| 【発明の名称】 |
インクジェットプリンタ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】清水 陽一郎
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| 【要約】 |
【課題】簡単な構成で、バッファタンクの排気弁の開閉時にかかる開閉手段への荷重を少なくし、安定した開閉動作を行えるインクジェットプリンタ装置の提供。
【構成】ヘッドホルダに搭載されたバッファタンク8は、インク中のエアを外部に排出させるための複数の排気弁を有し、排気弁は、通路孔51を開閉する弁体55と、その弁体55から下方向に延びたバルブロッド56から成る。バッファタンク8外に設けられたメンテナンス部は、通路孔51の下端開口を覆う排気キャップ90と、複数の排気弁55に対応して複数の排気ロッド62が備えられ、カラーインク用の排気ロッド62a〜62cの長さがそれぞれの異なるように構成されている。昇降手段70bによって排気ロッド62a〜62cが同時に昇降したとき、対応する排気ロッド62a〜62cがバルブロッド56の下端と時間的にずれて当接し、弁体55を別々に開放させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のノズルから複数のインクを吐出して記録媒体に印字する記録ヘッドと、 前記記録ヘッドに供給する複数のインクを貯留する複数の貯留室を有するバッファタンクとを備え、 前記バッファタンクには、前記複数の貯留室ごとにその貯留室内の空気を外部に排出する排気通路に開閉可能に設けられた排気弁を設け、 前記バッファタンク外には、前記各貯留室の空気を排出させるための前記排気弁を開閉操作する開閉手段を備え、 前記各排気弁と開閉手段とは、前記複数の排気弁が相互に時間的にずれて開閉されるような位置関係を持って配置されていることを特徴とするインクジェットプリンタ装置。 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットプリンタ装置において、 前記開閉手段は、前記複数の排気弁に対応して前記排気弁を開閉させる複数の排気ロッドと、 前記排気ロッドを同時に駆動させる昇降手段を有していることを特徴とするインクジェットプリンタ装置。 【請求項3】 請求項2に記載のインクジェットプリンタ装置において、 前記複数の排気ロッドのうちのいくつかのものの長さを他のものの長さと異なるようにしたことを特徴とするインクジェットプリンタ装置。 【請求項4】 請求項2に記載のインクジェットプリンタ装置において、 前記複数の排気弁は、前記排気ロッドと当接するバルブロッドと、前記排気通路を覆うための開閉部である弁体を有していて、 前記複数のバルブロッドのうちのいくつかのものの長さを他のものの長さと異なるようにしたことを特徴とするインクジェットプリンタ装置。 【請求項5】 請求項1〜2のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置において、 前記複数の排気弁のうちのいくつかのものの配置位置を他のものの配置位置と異なるようにしたことを特徴とするインクジェットプリンタ装置。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置において、 前記貯留室内の空気を排出させる吸引手段を備え、 前記吸引手段は、前記排気通路の外部への開口端に密着可能な排気キャップと、 その排気キャップを通して前記排気通路から空気を吸引するポンプを備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ装置。 【請求項7】 請求項6に記載のインクジェットプリンタ装置において、 前記吸引手段は、さらに前記記録ヘッドと密着可能なキャップを備え、前記ポンプは、そのキャップを通して前記ノズルからインクを吸引することを特徴とするインクジェットプリンタ装置。 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置において、 前記弁体には、前記排気通路に対する密閉性を良くするための弾性部材が設置されていることを特徴とするインクジェットプリンタ装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、インクジェットプリンタ装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 インクジェットプリンタ装置は、特許文献1にあるように、キャッリッジとしての機能を備える略箱状のヘッドホルダの底部に、複数のインクを吐出する複数のノズルが露出した状態で記録ヘッドが固定されていて、その上方に複数のインク貯留室を有するバッファタンクが配設されている。