作成した場合、弗素原子を含むガスを用いたプラズマ処理で撥液性をより高めることもできる。 【0052】 以上の各方法は、撥液性材料で形成した中間転写体1の基材もしくはその表面層2の基材に親液部を形成する場合も同様である。 【0053】 例えば図13(a)〜(d)は、撥液性材料で形成した中間転写体1もしくはその表面層2の基材にマスク28を配し、エネルギー照射により、マスク非存在部分30に親液性官能基を導入することで、親液部2を形成するものである。この場合のエネルギー照射手段としては、例えば酸素原子を含むガスを用いたプラズマ処理などが挙げられる。また、撥液性の基材としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム、フロロシリコーンゴム等が好適に用いられる。 【0054】 図14(a)〜(d)は、撥液性を呈する中間転写体1もしくはその表面層2の基材に、プラズマ照射などにより表面処理部33を形成した後、インクジェット記録装置34などにより選択的に界面活性剤35を付与するようにしたものである。そして、時間経過させることで界面活性剤付与部以外の親液性を消失させることで、親液部2が形成される。また、図15(a)〜(d)は、図14(a)〜(d)と同様の工程を採用する場合において、界面活性剤35を印刷版21により付与するようにしたものである(図15(c))。 【0055】 以上では、親液性を呈する基材上に撥液部を形成する方法および撥液性を呈する基材上に親液部を形成する方法について例示したが、これらを適宜組み合わせて、親液部および撥液部をともに基材上に形成することも可能である。他にも、酸化チタン等の光により親液化する材料を中間転写体に混入もしくは表面に膜形成させ、光照射により部分親液化することもできる。 【0056】 なお、液性部および親液性部の高さは、両者間で極力段差がないように作成することが望ましく、理想は撥液部と親液部とが同一平面を成すことである。インク転移性とクリーニング性との双方を向上させる効果があるからである。これは逆に、インク受容量の低下や、画像転写時のドットゲイン(転写時の圧力でドットが大きくつぶれ、その径が広がって解像度を低下させる現象)を増大させる恐れもある。しかしこれらの問題は後述する画像固定成分の付与や、図1のような水分除去促進装置7の適用で解決できる。また、中間転写体を複数配し、例えば色毎に異なる中間転写体を用いることなども上記問題に対する好適な対策となる。 【0057】 撥液部と親液部とが同一平面を成すようにするためには、上記方法を適宜組み合わせて親液部および撥液部をともに基材上に形成することや、図14あるいは図15のような方法を採用することができる。 【0058】 反応液 反応液は、画像形成に使用するインクの種類によって適宜に選択される。例えば、染料インクに対しては高分子凝集剤を用いることが有効であり、微粒子が分散されてなる顔料インクに対しては金属イオンを使用することが有効である。さらに、染料インクに対して、画像固定成分として金属イオンを高分子凝集剤と組み合わせて用いる場合には、インク中に、染料と同等色の顔料を混合させるか、色目に影響の少ない、白色もしくは透明色の微粒子を混合させるとよい。 【0059】 反応液として使用できる高分子凝集剤としては、例えば、陽イオン性高分子凝集剤、陰イオン性高分子凝集剤、非イオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられる。また、金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+およびZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+およびAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。そして、これらの金属イオンを含有する液体を塗布する場合には、金属塩水溶液として塗布することが望ましい。金属塩の陰イオンとしては、Cl-、NO3-、SO42-、I-、Br-、ClO3-、RCOO-(Rはアルキル基)等が挙げられる。また、使用するインクと逆性を持つ材料は反応液として用いることができる。例えばインクがアニオン性もしくはアルカリ性であれば、その逆性であるカチオン性もしくは酸性材料が反応液として使用できる。 【0060】 反応液の付与手段は特に限定されないが、上述したように中間転写体上には好ましい親液部パターンが形成されているので、本発明では極めて簡単な塗布装置で均一な安定塗布が可能となる。図1ではその一例としてロールコーター形態の塗布装置3が例示されている。塗布ロールから供給された反応液は、中間転写体上の親液部パターンの上にのみに保持される(図19参照)。すなわち、塗布ローラによる付与の場合、反応液は親液部と撥液部の区別なく接触するが、撥液部の反応液は弾かれるため受領しない。よって、画像形成時には大部分の反応液が、図19に示されるように親液部に存在する状態となる。