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【発明の名称】 化粧シート
【発明者】 【氏名】老田 健次

【氏名】岩崎 剛

【要約】 【課題】被着体への接着性及び追従性に優れ、高温環境下で重荷重を受けても、隙間を通じて粘着剤が化粧シート表面及び裏面に浸み出すことがない、簡便な構成の化粧シートの提供。

【構成】パンチングシート2、両面粘着シート3及び剥離紙4がこの順に積層された化粧シート1であって、粘着シート3の粘着層がアクリル系ポリマー、粘着付与樹脂及びイソシアネート系架橋剤を含有する粘着剤からなり、前記ポリマー100質量部中に(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位90〜97質量部、カルボキシル基含有共重合性モノマー単位1〜6質量部、水酸基含有共重合性モノマー単位0.05〜0.3質量部が含有され、前記樹脂が前記ポリマー100質量部に対し20〜35質量部含有され、前記架橋剤が前記ポリマー及び前記樹脂100質量部に対し0.8〜3.0質量部含有され、粘着シート3の厚さが0.12〜0.14mmである化粧シート1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチングシート、両面粘着シート及び剥離紙をこの順に積層してなる化粧シートであって、
前記両面粘着シートの粘着層が、アクリル系ポリマー、粘着付与樹脂及び架橋剤を含有する粘着剤から形成され、
前記アクリル系ポリマー100質量部中には、炭素数が4〜14のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位が90〜97質量部と、カルボキシル基含有共重合性モノマー単位が1〜6質量部と、水酸基含有共重合性モノマー単位が0.05〜0.3質量部含有され、
前記粘着付与樹脂が前記アクリル系ポリマー100質量部に対して20〜35質量部含有され、
前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤であり、前記アクリル系ポリマー及び粘着付与樹脂100質量部に対して0.8〜3.0質量部含有され、
前記両面粘着シートの厚さが0.12〜0.14mmであることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記粘着付与樹脂100質量部中に、重合ロジン及び水添ロジンが75〜85質量部と、石油樹脂が15〜25質量部含有されている請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記架橋剤がトルエンジイソシアネート付加物である請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記パンチングシートの厚さが0.2〜0.6mm、前記剥離紙の厚さが0.05〜0.2mmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記パンチングシ−トの貫通孔の直径が0.3〜0.5mmであり、開口率が30〜50%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記両面粘着シートが不織布を芯材とする両面粘着シートであり、不織布よりパンチングシート側の粘着層の厚さ(A)と不織布より剥離紙側の粘着層の厚さ(B)との比が、A/B=48/52〜40/60である請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記剥離紙が、スリットを設けられたものである請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧シート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境下で重荷重を受けた場合でも、隙間を通じて粘着剤が化粧シート表面及び裏面に浸み出すことがない化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤を介して外装材を被着体に固定する手法は、該被着体に簡便に所望の意匠性を付与する手法として広く利用されている。例えば、パンチングシートなどの開孔性シート材料は、テレビや音響機器のスピーカーなどの外装材として汎用されており、外装材に粘着剤層が積層されてなる化粧シートとして、種々のものが提案されている。
【0003】
これら化粧シートは、粘着剤層の外装材を設けた側とは反対側に、さらに剥離紙が積層された形態で製造されるのが一般的である。そして、所定の形状に切断されてから、被着体の製造過程において、剥離紙が除去されて被着体の対象部位に貼付されて固定される。その際、剥離紙にスリットを設けておけば、一部の剥離紙を除去して、被着体に仮止めして簡便かつ精密に位置あわせをしつつ化粧シートを固定できるので、さらに利便性が向上する。
【0004】
