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【発明の名称】 印刷装置のスキージ、印刷装置および印刷方法
【発明者】 【氏名】楠木 寿幸

【氏名】佐藤 貴士

【氏名】須沢 英樹

【要約】 【課題】掻き取り性が良く、製作容易で安価な印刷装置のスキージを提供する。

【構成】本発明は、先端部22aを、基板W上に配置されたステンシル7の表面に沿って摺動させることによりステンシル7上のペーストを拡張して基板Wに塗布するようにした印刷装置のスキージを対象とする。本発明のスキージは、鉄鋼製の展伸材によって構成され、先端部22aが、その片面のみに機械加工による凹段部22cが設けられて薄肉状に形成され、その薄肉状先端部22aにおける厚みTaが40〜120μmに設定されるとともに、長さLaが0.5mm以上に設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷装置のスキージであって、
鉄鋼製の展伸材によって構成され、
前記先端部が、その片面のみに機械加工による凹段部が設けられて薄肉状に形成され、
その薄肉状先端部における厚みが40〜120μmに設定されるとともに、長さが0.5mm以上に設定されたことを特徴とする印刷装置のスキージ。
【請求項2】
スキージの先端部を、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷装置であって、
前記スキージが、鉄鋼製の展伸材によって構成され、
前記スキージの先端部が、その片面のみに機械加工による凹段部が設けられて薄肉状に形成され、
その薄肉状先端部における厚みが40〜120μmに設定されるとともに、長さが0.5mm以上に設定されたことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
スキージの先端部を、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷方法であって、
前記スキージとして、
鉄鋼製の展伸材によって構成され、
先端部が、その片面のみに機械加工による凹段部が設けられて薄肉状に形成され、
その薄肉状先端部における厚みが40〜120μmに設定されるとともに、長さが0.5mm以上に設定されたものを用いることを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ステンシル上のペーストを拡張して基板に印刷するようにした印刷装置のスキージ、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷位置にセットした基板にスクリーン印刷用のステンシル(マスク)を重装し、ステンシル上に供給したクリーム半田などのペーストをスキージにより掻き取りながら拡張させることにより、ステンシルに形成された開口部(パターン孔)を介して基板の所定位置にペーストを印刷(塗布)するようにしたスクリーン印刷装置は周知である。
【0003】
このような印刷装置において、例えば特許文献1に開示されるものは、スキージのクリーム半田掻き取り用先端部を基端部よりも薄肉に形成することにより、スキージ先端部の曲げ弾性係数を大きくして、スキージ先端部のステンシルに対する追随性を向上させるようにしている。この印刷装置では、基板上のステンシルにうねり(撓み)がある場合であっても、スキージによるクリーム半田の掻き残しなどの掻き取り不良を減少させることができる。
【特許文献1】特開平8−112892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、基板上にクリーム半田を塗布する場合において、たとえばCSP(chip scale package)や極小電子部品チップを搭載する位置には、狭ピッチの印刷パターンで塗布する必要があり、クリーム半田の塗布量を他の部分よりも少なくすることが望まれる。このような場合、従来では、CSP搭載位置に対応する部分(CSP部)の肉厚が薄く形成されたステンシル(ハーフエッチングマスク)を用いて、印刷する方法が多く採用されている。
【0005】
