| 【発明の名称】 |
液体吐出装置、その異常判定方法及びそのプログラム |
| 【発明者】 |
【氏名】西坂 勝彦
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| 【要約】 |
【課題】異常発生の判定精度が高い液体吐出装置、その異常判定方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【構成】ノズル25aから吐出したインクの推定吐出量Vinkを求め、密閉室29へ送出した空気供給量Vpumpとインクの推定吐出量Vinkとの大小関係に基づいて異常(例えば、インク漏れやノズル詰まり)の発生の有無を判定する。異常が発生していないときには密閉室29へ送出した空気供給量Vpumpとインクの推定吐出量Vinkとは理論的には等しくなるため、この2つの量に実質的な差(例えば誤差範囲を超える差)が現れたときには、異常が発生したと判定することができる。したがって、発生した異常の程度にかかわらず異常が発生したと判定することができ、異常発生の判定精度が高くなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノズルから液体を吐出可能な液体吐出手段と、 駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから前記液体が吐出するよう前記液体吐出手段を制御する制御手段と、 前記液体を収容し、前記ノズルから前記液体が吐出されるのに伴って自身の容積が減少して該容積の減少量に相当する前記液体を前記液体吐出手段に供給する液体収容手段と、 前記ノズルから吐出した前記液体の推定吐出量を求める吐出量推定手段と、 前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定する判定手段と、 を備えた液体吐出装置。 【請求項2】 前記判定手段は、前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて前記液体の漏出又は前記ノズルの詰まりの発生の有無を判定する、 請求項1に記載の液体吐出装置。 【請求項3】 前記判定手段は、前記液体吐出手段における前記液体の漏出又は前記ノズルの詰まりの発生の有無を判定するにあたり、前記容積の減少量が前記液体の推定吐出量より大きいときには前記液体の漏出が発生したと判定する、 請求項2に記載の液体吐出装置。 【請求項4】 前記判定手段は、前記液体吐出手段における前記液体の漏出又は前記ノズルの詰まりの発生の有無を判定するにあたり、前記容積の減少量が前記液体の推定吐出量より小さいときにはノズルの詰まりが発生したと判定する、 請求項2又は3に記載の液体吐出装置。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置であって、 前記液体収容手段に外部圧力を加えることにより前記液体収容手段に収容された前記液体を前記液体吐出手段に供給する加圧手段を備える、 液体吐出装置。 【請求項6】 前記加圧手段は、前記液体収容手段を内包する内包手段と、該内包手段の内部圧力を変化させることにより前記液体収容手段の外部圧力を変化させる圧力変動手段と、を備える手段であり、 前記判定手段は、前記圧力変動手段によって前記内包手段の内部圧力が所定圧になるように設定した状態で前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されて前記ノズルから前記液体が吐出したあと前記圧力変動手段によって前記内包手段の内部圧力が再び前記所定圧になるように設定したとき、前記ノズルから前記液体が吐出する前後における前記圧力変動手段の作動量に基づいて前記容積の減少量を導出し、該容積の減少量と前記推定吐出量との大小関係に基づいて前記異常の発生の有無を判定する、 請求項5に記載の液体吐出装置。 【請求項7】 前記加圧手段は、前記液体収容手段を内包する内包手段と、該内包手段の内部圧力を変化させることにより前記液体収容手段の外部圧力を変化させる圧力変動手段と、を備える手段であり、 前記判定手段は、前記圧力変動手段によって前記内包手段の内部圧力が所定圧になるように設定した状態で前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されて前記ノズルから前記液体が吐出したあと、前記液体の推定吐出量に相当する圧力だけ前記内包手段の内部圧力を上昇させるために必要な前記圧力変動手段の作動量を導出し、該作動量だけ前記圧力変動手段を作動させたとき、前記内包手段の内部圧力と前記所定圧との大小関係に基づいて前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係を決定し、該大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定する、 請求項5に記載の液体吐出装置。 【請求項8】 前記制御手段は、印刷指令に基づく駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから前記液体が印刷媒体へ吐出するよう前記液体吐出手段を制御し、 前記吐出量推定手段は、前記液体が前記印刷媒体へ吐出するよう前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されている期間中の前記液体の推定吐出量を求め、 前記判定手段は、前記液体が前記印刷媒体へ吐出するよう前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されている期間中の前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定する、 請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出装置。 【請求項9】 前記制御手段は、所定のフラッシング時期が到来したときにフラッシング用の駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから前記液体が予め定められたフラッシング領域へ吐出するよう前記液体吐出手段を制御し、 前記吐出量推定手段は、前記液体が前記フラッシング領域へ吐出されている期間中の前記液体の推定吐出量を求め、 前記判定手段は、前記液体が前記フラッシング領域へ吐出されている期間中の前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定する、 請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出装置。 