| 【発明の名称】 |
積層フィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】阪上 俊規
【氏名】今村 孝
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| 【要約】 |
【課題】光学透明性、耐熱性、接着性、寸法安定性、耐溶剤性、耐薬品性などに優れ、さらに液晶注入時の耐液晶性などを満足させることができる積層フィルムを提供すること。
【構成】特定構造単位を有する環状オレフィン系重合体を含有する重合体フィルム層の両面に、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種を含有する特定膜厚の無機酸化物層が積層されてなることを特徴とする、積層フィルム。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記式(1)で表される構造単位を有する環状オレフィン系重合体または当該重合体の架橋体を含有する重合体フィルム層の両面に、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種を含有する膜厚500〜10000nmの無機酸化物層が積層されてなることを特徴とする、積層フィルム。 【化1】
[式(1)中、A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 )k −Xで表される極性基を示す。また、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合し、各々が結合している炭素原子と共に、脂環式炭化水素構造、芳香族炭化水素構造、酸無水物構造、ラクトン構造またはイミド構造を形成していてもよい。また、pは0または1である。 ここで、−(CH2 )k −XにおけるXは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはオキセタニル基を含む置換基を表し、kは0〜5の整数である。] 【請求項2】 環状オレフィン系重合体が、下記式(2)で表される加水分解性シリル基を有する構造単位を、該重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%有することを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。 【化2】
[式(2)中、B1、B2、B3およびB4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−(CH2)m−Si(R4)a(R5)3-aもしくは下記式(3)で表される加水分解性シリル基である。ただし、B1、B2、B3およびB4の少なくとも1つは上記加水分解性シリル基である。また、qは0または1である。 ここで、R4は、アルコキシル基、アリロキシル基またはハロゲン原子を示し、R5は炭素数1〜3のアルキル基を示し、mは0または1を示し、aは1〜3を示す。] 【化3】
[式(3)中、R6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Yは炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールまたは芳香族ジオールの2価の炭化水素残基を示し、nは0または1である。] 【請求項3】 環状オレフィン系重合体が、下記式(4)または(5)のいずれかで表されるオキセタニル基を有する構造単位を少なくとも1種含み、該オキセタニル基を有する構造単位の含有割合が、全構造単位に対して0.2〜30モル%であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。 【化4】
[式(4)および式(5)中、A1、A2およびA3の定義は式(1)と同じである。Xは、−(CR12R13)r−または−(CR14R15)s−T−(CR16R17)t−を示し、ここでTは−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−または−SiR18R19−を示し、r、sおよびtは0〜6の整数を示す。また、R7〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、pは0または1を示す。] 【請求項4】 重合体フィルム層が、環状オレフィン系重合体中の加水分解性シリル基およびオキセタニル基から選ばれる基を架橋反応させて得られる架橋体を含有するフィルムである、請求項2乃至3に記載の積層フィルム。 【請求項5】 無機酸化物層がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種を含む単層または異なる無機酸化物層の積層構造である事を特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、光学透明性、耐熱性、接着性、寸法安定性、耐溶剤性、耐薬品性などに優れ、かつ、曲げ加工性を有する光学フィルムとして好適な積層フィルムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、無機ガラスが用いられていたレンズ類、封止材などの光学部品、バックライト、導光板、基板、タッチパネルなど液晶表示素子部品などの分野で、軽量化、小型化、高密度化、生産性の向上や割れにくい等取扱い性改良の要求に伴い、無機ガラスから光学的に透明な樹脂による代替強く求められ、一部、代替が進められている。 しかし、これら樹脂は無機ガラスに比べて、耐熱性、低吸水性、寸法安定性、耐薬品性が充分でなく、特に基板用途においては樹脂の線膨張係数が大きい事による寸法安定性の問題があり、線膨張係数の低下が強く求められている。 【0003】 従来、透明耐熱樹脂としては2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)を代表とする環状オレフィン化合物の付加重合体が提案されており、他の部材との接着・密着性を改良する目的や、加水分解・縮合して架橋複合体を得る目的で、アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系重合体が提案されており、また、架橋複合体作製の方法として、アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系重合体と、多官能アルコキシシラン、加水分解物もしくは加水分解縮合物、アルミナ微粒子またはシリカ微粒子から選ばれる無機酸化物とからなる組成物を架橋する方法や、アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系重合体に対して、特定の金属化合物触媒を用いてアルミナ微粒子またはシリカ微粒子をグラフトする方法が提案されている(特許文献1〜13参照)。 しかしながら、上記先行技術においては、複合体をフィルムやシートなどに成形した際、弾性率の向上や線膨張係数の低減に関して効果はあっても、光学的透明性が不十分であったり、割れやすく脆いために曲げ加工が困難であったりする等の問題を抱えている。 【特許文献1】特開平5−214079号公報 【特許文献2】特開平3−95230号公報 【特許文献3】特開平3−95235号公報 【特許文献4】特開平3−188113号公報 【特許文献5】US 5,912,313号公報 【特許文献6】US 6,031,058号公報 【特許文献7】US 6,455,650号公報 【特許文献8】特開2002−327024号公報 【特許文献9】特開2003−160620号公報 【特許文献10】特開2002−327024号公報 【特許文献11】特開2003−48918号公報 【特許文献12】特開2002−226661号公報 【特許文献13】特開2003−105214号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、フィルムもしくはシートとしたときに、高い弾性率と小さい線膨張係数を示し、さらに、光学的透明性に優れ、割れにくく高靱性を示す積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意検討を進めた結果、特定構造を有する環状オレフィン系重合体よりなる透明耐熱フィルムの両面に無機酸化物層を形成する事により、透明性、耐熱性、寸法安定性に優れ、更に、耐薬品性や機械強度、低吸水性に優れた積層フィルムの得られることを見出して本発明を完成するに至った。 すなわち本発明の積層フィルムは、下記式(1)で表される構造単位(以下、「特定構造単位(1)」ともいう)を有する環状オレフィン系重合体(以下、「特定環状オレフィン系重合体」ともいう)または当該重合体の架橋体(以下、「特定架橋体」ともいう)を含有する重合体フィルム層の両面に、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種を含有する膜厚500〜10000nmの無機酸化物層が積層されてなることを特徴とする。 【0006】 【化1】
