| 【発明の名称】 |
液体噴射装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】森腰 耕司
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| 【要約】 |
【課題】ノズル開口のインクの乾燥を防止するとともに、内部空間の圧力変動によるノズルのメニスカスへの悪影響を生じない液体噴射装置を提供する。
【構成】記録ヘッド28のノズル面をキャッピングするキャップ31と、上記キャップ31の内部空間に負圧を与えてノズルから強制的にインクを排出するチューブポンプ34と、上記吸引されたインクを回収する廃液タンク35と、上記キャップ31内の空間に連通して吸引されたインクを廃液タンク35に排出するチューブ部材33とを備え、上記チューブ部材33の排出開口近傍にチューブ部材33内の連通状態を制御する連通状態制御部材25が設けられ、上記連通状態制御部材25は、上記チューブポンプ34による吸引の際にはインクを通過させるとともにチューブポンプ34の停止期間中には大気連通を制限可能な第1領域19と、常に大気連通を確保する第2領域20とを設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記液体噴射ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップ部材と、上記キャップ部材の内部空間を介してノズルから強制的に液体を排出する液体排出手段と、上記液体排出手段で排出された液体を回収する液体回収手段と、上記キャップ部材内の空間に連通して液体を液体回収手段に排出する液体排出路とを備え、 上記液体排出路のいずれかの部分に液体排出路内の連通状態を制御する連通状態制御部材が設けられ、上記連通状態制御部材は、上記液体排出手段による排出の際には液体を通過させるとともに液体排出手段の停止期間中には大気連通を制限可能な第1領域と、常に大気連通を確保する上記第1領域よりも小さい第2領域とが設けられていることを特徴とする液体噴射装置。 【請求項2】 上記第1領域は液体によるメニスカスを形成可能な領域であり、上記第2領域は液体によるメニスカスを形成しない領域である請求項1記載の液体噴射装置。 【請求項3】 上記第1領域は液体による目詰まりが生じやすい領域であり、上記第2領域は液体による目詰まりを生じない領域である請求項1または2記載の液体噴射装置。 【請求項4】 上記第1領域は液体が付着しやすい部材から形成された領域であり、上記第2領域は液体が付着しない領域である請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射装置。 【請求項5】 上記第1領域はメッシュ状部材で形成された領域であり、上記第2領域は開口部である請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置。 【請求項6】 上記第1領域は親水性処理が施されたフィルタ部材で形成された領域であり、上記第2領域は撥水性処理が施されたフィルタ部材である請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射装置。 【請求項7】 上記液体は溶媒の蒸散により固化するとともに新たな液体との接触により再溶解するものである請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体噴射装置。 【請求項8】 上記液体は溶媒として水が用いられたものである請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体噴射装置。 【請求項9】 上記連通状態制御部材は液体排出路の液体回収手段への開口部近傍に設けられている請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、例えばインクジェット式プリンタ等に代表される液体噴射装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来から、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射装置として、ノズルからインク滴を吐き出し、記録用紙に印刷データを記録するインクジェット式記録装置が知られている。従来、このようなインクジェット式記録装置は、ノズル開口から水分等のインク溶媒が蒸発することによってインク粘度が上昇したり、ノズル開口へ塵埃が付着したり、カートリッジの交換等に伴って気泡が混入したりして、印刷が良好に行われないことがあった。 【0003】 そこで、ノズルの性能を最適な状態に保つために、ノズル面をキャッピングするキャップを備え、非印刷時にはこのキャップによって記録ヘッドのノズル面を覆うようになっていた。