| 【発明の名称】 |
画像形成装置及び画像形成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】川上 正人
【氏名】望月 宏美
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| 【要約】 |
【課題】前処理液の浸透時間や普通紙の搬送速度に変更があっても画像濃度にムラがなく、滲みが無くて高画質の画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【構成】前処理液塗布器30から印字ヘッド21,22までの距離を変更するに当たっては、メモリコントローラによって読み出された搬送速度データに基づいてステッピングモータ制御回路がステッピングモータ98を駆動する。この駆動によって無端ベルト90が矢印C方向又は矢印D方向に回転し、この回転に伴ってガイドレール86、88に案内されながら塗布器ホルダ82及び前処理液塗布器30が矢印A方向又はその反対方向に所定距離だけ移動する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の搬送方向に搬送中の記録媒体に所定の前処理液を塗布する前処理液塗布器と、該前処理液塗布器によって前記前処理液が塗布された記録媒体にインクを吐出する印字ヘッドとを備えた画像形成装置において、 前記搬送方向に記録媒体が搬送される搬送速度に基づいて、前記前処理液塗布器から前記印字ヘッドまでの距離を変更する距離変更手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 【請求項2】 前記距離変更手段は、前記前処理液塗布器を前記搬送方向又はその反対方向に移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 【請求項3】 前記距離変更手段は、前記印字ヘッドを前記搬送方向又はその反対方向に移動させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。 【請求項4】 前記距離変更手段は、前記搬送速度が速くなるに伴って前記距離を長くするものであることを特徴とする請求項1,2,又は3に記載の画像形成装置。 【請求項5】 前記距離変更手段は、前記搬送速度が遅くなるに伴って前記距離を短くするものであることを特徴とする請求項1から4までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。 【請求項6】 前記前処理液塗布器は、それぞれから電気パルスによって前記前処理液が吐出する複数のノズルが形成されたものであり、 前記制御手段は、前記電気パルスを制御することにより、前記前処理液塗布器から吐出される前記前処理液の量を制御するものであることを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。 【請求項7】 前記搬送速度をs(cm/sec)とし、前記距離をd(cm)とし、記録媒体に形成される画像の記録密度をA11(dpi)×A12(dpi)とし、前記印字ヘッドの一つのノズルから吐出される一つのインク滴の量をA2(ng)とし、前記印字ヘッドから吐出されるインクに含有された色材を不溶化又は凝集させる前処理液を塗布する前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される前処理液滴の塗布密度をB11(dpi)×B12(dpi)とし、前記前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される一つの前処理液滴の量をB2(ng)としたときに、 前記距離変更手段は、前記搬送速度s(cm/sec)と前記距離d(cm)との関係が、 {d×(A11×A12×A2)}/{s×(B11×B12×B2)}≧(前処理液の種類によって決まる所定の値)…(1)を満たすように前記距離を変更するものであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。 【請求項8】 前記搬送速度を検出する搬送速度検出手段と、 前記距離を検出する距離検出手段とを備え、 前記距離変更手段は、前記搬送速度検出手段で検出された搬送速度s(cm/sec)と前記距離検出手段で検出された距離d(cm)が前記式(1)を満たすように前記前処理液塗布器又は前記印字ヘッドを移動させるものであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。 【請求項9】 前記前処理液塗布器は、 前記印字ヘッドからインクが吐出される記録媒体のステキヒトサイズ度が40〜100(sec)のときのブリストウ法における浸透係数が0.1〜3.0(ml/m2・s1/2)である液体組成物を用いるものであることを特徴とする請求項1から8までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。 【請求項10】 所定の搬送方向に搬送中の記録媒体に所定の前処理液を塗布し、続いて、該前処理液が塗布された記録媒体にインクを吐出して画像を形成する画像形成方法において、 前記搬送方向に記録媒体が搬送される搬送速度に基づいて、記録媒体に前記前処理液を塗布する塗布位置から前記インクを吐出する吐出位置までの距離を変更することを特徴とする画像形成方法。 【請求項11】 前記距離を変更するに際して、前記塗布位置を前記搬送方向又はその反対方向に移動させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。 【請求項12】 前記距離を変更するに際して、前記吐出位置を前記搬送方向又はその反対方向に移動させることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成方法。 【請求項13】 前記距離を変更するに際して、前記搬送速度が速くなるに伴って前記距離を長くすることを特徴とする請求項10,11,又12に記載の画像形成方法。 【請求項14】 前記距離を変更するに際して、前記搬送速度が遅くなるに伴って前記距離を短くすることを特徴とする請求項10から13までのうちのいずれか一項に記載の画像形成方法。 【請求項15】 前記前処理液を塗布する前処理液塗布器は、それぞれから電気パルスによって前記前処理液が吐出する複数のノズルが形成されたものであり、 前記電気パルスを制御することにより、前記前処理液塗布器から吐出される前記前処理液の量を制御することを特徴とする請求項10から14までのうちのいずれか一項に記載の画像形成方法。 【請求項16】 前記搬送速度をs(cm/sec)とし、前記距離をd(cm)とし、記録媒体に形成される画像の記録密度をA11(dpi)×A12(dpi)とし、前記インクを吐出する印字ヘッドの一つのノズルから吐出される一つのインク滴の量をA2(ng)とし、前記印字ヘッドから吐出されるインクに含有された色材を不溶化又は凝集させる前処理液を塗布する前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される前処理液滴の塗布密度をB11(dpi)×B12(dpi)とし、前記前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される一つの前処理液滴の量をB2(ng)としたときに、 前記搬送速度s(cm/sec)と前記距離d(cm)との関係が、 {d×(A11×A12×A2)}/{s×(B11×B12×B2)}≧(前処理液の種類によって決まる所定の値)…(1)を満たすように前記距離を変更することを特徴とする請求項15に記載の画像形成方法。 【請求項17】 前記搬送速度s(cm/sec)及び前記距離d(cm)を検出し、 これら検出された搬送速度及びと距離が前記式(1)を満たすように前記塗布位置又は前記吐出位置を変更することを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。 【請求項18】 前記インクが吐出される記録媒体のステキヒトサイズ度が40〜100(sec)のときのブリストウ法における浸透係数が0.1〜3.0(ml/m2・s1/2)である液体組成物を記録媒体に塗布することを特徴とする請求項10から17までのうちのいずれか一項に記載の画像形成方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、記録媒体の表面に前処理液を塗布し(記録媒体に対して前処理液を付与し)、続いて、この前処理液が塗布された記録媒体にインクを吐出して画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。 【背景技術】 【0002】 印字ヘッド(記録ヘッド)のインク吐出口からインクを吐出して紙や樹脂フィルム、あるいは布帛や金属などの記録媒体(プリント媒体)に画像を形成するインクジェット方式画像形成装置が広く使用されている。