トップ :: B 処理操作 運輸 :: B32 積層体




【発明の名称】 ラミネートフィルム、ラミネートフィルムの製造方法、ラミネート方法、印画物
【発明者】 【氏名】長瀬 好幸

【氏名】小林 雅也

【氏名】三浦 康

【氏名】国峯 昇

【要約】 【課題】耐熱性基材上に保護層を形成した本発明のラミネートフィルムはロール状に巻き高温環境に放置されても耐熱性基材への貼り付くことがなく、且つ、比較的低温でラミネート処理を行っても高画像品位の印画物を得ることができるラミネートフィルムを提供する。

【構成】表面層と接着層とを有する保護層を耐熱性基材上に積層したラミネートフィルムであって、前記接着層が接着性樹脂材料とビーズとを含有し、且つ該前記ビーズが低密度ポリエチレンであることを特徴とするラミネートフィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着温度が110℃以上125℃以下であるラミネート装置に使用する、表面層と接着層とを有する保護層を耐熱性基材上に剥離可能に積層したラミネートフィルムであって、前記接着層が接着性樹脂材料とビーズとを含有し、且つ該前記ビーズが低密度ポリエチレンであることを特徴とするラミネートフィルム。
【請求項2】
前記ビーズの含有量が、接着層を構成する接着性樹脂材料100質量部に対し0.2質量部以上5質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のラミネートフィルム。
【請求項3】
前記ビーズの数平均粒子径が、(接着層の層厚−5μm)以上(接着層の層厚+20μm)以下であることを特徴とする請求項1,2に記載のラミネートフィルム。
【請求項4】
前記ビーズの真球度として形状係数が1.05以上1.7以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルム。
【請求項5】
前記接着層を構成する接着性樹脂材料が、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選ばれる高分子物質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラミネートフィルム。
【請求項6】
前記接着層を構成する接着性樹脂材料は、紫外線吸収剤が混合されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のラミネートフィルム。
【請求項7】
前記接着層を構成する接着性樹脂材料が、紫外線吸収基を分子鎖中に有する樹脂材料を含むものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のラミネートフィルム。
【請求項8】
前記表面層を構成する接着性樹脂材料が、紫外線吸収剤が混合されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のラミネートフィルム。
【請求項9】
前記表面層を構成する接着性樹脂材料が、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質が含有されてなるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のラミネートフィルム。
【請求項10】
耐熱性基材上に表面層と接着層とが順に積層しているラミネートフィルムの製造方法において、接着性樹脂材料と低密度ポリエチレンからなるビーズとを含有する塗工液を、コーティング法によって塗工して接着層を形成する工程を有することを特徴とするラミネートフィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載のラミネートフィルムを使用し、記録部材に保護層を加熱により定着するラミネート方法において、その加熱するための手段が熱ローラであることを特徴とする記録部材のラミネート処理方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載のラミネートフィルムによって記録部材の表面がラミネート加工されていることを特徴とする印画物。
【請求項13】
前記記録部材が、インクジェット記録方法によって画像が形成されているものである請求項12に記載の印画物。
【請求項14】
前記記録部材が、基体とインク受容層からなるものである請求項12に記載の印画物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被保護部材(例えば、画像を形成して得た記録部材)の表面を保護層で覆うためのラミネートフィルムに関する。特に、耐熱性基材上に形成した保護層を被保護部材に熱定着した後、耐熱性基材のみを剥離して保護層を形成することのできるラミネートフィルムと、ラミネートフィルムの製造方法、及びこれを用いた印画物のラミネート処理方法、ラミネートフィルムが定着された画像を有する印画物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット法、オフセット法、グラビア法、電子写真法などによって得られる印画物は、その画像が形成されている面(受像メディア面)にラミネートフィルムを被覆させることによって、耐光性、耐水性、耐ガス性、耐摩擦性などの画像堅牢性が向上し、更に画像表面の光沢度や平滑度、画像の最大濃度が上がることで画像品位が向上することは広く知られている(例えば特開2001−121609号公報)。
