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【発明の名称】 液体噴射ヘッドの電圧制御装置、液体噴射ヘッドの電圧制御方法及び液体噴射装置。
【発明者】 【氏名】伊達 正和

【氏名】荒川 裕明

【要約】 【課題】複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルに印加される直前の駆動信号から、その電圧を簡単な構成で、各液体噴射ヘッド又は各ノズルを容易に区別して測定でき、電圧を正確に制御可能な液体噴射ヘッドの電圧制御装置、液体噴射ヘッドの電圧制御方法及び液体噴射装置の提供。

【構成】複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルに印加する直前の電圧を読み取り、それを設定電圧と比較し、その比較結果から補正値を算出し、その補正値に基づいて電圧に補正を加えるものにおいて、通常の液体噴射を行う際に使用する第1の駆動波形と、電圧補正時に使用する第2の駆動波形と、電圧補正時に使用し第2の駆動波形よりも振幅値が小さい第3の駆動波形を生成可能とし、電圧補正時、複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルのうちの電圧補正対象に対して第2の駆動波形を出力させ、電圧補正対象でないものに対して第3の駆動波形を出力させるように切替制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する複数の液体噴射ヘッドに対して、又は、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドの複数のノズルに対して、それぞれ印加する駆動波形を生成して出力する波形生成手段と、
前記波形生成手段によって生成された駆動波形の電圧を決定する電圧決定手段と、
前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して印加する各電圧を前記電圧決定手段によって決定された電圧となるようにそれぞれ昇圧させる複数の電圧増幅手段と、
前記波形生成手段から出力された駆動波形と前記複数の電圧増幅手段から出力された電圧とを組み合わせて前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに出力する複数の波形増幅手段と、
前記複数の波形増幅手段から出力された直後の各電圧のうちの電圧補正対象となる電圧を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された電圧を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた電圧を、前記電圧決定手段によって決定された電圧と比較し、その比較結果から補正値を算出し、その補正値に基づいて前記電圧決定手段において決定される電圧に補正を加える電圧調整手段とを備えた液体噴射ヘッドの電圧制御装置であって、
前記波形生成手段は、通常の液体噴射を行う際に使用する第1の駆動波形を生成する第1の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用する第2の駆動波形を生成する第2の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用し前記第2の駆動波形よりも振幅値が小さい第3の駆動波形を生成する第3の駆動波形生成手段とを有し、
前記波形生成手段から出力される駆動波形を前記第1の駆動波形、前記第2の駆動波形又は前記第3の駆動波形のいずれかに切り替える切替手段と、
電圧補正時、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルのうちの電圧補正を行うものに対しては前記波形生成手段から前記第2の駆動波形を出力させ、電圧補正を行う対象でないものに対しては前記波形生成手段から前記第3の駆動波形を出力させるように前記切替手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする液体噴射ヘッドの電圧制御装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記複数の波形増幅手段から出力された各電圧のうちの最大電圧のみを選択する最大値選択手段であることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置。
【請求項3】
前記最大値選択手段は、前記複数の波形増幅手段によって増幅された後の電圧をそれぞれ読み取る複数本の信号線がワイヤードOR接続によってつなげられ、1本の信号線によって前記電圧読み取り手段に出力される構成であることを特徴とする請求項2記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置。
【請求項4】
前記最大値選択手段は、ダイオードアレイによって構成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置。
【請求項5】
前記第2の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置。
【請求項6】
前記第3の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置。
【請求項7】
電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する複数の液体噴射ヘッドに対して、又は、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドの複数のノズルに対して、それぞれ印加する駆動波形を生成して出力する波形生成ステップと、
前記波形生成ステップによって生成された駆動波形の電圧を決定する電圧決定ステップと、
前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して印加する各電圧を前記電圧決定手段によって決定された電圧となるようにそれぞれ昇圧させる電圧増幅ステップと、
