| 【発明の名称】 |
印画方法及び画像形成装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】粟野 和利
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| 【要約】 |
【課題】使用済みの熱転写シートを巻き戻してサーマルヘッドの各素子に対し同じエネルギーを与え、適宜調整した中間色の階調(グレーベタ)で熱転写したとしても、当初画像のネガ像作製を防止する方法の提供。
【構成】熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、画像Zytの転写によりイエロー染料が低濃度化してなる残像Zyr、画像Zmtの転写によりマゼンタ染料が低濃度化してなる残像Zmr、及び、画像Zctの転写によりシアン染料が低濃度化してなる残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像が、該選ばれる残像をそれぞれ含む各色染料層の頭出しのための識別部位を重ね合わせたとき、互いにずれを生じるように印画することを特徴とする印画方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材シートの一方の面に面順次に設けてなる染料層としてイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を含む熱転写シートを用い、被転写画像Zについてイエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解してなる画像情報に応じて熱転写により前記イエロー染料層、前記マゼンタ染料層及び前記シアン染料層からそれぞれ受像シート上に転写した画像Zyt、画像Zmt及び画像Zctを重ね合せることにより転写画像Ztを形成することよりなる印画方法であって、 前記熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、前記画像Zytの転写によりイエロー染料が低濃度化してなる残像Zyr、前記画像Zmtの転写によりマゼンタ染料が低濃度化してなる残像Zmr、及び、前記画像Zctの転写によりシアン染料が低濃度化してなる残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像が、該選ばれる残像をそれぞれ含む各色染料層の頭出しのための識別部位を重ね合わせたとき、互いにずれを生じるように印画する ことを特徴とする印画方法。 【請求項2】 前記ずれは、前記残像Zyr、前記残像Zmr及び前記残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像それぞれについての印画開始位置がずれることにより生じる請求項1記載の印画方法。 【請求項3】 前記ずれは、前記残像Zyr、前記残像Zmr及び前記残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像それぞれの印画長さが異なることにより生じる請求項1又は2記載の印画方法。 【請求項4】 前記残像Zyr、前記残像Zmr及び前記残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像は、前記残像Zmr及び前記残像Zcrを含む請求項1〜3の何れか1項に記載の印画方法。 【請求項5】 前記ずれは、不規則に生じさせる請求項1〜4の何れか1項に記載の印画方法。 【請求項6】 前記ずれのパターンが乱数に基づき決定される請求項1〜5の何れか1項に記載の印画方法。 【請求項7】 (1)基材シートの一方の面に面順次に設けてなる染料層がイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を含む熱転写シートを搬送する熱転写シート駆動装置、(2)受像シートを搬送する受像シート駆動装置、及び、(3)被転写画像Zについてイエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解し、得られる画像情報に応じてサーマルヘッドに熱エネルギーを与える制御部Iを有する画像形成装置であって、 前記(1)熱転写シート駆動装置及び/又は前記(2)受像シート駆動装置は、前記イエロー染料層、前記マゼンタ染料層及び前記シアン染料層からそれぞれ前記画像情報に応じて熱転写により前記受像シート上に画像Zyt、画像Zmt及び画像Zctを転写するに際し、制御部IIにより駆動の動作を決定されるものであり、 前記制御部IIは、前記熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、前記画像Zytの転写によりイエロー染料が低濃度化してなる残像Zyr、前記画像Zmtの転写によりマゼンタ染料が低濃度化してなる残像Zmr、及び、前記画像Zctの転写によりシアン染料が低濃度化してなる残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像が、該選ばれる残像をそれぞれ含む各色染料層の頭出しのための識別部位を重ね合わせたとき、互いにずれを生じるように制御するものである ことを特徴とする画像形成装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、熱転写シートを用いた印画方法及び画像形成装置に関する。 