このインクジェット方式画像形成装置では、印字ヘッドが記録媒体に非接触であるため、静粛性に優れ、また、画像形成速度(プリント速度)が速くて高密度のプリントが可能であり、さらに、カラー化が容易であるなどの利点が挙げられる。このような利点を生かして、産業用の画像形成装置としてのニーズが高まっている。 【0003】 産業用の画像形成装置としてインクジェット方式画像形成装置を使用する場合、大量の記録媒体に印刷する(画像を形成する)ことが多い。このため、プリント速度(印刷速度)を高速化する要求が非常に高い。プリント速度を高速化するために、通常、記録媒体の画像形成領域の全幅にわたってインク吐出口が配列された長尺の、いわゆるフルライン型印字ヘッドを用いた画像形成装置(フルラインタイプインクジェットプリンタ)が使用される。 【0004】 このフルラインタイプインクジェットプリンタでは、通常、印字ヘッドのインク吐出口から吐出されるインク滴の吐出方向が記録媒体の表面に垂直になるように構成されている。また、記録媒体を連続的に移動させながら(搬送しながら)画像形成(プリント作業)を行える。このため、フルラインタイプインクジェットプリンタでは、印字ヘッドを記録媒体の搬送方向に交差する方向に走査させながら画像を形成する、いわゆるシリアルタイプのインクジェットプリンタよりも高速でプリント作業を行える。 【0005】 ところで、産業用で使用されるインクジェット方式のプリントでは、ランニングコストの点から普通紙(インクを受容する層(インク受容層)の無い記録媒体)に画像を形成することが多い。このように普通紙と呼ばれる記録媒体に画像を形成する場合、インク受容層が無いので画像の耐水性が不十分である。また、普通紙にカラー画像を形成する場合には、フェザリング(紙の繊維に沿ってインクが滲む現象)の生じない高濃度の画像と、色間の滲みの生じない画像とを両立させることができず、良好な画像堅牢性で且つ良好な品位のカラー画像を形成できない。 【0006】 画像の耐水性を向上させる技術として、インク中に含まれる色材に耐水性をもたせる技術が近年では実用化されてきている。しかし、この耐水性は不十分であり、原理的に、乾燥後は水に溶解しにくいインクであるので、印字ヘッドのノズルが詰まり易い。この詰まりを防止するために装置構成が複雑になってしまうという問題がある。 【0007】 上記の問題を解決する技術として、水、着色剤、凝集剤から形成された凝集体粒子を含有するインク(記録液)を用いることにより、紙面上でインクが滲まず高画像濃度を得られる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この技術では、インク中の凝集剤がノズル詰まりの原因となり、特に長期保存性に問題がある。 【0008】 また、上記の問題を解決する技術として、シリアルタイプのインクジェットプリンタにおいて、インク中の色材を不溶化又は凝集させる物質を含む前処理液を記録媒体の表面に塗布しながら所定の走査方向に走査する塗布手段と、色材を含むインクを記録媒体に吐出して画像を形成する記録手段を有するインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この技術は、シリアルタイプのインクジェットプリンタに対応するものであり、塗布手段には、前処理液を吐出する複数のノズルが形成されている。塗布手段は走査方向に走査しながら複数のノズルから前処理液を記録媒体に吐出する。複数のノズルの一部が詰って前処理液が吐出されないことがあっても、塗布手段が走査方向に往復することにより記録媒体の画像形成領域の全面に前処理液を吐出して塗布できる。 【特許文献1】特開平10−298469号公報 【特許文献2】特開2000−218772号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 ところで、インクジェットプリンタで使用される普通紙には種々の紙質(材質)のものがあり、紙質によって前処理液の浸透時間に差が生じることがある。また、同じ紙質の普通紙に画像を形成する場合であっても、形成される画像によっては普通紙の搬送速度を変えることがある。さらに、前処理液の種類によって普通紙への浸透時間に差が生じることがある。 【0010】 上記のように前処理液の浸透時間や普通紙の搬送速度が変わった場合、普通紙に前処理液が塗布されてから、この塗布された部分(塗布部分)にインクが吐出される(インク滴が着弾する)までの時間が変わる。この結果、塗布部分に前処理液が完全に浸透する前に、この塗布部分にインクが吐出されることがある。このような場合は、塗布部分の表面に残った(残留した)前処理液の内部でインクが液滴の状態で凝固する。これにより、いわゆるメダマ現象が発生して画像濃度にムラが生じてしまい、普通紙に理想的なドット形状を得ることができない。なお、メダマ現象については後述する。 【0011】 本発明は、上記事情に鑑み、前処理液の浸透時間や普通紙の搬送速度に変更があっても画像濃度にムラがなく、滲みが無くて高画質の画像を形成できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、所定の搬送方向に搬送中の記録媒体に所定の前処理液を塗布する前処理液塗布器と、該前処理液塗布器によって前記前処理液が塗布された記録媒体にインクを吐出する印字ヘッドとを備えた画像形成装置において、 (1)前記搬送方向に記録媒体が搬送される搬送速度に基づいて、前記前処理液塗布器から前記印字ヘッドまでの距離を変更する距離変更手段を備えたことを特徴とするものである。 【0013】 ここで、 (2)前記距離変更手段は、前記前処理液塗布器を前記搬送方向又はその反対方向に移動させるものであってもよい。 【0014】 また、 (3)前記距離変更手段は、前記印字ヘッドを前記搬送方向又はその反対方向に移動させるものであってもよい。 【0015】 さらに、 (4)前記距離変更手段は、前記搬送速度が速くなるに伴って前記距離を長くするものであってもよい。 【0016】 さらにまた、 (5)前記距離変更手段は、前記搬送速度が遅くなるに伴って前記距離を短くするものであってもよい。 【0017】 さらにまた、 (6)前記前処理液塗布器は、それぞれから電気パルスによって前記前処理液が吐出する複数のノズルが形成されたものであり、 (7)前記制御手段は、前記電気パルスを制御することにより、前記前処理液塗布器から吐出される前記前処理液の量を制御するものであってもよい。 【0018】 さらにまた、 (8)前記搬送速度をs(cm/sec)とし、前記距離をd(cm)とし、記録媒体に形成される画像の記録密度をA11(dpi)×A12(dpi)とし、前記印字ヘッドの一つのノズルから吐出される一つのインク滴の量をA2(ng)とし、前記印字ヘッドから吐出されるインクに含有された色材を不溶化又は凝集させる前処理液を塗布する前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される前処理液滴の塗布密度をB11(dpi)×B12(dpi)とし、前記前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される一つの前処理液滴の量をB2(ng)としたときに、 (9)前記距離変更手段は、前記搬送速度s(cm/sec)と前記距離d(cm)との関係が、 (10){d×(A11×A12×A2)}/{s×(B11×B12×B2)}≧(前処理液の種類によって決まる所定の値)…(1)を満たすように前記距離を変更するものであってもよい。 【0019】 さらにまた、 (11)前記搬送速度を検出する搬送速度検出手段と、 (12)前記距離を検出する距離検出手段とを備え、 (13)前記距離変更手段は、前記搬送速度検出手段で検出された搬送速度s(cm/sec)と前記距離検出手段で検出された距離d(cm)が前記式(1)を満たすように前記前処理液塗布器又は前記印字ヘッドを移動させるものであってもよい。 【0020】 さらにまた、 (14)前記前処理液塗布器は、前記印字ヘッドからインクが吐出される記録媒体のステキヒトサイズ度が40〜100(sec)のときのブリストウ法における浸透係数が0.1〜3.0(ml/m2・s1/2)である液体組成物を用いるものであってもよい。 【0021】 また、上記目的を達成するための本発明の画像形成方法は、所定の搬送方向に搬送中の記録媒体に所定の前処理液を塗布し、続いて、該前処理液が塗布された記録媒体にインクを吐出して画像を形成する画像形成方法において、 (15)前記搬送方向に記録媒体が搬送される搬送速度に基づいて、記録媒体に前記前処理液を塗布する塗布位置から前記インクを吐出する吐出位置までの距離を変更することを特徴とするものである。 【0022】 ここで、 (16)前記距離を変更するに際して、前記塗布位置を前記搬送方向又はその反対方向に移動させてもよい。 