なお、塗布ローラによる塗布量は、パターンに対する反応液の表面張力に依存するが、塗布条件が一定であれば中間転写体1側で親液パターンに応じて自動的に一定量の反応液が受容される。また、微細な親液部パターンにより反応液の流動性を抑制できるため、中間転写体表面内で偏りのない、均一な塗布が可能となる。 【0061】 なお、その他の塗布の形態としては、ドクターコート,ダイコート,ワイヤーバーコート,グラビアローラー等の接触式塗布によるものや、スプレーコート,インクジェットヘッドによる液滴付与のような非接触塗布によるものなどを用いることができる。適応の範囲が限定されるが、スピンコートや引き上げ塗布、エアナイフによる塗布等を行うものであっても、特性的には問題なく使用できる。また、それらの塗布手段を適宜組み合わせて使用してもよい。 【0062】 2.2 工程(b):インクジェットヘッドによりインク画像を形成する工程 使用されるインクジェット記録方式についての制限はない。インクを吐出するために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを用いるもの(サーマルジェット方式)や、機械的エネルギーを用いるもの(ピエゾ方式)などを利用可能である。また、オンデマンドタイプだけでなく、コンティニュアスタイプのインクジェット記録方式などを、適宜に選択して使用することができる。さらに、インクジェットヘッドの形態としては、例えば図1の構成に関して言えば、中間転写体1の軸方向(図面に直交する方向)にインク吐出口を配列してなるラインヘッド形態のインクジェットヘッドを用いるものとすることができる。また、中間転写体1の接線または周方向の所定範囲に吐出口が配列されたヘッドを用い、これを軸方向に走査しながら記録を行うものでもよい。加えて、画像形成に使用するインクの色に応じた数のヘッドを用いることができる。 【0063】 また、記録する画像についても制約はなく、文字やイラスト、自然画のほか、単純なパターンや電子回路等の工業パターン等、あらゆるものに対応できる。画像を形成する際は、転写により像が反転することを考慮して、ミラー画像を形成すべくインク吐出を行うようにすればよい。 【0064】 使用されるインクについても特に制限はないが、限定されるものではないが、一般的に染料や、顔料を用いた水系インクが好適に用いられる。特に、水系顔料インクは反応液に金属塩を用いた場合に好適である。 【0065】 染料としては限定を受けず、一般的に使われる染料であれば問題なく用いることができる。例えば、C.Iダイレクトブルー6、8、22、34、70、71、76、78、86、142、199、C.Iアシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229、C.Iダイレクトレッド1、4、17、28、83、227、C.Iアシッドレッド1、4、8、13、14、15、18、21、26、35、37、249、257、289、C.Iダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142、C.Iアシッドイエロー1、3、4、7、11、12、13、14、19、23、25、34、44、71、C.Iフードブラック1、2、C.Iアシッドブラック2、7、24、26、31、52、112、118等が挙げられる。 【0066】 顔料としても限定を受けず、一般的に使われる顔料であれば問題なく用いることができる。例えば、C.Iピグメントブルー1、2、3、15:3、16、22、C.Iピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、112、122、C.Iピグメントイエロー1、2、3、13、16、83、カーボンブラックNo2300、900、33、40、52、MA7、8、MCF88(三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL330R、660R、MOGUL(キャボット製)、Color Black FW1、FW18、S170、S150、Printex35(デグッサ製)等が挙げられる。 【0067】 これらの顔料は、形態としての限定を受けず、例えば、自己分散タイプ、樹脂分散タイプ、マイクロカプセルタイプ等のものをいずれも使用することが可能である。その際に使用する顔料の分散剤としては、水溶性で、重量平均分子量が1,000〜15,000程度の分散樹脂が好適に使用できる。具体的には、例えば、スチレンおよびその誘導体、ビニルナフタレンおよびその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸およびその誘導体、フマール酸およびその誘導体からなるブロック共重合体あるいはランダム共重合体、また、これらの塩等が挙げられる。 【0068】 また、最終的に形成された画像の堅牢性を向上させるために、水溶性樹脂や水溶性架橋剤を添加することもできる。用いられる材料としてはインク成分と共存できるものであれば制限は無い。