【背景技術】 【0002】 熱転写方式を用いた画像形成では、主にイエロー、マゼンタ及びシアンの各色からなる染料層と、必要に応じてイエロー、マゼンタ及びシアンにより受容層に形成された画像を保護する透明保護層を基材シートの一方の面に面順次に設けてなる熱転写シートが用いられている。 【0003】 この画像形成は、例えばプリンター等の画像形成装置において熱転写シートを供給側から巻上げ側に搬送する途中で、イエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解された画像情報に応じた熱をサーマルヘッドからイエロー、マゼンタ及びシアンの各色染料層に加えて染料を受像シートに移行させる熱転写により行われている。 【0004】 熱転写シートの使用効率を高めることを目的として、受像シート被転写材の搬送速度を熱転写シートの搬送速度よりも相対的に大きくして熱転写を行う方法、いわゆるN倍モード方法、が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。 【0005】 熱転写方式による画像形成において、各色染料層からの転写では、サーマルヘッドの各素子に対し、画像情報に応じた濃度の染料が受像シート上に移行し、転写後の各色染料層の染料は、移行した分、少なくなる。その結果、熱転写後の使用済み熱転写シートには、画像様に画像を形成した痕跡が残され、具体的には、各色染料層において、各色に色分解された画像情報の反転画像が残されることとなる。 【0006】 もっとも、昇華転写においては、仮に高階調(黒色)の印画を行ったとしても、染料層中の全ての染料が移行するわけではないから、残される反転画像はうっすらと見える程度である。また、それぞれ色分解されているので、各染料層における画像形成の痕跡から形成画像の詳細を容易に認識することはできない。 【特許文献1】特開昭63−11368号公報 【特許文献2】特開昭63−165169号公報 【特許文献3】特開平3−247490号公報 【特許文献4】特開平3−120098号公報 【特許文献5】特開平4−39086号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、仮に、例えば画像を形成した装置と同じ画像形成装置を用い、使用後の熱転写シートを巻上げ側から供給側に巻き戻して再度熱転写を行う場合、サーマルヘッドの各素子に対し同じエネルギーを与え、適宜調整した中間色の階調(グレーベタ)で熱転写すると、該熱転写シートにより当初作製した画像のネガ像が得られる可能性がある。 【0008】 従って、個人情報保護及びセキュリティ性向上の点で、使用済みの熱転写シートから画像イメージを容易に取り出せないようにするため、画像再生防止策が求められる。 【0009】 本発明の目的は、上記現状に鑑み、使用済みの熱転写シートを巻き戻してサーマルヘッドの各素子に対し同じエネルギーを与え、適宜調整した中間色の階調(グレーベタ)で熱転写したとしても、当初画像のネガ像作製を防止する方法の提供にある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明は、基材シートの一方の面に面順次に設けてなる染料層としてイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を含む熱転写シートを用い、被転写画像Zについてイエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解してなる画像情報に応じて熱転写により上記イエロー染料層、上記マゼンタ染料層及び上記シアン染料層からそれぞれ受像シート上に転写した画像Zyt、画像Zmt及び画像Zctを重ね合せることにより転写画像Ztを形成することよりなる印画方法であって、上記熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、上記画像Zytの転写によりイエロー染料が低濃度化してなる残像Zyr、上記画像Zmtの転写によりマゼンタ染料が低濃度化してなる残像Zmr、及び、上記画像Zctの転写によりシアン染料が低濃度化してなる残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像が、該選ばれる残像をそれぞれ含む各色染料層の頭出しのための識別部位を重ね合わせたとき、互いにずれを生じるように印画することを特徴とする印画方法である。 