| 【発明の名称】 |
印刷装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐野 強
【氏名】田之上 剛
|
| 【要約】 |
【課題】フチなし印刷を行う際に、印刷用紙の外に打ち捨てられるインクを受ける受け部に、インクを堆積させることなく受け部の外部へインクを排出すること。
【構成】インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、を備え、前記受け部には、毛細管現象を利用して前記インクを前記受け部の外部に排出する隙間が設けられていること、を特徴とする印刷装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インクが吐出されるノズルと、 前記ノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、 を備え、 前記受け部には、毛細管現象を利用して前記インクを前記受け部の外部に排出する隙間が設けられていること、 を特徴とする印刷装置。 【請求項2】 請求項1に記載の印刷装置であって、 前記隙間が、前記受け部の底面に設けられている、 印刷装置。 【請求項3】 請求項2に記載の印刷装置であって、 複数の前記ノズルが所定方向に並んで配置されており、 前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さよりも長い、 印刷装置。 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷装置であって、 前記隙間は、前記インクが前記受け部に着弾する領域に、設けられている、 印刷装置。 【請求項5】 請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷装置であって、 前記受け部は、溝形状となっている溝部とインク吸収体を有し、前記インク吸収体は、前記溝部に埋め込まれ、 前記溝部は、前記媒体の端部と平行な面である2つの側面を有し、 前記2つの側面のうちの、前記媒体に近い方の側面に近い領域に、前記隙間は設けられている、 印刷装置。 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷装置であって、 前記隙間には、フィルム状である誘導部材の一部が、挿入される、 印刷装置。 【請求項7】 請求項6に記載の印刷装置であって、 前記誘導部材の一部は、前記隙間から前記受け部の外部側に突出している、 印刷装置。 【請求項8】 請求項7に記載の印刷装置であって、 前記受け部の外部に、前記隙間と対向する位置に、外部排出部を備え、 前記誘導部材の一部と前記外部排出部が接触している、 印刷装置。 【請求項9】 請求項1から請求項8のいずれかに記載の印刷装置であって、 前記受け部は、溝形状となっている溝部とインク吸収体を有し、前記インク吸収体は、前記溝部に埋め込まれ、 前記誘導部材のうち前記隙間に挿入されていない部分は、前記溝部の底面と前記インク吸収体の間に設けられ、 前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の少なくとも一部分は、前記隙間と対向している、 印刷装置。 【請求項10】 請求項9に記載の印刷装置であって、 前記インク吸収体の少なくとも一部分は、前記溝部の底面と対向している、 印刷装置。 【請求項11】 請求項9または請求項10に記載の印刷装置であって、 前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の端部が、前記隙間の上に位置する、 印刷装置。 【請求項12】 請求項11に記載の印刷装置であって、 前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の端部のうち、前記隙間の上に位置する端部よりも、前記隙間の上に位置する端部と反対側の端部の方が、前記媒体に近い、 印刷装置。 【請求項13】 請求項9から請求項12のいずれかに記載の印刷装置であって、 複数の前記ノズルが所定方向に並んで配置されており、前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さよりも長く、 前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の一部は、第1誘導部と第2誘導部から成り、 前記第1誘導部と前記第2誘導部は前記所定方向に並び、前記第1誘導部と前記第2誘導部の間の前記溝部の底面は、前記インク吸収体と対向している、 印刷装置。 【請求項14】 請求項9から請求項13のいずれかに記載の印刷装置であって、 前記インク吸収体と対向する前記誘導部材は、インクが通り抜けることが出来る部材である、 印刷装置。 【請求項15】 インクが吐出されるノズルと、 前記ノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、 フィルム状である誘導部材と、 前記受け部の外部に、外部排出部と、 を備え、 複数の前記ノズルは所定方向に並んでおり、 前記受け部は、溝形状となっている溝部とインク吸収体を有し、前記インク吸収体は、前記溝部に埋め込まれ、 前記受け部の底面に前記インクが着弾する領域には、毛細管現象を利用して前記インクを前記受け部の外部に排出する隙間が設けられ、前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さよりも長く、 前記誘導部材の一部は、前記隙間に挿入され、前記隙間から前記受け部の外部側に突出し、前記隙間と対向する位置に設けられている前記外部排出部に接触しており、 前記誘導部材のうち前記隙間に挿入されていない部分は、前記溝部の底面と前記インク吸収体の間に設けられ、 前記インク吸収体の少なくとも一部分は、前記溝部の底面と対向しており、 前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の端部が、前記隙間の上に位置すること、 と特徴とする印刷装置。 【請求項16】 インクが吐出される複数のノズルと、 前記複数のノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、 を備え、 前記複数のノズルは所定方向に並んでおり、 前記受け部の底面には、前記インクを前記受け部の外部へ排出する隙間が設けられ、前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さより長いこと、 を特徴とする印刷装置。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、印刷装置に関する。 【背景技術】 【0002】 ノズルからインクを吐出し、媒体上にドットを形成して印刷するインクジェットプリンタ等の印刷装置の発達により、媒体のフチまで印刷が行える印刷装置が実現している。 媒体のフチまで印刷を行う方法として、媒体のフチの外側までインクを吐出する方法が知られている。この方法によれば、媒体のフチの位置にばらつきがあっても、余白なく印刷が行われる。また、媒体に着弾しなかったインクは、吸収材等が設けられているインク受け部が受ける。(特許文献1参照) 【特許文献1】特開2002−225311号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 インク受け部が受けたインクがその場に堆積すると、媒体等を汚す原因となってしまう。その為、インク受け部に排出口等を設け、インクをインク受け部の外部へ排出させる必要がある。しかしながら、インク受け部のインクが、毛細管現象により、排出口ではなく、インク受け部の側面や底面と吸収材の間に生じる細い隙間に導かれ、インク受け部の内部に堆積してしまう問題が発生した。 【0004】 そこで、本発明では、インク受け部にインクを堆積させること無く、インク受け部の外部にインクを排出することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、を備え、前記受け部には、毛細管現象を利用して前記インクを前記受け部の外部に排出する隙間が設けられていること、を特徴とする印刷装置。 【0006】 本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 ===開示の概要=== 本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。 【0008】 すなわち、インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、を備え、前記受け部には、毛細管現象を利用して前記インクを前記受け部の外部に排出する隙間が設けられていることを特徴とする印刷装置であること。 このような印刷装置によれば、インクが受け部の外部へ排出されやすくなる。 【0009】 かかる印刷装置であって、前記隙間が、前記受け部の底面に設けられていること。 このような印刷装置によれば、毛細管現象だけでなく、インクの自重によっても、インクが受け部の外部へ排出されやすくなる。 【0010】 かかる印刷装置であって、複数の前記ノズルが所定方向に並んで配置されており、前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さよりも長いこと。 このような印刷装置によれば、打ち捨てられたインクが満遍なく受け部の外部へ排出されやすくなる。仮に、隙間の所定方向と垂直の方向の長さの方が、所定方向(ノズル列方向)よりも長かった場合、隙間に近い箇所に打ち捨てられたインクは排出されやすくなるが、隙間から離れた箇所に打ち捨てられたインクは排出されにくくなる。 