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【発明の名称】 画像形成装置及び画像形成方法
【発明者】 【氏名】稲葉 守巧

【氏名】高橋 祐一

【氏名】小野寺 和夫

【氏名】笠山 寛史

【氏名】宮本 敦志

【要約】 【課題】複数のインク吐出口列を製造する際の寸法誤差、複数のインク吐出口列を配置する際の配置誤差、及び記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を防止できる画像形成装置を提供する。

【構成】6列のインク吐出口列のうち搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列はラスターライン領域L3に向けてインクを吐出する。同様に第5列目のインク吐出口列はラスターライン領域L5に向けてインクを吐出する。第6列目のインク吐出口列はラスターライン領域L6に向けてインクを吐出する。第4列目のインク吐出口列はラスターライン領域L4に向けてインクを吐出する。第2列目のインク吐出口列はラスターライン領域L2に向けてインクを吐出する。また、最上流側インク吐出口列はラスターライン領域L1に向けてインクを吐出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記搬送方向に沿って配置された前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側インク吐出口列から吐出したインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域に向けては、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側インク吐出口列からはインクを吐出させないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する前記1本のラスターライン領域が隣接する2本のラスターライン領域には、前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるか、又は、この隣接する一列のインク吐出口列を挟んで前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記搬送方向に順に並んだ複数本の前記ラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて奇数番目のインク吐出口列から昇順に吐出されたインクが着弾すると共に、これらのインクが着弾したラスターライン領域に連続するラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて偶数番目のインク吐出口列から降順に吐出されたインクが着弾することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って6列配置された6列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記6列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列は、
前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第5列目のインク吐出口列は、
前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第6列目のインク吐出口列は、
前記第5列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列は、
前記第6列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列は、
前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記最上流側インク吐出口列は、
前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って4列配置された4列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記4列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列は、
前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列は、
前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列は、
前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
前記最上流側のインク吐出口列は、
前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記複数列のインク吐出口列からは、同一色のインクが吐出されるものであることを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数列のインク吐出口列は、一つの印字ヘッドに形成されたものであることを特徴とする請求項1から6までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数列のインク吐出口列それぞれは、互いに異なる印字ヘッドに形成されたものであることを特徴とする請求項1から6までのうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列を前記搬送方向に沿って複数列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
前記搬送方向に沿って配置された前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側インク吐出口列から吐出したインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域に向けては、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側インク吐出口列からはインクを吐出させないことを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する前記1本のラスターライン領域が隣接する2本のラスターライン領域には、前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるか、又は、この隣接する一列のインク吐出口列を挟んで前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるようにしたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
前記搬送方向に順に並んだ複数本の前記ラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて奇数番目のインク吐出口列から昇順に吐出されたインクを着弾させると共に、これらのインクが着弾したラスターライン領域に連続するラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて偶数番目のインク吐出口列から降順に吐出されたインクを着弾させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列を前記搬送方向に沿って6列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記6列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列から、
前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第5列目のインク吐出口列から、前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第6列目のインク吐出口列から、
前記第5列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列から、
前記第6列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列から、
前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記最上流側インク吐出口列から、
前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程とを同時に行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列を前記搬送方向に沿って4列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記4列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列から、
前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列から、
前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列から、
前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
前記最上流側のインク吐出口列から、
前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程とを同時に行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
前記複数列のインク吐出口列からは、同一色のインクを吐出することを特徴とする請求項9から13までのうちのいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項15】