【0003】
特に、インクジェット法を利用する記録装置については、微細な吐出口からインクが飛び出すという印字方式上の制約から、水に溶解した染料を水分の吸収性が高い記録部材に印字する方式を採用したものが広範に普及している。水溶性染料を含有する水性インクを用いてインクジェット法により形成された印画物は、一般的に耐候性が乏しい場合が多く、この画像の高堅牢化のためには、ラミネート処理が有効である。
【0004】
ラミネート処理には、耐熱性基材で支持された保護層を印画物の画像面に熱定着してから耐熱性基材のみを保護層から剥離することで保護層を画像面上に残存させて完成印画物を得る方法や、耐熱性基材は剥離せずそのまま画像面上に残存させて完成印画物を得る方法がある。これらのうち、耐熱性基材を剥離するタイプのラミネート方法は耐熱性基材のヘイズの影響がないため、濃度の高い画像が得られる。
【0005】
これらのラミネートフィルムには、ロール状態で保管した場合に生じる、接着層とその接着層と接する一巻き前の耐熱性基材との間のブロッキングを防止するために、ラミネートフィルムの接着層にしばしば離型剤が添加される。離型剤としては無機、有機のフィラー類やポリシロキサン系物質、脂肪酸エステル系物質等が使用される。この中でもポリシロキサン系物質は、シリカ系インク受容層をもつ記録部材へラミネートする場合には接着層におけるシリカ系インク受容層への回り込みがよく、その結果印画物の濃度が上がる等の利点があることが知られている。
【0006】
また、ブロッキングを防止するために、耐熱性基材上の保護層が設けられている面と異なる面上にさらにバックコート層を設けることも広く知られている。
【0007】
さらに、ラミネートフィルムの接着層に、有機あるいは無機ビーズを混入させ接着層表面に凹凸を形成させることで、ブロッキング防止作用が発揮されると共に、微細な空気の隙間が作られラミネート時あるいはフィルム加工時のフィルム同士の張り付きや皺の発生、位置ずれが防止されることも知られている。また、接着層がTgの低い物質よりなる場合、長期保存で接着層を構成する物質が動き、接着層の表面における均一性が失われ、ラミネート処理後の画像にムラが生じることがしばしば発生するが、前記有機あるいは無機ビーズを適量混入することで細かく均一な凹凸を持った表面性が得られ、ラミネート処理後も良好な画像品位が得られることも知られている。
【特許文献1】特開2001−121609号公報
【特許文献2】特開2003−231217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、実際上使われているビーズの材料は、アクリルや高密度ポリエチレンなど比較的融点の高いものであった(例えば特開2003−231217号公報)。融点の高いビーズを使用したラミネートフィルムは、記録部材に熱と圧力によってラミネート処理される際に、ビーズが溶解せず粒子の形状の全部または一部が残ってしまい、定着直後では平滑な表面性が得られていても、高温多湿等の保存環境に放置すると、接着層を構成する材料が動き、徐々にビーズが表面層を突き上げ、成果物の画像性(光沢性、平滑性等)が低下したものとなるという問題がある。また、高融点のビーズを溶解させることのできる程の高温でラミネート処理を行うと、ラミネートフィルムを構成している耐熱性基材(一般的にPETやPP、塩化ビニルを用いることが多い)や記録部材が熱によって収縮、溶解し、皺が入るなどして変形してしまう問題がある。また、逆に融点の低いビーズを使用したラミネートフィルムは、長期保存により徐々にそのビーズの形が変形しブロッキング防止効果が失われたり、ラミネートフィルム製造工程(樹脂の塗工乾燥時等)において低い温度でしか処理できないという問題がある。
【0009】
本発明はこれらの事情を考慮して成されたものであって、その目的は充分なブロッキング防止機能を持ちつつも、一般的なラミネート処理に適当な110〜125℃程度の比較的低温で処理を行っても、ビーズが溶解し接着層内に取り込まれて高画質な成果物を得られるラミネートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明にかかるラミネートフィルムは、表面層と接着層とを有する保護層を耐熱性基材上に積層したラミネートフィルムであって、前記接着層が接着性樹脂材料とビーズとを含有し、且つ該前記ビーズが低密度ポリエチレンであることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明にかかるラミネートフィルムの製造方法は、耐熱性基材上に表面層と接着層とが順に積層しているラミネートフィルムの製造方法において、接着性樹脂材料と低密度ポリエチレンからなるビーズを含有する塗工液をコーティング法によって塗工して接着層を形成する工程を有することを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明のラミネート方法は、上記ラミネートフィルムを使用し、記録部材に保護層をラミネートすることを特徴とするものである。
