| 【発明の名称】 |
記録装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 茂
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| 【要約】 |
【課題】フレキシブルフラットケーブルに駆動ICチップを搭載したものにおいて、駆動ICチップの誤動作を防止するとともに、その防止のための回路素子に妨げられることなくフレキシブルフラットケーブルの配置を良好に行い、駆動ICチップとヒートシンクとを確実に密着させて放熱させる。
【構成】フレキシブルフラットケーブル12の同一の面には、駆動ICチップ12cとそれ以外の回路素子80とが実装されている。回路素子80は、駆動ICチップ80より低い高さで実装されるか、あるいは、駆動ICチップ80と接触するヒートシンク60に、回路素子80との接触を避ける凹部60cを設けることにより、回路素子80が、ヒートシンク60と駆動ICチップ12cとの密着を阻害しないようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の記録素子およびその記録素子を選択的に駆動する複数の駆動部を有するアクチュエータを備える記録ヘッドと、 前記アクチュエータの駆動部に一端を電気的に接続され他端を信号源及び電源に接続された配線パターンを有するフレキシブルフラットケーブルと、 前記フレキシブルフラットケーブル上に前記配線パターンと接続されて実装され、前記アクチュエータの駆動部に選択的に駆動電圧信号を供給する駆動ICチップと、 前記駆動ICチップの前記フレキシブルフラットケーブルと実質上平行な面と熱伝導可能に接触するヒートシンクと を備える記録装置において、 前記駆動ICチップと前記電源との間の前記配線パターンに接続され前記電源とともに前記駆動ICチップおよび前記アクチュエータに電流を供給する回路素子が、前記フレキシブルフラットケーブル上に実装され、 その回路素子は、前記フレキシブルフラットケーブルにおける前記駆動ICチップが実装された面と同一面に実装され、前記駆動ICチップよりも低い高さを有していることを特徴とする記録装置。 【請求項2】 複数の記録素子およびその記録素子を選択的に駆動する複数の駆動部を有するアクチュエータを備える記録ヘッドと、 前記アクチュエータの駆動部に一端を電気的に接続され他端を信号源及び電源に接続された配線パターンを有するフレキシブルフラットケーブルと、 前記フレキシブルフラットケーブル上に前記配線パターンと接続されて実装され、前記アクチュエータの駆動部に選択的に駆動電圧信号を供給する駆動ICチップと、 前記駆動ICチップの前記フレキシブルフラットケーブルと実質上平行な面と熱伝導可能に接触するヒートシンクと を備える記録装置において、 前記駆動ICチップと前記電源との間の前記配線パターンに接続され前記電源とともに前記駆動ICチップおよび前記アクチュエータに電流を供給する回路素子が、前記フレキシブルフラットケーブル上に実装され、 その回路素子は、前記フレキシブルフラットケーブルにおける前記駆動ICチップが実装された面と同一面に実装され、前記駆動ICチップよりも高い高さを有しており、 前記ヒートシンクには、前記回路素子に対応して、この回路素子との接触を避ける凹部が設けられていることを特徴とする記録装置。 【請求項3】 前記記録ヘッドを前記記録素子が外部に露出するように保持するヘッドホルダをさらに備え、前記ヒートシンクは、前記ヘッドホルダの1つの壁と間隔を置いて保持され、そのヒートシンクに前記駆動ICチップが熱伝導可能に接触するとともに前記回路素子が対向する状態に、前記壁との間に前記フレキシブルフラットケーブルが挿通されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。 【請求項4】 前記駆動ICチップは、前記信号源から送信された信号を前記複数の記録素子に対応した信号に変換する信号変換回路と、その信号変換回路によって変換された信号にもとづいて前記アクチュエータの駆動に適した駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路とを備え、前記電源は、前記信号変換回路及び駆動電圧信号生成回路に、その回路を動作させるための電流を供給するものであり、 前記回路素子は、前記駆動電圧信号生成回路と前記電源との間の前記配線パターンに接続されて前記フレキシブルフラットケーブル上に実装されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の記録装置。 