【請求項10】 ノズルから液体を吐出可能な液体吐出手段と、駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから液体が吐出するよう前記液体吐出手段を制御する制御手段と、前記液体を収容し、前記ノズルから前記液体が吐出されるのに伴って自身の容積が減少して該容積の減少量に相当する前記液体を前記液体吐出手段に供給する液体収容手段と、を備えた液体吐出装置の異常判定方法であって、 (a)前記ノズルから吐出した前記液体の推定吐出量を求めるステップと、 (b)前記容積の減少量と前記ステップ(a)で求めた前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定するステップと、 を含む液体吐出装置の異常判定方法。 【請求項11】 請求項10に記載の判定方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのプログラム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、液体吐出装置、その異常判定方法及びそのプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、液体漏れ等の圧力漏れを検出可能なインクジェット式記録装置が知られている。例えば、特許文献1のインクジェット式記録装置は、蛇腹ポンプを用いて空気圧をインクカートリッジに送出することによりインクカートリッジから印刷ヘッドへインクチューブを介してインクを加圧送出するが、蛇腹ポンプの空気圧が所定の空気圧以上に上昇することなく蛇腹ポンプの弁体が初期加圧位置から加圧限界位置まで移動したとき、又は、蛇腹ポンプの空気圧が所定の空気圧以上に上昇することなく蛇腹ポンプの弁体が初期加圧位置から加圧限界位置まで移動するのに要した時間がその移動中に印刷ヘッドの最大噴射量で連続してインク噴射を実行し続けた場合に要する時間より短かかったときには、蛇腹ポンプユニット及びインクチューブのいずれかに圧力漏れが生じていると判定する。 【特許文献1】特開2005−138579号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、上述のインクジェット式記録装置は、蛇腹ポンプの空気圧が所定の空気圧以上に上昇することなく蛇腹ポンプの弁体が初期加圧位置から加圧限界位置まで移動してしまう程度の圧力漏れでなければ検出することができなかった。このため、圧力漏れの判定精度が高いとはいえなかった。 【0004】 本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、異常発生の判定精度が高い液体吐出装置、その異常判定方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明の液体吐出装置、その異常判定方法及びそのプログラムは、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。 【0006】 本発明の液体吐出装置は、 ノズルから液体を吐出可能な液体吐出手段と、 駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから前記液体が吐出するよう前記液体吐出手段を制御する制御手段と、 前記液体を収容し、前記ノズルから前記液体が吐出されるのに伴って自身の容積が減少して該容積の減少量に相当する前記液体を前記液体吐出手段に供給する液体収容手段と、 前記ノズルから吐出した前記液体の推定吐出量を求める吐出量推定手段と、 前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定する判定手段と、 を備えることを要旨とする。 【0007】 この液体吐出装置では、ノズルから吐出した液体の推定吐出量を求め、容積の減少量と該液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定する。異常が発生していないときには容積の減少量と液体の推定吐出量とは理論的には等しくなるため、この2つの量に実質的な差(例えば誤差範囲を超える差)が現れたときには、異常が発生したと判定することができる。したがって、発生した異常の程度にかかわらず異常が発生したと判定することができ、異常発生の判定精度が高くなる。ここで異常としては、例えば、液体の漏出やノズルの詰まりなどが挙げられる。 【0008】 本発明の液体吐出装置において、前記判定手段は、前記液体吐出手段における前記液体の漏出又は前記ノズルの詰まりの発生の有無を判定するにあたり、前記容積の減少量が前記液体の推定吐出量より大きいときには前記液体の漏出が発生したと判定するとしてもよい。容積の減少量が液体の推定吐出量より大きいときは、実際に液体収容手段から流出した液体の量が液体の推定吐出量より大きいと判断できるため、液体の漏出が発生したと判定することができる。 【0009】 本発明の液体吐出装置において、前記判定手段は、前記液体吐出手段における前記液体の漏出又は前記ノズルの詰まりの発生の有無を判定するにあたり、前記容積の減少量が前記液体の推定吐出量より小さいときにはノズルの詰まりが発生したと判定するとしてもよい。容積の減少量が液体の推定吐出量より小さいときは、実際に液体吐出手段へ供給された液体の量が推定吐出量よりも少ないと判断できるため、ノズルの詰まりが発生したと判定することができる。 【0010】 本発明の液体吐出装置は、前記液体収容手段に外部圧力を加えることにより前記液体収容手段に収容された前記液体を前記液体吐出手段に供給する加圧手段を備えてもよい。液体収容手段に収容された液体を加圧した状態で液体吐出手段へ供給するとき、液体収容手段及び液体吐出手段に力が加わって異常が発生する場合があることから、本発明を適用する意義が高い。 【0011】 前記加圧手段を備えた本発明の液体吐出装置において、前記加圧手段は、前記液体収容手段を内包する内包手段と、該内包手段の内部圧力を変化させることにより前記液体収容手段の外部圧力を変化させる圧力変動手段と、を備える手段であり、前記判定手段は、前記圧力変動手段によって前記内包手段の内部圧力が所定圧になるように設定した状態で前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されて前記ノズルから前記液体が吐出したあと前記圧力変動手段によって前記内包手段の内部圧力が再び前記所定圧になるように設定したとき、前記ノズルから前記液体が吐出する前後における前記圧力変動手段の作動量に基づいて前記容積の減少量を導出し、該容積の減少量と前記推定吐出量との大小関係に基づいて前記異常の発生の有無を判定するとしてもよい。