前記波形生成ステップから出力された駆動波形と前記電圧増幅ステップによって生成された電圧とを組み合わせて前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに出力する波形増幅ステップと、
前記波形増幅ステップを経た直後の各電圧のうちの電圧補正対象となる電圧を選択する選択ステップと、
前記選択ステップによって選択された電圧を読み取る電圧読み取りステップと、
前記電圧読み取りステップによって読み取られた電圧を、前記電圧決定ステップによって決定された電圧と比較し、その比較結果から補正値を算出し、その補正値に基づいて前記電圧決定ステップにおいて決定される電圧に補正を加える電圧調整ステップとを有する液体噴射ヘッドの電圧制御方法であって、
前記波形生成ステップでは、通常の液体噴射を行う際に使用する第1の駆動波形、電圧補正時に使用する第2の駆動波形又は電圧補正時に使用し前記第2の駆動波形よりも振幅値が小さい第3の駆動波形のいずれを生成して出力するかを切り替え可能とし、電圧補正時、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルのうちの電圧補正を行うものに対しては前記波形生成ステップにおいて前記第2の駆動波形を生成して出力させ、電圧補正を行う対象でないものに対しては前記波形生成ステップにおいて前記第3の駆動波形を出力させるように切り替えることを特徴とする液体噴射ヘッドの電圧制御方法。
【請求項8】
前記選択ステップは、前記波形増幅ステップを経た各電圧のうちの最大電圧のみを選択することを特徴とする請求項7記載の液体噴射ヘッドの電圧制御方法。
【請求項9】
前記第2の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の液体噴射ヘッドの電圧制御方法。
【請求項10】
前記第3の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項7、8又は9記載の液体噴射ヘッドの電圧制御方法。
【請求項11】
電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルを有する液体噴射ヘッドと、
前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して、それぞれ印加する駆動波形を生成して出力する波形生成手段と、
前記波形生成手段によって生成された駆動波形の電圧を決定する電圧決定手段と、
前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して印加する各電圧を前記電圧決定手段によって決定された電圧となるようにそれぞれ昇圧させる複数の電圧増幅手段と、
前記波形生成手段から出力された駆動波形と前記複数の電圧増幅手段から出力された電圧とを組み合わせて前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに出力する複数の波形増幅手段と、
前記複数の波形増幅手段から出力された直後の各電圧のうちの電圧補正対象となる電圧を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された電圧を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた電圧を、前記電圧決定手段によって決定された電圧と比較し、その比較結果から補正値を算出し、その補正値に基づいて前記電圧決定手段において決定される電圧に補正を加える電圧調整手段とを備えた液体噴射装置であって、
前記波形生成手段は、通常の液体噴射を行う際に使用する第1の駆動波形を生成する第1の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用する第2の駆動波形を生成する第2の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用し前記第2の駆動波形よりも振幅値が小さい第3の駆動波形を生成する第3の駆動波形生成手段とを有し、
前記波形生成手段から出力される駆動波形を前記第1の駆動波形、前記第2の駆動波形又は前記第3の駆動波形のいずれかに切り替える切替手段と、
電圧補正時、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルのうちの電圧補正を行うものに対しては前記波形生成手段から前記第2の駆動波形を出力させ、電圧補正を行う対象でないものに対しては前記波形生成手段から前記第3の駆動波形を出力させるように前記切替手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記複数の波形増幅手段から出力された各電圧のうちの最大電圧のみを選択する最大値選択手段であることを特徴とする請求項11記載の液体噴射装置。
【請求項13】
前記最大値選択手段は、前記複数の波形増幅手段によって増幅された後の電圧をそれぞれ読み取る複数本の信号線がワイヤードOR接続によってつなげられ、1本の信号線によって前記電圧読み取り手段に出力される構成であることを特徴とする請求項12記載の液体噴射装置。
【請求項14】
前記最大値選択手段は、ダイオードアレイによって構成されていることを特徴とする請求項12又は13記載の液体噴射装置。
【請求項15】
前記第2の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項16】
前記第3の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の液体噴射装置。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッドの電圧制御装置、液体噴射ヘッドの電圧制御方法及び液体噴射装置に関し、詳しくは、液体噴射ヘッドを駆動するための電圧を読み取って補正値を算出することで、正確な電圧に制御するようにした液体噴射ヘッドの電圧制御装置、液体噴射ヘッドの電圧制御方法及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を微小な液滴の状態で吐出可能な液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置としては、例えば、記録紙上に画像等を記録するインクジェットプリンタ等の画像記録装置が、液体噴射ヘッドとしてインク滴を吐出する複数の記録ヘッドを備えることにより、コンピュータ等が処理した画像を多色多階調で印刷可能であり、コンピュータの出力装置として広く普及してきている。
