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【発明の名称】 ゴム複合体及びそれを用いたタイヤ
【発明者】 【氏名】迎 宇宙

【氏名】三角 和彦

【氏名】島田 卓

【要約】 【課題】硫黄架橋されたジエン系ゴムを含むゴム組成物からなる隣接したゴム組成物同士の配合剤、特に硫黄の濃度差に由来する問題点を新規原材料及び部材を用いること無しに改良したゴム複合体及びそれを用いたタイヤを提供する。

【構成】少なくとも2層の部材から構成されるゴム複合体は、隣接する部材の硫黄の濃度差が、前記ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、1.5質量部以上であり、下記式(I)と下記式(II)に示す条件を満たす。 低硫黄濃度ゴム組成物の酸化亜鉛の配合量(質量部)>Sb×1.3+(Sa−Sb)×0.3・・・・・・・(I)[Saはゴム成分100質量部に対する高硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)、Sbは低硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)を示す。] 低硫黄濃度ゴム組成物の老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の配合量(モル)>0.005+(Sa−Sb)/2000・・・・・・(II)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄架橋されたジエン系ゴムを含むゴム組成物よりなる少なくとも2層の部材から構成されるゴム複合体において、前記ゴム複合体の隣接する部材の硫黄の濃度差が、前記ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、1.5質量部以上であって、隣接する部材のうち低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部対して、酸化亜鉛を下記式(I)かつ、低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を下記式(II)に示す条件を満たす量を配合することを特徴とするゴム複合体。
低硫黄濃度ゴム組成物の酸化亜鉛の配合量(質量部)>Sb×1.3+(Sa−Sb)×0.3・・・・・・・(I)
[式中、Saは高硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)、Sbは低硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)を示す。]
低硫黄濃度ゴム組成物の老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の配合量(モル)>0.005+(Sa−Sb)/2000・・・・・・(II)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
【請求項2】
前記低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する酸化亜鉛の配合量が下記式(III)かつ、低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を下記式(IV)に示す条件を満たす量を配合する請求項1に記載のゴム複合体。
低硫黄濃度ゴム組成物の酸化亜鉛の配合量(質量部)≧Sb×1.5+(Sa−Sb)×0.5・・・・・・・・(III)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
低硫黄濃度ゴム組成物の老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の配合量(モル)>0.005+(Sa−Sb)/1000・・・・・・(IV)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
【請求項3】
前記低硫黄濃度ゴム組成物に配合する老化防止剤又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の少なくとも50質量%がアミン系老化防止剤及び/又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジドの誘導体である請求項1又は2に記載のゴム複合体。
【請求項4】
前記低硫黄濃度ゴム組成物を構成するゴム成分の少なくとも50質量%がポリイソプレンである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム複合体。
【請求項5】
前記低硫黄濃度ゴム組成物を構成する補強性充填剤であるカーボンブラックの配合量がゴム成分100質量部に対して、50質量部以下である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム複合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のゴム複合体を外気に直接触れない部材として使用したことを特徴とするタイヤ。
【請求項7】