さらに、キャップの内部にはインクを含んだ吸収体を配設し、キャッピング中にキャップの内部を高湿状態に保って、ノズル開口近傍からのインク溶媒の蒸発を防ぎ、インク粘度の上昇を防ぐようになっていた。 【0004】 また、キャップの底部にはインクや気泡等を排出するための排出口が設けられており、この排出口は、キャップに固定されているインクチューブに連通されていた。そして、このインクチューブの途中にはチューブポンプが設けられ、チューブポンプの吸引動作によって、キャップの内部を負圧にするようになっていた。そして、粘度が上昇したインクや、カートリッジ交換等によって発生した記録ヘッドの内部の気泡等をインクチューブを介して外部に排出する、いわゆるクリーニング操作が行われるようになっていた。そして、このようなクリーニング操作を行うことにより、ノズルの性能を最適な状態に保つことが図られていた。 【0005】 さらに、上記のようなインクジェット式記録装置では、インクチューブの一端が廃液タンク等を介して大気に解放されており、キャップの内部は、完全に密封された空間であるとは言えなかった。従って、ノズルの一端から徐々に水分等が放出されるようになっており、長期間使用しないで放置されたような場合に、ノズルにおけるインクの乾燥を十分に防ぐことができないことがあった。 【0006】 そこで、キャップとチューブポンプの間のインクチューブ内に、チューブポンプが動作してインクチューブ内が負圧になると開弁してインクを流し、チューブポンプが停止してインクチューブ内が大気圧になると閉弁してキャップ内の嵌挿を防止する逆止弁を設けたインクジェット式記録装置が考案されている(下記の特許文献1)。 【特許文献1】特開2004−82343号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、上記記録装置では、チューブポンプが停止すると逆止弁が完全に閉じてしまってキャップ内の空間が完全に密閉空間になってしまうため、インクカートリッジやチューブに対して外力が加わったり、環境温度が急激に変化したりして内部空間に圧力変動があった場合、ノズル開口のメニスカスを壊すなどの不具合を生じるおそれがあった。ノズル開口のメニスカスの破壊は、吐出不良につながることがあるので、極力避ける必要がある。また、逆止弁がキャップの近傍にあるため、弁にトラブルが発生したときのメンテナンスが極めて行いにくく、現実問題としてチューブごと部品交換を行うしかなかった。 【0008】 本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、簡単な構造でノズル開口部のインクの乾燥を防止してノズルの性能を良好に保つとともに、内部空間の圧力変動によるノズルのメニスカスへの悪影響を生じない液体噴射装置を提供することをその目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記液体噴射ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップ部材と、上記キャップ部材の内部空間を介してノズルから強制的に液体を排出する液体排出手段と、上記液体排出手段で排出された液体を回収する液体回収手段と、上記キャップ部材内の空間に連通して液体を液体回収手段に排出する液体排出路とを備え、上記液体排出路のいずれかの部分に液体排出路内の連通状態を制御する連通状態制御部材が設けられ、上記連通状態制御部材は、上記液体排出手段による排出の際には液体を通過させるとともに液体排出手段の停止期間中には大気連通を制限可能な第1領域と、常に大気連通を確保する上記第1領域よりも小さい第2領域とが設けられていることを要旨とする。 【0010】 本発明によれば、長期間使用しないで放置されたようなときは、第1領域が液体排出路内の大気連通を制限しうるため、ノズルにおける液体の乾燥を防いでノズルの性能を良好に保つことができるとともに、第1領域よりも小さい第2領域が常に大気連通を確保することにより、キャップ内の空間が完全な密閉空間にならないため、何らかの事情で内部空間に圧力変動があったとしても、第2領域の大気連通で圧力を逃がすことができることから、ノズル開口のメニスカスに対する影響がなく、吐出不良等の不具合を未然に防止することができる。 【0011】 本発明において、上記第1領域は液体によるメニスカスを形成可能な領域であり、上記第2領域は液体によるメニスカスを形成しない領域である場合には、第1領域では液体が通過することによりメニスカスが形成され、上記メニスカスで液体排出路内の大気連通を制限し、第2領域ではメニスカスを形成しないことで大気連通を確保する。このように、液体が通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0012】 本発明において、上記第1領域は液体による目詰まりが生じやすい領域であり、上記第2領域は液体による目詰まりを生じない領域である場合には、第1領域では液体の通過により目詰まりが生じ、上記目詰まりで液体排出路内の大気連通を制限し、第2領域では目詰まりを生じないことで大気連通を確保する。