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【発明の名称】 水拡散シート
【発明者】 【氏名】本名 浩

【要約】 【課題】廃棄物に水を均一に供給する水の拡散性の優れた廃棄物処分場用シートを提供する。

【構成】上部の保水層と下部の水拡散層からなる水拡散シートとし、下記の条件を満足するシートとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保水層を上層とし、水拡散層を下層とする2層構造からなる水拡散シートにおいて、下記を満足することを特徴とする水拡散シート。
(1)透水係数が保水層より水拡散層の方が低く、且つ水拡散層の透水係数が1×10以上であること。
(2)通気度が0.2cc/cm/秒以上であること。
(3)保水層の保水量が10g/100cm以上であること。
(4)水拡散層の吸水高さが5cm以上であること。
【請求項2】
水拡散層が、単糸繊度が0.1以上5デシテックス未満の繊維からなる不織布、織物、編物から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1記載の水拡散シート。
【請求項3】
廃棄物処分場において、請求項1、2記載の水拡散シートを廃棄物層上部もしくは内部に敷設することを特徴とする廃棄物層内に均一に水を供給する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、管理型最終処分場において埋め立て層内の微生物を活用し、廃棄物中の有機物を分解させ廃棄物の安定化するに際し、埋め立て層内に均一に水を供給させるシート及びそれを用いた廃棄物処分場の廃棄物層に均一に水を供給する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物最終処分場における環境問題には、廃棄物の不法投棄問題や浸出水の漏水による土壌や地下水汚染問題がある。更に最近では管理型最終処分場の埋め立て層内の微生物を活用し、廃棄物中の有機物を分解させ、廃棄物の安定化を行っているが微生物を最大限に活用するためには適度な水の供給が必要であり、屋内型処分場では散水量により、屋外型処分場では覆土により埋め立て層内への水の供給量を制御している。しかしながら埋め立て層へ散水により直接水を供給する場合、埋め立て表層の状態により局所的に水が溜まりやすく、均一に水を供給することが困難であることや、また埋め立て層を覆土する場合も、覆土層内で水の通り道ができやすく、埋め立て層内へ均一に水を供給することが困難であるという問題があった。
そのため廃棄物の上部及び/又は内部にシートを敷設し、散水や雨水などの水分がシートを通して均一に埋め立て層に供給されるようにすることが考えられる。
【0003】
例えば特開平4−310278には廃棄物処分場の廃棄物上に高吸水性シートを敷設することが示されている。例示の高吸水性シートは自重の何倍もの水分を吸収することは出来るが、一旦吸収すると急速な放出は難しいという欠点があり、雨水等が高吸収性シート中に大量に吸収されても放出されず、埋め立て層内への給水は不可能であり、微生物は水分が供給されず死滅してしまう可能性がある。このため保水と放出がバランスし、適度に給水が可能なシートの開発が大いに望まれていた。
【特許文献1】特開平4−310278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、埋め立て層上部もしくは内部に敷設することにより、廃棄物に水を均一に供給することに適する水拡散性の優れた廃棄物処分場用シート及び廃棄物に水を均一に供給する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、保水層と水拡散層の2層構造からなる、下記を満足することを特徴とする水拡散シートとし、該シートを埋め立て層に敷設することにより達成される。
(1)透水係数が保水層より水拡散層の方が低く、且つ水拡散層の透水係数が1×10以上であること。
(2)保水層および水拡散層の通気度が0.2cc/cm/秒以上であること。
(3)保水層の保水量が10g/100cm以上であること。
(4)水拡散層の吸水高さが5cm以上であること。
【発明の効果】
【0006】
本発明のシートにより適度な水分の供給が可能となり、管理型廃棄物処分場における廃棄物中の有機物の微生物による分解を安定に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における埋め立て層に適度な水分の供給する水拡散性シートは、埋め立て層上方の空中から供給される水をまず吸収、保水する保水層を上層、保水層から水を供給される配置で連続して積層された水拡散層を下層とする構成とし、埋め立て層に敷設する場合も空中水供給側から見て保水層が上層、水拡散層が下層とすることが好ましい。
【0008】
水拡散性シートが雨水や散水等により空中から供給される水を埋め立て層内部に供給するためには、シート全体の透水係数が1×10−4以上、好ましくは1×10−3以上が必要である。透水係数が1×10−4未満であると不透水であるため、埋め立て層に十分水を供給することができない。
【0009】
また本発明のシートは保水層と水拡散層の2層構造のうち、保水層が水拡散層より透水性が高いことが必要で、そのような構成にすることにより保水層に保水した水を水拡散層に積極的に供給することができる。
【0010】
又保水層は保水層全体で散水や雨水等を一端保水し、水拡散層に受け渡していく役割であり、保水量は10g/100cm以上必要であり、好ましくは20g/100cmである。保水量が10g/100cm以下の場合、雨水等の上部からの水を十分に蓄えることができず好ましくない。
【0011】
以上のように保水性と透水性を適度にバランスさせた水拡散シートとすることが重要であり、その保水性と透水性が適正範囲の時シートの保水と水拡散がバランスし、シートに供給された水が有効に且つ均一に埋め立て層に拡散していくのである。
【0012】
また通気性に関しては、有機物が分解する際、メタンガスや水蒸気などの気体が発生するため、シートの通気度は0.2cc/cm/秒以上、好ましくは1.0cc/cm/秒以上であることが必要である。通気度が0.2cc/cm/秒未満であると、下部からの発生ガスによりシートの破損を引き起こす恐れがあり好ましくない。
【0013】
シートを敷設する埋め立て層表面においては凹凸が生じているため、埋め立て層表面上に均一に水を拡散させるためには、最低でも吸水高さ5cm以上、好ましくは10cm以上必要である。吸水高さが5cm未満であると埋め立て層表面において局所的に水が溜まりやすくなる。