複数列のインク吐出口列を、一つの印字ヘッドに形成しておくことを特徴とする請求項9から14までのうちのいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項16】
前記複数列のインク吐出口列それぞれを、互いに異なる印字ヘッドに形成しておくことを特徴とする請求項9から14までのうちのいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項17】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んで画像の一部を形成する複数個の画像形成素子からなる一列の画像形成素子列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列の画像形成素子列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に、前記複数列の画像形成素子列のうちのいずれか一列の画像形成素子列によって画像の一部を形成することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記搬送方向に沿って配置された前記複数列の画像形成素子列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側画像形成素子列によって画像の一部が形成される1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域には、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側画像形成素子列が画像の一部を形成しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んで画像の一部を形成する複数個の画像形成素子からなる一列の画像形成素子列を前記搬送方向に沿って複数列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に、前記複数列の画像形成素子列のうちのいずれか一列の画像形成素子列によって画像の一部を形成することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
前記搬送方向に沿って配置された前記複数列の画像形成素子列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側画像形成素子列によって画像の一部が形成される1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域には、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側画像形成素子列が画像の一部を形成しないことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出する複数のインク吐出口から記録媒体にインクを吐出して画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印字ヘッド(記録ヘッド)に形成された複数のインク吐出口(ノズルの出口)から記録媒体にインク(インク滴)を吐出して画像を形成する画像形成装置(インクジェットプリンタ)が広く使用されている。インク吐出口からインク滴を吐出させる技術として、駆動パルスに応じた熱エネルギをノズル内のインクに供給して膜沸騰による気泡を形成させ、この気泡によってノズルからインク滴を吐出させる技術が知られている。形成する画像に応じた多数のインク滴がノズルから記録媒体に吐出されることにより記録媒体に画像が形成される。
【0003】
上記の技術を採用したインクジェットプリンタのなかには、画像記録速度(画像形成速度)を向上させるために、インク吐出口が形成されたノズルを複数集積したマルチノズルヘッドを記録媒体の搬送方向に直交させて多数配列させたラインヘッドを有し、記録媒体の搬送に合わせて複数のインク吐出口からインクを同時に吐出させるタイプのもの(ラインプリンタ)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置には、一般に、高画像品位で高解像度の画像を高速で形成することが求められるが、上記のラインプリンタをはじめとするインクジェットプリンタを使用することによりこれらの要求を満足させることができる。また、インクジェットプリンタは、画像形成時(画像記録時)に印字ヘッドと記録媒体とが非接触であるので、非常に安定した画像記録を行うことができるという利点も有している。
【特許文献1】特開2005−238556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなラインプリンタでは、記録媒体の搬送方向に直交する方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が形成された印字ヘッドを使用することが多い。このような印字ヘッドを記録媒体の搬送方向に例えば6個並べて画像を形成する場合について、図15と図16を参照説明する。
【0006】
図15(a)は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6を示す模式図であり、(b)は、黒スジが生じた画像を示す模式図である。図16(a)は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6を示す模式図であり、(b)は、記録媒体の斜行に起因して白スジと段差が生じた画像を示す模式図である。ここでは、記録媒体の搬送方向の上流側から順に6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6が並んでいるとし、この順に印字していると仮定する。また、図15(a)と図16(a)においては、○内の数字は各印字ヘッドのインク吐出口列を表し、図15(b)と図16(b)においては、○内の数字は各印字ヘッドのインク吐出口から吐出されたインク滴で形成された画素を表す。なお、記録媒体P上の二点差線は、後述するラスターライン領域を表す。
【0007】
印字ヘッドK1〜K6による印字がこの順番に一回行われた後は、印字ヘッドK6に続いて印字ヘッドK1による印字が再び行われる。印字ヘッドK6による印字領域から印字ヘッドK1による印字領域までの間では、印字ヘッドK1〜K6の設置間隔分に相当する距離だけ記録媒体が搬送されることとなる。印字ヘッドK1〜K6の印字タイミング(インク吐出タイミング)は記録媒体に印字された画像を確認しながら、調整することが可能であるので、印字ヘッドによる誤差の補正の方法については各種提案がされている。
【0008】
しかし、上記のような印字方法を実施する場合、画像形成速度をさらに速めたときは、記録媒体の搬送精度に起因して、印字ヘッドK1による印字領域と、印字ヘッドK6による印字領域との間にずれが生じることがある。このようなずれが生じた場合は画質が低下することとなる。即ち、画像形成速度をさらに速めるために記録媒体の搬送速度を速めたときは、次に挙げるような要因から、搬送方向に対する画像のずれが顕在化して、例えば印字ヘッドK1から吐出したインク(インク滴)と印字ヘッドK6から吐出したインク(インク滴)の一部が重なることにより、図15(b)に示すように黒すじが生じることがある。(ア)駆動ローラーの円周方向の円心ずれに起因する搬送ベルトの速度変化、(イ)駆動ローラーとベルトのすべりに起因する速度変化、(ウ)記録媒体の浮きに起因する紙送り量の変化、(エ)記録媒体と搬送ベルトのすべりに起因する速度変化。
【0009】
また、次に挙げるような要因から、記録媒体Pが斜行して(図16の二点鎖線で示す矢印A方向(正しい搬送方向は実線で示す矢印A方向)に搬送されて)搬送方向と直角方向においてもズレが生じる。(オ)記録媒体の幅方向の両端における搬送速度の差(特に、搬送速度が一定でない場合)、(カ)搬送ベルトの蛇行、等。このような要因からズレが生じた場合も、本来印字されるべき位置に印字ヘッドは印字しない。即ち、記録媒体の位置が突発的にずれることを要因とする。この場合、図16(b)に示すように、印字ヘッドK1と印字ヘッドK6の境界部分において搬送方向の直角方向に突然に段差Lが生じたり、白すじが生じたりして画質が低下する。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を防止できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の第1の画像形成装置は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
(1)前記搬送方向に沿って配置された前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側インク吐出口列から吐出したインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域に向けては、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側インク吐出口列からはインクを吐出させないことを特徴とするものである。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の第2の画像形成装置は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
(2)前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する前記1本のラスターライン領域が隣接する2本のラスターライン領域には、前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるか、又は、この隣接する一列のインク吐出口列を挟んで前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の第3の画像形成装置は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
