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【発明の名称】 記録ヘッド、ヘッドカートリッジ及びこれらのいずれかを用いた記録装置
【発明者】 【氏名】葛西 亮

【氏名】櫻井 將貴

【要約】 【課題】差動入力回路を用いる利点を生かしつつ、入力パッド数を減らすことで、装置の大型化及びコスト上昇を抑制すること。

【構成】差動信号として2つ以上の論理信号を重畳した差動信号を入力する入力パッドを有し、前記差動入力回路は、前記入力パッドを介して入力された差動信号を別々の論理信号に分解する回路を含むことを特徴とする記録ヘッド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の論理信号により複数の記録素子を駆動させる論理回路と、外部より入力される差動信号に基づいて、前記論理回路を駆動するために前記複数の論理信号を生成する差動入力回路とを備えた記録ヘッドであって、
前記差動信号として2つ以上の論理信号を重畳した差動信号を入力する入力パッドを有し、
前記差動入力回路は、前記入力パッドを介して入力された差動信号を別々の論理信号に分解する回路を含むことを特徴とする記録ヘッド。
【請求項2】
前記差動信号は、高周波の論理信号を低周波の論理信号に重畳した差動信号であることを特徴とする請求項1記載の記録ヘッド。
【請求項3】
前記高周波の論理信号がクロック信号であり、前記低周波の論理信号がヒートイネーブル信号であることを特徴とする請求項2記載の記録ヘッド。
【請求項4】
前記高周波の論理信号がデータ信号であり、前記低周波の論理信号がラッチ信号であることを特徴とする請求項2記載の記録ヘッド。
【請求項5】
前記論理回路が、クロック信号と、前記クロック信号に同期して伝送されるデータ信号を入力するシフトレジスタを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項6】
前記差動入力回路は、前記論理回路とは別々の基板上に形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項7】
前記差動入力回路は、前記論理回路とは同一の基板上に形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項8】
インクジェット用の記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項9】
電気熱変換体に通電した電流により発生する熱エネルギーによりインク発泡および吐出を行うサーマルインクジェット記録装置用の記録ヘッドであることを特徴とする請求項8に記載の記録ヘッド。
【請求項10】
複数の論理信号により複数の記録素子を駆動させる論理回路と、外部より入力される差動信号に基づいて、前記論理回路を駆動するために前記複数の論理信号を生成する差動入力回路とを備えた記録ヘッドと、インクを内包したインクタンクとを有するヘッドカートリッジであって、
前記差動信号として2つ以上の論理信号を重畳した差動信号を入力する入力パッドを有し、
前記差動入力回路は、前記入力パッドを介して入力された差動信号を別々の論理信号に分解する回路を含むことを特徴とするヘッドカートリッジ。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の記録ヘッド又は請求項10に記載のヘッドカートリッジを用いて記録を行う記録装置であって、
3つ以上の異なる論理信号を生成する第1の生成手段と、
前記3つ以上の異なる論理信号を用いて、少なくとも2つの異なる論理信号が重畳された差動信号を生成する第2の生成手段と、
第2の生成手段により生成された差動信号を前記記録ヘッドに出力する出力手段とを有することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴を吐出させるインクジェット記録用として好適な記録ヘッド、ヘッドカートリッジ及びこれらのいずれかを用いた記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は記録信号に応じて記録ヘッドの微細な複数のノズルから記録用インクを吐出することによって記録媒体に情報を記録するように構成されている。そして、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能、カラー化が容易、静粛性に富んでいる等の利点がある。
【0003】
図1は、従来の記録ヘッド内の回路構成を示すブロック図および記録装置より記録ヘッドに伝送される信号のタイミングチャート例である。
【0004】
DATA信号101(データ信号:画像データ)はCLK信号102(クロック信号)のエッジに同期してシリアルにシフトレジスタ105に入力される。シフトレジスタ105は入力された各ヒータに対応したデータを一時的に格納する。
【0005】
次にラッチ回路106に入力されるLT信号103(ラッチ信号)がLowになると、シフトレジスタ105に格納しているデータはラッチ回路106に取り込まれる。LT信号103がHighになるとラッチ回路106に取り込まれたデータは保持される。
【0006】
データが保持された状態で駆動回路107にHE信号104(ヒートイネーブル信号)が入力されると、HE信号104がLowとなるタイミング、時間に応じてデータに対応したヒータに電流が流れる。