水溶性樹脂としては上記した分散樹脂等をさらに添加することが好適に用いられる。水溶性架橋剤としては、反応性の遅いオキサゾリンやカルボジイミドがインク安定性の面で好適に用いられる。 【0069】 インク中の有機溶剤量はインク吐出性や乾燥性を決めるファクターとなる。記録媒体9に転写するときのインクは、ほぼ色材と高沸点有機溶剤だけとなるので、その最適値に設計する。使用する有機溶剤は高沸点で蒸気圧の低い水溶性の材料が好ましい。例としてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン等である。また、粘度、表面張力等を調整する成分としてエチルアルコールやイソプロピルアルコール等のアルコール類を添加することもできる。 【0070】 インクを構成する成分の配合比についても限定を受けることなく、選択したインクジェット記録方式やヘッドの吐出力、ノズル径などから吐出可能な範囲、適宜に調製することが可能である。一般的には色材0.1〜10%、樹脂0.1〜10%、溶剤5〜40%、界面活性剤0.1〜5%であり、残りは純水である。 【0071】 以上のようなインクは、インクジェットヘッドにより吐出され、中間転写体上の反応液と接触すると流動性が低下する。このため、ブリーディングやビーディングが起こらない。また、中間転写体上の反応液は薄く、かつ均一に制御されているため、画像の乱れも起こらない。さらに、中間転写体上に一定間隔に配置されている撥液部の効果により、中間転写体上のインク画像は転写に至るまでの工程でずれが生じにくく高品質な画像が保持される。 【0072】 ここで、中間転写体表面の親液部パターン上に存在する反応液に対してインクを付与する様子を図20を用いて説明する。上述した通り、工程(a)において中間転写体上に付与された反応液は、図19に示されるように、中間転写体の親液部パターンに沿って転写体表面の一部にだけ存在する。工程(b)では、このような状態の反応液に対してインクが付与されることになるが(図20参照)、反応液の存在範囲が転写体表面の一部に制限されている関係上、反応液上でのインク移動範囲は制限される。特に、インクドットの直径が親液部の要素幅よりも大となるような場合、図20に示されるようにインクドットが反応液ドットよりも大となるので、図18に示したような比較的広い範囲でのインク移動は生じない。図20の場合、インクが移動できる自由表面は殆どなく、親液部に存在する微細な反応液ドットがインク移動規制部として機能するので、図18の形態に比べてインク移動を少なくできる。従って、インク移動によるインク像の乱れを軽減した高品位画像を転写体上に形成することができる。 【0073】 2.3 工程(c):中間転写体上のインク画像を記録媒体上に転写する工程 中間転写体上で濃縮されたインクでなる画像を記録媒体に転写する。記録媒体9は加圧ローラー10によって中間転写体1の画像形成面と接触し、インクを受容する。ここで、中間転写体上のインク付与量が多い場合は、転写圧により画像が乱れてしまう場合がある。これを軽減する意味でも、転写前にインク中の水分を減少させ、体積を少なくしておくことが望ましい。上記インクは水分が非常に多くを占め、これを減少させることで体積は1/5〜1/10程度にまで減少する。こうすることで、吸収性の少ない、もしくは吸収性のない記録媒体にも良好な画像を形成することが可能となる。また、水分除去により高粘度化したインク(濃縮されたインク)は転写効率にも優れ、中間転写体上に残存するインクも減少させることができる。さらに、薄紙を記録媒体として用いる場合にも、吸水による紙の波打ちを抑えることができる。 【0074】 体積を減少させるためには、中間転写体1の回転速度を低減することによって水分蒸発の時間を確保することも可能である。しかし、記録の高速性が要求する場合を考慮し、図1の構成のように水分除去促進装置7および/または加熱ローラー8による水分除去工程を設けることが有効である。水分除去促進装置7としては送風機形態のものを、加熱ローラー8としては中空状とした中間転写体1の裏面側に接触して熱伝導により加熱を行うものを例示したが、これらに限らず適宜の形態の水分除去手段を用いることができる。例えば、熱線を放射する熱源を用いるものでもよいし、温風等を送風して蒸発を促進させるものなどでもよい。 【0075】 なお、図1の構成において、記録媒体上に記録された画像に対しヒートローラー等を接触させることにより、即時に堅牢性や光沢性を付与することもできる。 【0076】 また、図1の構成においては、クリーニングユニット12により画像転写後の中間転写体表面を洗浄することで、紙粉などの塵埃や残留したインクが除去される。当該洗浄を行う手段としては、シャワー状に水を当てながらの水洗もしくは水拭き、水面に接触させる等の直接洗浄、あるいは濡らしたモルトンローラを表面に当接させる等の払拭を行う手段を用いることが望ましい。勿論、これらを併用することも有効である。また、場合によっては界面活性剤で洗浄するようにすることも可能である。