このように、液体が通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。また、温湿度等の周辺環境により液体の乾燥固化速度が異なることから、蒸発・乾燥がしやすい高温・低湿環境下では第1領域が早く目詰まりするため、この部分からの液体の蒸発を速やかに抑制することができ、反対に、蒸発・乾燥がしにくい低温・高湿環境下では第1領域がゆっくり目詰まりする。このため、環境条件のばらつきによる蒸散速度のバラツキが軽減され、保湿期間のばらつきも軽減される。 【0013】 本発明において、上記第1領域は液体が付着しやすい部材から形成された領域であり、上記第2領域は液体が付着しない領域である場合には、第1領域では液体の通過により液体が付着し、上記液体の付着で液体排出路内の大気連通を制限し、第2領域では液体が付着しないことで大気連通を確保する。このように、液体が通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0014】 本発明において、上記第1領域はメッシュ状部材で形成された領域であり、上記第2領域は開口部である場合には、第1領域ではメッシュ状部材を液体が通過することによりメッシュに液体が付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じ、上記目詰まりで液体排出路内の大気連通を制限する。第2領域では開口部に液体が付着せずにメニスカスも形成されず、目詰まりを生じないことで大気連通を確保する。このように、メッシュ状部材と開口部を液体が通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0015】 本発明において、上記第1領域は親水性処理が施されたフィルタ部材で形成された領域であり、上記第2領域は撥水性処理が施されたフィルタ部材である場合には、第1領域では親水性処理が施されたフィルタ部材を液体が通過することによりフィルタ部材液体が付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じ、上記目詰まりで液体排出路内の大気連通を制限する。第2領域では撥水性処理が施されたフィルタ部材に液体が付着せずにメニスカスも形成されず、目詰まりを生じないことで大気連通を確保する。このように、親水性処理および撥水性処理が施されたフィルタ部材を液体が通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0016】 本発明において、上記液体は溶媒の蒸散により固化するとともに新たな液体との接触により再溶解するものである場合には、第1領域に液体が付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じたとしても、つぎの吸引動作により新たな液体と接触して固化した液体が再溶解するため、大気連通状態を制御してもその後の吸引動作の妨げにならない。 【0017】 本発明において、上記液体は溶媒として水が用いられたものである場合には、第1領域に液体が付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じたとしても、つぎの吸引動作により新たな液体と接触したときに、固化した液体の再溶解が容易であり、大気連通状態を制御してもその後の吸引動作の妨げにならない。 【0018】 本発明において、上記連通状態制御部材は液体排出路の液体回収手段への開口部近傍に設けられている場合には、キャップ内空間の大気連通が制御された状態で、大気連通が制御される空間の容積は、キャップ内空間の容積に加え、連通状態制御部材より上流側の液体連通路の内部空間を含んで容積が大きくなることから、キャップ内空間の圧力変動を大容積である程度吸収できることから、第1領域に対する第2領域の大きさを最大限まで小さくすることができ、ノズルにおける液体の乾燥をより効果的に防止するようにできる。加えて、連通状態制御部材が液体回収手段への開口部近傍にあるため、ブラシでこする程度の作業で回復することも可能であり、連通状態制御部材のメンテナンスが極めて行いやすくなる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。 【0020】 図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録装置11には、そのフレーム12にプラテン13が架設されており、図示しない紙送り機構により、このプラテン13上を紙Pが給送されるようになっている。さらに、フレーム12には上記プラテン13に平行にガイド部材15が架設されており、このガイド部材15には、キャリッジ16がガイド部材15の軸線方向に移動可能に挿通支持されている。