一方、化粧シートは、被着体に対して接着性及び追従性が良いことが必要であり、さらに被着体に意匠性を付与するものなので、化粧シート自体に美観を損ねる要素があってはならない。しかし、特に外装材が開孔性シート材料である場合に、外装材表面の美観が損なわれ易い。例えば、粘着剤が外装材の開口部内に浸み出すと、粘着剤に起因する光沢が視認されるようになってしまう。
【0005】
また、化粧シートを高温環境下で重荷重を与えた状態にすると、粘着剤が開口部を通じて外装材表面にまで浸み出したり、化粧シート端面から浸み出したりすることがある。その結果、外装材表面に浸み出した粘着剤が固着して、美観を損ねてしまい、例えば、化粧シートが積み重ねられて保管されていれば、浸み出した粘着剤が化粧シート同士を接着してしまうこともある。
さらに、剥離紙にスリットが設けられている場合には、同様の重荷重を与えた状態で、スリットを通じて化粧シート裏面へ粘着剤が浸み出すことがある。この場合にも、例えば、化粧シートが積み重ねられて保管されていれば、浸み出した粘着剤が化粧シート同士を接着してしまい、さらに化粧シートの美観も損ねてしまう。
【0006】
これに対して、粘着剤に起因する光沢の発生が防止された化粧シートとして、例えば、開孔性シート材料、熱活性接着剤層、支持体、接着剤層及び剥離紙がこの順に積層されてなる化粧シートが提案されている(特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】実開平7−42287号公報
【特許文献2】特開平7−126584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の化粧シートは、構成が複雑で安価に製造できないという問題点がある。また、粘着剤に起因する光沢の発生は抑制できるが、化粧シート表面及び裏面への粘着剤の浸み出し抑制を考慮したものではない。そして、構成が簡便で、このような粘着剤の浸み出しが抑制された化粧シートは従来提案されていないのが実情である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、被着体への接着性及び追従性に優れ、高温環境下で重荷重を受けた場合でも、隙間を通じて粘着剤が化粧シート表面及び裏面に浸み出すことがない、簡便な構成の化粧シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の組成の粘着剤層を特定の厚さで積層することにより、係る課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パンチングシート、両面粘着シート及び剥離紙をこの順に積層してなる化粧シートであって、前記両面粘着シートの粘着層が、アクリル系ポリマー、粘着付与樹脂及び架橋剤を含有する粘着剤から形成され、前記アクリル系ポリマー100質量部中には、炭素数が4〜14のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位が90〜97質量部と、カルボキシル基含有共重合性モノマー単位が1〜6質量部と、水酸基含有共重合性モノマー単位が0.05〜0.3質量部含有され、前記粘着付与樹脂が前記アクリル系ポリマー100質量部に対して20〜35質量部含有され、前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤であり、前記アクリル系ポリマー及び粘着付与樹脂100質量部に対して0.8〜3.0質量部含有され、前記両面粘着シートの厚さが0.12〜0.14mmであることを特徴とする化粧シートである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高温環境下で重荷重を受けた場合でも、両面粘着シート中の粘着剤が、隙間を通じて化粧シート表面及び裏面に浸み出すことがないので、化粧シートの美観が損なわれることがない。また、粘着剤が浸み出さないので、積み重ねて保管しても化粧シートを破損することがない。また、被着体への接着性及び追従性にも優れた化粧シートが得られる。さらに、構成が簡便なので化粧シートを安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸のことを指し、これは、アクリル酸又はメタクリル酸の誘導体についても同様である。
【0012】
(化粧シート)
本発明の化粧シートは、両面粘着シート中の粘着剤の組成として最適なものを選択してアクリル系ポリマーの架橋度を調整すると共に、さらに両面粘着シートの厚さを調整することで、被着体への接着性及び追従性が損なわれることなく、粘着剤の浸み出しが抑制されたものである。
図1は、本発明に係る化粧シートの一例を示す断面図である。化粧シート1は、パンチングシート2、両面粘着シート3及び剥離紙4がこの順に積層されてなるものである。
【0013】
(パンチングシート)