さらに、必要であれば洗浄後に乾いたモルトンローラーやゴムワイパーを当接させたり、送風を行う等により、中間転写体表面を即時乾燥させることも有効である。このときのクリーニング性を良好にする上で、凹凸が少ない中間転写体表面とすることが好ましい。 【0077】 3.実施例 次に、本発明のより具体的な実施例および比較例を説明する。なお、以下の説明において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。 【0078】 (3.1)実施例1 (a)反応液を中間転写体上に付与する工程 本実施例では、中間転写体表面層基材として、0.4mmのPETフィルム表面に、ゴム硬度40°のシリコーンゴム(信越化学製 KE12)を0.3mmの厚さでコーティングした材料を用いた。この表面に親液部と撥液部とからなる規則性パターンを形成する。 【0079】 まず、中間転写体表面層基材の表面に平行平板型大気圧プラズマ処理装置(積水化学製:APT−203)を用いて表面親液化処理を行い、次いで3%のPVA水溶液(クラレ製:403)をロールコーターで全面に塗布し、乾燥させた。 【0080】 この表面にエキシマレーザーをスポット照射し、親液部としたい部分のPVA層を除去した。本実施例ではピッチ20μm、直径10μmの円を規則的にパターニングした(図3(a)参照)。 【0081】 この中間転写体表面層基材の表面に再び平行平板型プラズマ処理装置にて下記条件で表面改質を行った。 【0082】 (表面改質条件) 使用ガス;流量:air;1000cc/min N2 ;6000cc/min 入力電圧:230V 周波数:10kHz 処理速度:200mm/min 【0083】 次いで、この表面に界面活性剤(日本ユニカー製 silwet L77)5%水溶液にて表面を洗浄した。この時、水溶性皮膜であるPVA層は溶解除去された。 【0084】 こうして製造された中間転写体表面層基材は、洗浄するとエキシマレーザーを当てた部分のみが親液部となり、所望の親液部/撥液部のパターンが得られた。 【0085】 この表面層基材を中間転写体支持体としてのアルミニウム製のドラムに巻き付け、画像形成装置に固定した。 【0086】 次いで、ロールコーターを用いて中間転写体上に下記組成の反応液を塗布した。 【0087】 (反応液組成) CaCl2・2H2O:10% 界面活性剤(川研ファインケミカル製 アセチレノールEH):1% ジエチレングリコール:30% 純水:59% 【0088】 (b)中間転写体上にインク画像を形成する工程 インクジェット記録装置(ノズル配列密度1200dpi、吐出量4.8pl、駆動周波数12kHz)にて、反応液が塗布されている中間転写体上にミラー反転させた文字画像を形成した。ここでは、下記処方のインク(色材として各色顔料をそれぞれ含む4色のインク)を用いた。 【0089】 (インク処方) 下記の各顔料: 3部 ブラック:カーボンブラック(三菱化学製:MCF88) シアン: ビグメントブルー15 マゼンタ:ピグメントレッド7 イエロー:ピグメントイエロー74 スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体: 1部 (酸価240、重量平均分子量5000) グリセリン: 10部 エチレングリコール: 5部 界面活性剤: 1部 (川研ファインケミカル製:アセチレノールEH) イオン交換水: 80部 【0090】 この際、インク画像が中間転写体上に形成された時点で、ビーディングおよびブリーディングは起こらなかった。また、このインクジェット記録装置によるインク着弾径は約40μmであった。 【0091】 (c)記録媒体にインク画像を転写する工程 中間転写体上のインク画像の水分を除去し、流動性を低下させた後に記録媒体(日本製紙製 オーロラコート 連量40.5)を加圧ローラーにて接触させて画像を転写した。 この結果、記録媒体上に高品質な画像が記録されたことを確認した。また、転写後の中間転写体表面には残存インクが殆どなく、そのまま次の画像を受けても、悪影響はみられなかった。 【0092】 3.2 実施例2 (a)反応液を中間転写体上に付与する工程 本実施例では、中間転写体表面層基材として、0.4mmのPETフィルム表面に、ゴム硬度60°のシリコーンゴム(信越化学製 KE30)を0.3mmの厚さでコーティングした材料を用いた。この表面に親液部と撥液部とからなる規則性パターンを形成する。 【0093】 まず、中間転写体表面層基材の表面に平行平板型大気圧プラズマ処理装置(積水化学製 APT−203)を用いて表面親液化処理を行った。次いで、ポジ型感光性レジスト(ヘキスト製 AZ−4903)を膜厚0.3μmに塗布し、所定のフォトリソグラフィー手法により露光、現像してレジストパターンを得た。本実施例では、ピッチ50μm、線幅10μmの線を格子状にパターニングした(図4(c)参照)。 【0094】 この中間転写体表面層基材の表面に再び平行平板型プラズマ処理装置にて下記条件で表面改質を行った。 