【0011】 本発明は、(1)基材シートの一方の面に面順次に設けてなる染料層がイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を含む熱転写シートを搬送する熱転写シート駆動装置、(2)受像シートを搬送する受像シート駆動装置、及び、(3)被転写画像Zについてイエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解し、得られる画像情報に応じてサーマルヘッドに熱エネルギーを与える制御部Iを有する画像形成装置であって、前記(1)熱転写シート駆動装置及び/又は前記(2)受像シート駆動装置は、前記イエロー染料層、前記マゼンタ染料層及び前記シアン染料層からそれぞれ前記画像情報に応じて熱転写により前記受像シート上に画像Zyt、画像Zmt及び画像Zctを転写するに際し、制御部IIにより駆動の動作を決定されるものであり、前記制御部IIは、前記熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、前記画像Zytの転写によりイエロー染料が低濃度化してなる残像Zyr、前記画像Zmtの転写によりマゼンタ染料が低濃度化してなる残像Zmr、及び、前記画像Zctの転写によりシアン染料が低濃度化してなる残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像が、該選ばれる残像をそれぞれ含む各色染料層の頭出しのための識別部位を重ね合わせたとき、互いにずれを生じるように制御するものであることを特徴とする画像形成装置である。 以下に本発明を詳細に説明する。 【0012】 本発明の印画方法に用いる熱転写シートは、基材シートの一方の面に染料層を設けたものであるが、該染料層として、少なくとも、イエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を含む。 【0013】 上記熱転写シートにおける基材シートとしては、プラスチックフィルム、紙類、セロファン等、従来の熱転写シートに使用されているものと同様の基材シートをそのまま用いることができる。上記基材シートは、特に限定されないが、易接着処理等、各種表面処理を行ったものであってもよい。 また、上記基材シートは、上記プラスチックフィルム、紙類及びセロファンのうち2種以上を積層した複合フィルムであってもよい。 【0014】 上記熱転写シートにおける染料層は、基材シートの一方の面に面順次に設けてなるものであるが、上記イエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層の順序は特に限定されない。 上記染料層は、一般に、昇華性染料を任意のバインダーにより担持してなる層である。上記染料層は、従来公知の方法にて、公知の昇華性染料と公知のバインダー樹脂とから形成することができる。上記昇華性染料としては、熱により、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料であれば、いずれも本発明に使用可能であり、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。 本発明の印画方法は、上記染料層を設けたものであれば、従来公知の熱転写シート、汎用される熱転写シートを含め広範な熱転写シートに適用することができる。 本明細書において、「被転写画像Z」は、転写対象となるものであれば特に限定されず、例えば、図画、写真等のみならず、文字・記号等をも含む。 【0015】 本発明の印画方法は、被転写画像Zについてイエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解してなる画像情報に応じて熱転写により上記イエロー染料層、上記マゼンタ染料層及び上記シアン染料層からそれぞれ受像シート上に転写した画像Zyt、画像Zmt及び画像Zctを重ね合せることにより転写画像Ztを形成することよりなる印画方法である。 【0016】 上記印画方法は、詳しくは、被転写画像Zについて少なくともイエロー、マゼンタ及びシアンの3色に色分解してなる画像情報を得る工程(i)、及び、該色分解してなる画像情報に応じて熱転写により受像シート上に画像を転写する工程(ii)を含む。 【0017】 上記工程(i)における色分解は、従来公知の方法により行うことができる。 上記工程(ii)は、一般に、熱転写シートと受像シートとを、該熱転写シートにおける染料層が該受像シートに接し得るように配置し、熱転写シートにおける該染料層を設けた側と反対側の面に配置したサーマルヘッドを圧接して、上記工程(i)により得られる画像情報に応じて受像シート上に画像を記録することにより行う。 【0018】 上記工程(ii)は、通常、上記工程(i)により各色に色分解して得られる画像情報のうち、イエローに色分解してなる画像情報に応じた画像Zytを、熱転写により、上記イエロー染料層から受像シート上に転写する工程(iy)、上記工程(i)により各色に色分解して得られる画像情報のうち、マゼンタに色分解してなる画像情報に応じた画像Zmtを、熱転写により、上記マゼンタ染料層から受像シート上に転写する工程(im)、及び、上記工程(i)により各色に色分解して得られる画像情報のうち、シアンに色分解してなる画像情報に応じた画像Zctを、熱転写により、上記シアン染料層から受像シート上に転写する工程(ic)を含む。 