ところが、ハーフエッチングマスクは、CSP部などの半田パターンにおいて半田容積を少なくするため、ステンシルの厚みより薄い厚みのマスク部を形成すべくエッチングが施されている(ハーフエッチング)。すなわちCSP部などの部位は、まわりの部分に対し窪み部とされている。印刷により半田パターンを基板上に形成するためには、窪み部のない部分においても、窪み部においてもマスク表面にスキージを当接させる必要がある。しかし、ハーフエッチング部の窪み部においては特に、マスク表面に沿ってスキージを正確に当接、追随させることが困難である。このため上記特許文献1に示す従来のスキージのように単に、スキージ先端部を薄くして曲げ弾性を大きくするだけでは、スキージのステンシルに対する追従性を十分に確保できず、良好な掻き取り性を得ることは困難であるという問題があった。
【0006】
また上記特許文献1のスキージは、それ自体の厚みが薄いにもかかわらず、先端部をさらに極薄に加工するものであるため、高精度の微細加工技術を用いて製作する必要があり、製作が困難になるばかりか、コストも増大するという問題を抱えている。
【0007】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、良好な掻き取り性を得ることができるとともに、製作が容易でコストを削減できる印刷装置のスキージ、さらにそのスキージを用いた印刷装置および印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記の手段を提供する。
【0009】
[1] 先端部を、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷装置のスキージであって、
鉄鋼製の展伸材によって構成され、
前記先端部が、その片面のみに機械加工による凹段部が設けられて薄肉状に形成され、
その薄肉状先端部における厚みが40〜120μmに設定されるとともに、長さが0.5mm以上に設定されたことを特徴とする印刷装置のスキージ。
【0010】
[2] スキージの先端部を、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷装置であって、
前記スキージが、鉄鋼製の展伸材によって構成され、
前記スキージの先端部が、その片面のみに機械加工による凹段部が設けられて薄肉状に形成され、
その薄肉状先端部における厚みが40〜120μmに設定されるとともに、長さが0.5mm以上に設定されたことを特徴とする印刷装置。
【0011】
[3] スキージの先端部を、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷方法であって、
前記スキージとして、
鉄鋼製の展伸材によって構成され、
先端部が、その片面のみに機械加工による凹段部が設けられて薄肉状に形成され、
その薄肉状先端部における厚みが40〜120μmに設定されるとともに、長さが0.5mm以上に設定されたものを用いることを特徴とする印刷方法。
【発明の効果】
【0012】
上記発明[1]にかかる印刷装置のスキージによると、スキージ先端部を薄肉状に形成して、適度な曲げ弾性を得ることができるため、スキージ先端部をステンシルの表面に正確に追従させて摺動させることができ、ペーストの掻き残しを減少できて、良好な掻き取り性を得ることができる。すなわち、マスクにおける半田パターン孔内に半田を確実に充填できるとともに、半田をマスク表面の半田パターン上に残さず、これにより印刷される半田の高さが正確にマスク膜厚分となる半田パターンが基板上に形成できる。さらにスキージ先端部の片面のみに機械加工を施すだけものであるため、両面に機械加工を施す場合と比較して、加工を容易に行える。従ってスキージ製作を容易に行えるとともに、コストも削減することができる。
【0013】
上記発明[2]によると、上記と同様に、同様の効果を奏する印刷装置を提供することができる。
【0014】
上記発明[3]によると、上記と同様に、同様の効果を奏する印刷方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1はこの発明の一実施形態にかかるスクリーン印刷装置を示す全体構成図である。同図に示すようにこの印刷装置は、基台1を有する印刷装置本体2と、プリント基板Wを支持する基板支持ユニット3と、この基板支持ユニット3に対し基板Wを搬入し搬出する一対のコンベア3A,3Aと、を備えている。
【0016】
基板支持ユニット3は、基台1上に設置される昇降回転テーブル4を有している。この昇降回転テーブル4は、図外の移動機構により、コンベア3Aによる基板Wの搬送方向であるX軸方向(図1の紙面に対し直交する方向)、X軸方向に対し水平面内で直交するY軸方向(図1の左右方向)、Z軸方向(上下方向)およびR軸方向(Z軸周りの回転方向)に移動可能に支持されている。
【0017】