【0023】 さらに、 (17)前記距離を変更するに際して、前記吐出位置を前記搬送方向又はその反対方向に移動させてもよい。 【0024】 さらにまた、 (18)前記距離を変更するに際して、前記搬送速度が速くなるに伴って前記距離を長くしてもよい。 【0025】 さらにまた、 (19)前記距離を変更するに際して、前記搬送速度が遅くなるに伴って前記距離を短くしてもよい。 【0026】 さらにまた、 (20)前記前処理液を塗布する前処理液塗布器は、それぞれから電気パルスによって前記前処理液が吐出する複数のノズルが形成されたものであり、 (21)前記電気パルスを制御することにより、前記前処理液塗布器から吐出される前記前処理液の量を制御してもよい。 【0027】 さらにまた、 (22)前記搬送速度をs(cm/sec)とし、前記距離をd(cm)とし、記録媒体に形成される画像の記録密度をA11(dpi)×A12(dpi)とし、前記インクを吐出する印字ヘッドの一つのノズルから吐出される一つのインク滴の量をA2(ng)とし、前記印字ヘッドから吐出されるインクに含有された色材を不溶化又は凝集させる前処理液を塗布する前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される前処理液滴の塗布密度をB11(dpi)×B12(dpi)とし、前記前処理液塗布器の一つのノズルから吐出される一つの前処理液滴の量をB2(ng)としたときに、 (23)前記搬送速度s(cm/sec)と前記距離d(cm)との関係が、 (24){d×(A11×A12×A2)}/{s×(B11×B12×B2)}≧(前処理液の種類によって決まる所定の値)…(1)を満たすように前記距離を変更してもよい。 【0028】 さらにまた、 (25)前記搬送速度s(cm/sec)及び前記距離d(cm)を検出し、 (26)これら検出された搬送速度及びと距離が前記式(1)を満たすように前記塗布位置又は前記吐出位置を変更してもよい。 【0029】 さらにまた、 (27)前記インクが吐出される記録媒体のステキヒトサイズ度が40〜100(sec)のときのブリストウ法における浸透係数が0.1〜3.0(ml/m2・s1/2)である液体組成物を記録媒体に塗布してもよい。 【0030】 ここで、本発明で使用する前処理液について説明する。本発明で使用する前処理液には、少なくともカチオン性物質が含有されている。使用されるカチオン性物質は、(1)低分子量のカチオン性化合物、或いは(2)高分子量のカチオン性化合物であればよいが、より好ましくは、(3)GPCを使用して測定したカチオン性物質の分子量分布のピークが、分子量1,000以下の領域及び1,500以上10,000以下の領域に少なくとも1つずつ存在するカチオン性化合物が使用される。 【0031】 上記(1)の低分子量のカチオン性化合物の具体例としては、例えば、1級、2級及び3級アミン塩型の化合物、具体的にはドデシルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等;第4級アンモニウム塩型の化合物、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンジルトリメチルクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド等;ピリジニウム塩型化合物、具体的にはセチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド等;イミダゾリン型カチオン性化合物、具体的には2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン等;高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物、具体的にはジヒドロキシエチルステアリルアミン等が挙げられる。 【0032】 更に本発明では、この場合に、あるpH領域においてカチオン性を示す両性界面活性剤も使用することが出来る。より具体的には、アミノ酸型両性界面活性剤;R−NH−CH2−CH2−COOH型の化合物;ベタイン型の化合物、具体的には、ステアリルジメチルベタイン、ドデシルジヒドロキシエチルベタイン等のカルボン酸塩型両性界面活性剤の他、硫酸エステル型、スルホン酸型、燐酸エステル型等の両性界面活性剤等が挙げられる。勿論、これらの両性界面活性剤を使用する場合には、それらの等電点以下のpHになる様に処理液を調整するか、記録媒体上でインクと混合した場合に該等電点以下のpHになる様に調整するかの何れかの方法をとる必要がある。以上、低分子量のカチオン性化合物の例を挙げたが、本発明で使用することの出来る化合物は必ずしもこれらに限定されないことは言うまでもない。 【0033】 上記(2)の高分子量のカチオン性化合物の具体例としては、例えば、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、キトサン、及びこれらの塩酸或いは酢酸等の酸による中和物又は部分中和物を挙げることが出来るが、勿論これらに限定されるわけではない。 【0034】 本発明においては、上記の高分子量のカチオン性化合物として、高分子量のノニオン性化合物の一部をカチオン化した化合物を用いてもよい。この様なものとしては、具体的には、ビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチルアクリルアマイド4級塩との共重合体等を挙げることが出来るが、勿論これらの化合物に限定されないことは言うまでもない。更に、上述した高分子物質及びカチオン性の高分子物質は水溶性であれば申し分ないが、ラテックスやエマルジョンの様な分散体であっても構わない。 【0035】 以下、上記(3)に挙げたカチオン性化合物について具体的に説明する。分子量分布のピークが分子量1,000以下の領域にあるカチオン性化合物としては、上記の(1)で挙げた低分子量のカチオン性化合物の中から適宜選択して使用することが出来る。尚、本発明において、分子量分布のピークが分子量1,000以下の低分子量のカチオン性化合物としては、分子量の分布においては単分散に近いものが多く使用出来る。分子量の分布がない化合物については、通常の化学式から求められる分子量を分子量分布のピークの位置と考える。 【0036】 分子量分布のピークが分子量1,500以上10,000以下の領域にあるカチオン性化合物としては、(2)で既述した高分子量のカチオン性化合物の中から適宜に選択して使用することが出来る。この分子量分布のピークが分子量1,500以上10,000以下の領域にある高分子量のカチオン性化合物、例えば、高分子量のポリアリルアミンの本発明における作用及び効果については既述の通りである。即ち、処理液とインクとの反応の第2段階として、高分子量のカチオン性化合物は、染料又は顔料インク中のアニオン性化合物と低分子量のカチオン性化合物との会合体又は顔料の凝集体を分子中に吸着せしめてこれらのサイズを更に大きくすることにより、記録媒体である記録紙の繊維の隙間にそれらを入り込みにくくし、固液分離した液体部分のみを該記録紙中に浸み込ませることで印字品位と定着性の両立を達成させる。尚、この場合、分子量分布のピークが、分子量1,500以上10,000以下の領域に少なくとも1つ存在する高分子量のカチオン性化合物であれば、上記の本発明の効果は十分に発揮される。これらのカチオン性化合物は処理液中に1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の範囲で用いる。 【0037】 本発明に使用可能インクは、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、油性染料、顔料が挙げられる。使用する用途にあわせて、安全性の面から水性のインクが好ましく、耐候性を考慮した場合には、水性の顔料インクがより好ましい。これらの記録剤の含有量は液媒体成分の種類、インクに要求される特性等に依存して決定されるが、一般的にはインク全重量に対して0.2〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%を占める割合である。本発明で使用可能な有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類、チオジグリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、トリエチレングリコールジメチル(又はジエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はジエチル)エーテル等の多価アルコール類の低級ジアルキルエーテル類、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記有機溶剤の含有量は、一般にはインクの全重量に対して1〜50重量%、好ましくは2〜30%の範囲である。