(3)前記搬送方向に順に並んだ複数本の前記ラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて奇数番目のインク吐出口列から昇順に吐出されたインクを着弾させると共に、これらのインクが着弾したラスターライン領域に連続するラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて偶数番目のインク吐出口列から降順に吐出されたインクを着弾させることを特徴とするものである。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明の第4の画像形成装置は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って6列配置された6列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記6列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
(4)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列は、前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(5)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第5列目のインク吐出口列は、前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(6)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第6列目のインク吐出口列は、前記第5列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(7)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列は、前記第6列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(8)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列は、前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(9)前記最上流側インク吐出口列は、前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであることを特徴とするものである。
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第5の画像形成装置は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って4列配置された4列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記4列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
(10)前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列は、前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(11)前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列は、前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(12)前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列は、前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであり、
(13)前記最上流側のインク吐出口列は、前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出するものであることを特徴とするものである。
【0016】
ここで、
(14)前記複数列のインク吐出口列からは、同一色のインクが吐出されるものであってもよい。
【0017】
さらに、
(15)複数列のインク吐出口列は、一つの印字ヘッドに形成されたものであってもよい。
【0018】
さらにまた、
(16)前記複数列のインク吐出口列それぞれは、互いに異なる印字ヘッドに形成されたものであってもよい。
【0019】
上記目的を達成するための本発明の第1の画像形成方法は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列を前記搬送方向に沿って複数列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
(17)前記搬送方向に沿って配置された前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側インク吐出口列から吐出したインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域に向けては、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側インク吐出口列からはインクを吐出させないことを特徴とするものである。
【0020】
上記目的を達成するための本発明の第2の画像形成方法は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
(18)前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する前記1本のラスターライン領域が隣接する2本のラスターライン領域には、前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるか、又は、この隣接する一列のインク吐出口列を挟んで前記いずれか一列のインク吐出口列に隣接する一列のインク吐出口列からインクを吐出させるようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
上記目的を達成するための本発明の第3の画像形成方法は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列のインク吐出口列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記複数列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
(19)前記搬送方向に順に並んだ複数本の前記ラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて奇数番目のインク吐出口列から昇順に吐出されたインクを着弾させると共に、これらのインクが着弾したラスターライン領域に連続するラスターライン領域には、前記複数列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて偶数番目のインク吐出口列から降順に吐出されたインクを着弾させることを特徴とするものである。
【0022】
上記目的を達成するための本発明の第4の画像形成方法は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列を前記搬送方向に沿って6列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記6列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
(20)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列から、前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(21)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第5列目のインク吐出口列から、前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(22)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第6列目のインク吐出口列から、前記第5列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(23)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列から、前記第6列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(24)前記6列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列から、前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(25)前記最上流側インク吐出口列から、前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程とを同時に行うことを特徴とするものである。
【0023】
上記目的を達成するための本発明の第5の画像形成方法は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んだ複数個のインク吐出口からなる一列のインク吐出口列を前記搬送方向に沿って4列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に向けて前記4列のインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列からインクを吐出することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