【0007】 [式(1)中、A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 )k −Xで表される極性基を示す。また、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合し、各々が結合している炭素原子と共に、脂環式炭化水素構造、芳香族炭化水素構造、酸無水物構造、ラクトン構造またはイミド構造を形成していてもよい。また、pは0または1である。 ここで、−(CH2 )k −XにおけるXは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはオキセタニル基を含む置換基を表し、kは0〜5の整数である。] 【0008】 特定環状オレフィン系重合体は、下記式(2)で表される加水分解性シリル基を有する構造単位(以下、「特定構造単位(1−1)」ともいう)を、該重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%有することが好ましい。 【0009】 【化2】
【0010】 [式(2)中、B1、B2、B3およびB4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−(CH2)m−Si(R4)a(R5)3-aもしくは下記式(3)で表される加水分解性シリル基である。ただし、B1、B2、B3およびB4の少なくとも1つは上記加水分解性シリル基である。また、qは0または1である。 ここで、R4は、アルコキシル基、アリロキシル基またはハロゲン原子を示し、R5は炭素数1〜3のアルキル基を示し、mは0または1を示し、aは1〜3を示す。] 【0011】 【化3】
【0012】 [式(3)中、R6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Yは炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールまたは芳香族ジオールの2価の炭化水素残基を示し、nは0または1である。] 【0013】 なお、特定環状オレフィン系重合体は、下記式(4)または(5)のいずれかで表されるオキセタニル基を有する構造単位(以下、「特定構造単位(1−2)」ともいう)を少なくとも1種含み、該構造単位(1−2)の含有割合が、全構造単位に対して0.2〜30モル%であることが好ましい。 【0014】 【化4】
【0015】 [式(4)および式(5)中、A1、A2およびA3の定義は式(1)と同じである。Xは、−(CR12R13)r−または−(CR14R15)s−T−(CR16R17)t−を示し、ここでTは−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−または−SiR18R19−を示し、r、sおよびtは0〜6の整数を示す。また、R7〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、pは0または1を示す。] 【0016】 さらに、重合体フィルム層は、環状オレフィン系重合体中の加水分解性シリル基およびオキセタニル基から選ばれる基を架橋反応させて得られる特定架橋体を含有するフィルムであることが好ましい。 また、無機酸化物層は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種を含む単層または異なる無機酸化物層の積層構造であることが好ましい。 【発明の効果】 【0017】 本発明によれば、優れた透明性、耐熱性、耐薬品性や機械強度、低吸水性を高い次元で満たしながら、特に低い線膨張係数を示し寸法安定性に優れた積層フィルムを提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 本発明の積層フィルムは、透明耐熱樹脂層の両面に無機酸化物層が一体的に積層されてなるものであり、具体的には、下記(イ)または(ロ)の構成からなる積層フィルムである。 (イ)特定環状オレフィン系重合体からなる重合体フィルム層の両面に無機酸化物層が積層されてなる積層フィルム(以下、「第1の積層フィルム」ともいう。) (ロ)特定架橋体からなる重合体フィルム層の両面に無機酸化物層が積層されてなる積層フィルム(以下、「第2の積層フィルム」ともいう。) 【0019】 《第1の積層フィルム》 第1の積層フィルムは、特定構造単位(1)を有する特定環状オレフィン系重合体からなる重合体フィルム層の両面に無機酸化物層を形成した積層フィルムである。 【0020】 <特定環状オレフィン系重合体> 特定単量体 本発明で用いられる特定環状オレフィン系重合体は、下記式(6)で表される単量体(以下、「特定単量体」ともいう)を付加重合することにより得られる。特定単量体は、付加重合することにより、特定構造単位(1)を形成するものである。 【0021】 【化5】
【0022】 [式(6)中、A1、A2、A3、A4およびpの定義は、上記式(1)における定義と同じである。] 【0023】 特定単量体(1)としては、下記式(7)で表される加水分解性シリル基を有する単量体(以下、「特定単量体(1−1)」ともいう)や、下記式(8)または(9)で表されるオキセタニル基を有する単量体(以下、「特定単量体(1−2)」ともいう)が特に好ましいものとして挙げられる。 【0024】 【化6】
【0025】 [式(7)中、B1、B2、B3、B4およびqの定義は、上記式(2)における定義と同じである。] 【0026】 【化7】
【0027】 [式(8)および式(9)中、A1、A2、A3、R7〜R11およびpの定義は、上記式(4)および(5)における定義と同じである。] 【0028】 特定単量体(1−1)は、付加重合により上記特定構造単位(1−1)を形成するものであり、特定単量体(1−2)は、付加重合により上記特定構造単位(1−2)を形成するものである。これらの単量体を用いて得られた特定環状オレフィン系重合体は、重合体中に存在する加水分解性シリル基やオキセタニル基を架橋させることにより、特定架橋体とすることができる。 ここで加水分解性シリル基とは、水存在下にて加水分解・縮合反応によりシロキサン結合構造を形成するものであり、この加水分解・縮合反応は酸、アルカリまたは金属塩化合物等の触媒により促進されるものである。 また、オキセタニル基は酸等のカチオン重合触媒存在下にてカチオン架橋を形成するものであり、これらの架橋によりポリマーの耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性が向上し線膨張係数の低減が計られる。 【0029】 特定環状オレフィン系重合体は、特定構造単位(1−1)および(1−2)から選ばれる少なくとも1種の架橋性構造単位を、全構造単位に対して0.2〜30モル%有することが好ましい。架橋性構造単位の含有割合が0.5モル%未満では、特定環状オレフィン系重合体の耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性および低線膨張係数が十分でない場合がある。一方、架橋性構造単位の含有割合が30モル%を超えると、得られる積層フィルムの靱性の低下が生じ、当該積層フィルムの曲げ加工性が十分でない場合がある。 【0030】 特定単量体(1−1)の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。 5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−トリメトキシシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−トリメトキシシリルエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−トリメトキシシリルプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−トリエトキシシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−メチルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−メチルジメトキシシリルプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−メチルジエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−ジメチルメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−エチルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−シクロヘキシルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−クロロジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−フェニルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、 