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【発明の名称】 間欠輪転オフセット印刷装置及び間欠輪転オフセット印刷装置用版胴
【発明者】 【氏名】国松 剛

【要約】 【課題】刷版の位置合わせを極めて正確に簡単にできると共に、刷版の版胴本体への巻き付けも極めて簡単に行うことができる、間欠輪転オフセット印刷装置。

【構成】版胴本体35に刷版36の巻き始め端36aを固定してこの版胴本体35に刷版36を巻いていき刷版36に緊張を与えて巻き終わり端36bを版胴本体35に固定する間欠輪転オフセット印刷装置において、版胴本体35の一側に版胴本体円Sよりも所要凹んでいる刷版固定部35aを形成し、この刷版固定部35aの一側に刷版36の巻き始め端36aを固定する第1固定手段50を設け、この第1固定手段50は、版胴本体35の一母線方向に離れた複数の位置決めピン53を有し、この位置決めピン53に刷版36の巻き始め端36aに形成した複数の位置決め用切り欠きを係合させて位置決めする刷版36の巻き始め端36aを固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
版胴本体に刷版の巻き始め端を固定してこの版胴本体に刷版を緊張を与えて巻いて巻き終わり端を版胴本体に固定する版胴を備えた間欠輪転オフセット印刷装置において、
前記版胴本体の一側に版胴本体円よりも所要凹んでいる刷版固定部を形成し、この刷版固定部の一側に刷版の巻き始め端を固定する第1固定手段を設けると共に、他側に刷版の巻き終わり端を固定する第2固定手段を設け、
前記第1固定手段は、前記版胴本体の一母線方向に離れた複数の位置決めピンを有し、この位置決めピンに前記刷版の巻き始め端に形成した複数の位置決め用切り欠きを係合させて位置決めする前記刷版の巻き始め端を固定するように構成され、
前記第2固定手段は、前記版胴本体の内部に孔軸を版胴本体の軸方向に合わせて形成されかつ前記刷版固定部に一側が開いている孔に収容されていて母線方向に延びた深いスリットを有する回転可能なリール軸と、この軸体の回転を固定するリール軸固定手段とを有し、リール軸のスリットに前記刷版の折り返し加工を施した巻き終わり端を差込んでリール軸で刷版を巻き込み、リール軸固定手段でリール軸を回転不能に固定するように構成されている、ことを特徴とする間欠輪転オフセット印刷装置。
【請求項2】
前記リール軸が前記刷版を巻き込み回転することを許すように、ベアリング外輪が前記版胴本体に解除可能に締付固定されていると共に、ベアリング内輪が前記リール軸の軸端部と嵌合するワンウエイクラッチベアリングを備えて、このワンウエイクラッチベアリングを前記リール軸固定手段とした、ことを特徴とする請求項1記載の間欠輪転オフセット印刷装置。
【請求項3】
前記第1固定手段は、前記刷版固定部の平滑面と、この平滑面の版胴本体周面に近い位置にこの平滑面により僅少寸法高く形成された段差凸部と、前記平滑面より突出していて前記版胴本体の一母線方向に離れた複数の位置決めピンと、前記刷版の巻き始め端に形成した複数の位置決め用切り欠きを前記複数の位置決めピンに係合させて位置決めする前記刷版の巻き始め端を外方から挟圧する爪と、この爪を前記平滑面へ密着する方向に移動させて固定状態にする締め付け手段とを有し、前記段差凸部と前記爪とで前記刷版の巻き始め端に段差部を折り曲げ形成して前記刷版の巻き始め端を前記爪と前記平滑面とで挟圧して固定するように構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の間欠輪転オフセット印刷装置。
【請求項4】
版胴本体に刷版の巻き始め端を固定してこの版胴本体に刷版を緊張を与えて巻いて巻き終わり端を版胴本体に固定する間欠輪転オフセット印刷装置用版胴において、
前記版胴本体の一側に版胴本体円よりも所要凹んでいる刷版固定部を形成し、この刷版固定部の一側に刷版の巻き始め端を固定する第1固定手段を設けると共に、他側に刷版の巻き終わり端を固定する第2固定手段を設け、