【0003】
この種の液体噴射ヘッドの駆動を制御する電圧制御装置は、ヘッドに対して印加するための駆動波形を所定の電圧まで増幅した後の駆動信号からその電圧を読み取って、それが所定の電圧まで正確に増幅されているか否かを判別し、所定の電圧まで増幅されていない場合は、その差分を補正する補正値を算出し、その補正値に基づいた電圧を新たに設定することにより、圧電素子を所定の電圧で正確に駆動できるようにするいわゆるキャリブレーションを実施可能としているものがある。
【0004】
特許文献1、2には、記録ヘッドに印加される直前の駆動信号からその電圧を読み取り、それが所定の電圧となるように設定電圧を補正する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−58735号公報
【特許文献2】特開2002−46268号公報
【特許文献3】特開2006−95864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示のように、液体噴射ヘッドに対して印加する直前の駆動信号からその電圧を読み取る場合、圧電素子を機械的に変形させるために必要な複雑な形状の駆動波形と組み合わされた駆動信号からその電圧を読み取らなくてはならないため、電圧読み取りのための構成が複雑となる問題がある。
【0006】
例えば、液体を貯留するチャネルの側壁を圧電素子によって形成し、その側壁をくの字型にせん断変形させることによりチャネル内の液体に吐出のための圧力を付与してノズルから吐出させるシェアモードタイプの液体噴射ヘッドの場合、図4(a)に示すような矩形状の駆動波形を吐出のために用いることがある。このような駆動波形を所定の電圧まで増幅した駆動信号では、最大電圧Vmaxを維持する時間tはわずか2μs程度にすぎないため、そこから電圧値を正確に読み取ることは困難であり、高速な読み取り装置を必要とする等、コストアップ要因となる問題がある。
【0007】
また、駆動波形を電圧と組み合わせて波形増幅する前段で、その電圧を読み取る方法もあるが、これにより読み取られた電圧は、駆動波形と組み合わせた後の波形増幅変動分が考慮されないため、その読み取られた電圧に基づいて電圧補正を行っても、実際に液体噴射ヘッドに対して印加される波形増幅変動分が加味された電圧とは異なった電圧を基準に補正を行うこととなって、正確な電圧設定を行うことができない。
【0008】
一方、液体噴射ヘッドを複数有している画像記録装置の場合、各液体噴射ヘッドに対して個別に電圧補正を行う必要があるため、電圧補正を行うものと電圧補正を行う対象でないものとを容易に区別して電圧補正を行うことが望まれる。このような問題は、液体噴射ヘッドの複数のノズル毎に電圧補正する場合でも同様である。
【0009】
特許文献3には、吐出用信号とは別の調整用信号を用いて、大ドット形成用、中ドット形成用、小ドット形成用といった複数の駆動信号生成部間の特性ばらつきを解消することが開示されている。しかし、複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルに対して個別に電圧補正を行うことの開示はない。
【0010】
そこで、本発明の課題は、複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルに対して印加される直前の状態の波形増幅された増幅変動分も含めた駆動信号から、その電圧を簡単な構成で、各液体噴射ヘッド又は各ノズルを容易に区別して測定できるようにすることにより、電圧を正確に制御することが可能な液体噴射ヘッドの電圧制御装置、液体噴射ヘッドの電圧制御方法及び液体噴射装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0013】
請求項1記載の発明は、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する複数の液体噴射ヘッドに対して、又は、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドの複数のノズルに対して、それぞれ印加する駆動波形を生成して出力する波形生成手段と、前記波形生成手段によって生成された駆動波形の電圧を決定する電圧決定手段と、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して印加する各電圧を前記電圧決定手段によって決定された電圧となるようにそれぞれ昇圧させる複数の電圧増幅手段と、前記波形生成手段から出力された駆動波形と前記複数の電圧増幅手段から出力された電圧とを組み合わせて前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに出力する複数の波形増幅手段と、前記複数の波形増幅手段から出力された直後の各電圧のうちの電圧補正対象となる電圧を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された電圧を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段によって読み取られた電圧を、前記電圧決定手段によって決定された電圧と比較し、その比較結果から補正値を算出し、その補正値に基づいて前記電圧決定手段において決定される電圧に補正を加える電圧調整手段とを備えた液体噴射ヘッドの電圧制御装置であって、前記波形生成手段は、通常の液体噴射を行う際に使用する第1の駆動波形を生成する第1の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用する第2の駆動波形を生成する第2の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用し前記第2の駆動波形よりも振幅値が小さい第3の駆動波形を生成する第3の駆動波形生成手段とを有し、前記波形生成手段から出力される駆動波形を前記第1の駆動波形、前記第2の駆動波形又は前記第3の駆動波形のいずれかに切り替える切替手段と、電圧補正時、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルのうちの電圧補正を行うものに対しては前記波形生成手段から前記第2の駆動波形を出力させ、電圧補正を行う対象でないものに対しては前記波形生成手段から前記第3の駆動波形を出力させるように前記切替手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする液体噴射ヘッドの電圧制御装置である。