9−トリメトキシシリルメチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、 9−メチルジメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、 9−エチルジメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、 【0031】 5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’,3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−3’,4’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−フェニル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−4’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−4’−スピロ−シクロヘキシル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−3’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−[1’−メチル−2’,7’−ジオキサ−1’−シラシクロヘプチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 9−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、 9−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、 などが挙げられる。 これら特定単量体(1−1)の中で、メトキシシリル基やエトキシシリル基を有する環状オレフィン化合物が、後述する本発明の環状オレフィン系重合の架橋反応性の点から好ましい。 【0032】 特定単量体(1−2)のうち、上記式(8)で表される化合物としては、例えば、5−(3−オキセタニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−メチル−3−オキセタニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−エチル−3−オキセタニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−オキセタニル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどオキセタニル基を環状オレフィンへと炭素鎖を介して結合したもの、 2−[(3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン、5−[(3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−オキセタニル)メトキシエチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシエチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシエチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−[(3−オキセタニル)メトキシ]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシ]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−オキセタニル)メトキシメチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5,6−ビス[(3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、などのようにエーテル結合により結合したもの、 5−[(3−オキセタニル)メチルカルボニル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルカルボニル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルカルボニル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−オキセタニル)メチルカルボニルメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルカルボニルメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルカルボニルメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのようにカルボニル基により結合したもの、 ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−オキセタニル)メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−オキセタニル)メチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3−オキセタニル)メトキシメチル]、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3−オキセタニル)メトキシメチル]、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(3−オキセタニル)メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル、などのようにエステル結合により結合したもの、 5−(3−オキセタニル)ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−メチル−3−オキセタニル)ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−エチル−3−オキセタニル)ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−オキセタニル)メチル]ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチル]ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのようにシリル基により結合したものなどが望ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。 【0033】 また、上記式(9)で表される化合物としては、例えば、spiro−オキセタン−5,3’−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、spiro−オキセタン−8,3’−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどの、スピロ構造によりオキセタン環が結合された環状オレフィンが望ましく用いられる。 【0034】 特定単量体(1−1)および特定単量体(1−2)と共重合させて用いられるその他の特定単量体(1)としては、上記式(6)におけるA1、A2、A3およびA4が、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基またはトリフルオロメチル基である化合物が好ましい。例えば、 ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、 トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、 トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−3,8−ジエン テトラシクロ[6.2.1.13,602,7]ドデカ−4−エン、 9−メチル−テトラシクロ[6.2.1.13,602,7]ドデカ−4−エン、 9−エチル−テトラシクロ[6.2.1.13,602,7]ドデカ−4−エン、 などから1種または2種以上選ばれた化合物が好ましく、特に好ましくは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンである。 