第1固定手段は、前記刷版固定部の平滑面と、この平滑面の版胴本体周面に近い位置にこの平滑面により僅少寸法高く形成された段差凸部と、前記平滑面より突出していて前記版胴本体の一母線方向に離れた複数の位置決めピンと、前記刷版の巻き始め端に形成した複数の位置決め用切り欠きを前記複数の位置決めピンに係合させて位置決めする前記刷版の巻き始め端を外方から挟圧する爪と、この爪を前記平滑面へ密着する方向に移動させて固定状態にする締め付け手段とを有し、前記段差凸部と前記爪とで前記刷版の巻き始め端に段差部を折り曲げ形成して前記刷版の巻き始め端を前記爪と前記平滑面とで挟圧して固定するように構成され、
前記第2固定手段は、前記版胴本体の内部に孔軸を版胴本体の軸方向に合わせて形成されかつ前記刷版固定部に一側が開いている孔に収容されていて母線方向に延びた深いスリットを有する回転可能なリール軸と、この軸体の回転を固定するリール軸固定手段とを有し、リール軸のスリットに前記刷版の折り返し加工を施した巻き終わり端を差込んでリール軸で刷版を巻き込み、リール軸固定手段でリール軸を回転不能に固定するように構成されている、ことを特徴とする間欠輪転オフセット印刷装置用版胴。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル印刷、その他印刷方向の長さ(リピート長)が極めて短い印刷に適した間欠輪転オフセット印刷装置及び間欠輪転オフセット印刷装置用版胴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、間欠輪転オフセット印刷装置における版胴における刷版の取り付け構造は、前記版胴に設けられていて前記版胴に巻かれる刷版の巻き始め端を固定する第1固定手段と、前記版胴に設けられていて前記第1固定手段で前記刷版の巻き始め端を固定した後に前記刷版の巻き終わり端を支持して前記刷版に緊張を与えて前記版胴に巻き付いた状態に固定する第2固定手段とを備えてなる。この構造は、従来のオフセット印刷装置の場合と同一である。
【0003】
図6は、従来のオフセット印刷装置における版胴における刷版の取り付け構造を示す(特許文献1参照)。
図6に示す版胴10は、内軸11と外筒12とを一体に固定してなる二重軸構造である。外筒12は、周方向の1ヶ所が母線方向に細いスリットを有しこのスリットに臨む一端が45°の内方傾斜面を有する楔状端縁部12aとなっていて、この楔状端縁部12aが第1固定手段となっている。内軸11は、外筒12のスリットに対応下位置に凹部11aを有していて、この凹部11aに第2固定手段であるリールロッド13を備えている。
刷版14は、巻き始め端と巻き終わり端をそれぞれ版胴10への巻き付け面側に45°の鋭角に折り返し加工を施して第1引掛け部14a及び第2引掛け部14bとして、第1引掛け部14aを外軸12の楔状端縁部12aに引掛け、次いで刷版14を版胴10へ巻き付けていき、刷版14の巻き終わり端を45°になるように鋭角に折り返し加工して第2引掛け部14bをリールロッド13のスリットに差し込んでから、刷版14を巻き取る方向にリールロッド13を回動させて刷版14に緊張を与えて外筒12に密着状態に巻き付けた状態にしていた。
間欠輪転オフセット印刷装置においても、図6に示す刷版の取り付け構造と同一である。
【特許文献1】特表2000−508983号公報 図6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
間欠輪転オフセット印刷装置によるラベル印刷において、版胴における刷版の位置決めは、版胴の周方向及び母線方向のずれをそれぞれ約10ミクロン以下に抑える必要があり、ずれが大きくなると、重ね刷り印刷にずれが生じて印刷の品質が低下することになる。従って、刷版の位置決めは、時間をかけても正確に行われている。近年、刷版を自動的に交換するようにした刷版自動交換装置が種々提案されているが、実用に至っていない。