上記のごとき有機溶剤は単独でも混合物としても使用できるが、最も好ましい液媒体組成は、水と1種以上の有機溶剤からなり、該溶剤が少なくとも1種以上の水溶性高沸点溶剤、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを含有するものである。また、顔料を分散するための樹脂、中和剤等を含んでいてもよい。 【発明の効果】 【0038】 本発明によれば、普通紙などの記録媒体の搬送速度に基づいて、前処理液塗布器から印字ヘッドまでの距離を変更できるので、前処理液を塗布された記録媒体の搬送速度が速いときは、前処理液塗布器から印字ヘッドまでの距離を遠くすることにより、記録媒体に塗布された前処理液が完全に浸透する時間を得られて、前処理液が記録媒体に完全に浸透した後にこの記録媒体に印字ヘッドからインクを吐出できることとなる。また、前処理液を塗布された記録媒体の搬送速度が遅いときは、前処理液塗布器から印字ヘッドまでの距離を近くしても、前処理液が記録媒体に完全に浸透した後にこの記録媒体に印字ヘッドからインクを吐出できることとなる。このように記録媒体の搬送速度が変更されても記録媒体にインクが着弾する前に、この記録媒体に前処理液を完全に浸透させることができるので、前処理液が完全に浸透した記録媒体に印字ヘッドからインクを吐出して画像を形成することとなり、前処理液の不完全浸透に起因する「メダマ現象」を防止できる。この結果、前処理液の浸透時間や普通紙の搬送速度に変更があっても画像濃度にムラがなく、滲みが無くて高画質の画像を形成できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0039】 本発明は、例えば色材を不溶化する前処理液をダンボールなどの記録媒体に塗布した後に画像を形成する印刷装置に実現された。 【実施例1】 【0040】 図1と図2を参照して、本発明の画像形成装置の一例を説明する。 【0041】 図1は、本発明の画像形成装置の一例である印刷装置の概略構成を示す側面図である。図2は、図1の印刷装置を示す斜視図である。 【0042】 印刷装置10には、ダンボールなどの記録媒体Pにインクを吐出して画像を形成する印字ヘッド21、22、23、24が搭載された印字ヘッドユニット20と、記録媒体Pに前処理液を吐出する前処理液塗布器(前処理液ヘッド)30と、記録媒体Pを矢印A方向(記録媒体搬送方向)に搬送する搬送ユニット40が備えられている。印字ヘッド21はブラックのインクを吐出し、印字ヘッド22はシアンのインクを吐出し、印字ヘッド23はマゼンタのインクを吐出し、印字ヘッド24はイエローのインクを吐出する。印字ヘッドユニット20は、各印字ヘッド21〜24をキャップ位置、印字位置、ワイプ位置に移動させるヘッド昇降モータ(図示せず)、各印字ヘッド21〜24のインク吐出面に付着した埃や残滴を払拭するワイパーブレード、各印字ヘッド21〜24を密閉するためのキャッピング機構等を備えている。印字ヘッドユニット20は板状のエンジンベース28に固定されており、このエンジンベース28と共に上下動(昇降)する。 【0043】 搬送ユニット40は、記録媒体が印字ヘッドユニット20の下方を通過するように搬送ベルト42を備えている。搬送ベルト42は、従動ローラ44、45、46とエンコーダローラ47、駆動ローラ48とに掛け渡されている。搬送ベルト42にはテンショナ49によって張力が与えられている。また、この搬送ベルト42は、駆動モータ50よって周回運動するタイミングベルト53が駆動ローラ48を回転させることによって、記録媒体搬送方向(矢印A方向)に周回運動するように構成されている。記録媒体の搬送速度は、エンコーダローラ47又は、印刷装置10に画像情報などを送る情報処理装置12に入力された値から得られる。この値に基づいて駆動モータ50が、所定の搬送速度になるように駆動する(回転する)。 【0044】 印字ヘッドユニット20が固定されたエンジンベース28は長方形状のものであり、その四隅はナット52に固定されている。これらナット52はねじ軸54に嵌め込まれており、ねじ軸54が回転することによりナット52は上下動する。4本のねじ軸54(図1では2本のみを示す)の下部にはスプロケット56が固定されており、これら4つのスプロケット56にはチェーン58が掛け渡されている。このチェーン58を駆動モータ(図示せず)で回転させることによってねじ軸54が同期して回転し、エンジンベース28と共に印字ヘッドユニット20が上下動する。 【0045】 印刷装置10の印字ヘッド21、22、23、24、前処理液塗布器30、及び搬送ユニット40には、図2に示すように、これらに印刷データ、動作開始、終了コマンド等を送信する情報処理装置(パソコン)12がUSBケーブル14によって接続されており、印刷データ、動作開始、終了コマンド等が印字ヘッド21、22、23、24等に転送される。また、情報処理装置12と搬送ユニット40は記録媒体Pの頭出しや、搬送速度と印刷を同期させるための信号を、USBケーブル14を介して授受する。 【0046】 前処理液塗布器30は、搬送方向に直交する紙幅方向(図2の矢印B方向であり、図1の紙面に垂直な方向)に延びている。前処理液塗布器30からは前処理液が吐出されて記録媒体Pの表面に塗布される(記録媒体Pに対して前処理液を付与する)。前処理液塗布器30によって記録媒体Pの表面には一様に前処理液が塗布される。このように一様に前処理液が塗布された記録媒体Pにインクが吐出されて画像が形成され、高画質の画像が得られる。なお、前処理液塗布器を2つ以上配置してもよい。2つ以上の前処理液塗布器を配置する場合は、これらを搬送方向に並べて配置する。また、前処理液塗布器30は、前処理液が貯められた前処理液タンク33に接続されている。前処理液塗布器30は滴状の前処理液を記録媒体に吐出して塗布する、インクジェット方式のものである。従って、塗布量の調整や塗布部分を画像形成領域(印刷部)だけに限定できる。 【0047】 また、前処理液塗布器30が記録媒体Pに前処理液を塗布した部分の紙幅方向(矢印B方向)の長さは、印字ヘッド21、22、23、24が記録媒体Pにインクを吐出した部分の紙幅方向の長さよりも長い。このため、印字ヘッド21、22、23、24から吐出されたインク滴は全て、記録媒体Pのうち前処理液が塗布された部分に着弾するので、良好な画像が形成されることとなる。さらに、インクジェット方式の前処理液塗布器30の解像度は、印字ヘッド21、22、23、24の解像度と同一である。しかし、これらを異なる解像度にしてもよい。なお、前処理液塗布器30は、前処理液塗布器制御回路32(図3参照)によって制御されている。 【0048】 また、印字ヘッド21、22、23、24はそれぞれ、インクタンク21a、22a、23a、24aにチューブ21b、22b、23b、24bを介して接続されており、各印字ヘッド21、22、23、24にはそれぞれインクタンク21a、22a、23a、24aからインクが供給される。なお、各印字ヘッド21、22、23、24は、画像形成動作時ではないときは、キャッピング機構(図示せず)によってキャップされており、これにより、インクを吐出するノズル(インク吐出口)の乾燥、目詰まり等が防止される。また、記録媒体Pが搬送されるメディアステージ(図示せず)の下部には、厚紙等の記録媒体Pを真空ポンプ等で搬送ベルト42に吸着する吸着機構(図示せず)を備える場合もある。 【0049】 図3を参照して、印刷装置10の制御系を説明する。 【0050】 図3は、印刷装置の制御系を示すブロック図である。図3では、図1と図2に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。 【0051】 情報処理装置12からUSBケーブル14を経由して印刷データ(記録データ)などがインタフェースコントローラ62に送信される。インタフェースコントローラ62で受信された印刷データ等はCPU64に送信される。CPU64では受信した印刷データ等を解析して、記録データの各色成分のイメージデータをビットマップ展開する描画指示をVRAM66に送る。この描画指示によってメモリコントローラ68では、インタフェースコントローラ62からのイメージデータをVRAM66に高速で書き込む。この書き込みと同時に、前処理液塗布器制御回路32では、印刷データの各色成分のイメージデータに応じて、前処理液塗布器30による前処理液の塗布範囲と塗布量の読み込みを行う。 【0052】 搬送ユニット40からは、記録媒体Pの頭出し信号と記録媒体Pの移動に同期した位置パルス信号が同期化回路70に送信される。同期化回路70では、受信した頭出し信号と位置パルス信号をシステムクロック(図示せず)によって同期化する。位置パルスに同期してVRAM66のデータがメモリコントローラ68によって高速で読み出され、この読み出されたデータは前処理液塗布器制御回路32を経由して前処理液塗布器30に転送される。前処理液塗布器30では、転送されてきたデータに基づいて前処理液を記録媒体Pに吐出する。