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【発明の名称】 印刷システム、印刷制御方法及びプログラム
【発明者】 【氏名】井原 富士夫

【要約】 【課題】プリンタのスプール領域に一時的に蓄積された文書データに対する不正行為を困難にする。

【構成】交付サーバから交付された住民票などの文書データは、いったんスプール領域26に蓄積され、印刷部28で印刷されるのを待つ。このとき、異常検知部29が紙詰まりや紙切れ、トナー切れなどのように、印刷が中断されるような異常状態を検知すると、制御部24は、スプール領域26に蓄積されている文書データを削除する。これにより、文書データがスプール領域26に滞留して不正を受けるリスクが低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置での印刷に用いられる文書データを上位装置から受信する受信部と、
前記受信部が受信した文書データを少なくとも前記印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積する蓄積部と、
前記印刷装置の処理状態を監視する監視部と、
前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した場合に、前記蓄積部に蓄積されている文書データを削除する削除部と、
を備える印刷システム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷システムであって、
前記削除部が前記蓄積部内の文書データを削除した場合において、前記印刷装置が異常状態から復旧した場合に、削除された文書データを前記上位装置から再取得する再取得部、
を更に備える印刷システム。
【請求項3】
請求項1記載の印刷システムであって、
前記文書データには、保護対象であるか否かの判断材料となる付随情報が付されており、
前記削除部は、前記蓄積部に蓄積された文書データのうち、前記付随情報により保護対象と判断される文書データを削除する、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1記載の印刷システムであって、
前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した時に、前記印刷装置が印刷中の用紙があった場合、その用紙に対してその印刷に用いられていた文書データとは異なる情報が印刷されるように、前記印刷装置に前記異なる情報を供給する手段、
を更に備える印刷システム。
【請求項5】
印刷装置での印刷に用いられる文書データを上位装置から受信し、
前記受信部が受信した文書データを少なくとも前記印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積し、
前記印刷装置の処理状態を監視し、
前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した場合に、前記蓄積部に蓄積されている文書データを削除する、
印刷制御方法。
【請求項6】
印刷装置での印刷に用いられる文書データを上位装置から受信し、
前記受信部が受信した文書データを少なくとも前記印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積し、
前記印刷装置の処理状態を監視し、
前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した場合に、前記蓄積部に蓄積されている文書データを削除する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷する画像のデータを一時的に蓄積する蓄積装置におけるデータのセキュリティに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術や暗号技術の発展により、電子政府実現のための研究開発が本格化してきている。その中で、各種証明書の交付サービスとは、証明書の交付を希望する申請者が自宅あるいは公民館、郵便局、コンビニエンスストアなどに設置されている端末から、たとえば、住民票などの公的証明書の交付を申請し、それを受理した交付サーバ側で証明書のデータを作成して、申請者の希望する場所、あるいは予め決められた所定の場所にあるプリンタに送って印刷させるものである。
【0003】
この場合に利用されるネットワーク接続されたプリンタは、通常、交付サーバ側からの印刷要求を迅速に受け付けるため、スプール領域といわれる通常ハードディスクなどで構成される装置に交付サーバからの印刷データをバッファとして一時的に保存し、印刷準備が出来たなら印刷要求順に印刷を行うというものである。
【0004】