【0011】 かかる印刷装置であって、前記隙間は、前記インクが前記受け部に着弾する領域に、設けられていること。 このような印刷装置によれば、インクが排出口まで移動する距離が短く、インクが受け部の外部へ排出されやすくなる。 【0012】 かかる印刷装置であって、前記受け部は、溝形状となっている溝部とインク吸収体を有し、前記インク吸収体は、前記溝部に埋め込まれ、前記溝部は、前記媒体の端部と平行な面である2つの側面を有し、前記2つの側面のうちの、前記媒体に近い方の側面に近い領域に、前記隙間は設けられていること。 このような印刷装置によれば、媒体側の側面付近にインクが堆積し、媒体を汚してしまうことを防ぐことができる。 【0013】 かかる印刷装置であって、前記隙間には、フィルム状である誘導部材の一部が、挿入されること。 このような印刷装置によれば、隙間に誘導部材を設けることで、隙間内のインクが隙間外へ排出されやすくなる。 【0014】 かかる印刷装置であって、前記誘導部材の一部は、前記隙間から前記受け部の外部側に突出していること。 このような印刷装置によれば、隙間内のインクが隙間外へ排出されやすくなる。 【0015】 かかる印刷装置であって、前記受け部の外部に、前記隙間と対向する位置に、外部排出部を備え、前記誘導部材の一部と前記外部排出部が接触していること。 このような印刷装置によれば、隙間外へ排出されたインクが外部排出部に吸収されやすくなる。 【0016】 かかる印刷装置であって、前記受け部は、溝形状となっている溝部とインク吸収体を有し、前記インク吸収体は、前記溝部に埋め込まれ、前記誘導部材のうち前記隙間に挿入されていない部分は、前記溝部の底面と前記インク吸収体の間に設けられ、前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の少なくとも一部分は、前記隙間と対向していること。 このような印刷装置によれば、毛細管現象により、溝部の底面の上に設けられた誘導部材と受け部の間にインクが導かれ、インクが隙間に導かれやすくなる。 【0017】 かかる印刷装置であって、前記インク吸収体の少なくとも一部分は、前記溝部の底面と対向していること。 このような印刷装置によれば、インク吸収体と溝部の底面の上に設けられた誘導部材の間のインクが、隙間に導かれやすくなる。 【0018】 かかる印刷装置であって、前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の端部が、前記隙間の上に位置すること。 このような印刷装置によれば、誘導部材により、隙間が完全に覆われてしまわない為、インク吸収体と溝部の底面の上に設けられた誘導部材の間のインクが隙間から排出されやすくなる。 【0019】 かかる印刷装置であって、前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の端部のうち、前記隙間の上に位置する端部よりも、前記隙間の上に位置する端部と反対側の端部の方が、前記媒体に近いこと。 このような印刷装置によれば、溝部内の媒体側のインクが、誘導部材により、隙間に導かれやすくなることで、媒体が汚れることを防ぐことができる。 【0020】 かかる印刷装置であって、複数の前記ノズルが所定方向に並んで配置されており、前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さよりも長く、前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の一部は、第1誘導部と第2誘導部から成り、前記第1誘導部と前記第2誘導部は前記所定方向に並び、前記第1誘導部と前記第2誘導部の間の前記溝部の底面は、前記インク吸収体と対向していること。 このような印刷装置によれば、インク吸収体と、溝部の底面の上に設けられた誘導部材の間のインクが、隙間に導かれやすくなる。 【0021】 かかる印刷装置であって、前記インク吸収体と対向する前記誘導部材は、インクが通り抜けることが出来る部材であること。 このような印刷装置によれば、インク吸収体と、溝部の底面の上に設けられた誘導部材の間のインクが、隙間に導かれやすくなる。 【0022】 そして、インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、フィルム状である誘導部材と、前記受け部の外部に、外部排出部と、を備え、複数の前記ノズルは所定方向に並んでおり、前記受け部は、溝形状となっている溝部とインク吸収体を有し、前記インク吸収体は、前記溝部に埋め込まれ、前記受け部の底面に前記インクが着弾する領域には、毛細管現象を利用して前記インクを前記受け部の外部に排出する隙間が設けられ、前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さよりも長く、前記誘導部材の一部は、前記隙間に挿入され、前記隙間から前記受け部の外部側に突出し、前記隙間と対向する位置に設けられている前記外部排出部に接触しており、前記誘導部材のうち前記隙間に挿入されていない部分は、前記溝部の底面と前記インク吸収体の間に設けられ、前記インク吸収体の少なくとも一部分は、前記溝部の底面と対向しており、前記インク吸収体と対向する前記誘導部材の端部が、前記隙間の上に位置する印刷装置が実現できる。 このような印刷装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。 【0023】 また、インクが吐出される複数のノズルと、前記複数のノズルから吐出されたインクのうち、媒体に着弾しないインクを受ける受け部と、を備え、前記複数のノズルは所定方向に並んでおり、前記受け部の底面には、前記インクを前記受け部の外部へ排出する隙間が設けられ、前記隙間の前記所定方向の長さは、前記隙間の前記所定方向と垂直の方向の長さより長い印刷装置であること。 このような印刷装置によれば、打ち捨てられたインクが満遍なく受け部の外部へ排出されやすくなる。 【0024】 ===インクジェットプリンタの構成要素と印刷手順=== 印刷装置として、インクジェットプリンタを例にとり、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態のプリンタ50全体構成ブロック図である。図2は、プリンタ50の全体構成の概略図である。また、図3は、プリンタ50全体構成の断面図である。まず、プリンタ50の構成要素について説明する。本実施形態のプリンタ50は、搬送ユニット60、キャリッジユニット70、ヘッドユニット80、検出器群90、およびコントローラ100を有する。 【0025】 搬送ユニット60は、紙(媒体S)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。搬送ユニット60は、給紙ローラ1と、搬送モータ2と、搬送ローラ3と、プラテン4と、排紙ローラ5とを有する。給紙ローラ1は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ50内に自動的に給紙するためのローラである。搬送モータ2は、紙を搬送方向に搬送するためのモータである。搬送ローラ3は、給紙ローラ1によって給紙された紙を印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ2によって駆動される。プラテン4は印刷中の紙を支持する。排紙ローラ5は、印刷が終了した紙をプリンタの外部に排出するローラである。この排紙ローラ5は、搬送ローラ3と同期して回転する。 【0026】 キャリッジユニット70は、ヘッド6を搬送方向と垂直の方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものである。キャリッジユニット70は、キャリッジ7と、キャリッジモータ8とを有する。キャリッジ7は、移動方向に往復移動可能である。これにより、ヘッド6が移動方向に沿って移動する。また、キャリッジ7は、インクを収容するインクカートリッジ9を着脱可能に保持している。キャリッジモータ8は、キャリッジ7を移動方向に移動させるためのモータである。 【0027】 ヘッドユニット80は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット80は、ヘッド6を有する。ヘッド6は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。そして、各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子であるピエゾ素子(不図示)が設けられている。また、ヘッド6は、キャリッジ7に設けられている。そのため、キャリッジ7が移動方向に移動すると、ヘッド6も移動方向に移動する。そして、ヘッド6が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が紙に形成される。 【0028】 図4は、ヘッド6の下面(ノズル面)におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド6の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを180個備えている。180個のノズルのうち、下流側のノズルほど若い番号が付されている(#i=#1〜#180)。また、各ノズル列のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔Dでそれぞれ整列している。 【0029】 検出器群90には、リニア式エンコーダ10、ロータリー式エンコーダ11、紙検出センサ12、および光学センサ13等が含まれる。