すなわち、前処理液塗布器30は前処理液塗布器制御回路32に制御されて前処理液を吐出する。 【0053】 前処理液塗布器30は印字ヘッド21〜24と同じ構造のものであり、前処理液塗布器30には、それぞれが前処理液を吐出する複数のノズルが形成されている。複数のノズルにはそれぞれ、前処理液塗布器制御回路32によって制御される(オンオフされる)発熱体(図示せず)が配置(形成)されており、この発熱体を発熱させることによりノズルから前処理液が吐出される。前処理液塗布器制御回路32は、複数のノズルそれぞれの発熱体を独立して制御できる。即ち、前処理液塗布器制御回路32は、複数のノズルのうち適宜のノズルだけから(選択したノズルだけから)前処理液を吐出させるように前処理液塗布器35を制御できる。このように制御することにより、前処理液塗布器35から吐出される前処理液の量が制御される。 【0054】 また、メモリコントローラ68によって読み出されたデータは、印字ヘッド制御回路72を経由して印字ヘッド21〜24に転送される。印字ヘッド21〜24では、この転送されてきたデータに基づいて記録媒体Pにインクを吐出する。これにより、記録媒体Pに画像が形成される。なお、CPU64の動作は上記の位置パルス信号に同期して、プログラムROM74に記憶された処理プログラムに基づいて実行される。この処理プログラムは、例えば図7のフローチャートに示された手順に対応するプログラムである。CPU64は作業用のメモリとしてワークRAM76を使用する。 【0055】 上記したように前処理液塗布器30は前処理液塗布器制御回路32に制御されて前処理液を吐出する。この前処理液塗布器30は、搬送方向(図1と図2の矢印A方向)に搬送中の記録媒体Pの搬送速度に基づいて搬送方向(矢印A方向)又はその反対方向に移動する。この移動は、ステッピングモータ98(図5参照)を駆動させることにより行われる。ステッピングモータ98は、ステッピングモータ制御回路34によって制御されている。ステッピングモータ制御回路34には、メモリコントローラ68によって読み出されたデータ(ここでは、記録媒体Pの搬送速度を担持するデータ)が送信される。この送信された搬送速度データに基づいて、ステッピングモータ制御回路34はステッピングモータ98を制御し、この制御によって、前処理液塗布器30は、後述するように、記録媒体Pの搬送方向(図1の矢印A方向)又はその反対方向に移動する。 【0056】 ステッピングモータ制御回路34は、記録媒体Pのうち前処理液塗布器30によって前処理液を塗布された部分に印字ヘッド21〜24からインクが吐出されるまでにこの部分の前処理液の全てが記録媒体Pに浸透する位置に前処理液塗布器30が移動するように、ステッピングモータ98を制御する。具体的には、記録媒体Pの搬送速度が速いときは、前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離が長くなるように前処理液塗布器30が移動する(前処理液塗布器30を印字ヘッド21から離す)ようにステッピングモータ98を制御する。一方、この搬送速度が遅いときは、前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離が短くなるように前処理液塗布器30が移動する(前処理液塗布器30を印字ヘッド21に近づける)ようにステッピングモータ98を制御する。 【0057】 このように記録媒体Pの搬送速度に基づいて、ステッピングモータ制御回路34がステッピングモータ98を制御して前処理液塗布器30を矢印A方向(図2参照)又はその反対方向に移動させることにより、記録媒体Pのうち前処理液を塗布された部分に印字ヘッド21〜24からインクが吐出されるまでに、前処理液が記録媒体Pに完全に浸透する。なお、搬送方向(図1と図2の矢印A方向)に搬送中の記録媒体Pの搬送速度に基づいて、印字ヘッドユニット20(即ち、印字ヘッド21、22、23、24)を矢印A方向又はその反対方向に移動させるように構成してもよい。この場合、前処理液塗布器30は上記のように移動できるように構成してもよいし、移動できないように固定してもよい。上記の移動させる構成については後述する。なお、ステッピングモータ制御回路34とステッピングモータ98は、本発明にいう距離変更手段を構成する構成要素であり、他の構成要素については後述する。 【0058】 ここで、前処理液塗布器30から吐出された前処理液が記録媒体Pに完全には浸透していない部分に印字ヘッド21〜24からインクを吐出してメダマ現象が発生する場合について図4を参照して説明する。 【0059】 図4は、記録媒体に前処理液が吐出された後にインクが吐出される様子を模式的に示し、(a−1)は、記録媒体に前処理液が完全に浸透した後にインクが吐出される例を模式的に示す断面図であり、(a−2)は、記録媒体にインクを吐出した後の(a−1)の上面図であり、(b−1)は比較例を示すものであり、記録媒体に前処理液が完全に浸透する前にインクが吐出される例を模式的に示す断面図であり、(b−2)は、記録媒体にインクを吐出した後の(b−1)の上面図である。 【0060】 図4の(a−1)と(b−1)では、同じ量(同じ厚さ)の前処理液滴を記録媒体に塗布した(着弾させた)。ここでいう塗布とは、インクジェット方式と同様に複数のノズルから選択的に前処理液滴を吐出する前処理液塗布器30(図1等参照)の全てのノズルから前処理液を記録媒体Pに吐出することをいう。 【0061】 図4(a−1)、(a−2)では、記録媒体Pの搬送速度が適切な場合であり、印字ヘッド21〜24から記録媒体Pにインク滴Iが吐出されるに先立って、(a−1−1)に示すように、前処理液塗布器30(図1等参照)から記録媒体Pに前処理液Sが吐出されて着弾する。記録媒体Pの搬送速度は適切なので、この吐出された前処理液Sは、(a−1−2)に示すように、記録媒体Pにインク滴Iが着弾した時点では、記録媒体Pに完全に浸透している。即ち、記録媒体Pにインク滴Iが着弾する前に、前処理液Sは記録媒体Pに完全に浸透している。この結果、(a−1−3)に示すように、記録媒体Pには、画像が形成されるため理想的なドット形状Dが形成され、(a−2)に示すように、高画質の画像を形成できる。 【0062】 一方、図4(b−1)、(b−2)に示すように記録媒体Pの搬送速度が速い(上記の適切な速度よりも速い)場合も、印字ヘッド21〜24から記録媒体Pにインク滴Iが吐出されるに先立って、(b−1−1)に示すように、前処理液塗布器30(図1等参照)から記録媒体Pに前処理液Sが吐出されて着弾する。記録媒体Pの搬送速度は速いので、この吐出された前処理液Sは、(b−1−2)に示すように、記録媒体Pにインク滴Iが着弾した時点では、記録媒体Pに完全には浸透していない。即ち、記録媒体Pにインク滴Iが着弾する前に、前処理液Sは記録媒体Pに完全には浸透していない。この結果、(b−1−3)に示すように、記録媒体Pには、画像が形成されるための理想的なドット形状Dが形成されずに、(b−2)に示すように、いわゆる「めだま現象」Mが発生する。 【0063】 図4(b―1)に示す場合と同じ搬送速度であっても、前処理液塗布器30(図1等参照)から印字ヘッド21までの距離が長くなるように前処理液塗布器30又は印字ヘッドユニット20を矢印A方向又はその反対方向に移動させて、記録媒体Pに塗布された前処理液が記録媒体Pに完全に浸透する時間を得ることにより「めだま現象」Mの発生を防止できる。これにより記録媒体Pには、画像が形成されるための理想的なドット形状Dが形成されて高画質の画像を形成できる。 【0064】 図5を参照して、前処理液塗布器30(図1等参照)を移動させることにより、この前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離を変更する距離変更手段の具体例を説明する。 【0065】 図5は、本発明にいう距離変更手段の一例を示す斜視図である。図5では、図1と図2に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。 【0066】 距離変更機構80(本発明にいう距離変更手段の一例である)は、前処理液塗布器30を矢印A方向又はその反対方向に移動させて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を変更するものである。距離変更機構80は、前処理液塗布器30を着脱自在に保持する塗布器ホルダ82を矢印A方向又はその反対方向に移動させることにより、前処理液塗布器30を矢印A方向又はその反対方向に移動させる。前処理液塗布器30は、上述したように、紙幅方向(矢印B方向)に延びた直方体状のものであり、塗布器ホルダ82は、前処理液塗布器30よりも紙幅方向に長く延びている。 【0067】 塗布器ホルダ82の長手方向一端部には、回転自在にコロ84が取り付けられている。このコロ84は、横断面がL字状であって矢印A方向に延びるガイドレール86に案内されて矢印A方向に回転しながら移動する。