【0014】
請求項2記載の発明は、前記選択手段は、前記複数の波形増幅手段から出力された各電圧のうちの最大電圧のみを選択する最大値選択手段であることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置である。
【0015】
請求項3記載の発明は、前記最大値選択手段は、前記複数の波形増幅手段によって増幅された後の電圧をそれぞれ読み取る複数本の信号線がワイヤードOR接続によってつなげられ、1本の信号線によって前記電圧読み取り手段に出力される構成であることを特徴とする請求項2記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置である。
【0016】
請求項4記載の発明は、前記最大値選択手段は、ダイオードアレイによって構成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置である。
【0017】
請求項5記載の発明は、前記第2の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置である。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記第3の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体噴射ヘッドの電圧制御装置である。
【0019】
請求項7記載の発明は、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する複数の液体噴射ヘッドに対して、又は、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドの複数のノズルに対して、それぞれ印加する駆動波形を生成して出力する波形生成ステップと、前記波形生成ステップによって生成された駆動波形の電圧を決定する電圧決定ステップと、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して印加する各電圧を前記電圧決定手段によって決定された電圧となるようにそれぞれ昇圧させる電圧増幅ステップと、前記波形生成ステップから出力された駆動波形と前記電圧増幅ステップによって生成された電圧とを組み合わせて前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに出力する波形増幅ステップと、前記波形増幅ステップを経た直後の各電圧のうちの電圧補正対象となる電圧を選択する選択ステップと、前記選択ステップによって選択された電圧を読み取る電圧読み取りステップと、前記電圧読み取りステップによって読み取られた電圧を、前記電圧決定ステップによって決定された電圧と比較し、その比較結果から補正値を算出し、その補正値に基づいて前記電圧決定ステップにおいて決定される電圧に補正を加える電圧調整ステップとを有する液体噴射ヘッドの電圧制御方法であって、前記波形生成ステップでは、通常の液体噴射を行う際に使用する第1の駆動波形、電圧補正時に使用する第2の駆動波形又は電圧補正時に使用し前記第2の駆動波形よりも振幅値が小さい第3の駆動波形のいずれを生成して出力するかを切り替え可能とし、電圧補正時、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルのうちの電圧補正を行うものに対しては前記波形生成ステップにおいて前記第2の駆動波形を生成して出力させ、電圧補正を行う対象でないものに対しては前記波形生成ステップにおいて前記第3の駆動波形を出力させるように切り替えることを特徴とする液体噴射ヘッドの電圧制御方法である。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記選択ステップは、前記波形増幅ステップを経た各電圧のうちの最大電圧のみを選択することを特徴とする請求項7記載の液体噴射ヘッドの電圧制御方法である。
【0021】
請求項9記載の発明は、前記第2の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の液体噴射ヘッドの電圧制御方法である。
【0022】
請求項10記載の発明は、前記第3の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項7、8又は9記載の液体噴射ヘッドの電圧制御方法である。
【0023】
請求項11記載の発明は、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルを有する液体噴射ヘッドと、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して、それぞれ印加する駆動波形を生成して出力する波形生成手段と、前記波形生成手段によって生成された駆動波形の電圧を決定する電圧決定手段と、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに対して印加する各電圧を前記電圧決定手段によって決定された電圧となるようにそれぞれ昇圧させる複数の電圧増幅手段と、前記波形生成手段から出力された駆動波形と前記複数の電圧増幅手段から出力された電圧とを組み合わせて前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルに出力する複数の波形増幅手段と、前記複数の波形増幅手