リニア式エンコーダ10は、キャリッジ7の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ11は、搬送ローラ3の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ12は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ12は、給紙ローラ1が搬送ローラ3に向かって紙を給紙する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。光学センサ13は、キャリッジ7に取付けられている。光学センサ13は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。そして、光学センサ13は、キャリッジ7によって移動しながら紙の端部の位置を検出する。また、光学センサ13は、搬送方向の位置に関して、ヘッド6の一番上流側にあるノズル#180とほぼ同じ位置にある。 【0030】 コントローラ100は、プリンタ50の制御を行うための制御ユニットである。コントローラ100は、インターフェース部101と、CPU102と、メモリ103と、ユニット制御回路104とを有する。インターフェース部101は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ50との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU102は、プリンタ50全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ103は、CPU102のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU102は、メモリ103に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路を有して各ユニットを制御する。 【0031】 次に、印刷手順について説明する。まず、コントローラ100が、外部装置であるコンピュータ110からインターフェース部101を介して、印刷命令および印刷データを受信する。すると、コントローラ100は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニット(搬送ユニット60、キャリッジユニット70、ヘッドユニット80)を制御する。 【0032】 そして、コントローラ100は、印刷すべき紙をプリンタ50内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする。給紙ローラ1が回転され、印刷すべき紙が搬送ローラ3まで送られる。そして、コントローラ100は、搬送ローラ3を回転させ、給紙ローラ1から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙が印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド6の少なくとも一部のノズルは、紙と対向している。 【0033】 紙が印刷開始位置に位置決めされると、コントローラ100は、キャリッジ7を移動方向に移動させる。そして、コントローラ100は、キャリッジ7が移動している間に、印刷データに基づいてノズルからインクを断続的に吐出させる。その結果、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドット列が形成される。キャリッジ7が移動方向に1回移動すると、紙が搬送ユニット60により搬送される。この搬送動作により、ヘッド6は、既にドットが形成されている位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。コントローラ100は、印刷すべきデータがなくなるまで、ヘッド6の移動によるドットの形成動作と紙の搬送動作を交互に繰り返し、画像を徐々に紙に印刷する。印刷すべきデータがなくなると、コントローラ100は、排紙ローラ5を回転させることにより、その紙を排紙し、印刷が終了する。 【0034】 ===フチなし印刷について=== ある画像データを印刷する際の印刷方法として、紙の端に余白が有る「フチあり印刷」と、紙の端に余白が無いように印刷する「フチなし印刷」とがある。なお、ここでは、説明の為、フチあり印刷とは、紙の4辺の全てに余白がある印刷方法とし、フチなし印刷は紙の4辺の全てに余白が無い印刷方法とする。実際には、紙の上下だけ余白がないように印刷するなど、設定により種々の印刷が行える。 【0035】 さて、フチあり印刷の場合、紙よりも印刷された画像の方が小さく、紙の端には余白が形成される。その為、印刷するように指示された画像が紙よりも大きい場合、コンピュータ110は、印刷する画像の一部を印刷対象から除外したり、印刷する画像を縮小処理したりする必要がある。一方、フチなし印刷の場合、紙よりもインクが吐出される領域の方が大きく、紙の端には余白が形成されない。その為、コンピュータ110は、印刷するように指示された画像を紙の大きさよりも拡大し、紙からはみ出した状態で印刷させる。紙の寸法のばらつきや、給紙位置、頭だし位置、搬送量の誤差があった場合、紙の端の位置を特定することは難しい。ゆえに、紙からはみ出して印刷することで、紙の端の位置にばらつきがあったとしても、余白が出来ることを避けることができる。 【0036】 また、フチなし印刷を行うために、紙の端よりも外側の位置まで、インクが吐出されることが必要となる。更に、紙の外側に吐出されたインクを受けるインク受け部(後述)が必要となる。そして、紙の外側に吐出されたインクにより紙やヘッド6等が汚れないようにしなければならない。 【0037】 ===インク受け部:比較例=== 以下、フチなし印刷を行う際に、紙の端よりも外側に打ち捨てられたインクを受けるインク受け部について説明する。本実施形態で用いるインク受け部について説明する前に、まず、本実施形態と比較するためのインク受け部について説明する。 【0038】 〈インク受け部:比較例1〉 まず、インク受け部の構成について説明する。図5bは、プラテン4の斜視図である。説明の為、プラテン4を、搬送方向に3つの領域に分ける。搬送方向の最も上流側の上流域では、凸部4Aと溝部(凹部)4Bが移動方向に並んでいる。凸部4Aは溝部4Bよりも上方向に盛り上がっていて、印刷用紙がヘッド6のノズル面と対向するように、凸部4Aは印刷用紙を支持する。そして、溝部4Bが、フチなし印刷の際に紙の外に打ち捨てられるインクのインク受け部となる。また、凸部4Aと溝部4Bは、定形サイズ(ハガキサイズ、A4サイズ等)の紙に合わせて、配置されている。なぜなら、紙の大きさにより、紙の端の位置も変わり、フチなし印刷の際にインクが打ち捨てられる位置も変わってくるからである。 【0039】 そして、上流域よりも下流側にある中流域には、溝部4Bと排出口16が設けられている。中流域の上流側半分は、溝部4Bである。この溝部4Bが、紙の上端と下端(搬送方向の上流側と下流側)のフチなし印刷の際に打ち捨てられるインクのインク受け部となる。プラテン4の中流域の下流側半分の底面には、四角い孔である排出口16が設けられている。排出口16は、移動方向に複数並んで配置されている。排出口16は、プラテン4の底面を貫通している。インク受け部に打ち捨てられたインクは、この排出口16からプラテン4の外部へ排出される。なお、最も下流側の下流域は、紙を支持しするための凸部4Aとなっている。 【0040】 図5aは、インク吸収体14の斜視図である。インク吸収体14は、プラテン4の溝部4Bに埋め込まれる。図5aに示されるインク吸収体14の上流部は、プラテン4の上流域の溝部4Bに埋め込まれる。インク吸収体14の中流部は、プラテン4の中流域の上流側半分の溝部4Bに埋め込まれる。また、インク吸収体14の下流部は、矢印の形状となっている。インク吸収体14の下流部を、排出口16に通し、プラテン4の外部に出す。そうすると、インク吸収体14の矢印の頂点が、プラテン4に対して下方向に向くようになる。このようにして、インク吸収体14はプラテン4に設置される。先に、プラテンの溝部4Bがインク受け部であると述べたが、プラテンの溝部4Bに埋め込まれたインク吸収体14もインク受け部である。即ち、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14を組み合わせたものがインク受け部となる。 【0041】 次に、インク受け部に打ち捨てられたインクの流れについて説明する。図6aは、プラテン4とインク吸収体14と排インク吸収体15とヘッド6の断面図であり、フチなし印刷の様子を示している。なお、図6aは、プラテン4の上流域の断面図である。図6bは、プラテン4とインク吸収体14とヘッド6を上から見た図である。図6cも、プラテン4とインク吸収体14とヘッド6と排インク吸収体15の断面図である。但し、図6aが移動方向の断面図であるのに対して、図6cは、搬送方向の断面図である。また、図6cは、紙の上下端(搬送方向の上流側と下流側)のフチなし印刷の様子を示している。 【0042】 図6aでは、紙Sの左端を余白無く印刷するために、紙の左端よりも外側にまでインクが吐出されている。ここで、紙が存在する領域を印刷領域(領域a)とする。インク受け部内で、紙に着弾しないインクが着弾する領域を打ち漏らし領域(領域b)とする。打ち漏らし領域に打ち捨てられたインクは、まず、インク吸収体14に着弾し、インク吸収体14に吸収される。インク吸収体14には、スポンジなどの多孔質な素材が用いられる。スポンジは、繊維が網の目状に絡み合って構成され、吸水性に優れている。但し、インクの中には浸透性の低いものや凝固しやすいものなどがあるため、インク吸収体14を保湿剤で湿らせ、インクに含まれる水分の蒸発を防ぎ、インク吸収体14内部にインク浸透させやすくしている。