また、上記式(6)におけるA1、A2、A3およびA4のうち少なくとも1つが−(CH2 )k−Xで表される極性基である特定単量体(1)を、全単量体に対して10モル%以下、好ましくは7モル%以下の割合で用いることにより、得られる特定環状オレフィン系重合体の溶媒への溶解性や基板接着性、可撓性などを改善することができる。しかしながら、これらの単量体を用いる割合が高すぎると、吸水性の増大や線膨張係数の悪化を招くおそれがある。上記極性基を有する特定単量体(1)としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。 【0035】 特定環状オレフィン系重合体の製法 特定環状オレフィン系重合体は、上述した特定単量体を、重合触媒の存在下、付加重合することにより得られる。本発明で用いられる好ましい重合触媒としては、下記(1)〜(3)を用いることができる。 (1)ニッケル化合物と超強酸、ルイス酸及びイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物と有機アルミニウム化合物とを含むニッケル系多成分系触媒 (2)少なくとも1つのニッケルー炭素間を連結するシグマ結合を有し、超強酸アニオンを対アニオンとするニッケル錯体よりなるニッケル系単成分触媒 (3)パラジウム化合物とホスフィン化合物および/またはホスホニウム化合物とイオン性ホウ素化合物と必要に応じて有機アルミニウム化合物あるいは有機リチウム化合物とを含むパラジウム系多成分触媒 これらの触媒のうち、(3)パラジウム系多成分触媒を用いると、得られる重合体が線膨張係数の小さいものとなり、好ましい。 この触媒の選択により生ずる線膨張係数の差異には、特定環状オレフィン系重合体のミクロ構造が大きく影響しているものと考えられる。すなわち、パラジウム触媒系により重合した環状オレフィン系共重合体は、ニッケル触媒系によるものと比較して重合鎖の結合様式(2,3−結合/2,7−結合)および/または立体規則性(アタクティック/erythro−ジシンジオタクティック/erythro−ジアイソタクティックなど)がよく制御され、その結果分子鎖がより剛直となり、パッキング性が良好となるなどの効果が生じているものと推定される。 【0036】 パラジウム化合物の具体例としては、パラジウムビスアセチルアセトネートなどのβ−ジケトネート化合物、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸パラジウム、ナフテン酸パラジウム、ネオデカン酸パラジウムなどのカルボン酸塩、およびこれらのテトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸などの強ブロンステッド酸変性化合物が挙げられる。また、さらには、[テトラキス(アセトニトリル)パラジウム]テトラフルオロボレート、[テトラキス(ベンゾニトリル)パラジウム]テトラフルオロボレート、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウムジクロライド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウムメチルクロライド、ジ−μ−クロロビス(η3−アリルパラジウム)、(η3−アリル)(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド、(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムジクロライド、(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムクロライド、[(η3−アリル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム]ヘキサフルオロホスフェート、[(η3−クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム]ヘキサフルオロホスフェート、ジ−μ−クロロビス(6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウム)、[6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウム(シクロオクタジエン)]ヘキサフルオロホスフェートなどのη3−アリル、ジエン、トリエン錯体化合物やパラジウム−炭素結合をもつ化合物が挙げられる。 これらのパラジウム化合物は単成分触媒として用いてもよいが、より好ましくは以下に示す助触媒成分と組み合わせた多成分触媒系として用いられる。助触媒成分としては(i)ホスフィン化合物および/またはホスホニウム化合物(ii)パラジウム化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物、および任意に(iii)有機アルミニウム類あるいは有機リチウム類と組み合わせることができる。 【0037】 (i)に示したホスフィン化合物としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(メチルフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。また、ホスホニウム化合物としては、トリメチルホスホニウム、トリエチルホスホニウム、トリ−t−ブチルホスホニウム、トリフェニルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスホニウム、トリシクロヘキシルホスホニウム、トリオクチルホスホニウムなどが挙げられ、それぞれのハロゲン化物塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、酢酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩などとして用いられる。 【0038】 (ii)に示したパラジウム化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物としては、例えば、[L]+[CA]−で表されるイオン性化合物が用いられる。 [ここで、[L]+はルイス酸、アンモニウム類、ホスホニウム類、あるいは金属原子のカチオンを表し、[CA]−はBF4−、PF6−、SbF6−、B(C6F5)4−、B[C6H3(CF3)2]4−から選ばれる、非配位性あるいは弱配位性のアニオンを表す。] 具体例としては、テトラフェニルホウ酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルホウ酸メチルピリジニウム、テトラフェニルホウ酸トリフェニルメチル、テトラフェニルホウ酸フェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸メチルジブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸メチルピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸フェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ジメチルアニリニウム、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸リチウム、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、ヘキサフルオロリン酸タリウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0039】 任意に加えられる(iii)有機アルミニウム化合物あるいは有機リチウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド、アルキルアルミノキサン、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウムなどが挙げられる。中でもトリエチルアルミニウムやトリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、およびブチルリチウムなどのアルキルリチウムが好ましく用いられ、トリアルキルアルミニウムがより好ましく用いられる。 【0040】 例えば、パラジウムビスアセチルアセトネートなどのβ−ジケトネート化合物、酢酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸パラジウムなどのカルボン酸塩、(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムジクロライドなどは、トリシクロヘキシルホスフィンやトリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルメチルなどのイオン性化合物と組み合わせた4成分系で用いることで高い重合活性を示し、かつ、得られる環状オレフィン共重合体の物性が優れたものとなるため好ましい。