各インクは、インク供給源であるそれぞれのインクカートリッジから、チューブを介してバッファタンクに供給され、バッファタンクから記録ヘッドのそれぞれのノズルに供給され、そのノズルからインクを吐出することで記録用紙に印字がなされる。 【0003】 インクジェットプリンタ装置では、インク中に含まれるエアが気泡となって記録ヘッド内の流路を閉塞すると、ノズルからのインク不吐出を生じるので、このエアを除去する必要がある。このため、各インクカートリッジからバッファタンク内へ供給されたインクからエアを浮上させバッファタンク内に蓄積させる。そして、そのエアを外部に排出させるための複数の排気手段がバッファタンクの側面側に設けられている。図8に従来のバッファタンク100の排気手段101の側断面図を示す。排気手段101は、各インクごとに対応して複数設けられていて、その下端101aは開口され、排気通路102、排気弁103、および、その排気弁103を閉鎖方向に押す弾性力となるバネ部材104を備えている。バッファタンク100に蓄積されたエアを、排気弁103が適宜開放制御されることで、排気通路102を通じて外部に排出させるようになっている。排気弁103は、バネ部材104の弾性力によって排気通路102を開閉する弁の役割をする弁体103aと、その弁体103aから接続されて下方向に延びたバルブロッド103bから成る。また、弁体103aは、通常の状態(印字しているときなど)では、バネ部材104によって排気通路102の内壁Aに密着された状態となっている。 【0004】 排気弁手段101からエアを排出させる際には、キャリッジが印字のために走査する範囲外に設置した開閉手段110の位置までキャリッジを移動させて排気が行われる。開閉手段110には、排気弁手段101の下端開口101aを密着して覆う排気キャップ106と、前述したそれぞれの排気弁のバルブロッド103bに対応して設けられた各排気ロッド107が、昇降手段によって上下方向に選択的に昇降可能に構成されている。排気するときには、まず、昇降手段により、排気キャップ106が排気弁手段101の下端101aを覆って吸引可能な状態となる。それとほぼ同時に排気弁103に対応した排気ロッド107がバルブロッド103bの下端と当接し押し上げられることで、内壁Aから弁体103aが離れ開放状態となる。 【0005】 【特許文献1】特開2004-255861号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上述したようなバッファタンク100において、排気手段101のバルブロッド103bとそれに対応する排気ロッド107とが当接し、押し上げられる際に要する力は、バネ部材104の弾性力に抗する力に加え、弁体103aと内壁Aとの間に介在するパッキンの粘着力に抗する力が必要となる。さらに、複数の排気弁103を同時に開放させるので、開閉手段110にかかる荷重は、その個数倍に大きくなり、開閉手段110の安定動作に影響を及ぼしてしまう。また、この荷重に対応させるため、開閉手段110のための昇降手段を大型化したり、剛性の強い部品に交換させると高コストになるなどして好ましくない。 【0007】 本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、バッファタンクの排気弁の開閉時にかかる開閉手段への荷重を少なくし、安定して排気弁の開閉動作を行うことを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0008】 この目的を達成するために、請求項1記載のインクジェットプリンタ装置は、複数のノズルから複数のインクを吐出して記録媒体に印字する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給する複数のインクを貯留する複数の貯留室を有するバッファタンクとを備え、前記バッファタンクには、前記複数の貯留室ごとにその貯留室内の空気を外部に排出する排気通路に開閉可能に設けられた排気弁を設け、前記バッファタンク外には、前記各貯留室の空気を排出させるための前記排気弁を開閉操作する開閉手段を備え、前記各排気弁と開閉手段とは、前記複数の排気弁が相互に時間的にずれて開閉されるような位置関係を持って配置されていることを特徴とする。 【0009】 請求項2に記載のインクジェットプリンタ装置は、請求項1に記載のインクジェットプリンタ装置において、前記開閉手段は、前記複数の排気弁に対応して前記排気弁を開閉させる複数の排気ロッドと、前記排気ロッドを同時に駆動させる昇降手段を有していることを特徴とする。 【0010】 請求項3に記載のインクジェットプリンタ装置は、請求項2に記載のインクジェットプリンタ装置において、前記複数の排気ロッドのうちのいくつかのものの長さを他のものの長さと異なるようにしたことを特徴とする。 