段から出力された直後の各電圧のうちの電圧補正対象となる電圧を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された電圧を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段によって読み取られた電圧を、前記電圧決定手段によって決定された電圧と比較し、その比較結果から補正値を算出し、その補正値に基づいて前記電圧決定手段において決定される電圧に補正を加える電圧調整手段とを備えた液体噴射装置であって、前記波形生成手段は、通常の液体噴射を行う際に使用する第1の駆動波形を生成する第1の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用する第2の駆動波形を生成する第2の駆動波形生成手段と、電圧補正時に使用し前記第2の駆動波形よりも振幅値が小さい第3の駆動波形を生成する第3の駆動波形生成手段とを有し、前記波形生成手段から出力される駆動波形を前記第1の駆動波形、前記第2の駆動波形又は前記第3の駆動波形のいずれかに切り替える切替手段と、電圧補正時、前記複数の液体噴射ヘッド又は前記複数のノズルのうちの電圧補正を行うものに対しては前記波形生成手段から前記第2の駆動波形を出力させ、電圧補正を行う対象でないものに対しては前記波形生成手段から前記第3の駆動波形を出力させるように前記切替手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする液体噴射装置である。
【0024】
請求項12記載の発明は、前記選択手段は、前記複数の波形増幅手段から出力された各電圧のうちの最大電圧のみを選択する最大値選択手段であることを特徴とする請求項11記載の液体噴射装置である。
【0025】
請求項13記載の発明は、前記最大値選択手段は、前記複数の波形増幅手段によって増幅された後の電圧をそれぞれ読み取る複数本の信号線がワイヤードOR接続によってつなげられ、1本の信号線によって前記電圧読み取り手段に出力される構成であることを特徴とする請求項12記載の液体噴射装置である。
【0026】
請求項14記載の発明は、前記最大値選択手段は、ダイオードアレイによって構成されていることを特徴とする請求項12又は13記載の液体噴射装置である。
【0027】
請求項15記載の発明は、前記第2の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の液体噴射装置である。
【0028】
請求項16記載の発明は、前記第3の駆動波形は、直流波形であることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の液体噴射装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数の液体噴射ヘッド又は複数のノズルに対して印加される直前の状態の波形増幅された増幅変動分も含めた駆動信号から、その電圧を簡単な構成で、各液体噴射ヘッド又は各ノズルを容易に区別して測定できるようにすることにより、電圧を正確に制御することが可能な液体噴射ヘッドの電圧制御装置、液体噴射ヘッドの電圧制御方法及び液体噴射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0031】
図1は、インクジェットプリンタ等の画像記録装置に用いられる液体噴射装置の一例を示すブロック図である。図中、1A、1Bは記録ヘッド、2は記録ヘッド1の電圧制御を行う電圧制御装置である。
【0032】
記録ヘッド1A、1Bは、電圧を変化させることによって駆動してノズルから液体を噴射する構造の液体噴射ヘッドであり、図2に示すものがその一例として挙げられる。ここでは2つの記録ヘッド1A、1Bが設けられているが、その数は複数であれは何ら限定されない。
【0033】
図2はせん断モードタイプの記録ヘッドの概略構成を一部断面で示す斜視図、図3はその作動を示す図である。記録ヘッド1Aと1Bは同一構成であるので、ここでは記録ヘッド1Aのみを例示する。
【0034】
記録ヘッド1Aは、カバープレート11と基板12の間に、PZT等の圧電素子からなる複数の側壁13で隔てられたチャネル14が多数並設されている。図3では多数のチャネル14の一部である3本(14A、14B、14C)が示されているが、チャネル14の数は特に限定されない。
【0035】
チャネル14の一端はノズル形成部材15に形成されたノズル16につながり、他端はインク供給口17を経て、図示されていないインクタンクに接続されている。そして、各チャネル14内の側壁13表面には両側壁13の上方からチャネル14内の底面に亘って繋がる電極17が密着形成され、各電極17は電圧制御装置2に接続している。
【0036】
各側壁13は、ここでは図3中の矢印で示すように分極方向が異なる2枚の圧電素子13a、13bによって構成されているが、圧電素子は例えば符号13aの部分のみであってもよく、側壁13の少なくとも一部にあればよい。
【0037】
各側壁13表面に密着形成された電極17に電圧制御装置2の制御により所定の駆動信号が印加されると、以下に例示する動作によってインク滴をノズル16から吐出する。なお、図3ではノズルは省略してある。
【0038】
まず、図3(a)に示すように、電極17A、17B、17Cのいずれにも駆動信号が印加されない時は、側壁13A、13B、13C、13Dのいずれも変形しないが、電極17A及び17Cを接地すると共に電極17Bに、例えば図4(a)に示す波形形状の駆動波形を用いて電圧が変化する駆動信号を生成して印加すると、側壁13B、13Cを構成する圧電素子の分極方向に直角な方向の電界が生じ、各側壁13B、13C共に、それぞれ圧電素子13a、13bの接合面にズリ変形を生じ、図3(b)に示すように側壁13B、13Cは互いに外側に向けて変形し、チャネル14Bの容積を拡大する。これによりチャネル14B内に負の圧力が生じてインクが流れ込む(Draw)。
【0039】