塗布器ホルダ82の長手方向他端部には、矢印A方向に延びる丸棒状のガイドレール88が貫通して、塗布器ホルダ82を矢印A方向に案内するように構成されている。ガイドレール88を挟んでガイドレール86とは反対側には、矢印A方向に延びる無端ベルト90が配置されている。この無端ベルト90には、塗布器ホルダ82の長手方向他端部が固定具96によって固定されている。無端ベルト90は、矢印A方向の上流側と下流側に配置された2つのプーリー92,94に掛け渡されている。これら2つのプーリー92,94の中間には、無端ベルト90を矢印C方向又は矢印D方向に回転させるステッピングモータ98が配置されている。このステッピングモータ98は、上述したように、ステッピングモータ制御回路34(図3参照)に制御されている。 【0068】 塗布器ホルダ82のうち固定具96の近傍部分には、矢印A方向の上流側に向かって突出した板状のフラグ97が固定されている。このフラグ97は、矢印A方向の上流側(塗布器ホルダ82のホームポジション)に配置された周知のフォトインタラプタ99をオン・オフする。このオン・オフによって、塗布器ホルダ82及び前処理液塗布器30がホームポジションに位置するか否かが判定される。フォトインタラプタ99からの信号は信号線99aを経由してステッピングモータ制御回路34に送信され、塗布器ホルダ82及び前処理液塗布器30の位置が判定される。 【0069】 なお、前処理液塗布器30には、前処理液塗布器制御回路32(図3参照)からの信号を伝達する束線(信号線)30aが接続されている。さらに、前処理液塗布器30には、前処理液タンク33(図2参照)から供給される前処理液が通る供給チューブ30bが接続されている。 【0070】 前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を変更するに当たっては、上述したようにメモリコントローラ68によって読み出された搬送速度データに基づいてステッピングモータ制御回路34がステッピングモータ98を駆動する。この駆動によって無端ベルト90が矢印C方向又は矢印D方向に回転し、この回転に伴ってガイドレール86、88に案内されながら塗布器ホルダ82及び前処理液塗布器30が矢印A方向又はその反対方向に所定距離だけ移動する。 【0071】 上記のように普通紙などの記録媒体Pの搬送速度に基づいて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を変更できるので、前処理液を塗布された記録媒体Pの搬送速度が速いときは、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を遠くすることにより、記録媒体Pに塗布された前処理液が完全に浸透する時間を得られて、前処理液が記録媒体Pに完全に浸透した後にこの記録媒体Pに印字ヘッドからインクを吐出できることとなる。また、前処理液を塗布された記録媒体Pの搬送速度が遅いときは、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を近くしても、前処理液が記録媒体Pに完全に浸透した後にこの記録媒体Pに印字ヘッド21〜24からインクを吐出できることとなる。このように記録媒体Pの搬送速度が変更されても記録媒体Pにインクが着弾する前に、この記録媒体Pに前処理液を完全に浸透させることができるので、前処理液が完全に浸透した記録媒体Pに印字ヘッド21〜24からインクを吐出して画像を形成することとなり、前処理液の不完全浸透に起因する「メダマ現象」を防止できる。この結果、前処理液の浸透時間や記録媒体Pの搬送速度に変更があっても画像濃度にムラがなく、滲みが無くて高画質の画像を形成できる。 【0072】 図6を参照して、本発明にいう距離変更手段の他の例を説明する。 【0073】 図6は、本発明にいう距離変更手段の他の例を示す斜視図である。図6でhあ、図1と図2に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。 【0074】 距離変更機構180(本発明にいう距離変更手段の一例である)は、前処理液塗布器30を矢印A方向又はその反対方向に移動させて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を変更するものである。距離変更機構180は、前処理液塗布器30を着脱自在に保持する塗布器ホルダ182を矢印A方向又はその反対方向に移動させることにより、前処理液塗布器30を矢印A方向又はその反対方向に移動させる。前処理液塗布器30は、上述したように、紙幅方向(矢印B方向)に延びた直方体状のものであり、塗布器ホルダ182は、前処理液塗布器30よりも紙幅方向に長く延びている。 【0075】 塗布器ホルダ182の長手方向一端部には、ピニオンギア184が回転自在に取り付けられている。このピニオンギア184は、矢印A方向に延びるラック186に噛み合っている。ピニオンギア184はステッピングモータ198の回転軸に固定されており、このステッピングモータ198の回転に伴って回転する。ステッピングモータ198は、ステッピングモータ制御回路34(図3参照)に制御されている。 【0076】 塗布器ホルダ182の長手方向他端部には、矢印A方向に延びる丸棒状のガイドレール188が貫通して、塗布器ホルダ182を矢印A方向に案内するように構成されている。ガイドレール188を挟んでラック186とは反対側には、矢印A方向に延びるフォトエンコーダ190が配置されている。塗布器ホルダ182に取り付けられた読取センサ192でフォトエンコーダ190を読み取ることにより前処理液塗布器30の位置が判明し、これにより、印字ヘッド21から前処理液塗布器30までの距離が得られる。 【0077】 前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を変更するに当たっては、上述したようにメモリコントローラ68によって読み出された搬送速度データに基づいてステッピングモータ制御回路34がステッピングモータ198を駆動する。この駆動によってピニオンギア184がラック186に噛み合いながら回転し、この回転に伴ってガイドレール188に案内されながら塗布器ホルダ182及び前処理液塗布器30が矢印A方向又はその反対方向に所定距離だけ移動する。 【0078】 上記のように普通紙などの記録媒体Pの搬送速度に基づいて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を変更できるので、前処理液を塗布された記録媒体Pの搬送速度が速いときは、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を遠くすることにより、記録媒体Pに塗布された前処理液が完全に浸透する時間を得られて、前処理液が記録媒体Pに完全に浸透した後にこの記録媒体Pに印字ヘッドからインクを吐出できることとなる。また、前処理液を塗布された記録媒体Pの搬送速度が遅いときは、前処理液塗布器30から印字ヘッド21〜24までの距離を近くしても、前処理液が記録媒体Pに完全に浸透した後にこの記録媒体Pに印字ヘッド21〜24からインクを吐出できることとなる。このように記録媒体Pの搬送速度が変更されても記録媒体Pにインクが着弾する前に、この記録媒体Pに前処理液を完全に浸透させることができるので、前処理液が完全に浸透した記録媒体Pに印字ヘッド21〜24からインクを吐出して画像を形成することとなり、前処理液の不完全浸透に起因する「メダマ現象」を防止できる。この結果、前処理液の浸透時間や記録媒体Pの搬送速度に変更があっても画像濃度にムラがなく、滲みが無くて高画質の画像を形成できる。 【0079】 前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離と記録媒体Pの搬送速度との関係について説明する。 【0080】 記録媒体Pの搬送速度をs(cm/sec)とし、前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離をd(cm)とし、記録媒体に形成される画像の記録密度をA11(dpi)×A12(dpi)とし、印字ヘッド21の一つのノズルから吐出される一つのインク滴の量をA2(ng)とし、印字ヘッド21から吐出されるインクに含有された色材を不溶化又は凝集させる前処理液を塗布する前処理液塗布器30の一つのノズルから吐出される前処理液滴の塗布密度(記録密度に相当する)をB11(dpi)×B12(dpi)とし、前処理液塗布器30の一つのノズルから吐出される一つの前処理液滴の量をB2(ng)としたときに、 【0081】 {d×(A11×A12×A2)}/{s×(B11×B12×B2)}≧1.4(この1.4は一例であり、前処理液の種類によって決まる(異なる))…式(1) を満たすように距離dを変更する。なお、前処理液の一例としては、印字ヘッド21〜24からインクが吐出される記録媒体Pのステキヒトサイズ度が40〜100(sec)のときのブリストウ法における浸透係数が0.1〜3.0(ml/m2・s1/2)である液体組成物が挙げられる。この特性は、用いるインクが、記録媒体に対して難浸透性であることを示している。 【0082】 ここでは、上記のA11(dpi)×A12(dpi)を300(dpi)×300(dpi)とし、A2(ng)を120(ng)として前処理液を100%べた塗布し、且つ、B11(dpi)×B12(dpi)を300(dpi)×300(dpi)とし、B2(ng)を120(ng)としてインクも100%べたで画像形成した。この場合、距離d(cm)の値を10cmから130cmまで変化させて、搬送速度をs(cm/sec)を16,32,64,128(cm/sec)に変化させたときの式(1)の値(概算値)、及びメダマ現象の有無について調べた結果を表1に示す。