【請求項5】 前記回路素子は、前記信号変換回路と前記電源との間及び駆動電圧信号生成回路と前記電源との間の前記配線パターンにそれぞれ接続されて前記フレキシブルフラットケーブル上にそれぞれ実装されていることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。 【請求項6】 前記回路素子は、前記電源を供給するための対の配線パターン間に介挿されたコンデンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の記録装置。 【請求項7】 前記アクチュエータは圧電アクチュエータであり、前記回路素子は、その圧電アクチュエータを分極処理する際の加熱、冷却によって発生する電荷を放電するための素子を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の記録装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、駆動ICチップが実装されたフレキシブルフラットケーブルを備える記録装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 記録装置として、例えば、特許文献1には、装置筐体内に、本体側基板を配置するとともに、記録ヘッドを搭載して走査されるキャリッジに、前記本体側基板にフレキシブルフラットケーブルで接続されたヘッド側回路基板(特許文献1のヘッド基板に相当)を配置して、さらに記録へッドと前記ヘッド側回路基板とを別のフレキシブルフラットケーブルで接続し、後者のフレキシブルフラットケーブルに、駆動パルス信号を出力する駆動ICチップ(特許文献1のドライバICに相当)を実装する構造が記載されている。 【特許文献1】特開2004−98465号公報(図6及び図7参照) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 記録ヘッドの記録素子が高密度化すると、記録ヘッドに接続されたフレキシブルフラットケーブルに形成される配線パターンも微細化され、その配線パターンの抵抗が大きくなる。このため、駆動ICチップを記録ヘッドにできるだけ近い位置に置くようにフレキシブルフラットケーブル上に駆動ICチップが実装されている。 【0004】 また、複数の記録素子をほぼ同時駆動したとき、電圧低下が懸念されるため、キャリッジ上のヘッド側回路基板にコンデンサを配置して、電圧を補償するようにしている。しかし、多階調化などのために、記録ヘッドを駆動する駆動パルス信号の種類が多くなるなど制御が多様化すると、駆動ICチップとヘッド側回路基板とを接続する配線パターンも微細化され、配線パターンの抵抗成分やインダクタンス成分により、駆動ICチップが誤動作することがある。 【0005】 また、記録ヘッドのアクチュエータとして圧電式のものを用いた場合、アクチュエータにフレキシブルフラットケーブルを接続した状態で、圧電材料を分極処理することがある。この分極処理の際に圧電材料を加熱、冷却(常温に戻す)すると、圧電材料に電荷が発生し、この電荷が回路を破壊することがある。 【0006】 これら誤動作や破壊防止のためにアクチュエータや駆動ICチップの近傍に回路素子を実装したいという要望がある。 【0007】 一方、駆動ICチップは、記録動作にともない発熱するため、フレキシブルフラットケーブルを、駆動ICチップとヒートシンクとが密着するように引き回ししなければならない。 【0008】 従って、前述した回路素子を、フレキシブルフラットケーブルの駆動ICチップの近傍に配置していると、回路素子とヒートシンクとが接触することによって、駆動ICチップとヒートシンクとの密着が阻害され、駆動ICチップが十分に放熱されない虞が生じる。 【0009】 本発明は、上記課題を解消するものであり、フレキシブルフラットケーブルに駆動ICチップを搭載したものにおいて、駆動ICチップの誤動作を防止するとともに、その防止のための回路素子に妨げられることなくフレキシブルフラットケーブルの配置を良好に行うことができ、駆動ICチップとヒートシンクとを確実に密着させて放熱させることのできる記録装置の実現を目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0010】 前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における記録装置は、複数の記録素子およびその記録素子を選択的に駆動する複数の駆動部を有するアクチュエータを備える記録ヘッドと、前記アクチュエータの駆動部に一端を電気的に接続され他端を信号源及び電源に接続された配線パターンを有するフレキシブルフラットケーブルと、前記フレキシブルフラットケーブル上に前記配線パターンと接続されて実装され、前記アクチュエータの駆動部に選択的に駆動電圧信号を供給する駆動ICチップと、前記駆動ICチップの前記フレキシブルフラットケーブルと実質上平行な面と熱伝導可能に接触するヒートシンクとを備える記録装置において、前記駆動ICチップと前記電源との間の前記配線パターンに接続され前記電源とともに前記駆動ICチップおよび前記アクチュエータに電流を供給する回路素子が、前記フレキシブルフラットケーブル上に実装され、その回路素子は、前記フレキシブルフラットケーブルにおける前記駆動ICチップが実装された面と同一面に実装され、前記駆動ICチップよりも低い高さを有していることを特徴とする。 