この状態が一定時間継続した後に電圧が0に戻ると、側壁13B、13Cは図3(b)に示す拡大位置から図3(a)に示す中立位置に戻り、チャネル14B内のインクに高い圧力が掛かる(Release)。引き続いて、図3(c)に示すように、側壁13B、13Cを互いに逆方向に変形して、チャネル14Bの容積が縮小し(Reinforce)、チャネル14B内に正の圧力が生じる。これによりチャネル14Bを満たしているインクの一部によるノズル内のメニスカスがノズルから押し出される方向に変化し、ノズルからインク柱が吐出する。他の各チャネルも駆動信号の印加によって上記と同様に動作する。このような駆動法はDRR駆動法と呼ばれ、電圧を変化させることによって駆動してノズル16からインク滴を吐出するせん断モードタイプの記録ヘッド1の代表的な駆動法である。
【0040】
このような記録ヘッド1A、1Bを駆動するための電圧を制御する電圧制御装置2は、図1に示すように、電圧制御部21、電圧増幅部22A、22B、波形生成部23、波形増幅部24A、24B、電圧読み取り部25、選択手段26を有している。
【0041】
電圧制御部21は、各記録ヘッド1A、1Bに対して所望の電圧が印加されるように電圧値を決定する電圧決定機能と、電圧読み取り部25によって読み取られた電圧値から補正値を算出する補正値算出機能と、該補正値算出機能によって算出された補正値によって、前記電圧決定機能によって決定される電圧値を補正する電圧調整機能を備えており、CPUによって構成されている。この電圧制御部21には補正値記憶手段211が設けられており、補正値算出機能によって算出された補正値を記憶しておくことができるようになっている。
【0042】
電圧制御部21における電圧決定機能は、各記録ヘッド1A、1Bへ印加する駆動信号の最大電圧を決定し、その決定した最大電圧となるような電圧値を各電圧増幅部22A、22Bに対して設定する制御を行う。また、補正値算出機能は、電圧読み取り部25によって読み取られた電圧値と、上記電圧決定機能によって決定されて各電圧増幅部22A、22Bに対して設定された電圧値とを比較し、その差分から記録ヘッド1A、1Bに対して所望の電圧が印加されるための補正比率を求め、この値を補正値として補正値記憶手段211に記憶する制御を行う。更に、電圧調整機能は、算出された補正比率を前記電圧決定機能によって決定される電圧値に乗算して、新たな補正電圧値を設定する制御を行う。
【0043】
電圧増幅部22A、22Bは、各記録ヘッド1A、1Bに対応して設けられており、各記録ヘッド1A、1Bに対して印加するための電圧を所定の増幅率にて増幅し、電圧制御部21において決定された記録ヘッド1A、1Bにおいて必要な電圧となるように昇圧させるDA変換器とOPアンプ等の増幅器によって構成されている。ここで昇圧された電圧(駆動電圧)は各波形増幅部24A、24Bに出力される。
【0044】
波形生成部23は、各記録ヘッド1A、1Bに印加する波形の形状を生成し、各波形増幅部24A、24Bに出力する。この波形生成部23では複数種類の形状の波形を生成することが可能であり、ここでは、吐出用波形(第1の駆動波形)を生成する吐出用波形生成部231、調整用波形A(第2の駆動波形)を生成する第1調整用波形生成部232及び調整用波形B(第3の駆動波形)を生成する第2調整用波形生成部233を有している。
【0045】
吐出用波形生成部231は、例えば図4(a)に示すように矩形波からなる波形形状の吐出用波形を生成する。この吐出用波形は各記録ヘッド1A、1Bからインク滴を吐出するために通常使用する波形である。この図4(a)に示す吐出用波形は矩形波からなり、その電圧の最大値Vmaxを維持する時間tはわずか2μs程度しかない。従って、このような吐出用波形は、電圧補正時に電圧を読み取ることが困難であるため、本発明の構成を採用することにより特に顕著な効果が得られる。
【0046】
第1調整用波形生成部232は、電圧補正を行う際に電圧補正対象の記録ヘッド1A又は1Bに対して使用する調整用波形Aを生成する。
【0047】
調整用波形Aは、吐出用波形生成部231で生成される吐出用波形とは異なる波形であり、後の電圧読み取り部25における電圧読み取りが容易となるような波形である。このような波形は、好ましくは、ある一定レベルの電圧を常に保つような形状の波形であり、例えば図4(b)に示すような直流波形とすることが好ましい。調整用波形Aをこのような直流波形とすれば、後の電圧読み取りのための構成がより簡単となる。
【0048】
更に、その振幅値は吐出用波形の最大振幅値と同レベルであると、より正確な電圧補正を行うことができるために好ましい。
【0049】
第2調整用波形生成部233は、電圧補正を行う際に電圧補正対象でない記録ヘッド1A又は1Bに対して使用する調整用波形Bを生成する。
【0050】
調整用波形Bは、前記吐出用波形及び前記調整用波形Aとは異なる波形であり、後の選択手段26によって前記調整用波形Aと容易に区別できるようにするため、調整用波形Aよりも振幅値が小さい波形からなる。
【0051】
この調整用波形Bも、ある一定レベルの電圧を常に保つような形状の波形であることが好ましく、直流波形とすることが好ましい。更に、その振幅値は図4(c)に示すように0であると、後段の選択手段26において調整用波形Aとの区別がより行い易くなるために好ましい。
【0052】
波形生成部23は、図5に示すように、ここで生成される吐出用波形、調整用波形A及び調整用波形Bのうち、実際に波形増幅部24A、24Bにそれぞれ出力する波形をいずれかに切り替える切替手段234を備えている。切替手段234は、例えば電圧制御部21からの制御信号によって制御され、各波形増幅部24A、24Bに対して、吐出用波形、調整用波形A及び調整用波形Bのうちのいずれかの波形を出力する。
【0053】
なお、この切替手段234は、各波形増幅部24A、24Bに入力される駆動波形が、吐出用波形、調整用波形A及び調整用波形Bのいずれかに切り替えられればよく、必ずしも波形生成部23が有する構成に限定されない。
【0054】
波形増幅部24A、24Bは、各記録ヘッド1A、1Bに対応して設けられており、電圧増幅部22A、22Bから出力された電圧と波形生成部23から出力されたいずれかの波形とを入力し、記録ヘッド1A、1Bに印加するための駆動信号を生成する。ここで生成された所定の波形及び電圧を有する駆動信号が記録ヘッド1A、1Bに印加される。
【0055】