【0007】
以上のようなデータ転送及び記録ヘッド駆動を繰り返し行うことによって記録が行われる。
【0008】
一方で、今日、インクジェット記録装置は高速化等の高性能化が求められている。そこで、記録速度を高速化するための手段としてノズルからインクを吐出する周期を短くする方法がある。しかし、周期を短くすることによって高周波で多くの信号を伝送することになり、そこから輻射される電磁波の影響などが問題となってくる。
【0009】
また、サーマルインクジェット記録装置においては信号の他にヒータに流す高電流が本体より長いフレキシブルケーブルなどを伝って記録ヘッドへ流れるため、この電流が発するノイズが他信号に干渉し、ヘッドの誤動作を招く恐れがある。そのため、この電流によって誘発されるノイズに対して耐性を確保することは必須である。
【0010】
そこで、これらの問題対策の一つとして差動入力回路が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−166583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1では、差動入力回路へは一つの信号に対して2重に信号を入力している。ここで、差動入力回路へのデータ転送の例として、図2にタイミングチャートを示す。ここでは高周波で転送が必要なCLK信号及びDATA信号についてCLK+とCLK−、DATA+とDATA−の2つずつの信号(ダブルエンド信号)を設けた。
【0012】
ダブルエンド型信号は+/−信号の差分を利用するため、従来のシングルエンド型信号の場合よりも電圧振幅の小さい信号で転送可能である。そのためその電磁輻射はシングルエンド型信号での転送時より小さい。また、これらの信号はフレキシブルケーブルなどを隣接して通るため、電流から発生する電磁ノイズを互いに打ち消しあい、他の信号への干渉を抑制する。
【0013】
以上より、記録速度高速化での課題であった高周波信号伝送時の電磁輻射は、差動データ転送を採用することで抑制が可能となった。
【0014】
また、差動データ転送は外部からのノイズに対し強い耐性を持つ。ダブルエンド型信号は+/−信号の差分を利用するため、外部よりノイズが与えられても、+/−信号に等しいノイズが加われば差分は変化しないため、その影響を無視することができる。
【0015】
これによりヒータにながれる高電流で誘発されるノイズに対する耐性は確保され、ヘッドの誤動作を防ぐことが可能となった。
【0016】
しかし、差動データ転送は従来1つの信号線で転送していた信号を2つの信号線で転送する必要があるため、入力パッド数の増加やこれに伴う配線の増加による装置の大型化、さらに、コスト上昇を招くこととなった。
【0017】
そこで、本発明の目的は上述の点に鑑みて、差動入力回路を用いる利点を生かしつつ、入力パッド数を減らし、入力パッド数の増加やこれに伴う装置の大型化及びコスト上昇を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するための発明は、複数の論理信号により複数の記録素子を駆動させる論理回路と、外部より入力される差動信号に基づいて、前記論理回路を駆動するために前記複数の論理信号を生成する差動入力回路とを備えた記録ヘッドであって、
前記差動信号として2つ以上の論理信号を重畳した差動信号を入力する入力パッドを有し、
前記差動入力回路は、前記入力パッドを介して入力された差動信号を別々の論理信号に分解する回路を含むことを特徴とする記録ヘッドである。
【0019】
また、上記目的を達成するための他の発明は、複数の論理信号により複数の記録素子を駆動させる論理回路と、外部より入力される差動信号に基づいて、前記論理回路を駆動するために前記複数の論理信号を生成する差動入力回路とを備えた記録ヘッドと、インクを内包したインクタンクとを有するヘッドカートリッジであって、
前記差動信号として2つ以上の論理信号を重畳した差動信号を入力する入力パッドを有し、
前記差動入力回路は、前記入力パッドを介して入力された差動信号を別々の論理信号に分解する回路を含むことを特徴とするヘッドカートリッジである。
【0020】
さらに、上記目的を達成するための他の発明は、前記記録ヘッド又は前記ヘッドカートリッジを用いて記録を行う記録装置であって、
3つ以上の異なる論理信号を生成する第1の生成手段と、
前記3つ以上の異なる論理信号を用いて、少なくとも2つの異なる論理信号が重畳された差動信号を生成する第2の生成手段と、
第2の生成手段により生成された差動信号を前記記録ヘッドに出力する出力手段とを有することを特徴とする記録装置である。
【発明の効果】
【0021】
従って本発明によれば、差動入力回路を用いる利点を生かしつつ、入力パッド数を減らすことで、装置の大型化及びコスト上昇を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0023】
なお、以下に説明する実施例では、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた記録装置を例に挙げて説明する。
【0024】
なお、この明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。なお、この明細書において、「記録」を「プリント」という場合もある。