印刷装置本体2には、前方(図1の左方)に向かって開放された平面視コ字型のフレーム2bが設けられ、このフレーム2bが基台1の四隅に立設された支柱2aを介して基台1に支持されている。
【0018】
フレーム2bにはステンシル7が固定される。すなわちステンシル7は、その全周が枠部材8により保持されており、この枠部材8がボルト等の固着具によりフレーム2bに固定されている。
【0019】
さらにステンシル7の上方には、スキージ機構5が配置されている。このスキージ機構5は、左右両側(図1の紙面に直交する方向の両側)のフレーム2b上にそれぞれ固定されるY軸方向のレール部材5aと、両レール部材5aに跨った状態で装着され、図外の移動手段の駆動によりレール部材5aに沿って移動する桁部材5bと、ステンシル7上にクリーム半田を供給する半田供給装置(図示省略)と、ステンシル7上のクリーム半田を掻き取りつつ拡張させるための一対のスキージ22,22と、桁部材5bに設けられ、かつ一対のスキージ22,22をそれぞれ昇降駆動するスキージ昇降手段10と、を基本的な構成要素として備えている。
【0020】
各スキージ22,22は、スキージ機構5内において後に詳述するようにそれぞれスキージホルダー20(図2参照)に保持されている。
【0021】
また基台1上における基板支持ユニット3の側方には、クリーニングユニット16が設置されている。このクリーニングユニット16は、装置中央(Y軸方向中央)に設けられる印刷位置と基台1の側方部の待機位置(図1の実線で示す位置)との間を移動可能に設けられている。このクリーニングユニット16は、基板支持ユニット3に対して連結可能に構成されており、必要に応じて基板支持ユニット3に連結されることにより基板支持ユニット3と共に印刷位置と待機位置との間を移動できるよう構成されている。
【0022】
以上の構成の印刷装置においてはまず、昇降回転テーブル4の作動により基板支持ユニット3が所定の基板受け入れ位置にセットされ、コンベア3Aに沿って搬送されてくる基板Wが基板支持ユニット3上に受け渡される。
【0023】
次いで、基板支持ユニット3がステンシル7の下側に移動してステンシル7に対する基板Wの水平方向(X,Y方向)および回転方向(R方向)の位置決めが行われるとともに、基板Wが持ち上げられて、基板Wがステンシル7の印刷領域における裏面側に重ね合わされ、その状態で所定の印刷位置にセットされる。
【0024】
こうして基板Wがセットされると、スキージ機構5の作動によりスキージ22,22が水平面内における所定の作業開始位置に配置されるとともに、スキージ昇降手段10の作動によりスキージ22,22が所定の高さ位置、つまりスキージ22,22の先端部がステンシル7に当接する高さ位置にセットされる。そして上記半田供給装置からステンシル7上にクリーム半田が供給された後、スキージ機構5によりスキージ22,22が駆動される。これによりスキージ22,22がY軸方向に往復移動しながら交互にステンシル7の表面に沿って摺動して、クリーム半田がスキージ22,22により掻き取られてステンシル7の表面に沿って拡張される。こうしてステンシル7に形成された開口部(パターン孔)にクリーム半田が充填されて、クリーム半田が基板上の所定の位置に塗布(印刷)される。
【0025】
基板上にクリーム半田が塗布された後、スキージ昇降手段10によりスキージ22,22が上昇して元の位置にリセットされて、基板支持ユニット3が基板送り出し位置に移動し、コンベア3Aに沿って基板Wが搬出されることにより、一つの基板Wに対し一連の印刷動作が終了することになる。
【0026】
なお、所定回数の印刷動作が行われると、クリーニングユニット16と基板支持ユニット3が連結され、クリーニングユニット16が待機位置から印刷位置に引き出されることによりステンシル7のクリーニングが行われる。
【0027】
次に本実施形態で使用されるスキージ22およびその周辺構造について詳細に説明する。図2は本実施形態の印刷装置におけるスキージ機構5のスキージ周辺を拡大して示す断面図である。同図に示すようにスキージ22は、スキージホルダー20に保持されており、このスキージホルダー20を介してスキージ昇降手段10(図1参照)に着脱可能に取り付けられている。なお本実施形態の印刷装置には、2つのスキージ22,22が設けられているが、各スキージ22,22の周辺構造は、実質的に同様であるため、以下の説明では、一方のスキージ22とその周辺構造についてのみ説明することにより、重複説明は省略する。
【0028】
図2〜4に示すように、スキージ22は、X軸方向に延びる細長の長方形の形状を有している。
【0029】