【0011】 請求項4に記載のインクジェットプリンタ装置は、請求項2に記載のインクジェットプリンタ装置において、前記複数の排気弁は、前記排気ロッドと当接するバルブロッドと、前記排気通路を覆うための開閉部である弁体を有していて、前記複数のバルロッドのうちのいくつかのものの長さを他のものの長さと異なるようにしたことを特徴とする。 【0012】 請求項5に記載のインクジェットプリンタ装置は、請求項1〜2のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置において、前記複数の排気弁のうちのいくつかのものの配置位置を他のものの配置位置と異なるようにしたことを特徴とする。 【0013】 請求項6に記載のインクジェットプリンタ装置は、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置において、前記貯留室内の空気を排出させる吸引手段を備え、前記吸引手段は、前記排気通路の外部への開口端に密着可能な排気キャップと、その排気キャップを通して前記排気通路から空気を吸引するポンプを備えていることを特徴とする。 【0014】 請求項7に記載のインクジェットプリンタ装置は、請求項6に記載のインクジェットプリンタ装置において、前記吸引手段は、さらに前記記録ヘッドと密着可能なキャップを備え、前記ポンプは、そのキャップを通して前記ノズルからインクを吸引することを特徴とする。 【0015】 請求項8に記載のインクジェットプリンタ装置は、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置において、前記弁体には、前記排気通路に対する密閉性を良くするための弾性部材が設置されていることを特徴とする。 【発明の効果】 【0016】 請求項1に記載の発明によると、各排気弁と開閉手段とは、複数の排気弁が相互に時間的にずれて開閉されるような位置関係を持って配置されているため、排気弁が開閉される際において、開閉手段にかかる荷重を分散させることができ、安定して開閉動作をさせることができる。また、開閉手段やそれを駆動するための機構を大型化したり、高コスト化することなく、生産性も良い。 【0017】 請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載のインクジェットプリンタ装置の奏する効果に加え、複数の排気弁に対応する複数の排気ロッドを昇降手段によって同時に駆動させることで、複数の排気弁を上記のように時間的にずれて開閉させることができる。このため、複数の排気ロッドを同時に駆動させるための昇降手段の構成を簡単にすることができるとともに、排気にかかる時間を少なくすることができる。 【0018】 請求項3に記載の発明によると、請求項2に記載のインクジェットプリンタ装置の奏する効果に加え、複数の排気ロッドうちのいくつかのものの長さを他のものの長さと異なるようにしたため、排気弁が開閉される際において、開閉手段が複数の排気弁に向け同時に昇降した場合でも、排気弁が時間的にずれて開閉されるため、簡単な構成で開閉手段にかかる荷重を分散させ、安定した開閉動作をさせ得ることができる。 【0019】 請求項4に記載の発明によると、請求項2に記載のインクジェットプリンタ装置の奏する効果に加え、複数の排気弁はバルブロッドうちのいくつかのものの長さを他のものの長さと異なるようにしたため、排気弁が開閉される際において、複数の排気ロッドを同時に昇降した場合でも、時間的にずれて弁体が開閉されるため、簡単な構成で、開閉手段にかかる荷重を分散させ、安定した開閉動作をさせ得ることができる。 【0020】 請求項5に記載の発明によると、請求項1〜2のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置の奏する効果に加え、複数の排気弁のうちのいくつかのもの配置位置を他のものの配置位置と異なるようにしたため、排気弁が開閉される際において、開閉手段が複数の排気弁に向け同時に昇降した場合でも、時間的にずれて排気弁が開閉されるため、簡単な構成で、開閉手段にかかる荷重を分散させ、安定した開閉動作をさせ得ることができる。 【0021】 請求項6に記載の発明によると、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置の奏する効果に加え、排気弁が開閉された際に、排気通路の外部への開口端に排気キャップを密着させ、貯留室内の空気を排気通路、排気キャップを通してポンプによって吸引し、排出させることができる。 【0022】 請求項7に記載の発明によると、請求項6に記載のインクジェットプリンタ装置の奏する効果に加え、前記ポンプによって記録ヘッドと密着したキャップを通してノズルからインクを吸引し、ノズルの吐出機能を回復させることができる。 