また、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルメチルに替えてテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウムを用いた組み合わせのものも用いることができる。また、ジ−μ−クロロビス(6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウム)やジ−μ−クロロビス(η3−アリルパラジウム)は、トリフェニルホスフィンやトリシクロヘキシルホスフィンなどのホスフィン化合物と、ヘキサフルオロアンチモン酸銀と組み合わせた3成分系で用いることができる。また、(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムクロライドはトリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物とテトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウムとの3成分系が好ましく用いられる。 【0041】 これらの中で、特に、パラジウムビスアセチルアセトネートなどのβ−ジケトネート化合物や酢酸パラジウムなどのカルボン酸塩、トリシクロヘキシルホスフィンやトリオクチルホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルメチルなどのイオン性化合物、および有機アルミニウム化合物を組み合わせた触媒系は、重合活性が高く、得られる架橋体の寸法安定性に優れ、かつ、触媒系を構成する各成分の入手性が高いため好ましい。 【0042】 特定環状オレフィン系重合体の重合反応に用いられる溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、ピリジン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、アセトアミドなどの極性溶媒などから選ばれた溶媒が1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。 【0043】 重合反応は、窒素、またはアルゴン雰囲気下で、−20℃〜150℃の範囲で行われる。重合操作はバッチ式でも連続式でも実施することができ、特定単量体(A)および(B)、必要に応じて他の単量体と溶媒とを仕込み、必要なら分子量調節剤を加え、上記重合触媒を添加して重合を開始する。 ここで、バッチ式にて重合反応を実施するにあたっては、重合体が組成分布を実質的に持たないものとするために、前述の通り重合系中の単量体の組成が重合工程を通して大きく変動することのないよう制御する必要がある。一方、連続式で重合反応を実施するにあたっては、全ての単量体、溶媒、重合触媒、および必要に応じて分子量調節剤を一定速度にて反応容器へと導入することで、重合系中の組成を一定に保持することができ、得られる共重合体が組成分布を実質的に持たないようにすることができる。 【0044】 重合は、水、アルコール、有機酸、二酸化炭素、アルデヒド、ホスフィン化合物、亜リン酸エステル化合物などから選ばれた化合物を加えることにより停止される。また、過剰の水素やテトラヒドロホウ酸ナトリウムなどの還元剤を加えることで金属−炭素結合を切断してもよい。必要なら、重合反応混合物からの重合触媒残さの分離・除去を行ってよく、公知の方法を適宜用いてよい。例えば、重合反応混合物を塩酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、フマル酸などの酸を添加後、水やアルコールの溶液により洗浄する方法や、珪藻土、アルミナ、シリカ、活性炭などの吸着剤を用いる方法や、フィルターなどによるろ過操作によって除去することができる。環状オレフィン共重合体は、例えば重合反応混合物をメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの貧溶媒中により凝固し、減圧乾燥することで単離される。また、触媒残さが充分に少ない場合には、重合後に得られる共重合体溶液を精製することなしに後に記載する架橋性組成物とし加工してもよい。 【0045】 特定環状オレフィン系重合体の性能 特定環状オレフィン系重合体は、ガラス転移温度が、通常、150〜450℃の範囲にあるものであり、好ましくは200〜400℃である。 ガラス転移温度が150℃未満である場合には、得られる特定の積層体における耐熱樹脂層が熱変形するなどの問題が生じるおそれがある。一方、ガラス転移温度が450℃を超える場合には、特定の環状オレフィン系重合体が剛直になるため、得られる特定の積層体における耐熱樹脂層が割れやすく、靱性の小さいものとなる。 ここに、特定の環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比 Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。 【0046】 本発明における環状オレフィン系共重合体の分子量は、o−ジクロロベンゼンを溶媒としゲル・パーミエションクロマトグラフィーにより120℃で測定され、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が30,000〜500,000、重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000、好ましくは数平均分子量が40,000〜200,000、重量平均分子量が80,000〜600,000であることが望ましい。数平均分子量が30,000未満、重量平均分子量が50,000未満では、薄膜、フィルムおよびシートとしたときの破断強度および伸びが不十分で割れやすくなることが多い。一方、数平均分子量が500,000、重量平均分子量が1,000,000を超えると、トルエン、シクロヘキサンなどの汎用炭化水素溶媒、またはこれらの混合溶媒に不溶の成分が生成する、あるいは溶液粘度が高くなりすぎるため、溶液キャスト法によるフィルムの成形が困難となることがある。 【0047】 特定環状オレフィン系共重合体の分子量は、α−オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、環状非共役ポリエン、水素などの分子量調節剤の添加による制御方法や、重合触媒の量の調節、重合温度の調節、共重合体への転化率の調節などによる制御方法、あるいはこれらの組み合わせによる制御方法から、適当な方法を適宜選択し、行うことができる。 また、特定環状オレフィン系重合体は、線膨張係数が70ppm/℃以下の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは60ppm/℃以下、特に好ましくは50ppm/℃以下である。 線膨張係数が70ppm/℃を超える場合には、得られる積層フィルムにおける重合体フィルム層が、温度変化の大きい使用環境下において変形する場合がある。 【0048】 <重合体フィルム層> 本発明に用いられる重合体フィルム層は、上記特定環状オレフィン系重合体をフィルム化することにより得られる。その方法としては、重合体を適切な溶媒に溶解させ、金属ベルト、金属ドラム、キャリアーフィルム、シリコンウェハー、ガラス板などの上に塗布、吹き付け、スクリーン印刷、スピンコート、ディッピングなどの方法で流延した後に乾燥工程を経る溶液キャスト法、重合体に少量の溶媒を混合させ、溶融押出機を用いて溶媒を蒸発させながら成形する方法、射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形などが用いられる。中でも、成形体の表面の品質や複屈折低減の面から溶液キャスト法による成形が望ましい。 溶液キャスト法において用いる溶媒としては、クロロベンゼン、o−シクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒は人体や環境への悪影響が懸念されるため望ましくない。本発明の環状オレフィン系共重合体は、炭化水素溶媒に対し良好な溶解性を示すことから、炭化水素溶媒、特にはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒や、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶媒、およびこれらから選ばれる2種以上からなる混合溶媒が好ましく用いられる。 また、本発明で用いる重合体フィルムには、さらに酸化防止剤を添加して、酸化安定性を向上させることができる。 酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤、さらにトリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤を挙げることができる。酸化防止剤は、特定環状オレフィン系重合体100重量部あたり、好ましくは0.05〜5.0重量部の範囲で添加される。 