図6に示す従来の刷版の取り付け構造は、刷版を精密に位置決めすることが難しく、刷版の交換に時間がかかっていたので、印刷装置の稼働率を上げることができなかった。従って、小ロットの印刷ニーズに対応させて印刷コストを抑えるために、印刷装置の稼働率を上げる改善が要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、上述した点に鑑みなされたものであり、刷版の位置合わせを極めて正確に簡単にできると共に、刷版の版胴本体への巻き付けも極めて簡単に行うことができて、刷版の交換を短時間に行うことができるから、小ロットの印刷ニーズに合わせて印刷装置の稼働率を上げることができる、間欠輪転オフセット印刷装置及び間欠輪転オフセット印刷装置用版胴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の間欠輪転オフセット印刷装置は、版胴本体に刷版の巻き始め端を固定してこの版胴本体に刷版を緊張を与えて巻いて巻き終わり端を版胴本体に固定する版胴を備えた間欠輪転オフセット印刷装置において、前記版胴本体の一側に版胴本体円よりも所要凹んでいる刷版固定部を形成し、この刷版固定部の一側に刷版の巻き始め端を固定する第1固定手段を設けると共に、他側に刷版の巻き終わり端を固定する第2固定手段を設け、記第1固定手段は、前記版胴本体の一母線方向に離れた複数の位置決めピンを有し、この位置決めピンに前記刷版の巻き始め端に形成した複数の位置決め用切り欠きを係合させて位置決めする前記刷版の巻き始め端を固定するように構成され、前記第2固定手段は、前記版胴本体の内部に孔軸を版胴本体の軸方向に合わせて形成されかつ前記刷版固定部に一側が開いている孔に収容されていて母線方向に延びた深いスリットを有する回転可能なリール軸と、この軸体の回転を固定するリール軸固定手段とを有し、リール軸のスリットに前記刷版の折り返し加工を施した巻き終わり端を差込んでリール軸で刷版を巻き込み、リール軸固定手段でリール軸を回転不能に固定するように構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
上記特徴の構成によれば、位置決めピンに刷版の巻き始め端に形成した位置決め用切り欠きを係合させるだけで位置決めが行えて、刷版の巻き始め端を第1固定手段で固定してから、刷版を版胴本体に巻き付けて行き、刷版の巻き終わり端をリール軸のスリットに差込んでリール軸を回転すると、リール軸に刷版を巻き込むことができて、リール軸固定手段でリール軸を回転不能に固定すると、刷版は、リール軸に巻かれて緊張を与えられて版胴本体に密着した状態に保持される。従って、刷版の位置合わせを極めて正確に簡単にできると共に、刷版の版胴本体への巻き付けも極めて簡単に行うことができて、刷版の交換を短時間に行うことができるから、小ロットの印刷ニーズに合わせて印刷装置の稼働率を上げることができる。
【0008】
上記特徴の構成において、前記リール軸が前記刷版を巻き込み回転することを許すように、ベアリング外輪が前記版胴本体に解除可能に締付固定されていると共に、ベアリング内輪が前記リール軸の軸端部と嵌合するワンウエイクラッチベアリングを備えて、このワンウエイクラッチベアリングを前記リール軸固定手段とすることが好ましい。
【0009】
この構成にすると、刷版を取付ける際にはワンウエイクラッチベアリングの外輪の締付固定してからリール軸を巻き込み回転していく。刷版は、リール軸に巻かれて行き、緊張を与えられて版胴本体に密着する。そこで、リール軸の巻き込み回転を停止すると、ワンウエイクラッチベアリングの働きでリール軸は戻り回転せずに停止したままとなり、刷版を版胴本体に緊張密着した状態に維持できる。刷版を取り外す際には、ワンウエイクラッチベアリングの外輪の締付固定を解除すると、リール軸は戻り回転指せることができるので、リール軸に形成されたスリットを刷版固定部へ向かせることができ、刷版の取り外しができる。従って、刷版の取り付け時間を短縮できる。
【0010】
さらに上記特徴の構成において、前記第1固定手段は、前記刷版固定部の平滑面と、この平滑面の版胴本体周面に近い位置にこの平滑面により僅少寸法高く形成された段差凸部と、前記平滑面より突出していて前記版胴本体の一母線方向に離れた複数の位置決めピンと、前記刷版の巻き始め端に形成した複数の位置決め用切り欠きを前記複数の位置決めピンに係合させて位置決めする前記刷版の巻き始め端を外方から挟圧する爪と、この爪を前記平滑面へ密着する方向に移動させて固定状態にする締め付け手段とを有し、前記段差凸部と前記爪とで前記刷版の巻き始め端に段差部を折り曲げ形成して前記刷版の巻き始め端を前記爪と前記平滑面とで挟圧して固定する構成とすることが好ましい。
【0011】