ここで、波形生成部23から出力される波形が吐出用波形生成部231において生成された吐出用波形である場合、波形増幅部24A、24Bでは、例えば図4(a)に示す吐出用波形が電圧増幅部22A、22Bからの電圧と組み合わされる。これにより、最大電圧値が電圧増幅部22A、22Bで増幅された電圧となるような駆動信号を出力する。
【0056】
また、波形生成部23から出力される波形が第1調整用波形生成部232において生成された調整用波形Aである場合、波形増幅部24A、24Bでは、例えば図4(b)に示す調整用波形Aが電圧増幅部22A、22Bからの電圧と組み合わされる。これにより、電圧増幅部22A、22Bで増幅された電圧を一定に保つような駆動信号を出力する。
【0057】
更に、波形生成部23から出力される波形が第2調整用波形生成部233において生成された調整用波形Bである場合、波形増幅部24A、24Bでは、例えば図4(c)に示す調整用波形Bが電圧増幅部22A、22Bからの電圧と組み合わされる。図4(c)に示す調整用波形Bは0Vの波形であるため、波形増幅部24A、24Bは調整用波形Aよりも低電圧(0V)を一定に保つような駆動信号を出力する。
【0058】
電圧読み取り部25は、電圧補正時に、波形増幅部24A、24Bから出力された直後で、記録ヘッド1A、1Bへ印加される前の駆動信号から電圧を読み取り、読み取った結果の電圧値を電圧制御部21へ出力するAD変換器によって構成されている。
【0059】
選択手段26は、各波形増幅部24A、24Bから出力された直後の各駆動信号を1つの電圧読み取り部25に選択的に入力させる。電圧補正時に波形生成部23から出力される波形は、具体的には後述するように調整用波形A及び調整用波形Bであり、それらは振幅値が異なっているため、この選択手段26は、各記録ヘッド1A、1Bにそれぞれ出力される駆動信号の各電圧のうちの最大値(最大振幅値)を選択し、その選択した最大値の電圧を有する駆動信号のみを電圧読み取り部25に出力する最大値選択手段であることが好ましい。
【0060】
この構成により、電圧制御部21において複数の記録ヘッド1A、1Bに対して電圧補正を行う場合、電圧補正対象となる記録ヘッド1A又は1Bに対しては調整用波形Aを出力し、電圧補正対象でない記録ヘッド1B又は1Aに対しては調整用波形Bを出力すれば、選択手段26によって、そのうちの最大電圧を有する駆動信号の電圧のみを電圧読み取り部25によって読み取ることができる。従って、制御信号を出力して切り替え制御を行う必要なく電圧補正対象の記録ヘッドを特定し、その駆動信号の電圧を読み取ることが可能となる。しかも、電圧を読み取る際、他の記録ヘッドに印加される駆動信号の電圧の影響を受けなくなるため、調整用波形Bが中間電位をとっている場合でも、記録ヘッド1A、1Bに損傷を与えるおそれがない。
【0061】
このような選択手段26は、各波形増幅部24A、24Bによって増幅された後の電圧を読み取る信号線がワイヤードOR接続され、各記録ヘッド1A、1Bに対応した複数の入力信号線に対して1本の出力信号線を有する構成であることが好ましい。このような構成によれば、電圧読み取り部25への出力信号線の数が波形増幅部24A、24Bから各記録ヘッド1A、1Bに出力する出力信号線の数よりも少なくなるので、回路規模の縮小、すなわち、基板の縮小とコストダウンが可能となる。しかも、各記録ヘッド1A、1Bに対して印加される駆動信号の電圧を1つの共通の電圧読み取り部25によって読み取ることになるため、読み取り精度のばらつきがなくなり、精度良く電圧補正を行うことが可能となる。
【0062】
選択手段26は、ダイオードアレイによって構成すると、回路規模がより小さくなり、よりコストダウンを図ることができるために好ましい。
【0063】
図6は、選択手段26をワイヤードOR接続されたダイオードアレイによって構成した場合を示している。これによれば、選択手段26を構成する一方のダイオードアレイ26Aのアノードが波形増幅部24Aからの出力信号線と接続され、他方のダイオードアレイ26Bのアノードが波形増幅部24Bからの出力信号線と接続されている。各ダイオードアレイ26A、26Bのカソードは、1本の出力信号線にまとめられて電圧読み取り部25に接続される。
【0064】
このような選択手段26は、一方のダイオードアレイ26A又は26Bに流れる電圧が他方のダイオードアレイ26B又は26Aに流れ込まないので、電圧の逆流防止を図ることができる。このため、電圧補正対象でない記録ヘッドの保護機能を有しており、保護回路としても機能する。
【0065】
次に、かかる電圧制御装置2による電圧制御方法について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0066】
電圧調整が要求されると、電圧制御部21は、電圧補正を行った調整ヘッド数と接続されているヘッド数とを確認する(S1)。ここではいずれの記録ヘッド1A、1Bの調整も行っていないため、(調整ヘッド数)<(接続ヘッド数)である。
【0067】
そして、電圧制御部21は、電圧補正対象となる記録ヘッドを選択する(S2)。ここでは、最初に記録ヘッド1Aを電圧補正対象とするものとして説明する。記録ヘッドを選択した後は、電圧制御部21は所定の電圧値を決定し、それを各電圧増幅部22A、22Bに設定する。この際、実際に記録ヘッド1A、1Bからインク滴を吐出するために必要な電圧となるような値とすることが好ましい。
【0068】
次いで、波形生成部23から、電圧補正対象である記録ヘッド1Aに対しては、例えば図4(b)に示す調整用波形Aが生成されて出力され、電圧補正対象でない記録ヘッド1Bに対しては、例えば図4(c)に示す調整用波形Bが生成されて出力されるように切替手段234を制御する(S3)。これにより、電圧増幅部22A、22Bからそれぞれ出力された電圧が波形増幅部24A、24Bにおいて波形生成部23から出力された調整用波形A、調整用波形Bとそれぞれ組み合わせされて駆動信号が生成され、対応する記録ヘッド1A、1Bにそれぞれ出力される。
【0069】
波形増幅部24A、24Bから出力された直後の駆動信号は、それぞれ選択手段26に入力される。ここで、波形増幅部24Aからは調整用波形Aに基づき、電圧制御部21において設定された所定の電圧を有する駆動信号が入力され、波形増幅部24Bからは調整用波形Bに基づき、波形増幅部24Aよりも振幅値の小さい駆動信号が入力される。