重合体フィルム層の厚みは、50〜500μm、好ましくは、50〜200μmである。 【0049】 <積層フィルム> 本発明の第1の積層フィルムは、上述した重合体フィルム層の両面に、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種を含有する無機酸化物層が積層された構造を有する。 当該無機酸化物層は、スパッタ、蒸着などにより形成される。好ましくは、重合体フィルムの両面に一度にまたは上面と下面の2段階でスパッタまたは蒸着する方法により、形成される。 無機酸化物層の形成条件としては、真空下、80〜270℃、好ましくは100〜200℃にて無機酸化物層をフィルム上に形成する。 得られた無機酸化物層の膜厚は、500〜10000nm、好ましくは500 〜5000nmである。膜厚が500nm未満であると、線膨張係数が十分に低い積層フィルムが得られない場合があり、10000nmを超えると、得られる積層フィルムの靱性や強度が不足する場合がある。 本発明の積層フィルムの線膨張係数は、好ましくは60ppm/℃以下、特に好ましくは50ppm/℃以下、さらに好ましくは20〜40ppm/℃である。線膨張係数が60ppm/℃を超えると、例えば、液晶モジュール積層工程での寸法安定性が悪くソリが発生したり、はがれたりするトラブルが発生するため好ましくない。 また、本発明の積層フィルムの光線透過率は、80%以上、好ましくは85%以上である。 80%未満であると、例えば、液晶ディスプレイでは暗くなったり、画像精度が低下するため好ましくない。 また、本発明の積層フィルムの破断強度は、好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは40MPa以上であり、破断伸びは、好ましくは5%以上、さらに好ましくは、 5〜100%である。 さらに、本発明の積層フィルムの曲げ弾性率は、好ましくは3GPa以上、さらに好ましくは3〜10GPaである。 【0050】 《第2の積層フィルム》 第2の積層フィルムは、特定架橋体を含有する重合体フィルム層の両面に、無機酸化物層を形成した積層フィルムである。 <特定架橋体> 特定架橋体は、上述した特定環状オレフィン系重合体における架橋性基を架橋反応させて得られる。従って、特定架橋体の形成に用いられる特定環状オレフィン系は、その側鎖に架橋性基を有するものであり、具体的には、加水分解性シリル基およびオキセタニル基から選ばれる少なくとも1種の架橋性基を有する重合体である。好ましくは、上述した特定構造単位(1−1)および(1−2)から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する重合体が用いられる。 第2の積層フィルムは、第1の積層フィルムと比較して、より優れた耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性および低線膨張係数が得られるため、本発明の目的により好ましい。 本発明の積層フィルムの線膨張係数は、好ましくは60ppm/℃以下、特に好ましくは50ppm/℃以下、さらに好ましくは20〜40ppm/℃である。線膨張係数が60ppm/℃を超えると、例えば、液晶モジュール積層工程での寸法安定性が悪くソリが発生したり、はがれたりするトラブルが発生するため好ましくない。 また、本発明の積層フィルムの光線透過率は、80%以上、好ましくは85%以上である。 80%未満であると、例えば、液晶ディスプレイでは暗くなったり、画像精度が低下するため好ましくない。 また、本発明の積層フィルムの破断強度は、好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは40MPa以上であり、破断伸びは、好ましくは5%以上、さらに好ましくは、 5〜100%である。 さらに、本発明の積層フィルムの曲げ弾性率は、好ましくは3GPa以上、さらに好ましくは3〜10GPaである。 【0051】 特定架橋体の製造方法 特定架橋体は、上記架橋性基を有する特定環状オレフィン系重合体を有する重合体フィルムを成形し、当該重合体フィルムにおいて重合体を架橋させることにより、得られる。具体的には、特定環状オレフィン系重合体および必要に応じて架橋触媒を溶媒に溶解させ、上述した溶液キャスト法により重合体フィルムを成形し、当該重合体フィルムを架橋させた後、残留する溶媒を除去することにより、特定架橋体が成形される。 【0052】 本発明においては、架橋触媒として酸発生剤を用いて重合体フィルムを形成し、該重合体フィルム中の重合体を架橋することによって特定架橋体を製造する方法が好適に実施される。例えば、加水分解性シリル基を有する重合体の架橋方法としては、加熱にて行う方法や、酸、塩基または金属塩化合物等の加水分解・縮合触媒として添加する方法などが知られている。しかしながら、加熱のみにて架橋した場合には、触媒存在下と比較して架橋の進行が遅く不充分であり、寸法安定性や機械的強度に劣る架橋体が得られたり、架橋を充分に進行させるために高温で長時間の処理を行うことにより重合体が劣化したりするおそれがある。一方、上記触媒を用いると比較的低温にて速やかに架橋が進行するが、重合体フィルムの成形前や成形中にも架橋が進行し、重合体フィルムの成形が困難になるおそれがある。酸発生剤を用いると、重合体フィルム成形時においては架橋反応が進行せず、成形後に酸を発生させることにより速やかに架橋を進行させることができるため、優れた光学特性を維持し、高耐熱性、低吸水性、耐溶剤・薬品性を高い次元で満たしながら、特に寸法安定性に優れる架橋体を得ることができる。 【0053】 ここで、酸発生剤の具体例としては、水または水蒸気の存在下または不存在下、110〜200℃の熱、もしくは紫外線等の活性エネルギー線により分解または加水分解して酸を発生する化合物、すなわち、 a)トリアルキル亜リンエステル、ジアルキル亜リン酸エステル、モノアルキル亜リン酸エステル、有機カルボン酸の第2級または第3級アルコールエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステル、芳香族または脂環族スルフォン酸もしくはスルフィン酸のエステル化合物などの水または水蒸気の存在下で加熱することにより酸としての作用する化合物、 b)BF4、PF6、AsF6、SbF6、B(C6F5)4などから選ばれた対アニオンを有する芳香族スルホニウム塩、芳香族アンモニウム塩、芳香族ピリジニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ヒドラジニウム塩、フェロセニウム塩など、加熱することにより酸として作用する熱酸発生剤、 c)g線、h線、i線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線などの光線の照射により、ブレンステッド酸、あるいはルイス酸を生成するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルセニウム塩、オキソニウム塩などのオニウム塩、ハロゲン含有オキサジアゾール化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、ハロゲン含有アセトフェノン化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン化合物などのハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン化合物、スルホニル化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物などの光酸発生剤、 などを挙げることができる。これらは1種のみ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。 これらのうち、構造単位(1−1)を有する重合体の架橋反応においては、上記a)で表される化合物が好ましく、特にp-トルエンスルホン酸−シクロヘキシルエステルは有機溶媒への溶解性が良好で架橋反応における効果も高いことから好ましく用いられる。また、構造単位(1−2)を有する重合体の架橋反応においては、上記c)で表される光酸発生剤が好ましく用いられる。また、上記酸発生剤を2種以上組み合わせて用いても良い。 【0054】 重合体フィルムの形成に用いられる組成物において、酸発生剤は、その種類にもよるが特定環状オレフィン系重合体100重量部当たり、通常、0.0001〜20重量部、好ましくは0.001〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で用いられる。0.0001重量部より少ない場合、架橋反応が充分に進行しないため、要求される耐薬品性、耐溶剤性、寸法安定性が得られず、一方、20重量部を超えると得られる架橋体の機械的強度、電気特性、透明性などが低下することがある。 