この構成にすると、段差凸部と爪とで刷版の巻き始め端に段差部を折り曲げ形成して刷版の巻き始め端を爪と平滑面とで挟圧して固定することができるので、刷版の巻き始め端の固定を無理なく極めて強固に確実に行えるから、刷版を巻き終わり端側で引っ張って刷版に十分な緊張を与えても刷版の巻き始め端の固定がずれることがなく精密が位置決めが保障される。
【0012】
本発明の間欠輪転オフセット印刷装置用版胴は、版胴本体に刷版の巻き始め端を固定してこの版胴本体に刷版を緊張を与えて巻いて巻き終わり端を版胴本体に固定する間欠輪転オフセット印刷装置用版胴において、前記版胴本体の一側に版胴本体円よりも所要凹んでいる刷版固定部を形成し、この刷版固定部の一側に刷版の巻き始め端を固定する第1固定手段を設けると共に、他側に刷版の巻き終わり端を固定する第2固定手段を設け、第1固定手段は、前記刷版固定部の平滑面と、この平滑面の版胴本体周面に近い位置にこの平滑面により僅少寸法高く形成された段差凸部と、前記平滑面より突出していて前記版胴本体の一母線方向に離れた複数の位置決めピンと、前記刷版の巻き始め端に形成した複数の位置決め用切り欠きを前記複数の位置決めピンに係合させて位置決めする前記刷版の巻き始め端を外方から挟圧する爪と、この爪を前記平滑面へ密着する方向に移動させて固定状態にする締め付け手段とを有し、前記段差凸部と前記爪とで前記刷版の巻き始め端に段差部を折り曲げ形成して前記刷版の巻き始め端を前記爪と前記平滑面とで挟圧して固定するように構成され、前記第2固定手段は、前記版胴本体の内部に孔軸を版胴本体の軸方向に合わせて形成されかつ前記刷版固定部に一側が開いている孔に収容されていて母線方向に延びた深いスリットを有する回転可能なリール軸と、この軸体の回転を固定するリール軸固定手段とを有し、リール軸のスリットに前記刷版の折り返し加工を施した巻き終わり端を差込んでリール軸で刷版を巻き込み、リール軸固定手段でリール軸を回転不能に固定するように構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
この特徴の構成によれば、位置決めピンに刷版の巻き始め端に形成した位置決め用切り欠きを係合させるだけで位置決めが行えて、段差凸部と爪とで刷版の巻き始め端に段差部を折り曲げ形成して刷版の巻き始め端を爪と平滑面とで挟圧して固定することができるので、刷版の巻き始め端の固定を無理なく極めて強固に確実に行えるから、刷版を巻き終わり端側で引っ張って刷版に十分な緊張を与えても刷版の巻き始め端の固定がずれることがなく精密が位置決めが保障される。こうして、刷版の巻き始め端を第1固定手段で固定してから、刷版を版胴本体に巻き付けて行き、ワンウエイクラッチベアリングの外輪の締付固定してから、刷版の巻き終わり端をリール軸のスリットに差込んでから、リール軸を巻き込み回転していく。刷版は、リール軸に巻かれて行き、緊張を与えられて版胴本体に密着する。そこで、リール軸の巻き込み回転を停止すると、ワンウエイクラッチベアリングの働きでリール軸は戻り回転せずに停止したままとなり、刷版を版胴本体に緊張密着した状態に維持できる。刷版を取り外す際には、ワンウエイクラッチベアリングの外輪の締付固定を解除すると、リール軸は戻り回転指せることができるので、リール軸に形成されたスリットを刷版固定部へ向かせることができ、刷版の取り外しができる。従って、刷版の取り付け時間を短縮できる。従って、刷版の位置合わせを極めて正確に簡単にできると共に、刷版の版胴本体への巻き付けも極めて簡単に行うことができて、刷版の交換を短時間に行うことができるから、小ロットの印刷ニーズに合わせて印刷装置の稼働率を上げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、刷版の位置合わせを極めて正確に簡単にでき、刷版の巻き始め端をしっかりと固定できると共に、刷版の版胴本体への巻き付けと刷版の巻き終わり端の固定を極めて簡単に行うことができて、刷版の交換を短時間に行うことができるから、小ロットの印刷ニーズに合わせて印刷装置の稼働率を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の間欠輪転オフセット印刷装置を図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態の間欠輪転オフセット印刷装置を全体正面図を示す。