こうすれば、容積の減少量を比較的容易に導出することができる。なお、所定圧は、例えば、液体収容手段から液体吐出手段への液体の供給が十分行われるときの内包手段の内部圧力を予め実験等により求め、その求めた圧力値としてもよい。 【0012】 前記加圧手段を備えた本発明の液体吐出装置において、前記加圧手段は、前記液体収容手段を内包する内包手段と、該内包手段の内部圧力を変化させることにより前記液体収容手段の外部圧力を変化させる圧力変動手段と、を備える手段であり、前記判定手段は、前記圧力変動手段によって前記内包手段の内部圧力が所定圧になるように設定した状態で前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されて前記ノズルから前記液体が吐出したあと、前記液体の推定吐出量に相当する圧力だけ前記内包手段の内部圧力を上昇させるために必要な前記圧力変動手段の作動量を導出し、該作動量だけ前記圧力変動手段を作動させたとき、前記内包手段の内部圧力と前記所定圧との大小関係に基づいて前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係を決定し、該大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定するとしてもよい。こうすれば、容積の減少量と液体の推定吐出量との大小関係を比較的容易に決定することができる。 【0013】 本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、印刷指令に基づく駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから前記液体が印刷媒体へ吐出するよう前記液体吐出手段を制御し、前記吐出量推定手段は、前記液体が前記印刷媒体へ吐出するよう前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されている期間中の前記液体の推定吐出量を求め、前記判定手段は、前記液体が前記印刷媒体へ吐出するよう前記制御手段により前記液体吐出手段が制御されている期間中の前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定するとしてもよい。こうすれば、印刷動作とは別に異常の発生の有無を判定する動作を実行する必要がない。 【0014】 本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、所定のフラッシング時期が到来したときにフラッシング用の駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから前記液体が予め定められたフラッシング領域へ吐出するよう前記液体吐出手段を制御し、前記吐出量推定手段は、前記液体が前記フラッシング領域へ吐出されている期間中の前記液体の推定吐出量を求め、前記判定手段は、前記液体が前記フラッシング領域へ吐出されている期間中の前記容積の減少量と前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定するとしてもよい。こうすれば、フラッシング動作とは別に異常の発生の有無を判定する動作を実行する必要がない。 【0015】 本発明の液体吐出装置の異常判定方法は、 ノズルから液体を吐出可能な液体吐出手段と、駆動信号を前記液体吐出手段に出力することにより前記ノズルから液体が吐出するよう前記液体吐出手段を制御する制御手段と、前記液体を収容し、前記ノズルから前記液体が吐出されるのに伴って自身の容積が減少して該容積の減少量に相当する前記液体を前記液体吐出手段に供給する液体収容手段と、を備えた液体吐出装置の異常判定方法であって、 (a)前記ノズルから吐出した前記液体の推定吐出量を求めるステップと、 (b)前記容積の減少量と前記ステップ(a)で求めた前記液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定するステップと、 を含むことを要旨とする。 【0016】 この液体吐出装置の異常判定方法では、ノズルから吐出した液体の推定吐出量を求め、容積の減少量と該液体の推定吐出量との大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定する。異常が発生していないときには容積の減少量と液体の推定吐出量とは理論的には等しくなるため、この2つの量に実質的な差(例えば誤差範囲を超える差)が現れたときには、異常が発生したと判定することができる。したがって、発生した異常の程度にかかわらず異常が発生したと判定することができ、異常発生の判定精度が高くなる。なお、上述した本発明の液体吐出装置が備える各種の構成によって奏される作用・機能を実現するためのステップを追加してもよい。 【0017】 本発明のプログラムは、上述した判定方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実行させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか複数のコンピュータに分散して実行させれば、上述した判定方法の各ステップが実行されるため、上述した判定方法と同様の作用効果が得られる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 次に本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1は本実施形態であるインクジェットプリンタ10の構成の概略を示す構成図、図2はインクカートリッジ24の周辺を表す部分断面図である。 【0019】 本実施形態のインクジェットプリンタ10は、モノクロ専用機として構成され、図1に示すように、プラテン46上を図中奥から手前へと搬送される記録紙Sにインク滴を吐出して印刷を行うプリンタ機構20と、駆動モータ14により駆動される紙送りローラ16と、プラテン46の一端に形成された非印刷領域としてのフラッシング領域44と、プラテン46の他端に形成されたキャッピング装置48と、ユーザが各種の指示を行ったりユーザへの報知を行ったりする操作パネル60と、メイン基板49上に設けられインクジェットプリンタ10全体をコントロールするコントローラ70とを備えている。 