【0011】 請求項2に記載の発明における記録装置は、複数の記録素子およびその記録素子を選択的に駆動する複数の駆動部を有するアクチュエータを備える記録ヘッドと、前記アクチュエータの駆動部に一端を電気的に接続され他端を信号源及び電源に接続された配線パターンを有するフレキシブルフラットケーブルと、前記フレキシブルフラットケーブル上に前記配線パターンと接続されて実装され、前記アクチュエータの駆動部に選択的に駆動電圧信号を供給する駆動ICチップと、前記駆動ICチップの前記フレキシブルフラットケーブルと実質上平行な面と熱伝導可能に接触するヒートシンクとを備える記録装置において、前記駆動ICチップと前記電源との間の前記配線パターンに接続され前記電源とともに前記駆動ICチップおよび前記アクチュエータに電流を供給する回路素子が、前記フレキシブルフラットケーブル上に実装され、その回路素子は、前記フレキシブルフラットケーブルにおける前記駆動ICチップが実装された面と同一面に実装され、前記駆動ICチップよりも高い高さを有しており、前記ヒートシンクには、前記回路素子に対応して、この回路素子との接触を避ける凹部が設けられていることを特徴とする。 【0012】 請求項3に記載の発明における記録装置は、請求項1または2に記載の記録装置において、前記記録ヘッドを前記記録素子が外部に露出するように保持するヘッドホルダをさらに備え、前記ヒートシンクは、前記ヘッドホルダの1つの壁と間隔を置いて保持され、そのヒートシンクに前記駆動ICチップが熱伝導可能に接触するとともに前記回路素子が対向する状態に、前記壁との間に前記フレキシブルフラットケーブルが挿通されていることを特徴とする。 【0013】 請求項4前記駆動ICチップは、前記信号源から送信された信号を前記複数の記録素子に対応した信号に変換する信号変換回路と、その信号変換回路によって変換された信号にもとづいて前記アクチュエータの駆動に適した駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路とを備え、前記電源は、前記信号変換回路及び駆動電圧信号生成回路に、その回路を動作させるための電流を供給するものであり、前記回路素子は、前記駆動電圧信号生成回路と前記電源との間の前記配線パターンに接続されて前記フレキシブルフラットケーブル上に実装されていることを特徴とする。 【0014】 請求項5に記載の発明における記録装置は、請求項4に記載の記録装置において、前記回路素子は、前記信号変換回路と前記電源との間及び駆動電圧信号生成回路と前記電源との間の前記配線パターンにそれぞれ接続されて前記フレキシブルフラットケーブル上にそれぞれ実装されていることを特徴とする。 【0015】 請求項6に記載の発明における記録装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の記録装置において、前記回路素子は、前記電源を供給するための対の配線パターン間に介挿されたコンデンサであることを特徴とする。 【0016】 請求項7に記載の発明における記録装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の記録装置において、前記アクチュエータは圧電アクチュエータであり、前記回路素子は、その圧電アクチュエータを分極処理する際の加熱、冷却によって発生する電荷を放電するための素子を含むことを特徴とする。 【発明の効果】 【0017】 請求項1に記載の発明によれば、駆動ICチップと電源との間に、電源とともに駆動ICチップおよびアクチュエータに電流を供給する回路素子が、フレキシブルフラットケーブル上に実装されているから、配線パターンの微細化により抵抗増大があっても、駆動ICチップおよびアクチュエータの動作を確保することができる。また、回路素子は、フレキシブルフラットケーブルにおける駆動ICチップが実装された面と同一の面に、駆動ICチップよりも低い高さで実装されるから、ヒートシンクが駆動ICチップと接触するように配置されていても、この駆動ICチップの近傍に実装された回路素子がヒートシンクに接触する虞がなく、その結果、ヒートシンクが駆動ICチップに確実に密着してその熱を放熱することができる。 