図1に示す間欠輪転オフセット印刷装置は、給紙部21と、インキ色の異なる複数組、図では5組の印刷部22,23,24,25,26と、ダイカットロール部27と、印刷部22〜26及びダイカットロール部27を挟んでウエブに間欠往復走行を与える一対のグリップロール28,29と、各印刷部の下流側に設置されるUV照射乾燥部30と、巻取部31を備え、これらにウェブWを順次通紙させ、色を重ね合わせることで多色印刷を行なうことができるように構成されている。
【0016】
図2は図1における印刷部22の概略拡大図である。印刷部23〜26も、印刷部22と同一の構成である。
印刷部22は、非真円の版胴本体35の周面に巻かれる刷版36の巻き始め端縁と巻き終わり端縁を固定してなる版胴と、刷版36に対して画線部以外の部分に浸し水を与える浸し装置37と、刷版36に対して接触回転して画線部にインキを供給するインキング装置38と、刷版36に接触して転がり回転するブランケット胴39と、ブランケット胴39の円周部に対して印圧を加えて転がり回転する圧胴40を有し、刷版36の画線部に供給するインキをブランケット胴39に転移しさらにブランケット胴39と圧胴40の間に通す被印刷対象のウエブWに転移・印刷するように構成されている。
【0017】
インキング装置38は、インキつぼに供給されるインキを、インキローラ群に順次転移する過程で適度に練った後、インキ着けローラを介しインキ被膜として刷版36へ転移供給する。
刷版36は、例えばアルミニューム板にジアゾ乳剤を主成分とするネガ型感光剤をコートしてなるPS版であり、画像焼付けして非画線部(アルミ地肌面)が親水性であり、画線部のレジスト面が親油性である。
刷版36は、画線部に転写されたUVインキをブランケット胴39の外周面に転写し、さらに、ブランケット胴39は、転写されたUVインキを圧胴40との間に挟まれて走行するウェブWへ転写して印刷を行う。
【0018】
印刷部22〜26は、5色刷りの間欠輪転オフセット印刷装置を構成しており、版胴とブランケット胴39は、非真円(円周の一側が凹んでいる)、圧胴40は真円である。
グリップロール28,29は、刷版36とブランケット胴39と圧胴40とが一回転よりも小さい一定角度で往回転方向に転がり回転して印刷を行うとき、同期して回転してウエブWを一定ストローク前方へ送り、そして、ブランケット胴39の扁平部が圧胴40側に来て圧胴40から離れるときには、前記一回転よりも小さい一定角度で復回転してウエブWを前方へ送るストロークよりも短いストロークだけ戻すようになっている。間欠輪転オフセット印刷装置は、これを反復することにより、リピート長の小さい印刷を行う。
【0019】
図3は版胴の概略拡大断面図である。
この実施形態の版胴は、版胴本体35の一側に版胴本体円Sよりも所要凹んでいる段差平面の刷版固定部35aを有し、この刷版固定部35aの一側に第1固定手段50を設けると共に、この刷版固定部35aの他側に第2固定手段60を設け、刷版36の巻き始め端36aを第1固定手段50で固定して,この版胴本体35に刷版36を巻いていき,第2固定手段60で刷版36に緊張を与えて巻き終わり端36bを固定するように構成されている。
【0020】
この第1固定手段50は、前記刷版固定部35aに形成された平滑面51と、この平滑面51の版胴本体35周面に近い位置にこの平滑面51により僅少寸法高く形成された段差凸部52と、前記平滑面51の段差凸部52に寄った位置に突出していて前記版胴本体35の一母線方向に離れた複数の位置決めピン53と、前記位置決めピン53よりも前記段差凸部52に対して離れた位置に平滑面51より突出していて前記版胴本体35の一母線方向に離れた複数のスタッドボルト54と、前記位置決めピン53及び前記スタッドボルト54に精密に嵌合して上下に案内される外方から挟圧する爪55と、この爪55を前記平滑面51へ密着する方向に移動させて固定状態にする締付ナット56と座金57とばね座金58と、爪55を持ち上げるばね59とを有して構成されている。スタッドボルト54は、リーマボルトであることが好ましい。位置決めピン53は、耐磨耗性が大きく、防錆性が大きい材料を用いることが好ましい。