【0020】 プリンタ機構20は、キャリッジベルト21によりガイド22に沿って左右に往復動するキャリッジ23と、ブラック(K)のインクを収容しキャリッジ23へインクを供給可能な可撓性を有するインクカートリッジ24と、このインクカートリッジ24から供給されたインクに圧力をかけて記録紙Sに向かって吐出する印刷ヘッド25とを備えている。 【0021】 キャリッジ23は、メカフレーム12の右側に取り付けられたキャリッジモータ26のモータ軸である駆動ローラ27とメカフレーム12の左側に取り付けられた従動ローラ28との間に架設されたキャリッジベルト21がキャリッジモータ26によって駆動されるのに伴って移動する。ここでは、キャリッジ23上にインクカートリッジ24を搭載しない、いわゆるオフキャリッジ型を採用している。このキャリッジ23の背面には、キャリッジ移動方向に沿って設けられたリニアスケール42aの目盛りを読み取るフォトディテクタ42bが設けられ、このフォトディテクタ42bからの検出信号を用いてキャリッジ23の位置が管理可能となっている。 【0022】 インクカートリッジ24は、可撓性の薄膜フィルムからなるバッグにインクを収容した容器である。このインクカートリッジ24は、図2に示すように、密閉室29の内部に配置され、密閉室29のインク供給口29aに液密に接続された開口部24aからインクチューブ30を介して印刷ヘッド25にインクを供給可能となっている。密閉室29は、インク供給口29aのほか、内部圧力を検出可能な圧力センサ29bや、伸縮ポンプ31からの空気が密閉室29へ供給される連通口29cを備えている。 【0023】 伸縮ポンプ31は、伸縮可能な蛇腹部32と、該蛇腹部32の一端に取り付けられ蛇腹部32と密閉室29とを連通する導管33を有する固定ディスク34と、蛇腹部32の他端に取り付けられた可動ディスク35と、該可動ディスク35を固定ディスク34に対して接近・離間させる作動機構36とを備えている。作動機構36は、可動ディスク35を貫通するナット35aに螺合され一端が固定ディスク34の支持穴34aに空転自在に挿入された一対のネジ軸37,37と、各ネジ軸37の他端に固着された従動ギヤ38と、二つの従動ギヤ38,38と噛み合う駆動ギヤ39がモータ軸に固着されたポンプ作動モータ40とを備えている。このうち、ネジ軸37とナット35aとが図示しないボールを介して螺合されてボールネジを構成し、ネジ軸37が回転するのに伴ってナット35aを含む可動ディスク35が直線的に移動する。なお、導管33には、蛇腹部32から密閉室29へ空気が流入するのを許容し密閉室29から蛇腹部32へ空気が流入するのを禁止する第1の一方向弁V1が取り付けられている。また、固定ディスク34には、外気が蛇腹部32へ流入するのを許容し蛇腹部32から外部へ空気が流出するのを禁止する第2の一方向弁V2が取り付けられている。そして、ポンプ作動モータ40が正回転すると、駆動ギヤ39及び従動ギヤ38,38を介して一対のネジ軸37,37が同方向に同期して回転し、このネジ軸37,37の回転に伴って可動ディスク35が固定ディスク34に接近する。この結果、蛇腹部32は収縮され、蛇腹部32から第1の一方向弁V1を介して密閉室29へ空気が供給される(このとき、第2の一方向弁V2は閉じている)。一方、ポンプ作動モータ40が逆回転すると、駆動ギヤ39及び従動ギヤ38,38を介して一対のネジ軸37,37が先ほどとは逆向きに同期して回転し、このネジ軸37,37の回転に伴って可動ディスク35が固定ディスク34から離間する。この結果、蛇腹部32は伸長され、外気が第2の一方向弁V2を介して蛇腹部32へ流入する(このとき、第1の一方向弁V1は閉じている)。可動ディスク35には、ネジ軸37の長手方向に沿って設けられたリニアスケール41aの目盛りを読み取るフォトディテクタ41bが設けられ、このフォトディテクタ41bからの検出信号を用いて固定ディスク34を基準とする可動ディスク35の位置を管理することが可能となっている。 【0024】 印刷ヘッド25は、キャリッジ23の下部に設けられており、図示しない圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により印刷ヘッド25の下面に設けられた多数のノズル25aからインクを吐出するものである。なお、この印刷ヘッド25は、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。 【0025】 フラッシング領域44は、プラテン46の印刷可能領域から図1中の左側に外れた位置に設けられ、ノズル25aの先端でインクが乾燥して固化するのを防止するために定期的又は所定のタイミングで印刷データとは無関係にインク滴を吐出させる、いわゆるフラッシング動作を行うときに利用されるものである。このフラッシング領域44は、印刷ヘッド25がキャリッジ23と共に左端まで移動したときに該印刷ヘッド25のノズル25aと対向するように設けられている。このため、フラッシング動作は、印刷ヘッド25をキャリッジ23と共に左端まで移動させたあとに行われる。 【0026】 キャッピング装置48は、プラテン46の印刷可能領域から図1中の右側に外れた位置に設けられ、略直方体で上部が開口した筐体を備えている。このキャッピング装置48は、印刷ヘッド25に向かって上昇して印刷ヘッド25を封止した状態で負圧により強制的にノズル25aをクリーニングする際に利用されるほか、印刷休止中などに印刷ヘッド25が乾燥するのを防止する際にも利用される。 【0027】 操作パネル60は、ユーザがインクジェットプリンタ10に対して各種の指示を入力するためのデバイスであり、各種の指示に応じた文字、図形又は記号が表示されるディスプレイ62や、ユーザが各種操作を行うためのボタン類64が設けられている 【0028】 コントローラ70は、図1に示すように、メカフレーム12の背面に取り付けられたメイン基板49上に設けられ、CPU71を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM72と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM73と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリ74と、ユーザPC90などの外部機器との情報のやり取りを行うインタフェース(I/F)75と、図示しない入出力ポートとを備えている。