【0023】 請求項7に記載の発明によると、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ装置の奏する効果に加え、弁体には排気部の密着性を良くするための弾性部材が設置されているため、効果的にインクを排気することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0024】 以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、インクを記録媒体に吐出する側を下方向および下側とし、その反対を上方向および上側とし、図1のヘッドホルダ7の走査方向(X方向)を左右方向とする。 【0025】 図1を用いて、インクジェットプリンタ装置1の概要について説明する。インクジェットプリンタ装置1は、装着部3に交換可能に装着されたインクを貯留するインクカートリッジ2から、キャリッジとしての機能を併せ持つ略箱状のヘッドホルダ7に搭載された記録ヘッド9へインクが供給される。ヘッドホルダ7は、並設した2本のガイド軸19、19に摺動自在に取り付けられていて、ヘッドホルダ7が走査方向(左右方向、X方向)に移動して、記録媒体Pが走査方向と直角方向(Y方向)に移動し、記録ヘッド9の複数のノズル10からインクが吐出することで記録媒体Pに印字がなされる。 【0026】 インクカートリッジ2(個別には2a、2b、2c、2dで示す。)は、例えば、ブラックB、シアンC、イエローY、マゼンタMの各色のインクを貯留している。各インクカートリッジ2は、インク色ごとにインク流路としてのインク供給チューブ6(個別には6a、6b、6c、6dで示す。)の一端と接続され、インク色別に記録ヘッド9に供給されている。 【0027】 また、インクジェットプリンタ装置1の左右方向(X方向)の一方の端で、ガイド軸19、19の下方向には、インク吐出の不具合を防止するため、ノズル10内のインクを吸引するためのメンテナンスユニット80が配置され、またその横に記録ヘッド9のノズル面を払拭してクリーニングする公知のワイパー部材49が配置されている。また、他方の端には、フラッシング受部材81が配置されていて、定期的もしくは強制的に記録ヘッド9のノズル10からインクを吐出させてインク吐出の不具合を防止している。メンテナンスユニット80については後で詳しく説明する。 【0028】 ヘッドホルダ7には、図2〜図3のように、各インク色毎のノズル10の列を有する記録ヘッド9がその底部に取付板14を介して固定されていて、その上方に各インク色毎の複数の貯留室40(個別には40a、40b、40c、40dで示す)等を有するバッファタンク8と、該バッファタンク8の側面に隣接する排気手段41を有するケース37等が備えられている。ヘッドホルダ7の底面は開口していて、記録ヘッド9のノズル10が形成されかつ最下面に配されたノズル面29が露出した状態となっている。記録ヘッド9は、特開2005-161761号公報に記載のように、複数枚のプレートを積層、接着して形成され、バッファタンク8からの各インクが供給されるキャビティユニット11と圧電変形部を有したプレート型の圧電アクチュエータ12とが接着され、さらにその上面には駆動回路が塔載されたフレキシブル配線材13が配され、電気的に接続されている。図示しないが、キャビティユニット11の最下面のノズル面29には各インク色ごとにインクを吐出する複数のノズル10の列が、ヘッドホルダ7の走査方向(X方向)に設けられ、駆動回路からの印字信号が圧電変形部を選択的に変形させることでそれに対応するノズル10からインクが吐出される。また、キャビティユニット11には、インク供給孔11a〜11dが各インク毎に設けられていて、バッファタンクからの各インクをキャビティユニット11内、および各ノズル10の列に供給するように構成されている。 【0029】 次にバッファタンク8について図2〜図6を用いて詳しく説明する。 【0030】 図3、図4に示すように各色のインク毎に貯留室40(40a〜40d)が区画されたバッファタンク8は、合成樹脂材にて形成され、一端側には、各色のインク供給チューブ6a〜6dの先端が連結されるジョイント部39が各色のインク毎に横向きに突設されている。各インクカートリッジ2から供給されたそれぞれのインクは、ジョイント部39から延びた供給流路38を介して各貯留室40a〜40dに溜められる。各貯留室40内でインク中のエアが浮上して分離された後、各貯留室40内のインクは、バッファタンク8の底面側の下向きの流出口部43a〜43dから取付板14に穿設した連通孔14a〜14dを介して記録ヘッド9のインク供給孔11a〜11dに供給される。 【0031】 図2及び図5に示すように各貯留室40の天井壁45には、エアと共にインクを吸引するための筒状の吸引口46が下向きに突設され、この各吸引口46に一端が連通し、且つ他端が後述するケース37の入口部に連通する気泡排出通路としての吸引路47(個別のものを符号47a〜47d)が天井壁45の上面側に形成されている。