スキージ22は、クリーム半田掻き取り用の先端部22aと、先端部22aよりも後側(上側)の部分(基端部22b)とを有している。先端部22aは、その裏面側(片面側)のみが、切削、研削などの機械加工が施されることにより、その裏面側にのみ凹段部22cが形成されて、先端部22aが薄肉状に形成されている。これによりスキージ22の表面側(非加工面側)は、その薄肉状先端部22aから基端部22bにかけて連続する平坦面に形成される一方、裏面側(加工面側)は、先端部22aおよび基端部22b間に段差が形成され、かつ先端部22aに凹段部22cが配置された段付き面に形成されている。
【0030】
ここで本実施形態において、薄肉状先端部22aの肉厚Taは、40〜120μmに設定するのが良く、好ましくは90μm以下、より好ましくは70μm以下に設定するのが良い。すなわち後述の実験例によって明確に示されるように、この肉厚Taが上記特有の範囲内に設定される場合には、薄肉状先端部22aに十分な曲げ弾性を付与することができ、たとえばスキージ先端部22aをハーフエッチングマスク上に摺動させた場合、ハーフエッチング部の窪み部のマスク表面にも確実に当接でき、マスク表面に沿って確実に追従して、良好な掻き取り性を得ることができる上、所定の強度を確保できて、十分な耐久性も得ることができる。換言すれば、肉厚Taが厚過ぎる場合には、曲げ弾性が不足して、ステンシルに対する追従性が低下し、クリーム半田の掻き残しなどの不具合が生じて、良好な掻き取り性を得ることが困難になる。さらに肉厚Taが薄過ぎる場合には、機械的強度が低下して、破損や劣化が生じやすくなり、耐久性も低下するおそれがある。
【0031】
また薄肉状先端部22aの長さ(凹段部22cの長さ)Laは、0.5mm以上に設定するのが良く、より好ましくは3.0mm以下に設定するのが良い。すなわち後述の実験例によって明確に示されるように、この長さLaが上記特有の範囲内に設定される場合には、上記と同様に、箔肉状先端部22aに十分な曲げ弾性を得ることができ、良好な掻き取り性(すなわち薄肉マスク部における半田パターン孔内には半田を確実に充填できるとともに、半田をマスク表面の半田パターン上に残さず、これにより印刷される半田の高さが正確にマスク膜厚分となる半田パターンが基板上に形成できるという特性)を得ることができる上、所定の強度を確保できて、十分な耐久性を得ることができる。換言すれば、長さLaが短過ぎる場合には、曲げ弾性が不足して、良好な掻き取り性を得ることができないことがある。さらに長さLaが長過ぎる場合には、薄肉領域が広範囲に形成されるため、機械的強度が低下して、破損や劣化が生じやすくなり、耐久性も低下するおそれがある。
【0032】
またスキージ22の材質としては、冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板などの鉄鋼製の展伸材を用いることができ、たとえば耐摩耗性、靱性に優れて、熱間、冷間で圧延されて製造されたスウェーデン鋼やステンレス鋼などの鋼板を好適に用いることができる。なおスウェーデン鋼を用いる場合には、機械加工によりスキージ先端部22aを薄肉状に形成した後に、Ni−P/SiCメッキなどのメッキを施すようにする。
【0033】
一方図2に示すように、スキージ22を保持するスキージホルダー20は、スキージ22に対する合わせ面21を下側に持つホルダー本体20aと、スキージ22を固定するための固定板20bとを有している。そしてホルダー本体20aの合わせ面21にスキージ22の基端部裏面側を重ね合わせ、さらにスキージ22の基端部表面側に固定板20bを重ね合わせた状態で、ホルダー本体20のボルト孔24にボルト26を挿入して、固定板20bのねじ切り孔25に螺着することにより、スキージ22をその板厚方向にホルダー本体20aおよび固定板20bで挟持して固定できるよう構成されている。
【0034】
なおスキージホルダー20におけるホルダー本体20aおよび固定板20bは、共にアルミニウム合金等の軽金属から構成されており、スキージ22をその長手方向にわたって保持し得るようにX軸方向に細長の形状を有している。
【0035】
スキージホルダー20のホルダー本体20aの上部には、スキージ昇降手段10に対する当接面27が形成されており、図2に示すように、この当接面27を取付板12の取付面12aに当接させた状態で、この取付板12のボルト孔にボルト28を挿入して、ホルダー本体20aの当接面27にねじ込むことにより、スキージ昇降手段10に対してスキージホルダー20が固定される。こうして、スキージ22がスキージホルダー20を介してスキージ昇降手段10に固定されている。