RAM73には、印刷バッファ領域が設けられており、この印刷バッファ領域にはユーザPC90から送られてきた印刷データが一時的に記憶される。このコントローラ70には、キャリッジ23に搭載されたフォトディテクタ42bからのポジション信号や可動ディスク35に搭載されたフォトディテクタ41bからのポジション信号、圧力センサ29bからの密閉室29の内部圧力が図示しない入力ポートを介して入力されるほか、ユーザPC90から出力された印刷ジョブなどがI/F75を介して入力される。また、コントローラ70からは、印刷ヘッド25への駆動信号や駆動モータ14への駆動信号、キャリッジモータ26への駆動信号、ポンプ作動モータ40への駆動信号、キャッピング装置48への駆動信号などが図示しない出力ポートを介して出力されるほか、ユーザPC90への印刷ステータス情報などがI/F75を介して出力される。 【0029】 こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンタ10は、RAM73の印刷バッファに一時的に記憶された印刷データから生成された印刷ヘッド25の駆動信号に基づいて、印刷ヘッド25のノズル25aから吐出されるインクの量を推定する機能を有する。具体的には、ある一画素に対応する区間に吐出するインク滴の数は印刷データに基づいて決まり、3つの段階(1滴,2滴又は3滴)を有する。これは、印刷ヘッド25へ送出する駆動信号に含まれる電気パルスの数を変えることで実現される。また、1滴のインク滴の体積は予め実験等により求めることが可能である。よって、記録紙Sへ吐出したインクの量は記録紙Sへ吐出したインク滴の数から求めることができる。従って、記録紙Sへ吐出したインクの量を、印刷ヘッド25へ送出した駆動信号や印刷データから推定することができる。 【0030】 次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンタ10の動作について説明する。図3は、コントローラ70のCPU71により実行される印刷制御ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、ROM72に記憶され、インクジェットプリンタ10の電源がオンされたあと、ユーザPC90から印刷ジョブの指令をI/F75を介して受信したときに実行される。なお、この印刷制御ルーチンの開始時において密閉室29の内部圧力が予め定められた所定圧力Pset(例えば1.1気圧)よりも小さくなっているものとして説明する。このルーチンが開始されると、CPU71は、まず、フォトディテクタ41bのポジション信号から可動ディスク35の位置を導出し、必要に応じてポンプ作動モータ40を回転させることにより、可動ディスク35を初期位置(図4の位置A)まで移動させる(ステップS100)。ここで、初期位置(図4の位置A)は、密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetにすることが可能な量以上の空気を密閉室29へ供給できるよう、蛇腹部32が十分に伸長した位置に設定されるものとした。また、ポンプ作動モータ40を逆回転させて蛇腹部32を伸長させた場合は、第2の一方向弁V2を介して蛇腹部32へ外気が流入する。 【0031】 そして、密閉室29の内部圧力を表す圧力センサ29bの出力値が所定圧力Psetとなるようにポンプ作動モータ40を正回転させることにより駆動ギヤ39を回転駆動して可動ディスク35を固定ディスク34に接近させる(ステップS110)。続いて、密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetとすることができたか否かを判定し(ステップS120)、所定圧力Psetとすることができた場合はポンプ作動モータ40の回転を止めて可動ディスク35を停止させ(ステップS130)、ステップS140へと進む。可動ディスク35が固定ディスク34に接近すると、蛇腹部32が収縮され、蛇腹部32から第1の一方向弁V1を介して密閉室29へ空気が供給されるため、密閉室29の内部圧力が上昇するのである。一方、ステップS120において、密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetとすることができなかった場合(例えば、所定圧力Psetに達しないまま、可動ディスク35が移動限界位置(図4の位置B)に至って蛇腹部32をそれ以上収縮させられないために、密閉室29の内部圧力をそれ以上上昇させることができなくなった場合)は、蛇腹部32,導管33,密閉室29等に圧力漏れが生じていると判断し、操作パネル60のディスプレイ62に圧力漏れが発生している旨の表示をして(ステップS250)、本ルーチンを終了する。 【0032】 さて、可動ディスク35を停止させた後のステップS140では、そのときの固定ディスク34を基準とする可動ディスク35の位置をフォトディテクタ41bのポジション信号から導出し、それをインク吐出前の位置Pos1としてRAM73に記憶する。 【0033】 続いて、印刷ジョブに含まれる印刷データのうち、キャリッジ23がガイド22に沿って片道移動する際に印刷可能なデータ(1パス分の印刷データ)が記録紙Sに印刷されるようにプリンタ機構20を制御する(ステップS150)。具体的には、印刷ジョブに含まれる印刷データのうちの1パス分をRAM73の印刷バッファから読み出し、該印刷データをビットマップイメージへ展開する。そして、プリンタ機構20の駆動モータ14を駆動して紙送りローラ16を回転させて記録紙Sをプラテン46上の印刷可能領域へ搬送したあと、キャリッジモータ26を駆動してキャリッジベルト21を介してキャリッジ23を片道移動させながら展開データが記録紙Sに印刷されるよう印刷ヘッド25への印加電圧を制御する。そして、この1パス分の印刷が実行される間に印刷ヘッド25のノズル25aから吐出したと推定される推定インク吐出量Vinkを、この1パス分の印刷を実行する間に印刷ヘッド25へ送出した駆動信号に基づいて導出する(ステップS160)。 【0034】 このように1パス分の印刷を実行したあと、CPU71は、再び、密閉室29の内部圧力を表す圧力センサ29bの出力値が予め定められた所定圧力Psetとなるようにポンプ作動モータ40を正回転することにより駆動ギヤ39を回転駆動して可動ディスク35を固定ディスク34に接近させ、所定圧力Psetに至ったときにポンプ作動モータ40の回転を止めて可動ディスク35を停止させる(ステップS170)。