【表1】
【0083】 表1中の評価項目の式(1)は、上記の数値を上記の式(1)に代入して得られた値の概算値を表す。評価項目のMは、図4で説明した「めだま現象」の発生の有無を表し、○は「めだま現象」が発生しなかったことを表し、×は「めだま現象」が発生したことを表す。 【0084】 表1に表されるように、搬送速度sが速くなったときは距離dを長くすることにより、「めだま現象」の発生を防止できる。しかし、搬送速度sによっては(例えば128(cm/sec)のとき)、距離dをかなり長くしても(例えば130cm)「めだま現象」が発生することが判明した。 【0085】 さらに、前処理液として、印字ヘッド21〜24からインクが吐出される記録媒体Pのステキヒトサイズ度が40〜100(sec)のときのブリストウ法における浸透係数が5.0(ml/m2・s1/2)である液体組成物の場合を表2に示す。この特性は、用いる処理液が記録媒体に対して良浸透性であることを示している。
【表2】
【0086】 表2中の評価も表1と同様である。項目の式(1)は、上記の数値を上記の式(1)に代入して得られた値の概算値を表す。評価項目のMは、図4で説明した「めだま現象」の発生の有無を表し、○は「めだま現象」が発生しなかったことを表し、×は「めだま現象」が発生したことを表す。 【0087】 表2に示すように、用いる処理液が、記録媒体に対して良浸透性の場合は、メダマ現象が生じない。上記(図4)で述べたように、メダマ現象が発生する理由は、前記処理液が、記録媒体にインク滴が着弾した時点では、記録媒体に完全には浸透していないためである。 【0088】 用いるインクが、記録媒体に対して良浸透性である場合には、前記処理液が浸透するのが極めて早いので、記録媒体にインク滴が着弾する前に、前処理液は記録媒体に完全に浸透している。従って、本件で問題としている範囲では現象は発現しない。 【0089】 表1に示すようなデータを、印刷装置10で使用する前処理液の種類に応じて予め求めておき、これらのデータをCPU64(図3参照)や情報処理装置12(図2等参照)に記憶させて、前処理液の種類や搬送速度sに基づいて距離dを適切な値にするように前処理液塗布器30を移動させる。前処理液塗布器30を移動させずに、図5と図6で説明した機構によって印字ヘッド21〜24を移動させるように構成してもよい。 【0090】 なお、搬送速度sを検出(測定)するに当たっては、搬送速度sを担持する情報を情報処理装置12(図2参照)から印刷装置10(図1参照)に送信してもよいし、周知のエンコーダローラ47(図1参照)を印刷装置10(図1参照)に配置しておき、このエンコーダローラで搬送速度sを検出してもよい。また、距離dを検出(測定)するに当たっては、上記のフォトエンコーダ190と読取センサ192などを使用する。 【0091】 図7を参照して、記録媒体に前処理液を塗布する塗布位置(前処理液塗布器30の位置)からインクを吐出する吐出位置(印字ヘッド21の位置)までの距離(前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離)を変更して画像形成する手順の一例を説明する。 【0092】 図7は、記録媒体に前処理液を塗布する塗布位置からインクを吐出する吐出位置までの距離を変更して画像形成する手順を示すフロー図である。 【0093】 情報処理装置12(図3等参照)に、印刷を実行する信号が入力されることにより、このフローは起動する。情報処理装置12では、記録媒体ごとに定められた搬送速度s(cm/sec)を操作者が入力することによって読み込み(S701)、この搬送速度sや前処理液の種類等に基づいて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離d(cm)を決定する(S702)。決定された距離dを担持するデータは印刷装置10に送信される(S703)。印刷装置10では、距離dを担持するデータを受信して(S704)、このデータに基づいて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離dが、このデータが担持する距離dになるように前処理液塗布器30(図2等参照)を移動する(S705)。この移動の間に、情報処理装置12から印刷装置10に、印刷データ(画像情報)が送信される。印刷装置10では印刷データを受信して(S707)、この印刷データに基づいて、前処理液塗布器30の移動後に印刷を開始する(S708)。印刷が終了したときは、印刷装置10から情報処理装置12に印刷終了を表す信号が送信され(S709)、この信号を情報処理装置12が受信することにより(S710)、印刷装置10及び情報処理装置12では、上記のフローを終了する。 【0094】 上述したように前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離dが、「めだま現象」が発生しない距離に変更された後に、印刷が開始されるので、印刷装置10では、画像濃度にムラがなく、滲みが無くて高画質の画像が形成される。 【0095】 図8を参照して、記録媒体に前処理液を塗布する塗布位置からインクを吐出する吐出位置までの距離を変更して画像形成する手順の他の例を説明する。 【0096】 図8は、記録媒体に前処理液を塗布する塗布位置からインクを吐出する吐出位置までの距離を変更して画像形成する手順の他の例を示すフロー図である。 【0097】 情報処理装置12(図3等参照)に、印刷を実行する信号が入力されることにより、このフローは起動する。情報処理装置12から印刷装置10に印刷データ(画像情報)が送信される(S801)。印刷装置10では印刷データを受信し(S802)、この印刷データに基づいて記録媒体の搬送速度s(cm/sec)を決定する。この決定した搬送速度sは情報処理装置12に送られる(S803)。情報処理装置12では、受信した搬送速度sや前処理液の種類等に基づいて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離d(cm)を決定する(S805)。決定された距離dを担持するデータは印刷装置10に送信される(S806)。 【0098】 印刷装置10では、距離dを担持するデータを受信して(S807)、このデータに基づいて、前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離dが、このデータが担持する距離dになるように前処理液塗布器30(図2等参照)を移動する(S808)。この移動の後に印刷を開始する(S809)。印刷が終了したときは、印刷装置10から情報処理装置12に印刷終了を表す信号が送信され(S810)、この信号を情報処理装置12が受信することにより(S811)、印刷装置10及び情報処理装置12では、上記のフローを終了する。 【0099】 上述したように前処理液塗布器30から印字ヘッド21までの距離dが、「めだま現象」が発生しない距離に変更された後に、印刷が開始されるので、印刷装置10では、画像濃度にムラがなく、滲みが無くて高画質の画像が形成される。 【実施例2】 【0100】 図9を参照して、本発明の画像形成装置の実施例2を説明する。 【0101】 図9は、実施例2の印刷装置を模式的に示す上面図である。 【0102】 実施例2の印刷装置210は、幅の広い記録媒体であっても前処理液を一様に塗布できる前処理液塗布器ユニット230と、記録媒体の画像形成領域(画像の形成される部分)にインクを吐出する印字ヘッドユニット220を備えている。前処理液塗布器ユニット230は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ前処理液塗布器231、232を2組備えている。一組の前処理液塗布器231、232は、図9の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の左側に位置しており、他の組の前処理液塗布器231、232は、一組の前処理液塗布器231、232よりも搬送方向下流側であって、図9の紙面では紙幅方向の右側に位置している。 