【0018】 請求項2に記載の発明によれば、上記のように回路素子が実装されることで、駆動ICチップおよびアクチュエータの動作を確保することができる。また、上記ヒートシンクには、駆動ICチップよりも高い回路素子に対応して、この回路素子との接触を避ける凹部が設けられているから、駆動ICチップの近傍に回路素子が実装されていても、ヒートシンクが駆動ICチップと確実に密着してその熱を放熱することができる。 【0019】 請求項3に記載の発明によれば、ヒートシンクとそれを保持するヘッドホルダとの間にフレキシブルフラットケーブルが挿通されて、駆動ICチップとヒートシンクとが熱伝導可能に接触される。その際に、回路素子がその接触を妨げることなく、フレキシブルフラットケーブルが引き回される。 【0020】 請求項4に記載の発明によれば、信号源から送信された信号を複数の記録素子に対応した信号に変換し、その変換した信号にもとづいてアクチュエータの駆動に適した駆動電圧信号を生成する。その際に、回路素子は駆動電圧信号の生成に寄与する。また、請求項5に記載の発明によれば、さらに複数の記録素子に対応した信号の変換において誤動作を防止することができる。請求項6に記載の発明によれば、上記動作をコンデンサによって実現することができる。 【0021】 請求項7に記載の発明によれば、製造工程において圧電アクチュエータを分極処理する際の加熱、冷却によって発生する電荷を、駆動ICチップに影響を与えることなく、安全に放電させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0022】 以下に本発明の基本的な実施形態を説明する。図1は、本発明の記録装置をインクジェット記録装置100に適用した例を示している。実施形態のインクジェット記録装置100は、例えば、単独のプリンタ装置としてだけでなく、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )のプリンタ機能としても適用することができるものである。インクジェット記録装置100は、本体フレーム2の内部に備えられ、被記録媒体である用紙PAにインクを吐出させて記録する記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて、主走査方向(Y方向)に沿って走行するように構成されている。 【0023】 キャリッジ3は、本体フレーム2内に主走査方向(Y方向)に沿って平行状に設けられた後ガイド軸6と前ガイド軸7とに摺動自在に載置されており、本体フレーム2の右後側に配置されたキャリッジ駆動モータ17と、無端帯であるタイミングベルト18とにより、主走査方向(Y方向)へ往復移動するように構成されている。キャリッジ3側へは、本体フレーム2内に静置されたインク供給源(インクタンク)5a〜5dからインク供給管14(14a〜14d)を介してインクが供給される。この実施形態では、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(Bk)の4色のインクが備えられている。 【0024】 用紙PAは、図示しない公知の用紙搬送機構により、主走査方向(Y方向)と直交する副走査方向(X方向)に沿って、記録ヘッド1の下面側を水平状に搬送される(図1の矢印A方向)。この用紙PAに対して、主走査方向(Y方向)に移動する記録ヘッド1の下面に開口するノズル(図示せず)から下向きにインクが吐出されて記録が行われる。なお、説明では、記録ヘッド1のノズルの開口面側を前面もしくは下面、その反対側を背面もしくは上面として記載する。 【0025】 キャリッジ3には、図2に示すように、略箱状のヘッドホルダ8が備えられ、ヘッドホルダ8の底板8aの下面側に下向きに開口形成された凹部8bに、記録ヘッド1がノズルを下向きに露出させて当該底板8aとほぼ平行になるように固着される(図3参照)。 【0026】 ヘッドホルダ8の背面側には、記録ヘッド1及び本体フレーム2内に配置された本体側基板(図示せず)と電気的に接続される電気回路が形成されたヘッド側回路基板22が配置されている。このヘッド側回路基板22は、ヘッドホルダ8の背面側から平面視で、記録ヘッド1と重なる位置に配置されている。 【0027】 記録ヘッド1とヘッド側回路基板22との間であって、ヘッドホルダ8の底板8aの上面側には、キャリッジ3側に供給されたインクを貯留するダンパー装置9が搭載されている。ダンパー装置9の内部は、複数のインク室に区画され、インク室に色毎にインクが貯留される。ダンパー装置9には、インク室中のインクに滞留する気泡を除去するための排気弁手段9bも備えられている。 【0028】 ヘッドホルダ8の底板8aには開口部(図示せず)が貫通形成されており、この開口部の内側では、ダンパー装置9のインク流出口9aと、記録ヘッド1のインク取入口37とが、後述する補強フレーム15の接続穴15bと弾性シール部材9cとを介して接続され、ダンパー装置9から記録ヘッド1にインクが色毎に独立して供給される(図2参照)。 