そしてこのキャリッジ16は、タイミングベルト17を介してキャリッジモータ18に接続されており、キャリッジモータ18の駆動によってガイド部材15に沿って往復移動されるようになっている。 【0021】 また、キャリッジ16の上には、インクカートリッジ21,22が着脱可能に搭載されており、それぞれには、インクとしてのブラックインク及びカラーインクが収容されている。さらに、キャリッジ16の下方には記録ヘッド28が設けられており、記録ヘッド28は、図示しない複数のノズルを備え、そのノズルの下面にノズル吐出口が設けられている。そして、図示しない圧電素子の駆動により、上記インクカートリッジ21,22から記録ヘッド28にインクが供給され、ノズル吐出口からインク滴が吐き出される。 【0022】 すなわち、上記キャリッジ16がプラテン13に沿って移動するとともに、印刷データに基づいて、上記圧電素子が駆動されることにより、記録ヘッド28から紙P上にインクが吐き出され、印刷が行われるようになっている。 【0023】 また、上記フレーム12の一側部の非印刷可能領域(ホームポジション)には、上記記録ヘッド28のノズルを保護するための、ノズル保護装置30が設けられている。ノズル保護装置30は、図1及び図2に示すように、キャップ31、液体排出路としてのチューブ部材33、液体排出手段としてのチューブポンプ34、液体回収手段としての廃液タンク35とを備える。 【0024】 図2に示すように、キャップ31は、例えばポリプロピレン等から形成されており、図示しない公知の昇降手段により上下動可能に上記フレーム12に取着されており、上側が開口する浅い箱体となっている。そして、キャップ31は、上記キャリッジ16がキャップ31の直上に移動するに伴って上昇し、記録ヘッド28のノズルが内部空間Sに臨むようにノズル面を覆うようになっている。なお、キャップ31の上端には、四角枠状のエラストマーによる密着部36が、上端を縁取るようにして突出形成されており、キャップ31がノズル面を覆った時の密着性を高めるようにしている。 【0025】 さらに、キャップ31の内側底部には、シート状の吸収体37が設けられており、キャップ31がノズルを覆ったときに、吸収体37内にインクを保持してキャップ31の内部の湿度を高く保ち、インクの乾燥を防ぐようになっている。また、吸収体37によって、ノズル吐出口から落下するインクが受け止められるようになっている。 【0026】 キャップ31の底面には、底面を貫通するようにして排出口38が設けられている。さらに、キャップ31の下面からは、この排出口38を囲うようにして、略円筒状のチューブ嵌合部39が突設されている。そして、キャップ31の排出口38は、これらチューブ嵌合部39の内側の空間およびチューブ部材33を介して外部と連通するようになっている。 【0027】 チューブ部材33は、ポリエチレン等の可撓性部材により形成されている。そして、チューブ部材33の内径は、チューブ嵌合部39の外径とほぼ等しくなっており、その一端はチューブ嵌合部39に嵌合固定されている。 【0028】 上記チューブポンプ34は、フレーム12(図1参照)に固定されている。そして、上記チューブ部材33の外側方向への移動を円弧状に規制するポンプフレーム45と、図示しない紙送りモータ等によって回動するポンプホイル46と、このポンプホイル46に形成された一対のローラ支持溝47a,47bに沿って移動するローラ48a,48bとを備える。また、ポンプフレーム45とポンプホイル46との間の空間には、上記チューブ部材33が円弧状に配置されて一部重なり部を含んだ状態で配置されている。 【0029】 このようなチューブポンプ34においては、ポンプホイル46を正方向(図2の矢印方向)に回転させると、各ローラ48a,48bがローラ支持溝47a,47bのホイル外周部側に移動し、チューブ部材33を矢印方向に順次押し潰してチューブ部材33の内面を密着させながら公転する。このローラ48a,48bの転動により、チューブポンプ34より上流側のチューブ部材33の内部が減圧され、キャップ31の内部空間に負圧を与え、上記内部空間を介してノズルから強制的にインクを吸引し、排出するようになっている。 【0030】 また、ポンプホイル46を逆方向(図2の矢印反対方向)に回転させると、各ローラ48a,48bがローラ支持溝47a,47bのホイル内周部側に移動する。これにより、ローラ48a,48bがチューブ部材33に少しだけ接して内面の押し潰しを解除するレリース状態を保たれる。その結果、チューブ部材33の内部の圧力は、チューブポンプ34の上流側と下流側で均一となる。また、ローラ48a,48bとチューブ部材33との貼り付きなどが防がれるようになる。 【0031】 廃液タンク35は、フレーム12(図1参照)に固定されており、内部に複数層の吸収体51が備えられている。