吸引路47は、後述する排気手段41の通路筒52に連通し、外部に気泡を排出させる。また、貯留室40内に溜まった空気はバッファタンク8の上部特に天井壁45の箇所から抜き、気泡は、下位置にある記録ヘッド9へ流れ込まず、この記録ヘッド9内のインク流路に気泡が詰まらないようになっている。 【0032】 吸引路47a〜47dは、天井壁45の上面に凹み形成した溝部とその溝を覆って接着した合成樹脂製フィルム48等の膜体との間に形成される。なお、図5に示す符号45aは、各吸引路47a〜47dを隔絶する隔壁で、その上面にフィルム48が接着される。 【0033】 なお、吸引口46を内部に有する筒状部が天井壁45の下面から下向きに突出する高さを適宜に設定することにより、吸引口46からの排出できない適宜体積のエア溜まり部を各貯留室40の上部に形成し、ヘッドホルダ7の左右への移動に伴う各貯留室40内のインクの圧力変動を、エア溜まり部にて吸収する。 【0034】 次に排気手段41について説明する。 【0035】 合成樹脂製のケース37には、排気手段41がバッファタンク8の一端側(図2において右側)に隣接して設けられている。排気手段41(個別には41a〜41d)は、インク色ごとに設けられた各吸引路47a〜47d毎に対応するように4つ並設されている(図5、6参照)。4つの排気手段41a〜41dは、上下方向に長つ且つ上下に開口する通路孔51を有するシリンダブロック50を連接した形状に構成されている。また、図2に示すように、各吸引路47の先端部に連通して形成された通路筒52が天井壁45から垂下して形成され、その通路筒52が通路孔51の上端に接続されており、吸引口46、吸引路47、通路筒52および各通路孔51は、排気通路を形成している。図2では、貯留室40aから吸引路47aを介して連通する排気手段41aを示しているが、他の貯留室40、吸引路47、排気手段41も同様の構造をしている。 【0036】 各通路孔51は上半の大径部51Lと下半の小径通路51Sとからなり、その両者の境に弁座面となる段差面Aを有している。また、排気弁は、上述した一連の排気通路を覆って開閉するための開閉部としての役割を備えた大径の弁体55と、また、弁体55の下端に連接して一体的に形成された小径のバルブロッド56とからなる。さらに、バルブロッド56に被嵌され、且つ弁体55の下端面側にシール用のオーリング等の弾性部材すなわちパッキン57が配置されている。大径部51Lにパッキン57及び弁体55が排気用の隙間を残して昇降可能に挿入され、バルブロッド56は小径通路51Sに排気用の隙間を残して挿入されている。このバルブロッド56の下端は小径通路51Sの下端開口部近傍まで延びている。大径部51L内に設けたコイルバネ等のばね手段58にて弁体55は、常時下向きに押圧されている。この状態で、パッキン57が通路孔51の大径部51Lの底面すなわち段差面Aに押圧されて、弁閉止となる。他方、後述する排気ロッド62が上昇して、バルブロッド56をばね手段58の付勢力に抗して上向き押圧すると、パッキン57が段差面Aから離れ、弁開放状態、つまり大気と連通し、気泡が外部に排出されるように構成されている。 【0037】 次に、メンテナンスユニット80の構成について、図2を参照しながら説明する。このメンテナンスユニット80では、ヘッドホルダ7を待機位置(実施形態では図1において右端側)で休止させている間に、ヘッドホルダ7に搭載されている記録ヘッド9のノズル10からインクを吸引して、増粘したインクによる目詰まりや、微細なゴミ、記録ヘッド9内の気泡を吸引するための回復手段63と、各貯留室40に溜まった空気を気泡排出路としての吸引路47及び排気手段41を介して排出除去し、そのとき漏れ出すインクを吸引除去するための開閉手段61とを備えている。回復手段63は開閉手段61と隣接配置され、開閉手段61はヘッドホルダ7の移動方向(X方向)の最外端側に配置されている。ノズル面29を払拭クリーニングするワイパー部材49は、図2には図示しないが、平面視において回復手段63のキャップ部材64を挟んで開閉手段61における排気ロッド62を備えた排気キャップ90と反対側に配置されている。 【0038】 また、メンテナンスユニット80は、昇降手段70a、70bを備え、回復手段63および開閉手段61を選択的に昇降させることができる。昇降手段70a、70bは、公知のように、ヘッドホルダ7が待機位置へ移動することにともない昇降させるもの、あるいはモータなどの駆動源を用いて昇降させるものなどが適用できる。さらにインクの吸引のための吸引手段としての吸引ポンプ68を備え、この吸引ポンプ68の吸引力を選択的に回復手段63及び開閉手段61に接続させる切換弁ユニット69が設けられている。 【0039】 回復手段63は、ヘッドホルダ7の下面側に露出するノズル10の列全体を覆うためノズル面29に当接する略矩形状のキャップ部材64を有する。