| 【発明の名称】 |
染料移行防止シート |
| 【発明者】 |
【氏名】後藤 正人
【氏名】高月 久徳
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| 【要約】 |
【課題】染料を含有する布地等に対し、染料移行の防止効果が充分であって、可撓性を損なうことのない染料移行防止シートを提供する。
【構成】軟質塩ビシート3または軟質塩ビシートの積層体3の表面にポリ塩化ビニリデン層1を積層する。また前記ポリ塩化ビニリデン層の厚さは5〜30μmであること、また軟質塩ビシートとポリ塩化ビニリデン層との間はウレタン接着剤層を介するとよい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軟質塩ビシートまたは該軟質塩ビシートの積層体の表面に、ポリ塩化ビニリデン層が積層されたことを特徴とする染料移行防止シート。 【請求項2】 前記ポリ塩化ビニリデン層の厚さが5〜30μmであることを特徴とする請求項1記載の染料移行防止シート。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、軟質塩ビシートを基材とするシートであって、詳細には軟質塩ビシートを基材とする染料移行防止シートに関するものである。 【背景技術】 【0002】 塩化ビニル系樹脂は、低コストで加工性などの取扱いがよく、機械的物性、耐クリープ性、耐薬品性、接着性、印刷性に優れ、難燃性であるという多くの利点を有し、金属、ガラス、木材、天然繊維、紙、布などに代わる丈夫で軽いプラスチック素材として、水道管・下水管・電力線などの公共ライン、壁装材・建具・雨樋・窓枠・床材・デッキ・屋上防水シートなどの建築資材、園芸ハウス、半導体洗浄装置・排気ダクトなどの農工業設備資材、自動車・家電のパーツ、ラップフィルム・合成皮革、文房具などの雑貨というように、都市基盤からエレクトロニクス、日用品に至るまで、広範な分野で使用されている。 【0003】 特に、塩化ビニル系樹脂は可塑剤を添加することで塩ビ製品の柔らかさを自由に変えられるという加工性を有し、可塑剤を添加した軟質塩ビシートはゴムのようなエラストマーや皮革のような風合いが得られるという点から、車や家具の椅子、手帳・ファイル・バインダー・辞典などの表紙、バッグなどの装飾品に利用されている。 【0004】 このように多くの利点を有する一方で、軟質塩ビシート(以下、単に塩ビシートともいう)は添加されている可塑剤の染みだしという問題がある。この問題を改善するため、種々の方法が提案されている。例えば、塩ビシートに有機溶剤に溶かしたアクリル系、ウレタン系またはポリエステル系樹脂をコーティングする方法、塩ビシートにポリメタクリル酸系フィルムをラミネートする方法(特許文献1)、あるいは塩ビシートにフッ素系樹脂を接着積層する方法(特許文献2)が知られている。 【0005】 一方で、従来、応接室等で使用され塩ビシートの椅子の表面に、ジーンズや衣料または染料を含有する天然皮革が接すると、塩ビシート表面にこれらの染料が移行するという問題があった。 【特許文献1】特開昭56−167445号公報 【特許文献2】特開昭59−171649号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 染料移行を防止する方法として、上記可塑剤の移行を抑制する方法を適用することも考えられるが、アクリル系、ポリウレタン系樹脂をコーティングする方法では染料移行の防止効果が充分とはいえず、フッ素系樹脂を接着積層する方法ではフッ素樹脂が高価であるため製品のコスト高となる。一方、ポリエステル系樹脂では風合が硬すぎ、可撓性が充分ではないという問題がある。 【0007】 本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、染料を含有する布地等に対し、染料移行の防止効果が充分であって、可撓性を損なわない軟質塩ビシートを基材とする染料移行防止シートを提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の染料移行防止シートは、軟質塩ビシートまたは該軟質塩ビシートの積層体の表面に、ポリ塩化ビニリデン層が積層されたことを特徴とするものである。 前記ポリ塩化ビニリデン層の厚さは、5〜30μmであることが好ましい。 【発明の効果】 【0009】 本発明の染料移行防止シートは、軟質塩ビシートまたは該軟質塩ビシートの積層体の表面に、ポリ塩化ビニリデン層が積層されているので、ポリ塩化ビニリデンの高いバリア性により、軟質塩ビシート表面に布地等の染料が移行するのを防止することができる。また、ポリ塩化ビニリデンの高い可撓性により、布地に対する可撓性を損なわない軟質塩ビシートを基材とする染料移行防止シートとすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明の染料移行防止シートは、軟質塩ビシートまたは該軟質塩ビシートの積層体の表面にポリ塩化ビニリデン層が積層されたことを特徴とする。