(26)前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列から、前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(27)前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列から、前記第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(28)前記4列のインク吐出口列のうち前記搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列から、前記第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程と、
(29)前記最上流側のインク吐出口列から、前記第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して前記搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域に向けてインクを吐出する工程とを同時に行うことを特徴とするものである。
【0024】
ここで、
(30)前記複数列のインク吐出口列からは、同一色のインクを吐出してもよい。
【0025】
さらに、
(31)複数列のインク吐出口列を、一つの印字ヘッドに形成しておいてもよい。
【0026】
さらに、
(32)前記複数列のインク吐出口列それぞれを、互いに異なる印字ヘッドに形成しておいてもよい。
【0027】
また、上記目的を達成するための本発明の他の画像形成装置は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んで画像の一部を形成する複数個の画像形成素子からなる一列の画像形成素子列が前記搬送方向に沿って複数列配置された複数列の画像形成素子列を備え、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に、前記複数列の画像形成素子列のうちのいずれか一列の画像形成素子列によって画像の一部を形成することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
(33)前記搬送方向に沿って配置された前記複数列の画像形成素子列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側画像形成素子列によって画像の一部が形成される1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域には、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側画像形成素子列が画像の一部を形成しないことを特徴とするものである。
【0028】
また、記目的を達成するための本発明の他の画像形成方法は、記録媒体の搬送方向に交差する交差方向に並んで画像の一部を形成する複数個の画像形成素子からなる一列の画像形成素子列を前記搬送方向に沿って複数列配置しておき、1つの画素が形成される記録媒体上の1つの画素領域が前記交差方向に複数個並んで構成された1本のラスターライン領域に、前記複数列の画像形成素子列のうちのいずれか一列の画像形成素子列によって画像の一部を形成することを繰り返して記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、
(34)前記搬送方向に沿って配置された前記複数列の画像形成素子列のうち前記搬送方向の最上流側に位置する最上流側画像形成素子列によって画像の一部が形成される1本のラスターライン領域に隣接する2本のラスターライン領域には、前記搬送方向の最下流側に位置する最下流側画像形成素子列が画像の一部を形成しないことを特徴とするものである。
【0029】
なお、ここでいう画像形成素子とは、インクジェット方式の画像形成装置の場合は、印字ヘッドに形成された一つのインク吐出口をいい、熱転写方式の画像形成装置の場合は、印字ヘッドに形成された一つの発熱素子をいう。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、最上流側インク吐出口列から吐出されたインクが着弾するラスターライン領域の搬送方向両隣のラスターライン領域には最下流側インク吐出口列からインクが吐出されない。本発明の画像形成装置に製造誤差や記録媒体の搬送誤差などが無い場合は、複数のインク吐出口列から吐出されたインクは設計通りの位置に着弾するので、記録媒体の搬送速度が速くても印字精度(画質)は低下しない。しかし、記録媒体を搬送する際の搬送誤差などが生じている場合があり、このような場合、複数のインク吐出口列から吐出されたインクは設計通りの位置に着弾しないおそれがある(着弾位置にも誤差が生じる)。また、最上流側インク吐出口列と最下流側インク吐出口列は距離的に最も離れており、これら2列のインク吐出口列から吐出されたインクの着弾位置の誤差(ずれ)は、上記の誤差に起因して最大の誤差(ずれ)になる可能性が大きい。しかし、上記のように最上流側インク吐出口列から吐出されたインクが着弾するラスターライン領域の搬送方向両隣のラスターライン領域には最下流側インク吐出口列からインクが吐出されないので、上記の最大の誤差(ずれ)の発生を防止できる。このように最大の誤差(ずれ)の発生を防止できるので、記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を防止できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、複数の印字ヘッドから同一色のインクを吐出するラインプリンタに実現された。
【実施例1】
【0032】
図1と図2を参照して、本発明の画像形成装置の一例であるプリントモジュール(プリントユニット)が組み込まれたラインプリンタの概略構成を説明する。
【0033】
図1は、本発明が適用された画像形成装置の一例であるプリントモジュールが組み込まれたラインプリンタの概略構成を示す正面図である。図2は、図1のラインプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【0034】
ラインプリンタ10には、記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を形成する印字ヘッドK1,K2,K3,K4,K5,K6が搭載された印字ヘッドユニット20と、記録媒体を矢印A方向(記録媒体搬送方向)に搬送する搬送ユニット40とが備えられている。印字ヘッドK1,K2,K3,K4,K5,K6からは全て黒色のインクが吐出される。印字ヘッドユニット20は、各印字ヘッドK1〜K6をキャップ位置、印字位置、ワイプ位置に移動させるヘッドアップダウンモータ118(図5参照)等を備えている。印字ヘッドユニット20は板状のエンジンベース30に固定されており、後述するようにエンジンベース30と共に上下動(昇降)する。
【0035】
印字ヘッドユニット20が固定されているエンジンベース30は長方形状のものであり、その四隅はナット32に固定されている。これらナット32はねじ軸34に嵌め込まれており、ねじ軸34が回転することによりナット32は上下動する。4本のねじ軸34の下部にはスプロケット36が固定されており、これら4つのスプロケット36にはチェーン38が掛け渡されている。このチェーン38を駆動モータ41で回転させることによってねじ軸34が同期して回転し、エンジンベース30と共に印字ヘッドユニット20が上下動する。
【0036】
搬送ユニット40は、印字ヘッドユニット20の下方を、記録媒体を通過させる4本の搬送ベルト42を備えている。搬送ベルト42は、従動ローラ44,45,46とエンコーダローラ47、駆動ローラ48とに掛け渡されており、テンショナ49によって張力が与えられている。この搬送ベルト42は、駆動モータ41よって周回運動するタイミングベルト43が駆動ローラ48を回転させることによって、記録媒体搬送方向(矢印A方向)に周回運動するように構成されている。
【0037】
また、ラインプリンタ10には、印字ヘッドユニット20にインクを供給するインク供給ユニット50が備えられている。インク供給ユニット50の内部には、各印字ヘッドK1〜K6に供給するインクが貯められたサブタンク52a〜52fと、各サブタンク52a〜52fに供給されるインクが貯められたインクタンク53a等(図4参照)が配置されている。サブタンク52aに貯められたインクは印字ヘッドK1に供給され、サブタンク52bに貯められたインクは印字ヘッドK2に供給され、以下、同様である。各インクタンクと各サブタンク52a〜52fとはチューブ56(図4参照)で接続されており、各インクタンク53a等から各サブタンク52a等にインクが供給される。インク供給ユニット50から印字ヘッドユニット20までは、インク供給チューブ60a〜60fとインク回帰チューブ62a〜62fを束ねて構成されたインク流路によって着脱自在に繋がれて(接続されて)いる。インク供給チューブ60a〜60fには、各サブタンク52a〜52fから各印字ヘッドK1〜K6に供給されるインクが通る。インク回帰チューブ62a〜62fには、各印字ヘッドK1〜K6から各サブタンク52a〜52fに回帰される(戻される)インクが通る。なお、印字ヘッドユニット20には、各印字ヘッドK1〜K6からのインク吐出状態を初期の状態に回復させる回復ユニット22(図4参照)が組み込まれている。
【0038】
図3を参照して、印字ヘッドユニット20とインク供給ユニット50の接続について説明する。
【0039】
図3は、印字ヘッドユニットとインク供給ユニットを接続したインク供給チューブとインク回帰チューブを示す斜視図である。
【0040】