【0095】 (表面改質条件) 使用ガス;流量:air;1000cc/min N2 ;5000cc/min 入力電圧:260V 周波数:17.5kHz 処理速度:500mm/min 【0096】 次いで、この表面に界面活性剤(セイミケミカル製 サーフロン S111)10%水溶液をコーティングした。 【0097】 次いで、この表面に紫外線を照射してレジストを分解した後、アルカリ現像した。こうして製造された中間転写体表面層基材は、レジストパターン開口部分のみが親液部となり、所望の親液部/撥液部のパターンが得られた。 【0098】 この表面層基材を中間転写体支持体としてのアルミニウム製のドラムに巻き付け、画像形成装置に固定した。 【0099】 次いで、ロールコーターを用いて中間転写体上に下記組成の反応液を塗布した。 【0100】 (反応液組成) MgNO3・6H2O:15% 界面活性剤(川研ファインケミカル製 アセチレノールEH):1% ジエチレングリコール:20% へキシレングリコール:10% 純水:54% (b)中間転写体上にインク画像を形成する工程 インクジェット記録装置(ノズル配列密度1200dpi、吐出量4pl、駆動周波数8kHz)にて、反応液が塗布されている中間転写体上にミラー反転させた文字画像を形成した。ここでは下記処方のインク(色材として各色顔料をそれぞれ含む4色のインク)を用いた。 【0101】 (インク処方) 下記の各顔料: 5部 ブラック:カーボンブラック(三菱化学製:MCF88) シアン: ビグメントブルー15 マゼンタ:ピグメントレッド7 イエロー:ピグメントイエロー74 スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体: 1部 (酸価240、重量平均分子量5000) グリセリン: 10部 エチレングリコール: 5部 界面活性剤: 1部 (川研ファインケミカル製:アセチレノールEH) イオン交換水: 78部 この結果、記録画像が中間転写体上に形成された時点で、文字の歪みは生じなかった。 【0102】 (c)記録媒体にインク画像を転写する工程 中間転写体上のインク画像を加圧ローラーにて記録媒体(日本製紙製 オーロラコート 連量40.5)と接触させて画像を転写したところ、記録媒体上には高品質な文字が記録された。また、転写後の中間転写体表面には残存インクが殆どなく、そのまま次の画像を受けても、悪影響はみられなかった。 【0103】 3.3 比較例1 実施例1と同じ中間転写体を用いる場合において、全面にプラズマ照射したままの、すなわち親液部と撥液部とからなる規則性パターンが形成されていないシリコーンゴムを表面層として用い、同様の方法で画像記録を行った。その結果、微小文字の歪みが認められ、繰り返し画像出力を行った際の安定性の面でも実施例1に比べてやや不安定であった。 【0104】 3.4 比較例2 実施例2において、親液部と撥液部とからなる規則性パターンが形成されない全面未処理のシリコーンゴムを用いてを表面層として用い、同様の方法で画像記録を行った。その結果、中間転写体上において反応液を所望の位置に保持できず、ブリーディング,ビーディングにより画像は歪み、さらに、転写後の記録媒体上での画像も極めて劣悪であった。 【0105】 4.制御系および制御手順の例 上述した実施例1〜2において採用した各部装置を用いて図1の画像記録装置を構成する場合には、次に述べるように制御系を構成することができる。 【0106】 図16は図1の画像記録装置に対応して構成することのできる制御系の一例である。画像記録装置において、101は系全体の主制御部をなすCPUであり、各部を制御する。103はメモリであり、CPU101の基本プログラムを格納したROMのほか、各種データの一時保存や画像データの処理その他ワーク用に使用されるRAM等により構成される。105はホストコンピュータその他の形態を可とする画像データの供給源である画像供給装置110との間でデータやコマンドなどの情報を授受するためのインターフェースである。 【0107】 107は上記工程(a)〜(c)に際して中間転写体1を回転駆動するための駆動部である。109は記録媒体9の搬送系であり、転写部である加圧ローラー10および定着ローラー11の駆動部等を含む。120はバスラインであり、以上の各部のほか、例えば塗布装置3、インクジェットヘッド5、水分除去促進装置7、加熱ローラー8およびクリーニングユニット12を接続し、CPU101の制御信号を伝達する。また、制御対象である各部には、状態検出用センサが配設され、その検出信号をバスライン120を介してCPU101に伝達することができる。 【0108】 図17はかかる制御系を用いた画像形成処理手順の一例を示すフローチャートである。 【0109】 画像供給装置110から画像データが送信され、記録が指示されると、まずその画像データについてインクジェットヘッド5にて画像形成を行うための所要の画像処理が行われる(ステップS1)。画像供給装置が予めミラー反転したデータを送ってくるのでなければ、この画像処理過程には当該反転処理を含めることができる。 