そうして、インク吸収体14に吸収されたインクは、インク吸収体14を伝って排出口16からインク受け部(プラテン4)の外部に排出される。プラテン4の下部には、インク受け部から排出されたインクを受ける外部排出部が設けられている。本実施形態では、外部排出部として排インク吸収体15を用いる。排インク吸収体15は、インク吸収体14と同様に、スポンジのような素材であり、インクを吸収する。排出口16から排出されたインクは、最終的に、排インク吸収体15に吸収される。また、排インク吸収体15は、プラテン4の下に設けられているので、排インク吸収体15内で、インクが凝固し、堆積しても、紙やヘッド6等を汚すことはない。 【0043】 ところで、インク受け部であるプラテンの溝部4Bとインク吸収体14は、異なる材質の2つの物体から成る。その為、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14は密着することなく、若干の隙間が生じてしまう。図6dは、溝部4Bとインク吸収体14の間の隙間17を示した図である。図6aと同じ断面図に、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間の隙間17を黒く塗りつぶして示している。インク吸収体14に吸収されたインクは、毛細管現象により、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間の隙間17に導かれる。そうすると、打ち捨てられたインクは、インク吸収体14を伝って排出口16から排出されることなく、隙間17に溜まってしまう。そして、時間が経つにつれ、隙間17に溜まったインクは凝固する。即ち、プラテンの溝部4Bの底面と側面付近にインクが堆積しやすいということである。インク受け部に堆積されたインクは、紙やヘッド6等を汚す原因となる。つまり、比較例1では、フチなし印刷の際に打ち捨てられたインクをインク受け部に堆積させずに、インク受け部から排出することが課題となる。 【0044】 〈インク受け部:比較例2〉 図7aは、比較例2で用いるプラテン4とインク吸収体14とヘッド6と排インク吸収体15の断面図であり、フチなし印刷の様子を示している。なお、図7aは、プラテン4の上流域の断面図である。そして、比較例1の図6aと同様に、紙の左端を余白無く印刷するために、紙の左端よりも外側にまでインクが吐出されている。図7bは、プラテン4とヘッド6を上から見た図である(インク吸収体14は除いている)。 【0045】 比較例1で用いたプラテン4には、中流域の溝部4Bに排出口16が設けられている(図5b)。この比較例2では、更に排出口が増やされたプラテン4を用いる。プラテン4の上流域の溝部4Bに、正方形の形状をした排出口162を設ける。説明のため、比較例1のプラテン4の排出口16と共通する排出口を第1排出口161とする。そして、比較例2のプラテン4のみが有する排出口を第2排出口162とする。インク吸収体14は比較例1と同じである。インク吸収体14の上流部と中流部はプラテン4の溝部4Bに埋め込まれ、インク吸収体14の先端は第1排出口161からプラテン4の外部に出される。即ち、第1排出口161と第2排出口162が設けられたプラテンの溝部4Bとインク吸収体14を組み合わせたものが、比較例2でのインク受け部となる。第2排出口162は、打ち漏らし領域に設けられる。第2排出口162の移動方向及び搬送方向の辺の長さは、打ち漏らし領域の移動方向の幅と等しい。また、第2排出口162の搬送方向の位置は、搬送方向に並ぶノズルのうちの中央部のノズルと対向可能な位置に設けられている。即ち、第2排出口162は、フチなし印刷の際にインクを打ち捨てるノズルのうち、上流側と下流側のノズルとは対向可能な位置にないことになる。なお、紙の左右端のフチなし印刷の際に打ち捨てられたインクは、主に第2排出口162から排出される。そして、紙の上下端のフチなし印刷の際に打ち捨てられたインクは、インク吸収体14を伝って、主に第1排出口161から排出される。 【0046】 ところで、紙の左右端のフチなし印刷の際に、インク吸収体14に吸収されたインクは、最終的には第2排出口162から滴下し、プラテン4下部の排インク吸収体15に吸収される。そうすることで、紙やヘッド6等を汚すことはなくなる。但し、インク吸収体14内のインクがインク吸収体14から離れ、第2排出口162から排インク吸収体15に滴下されるためには、ある程度のインクの量が必要となる。しかし、1回のヘッドの走査で、打ち漏らし領域に打ち捨てられるインクの量は微小であり、ある程度のインクの量が集まるまでに時間がかかる。その結果、滴下されるほどのインク量が集まる前に、初期に打ち捨てられたインクがインク吸収体14内で凝固してしまう可能性がある。そうすると、インク吸収体14内にインクが堆積することとなる。また、比較例1でも述べたように、インク吸収体14に吸収されたインクは、毛細管現象により、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間に生じた隙間に導かれる。そして、インクは、隙間に溜まっている間に凝固し、堆積してしまう。 【0047】 その他、第2排出口162の搬送方向の長さは、搬送方向に長く伸びるノズル列の長さに対して短い。その為、第2排出口162から離れた場所に打ち捨てられたインクは、第2排出口162に辿り着く前に、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bとの間で凝固し、堆積してしまう。この比較例2では、上流側と下流側のノズルから打ち捨てられたインクが、プラテンの溝部4Bの上流側や下流側にインクが堆積してしまう可能性が高い。 【0048】 このように、インク吸収体14内や、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14の隙間にインクが堆積することで、紙やヘッド6等を汚す原因となってしまう。つまり、比較例2では、フチなし印刷の際に打ち捨てられたインクをインク受け部に堆積させずに、インク受け部から排出することが課題となる。また、打ち捨てられたインクが、場所によって排出されやすかったり、排出されにくかったりせずに、満遍なく受け部の外部へ排出されることも課題となる。 【0049】 ===インク受け部:実施形態1=== 〈インク受け部:本実施形態の使用例1〉 図8aは、プラテン4とインク吸収体14とヘッド6と排インク吸収体15の断面図である。なお、図8aはプラテンの上流域の断面図であり、紙の左端のフチなし印刷の様子を示している。図8bは、プラテン4とヘッド6を上から見た図である(インク吸収体14は除いている)。この使用例1では、比較例2で用いるプラテン4に設けられている第2排出口162の代わりに、プラテン溝部4Bの底面に第3排出口163を設ける。第3排出口163とは、第2排出口162とは異なり、プラテン4の上流域の溝部4Bから中流域の溝部4Bにかけて、搬送方向に長く伸びた排出口である。第3排出口163の搬送方向の辺の長さは、搬送方向に並ぶノズル列の長さとほぼ等しい。また、第3排出口163は、打ちもらし領域内に設けられている。そして、第3排出口163の移動方向の辺の長さは、第2排出口162の移動方向の辺の長さに比べて短い。言い換えるならば、第3排出口163はスリットのような細い隙間である。インク吸収体14は比較例2と同じである。インク吸収体14の上流部と中流部はプラテン4の溝部4Bに埋め込まれ、インク吸収体14の先端は第1排出口161からプラテン4の外部に出される。第1排出口161と第3排出口163が設けられたプラテンの溝部4Bとインク吸収体14を組み合わせたものが、使用例1でのインク受け部となる。 【0050】 ところで、紙の左右端のフチなし印刷の際に打ち捨てられたインクは、第3排出口163を通り、プラテン4下部の排インク吸収体15に吸収される。そうすることで、紙やヘッド6等を汚すことはなくなる。つまり、インク吸収体14に吸収されたインクを、溝部4Bの底面に設けられた排出口から排出する点は、比較例2も使用例1も同じである。しかし、この使用例1では比較例2とは異なり、毛細管現象を利用して、インク吸収体14内のインクを第3排出口163から排インク吸収体15へ排出する。比較例1でも述べたように、インク吸収体14内のインクは、毛細管現象により、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間の細い隙間に導かれる。これと同様に、インク吸収体14内のインクは、毛細管現象により、溝部4Bの底面に設けられた細い隙間(第3排出口163)に導かれる。言い換えると、毛細管現象を利用してインクをインク受け部外へ排出できるように、第3排出口163の移動方向の長さや上下方向の長さ等が決められている。そして、インク受け部内のインクは、最終的には、インク受け部から排出され、排インク吸収体15に吸収される。また、第3排出口163内のインクが外部へ排出されると、インクが排出された分だけ、溝部4Bとインク吸収体14の間などのインクが第3排出口163へ引き寄せられる。このように、フチなし印刷の際に打ち捨てられたインクをインク受け部に堆積させずに、インク受け部から排出することができる。 【0051】 以上をまとめると、インクを排出しやすくするために、比較例2の第2排出口162のように大きな孔を設けるのではなく、逆に、使用例1の第3排出口163のような細い隙間を設けることで、毛細管現象を利用してインクをインク受け部外へ排出しやすくすることが可能となる。また、第3排出口163は、ノズル列に沿って、搬送方向に長く伸びている。ゆえに、ノズル列の上流側と下流側のノズルから打ち捨てられたインクが堆積してしまうことがない。