【0029】 ヘッドホルダ8の底板8aには、図2及び図3に示すように、後述するフレキシブルフラットケーブル12の可撓部12bを前面側から背面側に挿通させるスリット孔55と、底板8aの前面側に記録ヘッド1を固着させるための接着剤19を流し込むための貫通孔56も穿設されている。 【0030】 記録ヘッド1は、複数のノズルを下面に開口させ内部にインク流路を有するキャビティ部10と、このキャビティ部10内のインクに選択的に吐出圧力を与えるアクチュエータ11と、このアクチュエータ11に駆動信号を出力するフレキシブルフラットケーブル12とが積層配置される構造のヘッドユニット20を備え、ヘッドユニット20の背面側に熱伝導板13と補強フレーム15とを備え、外周を囲むフロントフレーム16を備えている。 【0031】 キャビティ部10は、特開2001−246744号や、特開2005−313428号公報などで公知のものと同様に、その上面のX方向の一端側に露出する各インク取入口37に個別に供給されたインクが、それぞれマニホールド室を通じて多数の圧力室(いずれも図示せず)に分配される。そして、アクチュエータ11の駆動部が駆動されて選択的に圧力室に吐出圧力が与えられることにより、圧力室に連通したノズルからインクが吐出される。 【0032】 アクチュエータ11は、この実施の形態では特開2005−322850号公報等に開示された公知のものと同様に、扁平な方向と直交する方向に積層された複数のセラミックス層と、セラミックス層間に挟まれた内部電極(図示せず)とを有しており、内部電極に上下を挟まれたセラミックス層の領域に駆動部すなわち活性部が形成されている。アクチュエータ11の上面には、この内部電極のうち圧力室ごとに独立した電極と電気的なスルーホールを介して接続された外部個別電極43と、各圧力室に共通な内部電極と接続された外部共通電極44とが形成され、外部個別電極43に印加された駆動パルス信号により活性部が変位して、多数の圧力室に対して選択的に吐出圧力を与える。外部個別電極43は、フレキシブルフラットケーブル12に形成された端子電極12d(図5参照)と個別に電気的に接続され、外部共通電極44は、フレキシブルフラットケーブル12に形成された共通電位線COMと電気的に接続されている。 【0033】 補強フレーム15は、キャビティ部10を補強するための部材であり、キャビティ部10よりも剛性に優れた素材(例えば、SUSなどの金属板)からなる枠形状で、平面視において外形が、キャビティ部10よりもひと回り大きく形成されている。この補強フレ−ム15は、キャビティ部10の背面に沿って、アクチュエータ11を囲むように積層し、接着固定されることで、薄い扁平形状のキャビティ部10の変形や歪みを防止している。補強フレーム15の枠部15aのうちX方向の一端側にはその表裏面を貫通して、キャビティ部10のインク取入口37と対応する接続穴15bが穿設されている。 【0034】 熱伝導板13は、フレキシブルフラットケーブル12の背面におけるアクチュエータ11と対応する位置に積層される。熱伝導板13は、アクチュエータ11のほぼ全面にわたる大きさを有する平面視長方形の扁平な板材で、アクチュエータ11及びフレキシブルフラットケーブル12よりも熱伝導性に優れ、且つ、フレキシブルフラットケーブル12よりも剛性が高い素材からなっており、例えば、アルミニウム、銅、SUSなどの金属板が適用されている。この熱伝導板13は、フレキシブルフラットケーブル12を介してアクチュエータ11に密着することで、アクチュエータ11の局所的な発熱を分散化して温度分布のバラツキを抑え、且つ放熱する効果を奏する。さらには、ヘッドユニット20全体の剛性を高める効果も奏する。この熱伝導板13は省略する場合もある。 【0035】 フロントフレーム16は、平面視コの字状の扁平な板材で、キャビティ部10を囲むよう配置され、補強フレーム15の前面に固着される(図2及び図3参照)。フロントフレーム16によって、キャビティ部10のノズル面とヘッドホルダ8の周囲との段差を解消し、払拭部材等でノズル面をクリーニングする際の引っ掛かりを防止している。 【0036】 フレキシブルフラットケーブル12は、帯状を呈し、その一端はアクチュエータ11に接合される平坦部12aとなり、平坦部12aに連続する他端側は可撓部12bとなる。平坦部12aでは、フレキシブルフラットケーブル12の上下面(表裏面)のうちアクチュエータ11と対向する側となる下面に、外部個別電極43および外部共通電極44に電気的に接続するための端子電極12dが複数形成されている。 