パンチングシート2は、多数の微細な貫通孔21、21・・・が設けられたシート状のものであれば特に限定されず、その材質として各種樹脂あるいは金属などを挙げることができるが、被着体への追従性及びコスト等を考慮すると、樹脂製であることが好ましい。
この場合の樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等を挙げることができるが、ポリスチレンが好ましい。またこれら樹脂には必要に応じて、酸化防止剤あるいは帯電防止剤等の従来公知の添加剤が含有されていても良い。
【0014】
パンチングシート2の貫通孔21、21・・・は円柱状であり、その直径Lは0.3〜0.5mmであることが好ましく、開孔率は30〜50%であることが好ましい。これらの条件を満たすと、貫通孔21、21・・・からの粘着剤の浸み出し防止効果をより高くすることができる。なお、ここでは、貫通孔21、21・・・として円柱状のものを取り上げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
(両面粘着シート)
両面粘着シート3は、繊維状の支持体33を芯材とする両面粘着テープ構造を有している。本発明においては、これに限定されず、繊維状の支持体33が設けられていないものを用いることもできるが、前記両面粘着テープ構造であることが好ましい。
【0016】
本発明のように両面粘着シートの厚さが0.1mmを超えており厚い場合には、後に述べる方法で繊維状の支持体が設けられていない単層構造の両面粘着シートを形成する際に、両面粘着シート中に有機溶剤が残留し易くかつ、気泡等も発生し易くなることがある。
これに対して、繊維状の支持体を芯材とする両面粘着テープ構造を形成する場合には、後に述べるように、前記支持体両面に、前記単層構造の場合よりも厚さの薄い粘着層を形成することになるので、両面粘着シート中に有機溶剤が残留しにくく、気泡等も発生しにくくなる。
【0017】
繊維状の支持体33としては、具体的には不織布等が挙げられ、例えば、パルプ、綿、麻、レーヨン等の材質からなるものが挙げられる。そして、繊維状の支持体33の目付けは、13〜20g/mであることが好ましい。なお、繊維状の支持体33は弾性が小さいため、このように両面粘着シート中に設けられていても、化粧シート1の被着体への追従性、密着性等が損なわれることはない。
【0018】
このように繊維状の支持体33が設けられている場合、該支持体33よりパンチングシート2側の第一の粘着層31の厚さAと、該支持体33より剥離紙4側の第二の粘着層32の厚さBとの比率は、A/B=55/45〜40/60であることが好ましく、A/B=50/50〜40/60であることがより好ましく、A/B=48/52〜40/60であることがより一層好ましく、A/B=45/55であることが特に好ましい。このような比率とすることで、被着体への化粧シート1の追従性がより良好となる。
【0019】
また、繊維状の支持体33が設けられている場合、前記第一の粘着層31及び第二の粘着層32の組成は必ずしも同じである必要はなく、用いるパンチングシート及び被着体の材質を考慮して選択すれば良い。ただし同じである方が、製造工程を簡略化できる点で好ましい。
【0020】
両面粘着シート3の粘着層は、アクリル系ポリマー、粘着付与樹脂及び架橋剤を含有する粘着剤から形成されている。
そして、前記アクリル系ポリマー100質量部中には、炭素数が4〜14のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位が90〜97質量部と、カルボキシル基含有共重合性モノマー単位が1〜6質量部と、水酸基含有共重合性モノマー単位が0.05〜0.3質量部含有されている。また、アクリル系ポリマー中には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、酢酸ビニル等の他のモノマー単位が含有されていても良い。
【0021】
炭素数が4〜14のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、例えば、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、炭素数が4〜9のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
なお、本発明においてアルコール残基とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、エステル結合を形成しているアルコール由来の部位のことを指す。
【0022】
カルボキシル基含有共重合性モノマーとしては、炭素数が4〜14のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等を挙げることができる。なかでも、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0023】