【0014】
本発明の水拡散層は、単糸繊度が0.1以上5デシテックス未満の繊維からなる不織布、織物、編物から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。5デシテックス未満であることにより、優れた毛管現象により吸水高さ5cmが得られる。ただし0.1デシテックス未満であると、施工に耐えうる十分な強度が得られない。
【0015】
本発明の水拡散性シートで埋め立て層を被覆する場合、保水層が上層で水拡散層が埋め立て層に接する下層となる形で設置することが好ましい。
【実施例】
【0016】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、実施例中の各特性は下記の方法により評価した。
(1) 単位面積質量(目付)
JIS L 1908に規定される方法に準じて測定した。
(2)厚さ
JIS L 1908に規定される方法に準じて測定した。
(3)吸水高さ
JIS L 1907に規定される方法に準じて測定した。
(4)透水係数
JIS A 1218に規定される、「土の透水試験方法」に準じて測定した。
(5)通気度
JIS L 1096のA法に規定される、フラジール形法に準じて測定した。
(6)保水量
JIS L 1096に規定される方法に準じて測定した。
(7)水の拡散性(シートの保水性と透水性のバランス)
幅100cm×奥行き100cm×高さ30cmの型枠に、市販の真砂土(水分率20%)を密度1.5g/cmになるように敷き詰めた上に、シートを敷設し、シート垂直方向1mの高さから、全体の20%の面積に対し、散水強度60mm/hrで1時間散水した。1時間散水したあと、真砂土表面上に水溜りが発生していなく、水の拡散面積が全体の50%以上の状態を水の拡散性「○」、水溜りが発生していなく、水の拡散面積が全体の50%未満の状態を水の拡散性「△」、水溜りが発生している状態を、水の拡散性「×」とした。
○の場合保水層全体で散水量を保水し、序々に水拡散層から放出すること、△の場合透水性が良過ぎるため、保水層全体で保水する前に透水してしまい、効率良く保水できないこと、×の場合透水性が更に良すぎるため、散水した水が散水部のみを通過し結果として水溜りが出来ることを意味する。
【0017】
[シートAの作成]
特開昭51−70366号公報の実施例1に記載された方法に従って、ポリエチレンテレフタレート構成部分とナイロン6構成部分が交互に隣接して16環状に配置され、且つ繊維の長手方向に伸び全体として管状体を構成している分割型中空複合繊維で、全ポリエチレンテレフタレート構成部分と全ナイロン6構成部分の重量比が1:1で、個々の構成部分の繊径が0.18デシテックス、分割型中空複合繊維の繊径が2.8デシテックス、中空率(全ポリエチレンテレフタレート構成部分と全ナイロン6構成部分および中空部分の体積の合計に対する中空部分の体積の割合)が10%である繊維長64mmの短繊維を作製した。該短繊維をカーディング工程にて開繊して得たウェブに、ニードルパンチ処理を200ポイント/cmの条件により強制交絡処理を施した後、公知のウォーターニードル法を用いて、50kg/cm×10列の条件により該分割型中空複合繊維の細化を行い、シートを作成した。得られたシートの物性を表1に示す。
【0018】
[シートBの作成]
ポリエチレンテレフタレート構成部分とナイロン6構成部分の重量比が1:1で、中空率が8%である16分割型中空複合繊維のマルチフィラメント糸(500デシテックス/120フィラメント)を経糸及び緯糸に用いて、織物組織として8枚朱子を用いて経密度120本/2.54cm、緯密度67本/2.54cmで織成し、該織物を分割処理剤(山川薬品製:テトロシンOE−N 3%)で処理を行い、シートを作成した。得られたシートの物性を表1に示す。
【0019】
[シートCの作成]
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(32デシテックス/72フィラメント)を用いて、40ゲージで経編物を編成し、シートを作成した。得られたシートの物性を表1に示す。
【0020】
[シートDの作成]
短繊維の繊度が3.3デシテックス、繊維長が51mmであるポリエステル短繊維をカーディング工程にて開繊してウェブにニードルパンチ処理を300ポイント/cmの条件により強制交絡処理を施して、シートを作成した。得られたシートの物性を表1に示す。
【0021】
[シートE、F、Gの作成]
短繊維の繊度が6.6デシテックス、繊維長が51mmであるポリエステル短繊維をカーディング工程にて開繊してウェブにニードルパンチ処理を210ポイント/cmの条件により強制交絡処理を施して、シートを作成した。得られたシートの物性を表1に示す。
【0022】
[シートHの作成]
シートAにおいて、市販のポリエチレン系系多孔質膜((株)トクヤマ製、ポーラム高通気タイプ)を、ウレタン接着剤を用いて貼りあわせ、シートを作成した。得られたシートの物性を表1に示す。
【0023】
[シートIの作成]
シートAにおいて、市販のポリウレタン系無孔フィルム(日本マタイ製)を、ウレタン接着剤を用いて貼りあわせ、シートを作成した。得られたシートの物性を表1に示す。
【0024】
[実施例1〜3、比較例1〜6]
保水層(上層)および水拡散層(下層)の組合わせた各種積層体およびその物性を表2に示す。
本発明のシート(実施例1、2、3)は保水性と透水性のバランスが良く、水拡散性又通気性にも優れるものであった。
【0025】
【表1】


【0026】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0027】
管理型廃棄物処分場における廃棄物中の有機物の微生物分解を安定且つ容易にすることが可能となり、廃棄物の低減等が可能となる。
【出願人】 【識別番号】302011711
【氏名又は名称】帝人ファイバー株式会社
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】 【識別番号】100099678
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 秀子


【公開番号】 特開2008−62464(P2008−62464A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−241395(P2006−241395)