上記工程(iy)、工程(im)及び工程(ic)の順序は特に限定されないが、一般に、上述した基材シートの一方の面に設けてなるイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層が面順次に並べられた順に従う。 【0019】 上記工程(iy)、工程(im)及び工程(ic)それぞれにおける画像は、何れも、受像シート上の同一の場所に転写する。そのため、通常、熱転写時における受像シートのサーマルヘッドに対する位置を固定し、各色染料層が受像シート上の同一の転写場所に向かい合わせになるように、該各色染料層の頭出しを行う。 上記頭出しは、通常、各色染料層の頭出しのための識別部位を検知し、該識別部位が転写のための所定位置に来るまで熱転写シートを搬送することにより行う。 【0020】 上記識別部位としては、特に限定されないが、例えば、該識別のために基材シート上に設けられた検知マーク、各色染料層の切り替わり部位等が挙げられる。 上記検知マークは、感熱記録プリンターの位置検知機構で検知できるものであれば、何れの色であってもよく、例えば、黒色、赤色等の人の視覚でも認識できる色でもよいし、無色透明で赤外線を吸収するインキで構成し、赤外線検知器が検知するようにしてもよい。上記検知マークは、磁性体インキ又は導電体インキで印刷し、電磁気的に検知するようにしてもよい。 上記検知マークとしては、特に限定されず、例えば、公知のインキと印刷法により形成することができる。 上記検知マークは、線分、直線、見当トンボ等、各種のパターン等として形成することができる。 上記検知マークは、例えば、基材シートの表面又は裏面、透明保護層の表面等、印字に使用しない部分に形成することができる。 【0021】 上記画像Zyt、画像Zmt及び画像Zctは、上述の各色染料層の頭出しを行い受像シートの同一の場所に転写されることにより、相互に重ね合せられ、その結果、転写画像Ztを形成することとなる。 【0022】 上記工程(iy)、工程(im)及び工程(ic)それぞれにおける各色染料層は、画像転写のために各色染料が受像シート上に移行する結果、画像の濃淡に応じて染料濃度が低下するが、通常、転写前の染料層に存在していた染料の全てが転写されるわけではなく、反転画像がうっすらと見える程度の残像を有する。 【0023】 本発明の印画方法は、上記熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、上記画像Zytの転写によりイエロー染料が低濃度化してなる残像Zyr、上記画像Zmtの転写によりマゼンタ染料が低濃度化してなる残像Zmr、及び、上記画像Zctの転写によりシアン染料が低濃度化してなる残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像が、該選ばれる残像をそれぞれ含む各色染料層の頭出しのための識別部位を重ね合わせたとき、互いにずれを生じるように印画するものである。 【0024】 上記印画方法は、例えば、上記選ばれる少なくとも2つの残像が残像Zmr及び残像Zcrである場合、熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、残像Zmrを含むマゼンタ染料層の頭出しのための識別部位と、残像Zcrを含むシアン染料層の頭出しのための識別部位とを重ね合わせたとき、残像Zmrと残像Zcrとが互いにずれを生じていることとなるように印画するものである。 【0025】 例えば、上記選ばれる少なくとも2つの残像が残像Zmr及び残像Zcrである場合、残像Zyrは、残像Zmr及び残像Zcrの双方とずれを生じてもよいし、残像Zmrとずれを生じ残像Zcrと同じであってもよいし、残像Zmrと同じで残像Zcrとずれを生じてもよい。 【0026】 上記残像Zyr、残像Zmr及び残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像は、ネガ像作製防止の点で、残像Zyrよりも濃色であるので、残像Zmr及び残像Zcrを含むことが好ましく、残像Zyr、残像Zmr及び残像Zcrが相互にずれを生じることがより好ましい。上記選ばれる少なくとも2つの残像が濃色である場合、元画像が識別しにくくなるので、ネガ像作製を防止し易くなる。 【0027】 本発明において、上記ずれとしては、例えば、(A)残像Zyr、残像Zmr及び残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像それぞれについての印画開始位置がずれることにより生じるもの、(B)残像Zyr、残像Zmr及び残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像それぞれの印画長さが異なることにより生じるもの、等が挙げられる。 