【0025】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0026】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。インクの処理としては、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化させることが挙げられる。なお、この明細書において、「インク」を「液体」と言う場合もある。
【0027】
またさらに、「記録要素」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0028】
なお、説明に用いる「素子基板」とは、シリコン半導体からなる単なる基体を指し示すものではなく、各素子や配線等が設けられた基体を示すものである。
「素子基板上」とは、単にヒータ基板の表面上を指し示すだけでなく、素子基板の表面上、表面近傍の素子基体内部側をも示すものである。また、本発明でいう「作り込み」とは、別体の各素子を単に基体上に配置することを指し示している言葉ではなく、各素子を半導体回路の製造工程等によってヒータ基板上に一体的に形成、製造することを示すものである。
【0029】
<インクジェット記録装置の説明(図3)>
図3は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置1の構成の概要を示す外観斜視図である。
【0030】
図3に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド3を搭載している。記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させる。この往復移動とともに、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
【0031】
記録装置1のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6を装着する。インクカートリッジ6はキャリッジ2に対して着脱自在になっている。
【0032】
図3に示した記録装置1はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
【0033】
さて、キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施例の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用し、熱エネルギーを発生するために電気熱変換体を備える。その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
【0034】
図3に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動する。また、キャリッジ2の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。
【0035】
また、記録装置1には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復移動される。これと同時に、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
【0036】
<インクジェット記録装置の制御構成(図4)>
図4は図3に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0037】
図4に示すように、コントローラ600は、MPU601、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602を有する。また、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603を有する。また、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス605を有する。さらに、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などで構成される。
【0038】
また、図4において、610は画像データの供給源となるコンピュータ等でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
【0039】
さらに、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び回復処理の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチなどから構成される。630はフォトカプラなどの位置センサ631、温度センサ632等から構成されるセンサ群である。
【0040】
さらに、640はキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。また、644は、記録ヘッド3を駆動させる記録ヘッドドライバである。
【0041】