【0013】
さらにまた、本発明の印画物は、上記ラミネートフィルムによって記録部材の表面がラミネート加工されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述したように、本発明の接着層に低密度ポリエチレンよりなるビーズが含有されているラミネートフィルムにおいては、十分なブロッキング防止機能を有すると共に、比較的低温でラミネート処理を行ってもビーズが軟化、溶解し接着層内に取り込まれて高画像の成果物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明のラミネートフィルムの実施形態の一例を示す概略断面図である。
【0017】
このラミネートフィルムは、最も単純な層構成の例であり、耐熱性基材(A)の一方の面上に表面層(B)を備え、この表面層(B)の表面上に、記録部材に対して接着可能な材料を含有する接着層(C)を備え、そして、この接着層(C)内に低密度ポリエチレンビーズ(D)が含有されてなるものである。
【0018】
次に、本発明のラミネートフィルムを構成する各層について説明する。
1:耐熱性基材
耐熱性基材(A)としては、ラミネートフィルム製造段階や記録部材にラミネートフィルムを加熱し、場合によっては圧力もかけて接着する際に、必要とされる自己保持性を安定に維持できるもので、かつ記録部材の記録層上に保護層が被覆された段階で剥離が容易なものであればよく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、酢酸セルロース、セルロースアセテート、ポリメチルペンテンなどの材料からなる単層または積層、もしくは2種以上混合した材料からなるフィルムやシート等を用いることができる。また、耐熱性基材の厚さは、ラミネート処理に適した厚さとすればよく、例えば5〜200μm程度の範囲が好ましい。また、これらの耐熱性基材の表面にコロナ処理等の接着性を高める処理を施したもの、あるいは逆に離型処理を施したものを使用しても良い。
【0019】
耐熱性基材は、保護層が形成される側の面にエンボス加工やサンドブラストなどの粗面化処理を行なったり、粉体粒子を含む樹脂層を積層させることによる粗面化処理がされていても良い。耐熱性基材が粗面化処理されていないものである場合には、本発明のラミネートフィルムを記録部材に貼り合せた後、耐熱性基材を剥離すると光沢のある保護層を有する記録部材が得られる。一方、粗面化処理されているものである場合には、半光沢またはマット調、絹目調等の保護層を有する記録部材が得られる。
2:表面層
表面層(B)は、ラミネートフィルムが記録部材にラミネートされた際に、保護層の最表面となる層であり、印画物への耐熱性の付与や折曲性(柔軟性)、種々の環境下でラミネート処理された画像面におけるブロッキングの発生を防止するといった観点から、この(B)を構成する材料のガラス転移点(Tg)は少なくとも60℃以上であることが望しい。この材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の高分子物質を含有する樹脂材料等が挙げられる。また、表面層の層厚は例えば、3〜20μmから選択できる。
3:接着層
接着層(C)としては、常温では硬化した状態であり加熱によって軟化し流動性を持ち、記録部材に染み込むことでラミネートフィルムを記録部材へ接着する作用をなすものであればよく、例えばアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ゴム系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン系樹脂などを単独またはこれらの2種以上の混合物を主成分とするエマルジョン系樹脂や有機溶剤系樹脂を選択できる。
【0020】
加熱手段として熱ローラやサーマルヘッドを使用して本発明のラミネートフィルムを記録部材にラミネートするため加熱時間はごく僅かであり、したがって接着層材料としては、僅かな加熱時間に瞬間的に軟化、流動して接着性が発現することが必要である。このような特性を発現するためには、接着層を構成する接着性樹脂材料として低いガラス転移温度(Tg)のものを利用する方法や、ワックスと呼ばれる低分子量の結晶性樹脂を接着性樹脂と混合したものを利用する方法がある。Tgの低い材料としては、具体的にはそのTgが30℃以下であることが好ましい。ワックスとしては、加熱時に急峻な溶融性を示す材料が好ましく、このようなワックスとしては、カルナバワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、フィッシャートロプッシュワックス、合成ポリエチレンワックスが挙げられる。