【0028】 上記(A)におけるずれは、例えば、上記選ばれる少なくとも2つの残像が残像Zmr及び残像Zcrである場合、マゼンタ染料層の頭出しのための識別部位と、画像Zmtの印画開始位置との間の長さと、シアン染料層の頭出しのための識別部位と、画像Zctの印画開始位置との間の長さとを異ならせることにより生じさせることができる。イエロー、マゼンタ及びシアンの各色染料層は、一般に、転写画像の大きさを包含する大きさで設けられている。識別部位は、通常、各色染料層の頭出しのために常に検知される。 【0029】 従来、熱転写シートにおいて、各色染料層についての識別部位の位置と、各色に色分解してなる画像情報に応じた転写ないし印画を開始する位置との間は、一定の長さであり、通常、各色染料層についての識別部位を検知することのみにより、各色染料層からの印画開始位置が定まるものであった。従って、従来の印画方法により熱転写された使用済み熱転写シートを、画像形成装置において巻取り側から供給側に巻き戻し、再度従来の方法により熱転写すると、各色染料層から転写された画像が受像シート上の同じ位置から印画が開始され、各色に基づく画像が重なり合って、被転写画像を判別し得る程度に明瞭なネガ像が得られることがある。 【0030】 本発明の印画方法は、上記ずれとして、例えば上述の(A)のずれを生じさせることにより、該使用済み熱転写シートを、該巻取り側から供給側に巻き戻して再度従来の方法により熱転写しても、該ずれを生じた少なくとも2つの染料層からの転写が、受像シート上の異なる位置から開始されるので、相互に画像イメージが重ならず、得られる画像から被転写画像を判別することができない。 【0031】 上記(B)におけるずれは、例えば、上記選ばれる少なくとも2つの残像が残像Zmr及び残像Zcrである場合、残像Zmrの印画長さと残像Zcrの印画長さとを異ならせることにより生じさせることができる。 印画長さは、熱転写シートないし受像シートの搬送方向における印画領域の長さである。 【0032】 従来、印画長さは、通常、各色染料層からの転写において一定であった。従って、従来、各色染料層についての識別部位を検知すると、上述のとおり、該識別部位から当距離の位置から各色染料層からの印画が開始され、何れの色の染料層においても印画長さが同じであった。従って、従来の印画方法により熱転写された使用済み熱転写シートを、画像形成装置において巻取り側から供給側に巻き戻し、再度従来の方法により熱転写すると、各色染料層から転写された画像が受像シート上の同じ位置から開始され、印画長さが同じとなるので、各色に基づく画像が重なり合って、被転写画像を判別し得る程度に明瞭なネガ像が得られることがある。 【0033】 本発明の印画方法において、上述の(B)のずれを生じさせることにより得られた使用済み熱転写シートは、印画長さの相違に起因して、少なくとも2つの染色層が互いに形状が異なる残像を有することとなる。ゆえに、上記使用済み熱転写シートを該巻取り側から供給側に巻き戻して再度従来の方法により受像シート上の同じ位置から熱転写を開始する場合であっても、該少なくとも2つの染色層から得られる画像イメージは相互に重ならず、得られる画像から被転写画像を判別することができない。 【0034】 上記(B)のずれは、例えば、転写時における熱転写シートの受像シートに対する搬送速度を、イエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層よりなる群から選ばれる少なくとも2つの染料層からの各転写において相異ならせることにより、生じることができ、例えば、転写時において、受像シートの搬送速度を変化させてもよいが、その場合印画速度も併せて変化する必要があり制御が煩雑になる傾向にあることから、印画速度を一定とし、熱転写シートの搬送速度を変化させる方法が、簡便さの点で好ましい。 【0035】 本発明におけるずれは、上述の(A)又は(B)の何れかであっても、ごく僅かのずれを生じるだけで、ネガ作製を防止することができるが、ネガ作製防止力を高め得る点で、(A)及び(B)の両方のずれを生じるものであってもよい。 【0036】 本発明の印画方法は、少なくとも、イエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解してなる画像情報に応じて熱転写によりイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層からそれぞれ1回ずつ受像シート上に転写することを含む一連の工程を1つのサイクルと捉えることができる。 本発明の印画方法は、該1つのサイクルにおいて、上述のずれを生じることのみによっても、ネガ作製を防止することができる。 【0037】 しかしながら、本発明におけるずれは、不規則に生じさせることが好ましい。 本発明において、ずれを「不規則に生じさせる」とは、例えば、上記1つのサイクルのみならず、複数のサイクルにわたって不規則に生じさせる場合が挙げられる。 