印字ヘッドユニット20とインク供給ユニット50をチューブで接続して一体化したものをプリントモジュールという。このプリントモジュールには、図5で説明する制御系が組み込まれている。印字ヘッドユニット20には、記録画像の幅に相当するインク吐出口が並んで形成された印字ヘッドK1〜K6(図1参照)が搭載されている。各印字ヘッドK1〜K6は、それぞれのインク吐出口の列が記録媒体搬送方向(図1の矢印A方向)に直交する向きに順次に並ぶように搭載されている。画像を形成する際は、各印字ヘッドK1〜K6が記録媒体搬送方向上流側(矢印A方向の上流側)からそれぞれ黒色のインクを吐出する。インク供給ユニット50は印字ヘッドユニット20から離れて配置されており、インク供給ユニット50の各サブタンク52a〜52fと印字ヘッドユニット20の各印字ヘッドK1〜K6は、インク供給チューブ60a〜60fとインク回帰チューブ62a〜62fによって接続されている。
【0041】
図4を参照して、印字ヘッドユニット20とインク供給ユニット50のインク流路について説明する。
【0042】
図4は、印字ヘッドユニットとインク供給ユニットのインク流路を示す模式図であり、ここでは、印字ヘッドK1とサブタンク52aを例として挙げるが、他の印字ヘッドK2〜K6でも同様である。
【0043】
黒色のインクが貯められたインクタンク53aはインク吸引チューブ56によってサブタンク52aに接続されており、インク吸引チューブ56の途中部分には、インクタンク53aのインクを吸引してサブタンク52aに送り込む吸引ポンプ58が配置されている。図4に示す状態では、弁81,85を閉じて弁82,83,84を開けて吸引ポンプ58を駆動することによりインクタンク53aのインクが吸引されてサブタンク52aに送り込まれる。なお、インクタンク53aは、印字中にインク切れを起こさないように2セット搭載されており、一方のインクタンク53aのインクが無くなったときは弁83,84,85,86を適宜に切り換えてインク吸引チューブ56を他方のインクタンク53aに接続させる。
【0044】
サブタンク52aの内部は大気連通孔88aに接続されており、弁88を開くことによりサブタンク52aの内部は外気につながって大気圧となる。また、サブタンク52aには、インクの有無及びインク水位を検知するための電極51a,51b,51cを備えたインク水位センサ(液面検知センサ)51が取り付けられている。これらの電極51a,51b,51c間の抵抗の変化に基づいてインクの有無を検知してインク水位が常に一定になるように制御されている。サブタンク52aと印字ヘッドK1は水頭差によって印字ヘッドK1のインク吐出口に最適な負圧を与えるような位置に配置されている。
【0045】
サブタンク52aと印字ヘッドK1は、これらの間でインクを循環できるようにインク供給チューブ60aとインク回帰チューブ62aによって接続されている。サブタンク52aとインク供給チューブ60aはインク供給ポンプ59を介して接続されており、インク供給ポンプ59を駆動させることによりサブタンク52a内のインクが印字ヘッドK1に供給される。印字ヘッドK1の下方には回復ユニット22が位置しており、印字ヘッドK1から押し出されたインクは回復ユニット22に受けられる。回復ユニット22とサブタンク52aはインク回収チューブ57とインク吸引チューブ56の一部によって接続されており、弁82を閉じて弁81を開いて吸引ポンプ58を駆動させることにより回復ユニット22が受けたインクはサブタンク52aに回収される。
【0046】
ラインプリンタ10を新たに設置したときに、各インクタンク53a等から各印字ヘッドK1〜K6にインクを充填するインク初期充填作業について説明する。
【0047】
インクの初期充填作業は、プリンタ10が初期の立上状態と判断されたときに実行される。ラインプリンタ10が初期の立上状態であるときは、サブタンク52a、インク吸引チューブ56、インク供給チューブ60a、インク回帰チューブ62a、印字ヘッドK1にはインクが全く無い。このインク初期充填作業では、サブタンク52a、インク供給チューブ60a、及びインク回帰チューブ62aにインクを充填する作業、又は、サブタンク52aのみにインクを充填する作業のいずれかが実行される。
【0048】
サブタンク52a、インク供給チューブ60a、及びインク回帰チューブ62aにインクを充填するインク充填作業では、サブタンク52aから印字ヘッドK1にインクを供給するに先立って、インク供給チューブ60aと印字ヘッドK1とを非接続にしておき(離しておき)サブタンク52aとインク供給チューブ60aを、メインタンク53aからのインクで満たす。その後、インク供給チューブ60aを印字ヘッドK1に接続して、インク供給チューブ60a内のインクを印字ヘッドK1に供給する。なお、インクが付着しているフェイス面K1sは、インク初期充填作業の終了後に、後述するようにクリーニングブレード22bによって拭き取られる。
【0049】
インク供給チューブ60aと印字ヘッドK1とを非接続にしておきインク供給チューブ60aをインクで満たすために、インク供給チューブ60aの一端部60atとインク回帰チューブ62aの一端部62atとを直接的又は間接的に接続してインク供給ポンプ58、59を駆動させ、メインタンク53aからサブタンク52a、インク供給チューブ60a、インク回帰チューブ62aを経由させてこれらの間でインクを循環させる。これにより、インク供給チューブ60aに存在する空気がインクに置換されてインク供給チューブ60a内はインクでほぼ満たされる。続いて、インク供給チューブ60aとインク回帰チューブ62aとの接続を解除してインク供給チューブ60aを印字ヘッドK1に接続し、インク供給チューブ60a内のインクを印字ヘッドK1に供給する。これにより、インク供給チューブ60aから印字ヘッドK1に空気が入り込むことはない。この結果、印字ヘッドK1内では気泡の発生が抑制されるので、印字ヘッドK1からキャップ22aにインクを押し出す際に、多量の気泡と共にインクが押し出されることはなく、キャップ22aからのインク漏れを防止できる。なお、上述したようにインクの初期充填作業では、インクタンク53aからサブタンク52aのみにインクを充填してもよい。この場合は、弁81、87を閉じて弁82を開放しておき、吸引ポンプ58を駆動させる。
【0050】
図5を参照して、プリンタ10の制御系100を説明する。
【0051】
図5は、図1のプリンタの制御系を示すブロック図であり、この制御系は、上述したようにプリントモジュールに内蔵されている。
【0052】
ホストPC11から制御系100に送信された記録データやコマンドは、インターフェイスコントローラ102を介してCPU101に受信される。CPU101は、プリンタ10における記録データの受信、記録動作等全般の制御を掌る演算処理装置である。CPU101では、受信したコマンドを解析した後に、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ106にビットマップ展開して描画する。イメージメモリ106は画像展開部として使用される。記録前の動作処理としては、入出力ポート114やモータ駆動部116を介してキャッピングモータ122とヘッドアップダウンモータ118を駆動し、各印字ヘッドK1〜K6をキャップ22a(図6参照)から離して記録位置(画像形成位置)に移動させる。
【0053】
続いて、搬送される記録媒体にインクを吐出し始めるタイミング(記録タイミング)を決定するための先端検知センサ(図示せず)で記録媒体の先端位置を検出する。その後、エンコーダローラ47(図1参照)からの出力信号によって記録媒体の搬送に同期して、CPU101はイメージメモリ106から対応する色の記録データを順次に読み出し、この読み出したデータを各印字ヘッドK1〜K6に印字ヘッド制御回路112を経由して(介して)転送する。
【0054】
CPU101の動作はプログラムROM104に記憶された処理プログラムに基づいて実行される。プログラムROM104には、制御フローに対応する処理プログラム及びテーブルなどが記憶されている。また、作業用のメモリとしてワークRAM108を使用する。各印字ヘッドK1〜K6のクリーニングや回復動作時に、CPU101は、入出力ポート114及びモータ駆動部116を介してポンプモータ124を駆動させてインクの加圧や吸引等の制御を行う。なお、記録媒体の搬送に同期した記録水平同期信号に基づいて記録媒体に画像が形成され、後述するようにCPU101でラスター分割を実行し、6つの記録ヘッドK1〜K6で描画するデータとしてイメージメモリ106に割り当てる。CPU101が水平同期信号を受信したときは、イメージメモリ106に格納されている1ラスター分の画像データが印字ヘッド制御回路112に送信され、この送信されてきた画像データに基づいて、後述するように対応する印字ヘッドから記録媒体にインクを吐出して画像が形成される。
【0055】
図6〜図8を参照して、上記した制御系100の制御による画像形成方法について説明する。
【0056】
図6は、搬送路の上方に配置された印字ヘッド及びインク吐出口と記録媒体との位置関係を模式的に示す平面図である。図7は、記録媒体に画像が形成されている途中の状態を模式的に示す平面図である。図8は、図7の一部を拡大して示す拡大図である。
【0057】
搬送ユニット40(図1等参照)によって矢印A方向に搬送中の記録媒体P(ロール紙でもカット紙でもよい)上には、この搬送方向に直交する直交方向(本発明にいう交差方向の一例であり、矢印B方向である。)に延びるラスターライン領域L1〜L6が仮想的に決められている。これら複数のラスターライン領域L1〜L6は隣接して搬送方向に複数並んでいる。ここでは、隣接する2つのラスターライン領域(例えば、L5とL3)の境界線を二点鎖線で表しているが、実際にはこのような境界線が記録媒体Pに描かれているわけではない。1本のラスターライン領域は、1ラスター分の画像データが形成される領域である。なお、説明のために、図では各ラスターライン領域L1〜L6を目視できるように描いているが、実際は、非常に細い幅のものであるので目視しにくい。
【0058】