【0021】
この第1固定手段50は、締付ナット56を弛めるとばね59の付勢により爪55を持ち上げることができ、爪55と平滑面51との間に1.5mm位の隙間を空けると、この隙間に刷版36の巻き始め端を差込むことができる。刷版36の巻き始め端に形成した複数の位置決め用切り欠き36cを位置決めピン53にぴったり係合させると、刷版36の巻き始め端の精密な位置決めを行うことができる。位置決め用切り欠き36cが位置決めピン53から離れないように刷版36を手で抑えて、締付ナット56を締め付けると、刷版36の位置決めが完了し、精密な位置決めができる。
締付ナット56を締め付けると、段差凸部52と爪55とで刷版36の巻き始め端36aに段差部36cを折り曲げ形成することになり、刷版36の巻き始め端36aを爪55と平滑面51とで挟圧して固定することができる。前記段差部36cが形成されることで、刷版36の巻き始め端36aは、外方へ引き出そうとする外力が強く働いても、爪55と平滑面51とによる刷版36の巻き始め端36aの挟圧固定に段差部36cでの抵抗が加わり、刷版36の巻き始め端36aの固定がずれることがなく、精密な位置決めが保障される。
【0022】
図5は、第2固定手段60を示す。
第2固定手段60は、母線方向に延びた深いスリット61aを有する回転可能なリール軸61と、このリール軸61の回転を固定するリール軸固定手段としてワンウエイクラッチベアリング62とを有してなる。
前記リール軸61は、版胴本体35の内部に孔軸を版胴本体の軸方向に合わせて形成されかつ刷版固定部35aに一側が開いている孔35bに収容されている。
前記リール軸61は、版胴本体35に両端面に形成した軸穴に嵌合したベアリング63,63に両端の軸端部61b、61cが嵌挿され、ベアリング63,63を介して版胴本体35に両端支持された状態に収容されている。
【0023】
そして、一端に鍔部を有する薄肉なスリーブ状に形成され鍔部を除く部分の外面がテーパ面となっていてかつ母線方向に延びるスリットを円周方向に複数配設してなる締付リング64がワンウエイクラッチベアリング62のベアリング外輪62aに被さって、この締付リング64の鍔部を版胴本体35の端面に挟み付ける連結リング65が版胴本体35に螺合されていることにより、ベアリング外輪62aは、締付リング64内に回転可能に収容されている。
さらに、ねじ締めリング65の内側に締付ナット66をねじ込むように構成されていて、締付ナット66をねじ込んで行くと、締付ナット66に形成したテーパ内面が前記締付リング64のテーパ外面と摺接してこのテーパ外面を縮径していくので、ワンウエイクラッチベアリング62のベアリング外輪62aを締付固定することができ、反対に、締付ナット66のねじ込みを弛めればベアリング外輪62aの締付固定を解除することができる。
【0024】
このワンウエイクラッチベアリング62は、ベアリング外輪62aを締付固定した状態において、ベアリング内輪62bが回転できる方向が、リール軸61が刷版36を巻き込み回転する方向と一致している。
そうして、リール軸61は、ワンウエイクラッチベアリング62よりも側方に延びる角軸部61dを有していて、この角軸部61dをレンチを嵌合してこのレンチを回すことでリール軸61を刷版36を巻き込み回転する方向に回転させることができる。
従って、第2固定手段60は、リール軸61のスリット61aに刷版36の45°に折り返し加工を施した巻き終わり端36bを差込んで図3に示すように刷版36が版胴本体35に対して弛んでいて密着していない状態から、レンチ(図示しない)を角軸部61dに嵌合してこのレンチを手回しすることにより、図4に示すように、リール軸61で刷版36を巻き込んで、この刷版36を版胴本体35に対して密着し緊張状態とすることができて、レンチから手を離すとワンウエイクラッチベアリング62の機能によりリール軸61が反巻き込み方向には回転不能となるように構成されている。
【0025】