つまり、第3排出口163の移動方向の長さに対して、搬送方向の長さを長くすることで、打ち捨てられたインクが、打ち捨てられた場所に関係なく、受け部の外部へ排出されやすくなる。 【0052】 なお、図8cは、紙の上端のフチなし印刷の様子を示している。紙の上端を余白無く印刷するために、紙の上端よりも外側にまでインクが吐出されている。紙の上端のフチなし印刷を行う際、プラテン4の中流域の溝部4Bとインク吸収体14が、インク受け部となる。紙の下端のフチなし印刷を行う際も、プラテン4の中流域の溝部4Bとインク吸収体14が、インク受け部となる。紙の上端(または下端)のフチなし印刷の際に打ち捨てられたインクは、インク吸収体14を伝って、第1排出口161から排出される。また、プラテン4の中流域の溝部4Bの移動方向の長さは、印刷可能な紙の移動方向の紙幅よりも長い。即ち、紙の上端(又は下端)のフチなし印刷は、ヘッド6の1回の移動方向の移動(以下、走査とする)で、完成する。これに対して、紙の左右端のフチなし印刷は、紙を搬送しながら、複数回のヘッドの走査で完成する。その為、紙の上下端のフチなし印刷の際に打ち捨てられるインク量は、紙の左右端のフチなし印刷の際に打ち捨てられるインク量よりも少ない。ゆえに、紙の上下端のフチなし印刷用のインク受け部にもインクが堆積してしまうおそれはあるが、紙の左右端のフチなし印刷用のインク受け部に比べて、インクが堆積する可能性が少ない。つまり、上下端のフチなし印刷の際に打ち捨てられるインクの排出のために、プラテン4の中流域の溝部4Bの底面に第3排出口163のような排出口を設けなくても問題はない。なお、高画質印刷などの場合、上端(又は、下端)のフチなし印刷は1回ではなく、複数回のヘッドの走査が必要となる。しかし、このような場合においても、左右端のフチなし印刷の際のヘッドの走査回数よりも、上下端のフチなし印刷の際のヘッドの走査回数の方が少ない。 【0053】 〈インク受け部:本実施形態の使用例2〉 図9は、プラテン4とインク吸収体14とヘッド6と排インク吸収体15の断面図である。この断面図は、プラテン4の上流域の断面図であり、紙の左端のフチなし印刷の様子を示している。ところで、プラテン溝部4Bの側面のうち、移動方向と垂直な面は2つある。その2つとは、印刷領域側の側面(図9では右側)と、印刷領域側とは反対側の側面(図9では左側)である。紙の左端のフチなし印刷を行うため、紙の左端(端部)はプラテン溝部4B上に位置する。ゆえに、この2つの側面は、紙の左端(左辺)と平行な面であり、紙の表面と垂直な面である。そして、印刷領域側の側面の方が、印刷領域側とは反対側の側面に比べ、紙に近くなる。使用例2では、紙に近い方の側面の近くに第3排出口163が設けられる。即ち、使用例1と使用例2では、第3排出口163が設けられる位置が異なる。 【0054】 そして、使用例1で説明したように、フチなし印刷の際に打ち捨てられたインクが、毛細管現象により第3排出口163に導かれ、最終的には、プラテン4下部の排インク吸収体15に吸収される。そうすることで、インク受け部にインクが堆積することなく、紙やヘッド6等を汚すことはなくなる。 【0055】 ところで、比較例1でも述べたように、インク吸収体14に吸収されたインクは、毛細管現象により、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間に生じた隙間に導かれる。もし、この隙間内のインクが凝固し、堆積すると、ヘッド6や紙等を汚してしまう。そして、仮に、プラテンの溝部4Bの底面とインク吸収体14の間にインクが堆積したとしても、ヘッド6や紙等が汚れる可能性は少ないが、プラテンの溝部4Bの側面とインク吸収体14の間にインクが堆積すれば、確実にヘッド6や紙等を汚してしまう。また、プラテンの溝部4Bの印刷領域側(図9では右側)の側面とインク吸収体14の間にインクが堆積する方が、溝部4Bの印刷領域側と反対側(図9では左側)の側面とインク吸収体14の間にインクが堆積するよりも、紙を汚す可能性が大きい。 【0056】 そこで、この使用例2のように、プラテンの溝部4Bの印刷領域側の側面の近くに第3排出口163を設けることで、プラテンの溝部4Bの印刷領域側の側面とインク吸収体14の間のインクが第3排出口163から排出されやすくなる。その結果、プラテンの溝部4Bの印刷領域側の側面とインク吸収体14の間にインクが堆積しにくくなり、紙を汚す可能性を減らすことが出来る。 【0057】 ===インク受け部:実施形態2=== 実施形態1では、プラテンの溝部4Bの底面に毛細管現象が働くような隙間(第3排出口163)を設けた。そうすることで、インク受け部にインクを堆積させることなく、インク受け部からインクを排出させることができた。実施形態2では、更に、インク受け部からインクが排出されやすくなるようにするために誘導部材を設ける。なお、以下の実施例では、実施形態1で説明した使用例1のインク受け部(インク吸収体14とプラテンの溝部4B)を用いて説明する。すなわち、プラテンの溝部4Bの底面には、毛細管現象によりインクが導かれるような細い隙間(第3排出口163)が設けられている。 【0058】 〈誘導部材の追加:形状例1〉 図10aは、第1誘導部材18の斜視図である。誘導部材の材質は、PET、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非吸収性物質であり、表面が滑らかである。また、誘導部材はフィルム状であり、厚さが紙のように薄い。この形状例1で用いる第1誘導部材18は、長方形の誘導部材2枚を、T字のように組み合わせた形状となっている。 【0059】 図10bは、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bと排インク吸収体15と第1誘導部材18の断面図である。なお、図10bはプラテン4の上流域の断面図である。プラテンの溝部4Bの底面の上に、第1誘導部材の上面18Aが設けられる。そして、第1誘導部材の上面18Aの上にインク吸収体14が設けられる。即ち、第1誘導部材の上面18Aは、インク吸収体14と溝部4Bの底面の間に設けられている状態となっている。そして、第1誘導部材の側面18Bは、第3排出口163に挿入される。また、第1誘導部材の側面18Bの上下方向の長さは、第3排出口163の上下方向よりも長い。その為、第1誘導部材の側面18Bはプラテン4の下面から突出し、プラテン4下部に設けられた排インク吸収体15と接触する状態となっている。 【0060】 図10cは、プラテン4と第1誘導部材の上面18Aを上から見た図である。なお、第1誘導部材の上面18Aの下に隠れている第3排出口163を破線で示している。また、第1誘導部材の上面18Aと側面18Bの搬送方向の長さは、第3排出口163と同じく、搬送方向に長く伸びている。そして、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さは、インク吸収体14の移動方向の長さよりも短い。即ち、プラテンの溝部4Bの底面は、溝部4Bの底面と第1誘導部材の上面18Aが対向している領域と、溝部4Bの底面とインク吸収体14と対向している領域に分けられる。 【0061】 次に、インク受け部内(インク吸収体14とプラテン溝部4B)のインクの流れを説明する。図10bに描かれている矢印が、インク受け部内のインクの流れを示している。インク吸収体14に吸収されたインクは、まず、毛細管現象により、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bの間の細い隙間に導かれる。次に、インクは、毛細管現象により、第1誘導部材の上面18Aとプラテンの溝部4Bの底面の間に導かれる。第1誘導部材の上面18Aは第3排出口163と対向しているので、第1誘導部材の上面18Aとプラテンの溝部4Bの底面の間のインクは、第3排出口163まで導かれる。そして、インクは、毛細管現象により、第3排出口163内にまで導かれる。その後、インクは第1誘導部材の側面18Bに沿って、第3排出口163からインク受け部外に排出される。第3排出口163内のインクが外部へ排出されると、インクが排出された分だけ、溝部4Bとインク吸収体14の間などのインクが第3排出口163へ引き寄せられる。つまり、形状例1では、毛細管現象により、第1誘導部材の上面18Aと溝部4Bの底面の間にインクを導くことで、使用例1よりもインクを第3排出口163に導きやすくしている。但し、インク吸収体14と第1誘導部材の上面18Aの間のインクは、第1誘導部材の上面18Aを通り抜けることができない。そこで、まず、インク吸収体14と第1誘導部材の上面18Aの間のインクは、インク吸収体14と溝部4Bの底面の間に導かれる。そして、第1誘導部材の上面18Aと溝部4Bの底面との間を通って、第3排出口163から排出される。ゆえに、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さをあまり長くしてしまうと、インク吸収体14と第1誘導部材の上面18Aの間のインクは遠回りして、第3排出口163から排出されることになる。 【0062】 また、第3排出口163のインクの出口部分はインクの自由表面となっており、その自由表面に対して表面張力が働く。その為、第3排出口163からインクを排出させるためには、インクを押し出す力として、ある程度のインク量が必要となる。ところで、使用例1では誘導部材を用いていないのに対して、形状例1では第3排出口163に第1誘導部材18が挿入されている。誘導部材が挿入されていない使用例1における第3排出口163出口部分のインクの自由表面の移動方向の幅は、第3排出口163の左側の側面と右側の側面との間隔に等しい。形状例1における第3排出口163出口部分のインクの自由表面の移動方向の幅は、第3排出口163の左側(又は右側)の側面と第1誘導部材の側面18Bとの間隔に等しい。