そして、チューブ部材33の他端は廃液タンク35の内部に位置しており、チューブポンプ34から流れてくるインク等の流体は、廃液タンク35に導かれ、吸収体51に吸収されて貯留されるようになっている。 【0032】 上記チューブ部材33の廃液タンク35への排出開口の先端部には、チューブ部材33の内径よりも内径が大きく設定された拡開部材24が取り付けられている。上記拡開部材24の内部には、拡開部材24の連通開口を覆うように、連通状態制御部材25が取り付けられている。上記連通状態制御部材25は、この例ではフィルタ部材が適用されており、液体排出路としてのチューブ部材33内の連通状態を制御する。 【0033】 図3に示すように、上記連通状態制御部材25には、上記チューブポンプ34による吸引の際にはインクを通過させるとともにチューブポンプ34の停止期間中には大気連通を制限可能な第1領域19と、常に大気連通を確保する上記第1領域19よりも小さい第2領域20とが設けられている。 【0034】 上記第1領域19は、チューブポンプ34が稼動してインクがチューブ部材33内を流れるときはインクが通過して廃液タンク35内に排出される一方、チューブポンプ34が停止して装置の放置状態になったときには例えば付着したインクが固化する等の作用により大気連通を制限するようになった領域である。 【0035】 上記第2領域20は、チューブポンプ34が稼動してインクがチューブ部材33内を流れるときは上記第1領域19と同様にインクが通過して廃液タンク35内に排出される一方、チューブポンプ34が停止して装置の放置状態になったときでも常に大気連通されている領域である。 【0036】 上記第1領域19は、インクによる液体架橋であるメニスカスを形成可能な領域とすることができる。例えば、金属その他の素材でできたメッシュ状部材であるメッシュフィルタや、不織布フィルタ、焼結材フィルタ等のフィルタ部材により第1領域19を形成し、フィルタ開口の大きさを、インクの液体架橋であるメニスカスが形成可能なサイズに設定しておくことにより実現することができる。このように、インクが第1領域19を通過することによりメニスカスが形成され、この部分の大気連通が制限されるのである。 【0037】 一方、上記第2領域20は、インクによるメニスカスを形成しない領域とすることができる。例えば、上述した各種フィルタ部材にメッシュ開口よりも開口サイズが大きくてインクの液体架橋であるメニスカスが形成しないサイズに設定された開口部とすることにより実現することができる。すなわち、インクが第2領域20を通過してもメニスカスが形成されないので、この部分は常に大気連通が確保されるのである。 【0038】 また、上記第1領域19はインクが付着しやすい部材から形成された領域とすることができる。例えば、上述したように、金属その他の素材でできたメッシュ状部材であるメッシュフィルタや、不織布フィルタ、焼結材フィルタ等のフィルタ部材により第1領域19を形成し、フィルタ開口の大きさを、インクの液体架橋であるメニスカスが形成可能なサイズに設定しておくことにより実現することができる。また、上記第1領域19を上述したようなフィルタ部材で形成し、さらに親水性処理を施すことによりインクが付着しやすくすることにより実現することができる。このように、インクが第1領域19を通過することによりインクが付着し、この部分の大気連通が制限されるのである。 【0039】 上記親水性処理としては、例えば、SiO2コーティングやプラズマ処理、コロナ放電処理、酸やアルカリによるエッチング処理、その他の粗面処理、界面活性剤コーティング、PVA等の親水性高分子のコーティング等をあげることができるが、これらに限定するものではなく、各種の親水性処理を採用することができる。 【0040】 一方、上記第2領域20はインクが付着しない領域とすることができる。例えば、上述した各種フィルタ部材にメッシュ開口よりも開口サイズが大きくてインクの液体架橋であるメニスカスが形成しないサイズに設定された開口部を形成することにより実現することができる。また、このような開口部を形成せずに、上記第2領域20を上述したようなフィルタ部材で形成し、さらに撥水性処理を施すことにより、インクが付着しなくすることにより実現することができる。すなわち、インクが第2領域20を通過しても濡れないので、この部分は常に大気連通が確保されるのである。 【0041】 上記撥水性処理としては、例えば、フッ素コーティング処理、シリコーンコーティング処理、ワックスコーティング処理、フッ素系珪酸化物ゾルゲルコーティング、フッ化グラファイトコーティング、硫黄化合物真空蒸着等をあげることができるが、これらに限定するものではなく、各種の撥水性処理を採用することができる。 【0042】 また、上記第1領域19はインクによる目詰まりが生じやすい領域とすることができる。例えば、上述した各種フィルタ部材により第1領域19を形成し、フィルタ開口の大きさを、インクの液体架橋であるメニスカスが形成可能なサイズに設定しておくことにより実現することができる。