【0036】
なお本実施形態では、スキージ22の先端部22aにおける表面側(非加工面側)を、掻き取り面とし、その掻き取り面を前面側にして図2に示すようにスキージ22を前傾姿勢に配置した状態でステンシル7の表面に沿って摺動させるものである。
【0037】
以上の構成のスキージ22を備えた本実施形態の印刷装置においては、ステンシル7として、部分的に窪んだCSP部などのハーフエッチング部を有するハーフエッチングマスクを採用する場合であっても、スキージ22の薄肉状先端部22aをステンシル7の表面に倣って正確に摺動させることができ、良好な掻き取り性を得ることができる。
【0038】
すなわち通常のスキージによりクリーム半田をハーフエッチングマスクに沿って移動させる際には、スキージ先端部の曲げ弾性が不十分であるため、CSP部などの窪み部においては、スキージ先端部が確実に入り込まず、クリーム半田の掻き残しが生じ、塗布されるクリーム半田の過不足による印刷不良が生じることがある。
【0039】
これに対し、本実施形態の印刷装置では、スキージ先端部22aを薄肉に形成しているため、スキージ先端部22aに良好な弾力性および柔軟性を付与することができる。このためスキージ22をハーフエッチングマスクに沿って摺動させた際に、スキージ先端部22aがCSP部に確実に入り込み、クリーム半田の掻き残しを著しく減少させることができ、過不足なく半田を基板W上に塗布できる。従って高精度に印刷でき、高い品質を得ることができ、ひいては実装機において、極小の電子部品を精度良く実装できて、高品質の実装基板を提供することができる。
【0040】
また本実施形態においては、スキージ先端部22aをその片面側(裏面側)のみに機械加工を施して薄肉状に形成するものであるため、薄肉加工を容易に行うことができる。すなわちスキージ先端部22の裏面側のみを機械加工するものであるため、非加工面としての表面側を加工時に基準面(支持面)としながら、裏面側を加工することができ、機械加工を精度良く行うことができ、肉厚の管理を精度良く簡単に行うことができる。このように加工を精度良く簡単に行うことができるため、スキージ22の製作を容易に行えるとともに、コストも削減することができる。さらにスキージ先端部22の片面のみに機械加工を施すものであるため、片面に1回加工するだけで薄肉作業を完了でき、たとえば両面にそれぞれ計2回の加工を行う場合と比較して、スキージ22の製作をより一層簡単に行えて、より一層製作コストを削減することができる。
【0041】
また、スキージ先端部22aにおける肉厚の管理を精度良く行えるため、寸法精度の高いスキージ22を確実に製作することができ、生産されるスキージ毎に品質のばらつきを無くすことができ、より一層品質を向上させることができる。
【0042】
また本実施形態においては、スキージ先端部22aの非加工面側を前面側として、スキージ22をステンシル7上に摺動させるものであるため、スキージ22の耐久性をさらに向上させることができる。すなわちスキージ先端部22aにおける凹段部22c側の面(加工面)を前面側として、スキージ22をステンシル7上に摺動させた際には、その摺動時の抵抗によってスキージ先端部22aは非加工面側(表面側)に湾曲するように撓むが、この撓みによって、図4に示すようにスキージ22の凹陥部22cにおける先端部22aと基端部22bとの間の入隅部22dを拡開するような引張応力(引き裂き応力)が発生する。このような引張応力が作用すると、入隅部22dに亀裂が生じて、スキージ22が早期劣化して耐久性の低下を来すようになる。
【0043】
これに対し本実施形態では、スキージ先端部22aの非加工面側(表面側)を前面側として、スキージ22をステンシル7上に摺動させるものであるため、摺動時の抵抗によってスキージ先端部22aは加工面側(裏面側)に湾曲するように撓む。このためスキージ22の凹段部22cにおける先端部22aと基端部22bとの間の入隅部22dには、その入隅部22dを閉じるような圧縮応力が発生する。従って入隅部22dに亀裂が発生するのを有効に防止することができ、スキージ22の早期劣化を防止できて耐久性を向上させることができる。
【0044】
<実験例1>
以下に、本発明のスキージにおける数値限定の技術的意義に関する実験例について説明する。
【0045】