即ち、使用例1よりも形状例1の方が、第3排出口163出口部分に形成されるインクの自由表面の幅が狭くなる。その結果、使用例1の第3排出口163に形成されるインクの自由表面に働く表面張力よりも、形状例1の第3排出口163に形成されるインクの自由表面に働く表面張力の方が小さくなる。つまり、形状例1では、第1誘導部材の側面18Bを第3排出口163に挿入することで、使用例1よりも第3排出口163内のインクを第3排出口163外へ排出しやすくしている。 【0063】 更に、第1誘導部材の側面18Bはプラテン4の下面から突出しているので、第3排出口163出口付近のインクは、第1誘導部材の側面18Bに沿って排出される。使用例1のように第3排出口163からインクを滴下するよりも、形状例1のようにインクを第1誘導部材の側面18Bに沿わせる方が、第3排出口163内のインクは第3排出口163外へ排出されやすくなる。つまり、形状例1では、第1誘導部材の側面18Bをプラテン下面から突出させることで、第3排出口163内のインクを第3排出口163外へ排出しやすくしている。 【0064】 第3排出口163から排出されたインクを、紙やヘッド6等を汚さない為に、最終的には、排インク吸収体15に吸収させたい。その為に、形状例1では、第1誘導部材の側面18Bを排インク吸収体15に接触させている。仮に、第1誘導部材の側面18Bを排インク吸収体15に接触させていないとする。そうすると、第1誘導部材の側面18Bに沿って第3排出口163から排出されたインクを、第1誘導部材18から滴下させて、排インク吸収体15に吸収させる必要がある。そのためには、ある程度のインク量が必要となる。それに対して、形状例1では、第3排出口163から排出されたインクを、第1誘導部材18に沿わせて排インク吸収体15まで導くので、第1誘導部材18からインクを滴下させる必要が無く、少量のインクでも排インク吸収体15にインクを吸収させることができる。 【0065】 以上をまとめると、形状例1では、第1誘導部材18を設けることで、使用例1よりも、インク受け部内のインクを第3排出口163に導きやすくして、更に、第3排出口163からインクを排出しやすくし、排出されたインクを排インク吸収体15に吸収されやすくしている。但し、形状例1は、使用例1よりも第1誘導部材18の分だけ部品が増えるのでコストがかかる。 【0066】 〈誘導部材の追加:形状例2〉 図11aは、第2誘導部材19の斜視図である。第2誘導部材19は、長方形の誘導部材を、逆L字型に折った形状となっている。形状例2では、第2誘導部材19を2つ用いる。また、第1誘導部材18と同様に、第2誘導部材の上面19Aと側面19Bの搬送方向の長さは、搬送方向に長く伸びている。 【0067】 図11bは、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bと排インク吸収体15と第2誘導部材19の断面図である。なお、図11bは、プラテン4の上流域の溝部4Bの断面図である。図11aの左側の第2誘導部材19は、プラテンの溝部4Bの左側に設けられる。左側の第2誘導部材の上面19Aは、プラテンの溝部4Bの左側の底面に設けられる。そして、第2誘導部材の上面19Aの上にインク吸収体14が設けられる。即ち、第2誘導部材の上面19Aは、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bの底面の間に設けられることとなる。なお、第2誘導部材の上面19Aの移動方向の長さは、インク吸収体14の移動方向の長さの半分の長さよりも短い。即ち、プラテンの溝部4Bの底面は、溝部4Bの底面と第2誘導部材の上面19Aが対向している領域と、溝部4Bの底面とインク吸収体14と対向している領域に分けられる。そして、第2誘導部材の側面19Bは、第3排出口163に挿入される。また、側面19Bは、排インク吸収体15と接している。同様にして、図11aの右側の第2誘導部材19も、プラテン溝部4Bの右側に設けられる。 【0068】 次に、インク受け部内のインクの流れを説明する。図11bに描かれている矢印が、インク受け部内のインクの流れを示している。ところで、形状例2では、第2誘導部材19を2つ用いる。そして、第2誘導部材の上面19Aの折り目部分(第2誘導部材のうちのインク吸収体14と対向している部分の端部)は、第3排出口163の上に位置する。つまり、第3排出口163は2つの第2誘導部材の側面19Bにより、3つの領域に分けられる。それは、第3排出口163の左側の側面と第2誘導部材の側面19Bに挟まれた領域(以下、領域Aとする)と、2つの第2誘導部材の側面19Bに挟まれた領域(以下、領域Bとする)と、第3排出口163の右側の側面と第2誘導部材の側面19Bに挟まれた領域(以下、領域Cとする)の3領域である。言い換えれば、インク受け部内のインクが第3排出口163から排出される際に、3通りの排出のされ方があることになる。 【0069】 まず、インク吸収体14内のインクは、毛細管現象によりインク吸収体14とプラテンの溝部4Bの間などの細い隙間に導かれる。ここから、説明のため、プラテンの溝部4Bの左側に着目する。次に、プラテンの溝部4Bの左側の側面付近のインクは、毛細管現象により、左側の第2誘導部材の上面19Aとプラテンの溝部4Bの底面の間に導かれる。第2誘導部材の上面19Aは第3排出口163の上にまで位置しているので、第2誘導部材の上面19Aとプラテンの溝部4Bの底面の間のインクは、第3排出口163まで導かれる。そして、インクは、毛細管現象により、第3排出口163内にまで導かれる。その後、インクは第2誘導部材の側面19Bに沿って、領域Aからインク受け部外へ排出される。また、インク吸収体14と左側の第2誘導部材の上面19Aの間のインクは、第2誘導部材の上面19Aを通り抜けることが出来ない。ゆえに、第2誘導部材の上面19Aとインク吸収体14の間のインクのうち、第3排出口163よりも第2誘導部材の上面19Aの左端の方に近いインクは、まず、インク吸収体14と溝部4Bの底面の間に導かれる。そして、インク吸収体14と左側の溝部4Bの底面の間のインクは、第2誘導部材の上面19Aと溝部4B底面との間を通って、領域Aからインク受け部外へ排出される。 【0070】 同様にして、プラテンの溝部4Bの右側の側面付近のインク及び右側の第2誘導部材の上面19Aの右端付近のインクは、毛細管現象により、右側の第2誘導部材の上面19Aとプラテンの溝部4Bの底面の間に導かれる。そして、インクは、毛細管現象により、細い隙間である第3排出口163内へ導かれる。そして、インクは第2誘導部材の側面19Bに沿って、領域Cからインク受け部外へ排出される。インク吸収体14と2つの第2誘導部材の上面19Aの間のインクのうち、第3排出口163付近のインクは、毛細管現象により、2つの第2誘導部材の側面19Bの間である領域Bに導かれる。そして、インクは領域Bからインク受け部外へ排出される。 【0071】 つまり、形状例2では、毛細管現象により、第2誘導部材の上面19Aと溝部4Bの底面の間、及び、2つの第2誘導部材の側面18Bの間にインクを導くことで、使用例1よりもインクを第3排出口163に導きやすくしている。 【0072】 また、形状例2においても形状例1と同様に、第3排出口163に第2誘導部材19が挿入され、第2誘導部材19が排インク吸収体15と接触している。その為、形状例2は、誘導部材が挿入されていない使用例1よりも、第3排出口163からインクが排出されやすく、排出されたインクは排インク吸収体15に吸収されやすい。つまり、形状例2でも形状例1と同様の効果が得られる。 【0073】 以上をまとめると、形状例2では、第2誘導部材19を設けることで、使用例1よりも、インク受け部内のインクを第3排出口163に導きやすくして、更に、第3排出口163からインクを排出しやすくし、排出されたインクを排インク吸収体15に吸収されやすくしている。 【0074】 ところで、形状例1は第1誘導部材の上面18Aにより、第3排出口163が塞がれた状態となり、インク吸収体14と第1誘導部材の上面18Aの間のインクは、遠回りをして、第1誘導部材の上面18Aとプラテン溝部4Bの底面の間を通り、第3排出口163から排出されることとなる。これに対して、形状例2では、インク吸収体14と第2誘導部材の上面19Aの間のインクは、2つの第2誘導部材の側面19Bの間(領域B)を通ることが出来る。即ち、インク吸収体14と第2誘導部材の上面19Aの間のインクが遠回りすることなく第3排出口163から排出される。但し、形状例2は形状例1に比べ、誘導部材を2つ用いるので、部品点数が増える。 【0075】 〈誘導部材:形状例3〉 図12aは、第3誘導部材20の斜視図である。図12bは、第3誘導部材20の作成方法を示している。破線が切り込み線であり、切込みを入れた箇所を、移動方向に、左右に交互に折る。折る方向を矢印で示している。そうすることで、形状例1の第1誘導部材18と同様にようにT字形状の誘導部材となる。 【0076】 図12cは、プラテン4と第3誘導部材20の上面20Aを上から見た図である。第3誘導部材の上面20Aの移動方向の長さ(第3誘導部材20の切り込み線(破線)の長さ)は、形状例1の第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さよりも長い。プラテンの溝部4Bの底面の上に、第3誘導部材の上面20Aが設けられ、その上にインク吸収体14が設けられる。第3誘導部材の上面20Aは、インク吸収体14とプラテン溝部4Bの底面の間に設けられることになる。但し、溝部4Bの底面の全面が、第3誘導部材の上面20Aに覆われる訳ではない。溝部4Bの底面上は、溝部4Bの底面と第3誘導部材の上面20Aが対向している領域(図12cでは灰色の部分。