本発明におけるずれを該「不規則に生じさせる」と、仮に、先に熱転写を行った画像形成装置と同じ装置を用い、該先の熱転写後の使用済み熱転写シートを巻取り側から供給側に巻き戻して再度印画開始位置及び印画長さを同一にして熱転写する場合であっても、ネガ作製を充分に防止することができる。 【0038】 本発明において、上記ずれを不規則に生じさせる機構としては特に限定されないが、容易に行える点で、例えば、ずれのパターンを乱数に基づき決定することが好ましい。 該ずれのパターンを乱数に基づき決定する方法としては、特に限定されず、例えば、乱数を発生させる機構を有する制御部を画像形成装置に設け、乱数に基づき印画開始位置及び/又は印画長さを決定して転写を行う方法等が挙げられる。 上記乱数を発生させる機構としては、例えば物理乱数生成関数に基づき乱数を発生させる機構等、従来公知の機構が挙げられる。 【0039】 本発明の印画方法では、一般に販売されていない業務用プリンターで上述の(A)及び/又は(B)のずれを生じさせるように熱転写を行うことにより、その熱転写後に得られる使用済み熱転写シートを、市販のプリンターを用いて再度印画しても鮮明なネガ像を得ることはできないものとすることができる。 【0040】 本発明の画像形成装置は、(1)基材シートの一方の面に面順次に設けてなる染料層がイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を含む熱転写シートを搬送する熱転写シート駆動装置、(2)受像シートを搬送する受像シート駆動装置、及び、(3)被転写画像Zについてイエロー、マゼンタ及びシアンにそれぞれ色分解し、得られる画像情報に応じてサーマルヘッドに熱エネルギーを与える制御部Iを有するものである。 【0041】 本発明の画像形成装置において、上記(1)熱転写シート駆動装置及び/又は上記(2)受像シート駆動装置は、上記イエロー染料層、上記マゼンタ染料層及び上記シアン染料層からそれぞれ上記画像情報に応じて熱転写により上記受像シート上に画像Zyt、画像Zmt及び画像Zctを転写するに際し、制御部IIにより駆動の動作を決定されるものである。 【0042】 本発明の画像形成装置の一例として、図1を示す。 上記図において、1は熱転写シート供給ロール、2は熱転写シート巻き取りロール、3は摩擦ローラ、4はサーマルヘッド、5はプラテンローラ、6は給紙ローラ、7はグリップローラ、8は制御部、9はドライバー、10は電源、11はマルチ制御モ−タ、12は記録ヘッド移動モータ、13はトルクリミッタ、14は熱転写シート駆動装置、15は受像シート駆動装置である。 上記制御部8は、制御部I及び制御部IIからなるものである。 上記制御部Iは、制御信号を介して記録ヘッド移動モータ12を制御するものである。 【0043】 本発明の画像形成装置において、上記制御部IIは、上記熱転写の後に得られる使用済み熱転写シートにおいて、上記画像Zytの転写によりイエロー染料が低濃度化してなる残像Zyr、上記画像Zmtの転写によりマゼンタ染料が低濃度化してなる残像Zmr、及び、上記画像Zctの転写によりシアン染料が低濃度化してなる残像Zcrよりなる群から選ばれる少なくとも2つの残像が、該選ばれる残像をそれぞれ含む各色染料層の頭出しのための識別部位を重ね合わせたとき、互いにずれを生じるように制御するものである。 【0044】 上記制御部IIは、制御信号を介して、給紙ローラ6、マルチ制御モータ11、受像シート駆動装置15及び熱転写シート駆動装置14を制御し、上記熱転写シート駆動装置14からの駆動力を、トルクリミッタ13を介して熱転写シート巻き取りロール2に伝達することによって、熱転写シートを、熱転写シート供給ロール1から繰り出した後、熱転写シート巻き取りロ−ル2に巻き取っていくものである。 熱転写シートは、サーマルヘッド4とプラテンローラ5との間に配置されており、サーマルヘッド4は、染料層と反対側の面に接している。 【0045】 上記受像シートは、給紙ローラ6の回転によって、サーマルヘッド4とプラテンローラ5との間に送り込まれ、サーマルヘッドにより画像が転写され、受像シート駆動装置15からの駆動力を受けたグリップローラ7の回転によって排紙される。この際、受像シートがサーマルヘッド4とプラテンローラ5との間に送り込まれるまでは、サーマルヘッド4はプラテンローラ5から離間しており、受像シートがサーマルヘッド4とプラテンローラ5との間に送り込まれた後は、記録移動モータ12の働きにより、サーマルヘッド4がプラテンローラ5に熱転写シート及び受像シートを介して押圧する。 【0046】 熱転写シート供給ロール1から繰り出された熱転写シートは、サーマルヘッド4まで搬送される間に、サーマルヘッド4と接している側とは反対側、即ち染料層側で摩擦ローラ3と接している。 上記摩擦ローラ3は、マルチ制御モータ11から駆動力を付与されている。 上記マルチ制御モータ11は、制御部IIにより熱転写シートの搬送速度と受像シートの搬送速度とを調整している。