重荷重用タイヤである請求項6記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、硫黄架橋されたジエン系ゴムを含むゴム組成物の複合体関し、さらに詳しくは、複合体を構成する隣接したゴム組成物同士の配合剤の濃度差に由来する問題点を改良したゴム複合体及びそれを用いたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等に用いられる配合内容の異なったゴム組成物から構成される複合体では、通常配合薬品などの物質に濃度差が生じた場合、その濃度差を薄めようとして拡散・移行がおこる。この結果、部材間の界面近傍では、当初設定した配合組成からは逸脱したゴム組成物になっており、場合によっては想定した特性を示すことが出来ない場合もある。特に亀裂成長性や接着性等が低下し、その結果としてタイヤの耐久性に支障を来たすことがある。
例えば、隣接部材間で硫黄に濃度差が生じた場合、高硫黄配合ゴムから低硫黄配合ゴムへ硫黄が移行し、界面近傍の低硫黄配合ゴム内では、設定された硫黄の配合量よりも多くの硫黄が存在することになる。この結果、界面近傍では、硫黄−促進剤のバランスが崩れ、当初設定した期待通りの特性を生み出せないことになる。
【0003】
上記濃度差による具体的な問題としては、スチールコードを埋設するコーテイングゴムとその隣接ゴム間で発生し、その改善方法として多くの検討がなされている(例えば特許文献1〜2参照)。
スチールコーテイングゴムとスチールコードとの接着の熱による劣化は、硫化銅からなる接着層が熱を受けることでメッキ中から溶け出した亜鉛と反応し、接着層中に硫化亜鉛の層を形成し、接着力を低下させるものと考えられており、接着の耐熱寿命を向上させるためには、硫化銅の破壊を抑えて亜鉛の溶出を防ぐことが考えられ、そのためには、硫黄を多量に配合することが有効であると考えられる。
【0004】
スチールコードとそのコーテイングゴムとの接着の耐熱寿命を向上させるためにゴムに硫黄を多量に配合した場合、ゴムの破壊物性、特に耐熱劣化性を悪化させることになる。
また、一方では、隣接部材との硫黄配合量の差から硫黄が加硫中に該隣接部材に移行してしまい、コーテイングゴムの硫黄量をスチールコードとの接着の耐熱寿命向上のために増やした意味が無くなり、逆に隣接部材の耐熱性までも低下させてしまうことになる。しかしながら、スチールコードとコーテイングゴムとの接着の耐熱寿命向上を図るためにはコーテイングゴムの高硫黄配合は必須の条件であり、通常ゴム成分100質量部に対して、硫黄分として5〜10質量部配合される。
【0005】
特許文献1には、カーカス層とベルト層に隣接するクッションゴムに所定のポリスルフィドを配合し、コーテイングゴムからの硫黄の移行を抑制することでタイヤのカーカス層やベルト層におけるスチールコードとコーテイングゴムとの接着不良を解消し、タイヤの耐久性、故障寿命を向上させた、大型重荷重用タイヤ及びオフザロードタイヤが開示されている。
また、特許文献2には、ゴム組成物としてゴム成分100重量部に対して、カーボンブラック40〜70重量部、有機酸コバルト塩を0.1〜3.0重量部、特定の硫黄を含むシランカップリング剤と硫黄を総硫黄分で5〜10重量部含むことによってゴムの破壊物性に対する耐熱性と接着に対する耐熱性を両立させたゴム組成物及びタイヤについて開示されている。
【0006】
これらの特許文献に開示された技術は、隣接部材への硫黄の移行を抑制することで上記目的を達成することはできるが、特定の部材や原材料を使用しなければならずコスト面や管理面での問題が残る。
従って、特に新規原材料及び部材等を使用することなく、ゴム複合体における部材の中央部での特性と、隣接する他部材との界面近傍での特性に生じる差をできる限り押さえることが必要である。
【0007】
【特許文献1】特開2005−67358号公報
【特許文献2】特開2005−75888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、硫黄架橋されたジエン系ゴムを含むゴム組成物からなる隣接したゴム組成物同士の配合剤、特に硫黄の濃度差に由来する問題点を新規原材料及び部材を用いること無しに改良したゴム複合体及びそれを用いたタイヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、隣接部材間の硫黄濃度の差が特定量以上である複合体の低硫黄濃度ゴム組成物に特定の関係式により得られた量の酸化亜鉛及び老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を配合すること、すなわち、低硫黄濃度組成物側に移行した後の硫黄量を予測して酸化亜鉛及び老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を予め低硫黄濃度組成物に配合することによって、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 硫黄架橋されたジエン系ゴムを含むゴム組成物よりなる少なくとも2層の部材から構成されるゴム複合体において、前記ゴム複合体の隣接する部材の硫黄の濃度差が、前記ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、1.5質量部以上であって、隣接する部材のうち低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部対して、酸化亜鉛を下記式(I)かつ、低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を下記式(II)に示す条件を満たす量を配合することを特徴とするゴム複合体、
低硫黄濃度ゴム組成物の酸化亜鉛の配合量(質量部)>Sb×1.3+(Sa−Sb)×0.3・・・・・・・(I)
[式中、Saは高硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)、Sbは低硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)を示す。]