【0070】
選択手段26は、これらの駆動信号のうちの最大電圧を有する駆動信号だけを電圧読み取り部25へ出力する。従って、ここでは調整用波形Aが電圧読み取り部25へ出力される。電圧読み取り部25では、調整用波形Aに基づいて生成された波形増幅部24Aからの駆動信号の電圧が読み取られてAD変換され、その電圧値は電圧制御部21に出力される(S4)。
【0071】
ここで、電圧制御部21は、電圧補正対象となる記録ヘッド1Aに対して設定した電圧値(出力電圧)と、電圧読み取り部25から出力された電圧値(入力電圧)とを比較する(S5)。
【0072】
その比較の結果、出力電圧≠入力電圧である場合、電圧制御部21は、電圧補正対象となる記録ヘッド1Aに対して、電圧制御部21で決定された通りの所定の電圧が得られていないと判断し、出力電圧と入力電圧との差分に基づいて、出力電圧=入力電圧となるような補正比率を算出する(S6)。算出された補正比率の値は、記録ヘッド1Aに対する補正値として補正値記憶手段211に記憶される(S7)。
【0073】
一方、上記ステップS5において、出力電圧=入力電圧である場合、電圧制御部21は、電圧補正対象となる記録ヘッド1Aに対して、電圧制御部21において決定された通りの所定の電圧が得られており、特に電圧補正を行う必要はないと判断し、記録ヘッド1Aに対する電圧調整処理は終了する。
【0074】
その後は、上記ステップS1に戻り、今度は記録ヘッド1Bを電圧補正対象として上記ステップS2からの処理を行う。
【0075】
全ての記録ヘッド1A、1Bの電圧読み取りが終了したら、すなわち、上記ステップS1において(調整ヘッド数)=(接続ヘッド数)となったら、電圧制御部21は、電圧補正が必要な記録ヘッドに対して、外部より設定される電圧値に、補正値記憶手段211に記憶された補正値を乗算した値の電圧値を設定し、波形生成部23からは吐出用波形が出力されるように切替手段234を切り替え制御することで、全ての記録ヘッド1A、1Bに対して所望の正確な電圧を有する駆動信号が印加される(S8)。
【0076】
このように、本発明に係る電圧制御装置及び電圧制御方法によれば、電圧補正時、電圧補正対象の記録ヘッド1A又は1Bには、吐出用波形とは異なる調整用波形Aに基づく駆動信号が出力され、その電圧を波形増幅部24A、24Bから出力された直後に読み取るので、複雑な波形形状の吐出用波形に基づく駆動信号から電圧を読み取る必要はなくなり、波形増幅部24A、24Bでの増幅変動分も含めた電圧を簡単な構成で測定できるようになる。従って、記録ヘッド1A、1Bに印加する電圧を正確に制御することができるようになる。
【0077】
また、電圧補正対象でない記録ヘッド1A又は1Bには、調整用波形Aよりも振幅値が小さい調整用波形Bが出力されるので、電圧制御部21において、電圧補正対象のものと電圧補正対象でないものとで電圧に高低差をつけるような電圧設定制御をする必要がない。電圧制御部21において電圧補正対象でないものに対する電圧設定を例えば0Vとするように、電圧補正対象のものに比べて低く落として高低差をつけるように設定する場合、電圧増幅部22A、22Bにおいて電圧降下に時間がかかる結果、それだけ電圧補正が完了するまでの時間がかかるようになる。しかし、本発明によれば、電圧補正対象に出力する調整用波形Aとは別に、電圧補正対象でないものに対して調整用波形Aよりも振幅値の小さい調整用波形Bを出力するので、電圧制御部21において別々の電圧値を設定する必要がなく、高速な電圧補正制御を実現することができる。
【0078】
なお、ここでは電圧制御を記録ヘッド単位に行うようにしたが、電圧を複数のノズル毎に制御可能な記録ヘッドの場合は、記録ヘッドの複数のノズルに対してノズル単位に電圧制御を行うこともできる。この場合は、ノズル毎に電圧増幅部22A、22B…、波形増幅部24A、24B…を設け、電圧補正時、波形生成部23からは調整用波形A又は調整用波形Bのいずれかに切り替えされて各ノズルに対応する波形増幅部24A、24B…に対して出力されるようにすればよい。
【0079】
本発明に係る液体噴射ヘッドの電圧制御装置及び液体噴射装置は、以上説明した画像記録装置に適用されるものに限らず、液状の電極材を基板上に吐出して電極を形成する電極形成装置、生体試料を吐出してバイオチップを製造するバイオチップ製造装置、所定量の試料を容器に吐出するマイクロピペット、接着剤を液滴状にして被接着材の所望の領域に塗布する塗布装置等、電圧を変化させることによって駆動して液体を液滴状にして吐出する液体噴射ヘッドを用いた様々な分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る液体噴射装置の一例を示すブロック図
【図2】せん断モードタイプの記録ヘッドの概略構成を一部断面で示す斜視図
【図3】図2に示す記録ヘッドの作動を示す図
【図4】(a)は吐出用波形の例、(b)は調整用波形Aの例、(c)は調整用波形Bの例を示す図
【図5】波形生成部の構成例を示すブロック図
【図6】最大値選択手段の構成例を示す図
【図7】電圧制御方法の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B:記録ヘッド
2:電圧制御装置
21:電圧制御部
211:補正値記憶手段
22A、22B:電圧増幅部
23:波形生成部
231:吐出用波形生成部
232:第1調整用波形生成部
233:第2調整用波形生成部
234:切替手段
24A、24B:波形増幅部
25:電圧読み取り部
26:最大値選択手段
26A、26B:ダイオードアレイ
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】 【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一


【公開番号】 特開2008−18657(P2008−18657A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193693(P2006−193693)