【0055】 重合体フィルムの架橋反応は、架橋性基および酸発生剤の種類に応じて、水、熱水、水蒸気または含水液体組成物と接触させることにより、または活性エネルギー線を照射することにより、酸を発生させて行う。 水、熱水、水蒸気または含水液体組成物と接触させる工程としては、100〜240℃、30〜120分の条件で行われる。ここで、含水液体組成物としては、0.1MPaの圧力下での沸点が100℃以上であり、処理温度において水と均一液相を形成でき、かつ特定環状オレフィン系重合体を溶解することのない化合物と水との組成物が挙げられる。具体的には、ポリオール化合物および/またはエーテル結合を含むモノまたはジオール化合物と水との組成物が好ましく使用される。該含水液体組成物中の水分含量は、500ppm〜50重量%、好ましくは1〜30重量%である。 また、活性エネルギー線を照射する工程としては、0〜150℃、0.1〜100分の条件で行われる。ここで、用いられる活性エネルギー線の線源には特に制限はないが、200nm〜450nmの波長の光が好ましく用いられる。例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプなどを用いて、成形体全体に照射することが望ましく、また、レーザー光、あるいはレンズ、ミラーなどを用いた収束光なども照射することができる。さらに、所定のパターンの光透過部を有するフォトマスクを介して照射することもできる。 【0056】 また、架橋反応の前および/または後に、必要に応じてプレベーク、ポストベーク、加熱キュアーを施すこともできる。また、光酸発生剤を含有する重合体フィルムには、必要に応じ光増感剤を配合してもよい。ここで光増感剤の機能は、活性エネルギー線を吸収し、光酸発生剤の感度を向上させることが挙げられる。光増感剤の例としては、ベンゾキノン、ナフトキノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、アントラセン誘導体類、ベンゾフェノン誘導体類、クロラニルなどを挙げることができる。これらの添加量は特に制限されるものではないが、好ましくは光酸発生剤100重量部あたりで0.01〜300重量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜100重量部とすることがより好ましく、0.5〜50重量部の範囲とすることが最も好ましい。添加量が0.01重量部未満であると、その効果が充分に得られず、一方、300重量部を超えると耐候性が低下する。 【0057】 さらに、優れた寸法安定性および機械的強度を示す架橋体を得るには、好ましくは架橋反応の後、残留する溶媒を1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、さらに好ましくは0.3重量%未満にまで除去することが必要である。 残留溶媒を除去する方法としては、常圧あるいは減圧下にて加熱する方法、水や有機溶媒、それらの蒸気により処理する方法、あるいはこれらを組み合わせた方法が挙げられる。ここで、残留溶媒の除去に用いられる有機溶媒としては、環状オレフィン系共重合体をほとんど、あるいは全く溶解せず、かつ除去する溶媒とは均一に混合する溶媒が好適に用いられ、具体例としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、アセトン、ジエチルエーテルなどが挙げられる。これらの残留溶媒の除去に用いられる溶媒は、100〜280℃の過熱水蒸気により処理することや、上に挙げた有機溶媒の雰囲気下に架橋体を曝すことによって求められる程度にまで低減できる。 【0058】 特定架橋体は、線膨張係数が70ppm/℃以下の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは60ppm/℃以下、特に好ましくは50ppm/℃以下である。 線膨張係数が70ppm/℃を超える場合には、得られる積層フィルムにおける重合体フィルム層が、温度変化の大きい使用環境下において変形する場合がある。 【0059】 <積層フィルム> 本発明の第2の積層フィルムは、架橋した重合体フィルムの両面に、第1の積層フィルムと同様にして、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種を含有する無機酸化物層が積層された構造を有する。 得られた無機酸化物層の膜厚は、500〜10000nm、好ましくは500〜5000nmである。膜厚が500nm未満であると、線膨張係数が十分に低い積層フィルムが得られない場合があり、10000nmを超えると、得られる積層フィルムの靱性や曲げ弾性率が不足する場合がある。 本発明の積層フィルムの線膨張係数は、好ましくは60ppm/℃以下、特に好ましくは50ppm/℃以下、さらに好ましくは20〜40ppm/℃である。線膨張係数が60ppm/℃を超えると、例えば、液晶モジュール積層工程での寸法安定性が悪くソリが発生したり、はがれたりするトラブルが発生するため好ましくない。 なお、本発明の第2の積層フィルムの光線透過率、破断強度、破断伸びおよび曲げ弾性率の好ましい値は、上述した第1の積層フィルムと同様である。 【0060】 本発明の積層フィルムは光学部品用として有用であり、なかでも、LCD、PDPあるいは電子ペーパー等の表示デバイス基板等や導光板、位相差フィルム、タッチパネル、CD、MD、DVDなどの光学記録基板や太陽電池プラ基板等に用いられる。 【実施例】 【0061】 以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、部および%は特に断らないかぎり、重量基準である。また、共重合体の組成、分子量、ガラス転移温度、残留溶媒量、光線透過率、線膨張係数、力学特性は、下記の方法で測定した。 【0062】 (1)共重合体組成 特に記載のない場合は、以下の方法によって測定した。 重合反応溶液の一部を採取し、過剰のイソプロピルアルコールにて共重合体を凝固した。得られた共重合体を100℃の減圧乾燥機中で8時間乾燥し、次いで重水素化ベンゼン(ベンゼン−d6)もしくは重水素化ベンゼン(ベンゼン−d6)と重水素化o−ジクロロベンゼン(o−ジクロロベンゼン−d4)との混合物(体積比2/1〜1/2)を用いて溶解し、必要に応じて80℃に加温して、270MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製 EX−270)で測定してプロトンの吸収比から求めた。 (2)分子量(重量平均分子量、数平均分子量): ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲル・パーミエションクロマトフィー(GPC)装置で東ソ−(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。 (3)ガラス転移温度: ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比 Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いてTanδのピーク温度を測定した。 (4)光線透過率: 可視・紫外分光光度計(日立製 U−2010 Spectro Photo Meter)により、波長550nmでの光線透過率を100μtフィルムについて測定した。 (5)線膨張係数: TMA(Themal mechanical Analysis)SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用い、試料形状を膜厚100μm、縦10mm、横10mmにしたフィルム片を直立、固定し、プローブにより、1g重の荷重をかけた。フィルムの熱履歴を除去するため、室温から200℃まで5℃/分で一旦昇温した後、再度、室温から5℃/分の速度で昇温し、50℃〜200℃間のフィルム片の伸びの傾きから線膨張係数を求めた。 (6)残留溶媒量 細かく裁断した1グラムの架橋体フィルムをトルエンもしくはシクロヘキサンに溶解あるいは膨潤させてフィルム中の残留溶媒を抽出し、HP−5890ガスクロマトグラフ装置(ヒューレット・パッカード社製)にカラムとしてPoraplotQ(ヒューレット・パッカード社製)を取り付けて分析し、フィルム中の残留溶媒量を定量した。 (7)力学特性1(破断強度および破断伸び) JIS K7113に準じて、試験速度5mm/min.で測定した。 (8)力学特性2(曲げ弾性率) JIS K7113に準じて、試験速度5mm/min.で測定した。 【0063】 [製造例1](アルコキシシリル基含有環状オレフィン系共重合体Aの重合) 充分に乾燥し、窒素で置換したガラス製300ミリリットル耐圧容器に、乾燥トルエン中にて7.0モル/リットルの濃度としたビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを32.2ミリリットル(225ミリモル)、5−トリメトキシトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(25ミリモル)、乾燥トルエンを187ミリリットル仕込んだ。