低硫黄濃度ゴム組成物の老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の配合量(モル)>0.005+(Sa−Sb)/2000・・・・・・(II)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
(2) 前記低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する酸化亜鉛の配合量が下記式(III)かつ、低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を下記式(IV)に示す条件を満たす量を配合する上記(1)のゴム複合体、
低硫黄濃度ゴム組成物の酸化亜鉛の配合量(質量部)≧Sb×1.5+(Sa−Sb)×0.5・・・・・・・・(III)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
低硫黄濃度ゴム組成物の老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の配合量(モル)>0.005+(Sa−Sb)/1000・・・・・・(IV)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
(3) 前記低硫黄濃度ゴム組成物に配合する老化防止剤又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の少なくとも50質量%がアミン系老化防止剤及び/又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジドの誘導体である上記(1)又は(2)のゴム複合体、
(4) 前記低硫黄濃度ゴム組成物を構成するゴム成分の少なくとも50質量%がポリイソプレンである上記(1)〜(3)いずれかのゴム複合体、
(5) 前記低硫黄濃度ゴム組成物を構成する補強性充填剤であるカーボンブラックの配合量がゴム成分100質量部に対して、50質量部以下である上記(1)〜(4)いずれかのゴム複合体、
(6) 上記(1)〜(5)いずれかのゴム複合体を外気に直接触れない部材として使用したことを特徴とするタイヤ、及び
(7) 重荷重用タイヤである上記(6)のタイヤ、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硫黄架橋されたゴム組成物からなる隣接したゴム組成物同士の配合剤、特に硫黄の濃度差に由来する問題点を新規原材料及び部材を用いること無しに改良したゴム複合体及びそれを用いたタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
先ず、本発明の複合体は、硫黄架橋されたジエン系ゴムを含むゴム組成物よりなる少なくとも2層の部材から構成されるゴム複合体において、前記ゴム複合体の隣接する部材の硫黄の濃度差が、前記ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、1.5質量部以上であって、隣接する部材のうち低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部対して、酸化亜鉛を下記式(I)かつ、低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を下記式(II)に示す条件を満たす量を配合することを要する。
低硫黄濃度ゴム組成物の酸化亜鉛の配合量(質量部)>Sb×1.3+(Sa−Sb)×0.3・・・・・・・(I)
[式中、Saは高硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)、Sbは低硫黄濃度ゴム組成物の硫黄の配合量(質量部)を示す。]
低硫黄濃度ゴム組成物の老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の配合量(モル)>0.005+(Sa−Sb)/2000・・・・・・(II)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
【0012】
本発明においては、ゴム複合体の隣接する部材の硫黄の濃度差が、前記ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、1.5質量部以上あることが必要である。ゴム複合体の隣接する部材の硫黄の濃度差が1.5質量部以上であると特に加硫時に高硫黄配合ゴムから低硫黄配合ゴムに硫黄が移行し、界面近傍での低硫黄配合内では、設定配合に比べてより多くの硫黄が存在することになり、この結果、界面近傍では、硫黄−促進剤のバランスが崩れ当初の期待通りの特性を生み出せないことになる。従って、低硫黄濃度組成物側に移行した後の硫黄量を予測して前記式(I)の条件を満たす加硫促進助剤である酸化亜鉛、かつ、前記(II)式の条件を満たす老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物を予め低硫黄濃度組成物に配合することによって、前記バランスが得られ、複合体における部材の中央部での特性と、隣接する他部材との界面近傍での特性に生じる差を抑え、耐久性の低下特に亀裂の成長を抑制することができる。
【0013】
さらに、前記低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する酸化亜鉛の配合量は下記式(III)で示す条件を満たす量を配合し、かつ、老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物は、下記式(IV)で示す条件を満たす量を配合することが好ましい。