しかし、上記のような交付サービスを実現するにあたっては、改ざんや漏洩などを防ぐために非常に高いセキュリティ機能の付与が要求される。特に、スプール領域には、印刷直前の印刷イメージデータやページ記述言語などで構成される印刷データが蓄えられており、印刷までの短い期間であっても不正アクセスや盗難などに対しての高いセキュリティを確保する必要がある。実際に、韓国では、交付サーバから送信されたTOEIC試験の成績証明書の印刷をわざとジャム(紙詰まり)を発生させることで遅らせ、その間に印刷前のデータが存在するスプール領域に不正アクセスして印刷データを改ざんしてから出力させるという事件が発生している。
【0005】
このような点にかんがみて発明された技術としては、特許文献1に示される技術がある。この技術では、予め設定している異常発生の予測条件に合致した場合に、受信した印刷データの暗号化をしたり、印刷処理の終了した印刷データをスプール領域から削除したりする。
【0006】
また、目的はスプール領域への不正アクセスを禁止するものではないが、特許文献2は、印刷データの受信から所定時間経過したスプールデータを削除する方法を開示している。
【0007】
また、特許文献3に示される技術では、機密データ印刷中にジャムが発生した場合にドア部をロックすることでドア部を開ける鍵を持つ管理者しか詰まった紙を取り出せないようにすることで、紙詰まり除去時に機密データが一般ユーザに漏れることを回避している。
【0008】
【特許文献1】特開2004−336672号公報
【特許文献2】特開2002−259083号公報
【特許文献3】特開2003−335017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の技術では、たとえば用紙トレイが開けられた場合にスプールデータを暗号化するので、暗号化しない場合よりはセキュリティが高いが、暗号化された印刷データが不正に盗まれてもわからないため、複数の暗号化データを収集することで暗号化方式、暗号鍵が特定される危険をはらんでいる。
【0010】
特許文献2に記載の技術は、スプールの容量不足解消を目的としており、正常動作中であってもスプール内への滞在時間が所定時間を経過したものに関しては削除するというものである。この技術は、用紙トレイが開けられるなどの異常事態発生時にスプールデータを削除するものではない。
【0011】
特許文献3に記載の技術は、詰まった紙からの機密漏洩に対するものであり、スプールデータに対する不正アクセスに関するものではない。
【0012】
本発明は、上位装置から受信され、印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積部に蓄積されている文書データに対し、不正が行われる可能性を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の1つの側面では、印刷装置での印刷に用いられる文書データを上位装置から受信する受信部と、前記受信部が受信した文書データを少なくとも前記印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積する蓄積部と、前記印刷装置の処理状態を監視する監視部と、前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した場合に、前記蓄積部に蓄積されている文書データを削除する削除部と、を備える印刷システムを提供する。
【0014】
(2)1つの態様の印刷システムは、上記構成(1)において、前記削除部が前記蓄積部内の文書データを削除した場合において、前記印刷装置が異常状態から復旧した場合に、削除された文書データを前記上位装置から再取得する再取得部、を更に備える。
【0015】
(3)別の態様では、上記構成(1)において、前記文書データには、保護対象であるか否かの判断材料となる付随情報が付されており、前記削除部は、前記蓄積部に蓄積された文書データのうち、前記付随情報により保護対象と判断される文書データを削除する。
【0016】
(4)別の態様の印刷システムは、上記構成(1)において、前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した時に、前記印刷装置が印刷途中の用紙があった場合、その用紙に対してその印刷に用いられていた文書データとは異なる情報が印刷されるように、前記印刷装置に前記異なる情報を供給する手段、を更に備える。
【0017】
(5)本発明の別の側面では、印刷装置での印刷に用いられる文書データを上位装置から受信し、前記受信部が受信した文書データを少なくとも前記印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積し、前記印刷装置の処理状態を監視し、前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した場合に、前記蓄積部に蓄積されている文書データを削除する印刷制御方法、を提供する。