以下、灰色領域とする)と、溝部4Bの底面とインク吸収体14が対向している領域(図12cでは白色の部分。以下、白色領域とする)が搬送方向に交互に並んでいる。即ち、搬送方向に並ぶ灰色領域の間が、白色領域となる。また、第3誘導部材の側面20Bは、第3排出口163に挿入され、排インク吸収体15と接している。 【0077】 次に、インク受け部内のインクの流れを説明する。図12c内に描かれた矢印は、インクの流れを示している。インク吸収体14内のインクは、毛細管現象によりインク吸収体14とプラテン溝部4Bの間などの細い隙間に導かれる。その後、白色領域で、且つ、第3誘導部材の上面20A付近のインクは、毛細管現象により、第3誘導部材の上面20Aとプラテンの溝部4Bの底面の間に導かれる。第3誘導部材の上面20Aは、第3排出口163の上にまで位置しているので、第3誘導部材の上面20Aとプラテン溝部4Bの底面の間のインクは、第3排出口163へ導かれる。そして、インクは、毛細管現象により第3排出口163内に導かれ、第3排出口163からインク受け部外へ排出される。一方、白色領域で、且つ、第3排出口163付近のインクは、第3誘導部材の上面20Aとプラテン溝部4Bの底面の間を通ることなく、第3排出口163内に導かれる。そして、インクはインク受け部外へ排出される。 【0078】 ところで、形状例1は第1誘導部材の上面18Aにより、第3排出口163が塞がれた状態となり、インク吸収体14と第1誘導部材の上面18Aの間のインクは、遠回りをして、第1誘導部材の上面18Aとプラテンの溝部4Bの底面の間を通り、第3排出口163から排出されることとなる。これに対して、形状例3では、プラテンの溝部4Bの底面には、搬送方向に、灰色領域と白色領域が交互に並んでいる。そして、第3誘導部材の上面20Aの折り目部分(第3誘導部材20のうちのインク吸収体14と対向している部分の端部)は、第3排出口163の上に位置するので、第3誘導部材の上面20Aによって第3排出口163を塞いでしまうことはない。その為、インク吸収体14と第3誘導部材の上面20Aの間のインクは、移動方向に遠回りすることなく、第3誘導部材の上面20Aの4辺に1番近い箇所から、第3排出口163へ導かれる。ゆえに、第3誘導部材の上面20Aの移動方向の長さが、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さよりも長くとも問題にならない。 【0079】 また、形状例3においても形状例1と同様に、第3排出口163に第3誘導部材20が挿入され、第3誘導部材20が排インク吸収体15と接触している。その為、誘導部材が挿入されていない使用例1よりも、第3排出口からインクが排出されやすく、排出されたインクは排インク吸収体15に吸収されやすい。つまり、形状例3でも形状例1と同様の効果が得られる。 【0080】 以上をまとめると、形状例3では、第3誘導部材20を設けることで、使用例1よりも、インク受け部内のインクを第3排出口163に導きやすくして、更に、第3排出口163からインクを排出しやすくし、排出されたインクを排インク吸収体15に吸収されやすくしている。また、第3排出口163が第3誘導部材の上面20Aにより完全に覆われてはいないので、第3誘導部材の上面20Aの移動方向の長さは、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さよりも長くしても問題はない。 【0081】 〈誘導部材:形状例4〉 図13aは、第4誘導部材21の斜視図である。図13bは、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bと排インク吸収体15と第4誘導部材21の断面図である。なお、プラテン4の上流域の溝部4Bの断面図である。図13cは、プラテン4と第4誘導部材の上面21Aを上から見た図である。第4誘導部材21の下に隠れている第3排出口163を破線で示している。この形状例4で用いる第4誘導部材21は、形状例1の第1誘導部材18と同様に、長方形の誘導部材2枚を、T字のように組み合した形状となっている。但し、第4誘導部材の上面21Aの移動方向の長さの方が、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さよりも長い。そして、第4誘導部材の上面18Aはインクが通り抜けられるように、インク滴が通り抜けられる程の小さな孔が開いていて、メッシュ状になっている。 【0082】 第4誘導部材の上面21Aはプラテンの溝部4Bの底面の上に設けられ、その上にインク吸収体14が設けられる。また、第4誘導部材の側面21Bは、第3排出口163に挿入され、排インク吸収体15と接している。なお、側面21Bはメッシュ状になっていない。 【0083】 次に、インク受け部内のインクの流れを説明する。図13bに描かれている矢印が、インク吸収体14に吸収されたインクの流れを示している。インク吸収体14に吸収されたインクは、まず、毛細管現象により、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bの間の細い隙間に導かれる。そして、インクは、毛細管現象により、第4誘導部材の上面21Aとプラテンの溝部4Bの底面の間に導かれる。第4誘導部材の上面21Aは第3排出口163の上に位置しているので、第4誘導部材の上面21Aとプラテン溝部4Bの底面の間のインクは、第3排出口163まで導かれる。そして、インクは、毛細管現象により、第3排出口163内にまで導かれる。その後、インクは第4誘導部材21に沿って、第3排出口163からインク受け部外に排出される。 【0084】 ところで、形状例1は第1誘導部材の上面18Aにより、第3排出口163が塞がれた状態となり、インク吸収体14と第1誘導部材の上面18Aの間のインクは、遠回りをして、第1誘導部材の上面18Aとプラテンの溝部4Bの底面の間を通り、第3排出口163から排出されることとなる。つまり、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さが長いほど、インク吸収体14と第1誘導部材の上面18Aの間のインクは、遠回りをして、第3排出口163から排出されることとなる。そこで、形状例4では、第4誘導部材の上面21Aをメッシュ状にすることで、インク吸収体14と第4誘導部材の上面21Aの間のインクが、上面21Aを通り抜けて、第3排出口163から排出されるようにしている。ゆえに、第4誘導部材の上面21Aの移動方向の長さが、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さよりも長くとも問題にならない。 【0085】 また、形状例4においても形状例1と同様に、第3排出口163に第4誘導部材21が挿入され、第4誘導部材21が排インク吸収体15と接触している。その為、誘導部材が挿入されていない使用例1よりも、第3排出口163からインクが排出されやすく、排出されたインクは排インク吸収体15に吸収されやすい。つまり、形状例4でも形状例1と同様の効果が得られる。 【0086】 以上をまとめると、形状例4では、第4誘導部材21を設けることで、使用例1よりも、インク受け部内のインクを第3排出口163に導きやすくし、更に、第3排出口163からインクを排出しやすくし、排出されたインクを排インク吸収体15に吸収されやすくしている。また、第4誘導部材の上面21Aとインク吸収体14の間のインクが第4誘導部材の上面21Aを通り抜けることが出来るので、第4誘導部材の上面21Aの移動方向の長さは、第1誘導部材の上面18Aの移動方向の長さよりも長くしても問題はない。 【0087】 〈誘導部材の追加:形状例5〉 図14は、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bと排インク吸収体15と第2誘導部材19の断面図である。なお、図14はプラテン4の上流域の溝部4Bの断面図である。形状例2では、逆L字型の第2誘導部材19を2つ用いる実施例を説明している。この形状例5では、第2誘導部材19を1つのみ用いる。そして、プラテンの溝部4Bの底面の印刷領域側(図14では右側)のみ第2誘導部材19を設ける。第2誘導部材の上面19Aの折り目部分は、第3排出口163の上に位置し、折り目部分と反対側の第2誘導部材の上面19Aの端部は、印刷領域側の側面の近くに位置する。ゆえに、第2誘導部材の上面19Aの端部のうち、折り目部分よりも、折り目部分と反対側の端部の方が紙に近くなる。 【0088】 形状例5では、プラテンの溝部4Bの右側のみに第2誘導部材19を設けることで、使用例1に比べ、右側のプラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間のインクは、第3排出口163に導かれやすくなる。但し、左側のプラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間のインクは、使用例1と変化がない。 【0089】 また、第3排出口163には第2誘導部材の側面19Bが挿入され、側面19Bが排インク吸収体15と接触している。その為、誘導部材が挿入されていない使用例1よりも、第3排出口163からインクが排出されやすく、排出されたインクは排インク吸収体15に吸収されやすい。また、左側のプラテン溝部4Bとインク吸収体14の間のインクも、溝部の右側に設けられた第2誘導部材19に沿って、第3排出口163から排出されるので、右側のプラテンの溝部4Bとインク吸収体14の間のインクと同様の効果が得られる。 【0090】 ところで、印刷領域側の方が、印刷領域側の反対側に比べ、溝部4Bの側面とインク吸収体14の間にインクが堆積したときに、紙を汚しやすい。