【0110】 そして、インクジェットヘッド5が画像形成を行う準備が整えば、中間転写体1を回転させる(ステップS3)。そして、反応液を中間転写体1に付与する工程(a)ないし中間転写体1に画像形成を行う工程(b)に関連した塗布装置3およびインクジェット記録ヘッド5の駆動を行う(ステップS5)。前述した通り、工程(a)において中間転写体上に付与された反応液は、図19に示されるように、中間転写体の親液部パターンに沿って存在する。工程(b)では、このような状態の中間転写体に対してインクが付与されるが(図20参照)、インク移動が反応液ドットにより規制されるので、インクは着弾位置から殆ど動かない。従って、インク着弾ズレの少ない高品位なインク画像が中間転写体上に形成される。さらに、記録媒体への転写を行う工程(c)に関連した水分除去促進装置7および加熱ローラー8、記録媒体搬送系109およびクリーニングユニット12の駆動を実行する(ステップS7)。この際、反応液付与が行われてから画像形成が行われるよう、また画像形成が行われた位置と記録媒体上の転写位置とが揃うよう、各部は同期して駆動される。またインクジェットヘッド5がシリアル記録方式のものであれば、インクジェットヘッドの主走査と中間転写体1の所定量の回動とを交互に繰り返しながら画像形成が行われる。そして、指示された量の画像データについての処理が終われば、本手順を終了する。 【図面の簡単な説明】 【0111】 【図1】本発明の一実施形態に係る画像記録装置の概略構成を示す模式図である。 【図2】(a)および(b)は中間転写体に付与する反応液の状態の重要性を説明するための説明図である。 【図3】(a)〜(f)は、中間転写体に形成される親液部/撥液部パターンの諸例であり、親液部パターンを孤立(散在)する親液部の要素で構成した例を示す説明図である。 【図4】(a)〜(e)は、中間転写体に形成される親液部/撥液部パターンの諸例であり、親液部パターンを連続する親液部の要素で構成した例を示す説明図である。 【図5】(a)〜(d)は、中間転写体に形成される親液部/撥液部パターンの諸例であり、親液部および撥液部とも連続する要素で構成した例を示す説明図である。 【図6】(a)および(b)は、中間転写体に形成される親液部/撥液部パターンの他の2例を示す説明図である。 【図7】(a)および(b)は、中間転写体に形成される親液部パターンの設計条件を説明するための説明図である。 【図8】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図9】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図10】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図11】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図12】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図13】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図14】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図15】(a)〜(d)は、中間転写体に親液部/撥液部パターンを形成するための方法の例を示す説明図である。 【図16】図1の画像記録装置に対応して構成することのできる制御系の一例を示すブロック図である。 【図17】図16の制御系を用いた画像記録処理手順の一例を示すフローチャートである。 【図18】反応液の薄膜上をインクが移動する様子を示した図である。 【図19】中間転写体表面の親液部パターン上に反応液が存在している様子を示した図である。 【図20】親液部パターンに沿って存在している反応液上にインクを付与した様子を示した図である。 【符号の説明】 【0112】 1 中間転写体 2 表面層 3 塗布装置 5 インクジェットヘッド 7 水分除去促進装置 8 加熱ローラー 9 記録媒体 10 加圧ローラー
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年6月15日(2007.6.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077481 【弁理士】 【氏名又は名称】谷 義一
【識別番号】100088915 【弁理士】 【氏名又は名称】阿部 和夫
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| 【公開番号】 |
特開2008−18719(P2008−18719A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2007−159296(P2007−159296) |
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