そして、そのときの固定ディスク34を基準とする可動ディスク35の位置をインク吐出後の位置Pos2としてRAM73に記憶する(ステップS180)。 【0035】 続いて、可動ディスク35のインク吐出前の位置Pos1とインク吐出後の位置Pos2との差をストローク送り量として算出し、このストローク送り量に基づいて空気供給量Vpumpを導出する(ステップS190)。ここでは、予め蛇腹部32のストローク送り量と伸縮ポンプ31から送出される空気供給量Vpumpとの関係を実験などにより求め、その関係をマップで表し該マップをROM72に記憶しておき、今回算出したストローク送り量に対応する空気供給量Vpumpをそのマップから導出するものとした。なお、マップの代わりにテーブルを用いてもよいし、計算式を用いてもよい。 【0036】 そして、ステップS160で導出した推定インク吐出量VinkとステップS190で導出した空気供給量Vpumpとを比較する(ステップS200)。推定インク吐出量Vinkと空気供給量Vpumpとの大小関係に実質的な差が無いとき(誤差範囲内のとき)は、印刷を終了するか否かを判定する(ステップS210)。印刷を終了すると判定されたときはそのまま本ルーチンを終了し、印刷を終了しないと判定されたときは、再びステップS140〜S200の処理を実行する。ここで、印刷を終了するか否かは、受信した印刷ジョブの指令に含まれる印刷データが全て印刷されたか否かによって判定するものとした。推定インク吐出量Vinkが空気供給量Vpumpより実質的に小さいときは、インク漏れが生じていると判断し、操作パネル60のディスプレイ62にインク漏れが発生している旨の表示をして(ステップS220)、本ルーチンを終了する。また、推定インク吐出量Vinkが空気供給量Vpumpより実質的に大きいときは、ノズル詰まりが生じていると判断し、操作パネル60のディスプレイ62にノズル詰まりが発生している旨の表示をし(ステップS230)、印刷ヘッド25のノズル25aのクリーニングを実行して(ステップS240)、本ルーチンを終了する。 【0037】 ここで、印刷ヘッド25のノズル25aから吐出されたと推定される推定インク吐出量Vinkと伸縮ポンプ31から送出される空気供給量Vpumpとの関係を図4を用いて説明する。まず、インク漏れやノズル詰まりが発生していない場合(以下、正常な場合という)について説明する。図4では、インク吐出前のインクカートリッジ24を一点鎖線で表し、インク吐出後のインクカートリッジ24を実線で表した。インク吐出後であって伸縮ポンプ31の可動ディスク35を移動させる前の位置Pos1にある状態では、インクが吐出された分だけインクカートリッジ24の内容量が減少し、それに伴い密閉室29の空隙(密閉室29の容積からインクカートリッジ24の内容量を引いた値)が増加するから、内部圧力が所定圧力Psetよりも低くなる。その後、伸縮ポンプ31の可動ディスク35を固定ディスク34に接近させることにより密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetに戻すと、可動ディスク35は位置Pos2に移動する。このとき、可動ディスク35が位置Pos1から位置Pos2まで移動したときのストローク送り量に見合った空気が密閉室29に供給される。この空気供給量Vpumpは、インクが吐出された分つまりインクカートリッジ24の内容量が減少した分に相当する。したがって、インクの推定吐出量Vinkと空気供給量Vpumpとが実質的に等しいとき(誤差範囲内のとき)は、インク漏れやノズル詰まりが発生していないと判断することができる。 【0038】 インク漏れが発生している場合は、インク吐出後のインクカートリッジ24は二点鎖線Cで示したようになる。正常な場合に比べてインクが漏れ出て実際にインクカートリッジ24から余分にインクが流出するために、インクカートリッジ24の容積が実線で示された正常な場合のインクカートリッジ24の容積よりも小さくなるからである。このとき、インクの吐出前後における密閉室29の空隙の増加量は正常な場合の空隙の増加量よりも大きくなり、したがって、所定圧力Psetまで昇圧させるために密閉室29へ送出する空気供給量も正常な場合に送出する空気供給量よりも大きくなるから、インクの推定吐出量Vinkより空気供給量Vpumpの方が実質的に大きいときには、インク漏れが生じていると判断することができる。 【0039】 また、ノズル詰まりが発生している場合は、インク吐出後のインクカートリッジ24は破線Dで示したようになる。ノズルが詰まっているために印刷ヘッド25のノズル25aから実際に吐出されるインクの量が正常な場合に比べて少なくなって、インクカートリッジ24から印刷ヘッド25へ実際に供給されるインクの量が正常な場合に比べてすくなくなり、インクカートリッジ24の容積が実線で示された正常な場合のインクカートリッジ24の容積よりも大きくなるからである。このとき、インクの吐出前後における密閉室29の空隙の増加量は正常な場合の空隙の増加量よりも小さくなり、したがって、所定圧力Psetまで昇圧させるために密閉室29へ送出する空気供給量も正常な場合に送出する空気供給量よりも小さくなるから、インクの推定吐出量Vinkより空気供給量Vpumpの方が実質的に小さいときには、ノズル詰まりが生じていると判断することができる。 【0040】 次に、コントローラ70のCPU71により実行されるフラッシング制御ルーチンについて説明する。図5はフラッシング制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ROM72に記憶され、予め定められたフラッシングの実行タイミング(例えばノズル25aからのインクの吐出回数が所定回数に至るごと)になったときに実行される。このルーチンが開始されると、CPU71は、まず、可動ディスク35を初期位置まで移動させて(ステップS300)、可動ディスク35を固定ディスク34に接近させる(ステップS310)。続いて、密閉室29の内部圧力を予め定められた所定圧力Psetとすることができたか否かを判定する(ステップS320)。所定圧力Psetとすることができた場合は、ポンプ作動モータ40の回転を止めて可動ディスク35を停止させ(ステップS330)、ステップS340へと進む。