水酸基含有共重合性モノマーとしては、炭素数が4〜14のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なかでも、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は4−ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
【0024】
炭素数が4〜14のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、ベースモノマーである。そして、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含有されていることで、化粧シート1は被着体への追従性が良好となる。
一方、カルボキシル基含有共重合性モノマー及び水酸基含有共重合性モノマーは、官能基モノマーであり、いずれも両面粘着シート3の粘着層の架橋度を調整する。そしてカルボキシル基含有共重合性モノマーは、さらに前記粘着層の接着性も調整する。
【0025】
粘着付与樹脂は、前記両面粘着シート100質量部に対して20〜35質量部含有されている。
粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンやロジンのエステル化物等のロジン系樹脂、ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂、脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂、その他にもスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。中でも、粘着付与樹脂100質量部中に、重合ロジン及び水添ロジンが75〜85質量部と、石油樹脂が15〜25質量部含有されているものが好ましい。また、重合ロジン及び水添ロジンは、等量ずつ含有されていることが好ましく、粘着付与樹脂100質量部中に、重合ロジンが40質量部、水添ロジンが40質量部、石油樹脂が20質量部含有されているものが特に好ましい。具体的な重合ロジンとしては、例えば、リカロジンPCJ(商品名、理化ハーキュレス株式会社製)が挙げられる。具体的な水添ロジンとしては、例えば、スーパーエステルA100(商品名、荒川化学工業株式会社製)が挙げられる。具体的な石油樹脂としては、例えば、FTR−6100(商品名、三井化学株式会社製)が挙げられる。
このような好ましい組成の粘着付与樹脂を用いることで、両面粘着シート3の粘着層の架橋度が調整され、粘着剤の浸み出しがより抑制されると共に化粧シート1の被着体への追従性がより良好となる。
【0026】
前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤が、前記アクリル系ポリマー及び粘着付与樹脂100質量部に対して0.8〜3.0質量部含有されている。
そして、イソシアネート系架橋剤としては、トルエンジイソシアネート付加物が好ましい。ここでトルエンジイソシアネート付加物とは、分子中にトルエンジイソシアネート誘導体を含むものを指す。具体的には、例えば、コロネートL(商品名、日本ポリウレタン工業株式会社製)等が挙げられる。
架橋剤が、官能基モノマーであるカルボキシル基含有共重合性モノマー及び水酸基含有共重合性モノマーに作用することで、架橋反応が進行する。
【0027】
本発明の化粧シートにおいては、両面粘着シートの粘着層における架橋度の指標であるゲル分率は、45%程度である。これは従来品のゲル分率が、例えば、35%程度であるのに対してやや高くなっている。ゲル分率が高くなると一般的に両面粘着シートは硬くなる傾向にあり、両面粘着シートを硬めにしてその厚さを薄くすると、粘着剤の浸み出しを抑制する効果が高まる。これに対して、両面粘着シートの厚さを厚くすると、両面粘着シートの被着体への追従性が良くなる傾向にある。本発明の化粧シートは、両面粘着シートの組成及び厚さを調整して、被着体への接着性及び追従性を損なうことなく、粘着剤の浸み出し抑制効果を高めるように構成されている。なお、ゲル分率は、養生後の両面粘着シートの組成物をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表される。
【0028】
両面粘着シートには、先に述べた成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、粘着剤に一般に用いられる各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、増粘剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤等が含有されていても良い。
【0029】
両面粘着シートの粘着層は、例えば、貫通孔の直径0.35mm、開孔率42%、厚さ0.4mmのポリスチレン製パンチングシートと積層した状態から、長手方向に180°折り返して300mm/分の速度で引っ張り、前記パンチングシートから剥がした時の接着力が16(N/20mm)以上であることが好ましい。