上記実施形態の間欠輪転オフセット印刷装置によれば、位置決めピン53に刷版36の巻き始め端36aに形成した位置決め用切り欠き36cを係合させるだけで位置決めが行えて、段差凸部52と爪55とで刷版36の巻き始め端36aに段差部36dを折り曲げ形成して刷版36の巻き始め端36aを爪55と平滑面51とで挟圧して固定することができるので、刷版36の巻き始め端36aの固定を無理なく極めて強固に確実に行えるから、刷版36を巻き終わり端36b側で引っ張って刷版に十分な緊張を与えても刷版36の巻き始め端36aの固定がずれることがなく精密が位置決めが保障される。
【0026】
こうして、刷版36の巻き始め端36aを第1固定手段50で固定してから、刷版36を版胴本体35に巻き付けて行き、ワンウエイクラッチベアリング62のベアリング外輪62aを締付固定してから、刷版36の巻き終わり端36bをリール軸61のスリット61aに差込んでから、リール軸61を巻き込み回転していく。刷版36は、リール軸61に巻かれて行き、緊張を与えられて版胴本体35に密着する。そこで、リール軸61の巻き込み回転を停止すると、ワンウエイクラッチベアリング62の働きでリール軸61は戻り回転せずに停止したままとなり、刷版36を版胴本体35に緊張密着した状態に維持できる。
【0027】
刷版36を取り外す際には、ワンウエイクラッチベアリング62のベアリング外輪62aの締付固定を解除すると、リール軸61をレンチで戻り回転させることができるので、リール軸61に形成されたスリット61aを刷版固定部35aへ対向させることができ、刷版36を取り外しすることができる。
【0028】
上記のように、上記実施形態の間欠輪転オフセット印刷装置によれば、第1固定手段50と第2固定手段60とで刷版36を版胴本体35に巻き付けて、上記のように印刷を行い、印刷終了後は、第1固定手段50と第2固定手段60を弛めて次に印刷するために使用する刷版と交換する。
従って、刷版の取り付け時間を短縮できる。従って、刷版の位置合わせを極めて正確に簡単にできると共に、刷版の版胴本体への巻き付けも極めて簡単に行うことができて、刷版の交換を短時間に行うことができるから、小ロットの印刷ニーズに合わせて印刷装置の稼働率を上げることができる。
【0029】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない範囲の種々の設計変更を含むものである。
ブランケット胴39について、版胴とほぼ同一の構成としてブランケット(ゴム)をブランケット胴本体に巻き付ける構成とした場合も含む。
爪55を締め付ける手段は、スタッドボルト54と締付ナット56の組み合わせに限定されない。爪55を締め付ける手段として、倍力リンク機構などを用いても良い。また、上記実施形態では、版胴本体35にリーマ孔を開けて位置決めピン53を強制嵌入しているが、爪55に一体に設けて、版胴本体35にリーマ孔にスライド可能に嵌合していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の間欠輪転オフセット印刷装置を全体正面図を示す。
【図2】図1における印刷部の概略拡大図である。
【図3】刷版が弛んでいる版胴の概略拡大断面図である。
【図4】刷版が緊張している版胴の概略拡大断面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】従来の版胴の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0031】
35 版胴本体
35a 刷版固定部
35b 孔
36 刷版
36a 刷版の巻き始め端
36b 刷版の巻き終わり端
50 第1固定手段
51 平滑面
52 段差凸部
53 位置決めピン
54,56 スタッドボルト、締付ナット(締付手段)
55 爪
60 第2固定手段
61 リール軸
62 ワンウエイクラッチベアリング(リール軸固定手段)
62a ベアリング外輪
62b ベアリング内輪

【出願人】 【識別番号】505414126
【氏名又は名称】アルテックエーピーエス株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100081248
【弁理士】
【氏名又は名称】大沼 浩司


【公開番号】 特開2008−18591(P2008−18591A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191294(P2006−191294)