【0018】
(6)本発明の別の側面では、印刷装置での印刷に用いられる文書データを上位装置から受信し、前記受信部が受信した文書データを少なくとも前記印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積し、前記印刷装置の処理状態を監視し、前記印刷装置が異常状態となったことを前記監視部が検知した場合に、前記蓄積部に蓄積されている文書データを削除する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、を提供する。
【発明の効果】
【0019】
上記構成(1)、(5)及び(6)によれば、上位装置から受信され、印刷装置での印刷に用いられるまで蓄積部に蓄積されている文書データに対し、不正が行われる可能性が、本構成を有しない場合と比較して、低減される。
【0020】
上記構成(2)によれば、更に、蓄積部から削除された文書データをユーザが再取得する手間を軽減することができる。
【0021】
上記構成(3)によれば、更に、保護対象である文書データのみを蓄積部から削除することができる。
【0022】
上記構成(4)によれば、更に、印刷途中の用紙が排出された場合に、その用紙が正当な文書を示したものでないことが目視で確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施形態の方式が適用可能なシステムの一例を、図1を参照して説明する。図1のシステムは、インターネットやLAN(ローカルエリアネットワーク)等のデータ通信ネットワーク、又は通信ケーブルなどを介して相互に接続された申請端末11と交付サーバ12とそのデータベース13とプリンタ14とを含んでいる。このシステムは、住民票などの公的な文書を役所に出向かずにユーザが取得できるようにするシステムである。
【0024】
申請端末11は、例えば、申請者が住民票などの交付を申請するための端末である。申請端末11は、例えばパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であり、公的な文書の交付申請用のソフトウェアがインストールされている。申請端末11は、例えば、公民館、郵便局、コンビニエンスストアなどといった公共の場所に設置される。また、個々のユーザのパーソナルコンピュータに交付申請用のソフトウェアをインストールしたものも、申請用端末11として機能する。公的文書の交付サービスを希望する申請者はこの申請端末11を用いて交付サーバ12に対して申請を行う。
【0025】
申請作業では、申請者は、申請端末11に対し、例えば、申請者を特定するユーザIDとパスワードなどの本人を特定するユーザ情報を入力するとともに、交付を希望する文書の種類(たとえば住民票など)やその部数などを入力する。ユーザ情報は、申請端末11に付属するキーボード又はタッチパネルなどの入力装置から申請者が手作業で入力してもよいし、申請者が携帯するICカードその他のトークンを申請端末11に付属する読取装置で読み取ることにより入力してもよい。これら入力された情報が、申請情報として交付サーバ12に送られる。
【0026】
交付サーバ12は、申請端末11からの申請情報に基づき、文書の交付処理を行う。例えば交付サーバ12は、申請された交付文書、たとえば住民票など、の電子文書(文書データ)を作成し、さらにその電子文書に対応する一意な交付受付番号を生成する。そして、交付サーバ12は、申請された電子文書とこれに対応する交付受付番号を、申請者を識別するユーザIDと対応づけてデータベース13に格納する。なお、この時作成する交付受付番号は交付する電子文書の機密レベルの情報を含んでいてもよい。交付サーバ12が交付する文書は、必ずしも機密性を要求されるものとは限らないので、交付受付番号としては、例えば機密性が要求される文書(言い換えれば、プリンタ14のスプール領域に一時的に蓄積された文書データを保護する必要がある文書)とそうでない文書とで、区別できるような番号を用いてもよい。例えば、図3に示す例では、機密性のある文書の交付受付番号は先頭の文字が“s”、そうでない文書の交付受付番号は先頭の文字が“n”となっている。ただし、このような区別の仕方はあくまで一例にすぎず、機密性の有無が区別できるような番号付与方式ならどのようなものを用いてもよい。生成された交付受付番号は、申請元である申請端末11に返信される。申請者はこの交付受付番号を記憶したり、ICカードその他のトークンに保存したりすることで、後で利用できるようにする。
【0027】
なお、機密性が要求される文書データか否かは、交付受付番号で識別する代わりに、文書データ自身に機密性の有無を示す情報を含めておき、その情報に基づき識別してもよい。
【0028】