一方、ステップS320において、密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetとすることができなかった場合は、蛇腹部32,導管33,密閉室29等に圧力漏れが生じていると判断し、操作パネル60のディスプレイ62に圧力漏れが発生している旨の表示をして(ステップS440)、本ルーチンを終了する。ステップS330において可動ディスク35を停止させた後のステップS340では、そのときの固定ディスク34を基準とする可動ディスク35の位置をインク吐出前の位置Pos1としてRAM73に記憶する。その後、フラッシング処理を実行する(ステップS350)。このフラッシング処理は、キャリッジモータ26を駆動してキャリッジベルト21を介してキャリッジ23を図1中のフラッシング領域44まで移動させたあと、印刷ヘッド25を駆動してノズル25aからフラッシング領域44にインク滴を吐出させる処理をいう。そして、このフラッシング処理が実行される間に印刷ヘッド25のノズル25aから吐出したと推定される推定インク吐出量Vinkを、このフラッシング処理を実行する間に印刷ヘッド25へ送出した駆動信号に基づいて導出する(ステップS360)。続いて、再び密閉室29の内部圧力が予め定められた所定圧力Psetとなるように可動ディスク35を作動し(ステップS370)、そのときの可動ディスク35の位置をインク吐出後の位置Pos2としてRAM73に記憶し(ステップS380)、二つの位置Pos1,Pos2に基づいて空気供給量Vpumpを導出する(ステップS390)。 【0041】 そして、ステップS360で導出した推定インク吐出量VinkとステップS390で導出した空気供給量Vpumpとを比較する(ステップS400)。推定インク吐出量Vinkと空気供給量Vpumpとの大小関係に実質的な差が無いとき(誤差範囲内のとき)は、そのまま本ルーチンを終了する。推定インク吐出量Vinkが空気供給量Vpumpより実質的に小さいときは、インク漏れが生じていると判断し、操作パネル60のディスプレイ62にインク漏れが発生している旨の表示をして(ステップS410)、本ルーチンを終了する。また、推定インク吐出量Vinkが空気供給量Vpumpより実質的に大きいときは、ノズル詰まりが生じていると判断し、操作パネル60のディスプレイ62にノズル詰まりが発生している旨の表示をし(ステップS420)、印刷ヘッド25のノズル25aのクリーニングを実行して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。 【0042】 ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷ヘッド25が本発明の液体吐出手段に相当し、本実施形態のコントローラ70が本発明の制御手段,吐出量推定手段及び判定手段に相当し、本実施形態のインクカートリッジ24が本発明の液体収容手段に相当する。また、本実施形態の密閉室29及び伸縮ポンプ31が本発明の加圧手段に相当し、本実施形態の密閉室29が本発明の内包手段に相当し、本実施形態の伸縮ポンプ31が本発明の圧力変動手段に相当し、本実施形態の空気供給量Vpump(インク吐出前後における密閉室29の空隙の増加量)が本発明の液体収容手段の容積の減少量に相当する。なお、本実施形態では、インクジェットプリンタ10の動作を説明することにより本発明の液体吐出装置の制御方法の一例も明らかにしている。 【0043】 以上詳述した本実施形態のインクジェットプリンタ10によれば、ノズル25aから吐出したインクの推定吐出量Vinkを求め、密閉室29へ送出した空気供給量Vpumpとインクの推定吐出量Vinkとの大小関係に基づいて異常(例えば、インク漏れやノズル詰まり)の発生の有無を判定する。異常が発生していないときには密閉室29へ送出した空気供給量Vpumpとインクの推定吐出量Vinkとは理論的には等しくなるため、この2つの量に実質的な差(例えば誤差範囲を超える差)が現れたときには、異常が発生したと判定することができる。したがって、発生した異常の程度にかかわらず異常が発生したと判定することができ、異常発生の判定精度が高くなる。 【0044】 また、可動ディスク35を作動させて密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetとしたあと、印刷ヘッド25のノズル25aからインクを吐出し(このとき推定されるインクの吐出量は推定インク吐出量Vink)、再び密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetとしたときのインク吐出前後の可動ディスク35の位置Pos1,Pos2から、密閉室29へ送出した空気供給量Vpumpを導出し、推定インク吐出量Vinkと空気供給量Vpumpとの大小関係に基づいて異常の発生の有無を判定するから、空気供給量Vpumpを比較的容易に導出することができる。 【0045】 更に、印刷制御やフラッシング制御とは別に異常の発生の有無を判定する制御を実行する必要がない。 【0046】 更にまた、インクカートリッジ24に収容されたインクを加圧した状態で印刷ヘッド25へ供給する方式を採用しており、インクカートリッジ24及び印刷ヘッド25に圧力が加わって異常が発生する場合があることから、本発明を適用する意義が高い。 【0047】 なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。 【0048】 例えば、上述した実施形態では図3に示す印刷制御ルーチンを採用したが、図6に示す印刷制御ルーチンを採用してもよい。以下に図6の印刷制御ルーチンについて説明するが、図6の印刷制御ルーチンの処理ブロックのうち図3の印刷制御ルーチンと同じ処理ブロックについては同じステップ番号を付しその説明を省略する。図6の印刷制御ルーチンでは、ステップS100〜S120の処理のあと、密閉室29の内部圧力を所定圧力Psetとすることができた場合は、ステップS130の処理を実行しステップS140へ進む。ステップS120において、所定圧力Psetとすることができなかった場合は、ステップS250の処理を実行し、本ルーチンを終了する。ステップS130の処理のあとは、ステップS140〜S160の処理を実行し、ステップS160で導出された推定イン ク吐出量Vinkに相当する圧力だけ密閉室29の内部圧力を上昇させるために必要な可動ディスク35の移動量を求め、その移動量だけ可動ディスク35を位置Pos1から移動させるときの移動目標位置Pos3を導出する(ステップS500)。