以下に本発明の染料移行防止シートを図面を参照しながら詳述する。 【0011】 図1は、本発明の染料移行防止シートの一の実施形態を示す概略模式断面図である。図1に示すように、染料移行防止シート10は基布5上に、第一接着剤層4、塩ビシート3、第二接着剤層2、ポリ塩化ビニリデン層1をこの順に積層してなる。 【0012】 基布5の材質は限定されるものではなく、例えばポリエステル、レーヨン、ナイロン等を挙げることができる。基布の厚さは特に限定されないが、加工性、風合、要求物性などの面から50〜1000μmであることが好ましい。 【0013】 第一接着剤層4は、基布5と塩ビシート3を接着させる層であり、ポリウレタン系、塩化ビニル系、塩化ビニル系・酢酸ビニル系の接着剤を好ましく挙げることができる。第一接着剤層4の厚さは基布の材質や加工性、風合、要求物性によるため一概には言えないが、2〜20μmであることが好ましい。 【0014】 塩ビシート3は、顔料等により着色した熱可塑性樹脂で、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体などであり、これらを単独あるいは二種以上を混合したものに可塑剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、耐候剤、防炎剤などの添加剤を混合したものである。塩化ビニル系樹脂は、カレンダー法、Tダイ押出し法など公知の方法でシート化することができる。 【0015】 塩ビシート3は一層であっても、また二層以上が積層されたものであっても良い。さらに、塩ビシート3は発泡させたものでも良い。塩ビシート3の厚さは特に限定されるものではないが、加工性、風合、要求物性などの面から100〜1000μmであることが好ましい。 【0016】 第二接着剤層2は、塩ビシート3とポリ塩化ビニリデン層1を接着させる層であり、ポリウレタン系、塩化ビニル系、塩化ビニル・酢酸ビニル系の接着剤を好ましく挙げることができる。第二接着剤層2の厚さは特に限定されないが、加工性、風合、要求物性の面から0.5〜5μmであることが好ましい。 【0017】 ポリ塩化ビニリデン層1は、染料移行を防止する層である。ポリ塩化ビニリデン層1の厚さは5〜30μmであることが好ましい。ポリ塩化ビニリデン層1の厚さが5μmよりも薄い場合には染料移行防止の効果が弱く、逆に、30μmよりも厚い場合には風合が固く、加工性が悪くなるため好ましくない。 【0018】 なお、ここでは基布と塩ビシート、塩ビシートとポリ塩化ビニリデン層がそれぞれ接着剤を介して接着されたものについて説明をしたが、基布と塩ビシート、塩ビシートとポリ塩化ビニリデン層は下記に説明するように、加圧、加熱によって融着するようなシートで接着されていてもよい。また、図1では基材に第一接着剤層を介して塩ビシート、第二接着剤層、ポリ塩化ビニリデン層を積層した染料移行防止シートを示したが、シートの用途によっては基材はなくてもよい。 【0019】 本発明の染料移行防止シートは、基布に第一接着剤層を介して塩ビシート貼り合わせ、塩ビシートに第二接着剤層を介してポリ塩化ビニリデン層を積層することにより製造することができ、積層には、上記接着剤法の他、加圧下での加熱圧着法、ラミネーター法、エクストルージョンラミネーター法などを使用することができる。なお、染料移行防止シートの表面はエンボス加工などにより凹凸模様を設けてもよい。 以下、本発明の染料移行防止シートを実施例を用いてさらに詳しく説明する。 【実施例】 【0020】 (実施例1) 厚さ0.3mmのポリエステル/レーヨンからなる基布上に塩ビ・酢ビ系の第一接着剤層(日信化学:ビニブラン430)を塗布し120℃×30秒乾燥した。ここにカレンダー法によりシート状とした塩ビシート(新第一塩ビ:ZEST 1000Z 100重量部に対し、DOP 70重量部)を含んだコンパウンド2層をそれぞれ150μm、200μmの厚さで貼り合わせた。次いで、塩ビシート表面にウレタン系接着剤層(セイコー化成:LP202)をグラビアにより2μm塗布し、100℃×45秒乾燥した。最後に、ウレタン系接着剤層の表面に厚さ15μmのポリ塩化ビニリデン層(旭化成ケミカルズ:サランUB)を120℃、圧力3kgの条件で貼り合わせ、電熱で加熱後、エンボスを圧力4kgの条件で押し、シート表面に凹凸模様を施し、シートを得た。 【0021】 (実施例2) 実施例1において、塩ビシートを含んだコンパウンド2層をそれぞれ150μm、200μmの厚さで貼り合わせた後、塩ビシート表面にポリ塩化ビニリデン層(旭化成ケミカルズ:サランラテックスL536R)をグラビアにより3μm塗布した。次いで、100℃で1分乾燥した後、電熱で加熱後、エンボスを圧力4kgの条件で押し、シート表面に凹凸模様を施し、シートを得た。 