【0037】 可撓部12bでは、フレキシブルフラットケーブル12の上面(端子電極12dが形成された下面とは反対面側)に、アクチュエータ11を駆動するための駆動ICチップ12cと、駆動ICチップ12c以外のコンデンサや抵抗などの回路素子80が実装されている。可撓部12bの先端側は、ヘッド側回路基板22と接続端子12fによって接続されている。 【0038】 フレキシブルフラットケーブル12は、1枚の連続したケーブルによって構成することもできるが、この実施形態では、第1のケーブル121および第2のケーブル122の2本を長手方向に接続端子12eを介して連結する構造としている(図3参照)。第1のケーブル121は、アクチュエータ11と電気的に接続される端子電極12d、共通電位線COM、および駆動ICチップに接続するための配線パターンが絶縁フィルム上に印刷形成されている。第2のケーブル122は、複数の配線パターンを平行に有する汎用のケーブルである。第1のケーブル121における平坦部12aから延長された部分すなわち可撓部12bには、駆動ICチップ12c及び回路素子80が実装され、第2のケーブル122に、ヘッド側回路基板22のコネクタ12fと接続するための接続端子(図示せず)が設けられている。従って、平坦部12aは一方のケーブル121のみに設けられているが、可撓部12bは両方のケーブル121,122で構成されている。 【0039】 ヘッドホルダ8の底板8aには、図2に示すように、フレキシブルフラットケーブル12の可撓部12bを前面側から背面側に挿通させるX方向に長いスリット孔55が穿設されている。スリット孔55に隣接するヘッドホルダ8の底板8aの上面側には、ヒートシンク60が取り付けられている。ヒートシンク60は、底板8aと平行に間隔をおいた底面(接触面60aとする)と、ヘッドホルダ8のY方向に対向する側壁と間隔をおいて平行に立ち上がる側面(案内面60bとする)とが側面視L字状をなすように折り曲げ形成された熱伝導性の良好な金属部材である。 【0040】 フレキシブルフラットケーブル12の可撓部12bは、ヒートシンク60の底面と底板8aとの間に通され、駆動ICチップ12cがヒートシンクの接触面60aに、スポンジ状(ゴム状でもよい)の弾性部材61に押圧されて熱伝導可能に接触され、駆動ICチップ12cの発熱をヒートシンク60によって放熱させるようにしている。接触面60aは、駆動ICチップ12cの発熱を確実に放熱するために、その下にフレキシブルフラットケーブル12を挿通させる長さを有し、フレキシブルフラットケーブル12と平行な駆動ICチップ12cの面の面積よりも大きい面積を有している。 【0041】 フレキシブルフラットケーブル12を構成する2つのケーブルは、ヒートシンク60の案内面60bの下端寄りの位置にて接続され、ヘッドホルダ8の背面側に位置するヘッド側回路基板22に案内される(図2参照)。この引き回しのために、フレキシブルフラットケーブル12の第1のケーブル121はヒートシンク60の底面60a近傍において階段状に2回屈曲する。 【0042】 一つの発明の実施の形態では、図6に示すように、回路素子80は、駆動ICチップ12cのフレキシブルフラットケーブル12からの高さH0よりも低い高さH1に形成されている。換言すれば、駆動ICチップ12cの近傍で、且つ接触面60aに対向する位置に配置する回路素子80には、実装高さH0よりも低い実装高さとなる部品を選んでいる。 【0043】 これにより、駆動ICチップ12cの近傍に回路素子80を配置しても、この回路素子80がヒートシンク60に接触して、接触面60aと駆動ICチップ12cとの密着を阻害する虞がなく、駆動ICチップ12cの熱を確実に放熱してその誤動作を防止することができるのである。加えて、接触面60aは、駆動ICチップ12cと密着するだけの単純な平坦面に形成すればよいので、その加工が容易となり加工コストの削減を図ることできる。 【0044】 また、他の発明の実施の形態は、図7に示すように、ヒートシンク60の接触面60aと対向する位置に配置される回路素子80が、駆動ICチップ12cの実装高さH0よりも高い実装高さH2を有する場合に、接触面60aに、回路素子80との当接を避けるための凹部60cを設けている。 【0045】 これにより、接触面60aと駆動ICチップ12cとの密着を保ちながら、実装高さに制限されずに自由に回路素子80を選択できる。さらに、大型の回路素子80を選択できることで、部品個数を減らすことも可能であり、部品コストの削減を図ることができる。 【0046】 図8は、各実施の形態に適用される電気的回路の一例を示す。記録装置は、本体側基板90とヘッド側回路基板22と駆動ICチップ12cとアクチュエータ11とが互いに接続されている。本体側基板90には制御回路93と制御信号用電源94と駆動パルス用電源95とが搭載され、駆動ICチップ12cは、信号変換回路96と駆動電圧信号生成回路97とから形成されている。 