【0021】
また、接着層の層厚はラミネート処理に適した厚さであればよく、例えば5〜50μm程度の範囲から選択するのが好ましい。
4:ビーズ
本発明のラミネートフィルムの接着層(C)に含有させるビーズ(D)は、ラミネートフィルムがロール状に保存され、高温環境下に置かれた場合に発生しうる接着層とその接着層と接する一巻き前の耐熱性基材との間のブロッキングを防止することを目的に、適宜設定される保存環境温度において難変形性を有する材料から構成されることが好ましい。
【0022】
さらにビーズ(D)としては、ラミネートフィルムの接着層にビーズが含有されていると、該ビーズはラミネート処理した印画物において記録部材と表面層との間の接着層の中に存在することになり、その結果、該ビーズ表面での乱反射の発生や、該ビーズの形状に沿ってその上に積層された表面層が変形することにより、印画物の画像品位や光沢等に影響を及ぼし、特に写真画像等のプリント物をラミネートした印画物においては問題となる場合があるので、ラミネート処理を施して得られた印画物が、ビーズを含有していないラミネートフィルムを用いて得られた印画物と同等の画像品位を得るためには、ビーズがラミネート時の加熱により変形、溶解し、接着層内に取り込まれる材料であることが好ましい。
【0023】
したがって、本発明のラミネートフィルムに含有されるビーズは特に低密度ポリエチレン材料からなるものであり、ビーズのみを直接、またはビーズがすでにエマルジョンや溶剤に分散されたものを、接着層の塗工液に添加して使用する。また、この低密度ポリエチレンビーズは一般的に良く知られた公知の技術により製造することができる。
【0024】
接着層(C)におけるビーズの含有量は、接着層を構成する樹脂材料100質量部に対し0.2質量部〜5質量部の範囲であることが好ましく、ビーズの含有量が0.2質量部以上であることによって十分なブロッキング防止効果を得ることができる。
【0025】
さらに、良好なブロッキング防止効果を得るためには、ビーズが接着層表面から僅かに飛び出ている状態で接着層が塗布製造されればよく、このような状態を得るためには、ビーズの数平均粒径が(接着層の層厚−5μm)〜(接着層の層厚+20μm)であることが好ましい。
【0026】
さらに、ビーズの形状係数が1.05〜1.7の範囲であることが好ましく、このように該ビーズがより真球に近い形状であることで、120℃程度の比較的低い温度でラミネート処理をした際にも、ビーズが一様に軟化変性するため、溶け残りなどの形状変形不良の発生を抑えることができ、均一な表面形状を有する印刷物を得ることができる。さらに真球に近い形状のビーズは、接着層の塗工液への分散性が高くなり、接着層塗布溶液においてビーズ同士の凝集の発生を抑えることができ、ラミネート処理後の記録部材において良好な画像品位を得ることができる。
【0027】
また、耐熱性基材層(A)における表面層(B)、および接着層(C)が形成されている面とは反対側の面(図1において下側の面)にバックコート層を設けてもよい。バックコート層に用いる材料としては、例えば、シリコーン、ポリオレフィン、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステル−シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の樹脂材料を単独又は混合して用いることができる。
【0028】
また、バックコート層に固形あるいは液状の離型剤又は滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤又は滑剤としては特に限定はなく、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸およびその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。
【0029】
特に、バックコート層の表面強度や耐擦過性を高めるために、上記の樹脂材料の中でも耐熱性基材と密着性を有する樹脂と、バックコートに必要な滑性・剥離(非密着)性を持った材料(例えばシリコーン)とが反応結合した樹脂を使用するのが良い。
【0030】
さらに、バックコート層における耐熱性が良好なものとするために、上記の樹脂材料のうち反応性基を有している樹脂を、架橋剤としてポリイソシアネート等を加えて、架橋させてなるものを使用することが好ましい。
【0031】
以上説明した表面層(B)、接着層(C)、バックコート層のうちのいずれか、もしくは複数の層を構成する樹脂材料が、紫外線吸収性剤が混合されていてもよい。このような紫外線吸収性剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系、ニッケルキレート系等の非反応性紫外線吸収剤などを単独または2種以上混合したものが挙げられ、主成分とするエマルジョン系樹脂や有機溶剤系樹脂材料に混合して用いられる。