1本のラスターライン領域は、1つの画素(一つのインク吐出口から吐出された1つのインク滴による画像)が形成される記録媒体上の1つの画素領域(一つのインク吐出口から吐出された1つのインク滴が着弾する領域(部分又は範囲))が、上記の直交方向(矢印B方向)に複数個並んで構成されたものである。1本のラスターライン領域には、6つの印字ヘッドK1〜K6のうちのいずれか1つの印字ヘッドの複数のインク吐出口から、画像データに基づいて選択的にインクが同時に吐出される。ラスターライン領域L1〜L6には、6つの印字ヘッドK1〜K6のうちのどの印字ヘッドからインクが吐出されるか予め決められている。ここでは、ラスターライン領域L1には印字ヘッドK1からインクが吐出されて複数の画素が形成されるものとする。同様に、ラスターライン領域L2には印字ヘッドK2からインクが吐出されて複数の画素が形成されるものとする。以下同様に、ラスターライン領域L3には印字ヘッドK3が対応し、ラスターライン領域L4には印字ヘッドK4が対応し、Lラスターライン領域L5には印字ヘッドK5が対応し、ラスターライン領域L6には印字ヘッドK6が対応するものとする。搬送中の記録媒体Pのラスターライン領域L1が印字ヘッドK1の真下に到達したときには、印字ヘッドK1のインク吐出口列からラスターライン領域L1に向けてインクが吐出される。同様に、ラスターライン領域L2が印字ヘッドK2の真下に到達したときには、印字ヘッドK2のインク吐出口列からラスターライン領域L2に向けてインクが吐出される。ラスターライン領域L3〜L6についても同様である。
【0059】
プリンタ10に備えられた6つの印字ヘッドK1〜K6は、図6や図7に示すように、上記の直交方向(矢印B方向)に延びているものである。各印字ヘッドK1〜K6には、複数のインク吐出口(図では黒丸で表し、K1aやK6aなどで示す。)が矢印B方向に一列に並んでインク吐出口列を構成している。各印字ヘッドK1〜K6のインク吐出口列を構成しているインク吐出口からは、印字ヘッド制御回路112(図5参照)に制御されることにより画像データに応じてインクが吐出される。なお、上記の例では、一列のインク吐出口列が一つの印字ヘッドに形成された例を挙げたが、六列のインク吐出口列が形成された一つの印字ヘッドを使用してもよく、また、2列のインク吐出口列が形成された一つの印字ヘッドを3個使用してもよい。
【0060】
ところで、上述したように、記録媒体に印字(形成)される画像を担持した画像データ(印字データ)は、CPU101でラスター分割される。ここでいうラスターとは、無数の画素から構成された画像をいい、一般には、その画素が横方向に(ここでは、記録媒体の搬送方向に直交する方向(印字ヘッド長手方向)に)一列に並んだものをいう。また、ラスター分割とは、このラスターを構成する複数の画素を一列のインク吐出口列からのインク吐出によって形成するために、画像を構成する複数のラスターそれぞれをいずれかの印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6に対応させるように分割することをいう。ここでは、CPU101でラスター分割を実行し、6つの印字ヘッドK1〜K6で描画するデータとしてイメージメモリ106に割り当てる。なお、ホストPC11からプリンタ10に画像データを送る際に、ホストPC11のドライバー(図示せず)等でラスター分割した画像データをプリンタ10に送るように構成してもよい。
【0061】
図7に示す「FT」という画像をラスター分割で形成する場合を説明する。
【0062】
画像「FT」は、図7に示すように、複数の画素(画像によっては一つの画素又は画素の無いときもある)が矢印B方向に並んだ一列の画素(ラスター)に分割されるようにCPU101でラスター分割されている。各ラスターは、6つの印字ヘッドK1〜K6のうちのいずれかで描画されるデータとしてイメージメモリ106に割り当てられている。記録媒体P上の仮想のラスターライン領域L1〜L6それぞれが対応する印字ヘッドK1〜K6の真下に到達するタイミングで印字ヘッドK1〜K6のインク吐出口列からインクが吐出される。図7に示す状態のときは、印字ヘッドK1(のインク吐出口列、以下同じ。)の真下にラスターライン領域L1が到達しており、印字ヘッドK6の真下にラスターライン領域L6が到達しているので、印字ヘッドK1、K6からインクが吐出される。しかし、図7に示す状態のときには、印字ヘッドK2の真下にはラスターライン領域L6が到達しており、印字ヘッドK3の真下にはラスターライン領域L1が到達しており、印字ヘッドK4の真下にはラスターライン領域L6が到達しており、印字ヘッドK5の真下にはラスターライン領域L1が到達しているので、印字ヘッドK2、K3、K4、K5からはインクが吐出されない。
【0063】
記録媒体Pが矢印A方向に搬送されるに伴って印字ヘッドK1〜K6の真下に到達するラスターライン領域は時々刻々と変化するが、CPU101では、印字ヘッドK1の真下にラスターライン領域L1が到達するタイミングで、画像データに応じて印字ヘッドK1のインク吐出口列のいずれかのインク吐出口からインクを吐出させるように制御している(他の印字ヘッドについても同様である)。
【0064】
上述したように、6列のインク吐出口列によって画像を形成する場合、6列のインク吐出口列のうち搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列(印字ヘッドK3のインク吐出口列)は、搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列(印字ヘッドK1のインク吐出口列)から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L1に隣接して搬送方向下流側(矢印A方向下流側)に位置する1本のラスターライン領域L3に向けてインクを吐出する。また、搬送方向の最上流側から数えて第5列目のインク吐出口列(印字ヘッドK5のインク吐出口列)は、第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L3に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L5に向けてインクを吐出する。また、搬送方向の最上流側から数えて第6列目のインク吐出口列(印字ヘッドK6のインク吐出口列)は、第5列目のインク吐出口列(印字ヘッドK5のインク吐出口列)から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L5に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L6に向けてインクを吐出する。また、搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列(印字ヘッドK4のインク吐出口列)は、第6列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L4に向けてインクを吐出する。また、搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列(印字ヘッドK2のインク吐出口列)は、第4列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L4に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L2に向けてインクを吐出する。また、最上流側インク吐出口列(印字ヘッドK1のインク吐出口列)は、第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L2に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L1に向けてインクを吐出する。
【0065】
上記のように画像をラスター分割して予め決めた印字ヘッドからインク吐出させる場合、最上流側インク吐出口列(この例では、印字ヘッドK1のインク吐出口列)から吐出されたインクが着弾するラスターライン領域(この例ではL1)の搬送方向両隣のラスターライン領域(この例ではL2とL3)には最下流側インク吐出口列(この例では、印字ヘッドK6のインク吐出口列)からインクが吐出されない。プリンタ10(図1等参照)に製造誤差や記録媒体の搬送誤差などが生じている場合もあり、このような誤差に起因して、最上流側インク吐出口列と最下流側インク吐出口列の2列のインク吐出口列から吐出されたインクの着弾位置が大きくずれる可能性があるが、上記のように最上流側インク吐出口列から吐出されたインクが着弾するラスターライン領域の搬送方向両隣のラスターライン領域には最下流側インク吐出口列からインクが吐出されないので、上記の最大の誤差(ずれ)の発生を防止できる。このように最大の誤差(ずれ)の発生を防止できるので、記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を抑制できることとなる。
【0066】
図9と図10を参照して、インク吐出口列が4列の場合の画像形成方法について説明する。
【0067】
図9は、4列のインク吐出口列によって記録媒体に画像「FT」が形成されている途中の状態を模式的に示す平面図である。図10は、図9の一部を拡大して示す拡大図である。
【0068】
画像「FT」は、図7に示すものと同様であるが、ここでは、4列のインク吐出口列で画像を形成するようにCPU101(図5参照)でラスター分割が行われる。各ラスターは、4つの印字ヘッドK1〜K4のうちのいずれかで描画されるデータとしてイメージメモリ106(図5参照)に割り当てられている。記録媒体P上の仮想のラスターライン領域L1〜L4それぞれが対応する印字ヘッドK1〜K4の真下に到達したときに印字ヘッドK1〜K4のインク吐出口からインクが吐出される。図10に示す状態のときは、印字ヘッドK4(のインク吐出口列、以下同じ。)の真下にラスターライン領域L4が到達しているので、印字ヘッドK4からインクが吐出される。しかし、図10に示す状態のときには、印字ヘッドK3の真下にはラスターライン領域L2が到達しており、印字ヘッドK2の真下にはラスターライン領域L1が到達しており、印字ヘッドK1の真下にはラスターライン領域L3が到達しているので、印字ヘッドK2、K3、K4からはインクが吐出されない。
【0069】