ステンレス鋼(SUS420)に、10μmの厚さでNi/Pメッキが施されたスキージ材料(横長さ351.5mm、高さ40mm、厚さ0.22mm)に対し、下端縁(先端部)の片面側(裏面側)のみを機械加工により削ることにより、薄肉状先端部を有するスキージサンプルを準備した。この場合、薄肉状先端部の肉厚Taを40〜140μmの範囲内で10μmずつ変化させたスキージサンプルをそれぞれ準備した。なお各スキージサンプルの薄肉状先端部の長さLaは1.5mmで一定に設定した。
【0046】
そして上記実施形態と同様の印刷装置に、ハーフエッチングマスクをセットした状態で、上記の各スキージサンプルを順次セットして、印刷処理を順次行った。
【0047】
なお印刷装置にセットされるハーフエッチングマスクのCSP部における大きさ(面積)は15mm×15mmであり、段差(窪み深さ)は50μmであった。
【0048】
こうして印刷処理を行って、各スキージサンプル毎に、CSP部におけるクリーム半田掻き残し厚み(μm)を測定し、図5に示すようにスキージの薄肉状先端部肉厚(μm)と、半田掻き残し厚み(μm)との関係をグラフで表示した。
【0049】
同グラフから明らかなように、薄肉状先端部の肉厚Taが120μm以下のスキージを用いた場合には、半田掻き残し厚みが極端に減少しているのが判る。つまり、スキージ先端部がCSP部に確実に入り込んで、クリーム半田を正確に掻き取ることができ、高精度に印刷できるものである。特に薄肉状先端部の肉厚が90μm以下のスキージを用いた場合には、半田掻き残し厚みが著しく減少し、さらに70μm以下のスキージを用いた場合には、半田掻き残し厚みが実質的に認められず、良好な掻き取り性を得ることができた。
【0050】
<実験例2>
上記と同様のスキージ材料を同様に加工して、薄肉状先端部の長さLaを0.1〜3.3mmの範囲内で0.1mmずつ変化させたスキージサンプルをそれぞれ準備した。なお各スキージサンプルの薄肉状先端部の肉厚Taは50μmで一定に設定した。
【0051】
そして上記と同様に、各スキージサンプルを用いて印刷処理を行って、各スキージサンプル毎に、CSP部におけるクリーム半田掻き残し厚み(μm)を測定し、図6に示すように、スキージの薄肉状先端部長さ(mm)と、半田掻き残し厚み(μm)との関係をグラフで表示した。
【0052】
同グラフから明らかなように、薄肉状先端部の長さLaが0.5mm以上のスキージを用いた場合には、半田掻き残し厚みが実質的に認められず、スキージ先端部CSP部に確実に入り込んで、クリーム半田を正確に掻き取ることができ、高精度に印刷できるものである。
【0053】
以上の実験例1,2を総合して評価すると、印刷装置の半田掻き取り用のスキージとして、薄肉状先端部における厚みTaが120μm以下、好ましくは90μm以下、より好ましくは70μm以下に設定され、かつ、長さLaが0.5mm以上に設定されたものを用いた場合には、ステンシル上のクリーム半田をムラなく正確に掻き取ることができ、良好な掻き取り性を得ることができるのが判る。
【0054】
なお上記実験例には示していないが、薄肉状先端部の厚みが40μm未満のスキージにおいては、薄肉状先端部の厚みが薄くなり過ぎて、機械的強度が低下して、薄肉状先端部の破損や劣化が生じやすくなり、十分な耐久性を得ることが困難であった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の一実施形態にかかるスクリーン印刷装置を示す全体構成図である。
【図2】実施形態の印刷装置におけるスキージ周辺を拡大して示す断面図である。
【図3】実施形態の印刷装置に適用されたスキージを示す裏面図である。
【図4】実施形態におけるスキージの薄肉状先端部を拡大して示す側面図である。
【図5】この発明に関連した実験例のスキージにおいて薄肉状先端部の肉厚と半田の掻き残し厚みとの関係を示すグラフである。
【図6】この発明に関連した実験例のスキージにおいて薄肉状先端部の長さと半田の掻き残し厚みとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
7 ステンシル
22 スキージ
22a 薄肉状先端部
22c 凹段部
La 先端部長さ
Ta 先端部肉厚
W プリント基板
【出願人】 【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁

【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義


【公開番号】 特開2008−6699(P2008−6699A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179286(P2006−179286)