【0032】
また紫外線吸収剤のブリードを防止し、紫外線吸収性能が低下するのを防ぐために、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質が含有されていても良い。このような樹脂材料としては、反応性紫外線吸収剤と各主成分となる樹脂とがあらかじめ反応結合したもの、もしくは耐熱性基材(A)に積層させるための塗布乾燥段階で架橋するものを挙げることができる。
【0033】
この目的に好適に利用できる紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、などのベンゾトリアゾール系化合物が利用できる。なお、紫外線吸収性能を有する化合物が化学結合している熱可塑性樹脂としては、公知の方法によって合成して得たものや、市販品を利用することができる。
【0034】
表面層(B)、接着層(C)、バックコート層は、各層毎に調製した塗工液を耐熱性基材上に塗布して乾燥させる工程を繰り返し、積層させることで形成することができる。塗工方法としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スロットダイコーティング法、マイクログラビアコーティング法、パウンテン法等を用いることができる。
【0035】
なお、耐熱性基材上に設けられた各層は、耐熱性基材上に設けられた状態では透明であっても不透明であってもよく、記録部材の画像面に被覆した状態において透明フィルムとなっているものであればよい。
【0036】
本発明のラミネートフィルムによるラミネート処理は、種々の記録部材に適用可能であるが、インクジェット記録法によって形成された印画物にも好適に適用することができる。図2にインクジェット記録法に用いられる記録部材に前記ラミネートフィルムをラミネートした記録部材の一例の断面図を示す。インク受容層を支持する基材(E)上にインク受容層(F)が塗布されている。
【0037】
インク受容層(F)には、多孔質無機粒子と必要に応じて結着材を混合した構成を用い、多孔質無機粒子としてはシリカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカアルミナ混晶、シリカマグネシウム混晶等を挙げることができる。特に、画質の良好性、経済性等から、シリカを用いることが好ましい。
【0038】
シリカを含む受容層に対しては、前記ラミネートフィルムの接着層にポリシロキサン系ブロッキング防止剤を添加したラミネートフィルムを用いてラミネートすると、シリカ受容層に接着層が十分に回りこみ高い画質が得られる。
【0039】
本発明にかかるラミネートフィルムを用いたラミネート印画物の形成工程を行う装置の一例を図3に示す。図3の装置は、受像メディア供給部1を備え、装置内部は、前方上部より前方中部へ順に、フィルム装着部2及び該フィルム装着部2に装着されたラミネートフィルム(G)、供給口3及び供給手段である供給ローラ対4、略々中心に、案内ローラ5、及び定着ローラ対6、後方下部より前方下部へ順に、搬送ローラ7及び排出ローラ対8、排出口9を備える構成とされている。供給ローラ対4は、供給下ローラ4aと供給上ローラ4bとから構成され、定着ローラ対6は、定着上ローラ6aと定着下ローラ6bとから構成されている。更に、搬送ローラ対7は、搬送主ローラ7aと搬送副ローラ7bとから構成され、排出ローラ対8は、排出上ローラ8aと排出下ローラ8bとから構成されている。
【0040】
記録部材(H)は、その印画面(インク受容層面)が、ロール状に巻き取られた状態から引き出されたラミネートフィルム(G)の接着層面と向き合う状態で供給口3より送られる。そして、定着ローラ対6の間を通り、必要に応じて110℃〜125℃に加熱及び加圧される。ラミネート処理後、耐熱性基材のみを剥離することで、保護層を付与したラミネート印画物を得ることができる。
【0041】
次に、具体的な実施例および比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
【0042】
ラミネートフィルムの作製
【実施例1】
【0043】
・表面層コーティングフィルムの作製
耐熱性基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(層厚25μm)を使用し、耐熱性基材の一方の面に表面層として紫外線吸収ポリマー(PUVA−30M、大塚化学株式会社製)を乾燥層厚5μmとなるように塗工乾燥し、表面層コーティングフィルムを得た。
【0044】
・接着層コーティングフィルムの作製
前記表面層コーティングフィルムの表面層上に、接着層としてアクリル系エマルジョンであるビニブラン(ビニブランは登録商標)2706C(日信化学工業株式会社、固形分40%)100部とビニブラン(ビニブランは登録商標)2706G(日信化学工業株式会社、固形分40%)100部と、水溶系表面調整剤(BYK‐333、ビックケミー・ジャパン株式会社)2部と、さらにブロッキング防止ビーズとして平均粒径12μ、融点107℃の真球低密度ポリエチレンビーズ(フロービーズ(フロービーズは登録商標)CL−2080、住友精化株式会社製)0.5部を混合した接着層塗工液を、乾燥層厚12μmとなるようにドクターバーによるパウンテン法により塗工乾燥し、ラミネートフィルムを得た。