記録媒体Pが矢印A方向に搬送されるに伴って印字ヘッドK1〜K4の真下に到達するラスターライン領域は時々刻々と変化するが、CPU101では、印字ヘッドK1の真下にラスターライン領域L1が到達したときに、画像データに応じて印字ヘッドK1のインク吐出口列のいずれかのインク吐出口からインクを吐出させるように制御している(他の印字ヘッドについても同様である)。
【0070】
上述したように、4列のインク吐出口列によって画像を形成する場合、4列のインク吐出口列のうち搬送方向の最上流側から数えて第2列目のインク吐出口列(印字ヘッドK2のインク吐出口列)は、搬送方向の最上流側に位置する最上流側(第1列目)のインク吐出口列(印字ヘッドK1のインク吐出口列)から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L1に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L2に向けてインクを吐出する。また、搬送方向の最上流側から数えて第4列目のインク吐出口列(印字ヘッドK4のインク吐出口列)は、第2列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L2に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L4に向けてインクを吐出する。また、搬送方向の最上流側から数えて第3列目のインク吐出口列(印字ヘッドK3のインク吐出口列)は、第4列目のインク吐出口列(印字ヘッドK4のインク吐出口列)から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L4に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L3に向けてインクを吐出する。また、最上流側インク吐出口列(印字ヘッドK1のインク吐出口列)は、第3列目のインク吐出口列から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域L3に隣接して搬送方向下流側に位置する1本のラスターライン領域L1に向けてインクを吐出する。
【0071】
上記した4つの印字ヘッドの例における4つの印字ヘッドからインクを吐出するタイミングについて、図11と図12を参照して説明する。
【0072】
図11は、イメージメモリ内の画像データ(ラスター)を示す模式図である。図12は、4つの印字ヘッドからインクが吐出されるタイミングを示すタイミングチャートである。
【0073】
図11には、CPU101(図5参照)によってラスター分割されてイメージメモリ106(図5参照)に記憶されている画像データの一部を模式的に表しており、記録媒体に形成される全画像は、L1−1、L2−1、……、L1−Fin、L2−Fin、L4−Finで表されるラスターのようにラスター分割されてイメージメモリ106に記憶されている。例えば、L1−1は、印字ヘッドK1のインク吐出口列からの1回目のインク吐出によって一番目に印字される画像データを示し、L4−2は、印字ヘッドK4のインク吐出口列からの2回目のインク吐出によって二番目に印字される画像データを示す。また、L4−(Fin−1)は、印字ヘッドK4のインク吐出口列からの最終よりも一つ前のインク吐出によって印字される画像データを示し、L1−(Fin)は、印字ヘッドK1のインク吐出口列からの最終のインク吐出によって一番最後に印字される画像データを示し、L4−(Fin)は、印字ヘッドK4のインク吐出口列からの最終のインク吐出によって一番最後に印字される画像データを示す。
【0074】
図12に示すように、印字ヘッドK1〜K4に対応するラスター(画像データ)L1−1、L2−1、……、L2−Fin、L4−Finを実際の画像として記録媒体に形成するために、印字ヘッドK1〜K4からは、後述するタイミングでインク(滴)が吐出される。
【0075】
印字ヘッドK1よりも記録媒体の搬送方向の上流側には、記録媒体の先端を検知する先端検知センサ(図示せず)が配置されており、ここでは、この先端検知センサによる検知位置から印字ヘッドK1(正確には、印字ヘッドK1のインク吐出口列)までの距離を2インチとする(1インチは2.54cm)。また、隣り合う印字ヘッド間(例えば印字ヘッドK1と印字ヘッドK2)の距離(正確には、印字ヘッドK1のインク吐出口列から印字ヘッドK2のインク吐出口列までの距離)を1インチとする。印字ヘッドK1〜K4それぞれにおいて、隣り合うインク吐出口(ノズル)間のピッチ(分解能)は600[dot/inch]であり、最大記録(印字)幅は4インチである。従って、各印字ヘッドK1〜K4は、記録用として2400個のインク吐出口を有する。即ち、一つのインク吐出口列は2400個のインク吐出口からなる。
【0076】
ここでは、搬送速度(記録速度)を24(inch/sec)、即ち、約610(mm/秒)とする。また、記録媒体搬送方向における印字(記録)分解能を600[dot/inch]とする。従って、搬送方向にも1インチあたり600ライン(ラスター)分の印字が形成される。即ち、1本のラスターライン領域の幅(搬送方向の長さ)は、1/600インチとなる。
【0077】
搬送モータ41(図1参照)のモータ軸に接続されたエンコーダローラ47(図1参照)の出力分解能は、例えば搬送路1インチあたり150パルス、即ち印字4ラスタ毎に1個の位置パルスを出力するようになっている。従って搬送速度(記録速度)を24(inch/sec)に設定した場合、エンコーダローラ47から毎秒3600パルス(平均値)の位置パルスが出力される。
【0078】
この位置パルスは、搬送方向最上流側に配置された印字ヘッドK1で印字する各ラスターのトリガ(印字開始)信号として用いられ、残り3本の印字ヘッドK2、K3、K4には、上記位置パルスから夫々70(μsec)、139(μsec)、208(μsec)の遅れをもった印字開始信号が生成されて送信される。なお、これら遅れの時間は搬送速度によって変更される。
【0079】
記録媒体は搬送方向(図1の矢印A方向)に等速度で搬送されており、記録媒体の先端が上記の先端検知センサで検知され、記録媒体上に余白を形成するために更に2インチ分だけ搬送されたときに(タイミングで)、印字ヘッドK1のインク吐出口列から選択的にインクが吐出されて図12のL1−1に相当する画像が記録媒体の一本のラスターライン領域(図10に示す一つのL1)に形成され、続いて、図12のL1−2に相当する画像が記録媒体の一本のラスターライン領域(図10に示す一つのL1であり、L1―1に相当する画像が形成されたラスターライン領域L1よりも搬送方向上流側の4つ目のL1)に形成される。さらに続いて、
図12のL1−3に相当する画像が記録媒体の一本のラスターライン領域(図10に示す一つのL1であり、L1―2に相当する画像が形成されたラスターライン領域L1よりも搬送方向上流側の4つ目のL1)に形成される。このようにL1−1、L1−2、L1−3の順に記録媒体上には間引きされた状態で画像が形成され始める(印字が進行する)。他の印字ヘッドK2〜K4についても、後述するように同様である。
【0080】
更に1インチ分だけ記録媒体が搬送されたとき(記録媒体の先端が先端検知センサで検知されてから3インチ分だけ搬送されたとき)、印字ヘッドK2によってラスターL2−1(先頭のラスター(L1−1)から2番目のラスター)の印字が開始され、続いてラスターL2−2、L2−3の順で、印字ヘッドK1による画像と同様に間引きされた印字が行われる。この間引きについては、印字ヘッドK1と同様の内容である(以下、同様)。図11に示すように、ラスターL2−1の画像はL1−1に隣接して搬送方向上流側に形成され、ラスターL2−2の画像はL1−2に隣接して搬送方向上流側に形成される。
【0081】
更に1インチ分だけ記録媒体が搬送されたとき(記録媒体の先端が先端検知センサで検知されてから4インチ分だけ搬送されたとき)、印字ヘッドK3によって、先頭のラスター(L1−1)から4番目のラスターL3−1の印字が開始され、続いてラスターL3−2、L3−3の順でやはり間引きされた印字が行われる。図11に示すように、ラスターL3−1の画像はL1−2に隣接して搬送方向上流側に形成され、ラスターL3−2の画像はL1−3に隣接して搬送方向上流側に形成される。
【0082】
更に1インチ分だけ記録媒体が搬送されたとき(記録媒体の先端が先端検知センサで検知されてから5インチ分だけ搬送されたとき)、印字ヘッドK4によって、先頭のラスター(L1−1)から3番目のラスターL4−1の印字が開始され、続いてラスターL4−2、L4−3の順でやはり間引きされた印字が行われる。図11に示すように、ラスターL4−1の画像はL2−1に隣接して搬送方向上流側に形成され、ラスターL4−2の画像はL2−2に隣接して搬送方向上流側に形成される。印字ヘッドK4からインクが吐出され始めた時点から、完成された画像の形成が始まる。
【0083】
上記のようにして各ラスターの画像が搬送中の記録媒体に順次に形成されていき、印字最終部近傍に達したときに、先ず、印字ヘッドK1では、ラスターL1―(Fin−2)(最終ラスターL4―Finよりも11ラスタ分手前のラスター)、ラスターL1―(Fin−1)、ラスターL1―Finの順に印字されて、印字ヘッドK1による印字が完了する。
【0084】
記録動作は続き、ラスターL1―Finが印字されてから1インチ分だけ搬送されたとき、印字ヘッドK2では、ラスターL2−(Fin−2)(最終ラスターL4―Finよりも10ラスタ分手前のラスター)、ラスターL2―(Fin−1)、ラスターL2―Finの順に印字されて、印字ヘッドK2による印字が完了する。
【0085】
更に1インチ分搬送されたとき、今度は記録ヘッドK3によってラスターL3―(Fin−2)(最終ラスターL4―Finよりも9ラスタ分手前のラスター)、ラスターL3―(Fin−1)、ラスターL3―Finの順に印字されて、印字ヘッドK3による印字が完了する。
【0086】
更に1インチ分搬送されたとき、印字ヘッドK4によってラスターL4―(Fin−2)(最終ラスターより8ラスタ分手前のラスター)、ラスターL4―(Fin−1)、ラスターL4―Finの順に印字されて、印字ヘッドK4による印字が完了する。