記録装置本体のコントローラ600のASIC603、MPU601及び記録ヘッドドライバ644は、それぞれ単独でまたは複数協同して、2つ以上の論理信号を重畳した差動信号を作成する。そして、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM602の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッド3の差動入力回路に対してこの差動信号を転送する。具体的には、例えば、3つ以上の論理信号をASIC603で作成し、これら論理信号を差動信号となる2つの重畳信号化することを記録ヘッドドライバ644で行い、この差動信号を記録ヘッド3の差動入力回路に転送する。なお、ここで、論理信号とは、例えば、データ信号(DATA)、クロック信号(CLK)、ラッチ信号(LT)及びヒートイネーブル信号(HE)がある。
【0042】
なお、図3に示す構成は、インクカートリッジ6と記録ヘッド3とが分離可能な構成であるが、これらが一体的に形成されて交換可能なヘッドカートリッジを構成しても良い。
【0043】
図5は、インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。図5において、点線KはインクタンクITと記録ヘッドIJHの境界線である。ヘッドカートリッジIJCにはこれがキャリッジ2に搭載されたときには、キャリッジ2側から供給される前記差動信号等の電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられている。そして、この電気信号によって、前述のように記録ヘッドIJHが駆動されてインクが吐出される。
【0044】
なお、図5において、500はインク吐出口列である。
【0045】
次に、具体的な実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0046】
以下に素子基板状に設けられた本実施例で用いる差動入力回路および差動信号について図7例を用いて説明する。差動入力回路は抵抗409,411、MOS405、406、定電流源410、バッファ407,408より成り立つ。入力する信号はシングルエンドパルス信号に低電圧差動信号(ダブルエンドパルス信号)を重畳させたものである。信号401は図6に示した信号Bに信号A+を重畳させた信号であり、信号402は信号Bに信号A−を重畳させた信号である。
【0047】
重畳するダブルエンド型信号の振幅は論理回路の駆動電圧以下であれば特に限定するものではないが、本実施例では重畳元の信号の電位を中心電位とし、Vp−p=200mV程度の信号振幅となるような信号としている。
【0048】
また、重畳元のシングルエンド型信号の振幅は論理回路の駆動電圧の半分程度の電圧であるとする。
【0049】
そして、入力する重畳信号は差動入力電圧範囲を越えない程度の振幅とする。
【0050】
以上の条件を満たした重畳信号401、402を本実施例で用いる差動入力回路(図7)の入力パッドであるIN+およびIN−にそれぞれ入力する。
【0051】
信号はMOS405、406のゲートにそれぞれ入力される。信号401と402の差が正のとき、MOS405がONとなり、MOS406がOFFになる。そしてOUT1にはLowが出力される。逆に信号401と402の差が負となる時はMOS405がOFFになるため、OUT1にはHighが出力される。
【0052】
出力される信号はバッファ407により整形され、信号403のような波形となる。
一方、OUT2から出力される信号は入力パッドIN+とIN−に入力された信号を足したものになるため、それぞれの信号の凸凹は埋め合わされ、その後バッファ408により整形され、信号404のような波形になる。
【0053】
以上のように、図7に示したような差動入力回路を用いることで、差動信号を用いない場合のパッド数3(信号A+用のパッド、信号A−用のパッド、信号B用のパッド)からパッド数2(IN+、IN−)に減らすことができる。
【0054】
図8に本実施例のブロック図を示す。
【0055】
ここでは発明の特徴である信号伝送に関係する部位のみを抽出して簡略化しており、記録装置本体の構成であるコントローラ600と記録ヘッドを構成する素子基板3を示している。
【0056】
記録装置本体のコントローラ600より2つ以上の論理信号を重畳した信号が出力される。
【0057】
論理回路504は、記録素子を構成するヒータアレイおよびその駆動回路、ラッチ回路、シフトレジスタを含み、同一素子基板上に形成されたものである。差動入力回路503は、図7で示した差動入力回路であり、論理回路504とは別の基板上に形成されている。
【0058】
記録ヘッド3への入力信号、INA+、INA−およびINB+、INB−を図9に示す。
【0059】
重畳する(ダブルエンドにする)信号はDATA信号やCLK信号のような高周波数の信号であることが望ましい。これらの信号はダブルエンドにすることにより、コントローラ600と記録ヘッド3間での信号転送における電磁輻射の抑制や耐ノイズ性の向上などの効果をより期待できる。
【0060】
本実施例ではINA+およびINA−はDATA信号をLT信号に重畳した信号であるとする。(3つの論理信号であるDATA+信号とDATA−信号とLT信号を、DATA+信号をLT信号に重畳した重畳信号(INA+)と、DATA−信号をLT信号に重畳した重畳信号(INA−)とにしている。)そして、INB+およびINB−はCLK信号をHE信号に重畳した信号であるとする。(3つの論理信号であるCLK+信号とCLK−信号とLT信号を、CLK+信号をLT信号に重畳した重畳信号(INB+)と、CLK−信号をLT信号に重畳した重畳信号(INB−)とにしている。)