【0045】
・記録部材(インクジェット印画物)の作製
記録部材として、インクジェットプリンター専用光沢紙(プロフェッショナルフォトペーパーPR101、キヤノン株式会社製)に、インクジェットプリンター(PIXUS(PIXUSは登録商標) 990i キヤノン株式会社製)で黒ベタ画像を形成した印画物を得た。
【0046】
・ラミネートフィルム付与印画物の作製
上記で作製したラミネートフィルムの接着層面と上記黒ベタ印画物の印字面を重ね合わせ、120℃に加熱された直径80mmのスチールローラと直径50mmのゴムローラが、荷重120Nでニップされたローラー対に、ラミネートフィルムがスチールローラ側になるよう、送り速度8mm/secで加熱圧着しラミネートフィルム付与印画物を得た。
【実施例2】
【0047】
接着層に含有させるブロッキング防止ビーズとして平均粒径10μ、融点117℃の低密度ポリエチレンエマルジョン(A110、岐阜セラック株式会社製、Sc40%)1.25部(乾燥固形分に換算すると0.5部)を混合した塗工液を接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム付与印画物を得た。
【0048】
(比較例1)
接着層に含有させるブロッキング防止ビーズとして平均粒径12μ、融点130℃の真球高密度ポリエチレンビーズ(フロービーズ(フロービーズは登録商標)HE−3040、住友精化株式会社製)0.5部を混合した塗工液を接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム付与印画物を得た。
【0049】
(比較例2)
接着層に含有させるブロッキング防止ビーズとして平均粒径15μの真球アクリルビーズ(ケミスノー(ケミスノーは登録商標)MX1500H、綜研化学株式会社製)0.5部を混合した塗工液を接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム付与印画物を得た。
【0050】
(比較例3)
接着層に含有させるブロッキング防止ビーズとして平均粒径6μ、融点107℃の真球低密度ポリエチレンビーズ(フロービーズ(フロービーズは登録商標)LE−1080、住友精化株式会社製)0.5部を混合した塗工液を接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム付与印画物を得た。
【0051】
(比較例4)
接着層に含有させるブロッキング防止ビーズとして平均粒径10〜20μ、融点107℃の微粉末低密度ポリエチレン(フローセン(フローセンは登録商標)UF−1.5、住友精化株式会社製)0.5部を混合した塗工液を接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム付与印画物を得た。
【0052】
(比較例5)
接着層に含有させるブロッキング防止ビーズとして平均粒径12μ、融点107℃の真球低密度ポリエチレンビーズ(フロービーズ(フロービーズは登録商標)LE−2080、住友精化株式会社製)0.1部を混合した塗工液を接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム付与印画物を得た。
【0053】
(比較例6)
接着層に含有させるブロッキング防止ビーズとして平均粒径12μ、融点107℃の真球低密度ポリエチレンビーズ(フロービーズ(フロービーズは登録商標)LE−2080、住友精化株式会社製)1.5部を混合した塗工液を接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム付与印画物を得た。
【0054】
(評価試験)
a)耐ブロッキング評価
各実施例及び比較例において、保護部材に定着前のラミネートフィルムをA4サイズに2枚カットし、接着層とバックコート層とが接するように重ね合わせ、これをPPC用紙20枚にてラミネートフィルムの上下面を挟持した状態で25kg/cm2の荷重をかけ、温度50℃、湿度80%の環境に10日間放置後、重ね合わせていた二枚のラミネートフィルムを剥して下記の評価基準で、接着層とバックコート層間のブロッキングを検討した。
【0055】
評価基準
○:ブロッキングしていない。
【0056】
△:若干ブロッキングしている部分がある。
【0057】
×:完全にブロッキングしている。
【0058】
b)物流環境保存後の接着層表面状態評価
上記を耐ブロッキング評価で使用した接着層の表面状態を観察し評価した。
【0059】
評価基準
○:表面の凹凸の幅が非常に細かく(4mm以内)均一に広がっている。
【0060】
△:表面の凹凸の幅が細かく(8mm以内)均一に広がっている。
【0061】
×:表面の凹凸の幅が広く(10mm以上)不均一