【0030】
(剥離紙)
本発明においては剥離紙としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙及びクルパック紙のいずれかの上にポリエチレンをラミネートし、その上に離型処理を施したものや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂フィルム上に離型処理を施したもの等が挙げられる。これらの中でも、生産性、貼り作業性の点から、上質紙、クラフト紙、グラシン紙及びクルパック紙のいずれかの上にポリエチレンをラミネートし、その上に離型処理を施したものが好ましい。離型処理としては、従来公知のシリコーン処理、長鎖アルキル処理及びフッ素処理等を挙げることができるが、シリコーン処理が好ましい。
【0031】
剥離紙4には、スリット41、41・・・が設けられている。スリット41、41・・・を設けることで、先に述べた通り、化粧シート1を被着体へ固定する時に、一部の剥離紙を除去して、化粧シート1を被着体に仮止めして、簡便かつ精密に位置あわせをしつつ化粧シート1を被着体に固定することができる。スリットの数、形状およびサイズは、目的に応じて適宜選択すれば良い。そして、スリットは従来公知の方法で設ければ良い。
一方、図1では、スリットが設けられた剥離紙を示しているが、本発明はこれに限定されず、スリットが設けられていない剥離紙を用いても良い。
【0032】
(各層の厚さ)
本発明においては、前記両面粘着シートの厚さは0.12〜0.14mmであり、0.125〜0.135であることが特に好ましい。そして、前記パンチングシートの厚さは0.2〜0.6mmあることが好ましく、前記剥離紙の厚さは0.05〜0.2mmであることが好ましい。このような好ましい範囲とすることで、化粧シートの被着体への接着性及び追従性を損なうことなく、パンチングシートの貫通孔、剥離紙のスリット及び化粧シート端面からの粘着剤の浸み出しを抑制する効果を高めることができる。
【0033】
(被着体)
本発明の化粧シートにおいては、固定対象である被着体の材質は特に限定されないが、ポリスチレン、ABS、ポリプロピレン等の樹脂類が好適である。
【0034】
(化粧シートの形態)
本発明の化粧シートの形態は特に限定されるものではなく、例えば、枚葉、ロール状の製品形態であっても良い。
【0035】
(化粧シートの製造方法)
両面粘着シートを形成するためには、例えば、両面粘着シート用塗工溶液を調製して、これを塗布に用いれば良い。具体的には以下の通りである。
すなわち、従来公知の方法に従って、例えば、有機溶媒中で、所定の原料モノマーを所定量用いてアクリル系ポリマーの合成を行う。有機溶媒としては、用いる配合成分が溶解し、架橋剤の官能基と反応しないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸エチル、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン等を単独で、あるいは混合して使用することができる。これらのなかでも、酢酸エチル、n−ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。次いで、得られたアクリル系ポリマー溶液に所定量の粘着付与樹脂を添加し、均一に混合して粘着剤溶液を得る。さらに、得られた粘着剤溶液に対して、所定量の架橋剤を添加し撹拌処理することで、両面粘着シート用塗工溶液が得られる。該塗工溶液は必要に応じて、さらにトルエン、ヘキサン等の有機溶媒を用いて希釈して用いても良い。
【0036】
両面粘着シートが、繊維状の支持体が設けられていない単層構造である場合には、化粧シートを製造する方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。すなわち、乾燥後に所定の厚さとなるように、前記塗工溶液をロールコーターやダイコーター等を用いて剥離紙の離型処理面上に塗布して乾燥を行った後、剥離紙側とは反対側の粘着層表面をパンチングシートと貼り合わせる方法を挙げることができる。あるいは、前記塗工溶液を仮支持体上に塗布して乾燥を行い、乾燥後の粘着層を仮支持体上からパンチングシート上へ転写した後、パンチングシート側とは反対側の粘着層表面を剥離紙の離型処理面と貼り合わせる方法でも良い。
【0037】
一方、両面粘着シートが、繊維状の支持体を芯材とする両面粘着テープ構造である場合には、化粧シートを製造する方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。すなわち、粘着剤を前記支持体内部まで含浸させるために、両面粘着シート用塗工溶液を前記支持体の一方の面に直接塗布し、有機溶剤を乾燥させ、内部まで粘着剤を含浸させた支持体上に所定の厚さの粘着層を形成する。その後、別の仮支持体上に別途形成した所定の厚さの粘着層を、該仮支持体上から前記支持体の粘着層が形成されていない面に転写し、繊維状の支持体両面に粘着層が設けられた両面粘着テープ構造の両面粘着シートを形成する。このようにして得られた両面粘着シートをパンチングシート上に転写する方法が挙げられる。