これらの信号は耐ノイズ性に優れた、また電磁輻射が少ない差動データ転送により転送され、ヘッド内に搭載されている差動入力回路503に入力される。そして、それぞれDATA信号、LT信号、CLK信号、HE信号に変換された後、従来の記録素子504の端子に入力され、論理回路であるシフトレジスタ105、ラッチ回路106及び駆動回路107へと接続される。
【0061】
以上のように、本実施例では、DATA+信号、DATA−信号、LT信号、CLK+信号、CLK−信号、LT信号からの6つの入力パッドを、INA+、INA−、INB+、INB−からの4つの入力パッドに減らすことができた。また、本実施例では、論理回路と差動入力回路を別々の基板に備えることで、それぞれの基板の配置の他、コネクタ及び配線等の配置の自由度が広がり、設計の自由度が広がった。
【実施例2】
【0062】
本実施例は、実施例1とは異なり、差動入力回路と論理回路とを同一の基板上に構成備えていることを特徴としている。
【0063】
図10に本発明の実施例2の特徴を表すブロック図を示す。
【0064】
なお、本実施例において、データやそのタイミングチャートは実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0065】
論理回路504は、記録素子を構成するヒータアレイおよびその駆動回路、ラッチ回路、シフトレジスタを含み、さらに、同一の基板502に実施例1と同様の差動入力回路503を構成する。
【0066】
以上のように、本実施例では、DATA+信号、DATA−信号、LT信号、CLK+信号、CLK−信号、LT信号からの6つの入力パッドを、INA+、INA−、INB+、INB−からの4つの入力パッドに減らすことができた。また、本構成を採用することにより、部品点数の削減や、トータルでのプリント基板サイズの縮小など、低コスト化が可能となった。
【0067】
以上の実施例は、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。なお、熱エネルギーを発生する手段としては、例えば電気熱変換体等がある。
【0068】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置装置の形態を取るものであっても良い。さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0069】
以上のように本発明において、記録ヘッドの高速駆動を実現するために必要となる高周波クロック信号や高周波データ信号などの転送を電磁輻射などの影響を抑制しつつ達成することが可能となる。
【0070】
また、これらの高周波信号が比較的長いフレキシブルケーブルなどを通る場合、このケーブルからの電磁輻射が問題となってくるが、伝達信号の電圧振幅を小さくすることによりこの影響を抑制することが可能となる。
【0071】
そして、以上の差動データ転送を2つ以上のロジック信号を重畳させることで、伝送信号数、入力信号数、入力端子数などの増加を抑制しつつ実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来の記録ヘッドの回路図を示すブロック図および記録装置より記録ヘッドに伝送される信号のタイミングチャート
【図2】差動入力回路への入力信号タイミングチャート
【図3】本発明の代表的な実施の形態であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
【図4】記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図5】インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。
【図6】重畳前のダブルエンド型信号Aおよびシングルエンド型信号B
【図7】差動入力回路および重畳入力信号
【図8】差動入力回路と論理回路とを別々の基板上に構成したときの記録装置本体のヘッドコントローラおよび記録ヘッドのブロック図
【図9】記録ヘッドに転送するDATA信号およびCLK信号をダブルエンド型信号にしLT信号およびHE信号に重畳した信号のタイミングチャート
【図10】差動入力回路と論理回路とを同一の基板上に構成したときの記録装置本体のヘッドコントローラおよび記録ヘッドのブロック図
【符号の説明】
【0073】
3 記録ヘッド
101 DATA信号
102 CLK信号
103 LT信号
104 HE信号
105 シフトレジスタ
106 ラッチ回路
107 駆動回路
401,402 重畳信号
403,404 出力信号
405,406 MOS
407,408 バッファ
409,411 抵抗
410 定電流源
502 基板
503 差動入力回路
504 論理回路
600 コントローラ

【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二


【公開番号】 特開2008−6655(P2008−6655A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178585(P2006−178585)