すなわち、インクが第1領域19を通過することにより、フィルタ開口に液体架橋であるメニスカスが形成され、そのメニスカスを形成したインクが乾燥して固化することにより第1領域19で目詰まりを起し、この部分の大気連通が制限されるのである。 【0043】 一方、上記第2領域20はインクによる目詰まりを生じない領域とすることができる。例えば、上述した各種フィルタ部材にメッシュ開口よりも開口サイズが大きくてインクの液体架橋であるメニスカスが形成しないサイズに設定された開口部を形成することにより実現することができる。また、このような開口部を形成せずに、上記第2領域20を上述したようなフィルタ部材で形成し、さらに撥水性処理を施すことにより、インクが付着しなくすることにより実現することができる。すなわち、インクが第2領域20を通過してもメニスカスが形成されたり濡れたりしないので、この部分には目詰まりが生じず、常に大気連通が確保されるのである。 【0044】 上記インクは溶媒の蒸散により固化するとともに新たなインクとの接触により再溶解するものとするのが好ましい。すなわち、上述したように、第1領域19をフィルタ部材で形成し、インクが第1領域19を通過することにより形成されるメニスカスが固化され、第1領域19で目詰まりを起してこの部分の大気連通を制限する。その後、チューブポンプ34を再び稼動してチューブ部材33内にインクを通過させたときには、第1領域19で固化したインクが新たな排出インクと接触して再溶解することで、つぎのクリーニングが支障なく行えるからである。第1領域19でインクが再溶解した後は、再びインクのメニスカスが形成されて固化し、目詰まりを生じてこの部分の大気連通を制限する。このような、再溶解を生じやすいインクとして、溶媒として水が用いられたインクや染料系のインク等が最適である。 【0045】 上記連通状態制御部材25は、チューブ部材33よりも内径寸法が大きく、流路面積が拡がった拡開部に設けられていることから、第1領域19や第2領域20をフィルタ部材で構成したとしても、この部分のインクの通過面積が大きくなることから、圧力損失の増大を低減し、チューブポンプ34の駆動に負担をかけない。特に、第1領域19でインクを固化させて大気連通を制限し、つぎの吸引で再溶解させるときには圧力損失が大きくなることから、この部分のインクの通過面積を大きくして圧力損失を低減するのは効果的である。 【0046】 上記第1領域19に対する第2領域20の大きさは、第2領域20が常時大気連通を確保できる範囲の大きさにおいてできるだけ小さいほうが好ましい。また、流路の壁面近傍よりも中央部に近いほうが流れるインクの流速が速く、第2領域20へのインクの付着やメニスカスの形成もしにくくなるため、第2領域20の位置は、流路の中央すなわち連通状態制御部材25の中央部に近い位置のほうが好ましい。 【0047】 以上に述べた実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。 【0048】 すなわち、長期間使用しないで放置されたようなときは、第1領域19がチューブ部材33内の大気連通を制限しうるため、ノズルにおけるインクの乾燥を防いでノズルの性能を良好に保つことができるとともに、第1領域19よりも小さい第2領域20が常に大気連通を確保することにより、キャップ31内の空間が完全な密閉空間にならないため、何らかの事情で内部空間に圧力変動があったとしても、第2領域20の大気連通で圧力を逃がすことができることから、ノズル開口のメニスカスに対する影響がなく、吐出不良等の不具合を未然に防止することができる。 【0049】 また、上記第1領域19はインクによるメニスカスを形成可能な領域であり、上記第2領域20はインクによるメニスカスを形成しない領域である場合には、第1領域19ではインクが通過することによりメニスカスが形成され、上記メニスカスでチューブ部材33内の大気連通を制限し、第2領域20ではメニスカスを形成しないことで大気連通を確保する。このように、インクが通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0050】 また、上記第1領域19はインクによる目詰まりが生じやすい領域であり、上記第2領域20はインクによる目詰まりを生じない領域である場合には、第1領域19ではインクの通過により目詰まりが生じ、上記目詰まりでチューブ部材33内の大気連通を制限し、第2領域20では目詰まりを生じないことで大気連通を確保する。このように、インクが通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。また、温湿度等の周辺環境によりインクの乾燥固化速度が異なることから、蒸発・乾燥がしやすい高温・低湿環境下では第1領域19が早く目詰まりするため、この部分からのインクの蒸発を速やかに抑制することができ、反対に、蒸発・乾燥がしにくい低温・高湿環境下では第1領域19がゆっくり目詰まりする。