【0038】
あるいは前記塗工溶液を剥離紙上に塗布して乾燥したものを二枚用意し、繊維状の支持体両面にそれぞれ熱ラミネートして貼り合わせることで該支持体に含浸状態の両面粘着層を設け、次いで、片側の剥離紙を剥離して粘着層の該剥離面をパンチングシートと貼り合せる方法でも良い。
【0039】
このように、両面粘着テープ構造の両面粘着シートを形成する場合には、先に述べた単層構造の両面粘着シートを形成する場合よりも、乾燥に供する粘着層の厚さが薄いので、粘着層中に有機溶剤が残留しにくくまた、気泡等も発生しにくい。したがって、より均一な粘着層を形成することができる。
【0040】
以上の説明のように、本発明の化粧シートは、被着体への接着性及び追従性に優れるだけでなく、高温環境下で重荷重を受けた場合でも、隙間を通じて粘着剤が化粧シート表面及び裏面に浸み出すことがない。従って、例えば、高温環境下で化粧シートを多数積み重ねて保管したり、化粧シートを所定の形状に打ち抜く場合などでも、化粧シートは美観が損なわれることがなく、破損することもない。また、構成が簡便なので安価に製造することができる。
【実施例】
【0041】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
以下に示す構成の化粧シートを用いて、ヒートプレス及び打ち抜き時の粘着剤の浸み出し、さらに反発性、接着力についての試験を行い、試験結果の評価を行った。
<化粧シート>
(I)両面粘着テープ
以下に示す組成の両面粘着シート中、目付け17g/mの不織布が、不織布よりパンチングシート側の第一の粘着層の厚さ(A)と、不織布より剥離紙側の第二の粘着層の厚さ(B)との比が、A/B=45/55となるように設けられた、厚さ0.135mmの両面粘着テープ。
(I−1)アクリル系ポリマー
モノマー単位として、ブチルアクリレート93.4質量部、酢酸ビニル3質量部、アクリル酸3.5質量部及びヒドロキシエチルアクリレート0.1質量部を含有する樹脂モノマー100質量部。
(I−2)粘着付与樹脂
前記樹脂モノマー100質量部に対して、リカロジンPCJ(商品名、理化ハーキュレス株式会社製)11.52質量部、スーパーエステルA100(商品名、荒川化学工業株式会社製)11.52質量部及びFTR−6100(商品名、三井化学株式会社製)5.76質量部を含有する粘着付与樹脂28.8質量部。
(I−3)架橋剤
前記樹脂モノマー及び粘着付与樹脂100質量部に対して、コロネートL(商品名、日本ポリウレタン工業株式会社製)を1.5質量部。
(I−4)不織布
パルプ、麻、レーヨン(日本大昭和板紙株式会社製)の混合材質からなる目付け17g/mの不織布。
(II)パンチングシート
材質ポリスチレン、貫通孔の直径0.35mm、開孔率42%、厚さ0.4mmのパンチングシート。
(III)剥離紙
上質紙に両面ポリエチレンラミネートして離型処理した厚さ0.13mmの剥離紙(リンテック株式会社製)。ただし、ヒートプレス試験では、さらに幅10mmのスリットが設けられたものを用いた。
【0042】
<両面粘着シート用塗工溶液の調製>
アクリル系ポリマーの合成は、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器を用いて、重合開始剤としてパーブチルO(日本油脂社製)0.1質量部と、溶剤として酢酸エチル200質量部を加えて、80℃12時間で溶液重合を行った。次に、得られたアクリル共重合体溶液に粘着付与樹脂を添加し撹拌して溶解し、更にトルエンを加えて不揮発分40%の粘着剤溶液を得た。次に架橋剤を添加してよく混合して両面粘着シート用塗工溶液を得た。
【0043】
<化粧シートの製造>
得られた両面粘着シート用塗工溶液を用いて、以下に示す方法で化粧シートの製造を行った。すなわち、前記塗工溶液を剥離紙の離型処理面上に乾燥後の厚みが61μmになるように塗工して90℃で3分間乾燥させて粘着層とし、次いで不織布の一方の面にラミネートした。さらに、別の剥離紙の離型処理面上に乾燥後の厚みが74μmになるように前記塗工溶液を塗工して90℃で3分間乾燥させて粘着層とし、次いで前記不織布の他方の面に貼り合わせ、90℃で熱ラミネートした。その後40℃48時間加熱処理後に、厚み61μm側の剥離紙を剥がして、粘着層をパンチングシートと貼り合わせた。
【0044】
<試験方法>
試験方法は以下の通りである。
(1)ヒートプレス
5cm×5cmのサイズにカットした前記化粧シートを六枚重ねて、化粧シート表面に対して垂直な方向に、40℃で6時間又は60℃で2時間、5kg/cmの圧力でプレスした。プレス終了後、光学顕微鏡を用いて200倍の倍率で化粧シートを観察し、パンチングシートの貫通孔及び剥離紙のスリットからの、粘着剤の浸み出しの有無を評価した。