ここで、制御部IIは、上述のずれが生じるよう印画開始位置及び/又は印画長さを決定し、該印画開始位置及び該印画長さに応じて各搬送速度を調整している。 【0047】 本発明の画像形成装置は、上記制御部IIを有し、各染料層における画像形成位置にずれを容易に生じさせることができるので、上述の本発明の印画方法に好適に用いることができる。 【発明の効果】 【0048】 本発明の印画方法は、上記構成よりなるので、使用済みの熱転写シートを巻き戻してサーマルヘッドの各素子に対し同じエネルギーを与え、適宜調整した中間色の階調(グレーベタ)で熱転写しても、当初画像のネガ像作製を防止することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0049】 以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。 なお、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。 【0050】 実施例1〜24 (1)下記組成からなるイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を面順次に設けた熱転写シートを使用し、プリンタAで画像1を形成した。 なお、上記熱転写シートは、各染料層のサイズが縦(印画方向)180mm×横110mmであり、上記各染料層の先頭に検知マークを設けたものであり、プリンタAは、上記検知マークを検知して上記各染料層の頭出しを行うものである。 【0051】 <イエロー染料層組成> イエロー染料 5.5部 (バイエル社製 Macrolex Yellow 6G) ポリビニルブチラール樹脂 4.5部 (エスレックBX−1 積水化学工業(株)製) メチルエチルケトン 45部 トルエン 45部 【0052】 <マゼンタ染料層組成> マゼンタ染料 5.5部 (C.I. Disperse Red 60) ポリビニルブチラール樹脂 4.5部 (エスレックBX−1 積水化学工業(株)製) メチルエチルケトン 45部 トルエン 45部 【0053】 <シアン染料層組成> シアン染料 5.5部 (C.I. Solvent Blue 63) ポリビニルブチラール樹脂 4.5部 (エスレックBX−1 積水化学工業(株)製) メチルエチルケトン 45部 トルエン 45部 【0054】 (2)上記(1)と同種の熱転写シートを用いて、画像形成の方向と同じ方向に、各染料層の印字開始位置を上記(1)より1mm進める以外は上記(1)と同様に印画条件を設定して、プリンタAを用いて画像2を別途形成した。 【0055】 (3)上記(1)と同種の熱転写シートを用いて、画像形成の方向と同じ方向に、各染料層の印字開始位置を1mm遅らせた以外は上記(1)と同様に印画条件を設定して、プリンタAを用いて画像3を別途形成した。 【0056】 各画像1〜3形成後の熱転写シートについて、イエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層に分け、例えば、表1に示すように、画像1のイエロー染料層、画像2のマゼンタ染料層及び画像1のシアン染料層との組み合わせ等、異なる画像を形成した染料層同士を組み合せて、実施例1〜24の擬似的な画像形成済み熱転写シートを作製した。 上記画像形成済み熱転写シートを供給側のコアに巻き付けて、上記プリンタAを用いて、上記(1)と同条件で、145階調のグレーベタを印画した。 【0057】 比較例1〜3 上述の画像1〜3を別途形成して得られた画像形成済みの熱転写シートをそれぞれ1画面巻き戻し、上記プリンタAを用いて、実施例1〜24(1)と同条件で、145階調のグレーベタを印画した。 【0058】 試験例1 実施例1〜24及び比較例1〜3の各画像形成済みの熱転写シートから得られた各印画物について、ネガ画像の認識し易さを下記評価基準に基づき目視にて評価した。 【0059】 評価基準 ○:元画像を認識できる。 △:元画像をやや認識できる。 ×:元画像を認識しにくい。 【0060】 実施例1〜24の画像形成済み熱転写シートの組合せ、及び、各試験結果を表1にまとめた。 【0061】 【表1】
【0062】 実施例1〜24の画像形成済み熱転写シートのうち、互いに異なる画像を形成した染料層を組合せた実施例5、7、11、14、18、20は、特にネガ像を認識しにくかった。イエロー、シアン及びマゼンタの各染料層の印字開始位置が全て異なる画像を形成すると、ネガ像を認識しにくくする効果が一番顕著であるが、全て異ならないまでも、例えば、実施例4、8等のネガ画像が認識しやすくなっていることから、マゼンタとシアンとは印字開始位置が異なった画像を形成することが好ましいことが分かった。 【0063】 実施例25〜48 (1)実施例1〜24と同様にイエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を面順次に設けた熱転写シートを使用し、印画長さ140mmに調整して、プリンタAにて画像4を形成した。 