このため、環境条件のばらつきによる蒸散速度のバラツキが軽減され、保湿期間のばらつきも軽減される。 【0051】 また、上記第1領域19はインクが付着しやすい部材から形成された領域であり、上記第2領域20はインクが付着しない領域である場合には、第1領域19ではインクの通過によりインクが付着し、上記インクの付着でチューブ部材33内の大気連通を制限し、第2領域20ではインクが付着しないことで大気連通を確保する。このように、インクが通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0052】 また、上記第1領域19はメッシュ状部材で形成された領域であり、上記第2領域20は開口部である場合には、第1領域19ではメッシュ状部材をインクが通過することによりメッシュにインクが付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じ、上記目詰まりでチューブ部材33内の大気連通を制限する。第2領域20では開口部にインクが付着せずにメニスカスも形成されず、目詰まりを生じないことで大気連通を確保する。このように、メッシュ状部材と開口部をインクが通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0053】 また、上記第1領域19は親水性処理が施されたフィルタ部材で形成された領域であり、上記第2領域20は撥水性処理が施されたフィルタ部材である場合には、第1領域19では親水性処理が施されたフィルタ部材をインクが通過することによりフィルタ部材にインクが付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じ、上記目詰まりでチューブ部材33内の大気連通を制限する。第2領域20では撥水性処理が施されたフィルタ部材にインクが付着せずにメニスカスも形成されず、目詰まりを生じないことで大気連通を確保する。このように、親水性処理および撥水性処理が施されたフィルタ部材をインクが通過することで大気連通の制限と確保を制御しうるため、複雑な装置を用いることなく大気連通状態の微妙な制御を行うことができる。 【0054】 また、上記インクは溶媒の蒸散により固化するとともに新たなインクとの接触により再溶解するものである場合には、第1領域19にインクが付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じたとしても、つぎの吸引動作により新たなインクと接触して固化したインクが再溶解するため、大気連通状態を制御してもその後の吸引動作の妨げにならない。 【0055】 また、上記インクは溶媒として水が用いられたものである場合には、第1領域19にインクが付着してメニスカスを形成し、これが固化して目詰まりが生じたとしても、つぎの吸引動作により新たなインクと接触しときに、固化したインクの再溶解が容易であり、大気連通状態を制御してもその後の吸引動作の妨げにならない。 【0056】 また、上記連通状態制御部材25はチューブ部材33の廃液タンク35への開口部近傍に設けられているため、キャップ31内空間の大気連通が制御された状態で、大気連通が制御される空間の容積は、キャップ31内空間の容積に加え、連通状態制御部材25より上流側のインク連通路の内部空間を含んで容積が大きくなることから、キャップ31内空間の圧力変動を大容積である程度吸収できることから、第1領域19に対する第2領域20の大きさを最大限まで小さくすることができ、ノズルにおけるインクの乾燥をより効果的に防止するようにできる。加えて、連通状態制御部材25が廃液タンク35への開口部近傍にあるため、ブラシでこする程度の作業で回復することも可能であり、連通状態制御部材25のメンテナンスが極めて行いやすくなる。 【0057】 なお、この例において、上記連通状態制御部材25は、上述した金属その他の素材でできたメッシュ状部材であるメッシュフィルタや、不織布フィルタ、焼結材フィルタ等のフィルタ部材に限定するものではなく、他のフィルタ部材を採用することもできる。 【0058】 図4は、本発明の第2実施形態を示し、(A)は断面図、(B)は開後端から見た図である。 【0059】 この例では、チューブ部材33の排出開口部に、連通状態制御部材としての弁部材26が設けられた筒体27が取り付けられている。 【0060】 上記弁部材26は、可撓性材料であるとともに、水分透過率の低い材料で形成されており、本実施形態ではEPDMによって形成されている。そして、その一端に略円筒状の胴部を備えている。また、他端には、前記胴部から徐々に先細りとなるように変化した形状の傾斜部が備えられている。