プリンタ14は交付文書を印刷するためのものであり、申請端末11同様に公民館、郵便局、コンビニエンスストアなどのような公共的な施設や、申請者の自宅などに置かれる。プリンタ14は、申請者からの印刷要求を受け付けるためのUI(ユーザインタフェース)機能を備えている。プリンタ14は、そのようなUI機能と印刷機能とを兼ね備えた単体の装置であってもよいし、用紙への印刷を担当する印刷装置とその印刷装置を制御するパーソナルコンピュータ等のコンピュータとをネットワーク又はケーブルを介して接続して構成したシステムであってもよい。申請者の自宅に置かれるプリンタ14は、後者の構成となるケースが多い。また、プリンタ14が申請端末11の機能を兼ね備えていてもよい。
【0029】
次にこのプリンタ14の機能構成について、図2を用いて詳述する。入出力部21は、申請者に対するUI機能を司る機能モジュールである。UI機能は、例えばキーボード等の入力装置とディスプレイなどの表示装置との組合せにより実現することができる。また、タッチパネルのように、入力機能と表示機能を併せ持つものでもよい。また、UI機能は、申請者のユーザ情報又は交付受付番号又はその両方を記憶したICカード等のトークンを読み取る読取装置により実現してもよい。通信部22は、LANやインターネットなどのネットワークを通して、交付サーバ12や他のコンピュータとの通信を行う機能を提供する。記憶部23は、プリンタ14の制御部24が利用する作業用のメモリであり、例えば半導体のRAM(ランダムアクセスメモリ)を用いて実現することができる。記憶部23は、ネットワークを介して交付サーバ12又は他のコンピュータから受信したデータを一時的に記憶したり、このプリンタ14の動作プログラムがロードされたり、各種計算のための一時的な作業エリアとして使われたりする。暗号復号部25は、ネットワークを通して送られてきた印刷対象の文書データが暗号化されている場合に、それを復号する。
【0030】
スプール領域26は、ネットワークを介して送信されてきた文書データを少なくとも印刷するまでの間一時的に記憶しておくためのバッファ記憶領域である。スプール領域26は、例えばハードディスクドライブなどの不揮発性メモリを用いて構成することができる。
【0031】
プリンタ14が、パーソナルコンピュータとこれに接続された印刷装置とから構成されるシステムである場合、印刷装置は例えば印刷部28(及び異常検知部29のうちのセンサ群)の機能を担い、その他の機能(例えば入手力部21やスプール領域26)はパーソナルコンピュータ又はその付属装置が担う。
【0032】
印刷情報管理部27は、印刷処理の実行を管理する機能モジュールである。印刷情報管理部27は、依頼された印刷処理をキュー(待ち行列)のデータ構造で管理し、各印刷処理の順番が来る毎に、その印刷処理の対象となる文書の画像を印刷部28に供給して印刷を実行させる。印刷部28は、文書の画像データを受け取り、この画像データを用紙上に印刷する。
【0033】
より詳しくは、例えば、印刷情報管理部27は、ネットワークを介して受け取った文書データをスプール領域26に格納する(受け取った文書データが暗号化されているものである場合、それを復号したものを格納してもよい)。また、印刷情報管理部27は、スプール領域26に格納した文書データに対し一意な印刷データ識別子を割り当て、その印刷データ識別子を、その文書データに対応づけて交付サーバ12から送られてきた交付受付番号と対応づけて、管理テーブルに登録する。この管理テーブルのデータ内容の一例を図3に示す。この管理テーブルが、印刷処理のキューの例である。印刷情報管理部27は、この管理テーブルに登録された各文書データを、順番に印刷部28に渡して印刷させる。そして、文書データの印刷が正常終了した場合、印刷情報管理部27は、その文書データをスプール領域26から削除し、また管理テーブルからその文書データに対応するエントリを削除する。また印刷情報管理部27は、異常検知部29からの異常通知に応じてスプール領域内の印刷データの削除を行う(異常検知に基づくデータ削除については後で詳述する)。
【0034】
画像処理部30は、スプール領域26内の文書データがたとえばページ記述言語などで書かれていた場合には、その描画命令を解釈することで、印刷部28が取り扱い可能な画像データ(例えばラスタ画像データ)を生成する。また、文書データがJPEG(Joint Photographic Experts Group)データのように圧縮符号化データであった場合に、画像処理部30はそれを復号することで、印刷部28が取り扱い可能な画像データを生成する。また、画像処理部30は、生成した画像データに対し、印刷部28の特性に合せた色変換などの画像処理を行う。これにより、用紙に対して印刷可能な印刷ラスタ画像データが生成される。
【0035】