【0047】 制御回路93は、信号変換回路96に所定の記録情報に基づきイネーブル、データ、クロック、ストローブ信号等の制御信号を出力するもので、制御信号配線98を介して信号変換回路96に接続されている。制御信号用電源94は、信号変換回路96に電圧(例えば、5ボルト)を供給するもので、駆動電圧を印加する駆動用VDD1配線と、接地用VSS1配線とを介して信号変換回路96に接続されている。駆動パルス用電源95は、駆動電圧信号生成回路97に電圧(例えば20ボルト)を供給するもので、駆動電圧を印加する駆動用VDD2配線と、接地用VSS2配線とを介して駆動電圧信号生成回路97に接続されている。 【0048】 具体的には、本体側基板90とヘッド側回路基板22との間は、駆動用VDD1,VDD2配線、接地用VSS1,VSS2配線、および制御信号配線98を幅方向に平面状に備えるフレキシブルフラットケーブル99を介して接続されている。第1のケーブル121に実装されている駆動ICチップ12cとヘッド側回路基板22との間は、上記各配線とアクチュエータ11の外部共通電極44に接続される共通電位線COMとを平面状に備える第2のケーブルを介して接続されている。 【0049】 ヘッド側回路基板22上では、駆動用VDD2配線と接地用VSS2配線とに電解コンデンサ109がバイパス接続されており、駆動電圧信号生成回路97に供給する電荷を貯え、駆動電圧信号生成回路97に瞬時の大電流が流れた場合による駆動パルス用電源95の電圧降下の発生を抑制している。また、接地用VSS2配線とアクチュエータ11の外部共通電極44に接続される共通電位線COMとが互いに接続されている。第1のケーブル121上または駆動ICチップ12c内では、接地用VSS2配線と接地用VSS1配線とが、抵抗Rを介して互いに接続されており、駆動電圧信号生成回路97と信号変換回路96とが同電位に保持されている。 【0050】 信号変換回路96は、制御回路93からの制御信号を各ノズルに対応した制御信号に変換するもので、シフトレジスタ106とDフリップフロップ107とゲート回路108とを備えている。これらのシフトレジスタ106等はノズルの数に対応し個数用意されている。制御回路95から制御信号配線98を介して送信される制御信号のうち、データとクロック信号とはシフトレジスタ106に供給され、ストローブ信号はDフリップフロップ107に供給され、イネーブル信号はゲート回路108に供給される。データは、制御回路93からシリアル転送されて、シフトレジスタ106によってノズルの列に対応したパラレル信号に変換され、ストローブ信号にもとづいてDフリップフロップ107から出力される。そして、そのデータに対応したイネーブル(駆動波形信号)がゲート回路108から出力される。 【0051】 駆動電圧信号生成回路97は、ゲート回路108から出力されるイネーブル(駆動波形信号)を、駆動パルス用電源95から供給された電圧にもとづき、アクチュエータ11を駆動するための電圧に変換して駆動パルスとして生成し出力するもので、ノズルの数に対応して150個のドライバ110が用意されている。 【0052】 上述のように構成された記録装置によれば、制御信号用電源94から信号変換回路96へ供給される電圧は、駆動用VDD1配線を介して信号変換回路96に供給され、信号変換回路96を正常に駆動させる。一方、駆動パルス用電源95から駆動電圧信号生成回路97へ供給される電圧は、駆動用VDD2配線を介して駆動電圧信号生成回路97に供給されると共に、途中の電解コンデンサ109に電荷が充電される。インクの吐出時には、この電解コンデンサ109から駆動用VDD2配線を介して駆動電圧信号生成回路97に電流が供給され、アクチュエータ11に十分な電流が供給される。 【0053】 そして、第1のケーブル121上には、駆動ICチップ12cの近傍に配置される回路素子80として、駆動用VDD1配線と接地用VSS1配線の間、及び駆動用VDD2配線と接地用VSS2配線の間に、各々コンデンサ80aがバイパス接続され、また、COM(接地)配線とVSS2配線との間に、抵抗80bが接続されている。 【0054】 駆動電圧信号生成回路97のドライバ回路110内のアクチュエータON,OFF用の各トランジスタが直列に接続されているため、アクチュエータON時に接地用VSS2配線に過渡電流が流れる。仮に、コンデンサ80aが無ければ、フレキシブルフラットケーブル12の配線抵抗やインダクタンスにより、VSS2に比較的高い電圧が発生することになるが、VSS1−VSS2間に抵抗値の低い抵抗Rが接続されているから、VSS2の電圧が上昇すると、VSS1電圧が上昇し、信号変換回路96においてデータなどの制御信号との相対的な電圧関係がくずれ、制御信号が正常に認識されず、誤動作することがあった。