そこで、形状例5では、印刷領域側に第2誘導部材の上面19Aを設け、印刷領域側の溝部4Bとインク吸収体14の間のインクが、第3排出口163から排出されやすくなるようにしている。そして、第2誘導部材の側面19Bにより、第3排出口163内のインクは第3排出口163から排出されやすくなり、排出されたインクは排インク吸収体15に吸収されやすくなっている。なお、形状例2では、印刷領域側の反対側にも第2誘導部材の上面19Aを設けている。その為、印刷領域側の反対側に関しては、形状例2の方が形状例5に比べ、インクが堆積しにくい。但し、形状例2は第2誘導部材19を2つ用いるので、第2誘導部材19を1つしか用いない形状例5よりもコストがかかる。 【0091】 ===その他の実施形態=== 上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、プラテンの形状やプラテンからインクを排出する方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。 【0092】 〈インク受け部について〉 前述の実施形態では、プラテンの溝部4Bとインク吸収体14を組み合わせた物をインク受け部としたが、これに限られるものではない。例えば、インク吸収体14を設けなくても良い。また、プラテン4にインク受け部となる溝部4Bを設け、紙の支持部とインク受け部を1つの物体で構成するのではなく、紙の支持部とインク受け部を別の物体として構成してもよい。 【0093】 また、前述の実施形態では、プラテン4の一部分をインク受け部としている為、インク受け部は溝状になっている。紙の支持部とインク受け部が別の物体である場合、インク受け部が溝状になるとは限らない。その場合、前述の実施形態のように溝状であるインク受け部の側面にインクが堆積することは無く、インク受け部の底面にインクが堆積する。 【0094】 前述の実施形態では、フチなし印刷の際に打ち捨てられるインクをインク受け部から排出する場合を例に挙げ説明したが、前述の実施形態の技術を他に適用してもよい。例えば、ヘッド6のクリーニングの為、フラッシングを行う際にキャップに打ち捨てられるインクをキャップから排出する場合等にも適用できる。 【0095】 〈誘導部材について〉 前述の実施形態では、種々の形状の誘導部材を例に挙げて説明したがこれに限らない。図15aはプラテン4を上から見た図であり、図15bは誘導部材の斜視図である。例えば、図15aのようにプラテンの溝部4Bを成型する際に、プラスチックの型抜き孔23を設ける必要がある場合等、図15bのようにプラテンの溝部4Bの形状に合わせた誘導部材を用いても良い。 【0096】 前述の実施形態の第4誘導部材21の上面はメッシュ状であると説明したが、これに限らない。例えば、誘導部材の上面にスリットのような細い隙間を設けて、インクが通り抜けられるようにしてもよい。 【0097】 また、実施形態1では、インク受け部の底面に誘導部材を設けず、実施形態2では、誘導部材を設けている。誘導部材を設けることで、更に、第3排出口163にインクが導かれやすくなり、第3排出口163からインクが排出されやすくなる。しかし、誘導部材を設ける際に、必ずこの2つの効果が得られるような誘導部材でなくてもよい。図16は、インク吸収体14とプラテンの溝部4Bと排インク吸収体15と突出物24の断面図である。例えば、図16のようにインク吸収体14に突出物24を取り付けることで、前記細い隙間からインクが排出されやすくなるようにするだけでもよい。 【0098】 〈排出口について〉 前述の実施形態では、図8bのように搬送方向に長く伸びた第3排出口163を設けているが、これに限らない。図17は、プラテン4を上から見た図である。例えば、図17のように、移動方向に長く伸びた第3排出口163を設けても良い。但し、この場合、前述の実施形態に比べ、溝部4Bの中央部に打ち捨てられたインクは排出されやすくなるが、溝部4Bの下流側と上流側のインクは、排出されにくくなる。 【0099】 また、前述の実施形態では、プラテン4の上流域の1画の溝部4Bに対して、1つの第3排出口163を設けているが、1画の溝部4Bに対して、複数の第3排出口163を設けてもよい。例えば、使用例2では、図9のように、プラテン溝部4Bの印刷領域側の側面近くにのみ第3排出口163を設けているが、印刷領域側と反対側の側面の近くにも第3排出口163を設けても良い。 【0100】 図18は、プラテン4を上から見た図である。図18のように、プラテン4の中流域の溝部4Bに、移動方向に長く伸びた排出口25を設けてもよい。この排出口25を設けることで、紙の上下端のフチなし印刷の際に打ち捨てられるインクが堆積することなく、インク受け部から排出される。また、その際に、第1排出口161を設けなくても良い。 【0101】 〈プラテンについて〉 前述の実施形態では、凸部と溝部を有し、1部品から成るプラテン4について説明しているが、これに限らない。構成や形状等、種々のプラテンが考えられる。例えば、プラテンの凸部と溝部が2部品から構成されていてもよい(不図示)。そして、プラテンの凸部が印刷装置に固定されていても、インクが打ち捨てられる溝部を印刷装置から取り外せるようにすれば、簡単に清掃が行え、メンテナンス性がよくなる。 【0102】 また、プラテン4の凸部4Aと溝部4Bは、定型サイズの紙に合わせて、複数の凸部4Aと溝部4Bが配置されていると説明している。これに限らず、前記複数の凸部4Aと溝部4Bが個別の物体で、それらを組み合わせることでプラテン4を形成してもよい。そうすれば、凸部4Aと溝部4Bの組み合わせにより、様々な大きさの印刷装置に同じ部品を適用することができる。 【0103】 〈外部排出部について〉 前述の実施形態では、外部排出部として排インク吸収体15を用いているが、これに限らない。たとえば、外部排出部が、受け皿のようなものであってもよい。 【図面の簡単な説明】 【0104】 【図1】本実施形態のプリンタ全体構成ブロック図である。 【図2】プリンタの全体構成の概略図である。 【図3】プリンタ全体構成の断面図である。 【図4】ヘッドの下面(ノズル面)におけるノズルの配列を示す説明図である。 【図5】図5aはインク吸収体の斜視図であり、図5bはプラテンの斜視図である。 【図6a】プラテンとインク吸収体と排インク吸収体とヘッドの断面図である。 【図6b】プラテンとインク吸収体とヘッドを上から見た図である。 【図6c】プラテンとインク吸収体と排インク吸収体とヘッドの断面図である。 【図6d】溝部とインク吸収体の間の隙間を示した図である。 【図7】図7aはプラテンとインク吸収体と排インク吸収体とヘッドの断面図であり、図7bはプラテンとヘッドを上から見た図である。 【図8a】プラテンとインク吸収体と排インク吸収体とヘッドの断面図である。 【図8b】プラテンとヘッドを上から見た図である。 【図8c】紙の上端のフチなし印刷の様子を示す図である。 【図9】プラテンとインク吸収体とヘッドと排インク吸収体の断面図である。 【図10a】第1誘導部材の斜視図である。 【図10b】インク吸収体とプラテンの溝部と排インク吸収体と第1誘導部材の断面図である。 【図10c】プラテンと第1誘導部材の上面を上から見た図である。 【図11】図11aは第2誘導部材の斜視図であり、図11bは、インク吸収体とプラテン溝部と排インク吸収体と第2誘導部材の断面図である。 【図12】図12aは第3誘導部材の斜視図であり、図12bは第3誘導部材の作成方法を示す図であり、図12cはプラテンと第3誘導部材の上面を上から見た図である。 【図13a】第4誘導部材の斜視図である。 【図13b】インク吸収体とプラテン溝部と排インク吸収体と第4誘導部材の断面図である。 【図13c】プラテンと第4誘導部材の上面を上から見た図である。 【図14】インク吸収体とプラテンの溝部と排インク吸収体と第2誘導部材の断面図である。 【図15】図15aはプラテンを上から見た図であり、図15bは誘導部材の斜視図である。 【図16】インク吸収体とプラテンの溝部と排インク吸収体と突出部の断面図である。 【図17】プラテンを上から見た図である。 【図18】プラテンを上から見た図である。 【符号の説明】 【0105】 1 給紙ローラ、2 搬送モータ、3 搬送ローラ、 4 プラテン、4A プラテン凸部、4B プラテン溝部、 5 排紙ローラ、6 ヘッド、7 キャリッジ、8 キャリッジモータ、 9 インクカートリッジ、10 リニア式エンコーダ、 11 ロータリー式エンコーダ、12 紙検出センサ、 13 光学センサ、14 インク吸収体、15 排インク吸収体、 16 排出口、161 第1排出口、162 第2排出口、163 第3排出口、 17 (インク吸収体とプラテンの間に生じる)隙間、 18 第1誘導部材、18A 上面、18B 側面、 19 第2誘導部材、19A 上面、19B 側面、 20 第3誘導部材、20A 上面、20B 側面、 21 第4誘導部材、21A 上面、21B 側面、 23 プラスチックの型抜き孔、24 突出物、25 排出口 50 プリンタ、60 搬送ユニット、70 キャリッジユニット、 80 ヘッドユニット、90 検出器群、 100 コントローラ、110 コンピュータ S 媒体(紙など)
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年7月14日(2006.7.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000176 【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
|
| 【公開番号】 |
特開2008−18693(P2008−18693A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−194728(P2006−194728) |
|