低硫黄濃度ゴム組成物の酸化亜鉛の配合量(質量部)≧Sb×1.5+(Sa−Sb)×0.5・・・・・・・・(III)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
低硫黄濃度ゴム組成物の老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の配合量(モル)>0.005+(Sa−Sb)/1000・・・・・・(IV)
[式中のSa及びSbは式(I)に記載の内容と同じである。]
また、前記硫黄の濃度差の上限については特に制限はないが、通常、10質量部程度である。
さらに、前記(I)及び(III)式によって得られた酸化亜鉛の配合量の上限については特に制限は無いが、ゴム成分100質量部に対して、通常10質量部程度である。
また、前記(II)及び(IV)式によって得られた老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の上限については特に制限は無いが、ゴム成分100質量部に対して、通常、2×10-2 モル程度である。
【0014】
本発明に係わるゴム組成物を構成するジエン系ゴムとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム等のポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられるが、ポリイソプレンゴムが好ましく、天然ゴムが特に好ましい。また前記低硫黄濃度ゴム組成物を構成するゴム成分の50質量%以上がポリイソプレンゴムであることが好ましい。より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは100質量%である。ポリイソプレン使用量を上記範囲にすることによって酸化亜鉛や老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物等のゴム薬品に対する影響が制限されることがなく目的とする効果を十分得ることが出来る。
【0015】
前記低硫黄濃度ゴム組成物に配合する老化防止剤又はナフトエ酸ヒドラジド化合物としては特に制限は無く、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジドの各誘導体を用いることができるが、配合量の少なくとも50質量%がアミン系老化防止剤及び/又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体であることが好ましい。前記老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド化合物の低硫黄濃度ゴム組成物のゴム成分100質量部に対する配合量は前記式(II)又は式(IV)によって限定されるが、通常1.0×10-3 モル〜2.0×10-2 モルである。
【0016】
アミン系老化防止剤としては、特に制限はなく、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンとの反応物等のアミン−ケトン系老化防止剤;フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'− フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等の芳香族第二級アミン系老化防止剤;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(α−メチルベンジル)フェノール等のモノフェノール系老化防止剤などが挙げられる。中でも、耐亀裂成長性の優れる芳香族アミン系老化防止剤、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'− フェニル−p−フェニレンジアミンが好ましい。これらのアミン系老化防止剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0017】
また、ナフトエ酸ヒドラジド化合物は加硫戻りを低減する効果、発熱性を低減する効果が有る。
ナフトエ酸ヒドラジド化合物としては、例えば、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジドの各誘導体が挙げられる。3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体としては、例えば、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1-メチルエチリデン)ヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1-メチルプロピリデン)ヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1,3-ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1-フェニルエチリデン)ヒドラジド等の3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド等が挙げられる。これらの中でも、効果が顕著な点で、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体である3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド(BMH)が特に好ましい。