(2)打ち抜き
5cm×5cmのサイズにカットした前記化粧シート一枚に対し、刃高さ2mm、刃長さ6mm、ゲタ4mmのゼンマイ両刃を用いて、27℃にて、パンチングシート側又は剥離紙側より平抜きによる打ち抜きを、100ショット/分の設定で行った。打ち抜き機としては、株式会社恩田製作所製シール印刷機を用いた。そして打ち抜いた化粧シートを、光学顕微鏡を用いて100倍の倍率で観察し、化粧シート端面からの粘着剤の浸み出しの有無を評価した。
(3)反発性
20mm×180mmのサイズにカットした前記化粧シートから剥離紙を剥離して、被着体である厚さ2mm、幅25mm×長さ200mmのポリスチレンプレートの中央に固定した。次いで、化粧シートを固定した前記ポリスチレンプレートを、前記化粧シートが凸状となるように長手方向に沿って190mm長さで弓なり固定し、この状態を80℃で96時間維持した。そして96時間経過後のポリスチレンプレートからの化粧シートの剥がれの有無を評価した。
(4)Pst接着力
前記化粧シートを20mm幅に切断し、剥離紙を剥離して、23℃、相対湿度50%の条件下で2kgローラー1往復の加圧により、被着体である厚さ2mmのポリスチレン(Pst)プレートに貼付し1時間放置した。次いで、上記条件下で化粧シートを、長手方向に180°折り返し、300mm/分の速度で引っ張り、Pstプレートから剥がした時の接着力(N/20mm)を測定した。
【0045】
<評価基準>
(1)ヒートプレス及び(2)打ち抜き試験結果の評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
◎・・・粘着剤の浸み出しが全く見られない、○・・・粘着剤の浸み出しがほとんど見られず実用上問題がない、×・・・粘着剤の浸み出しによる明らかな汚れがあり実用上問題がある。
(3)反発性試験結果の評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
○・・・ポリスチレンプレートからの剥がれなし、×・・・ポリスチレンプレートからの剥がれあり。
【0046】
(実施例2〜6、比較例1〜4)
両面粘着シート中の架橋剤量、両面粘着シートの総厚さ、粘着層の厚さの比A/Bを表1及び2の通りにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6、比較例1〜4の化粧シートの製造及び評価を行った。
【0047】
【表1】


【0048】
【表2】


【0049】
<評価結果>
(1)ヒートプレス
実施例1〜6、並びに比較例2及び4では、いずれの化粧シートにおいてもパンチングシートの貫通孔及び剥離紙のスリットからの粘着剤の浸み出しは認められなかった。一方、比較例1及び3では、いずれの化粧シートにおいても、パンチングシートの貫通孔及び剥離紙のスリットからの粘着剤の浸み出しが認められた。
(2)打ち抜き
実施例1〜6、並びに比較例2及び4では、いずれの化粧シートにおいてもパンチングシートの貫通孔及び剥離紙のスリットからの粘着剤の浸み出しは認められなかった。一方、比較例1及び3では、いずれの化粧シートにおいても、パンチングシートの貫通孔及び剥離紙のスリットからの粘着剤の浸み出しが認められた。
(3)反発性
実施例1〜6、並びに比較例1及び3においては、ポリスチレンプレートからの化粧シートの剥がれは認められなかった。一方、比較例2及び4においては、ポリスチレンプレートからのパンチングシートの剥がれが認められた。
(4)Pst接着力
実施例1〜6は、比較例1〜4に比べ接着力が高く優れている事が確認された。
【0050】
以上の説明のように、本発明の化粧シートに用いられている粘着剤は、従来品の粘着剤よりも接着力に優れ、このような粘着剤を有する両面粘着テープを備えた本発明の化粧シートは、従来品の化粧シートよりも、粘着剤の浸み出しの抑制及び被着体への追従性で優れたものであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、テレビや音響機器などの家電製品の外装材として利用可能であり、電器分野において有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る化粧シートの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・化粧シート、2・・・パンチングシート、3・・・両面粘着シート、4・・・剥離紙、31・・・第一の粘着層、32・・・第二の粘着層、33・・・繊維状の支持体、41・・・スリット
【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−49487(P2008−49487A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225225(P2006−225225)