キャップ部材64は、底部64aとその周縁部を囲んで立設したリップ部64bから成り、排出操作したときにインク色の混色を避けるために仕切ってあってもよい。キャップ部材64の底面64aにはインクの吸引孔(図示せず)が設けられており、吸引孔にはチューブ25が連結され、切替弁ユニット69を介して吸引ポンプ68に接続されている。よって、昇降手段70aによってリップ部64bがノズル面29に密着してキャップ64がノズル列を覆うことで吸引可能な状態となり、切替弁ユニット69が、吸引ポンプ69とキャップ64とを連通するように切り替えられて吸引が行われる。またキャップ64は、吸引を行わない場合は、切替弁ユニット69をキャップ64と連通しない位置に切り替えて、インクの蒸発を防いでインクメニスカスを保存している。 【0040】 開閉手段61には、図2に示すように、シリンダブロック50における各通路孔51の下端周囲に密着し得る弾性体の排気キャップ90が備えられている。排気キャップ90は、底部90aとその周縁部を囲んで立設したリップ部90bから成り、底部90aには、バルブロッド56と当接し得る上向きに突出した排気ロッド62と、図示しない排出口を有し、排気チューブ26に連通している。排気チューブ26は、上述した切替弁ユニット69を介して吸引ポンプ68と連通し、吸引ポンプ68から排出された廃インクは公知の廃インク溜(図示せず)に貯留されるように構成されている。切替弁ユニット69は、上記のようにキャップ部材64と吸引ポンプ68とを接続する位置と、排気キャップ90と吸引ポンプ68とを接続する位置と、そのいずれも接続しない位置とに切り替えられる。開閉手段61は昇降手段70aによってキャップ部材64が上昇するのと同期して、リップ部90bがシリンダブロック50における各通路孔51の下端周囲に密着することで吸引可能状態となる。排気ロッド62は、昇降手段70bによって上下方向に選択的に昇降可能で、各排気ロッド62が上昇して、選択的にバルブロッド56をばね手段58の付勢力に抗して上向き押圧すると、パッキン57が弁座面Aから離れ、弁開放状態、つまり大気と連通するように構成されている。 【0041】 次に、本実施形態のバッファタンク8の排気手段41および開閉手段61について図6を用いて詳しく説明する。図6は、本実施形態のバッファタンク8の排気手段41と開閉手段61がインク中のエアを排出させる時の様子を示した側断面図である。 【0042】 図6の実施形態では、各貯留室40a〜40dに連通した各通路孔51に、同一形状の弁部材55およびバルブロッド56からなる排気弁が配置され、各バルブロッド56の下端は同一高さにある。バルブロッド56に対向して設けられた開閉手段61の排気ロッド62(個別には62a、62b、62c、62d)は、3つの排気ロッド62a〜62cと、1つの排気ロッド62dとが別の支持台65a、65bに設置されていて、3つの排気ロッド62a〜62cが昇降体70bによって同時に上昇し、時間をずらしてその後に排気ロッド62dを上昇させるようになっている。また、同時に昇降される排気ロッド62a〜62cは、その各長さがそれぞれ異なっていて、62a>62b>62cの順に長くなっている。 【0043】 図6(b)のようにバッファタンク8内の排気をする際には、昇降手段70bにより排気キャップ90を上昇させて各小径路51Sの下端開口部を覆うことで吸引可能な状態となり、昇降手段70bが排気ロッド62a〜62cを同時に上方向に押し上げると、排気ロッド62a〜62cのロッド長さの長い順にバルブロッド56a〜56c下端と当接し、ばね手段58の付勢力、およびパッキン57と段差面Aとの粘着力に抗って、バブルロッド56a、56b、56cの順で時間をずらして押しあげられ、弁体55a、55b、55cがこの順で時間をずらして開放される。さらにその後、弁体55dが開放される。このように排気ロッド62の長さを順に異なえて構成したため、複数の排気ロッド62a〜62cを同時に昇降した場合においても、複数の排気弁を時間的にずれて開放することができ、昇降手段70にかかる荷重を分散させることができる。 【0044】 また、図7(a)(b)には別の実施形態を示した。図7(a)の実施形態では、3つの排気ロッド62a〜62cの突出長さは同一とされ、3つの排気手段41a〜41cのバルブロッド56a〜56cの長さが56a>56b>56dの順に長く設定されている。3つの排気手段41a〜41cの段差面Aは、同一平面上にあるから、開閉手段61が排気手段41から離れているとき、排気ロッド62a〜62cの上端とバルブロッド56a〜56cの下端との間隔は、それぞれ異なることになる。排気ロッド62a〜62cおよび62dは、図5と同様に支持台65a、65bに分けて設置されていて、排気ロッド62a〜62cは同時に昇降する。