【0103】 上記の一組の前処理液塗布器231、232に対応する印字ヘッド21、22、23、24が、図9の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の左側に位置しており、一組の前処理液塗布器231、232によって前処理液が塗布された部分に印字ヘッド21、22、23、24からインクが吐出される。同様に、上記の他の組の前処理液塗布器231、232に対応する印字ヘッド21、22、23、24が、図9の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の右側に位置しており、他の組の前処理液塗布器231、232によって前処理液が塗布された部分に印字ヘッド21、22、23、24からインクが吐出される。 【0104】 以上のように2組の前処理液塗布器231、232と、2組の印字ヘッド21、22、23、24を配置することにより、幅の広い記録媒体であっても高画質の画像を形成できる。なお、上記の場合における前処理液塗布器から印字ヘッドまでの距離dとは、複数の前処理液塗布器231、232のうち最も矢印A方向下流側に位置する前処理液塗布器232(図9では、右下の前処理液塗布器232)から、複数の印字ヘッド21〜24のうち最も矢印A方向上流側に位置する印字ヘッド21(図9では、左上の印字ヘッド21)までの距離をいう。 【実施例3】 【0105】 図10を参照して、本発明の実施例3を説明する。 【0106】 図10は、実施例3の印刷装置を模式的に示す上面図である。 【0107】 実施例3の印刷装置310は、幅の広い記録媒体であっても前処理液を一様に塗布できる前処理液塗布器ユニット330と、記録媒体の画像形成領域(画像の形成される部分)にインクを吐出する印字ヘッドユニット320を備えている。前処理液塗布器ユニット330は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ前処理液塗布器331、332を2組備えている。一組の前処理液塗布器331、332は、図10の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の左側に位置しており、他の組の前処理液塗布器331、332は、一組の前処理液塗布器331、332と搬送方向の同じ位置であって、図10の紙面では紙幅方向の右側に位置している。 【0108】 上記の一組の前処理液塗布器331、332に対応する印字ヘッド21、22、23、24が、図10の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の左側に位置しており、一組の前処理液塗布器331、332によって前処理液が塗布された部分に印字ヘッド21、22、23、24からインクが吐出される。同様に、上記の他の組の前処理液塗布器331、332に対応する印字ヘッド21、22、23、24が、図10の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の右側に位置しており、他の組の前処理液塗布器331、332によって前処理液が塗布された部分に印字ヘッド21、22、23、24からインクが吐出される。 【0109】 以上のように2組の前処理液塗布器331、332と、2組の印字ヘッド21、22、23、24を配置することにより、幅の広い記録媒体であっても高画質の画像を形成できる。なお、上記の場合における前処理液塗布器から印字ヘッドまでの距離dとは、複数の前処理液塗布器331、332のうち最も矢印A方向下流側に位置する前処理液塗布器332(図10では、下の前処理液塗布器332)から、複数の印字ヘッド21〜24のうち最も矢印A方向上流側に位置する印字ヘッド21(図10では、上の印字ヘッド21)までの距離をいう。 【実施例4】 【0110】 図11を参照して、本発明の実施例4を説明する。 【0111】 図11は、実施例4の印刷装置を模式的に示す上面図である。 【0112】 実施例4の印刷装置410は、幅の広い記録媒体であっても前処理液を一様に塗布できる前処理液塗布器ユニット430と、記録媒体の画像形成領域(画像の形成される部分)にインクを吐出する印字ヘッドユニット420を備えている。前処理液塗布器ユニット430は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ前処理液塗布器431、432を2組備えている。一組の前処理液塗布器431、432は、図11の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の左側に位置しており、他の組の前処理液塗布器431、432は、一組の前処理液塗布器431、432からは搬送方向のやや下流側にずれた位置であって、図11の紙面では紙幅方向の右側に位置している。 【0113】 上記の一組の前処理液塗布器431、432に対応する印字ヘッド21、22、23、24が、図11の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の左側に位置しており、一組の前処理液塗布器431、432によって前処理液が塗布された部分に印字ヘッド21、22、23、24からインクが吐出される。同様に、上記の他の組の前処理液塗布器431、432に対応する印字ヘッド21、22、23、24が、図11の紙面では紙幅方向(矢印B方向)の右側に位置しており、他の組の前処理液塗布器431、432によって前処理液が塗布された部分に印字ヘッド21、22、23、24からインクが吐出される。 【0114】 以上のように2組の前処理液塗布器431、432と、2組の印字ヘッド21、22、23、24を配置することにより、幅の広い記録媒体であっても高画質の画像を形成できる。なお、本明細書中では、前処理液塗布器から印字ヘッドまでの距離dとは、複数の前処理液塗布器431、432のうち最も矢印A方向下流側に位置する前処理液塗布器432(図11では、右下の前処理液塗布器432)から、複数の印字ヘッド21〜24のうち矢印A方向上流側に位置する印字ヘッド21(図11では、右上の印字ヘッド21)までの距離をいう。この距離dについては、前処理液塗布器が一つの場合も同様である。 【図面の簡単な説明】 【0115】 【図1】本発明の画像形成装置の一例である印刷装置の概略構成を示す側面図である。 【図2】図1の印刷装置を示す斜視図である。 【図3】印刷装置の制御系を示すブロック図である。 【図4】記録媒体に前処理液が吐出された後にインクが吐出される様子を模式的に示し、(a−1)は、記録媒体に前処理液が完全に浸透した後にインクが吐出される例を模式的に示す断面図であり、(a−2)は、記録媒体にインクを吐出した後の(a−1)の上面図であり、(b−1)は比較例を示すものであり、記録媒体に前処理液が完全に浸透する前にインクが吐出される例を模式的に示す断面図であり、(b−2)は、記録媒体にインクを吐出した後の(b−1)の上面図である。 【図5】本発明にいう距離変更手段の一例を示す斜視図である。 【図6】本発明にいう距離変更手段の他の例を示す斜視図である。 【図7】記録媒体に前処理液を塗布する塗布位置からインクを吐出する吐出位置までの距離を変更して画像形成する手順を示すフロー図である。 【図8】記録媒体に前処理液を塗布する塗布位置からインクを吐出する吐出位置までの距離を変更して画像形成する手順の他の例を示すフロー図である。 【図9】実施例2の印刷装置を模式的に示す上面図である。 【図10】実施例3の印刷装置を模式的に示す上面図である。 【図11】実施例4の印刷装置を模式的に示す上面図である。 【符号の説明】 【0116】 10、210,310,410 印刷装置 21,22,23,24 印字ヘッド 30、231,232,331,332,431,432 前処理液塗布器 32 前処理液塗布器制御回路 64 CPU
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| 【出願人】 |
【識別番号】000208743 【氏名又は名称】キヤノンファインテック株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年6月30日(2006.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098349 【弁理士】 【氏名又は名称】一徳 和彦
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| 【公開番号】 |
特開2008−6734(P2008−6734A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−180714(P2006−180714) |
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