さらに、トルエン中にて0.01モル/リットルに調製したトリシクロヘキシルホスフィンを0.25ミリリットル(2.5マイクロモル)加え、容器をセプタムシールにて密封し、さらにエチレンを120ミリリットル/分の速度で0.4分間吹き込み、系の温度を75℃に調節した。続いてトルエン中にて0.01モル/リットルに調製した酢酸酸パラジウムを0.25ミリリットル、少量の塩化メチレンとトルエンとに溶解し、0.01モル/リットルとしたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.3ミリリットル、重合を開始した。重合開始後3時間反応を行った後にトリオクチルアミンを約0.5ミリリットルを添加して重合を停止させた。トルエン約100ミリリットルで希釈し、約2リットルのアセトンで凝固、真空下90℃で24時間乾燥、環状オレフィン共重合体Aを収率は97%で得た。共重合体Aの重量平均分子量(Mw)は187,000、数平均分子量(Mn)は69,000で、ガラス転移温度は365℃であった。共重合体Aの1H−NMR[(JEOL)の270MHzのH−NMR(プロトン核磁気共鳴)(溶媒:C6D6)装置で測定して、3.5ppmの吸収(SiOCH3のCH3)により生成共重合体中のアルコキシシリル基の含量を求めた。]による分析の結果、5−トリメトキシシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は9.8モル%であった。 【0064】 [製造例2](オキセタニル基含有環状オレフィン系共重合体Bの重合) 充分に乾燥し窒素置換したガラス製100ミリリットル耐圧容器に、乾燥トルエン中にて7.0モル/リットルの濃度としたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを12.9ミリリットル(90ミリモル)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3―エチルオキセタン−3−イル)メチル(10ミリモル)、乾燥トルエン25ミリリットル、乾燥シクロヘキサン27ミリリットル仕込んだ。容器をセプタムシールにて密封しエチレンを60ミリリットル/分の速度で0.3分間吹き込み、系の温度を80℃に調節した。 続いてトルエン中にて0.005モル/リットルに調製した酢酸パラジウムを0.2ミリリットル、トルエン中に0.002モル/リットルに調製したトリシクロヘキシルホスフィンを0.5ミリリットルおよびトルエン中にて0.002モル/リットルに調製したトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.5ミリリットルを順次添加し重合を開始した。重合開始後24時間反応を行なった後にトルエン中0.01モル/リットルに調製したトリオクチルアミンを0.5ミリリットル加え重合を停止させた。シクロヘキサン100ミリリットルで希釈し、約500ミリリットルの2−プロパノールで凝固、真空下90℃で24時間乾燥、オキセタニル基含有環状オレフィン系共重合体を収率98%で得た。共重合体の重量平均分子量(Mw)は179,000、数平均分子量(Mn)は62,000であった。共重合体の1H−NMR[(JEOL)の270MHzの1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)(溶媒:C6D6)装置で測定して4.3ppm、4.5ppmの吸収により生成共重合体のオキセタニル基の含量を求めた。]による分析の結果、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エンー2−カルボン酸(3―エチルオキセタンー3−イル)メチル由来の構造単位の割合は、9.8モル%であった。 【0065】 [実施例1] 共重合体A100部をトルエン450部に溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ0.6部添加し、さらにp-トルエンスルホン酸−シクロヘキシルエステルを1.5部添加した。この溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過し、平滑なポリエチレンテレフタレートフィルム上、25℃でキャストし、50℃まで徐々に温度を上昇させながら溶剤を蒸発させ、重合体フィルムを得た。 このフィルムを120℃で2時間、180℃、0.48MPaの加圧水蒸気に2時間曝し架橋し、厚さ100μの架橋体フィルムA−1を得た。 更に、この架橋体フィルムを用いて、オプトラン製真空蒸着装置F1800を用いてイオンアシスト法にてシリカを片面2000nmの厚みにて両面蒸着を行ない、シリカ両面蒸着フィルムB−1を得た。 このシリカ両面蒸着フィルムB−1は表−1に示したとおり、優れた透明性と曲げ弾性率を有し、線膨張係数が低いものであった。 【0066】 [実施例2] 前記、架橋体フィルムA−1両面に実施例1同様、真空蒸着装置を用いて、シリカ片面3000nmの厚みにて両面蒸着を行ない、シリカ両面蒸着フィルムB−2を得た。 このシリカ両面蒸着フィルムB−2は表−2に示したとおり、前記B−1同様、優れた透明性と曲げ弾性率を有し、線膨張係数が低いものであった。 [実施例3] 前記、共重合体A100部をトルエン450部に溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ0.6部添加し、さらにp-トルエンスルホン酸−シクロヘキシルエステルを1.5部添加した。この溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過した溶液を用いて、実施例1同様にして厚さ60μmの架橋体フィルムA−2を得た。 更に、該架橋体フィルムA−2両面に実施例1同様、真空蒸着装置を用いて、シリカ片面2000nmの厚みにて両面蒸着を行ない、シリカ両面蒸着フィルムB−3を得た。 このシリカ両面蒸着フィルムB−3は表−2に示したとおり、前記B−1同様、優れた透明性と曲げ弾性率を有し、線膨張係数が低いものであった。 【0067】 [実施例4] 共重合体B100部をトルエン450部に溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ0.6部添加し、さらにp-トルエンスルホン酸−シクロヘキシルエステルを1.5部添加した。この溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過し、平滑なポリエチレンテレフタレートフィルム上、25℃でキャストし、50℃まで徐々に温度を上昇させながら溶剤を蒸発させ、架橋性組成物フィルムを得た。 このフィルムを120℃で2時間、180℃で2時間乾燥、架橋し、厚さ100μの架橋体フィルムC−1を得た。 更に、この架橋体フィルムを用いて、オプトラン製真空蒸着装置F1800を用いてイオンアシスト法にてシリカを片面2000nmの厚みにて両面蒸着を行ない、シリカ両面蒸着フィルムD−1を得た。 このシリカ両面蒸着フィルムD−1は表−1に示したとおり、優れた透明性と曲げ弾性率を有し、線膨張係数が低いものであった。 [比較例1] 前記、実施例1の架橋体フィルムA−1をそのまま用いた。 実施例1〜3に比べて、線膨張係数が大きく、曲げ弾性率に劣るものであった。 【0068】 【表1】
【産業上の利用可能性】 【0069】 本発明の積層フィルムは、光学透明性、耐熱性、接着性、寸法安定性、耐溶剤性、耐薬品性などに優れ、さらに液晶注入時の耐液晶性などを満足させることができるので、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子などの平面ディスプレイ用の基板等部品用として有用であり、なかでも、LCD、PDPあるいは電子ペーパー等の表示デバイス基板等や導光板、位相差フィルム、タッチパネル、CD、MD、DVDなどの光学記録基板や太陽電池プラ基板等に特に有用である。 更に、本発明の積層フィルムは曲げ加工性にも優れているため、前記これら基板のロール ツウ ロール加工にも適しているため、工業生産性にも優れている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004178 【氏名又は名称】JSR株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年9月6日(2006.9.6) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−62481(P2008−62481A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−242011(P2006−242011) |
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