これらのナフトエ酸ヒドラジド化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良く、また、前記老化防止剤と併用して用いることができる。
【0018】
本発明においては、前記低硫黄濃度ゴム組成物を構成する補強性充填剤であるカーボンブラックの配合量はゴム成分100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは30〜45質量部である。
カーボンブラック使用量を上記範囲にすることによって酸化亜鉛や老化防止剤及び/又はナフトエ酸ヒドラジド等のゴム薬品に対する影響が制限されることが少なく目的とする効果を十分奏することが出来る。
カーボンブラックの種類については、特に制限されず、例えば、FEF、HAF、ISAF、SAF等を挙げることができる。
【0019】
また、本発明複合体をタイヤ用部材として用いる場合は、外気に直接触れない部材として用いることが、該複合体の効果を有効的に活用することができるため、特に好ましい。
前記複合体、特に低硫黄濃度ゴム組成物側を外気に直接触れるタイヤ用部材として使用した場合は、酸素劣化による物性低下の影響が大きく、本発明の効果が相対的に小さくなるためである。
【0020】
本発明のゴム複合体に用いられる低硫黄濃度ゴム組成物及び高硫黄濃度ゴム組成物には、上記諸成分と共に通常ゴム工業で用いられる、ステアリン酸、軟化剤、加硫促進剤、ワックス等の成分を本発明の効果を損なわない範囲において、適宜配合することができる。
これらのゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することによって得られ、常法によって複合体化され、成形加工後、加硫を行い、例えば、本発明の重荷重用タイヤの高硫黄濃度ゴム組成物であるスチールコードコーテイングゴム部材と隣接した低硫黄濃度ゴム組成物であるゴム部材との複合体としてとして用いられる。
【実施例】
【0021】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、各実施例、比較例における各種測定は下記により行なった。
実施例1〜5、比較例1〜5及び参考例1
<複合体の作製>
第1表に記載の配合組成に基づいて、常法により高硫黄濃度配合及び低硫黄濃度配合ゴム組成物を調製し、第2表に記載の高硫黄濃度配合及び低硫黄濃度配合ゴム組成物の組み合わせに従って、それぞれのゴムシート(厚み20mm)を作製した後、貼りあわせ、130℃×240分間加硫を行なってそれぞれのゴム複合体を得た。
【0022】
<複合体の評価>
出来上がったゴム複合体を窒素雰囲気の中、80℃、20日の条件で老化試験を行なった。
老化試験後のサンプルを貼りあわせ面に平行にスライスし、低硫黄濃度配合ゴム組成物中の界面から1mmと15mmの箇所のスライスゴム(厚み1.5mm)からサンプル打ち抜き、JIS K 6251:2004に基づいて切断時引張り応力(以後TSbと称することがある)を求めた。界面から1mmのサンプルを「界面近傍」、15mmのものを「内部」とした。
老化前及び老化後の切断時引張り応力は、各サンプルの「内部」のTSbを100とし、それに対する「界面近傍」のTSbの比をINDEX表示している。それぞれの数値の差が大きい程、ゴム複合体における部材の中央部でのTSbと、隣接する他部材との界面近傍でのTSbの差が大きいことを示す。評価結果を第2表に示す。
【0023】
【表1】


「注」
*1.天然ゴム:RSS#3
*2.カーボンブラック:N330
*3.アミン系老化防止剤:FLEXSIS社製「サントフレックス6PPD」 分子量268.4としてゴム成分100質量部に対するモル数として計算
*4.ナフトエ酸ヒドラジド:3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、分子量284.4としてゴム成分100質量部に対するモル数として計算
*5.加硫促進剤:大内新興化学工業社製「ノクセラーDZ−G」
【0024】
【表2】


【0025】
第2表からは次のようなことがわかる。
本発明の実施例1〜5は比較例1〜5に対して、老化試験後の切断引張り応力(TSb)の指数が改善されており、前記式(I)及び(II)の要件を同時に満足するもの、さらに、前記式(III)及び(IV)の要件を同時に満足するものの順に改善されていることがわかる。
参考例1の複合体は高硫黄濃度配合のゴム組成物と低硫黄濃度配合のゴム組成物に含まれる硫黄濃度の差が1質量部と小さく、老化試験後の切断引張り応力(TSb)の指数が99と高くなっているが、前記式(III)及び(IV)の要件を同時に満足する実施例7は前記指数が93と改善されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、硫黄架橋されたゴム組成物からなる隣接したゴム組成物同士の配合剤、特に硫黄の濃度差に由来する問題点を新規原材料又は部材を用いること無しに改良したゴム複合体及びそれを用いたタイヤを提供することができる。
特に、高硫黄濃度ゴム組成物であるスチールコードコーテイングゴム部材と隣接した低硫黄濃度ゴム組成物であるゴム部材との複合体として重荷重用タイヤ用に好適に適用することができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保


【公開番号】 特開2008−62579(P2008−62579A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−244806(P2006−244806)