なお、上記熱転写シートは、各染料層のサイズが縦(印画方向)190mm×横110mmであり、上記各染料層の先頭に検知マークを設けたものであり、プリンタAは、上記検知マークを検知して上記各染料層の頭出しを行うものである。 【0064】 (2)上記(1)と同種の熱転写シートを用いて、画像形成の方向と同じ方向に、上記熱転写シート送り速度を調整することにより各染料層の印字範囲を上記(1)より1mm引き延ばした以外は上記(1)と同様に印画条件を設定して、プリンタAを用いて画像5を別途形成した。 【0065】 (3)上記(1)と同種の熱転写シートを用いて、画像形成の方向と同じ方向に、上記熱転写シート送り速度を調整することにより各染料層の印字範囲を上記(1)より1mm縮めた以外は上記(1)と同様に印画条件を設定して、プリンタAを用いて画像6を別途形成した。 【0066】 各画像4〜6形成後の熱転写シートについて、イエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層に分け、例えば表2に示すように、画像4のイエロー染料層、画像5のマゼンタ染料層及び画像4のシアン染料層との組み合わせ等、異なる画像を形成した染料層同士を組み合せて、実施例25〜48の擬似的な画像形成済み熱転写シートを作製した。 上記画像形成済み熱転写シートを供給側のコアに巻き付けて、上記プリンタAを用いて、上記(1)と同条件で、145階調のグレーベタを印画した。 【0067】 比較例4〜6 上述の画像4〜6を別途形成して得られた画像形成済みの熱転写シートをそれぞれ1画面巻き戻し、上記プリンタAを用いて、実施例25〜48(1)と同条件で、145階調のグレーベタを印画した。 【0068】 試験例2 実施例25〜48及び比較例4〜6の各画像形成済みの熱転写シートから得られた各印画物について、ネガ画像の認識し易さを試験例1と同様の評価基準で目視にて評価した。 実施例25〜48の画像形成済み熱転写シートの組合せ、及び、各試験結果を表2にまとめた。 【0069】 【表2】
【0070】 実施例25〜48の画像形成済み熱転写シートのうち、互いに異なる画像を形成した染料層を組合せた実施例29、31、35、38、42、44は、特にネガ像を認識しにくかった。また、イエロー、シアン及びマゼンタの各染料層の印字長さが全て異なる画像を形成すると、ネガ像を認識しにくくする効果が一番顕著であるが、全て異ならないまでも、例えば、実施例28、32等のネガ画像が認識しやすくなっていることから、マゼンタとシアンとは各染料層の印字長さが異なった画像を形成することが好ましいことが分かった。 一方、比較例4〜6の画像形成済み熱転写シートは、ネガ像を認識しやすかった。 【産業上の利用可能性】 【0071】 本発明の印画方法は、上記構成よりなるので、使用済みの熱転写シートを巻き戻してサーマルヘッドの各素子に対し同じエネルギーを与え、適宜調整した中間色の階調(グレーベタ)で熱転写しても、当初画像のネガ像作製を防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【0072】 【図1】本発明の画像形成装置の一例を示した図である。 【図2】実施例1〜24における印画方法の模式図である。 【図3】実施例25〜48における印画方法の模式図である。 【符号の説明】 【0073】 1.熱転写シート供給ロール 2.熱転写シート巻き取りロール 3.摩擦ローラ 4.サーマルヘッド 5.プラテンローラ 6.給紙ローラ 7.グリップローラ 8.制御部 9.ドライバー 10.電源 11.マルチ制御モータ 12.記録ヘッド移動モータ 13.トルクリミッタ 14.熱転写シート駆動装置 15.受像シート駆動装置 21.イエロー染料層 22.マゼンタ染料層 23.シアン染料層 24.検知マーク 31.イエロー染料層 32.マゼンタ染料層 33.シアン染料層 34.検知マーク
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002897 【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月14日(2006.7.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086586 【弁理士】 【氏名又は名称】安富 康男
【識別番号】100120019 【弁理士】 【氏名又は名称】八木 敏安
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| 【公開番号】 |
特開2008−18701(P2008−18701A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−194908(P2006−194908) |
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