【0087】
以上のように、連続領域に展開されたモノクロ画像データを、例えば4本のブラックの印字ヘッドを用いて、1ラスタ単位で分担して印字することによって、1本の印字ヘッドが持つ記録速度:6(inch/sec)の4倍の印字スループット、つまり24(inch/sec)の記録速度が得られる。更に分担する派生的な効果として、印字ヘッドK1〜K4の各ノズルがもつ固有の記録特性が連続せず、例えば4ラスタ毎に分散されて記録するので、画質が飛躍的に向上する。このことは偶発的な吐出不良に対する画質の信頼性が向上することに他ならない。
【0088】
上記のように画像をラスター分割して予め決めた印字ヘッドからインク吐出させる場合、最上流側インク吐出口列(この例では、印字ヘッドK1のインク吐出口列)から吐出されたインクが着弾するラスターライン領域(この例ではL1)の搬送方向両隣のラスターライン領域には最下流側インク吐出口列(この例では、印字ヘッドK4のインク吐出口列)からインクが吐出されない。
【0089】
プリンタ10(図1等参照)では記録媒体の搬送誤差などが生じている場合もあり、このような誤差に起因して、最上流側インク吐出口列と最下流側インク吐出口列の2列のインク吐出口列から吐出されたインクの着弾位置が大きくずれる可能性があるが、上記のように最上流側インク吐出口列から吐出されたインクが着弾するラスターライン領域の搬送方向両隣のラスターライン領域には最下流側インク吐出口列からインクが吐出されないので、上記の最大の誤差(ずれ)の発生を防止できる。このように最大の誤差(ずれ)の発生を防止できるので、記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を防止できることとなる。
【0090】
図13を参照して、記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を防止した一例を説明する。
【0091】
図13は、記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を防止した一例を示す模式図であり、(a)は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6を示す模式図であり、(b)は、画質の低下が防止された画像の一例を示す模式図である。図13(a)においては、○内の数字は各印字ヘッドのインク吐出口列を表し、(b)においては、○内の数字は各印字ヘッドのインク吐出口から吐出されたインク滴で形成された画素を表す。なお、記録媒体P上の二点差線は、上述したラスターライン領域を表す。
【0092】
図13に示す例では、記録媒体Pが斜行して搬送される(図13の二点鎖線で示す矢印A方向に搬送される)場合を説明する。なお、記録媒体Pの正しい搬送方向は実線で示す矢印A方向である。
【0093】
図13に示す例では、正しい搬送方向(実線で示す矢印A方向)に配置された複数列のインク吐出口列((a)において○で囲んだ1から6までの各列)のうち搬送方向の最上流側に位置する最上流側インク吐出口列(ここでは、印字ヘッドK1のインク吐出口列)から吐出したインクが着弾する1本のラスターライン領域((b)において、○で囲んだ1で表されるラスターライン領域)に隣接する2本のラスターライン領域に向けては、搬送方向の最下流側に位置する最下流側インク吐出口列(ここでは、印字ヘッドK6のインク吐出口列))からはインクを吐出させない。
【0094】
図13に示す例では、6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6それぞれのインク吐出口列のうちのいずれか一列のインク吐出口列(例えば印字ヘッドK6のインク吐出口列)から吐出されたインクが着弾する1本のラスターライン領域が隣接する2本のラスターライン領域には、このいずれか一列のインク吐出口列(ここでは上記のように印字ヘッドK6のインク吐出口列)に隣接する一列のインク吐出口列(ここでは、印字ヘッドK4又はK5のインク吐出口列)からインクを吐出させるようにした。なお、この隣接する一列のインク吐出口列(ここでは上記のように印字ヘッドK4又はK5のインク吐出口列)を挟んでいずれか一列のインク吐出口列(ここでは上記のように印字ヘッドK6のインク吐出口列)に隣接する一列のインク吐出口列(ここでは、印字ヘッドK3又はK2のインク吐出口列)からインクを吐出させるようにしてもよく、この場合も同様の効果を奏する。
【0095】
上記の例を換言すれば、搬送方向(矢印A方向)に順に並んだ複数本のラスターライン領域には、複数列のインク吐出口列((a)において○で囲んだ1から6までの各列)のうち搬送方向の最上流側から数えて奇数番目のインク吐出口列(○で囲んだ1,3,及び5の各列)から昇順に吐出されたインクを着弾させ、これらのインクが着弾したラスターライン領域に連続するラスターライン領域には、複数列のインク吐出口列のうち搬送方向の最上流側から数えて偶数番目のインク吐出口列(○で囲んだ2,4,及び6の各列)から降順に吐出されたインクを着弾させることにより、上記と同様の効果を奏する。なお、上記の奇数番目のインク吐出口列(○で囲んだ1,3,及び5の各列)からは降順にインクを吐出させ、上記の偶数番目のインク吐出口列(○で囲んだ2,4,及び6の各列)からは昇順にインクを吐出させてもよい。このように、本発明によれば、図13に示すように記録媒体Pが斜行している場合であっても、隣接するラスターライン領域におけるズレは最小に抑えられる。この結果、図16に示すような大きな段差Lが生じないので、画質の低下を防止できることとなる。
【0096】
図14を参照して、熱転写方式の画像形成装置に適用した例を説明する。
【0097】
図14は、熱転写方式の画像形成装置の印字ヘッドを示す模式図である。
【0098】
周知の熱転写方式の画像形成装置(図示せず)には、例えば6個の印字ヘッド81、82、83、84、85、86が記録媒体の搬送方向(矢印A方向)に複数並んで配置されており、各印字ヘッド81、82、83、84、85、86それぞれには、搬送方向に直交する方向に並んだ複数個の発熱素子81a、82a、83a、84a、85a、86aが配置されている。画像データに応じて複数個の発熱素子81a〜86aのうちのいずれかを発熱させることにより記録媒体にインクフィルムのインクが付着して画像が形成される。インクジェット方式の画像形成装置では、複数のインク吐出口から選択的にインクを吐出するものであるが、熱転写方式の画像形成装置では、複数の発熱素子を選択的に発熱させる。熱転写方式の画像形成装置においても、図6から図12までを参照して説明したと同様に画像データをラスター分割して各印字ヘッド81〜86の発熱素子81a〜86aを発熱させることにより、インクジェット方式の画像形成装置と同様に、記録媒体Pが斜行している場合であっても、隣接するラスターライン領域におけるズレは最小に抑えられる。この結果、図16に示すような大きな段差Lが生じないので、画質の低下を防止できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の一例であるプリントモジュールが組み込まれたラインプリンタの概略構成を示す正面図である。
【図2】図1のラインプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図3】印字ヘッドユニットとインク供給ユニットを接続したインク供給チューブとインク回帰チューブを示す斜視図である。
【図4】印字ヘッドユニットとインク供給ユニットのインク流路を示す模式図である。
【図5】図1のプリンタの制御系を示すブロック図である。
【図6】搬送路の上方に配置された印字ヘッド及びインク吐出口と記録媒体との位置関係を模式的に示す平面図である。
【図7】記録媒体に画像が形成されている途中の状態を模式的に示す平面図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す拡大図である。
【図9】4列のインク吐出口列によって記録媒体に画像「FT」が形成されている途中の状態を模式的に示す平面図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す拡大図である。
【図11】イメージメモリ内の画像データを示す模式図である。
【図12】4つの印字ヘッドからインクが吐出されるタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】記録媒体を搬送する際の搬送誤差などに起因する画質(印字精度)の低下を防止した一例を示す模式図であり、(a)は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6を示す模式図であり、(b)は、画質の低下が防止された画像の一例を示す模式図である。
【図14】熱転写方式の画像形成装置の印字ヘッドを示す模式図である。
【図15】(a)は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6を示す模式図であり、(b)は、黒スジが生じた画像を示す模式図である。
【図16】(a)は、搬送方向(矢印A方向)に並んだ6個の印字ヘッドK1、K2、K3、K4、K5、K6を示す模式図であり、(b)は、記録媒体の斜行に起因して白スジと段差が生じた画像を示す模式図である。
【符号の説明】
【0100】
10 プリンタ
K1、K2、K3、K4、K5、K6,81、82、83、84、85、86 印字ヘッド
L1、L2、L3、L4、L5、L6 ラスターライン領域
【出願人】 【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテック株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100098349
【弁理士】
【氏名又は名称】一徳 和彦


【公開番号】 特開2008−6604(P2008−6604A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176695(P2006−176695)