なお、EPDM以外に、可撓性を有するとともに、水分透過性の低い材料であれば、例えば、ブチルゴム、エラストマー、CRゴム(クロロプレンゴム)、フッ素ゴム、NBR(ニトリルゴム)、ウレタン、NR(天然ゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)等を使用するようにしてもよい。 【0061】 上記胴部は、その外径が、前記筒体27の内面に接合されている。傾斜部の先端面には、常に開口している開口部が形成されており、この開口部が常に大気連通を確保する第2領域20として機能している。また、先細り状の傾斜部は、チューブポンプ34による吸引の際にはインクを通過させるとともにチューブポンプ34の停止期間中には大気連通を制限可能な第1領域19として機能する。 【0062】 この例において、弁部材26として、上記以外の形状の弁を使用するようにしてもよい。例えば、弁体がばねによって弁座を押し付けられるバネ式のもので、弁体に常時大気連通を確保する開口部を形成して使用するようにしてもよい。また、弁部材26は、インクの流れで開閉するようにしたが、例えば、電磁石への通電によって開閉するような弁等、その他の条件によって開閉する弁を採用するようにしてもよい。 【0063】 この例でも、チューブポンプ34による吸引の際にはインクを通過させるとともにチューブポンプ34の停止期間中には大気連通を制限可能な第1領域19および、常に大気連通を確保する第2領域20が機能する範囲において、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。 【0064】 なお、本発明は、上記各実施形態に限定するものではなく、下記のような変形例を包含する趣旨である。 【0065】 上記各実施形態では、連通状態制御部材をチューブ部材33の排出開口近傍に設けるようにしたが、上記チューブ部材33のいずれかの部分に設ければよく、チューブポンプ34の上流側に設けても良いし、もう少しチューブポンプ34に近い箇所に配置することもできる。 【0066】 上記各実施形態では、液体排出手段として、チューブポンプ34を使用したノズル保護装置30を備えるようにしたが、その他の液体排出手段、例えば、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ等を備えたノズル保護装置30に具体化するようにしてもよい。 【0067】 上記各実施形態では、ノズルを放置するときに、キャップ31でノズル面を覆うのみとしたが、キャップ31でノズル面を覆った状態で、インクの乾燥を防ぐ材料をキャップ31内に注入するようにしてもよい。 【0068】 また、液体噴射装置の代表例としては、上述したような画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置があるが、本発明は、その他の液体噴射装置として、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置等、各種の液体噴射装置に適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0069】 【図1】本発明の一実施形態のインクジェット式プリンタの斜視図。 【図2】ノズル保護装置の概略構成を示す断面図。 【図3】連通状態制御部材の一例を示す図。 【図4】第2実施形態の連通状態制御部材を示す図。 【符号の説明】 【0070】 11 インクジェット式記録装置,12 フレーム,13 プラテン,15 ガイド部材,16 キャリッジ,17 タイミングベルト,18 キャリッジモータ,19 第1領域,20 第2領域,21 インクカートリッジ,22 インクカートリッジ,24 拡開部材,25 連通状態制御部材,26 弁部材,27 筒体,28 記録ヘッド,30 ノズル保護装置,31 キャップ,33 チューブ部材,34 チューブポンプ,35 廃液タンク,36 密着部,37 吸収体,38 排出口,39 チューブ嵌合部,45 ポンプフレーム,46 ポンプホイル,47a ローラ支持溝,47b ローラ支持溝,48a ローラ,48b ローラ,51 吸収体
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月11日(2006.7.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095728 【弁理士】 【氏名又は名称】上柳 雅誉
【識別番号】100127661 【弁理士】 【氏名又は名称】宮坂 一彦
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| 【公開番号】 |
特開2008−18549(P2008−18549A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−190090(P2006−190090) |
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