異常検知部29は、印刷部28の状態を監視し、印刷処理が中断されるような特定の異常状態が印刷部28にて発生したことを検知する。そのような異常状態には、例えばジャム(紙詰まり)、紙切れ(必要な用紙が給紙部から無くなること)、給紙部の開閉、インクまたはトナー切れ、などがある。印刷部28には各種の状態を検知するためのセンサが各部に設けられており、異常検知部29は、それらセンサからの信号に基づき、そのような特定の異常状態の有無を検知する。異常検知部29は、そのような異常状態の発生を検知した場合、制御部24に対し異常状態の発生を通知する。
【0036】
なお、プリンタ14のメインスイッチ(電源スイッチ)がオフされてから、プリンタ14各部への電源供給がシャットダウンされるまでに多少の時間があるプリンタにおいては、異常検知部29の検出項目としてプリンタ14のメインスイッチのオフを加えてもよい。また、プリンタ14がパーソナルコンピュータとこれに接続された印刷装置から構成されるシステムである場合、印刷装置の電源がオフされてもパーソナルコンピュータ上のスプール領域26内の文書データは従来は保存されることが一般的なので、印刷装置のメインスイッチのオフあるいは電源遮断を異常検知部29で検出する異常状態の1つに加えてもよい。
【0037】
制御部24は、プリンタ14全体の動作を制御する。制御部24は、入出力部21を通して申請者からの交付依頼を受け付けると、通信部22を介して交付サーバ12に対して交付依頼を行う。また制御部24は、その交付依頼に対して交付サーバ12から文書データが送られてくると、このデータをスプール領域26に格納し、印刷情報管理部27にその文書データを登録する。文書データが暗号化されている場合には、暗号復号部25を用いてその文書データを復号し、復号後の文書データを登録する。また、制御部24は、現在印刷中の文書データがなく、かつ異常検知部29からの異常状態の通知がなければ、スプール領域26中に蓄えられている文書データを先に格納されたものから順番に画像処理部30に送って印刷を開始し、印刷終了後にスプール領域26から印刷データを削除するとともに、交付サーバ12に対して印刷完了フラグとともに交付受付番号を通知する。この時、印刷情報管理部27に管理テーブルの更新も指示する。
【0038】
また制御部24は、異常検知部29から異常状態発生の通知があった場合には、スプール領域26中の文書データを削除する。ここで、交付サーバ12から受け取る印刷対象の文書データが、交付受付番号により機密性が要求されるものか否かを区別できるものである場合には、スプール領域26内の文書データのうち、機密性が要求されるもののみを削除するようにしてもよい。また、このとき制御部24は、交付サーバ12に対して、削除した文書データの交付受付番号を再送フラグとともに送信することで、文書データの再送を依頼してもよい。また、異常検知部29から異常状態発生の通知があった時点で、すでに用紙に対して印刷をしている途中である場合は、制御部24は、スプール領域26から文書データを削除することに加え、現在印刷中の用紙に対する印刷を止めて途中から白紙として出力するか、途中から黒などの所定の色で全面を塗りつぶすなど、印刷中の文書データとは異なる情報を印刷部28に供給して印刷処理を行わせるようにしてもよい。これにより、出力された用紙が公的な文書として有効でないことが目視で検知できるようになる。
【0039】
次に、申請者による交付申請開始から、文書受け取りまでの処理フローを、図4を用いて説明する。
【0040】
まず、申請者は、申請端末11に対しユーザID等のユーザ情報を入力して交付サーバ12からユーザ認証を受け、正当なユーザであると認証されると、交付を希望する文書やその部数などをUI画面から入力して交付サーバ12に交付の申請を行う(S1)。すると交付サーバ12は、申請された文書に対応する文書データ作成すると同時に、それと一意に対応する交付受付番号を作成し、文書データとペアでデータベース13に登録(S2)すると共に、申請者(申請端末11)に対して交付受付番号を返す(S3)。
【0041】
交付受付番号を受け取った申請者は、所定の場所にあるプリンタ14のUIに対してユーザ情報と交付受付番号を入力して印刷依頼を行う(S4)。印刷依頼を受けたプリンタ14は、交付サーバ12に対してユーザ情報と交付受付番号とを含む発行依頼を送信する(S5)。発行依頼を受けた交付サーバ12は、依頼に含まれる交付受付番号に対応する文書データをデータベース13から検索し、その文書データをその交付受付番号と共にプリンタ14に送信する(S6)。
【0042】
交付サーバ12から文書データと交付受付番号を受け取ったプリンタ14は、文書データをスプール領域26に格納するとともに、これに応じて印刷情報管理部27の管理テーブルを更新する(S7:スプーリング)。
【0043】