【0022】 (実施例3) 実施例1において、塩ビシートを含んだコンパウンド2層をそれぞれ150μm、200μmの厚さで貼り合わせた後、塩ビシート表面にウレタン系接着剤層(セイコー化成:LP202)をグラビアにより2μm塗布し、100℃×45秒乾燥した。次いで、ウレタン系接着剤層の表面に厚さ40μmのポリ塩化ビニリデン層(旭化成ケミカルズ:サランフィルム)を120℃、圧力3kgの条件で貼り合わせ、電熱で加熱後、エンボスを圧力4kgの条件で押し、シート表面に凹凸模様を施し、シートを得た。 【0023】 (比較例1) 実施例1において、塩ビシートを含んだコンパウンド2層をそれぞれ150μm、200μmの厚さで貼り合わせた後、電熱で加熱し、次いで、エンボスを圧力4kgの条件で押し、シート表面に凹凸模様を施し、シートを得た。 【0024】 (比較例2) 比較例1で得られたシートの塩ビシート表面にアクリル系樹脂(セイコー化成:ラックスキン310)をグラビアにより2μmの厚さで塗布し、100℃×45秒乾燥してシートを得た。 【0025】 (比較例3) 実施例1において、塩ビシート表面にウレタン系接着剤層をグラビアにより2μm塗布し、100℃×45秒乾燥した後、ウレタン系接着剤層表面に厚さ12μmのポリエステル層(二村化学:FE2000)を120℃、圧力3kgの条件で貼り合わせ、電熱で加熱後、エンボスを圧力4kgの条件で押し、シート表面に凹凸模様を施し、シートを得た。 【0026】 (評価方法) 実施例及び比較例で得られたシートの染料移行性を下記の試験方法で評価した。 【0027】 (染料移行性) 実施例及び比較例で得られたシートを9cm×6cmの大きさに裁断し、この表面に、6cm×6cmの水で濡らしたジーンズ(染料含有)を置き、6cm×6cmのガラス板で挟み込んだ。水分が蒸発しないようにポリエチレンフィルムで包み込み、ガラス板の上に3kgの重りを載せ、70℃のオーブンに入れ放置した。24時間後取り出し、シートの表面の汚染度合を汚染用グレースケール(JIS L0805)にて、1〜5級の等級(1級は汚れが汚染用グレースケール1号またはその程度を越えるもの(汚れが濃く残る)、2級は汚れが汚染用グレースケール2号程度のもの(かなり汚れが残る)、3級は汚れが汚染用グレースケール3号程度のもの(やや汚れが残る)、4級は汚れが汚染用グレースケール4号程度のもの(殆ど汚れが残らない)、5級は汚れが汚染用グレースケール5号程度のもの(汚れが残らない))で判定した。 【0028】 (可撓性) 実施例及び比較例で得られたシートを2cm×15cmの大きさに切断し、これを、図2に示すような直角面を持つ台上に、シートの長手部分が台上から13cmはみ出すように重りで固定し、固定部分とは反対側のシート端から台までの距離(図2のL部分)を測定し、Lが3cm未満のものを○、3cm以上5cm未満のものを△、5cm以上のものを×と評価した。 結果を表1に示す。 【表1】
【0029】 実施例1〜3から明らかなように、本発明の染料移行防止シートは、塩ビシートの表面にバリア性に優れたポリ塩化ビニリデン層が積層されているため、何も設けていない比較例1やアクリル系樹脂層を設けた比較例2に比べて、このシートに接触する染料を含有する衣料や天然皮革からの染料の移行を効果的に抑制することができた。なお、比較例3は塩ビシートの表面にポリエステル層を設けたシートであるが、この場合には、染料移行性はよいものの、可撓性が充分ではなかった。 【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】本発明の染料移行防止シートの一の実施形態を示す概略模式断面図 【図2】可撓性試験を説明するための概略図 【符号の説明】 【0031】 1 ポリ塩化ビニリデン層 2 第二接着層 3 軟質塩ビシート 4 第一接着層 5 基布
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| 【出願人】 |
【識別番号】390028532 【氏名又は名称】株式会社ナンカイテクナート
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| 【出願日】 |
平成18年9月5日(2006.9.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073184 【弁理士】 【氏名又は名称】柳田 征史
【識別番号】100090468 【弁理士】 【氏名又は名称】佐久間 剛
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| 【公開番号】 |
特開2008−62408(P2008−62408A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−239760(P2006−239760) |
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