そして、可動ディスク35を移動目標位置Pos3まで移動させて(ステップS510)、そのときの密閉室29の内部圧力Pnowを圧力センサ29bによって検出し(ステップS520)、その圧力Pnowと所定圧力Psetとを比較する(ステップS530)。そして、圧力Pnowと所定圧力Psetとの大小関係に実質的な差が無いとき(誤差範囲内のとき)は、ステップS210の処理を実行する。印刷を終了すると判定されたときはそのまま本ルーチンを終了し、印刷を終了しないと判定されたときは、再びステップS140,S150,S160,S500,S510,S520,S530の処理を実行する。圧力Pnowが所定圧力Psetより実質的に小さいときは、インク漏れが生じていると判断し、ステップS220の処理を実行し、本ルーチンを終了する。また、圧力Pnowが所定圧力Psetより実質的に大きいときは、ノズル詰まりが生じていると判断し、ステップS230〜S240の処理を実行して、本ルーチンを終了する。また、図5に示すフラッシング制御ルーチンにおいて、フラッシングを実行したあとで、図6に示す印刷制御ルーチンのステップS500〜S530の処理と同様の処理を実行し、インク漏れやノズル詰まりの発生の有無を判定するものとしてもよい。このようにしても上述した実施形態と同様の効果が得られる。 【0049】 上述した実施形態では、インクジェットプリンタ10をモノクロ専用機として説明したが、フルカラーに対応した機種としてもよい。この場合、各色のインクカートリッジを別々の密閉室に配置し、各密閉室ごとに伸縮ポンプを設置すればよい。 【0050】 上述した実施形態では、固定ディスク34を基準とする可動ディスク35の位置をフォトディテクタ41bからの出力信号に基づいて求めることとしたが、ポンプ作動モータ40が1回転したときに可動ディスク35が固定ディスク34に向かってどれだけ進むかを予め求めておき、ポンプ作動モータ40の回転数に基づいて可動ディスク35の位置を導出するようにしてもよい。 【0051】 上述した実施形態では、印刷ヘッド25へ送出される駆動信号に基づいて推定インク吐出量Vinkを導出するとしたが、RAM73の印刷バッファ領域に一時的に記憶された印刷データに基づいて推定インク吐出量Vinkを導出するとしてもよい。 【0052】 上述した実施形態では、伸縮ポンプ31を使用して空気圧を介してインクカートリッジ24に圧力を印加するとしたが、インクカートリッジ24に圧力を印加可能で、インク吐出前後におけるインクカートリッジ24の容積の変化量を測定可能なものであれば、伸縮ポンプ31に限られない。例えば、伸縮ポンプ31や密閉室29の内部に液体を満たし、第2の一方向弁V2に該液体を収容したリザーバタンクをそなえた伸縮ポンプを使用し液体を介してインクカートリッジに圧力を印加するものでもよいし、インクカートリッジ24に直接圧力を加えるものでもよい。 【0053】 上述した実施形態では、図3や図6の印刷制御ルーチンにおいて、1パス分の印刷を実行する毎に、異常の発生の有無を判定するものとしたが、異常の発生の有無を判定するタイミングは、1パス分の印刷を実行する毎に限られない。例えば、1ページ分の印刷を実行する毎に異常の発生の有無を判定するものとしてもよい。 【0054】 上述した実施形態では、液体吐出装置としてインクを吐出するインクジェットプリンタ10を例示したが、その他の液体吐出装置であってもよい。例えば、本発明を、インクジェット記録機構を内蔵するファクシミリ装置やコピー装置、染色装置に適用してもよいし、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、面発光ディスプレイなどの製造に用いられ電極材や色材などの液体を噴射するディスプレイ製造装置に適用してもよいし、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する生体有機物噴射装置に適用してもよいし、精密ピペットとしての試料噴射装置に適用してもよい。 【図面の簡単な説明】 【0055】 【図1】インクジェットプリンタ10の概略構成を示す説明図。 【図2】インクカートリッジ24の周辺を表す部分断面図。 【図3】印刷制御ルーチンのフローチャート。 【図4】インクカートリッジ24の周辺を表す部分断面図。 【図5】フラッシング制御ルーチンのフローチャート。 【図6】他の印刷制御ルーチンのフローチャート。 【符号の説明】 【0056】 10 インクジェットプリンタ、12 メカフレーム、14 駆動モータ、16 紙送りローラ、20 プリンタ機構、21 キャリッジベルト、22 ガイド、23 キャリッジ、24 インクカートリッジ、24a 開口部、25 印刷ヘッド、25a ノズル、26 キャリッジモータ、27 駆動ローラ、28 従動ローラ、29 密閉室、29a インク供給口、29b 圧力センサ、29c 連通口、30 インクチューブ、31 伸縮ポンプ、32 蛇腹部、33 導管、34 固定ディスク、34a 支持穴、35 可動ディスク、35a ナット、36 作動機構、37 ネジ軸、38 従動ギヤ、39 駆動ギヤ、40 ポンプ作動モータ、41a リニアスケール、41b フォトディテクタ、42a リニアスケール、42b フォトディテクタ、44 フラッシング領域、46 プラテン、48 キャッピング装置、49 メイン基板、60 操作パネル、62 ディスプレイ、64 ボタン類、70 コントローラ、71 CPU、72 ROM、73 RAM、74 フラッシュメモリ、75 インタフェース、、90 ユーザPC、S 記録紙、V1 第1の一方向弁、V2 第2の一方向弁。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月12日(2006.7.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000017 【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
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| 【公開番号】 |
特開2008−18595(P2008−18595A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−191364(P2006−191364) |
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