したがって、開閉手段61を排気手段41に近づけると、排気ロッド62a〜62cの上端がバルブロッド56a〜56cの下端を時間差をもって押し上げ、3つの弁部材55a、55b、55cを順次開放することができる。 【0045】 図7(b)の実施形態では、3つの排気ロッド62a〜62cの突出長さは同一とされ、3つの排気手段41a〜41cの段差面Aの高さが、41a<41b<41cの順に高く設定されている。3つの排気手段41a〜41cにおける各排気弁は、それぞれ同じものが使用され、排気ロッド62a〜62dの長さは全て同一である。それらに対応するばね手段58の付勢力を同一とするために、バネ部材58の上端を受ける通路筒52の長さが、52a>52b>52c順で長くなっている。開閉手段61が排気手段41から離れているとき、排気ロッド62a〜62cの上端とバルブロッド56a〜56cの下端との間隔は、それぞれ異なることになる。 【0046】 排気ロッド62a〜62cおよび62dは、図5と同様に支持台65a、65bに分けて設置されていて、排気ロッド62a〜62cは同時に昇降する。したがって、開閉手段61を排気手段41に近づけると、段差面Aの高さが低い排気弁55から時間的にずれて開放されるため、昇降手段70にかかる荷重を分散させることができる。 【0047】 このような実施形態は、例えば、3つの弁部材55a、55b、55cに対応する貯留室40a、40b、40cには、シアン、マゼンタ、イエローのカラー染料インクを収容し、残りの弁部材55dに対応する貯留室40dには、ブラックの顔料インクを収容する。そして上記のように、カラー染料インクに対応する3つの弁部材55a、55b、55cを順次開放した後、吸引ポンプ68を駆動してその3つの貯留室40a、40b、40c内の空気を排出する。その後再び昇降手段70bを駆動して、ブラック顔料インクに対応する弁部材55d開放した後、吸引ポンプ68を駆動して貯留室40d内の空気を排出する。その際に、排気させる順は任意に設定することができる。 【0048】 また、上記実施形態では3つのカラーインクと1つのブラックインクとを分けて昇降手段70bを駆動しているが、全インクに対応する排気ロッド62を同一の支持台に設けて、全排気ロッド62を同時に昇降させて、全弁体55を上記の構成より時間的にずらして開放させることもできる。さらに、弁体55を1つずつ時間的にずらして開放させるのではなく、2つを同時開放した後、残りの1つまたは2つを開放させるようにしてもよい。 【0049】 なお、上記のようにカラー染料のインク貯留室40a、40b、40cと、ブラック顔料インクの貯留室40dとを順次吸引して空気を排出するのではなく、両者の吸引をまったく独立させた制御の下に行うこともできる。 【0050】 このようにして、本発明では、バッファタンクの排気パージにおいて、同時に複数の排気ロッド62が昇降する場合においても、対応する排気弁が時間的にずれて開放されるため、昇降手段70にかかる負荷を分散させることができ、安定した昇降動作を行うことができる。また、簡単な構成で高コスト化や大型化せずに部品を改良することで実現することができる。 【図面の簡単な説明】 【0051】 【図1】インクジェットプリンタの平面図である。 【図2】ヘッドホルダ、回復手段及び開閉手段のX方向横断面図であり、図4のII−II面相当図である。 【図3】ヘッドホルダの分解斜視図である。 【図4】ヘッドホルダの平面図である。 【図5】ヘッドホルダのX向と直交する方向の縦断面図であり、図4のV−V線断面相当図である。 【図6】図2のIV−IV線断面図で、(a)(b)は異なる動作状態を説明する図である。 【図7】(a)(b)別の実施形態を示す図6相当の断面図である。 【図8】従来の構成を説明する図6相当の断面図である。 【符号の説明】 【0052】 7 ヘッドホルダ 29 ノズル面 9 記録ヘッド 8 バッファタンク 40a〜40d 貯留室 41 排気手段 47 排気通路としての吸引路 51 排気通路としての通路孔 55 弁体 56 バルブロッド 57 パッキン 61 開閉手段 63 回復手段 62 排気ロッド 64 キャップ部材 70 昇降手段 90 排気キャップ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005267 【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月12日(2006.7.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−18589(P2008−18589A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−191245(P2006−191245) |
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