c)ラミネート処理後の画像評価
上記実施例、比較例で作製したミネートフィルム付与印画物の画像性を目視にて観察し評価した。
【0062】
評価基準
○:接着層に添加したビーズの形態が全く見えない。
【0063】
△:接着層に添加したビーズの形態が僅かに見える。
【0064】
×:接着層に添加したビーズの形態がはっきり見える。
【0065】
d)ラミネート処理後の画像光沢度評価
上記実施例、比較例で作製したミネートフィルム付与印画物の光沢度をグロスチェッカー(IG-320形 HORIBA製)を用いて測定した。
上記すべての評価結果を下記表1に示した。
【0066】
【表1】


実施例1に示すように、接着層に平均粒径12μ、融点107℃の真球低密度ポリエチレンビーズ0.5部を添加して作製した本発明のラミネートフィルム、及び接着層に平均粒径10μ、融点117℃の低密度ポリエチレンエマルジョン1.25部を添加して作製した本発明のラミネートフィルムは、耐ブロッキング性、接着層の表面性及び、該ラミネートフィルムを定着した印画物の画像性、光沢性は良好なものであった。
【0067】
これに対して比較例1に示すように、実施例1で使用した低密度ポリエチレンと比べて融点が130℃と高い真球高密度ポリエチレンビーズを添加して作製したラミネートフィルムは、該ラミネートフィルム材料の耐ブロッキング性、接着層の表面性は良好なものであったものの、該ラミネートフィルムを定着した印画物においてはビーズがラミネート処理によって完全に溶解することはなく、残ったビーズの影響を受けて画像性、光沢性は低い結果となった。
【0068】
また比較例2に示すように、融点が非常に高いアクリルビーズを添加して作製したラミネートフィルムは、該ラミネートフィルム材料の耐ブロッキング性、接着層の表面性は良好なものであったものの、該ラミネートフィルムを定着した印画物においては、ビーズがその形状を完全に留めたまま接着層内に維持され、そのビーズの影響を受けて画像性、光沢性は非常に低い結果となった。
【0069】
また、比較例3に示すように、実施例1で使用した低密度ポリエチレンと比べて平均粒径が6μと小さい真球低密度ポリエチレンビーズを添加して作製したラミネートフィルムは、該ラミネートフィルム材料のブロッキングが発生し、また接着層の表面では大きな凹凸が発生し不均一でムラがあるものであった。さらに該ラミネートフィルムを定着した印画物においてはビーズがラミネート処理によって溶解はするものの、前記接着層ムラの影響を受けて画像性、光沢性は若干低い結果となった。
【0070】
さらに、比較例4に示すように、実施例1で添加した形状が真球であるポリエチレンと比べて、粉砕したタイプで角のある微粉末ポリエチレンを使用して作製したラミネートフィルムは、該ラミネートフィルム材料の耐ブロッキング性、接着層の表面性は良好なものであったが、該ラミネートフィルムを定着した印画物においてはラミネート処理によってビーズは溶解はするものの、一部僅かに溶け残ったビーズが観察され、画像性、光沢性は若干低い結果となった。
【0071】
また、比較例5に示すように、実施例1で添加した低密度ポリエチレンと同じ材料ではあるものの、実施例1と比べてビーズの添加量を0.1%と低くして作製したラミネートフィルムは、該ラミネートフィルム材料のブロッキングが部分的に発生し、また接着層の表面では凹凸が発生し不均一でムラがあるものであった。さらに該ラミネートフィルムを定着した印画物においてはビーズがラミネート処理によって溶解はするものの、前記接着層ムラの影響を受けて画像性、光沢性は若干低い結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のラミネートフィルムの構成を示す断面図である。
【図2】本発明のラミネートフィルムを用い、記録部材に保護層をラミネートした成果物の断面図である。
【図3】本発明の実施例に係るラミネート装置の要部となる装置本体内部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
(A) 耐熱性基材
(B) 表面層
(C) 接着層
(D) ブロッキング防止ビーズ
(E) 基材
(F) インク受容層
(G) ラミネートフィルム
(H) 記録部材
1 受像メディア供給部
2 フィルム装着部
3 供給口
4 供給ローラ
4a 供給下ローラ
4b 供給上ローラ
5 案内ローラ
6 定着ローラ対
6a 定着上ローラ
6b 定着下ローラ
7 搬送ローラ
7a 搬送主ローラ
7b 搬送副ローラ
8 排出ローラ対
8a 排出上ローラ
8b 排出下ローラ
9 排出口
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三

【識別番号】100096965
【弁理士】
【氏名又は名称】内尾 裕一


【公開番号】 特開2008−49493(P2008−49493A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225528(P2006−225528)