プリンタ14の異常検知部29は、印刷部28に特定の異常状態が発生しているか否かを監視している(S8)。異常検知部29が印刷部28の異常状態発生を検出していなければ、制御部24は、スプール領域26に溜まっている文書データを受信順に印刷するべく処理を行う(S9)。そして、1つの文書データの印刷が正常に終了すると、制御部24は、交付サーバ12に対して、交付受付番号と正常に印刷処理が完了したことを示す情報と通知し、スプール領域26からその文書データを削除し、印刷情報管理部27の管理テーブルを、例えばその文書データのエントリを削除するなどの方法で更新する(S10)。これにより、申請者は、申請した文書を受領したこととなる(S11)。
【0044】
異常検知部29が特定の異常状態を検出した場合は、制御部24は、スプール領域26に溜まっている文書データを削除(あるいは機密性が要求される文書データのみを選択的に削除)する(S12)。そして、制御部24は、異常検知部29などを介して印刷部28の状態を監視する(S13)。この監視によりステップS8で検出された異常状態が解消され印刷部28が正常動作可能な状態となったことを検知すると、制御部24は、交付サーバ12に対して、ステップS12で削除した文書データの交付受付番号を含んだ再送要求を送る(S14)。
【0045】
再送要求を受け取った交付サーバ12は、再送要求に含まれる再送対象の交付受付番号に対応する文書データをデータベース13から取り出し(S15)、プリンタ14に再送する(S6)。プリンタ14は、再送された文書データを受け取ると、それをスプーリングし(S7)、上述と同様の管理を行う。
【0046】
以上の例では、印刷部28の異常状態に応じてスプール領域26から削除した文書データを、印刷部28が異常状態から復旧した後で、プリンタ14が交付サーバ12から再取得したが(S14)、このような自動的な再取得を行う代わりに、例えばスプール領域26から文書データを削除した場合、その旨をプリンタ14のUIに表示するなどして申請者に通知し、申請者に再度印刷依頼を促すようにしてもよい。
【0047】
以上の例では、電子政府などのように、公的な文書を交付する場合のシステムを例にとったが、上記実施形態のプリンタ14の制御は、公的文書に限らず、スプール領域26内に蓄積された文書データへの不正が問題となるような文書一般の印刷の制御に適用可能である。
【0048】
以上に説明したプリンタ14におけるスプール領域26関連の制御は、典型的には、コンピュータにて上述の各部の機能又は処理内容を記述したプログラムを実行することにより実現される。コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、図5に示すように、CPU(中央演算装置)40、メモリ(一次記憶)42、各種I/O(入出力)インタフェース44等がバス46を介して接続された回路構成を有する。また、そのバス46に対し、例えばI/Oインタフェース44経由で、ハードディスクドライブ48やCDやDVD、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体を読み取るためのディスクドライブ50が接続される。このようなドライブ48又は50は、メモリに対する外部記憶装置として機能する。実施形態の処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク経由で、ハードディスクドライブ48又は他の方式の不揮発性記憶装置などの固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがメモリに読み出されCPUにより実行されることにより、実施形態の処理が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態の方式が適用される文書交付システムの一例を示す図である。
【図2】実施形態のシステムにおけるプリンタの内部構成の一例を示す図である。
【図3】プリンタにおける印刷対象の文書データの管理テーブルの例を示す図である。
【図4】実施形態のシステムにおける処理の流れの例を示す図である。
【図5】コンピュータのハードウエア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
11 申請端末、12 交付サーバ、13 データベース、14 プリンタ、21 入出力部、22 通信部、23 記憶部、24 制御部、25 暗号復号部、26 スプール領域、27 印刷情報管理部、28 印刷部、29 異常検知部、30 画像処理部。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二

【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純


【公開番号】 特開2008−6653(P2008−6653A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178481(P2006−178481)