しかしながら、コンデンサ80aを駆動ICチップ12cの近傍に実装すると、コンデンサ80aからアクチュエータ駆動時の充電電流が供給されるため、VSS2、VSS1の電圧上昇が小さく抑えられ、制御信号の認識における誤動作を防止することができるのである。 【0055】 一方、製造工程においてアクチュエータ11の圧電材料を分極処理する際に、加熱、冷却すると電荷が発生するが、この電荷が、共通電位線COMと、駆動ICチップ12cまたは制御信号との間でショートすると、大電流により駆動ICチップ12cが破壊されることがある。従って、抵抗80bを駆動ICチップ12cの近傍に実装することで、上記の電荷が抵抗80bを通って放電され、駆動ICチップ12cの破壊を防止することができるのである。 【0056】 このようにコンデンサ80aや抵抗80bは、駆動ICチップ12cの近傍となるフレキシブルフラットケーブル12上に実装することで、その効果が発揮される。 【0057】 なお、図8におけるVDD1,VDD2配線、VSS1,VSS2配線および共通電位線COMは、実際には、第1のケーブル121の上では、アクチュエータ上から引き出される方向と平行な両側縁に沿って対称に形成されるから、図5に示すように、回路素子80もその両側縁に沿った位置に実装されることになる。また、上記各線を第1のケーブル121の上で駆動ICチップ12cよりもアクチュエータ側へ引き回して配線することにより、回路素子80を、駆動ICチップ12cよりもアクチュエータ側、あるいは駆動ICチップ12cの幅W方向の延長上に配置することも可能になる。 【0058】 このように回路素子80であるコンデンサ80aや抵抗80bは、駆動ICチップ12cの近傍となるフレキシブルフラットケーブル12上に実装することで、その効果が発揮される。しかも、図6および図7示す構成にすることで、回路素子80の効果を十分に発揮させながら、駆動ICチップ12cの放熱も確実に行うことができる。 【0059】 なお、上記説明では、フレキシブルフラットケーブル12をヘッドホルダ8のスリット孔55を挿通させて2回階段状に屈曲させる形態を例示したが、この形態に限定するものではなく、フレキシブルフラットケーブル12に実装された駆動ICチップ12cにヒートシンク60を密着させる形態であれば本発明を適用することができる。 【0060】 上記説明では、インクジェット式記録装置に本発明を適用した例を説明したが、複数の記録素子とそれに対応する駆動部を備えるものならば、インパクト式等各種の記録装置に適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0061】 【図1】本実の施形態のインクジェット記録装置の平面図である。 【図2】キャリッジの分解斜視図である。 【図3】キャリッジをY方向に沿って切断した断面図である。 【図4】記録ヘッドの分解斜視図である。 【図5】フレキシブルフラットケーブルの展開図である。 【図6】一つの発明の実施の形態における回路素子とヒートシンク近傍の拡大断面図である。 【図7】他の発明の実施の形態における回路素子とヒートシンク近傍の拡大断面図である。 【図8】電気回路図である。 【符号の説明】 【0062】 1 記録ヘッド 3 キャリッジ 8 ヘッドホルダ 10 キャビティ部 11 アクチュエータ 12 フレキシブルフラットケーブル 12a 平坦部 12b 可撓部 12c 駆動ICチップ 43 外部個別電極 60 ヒートシンク 60a 接触面 60b 案内面 60c 凹部 80 回路素子 100 インクジェット記録装置
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005267 【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年6月28日(2006.6.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079131 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 暁夫
【識別番号】100096747 【弁理士】 【氏名又は名称】東野 正
【識別番号】100099966 【弁理士】 【氏名又は名称】西 博幸
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| 【公開番号】 |
特開2008−6642(P2008−6642A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−178131(P2006−178131) |
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